JP6205451B2 - 電解液及びその製造方法、並びに、これを用いた蓄電デバイス - Google Patents
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Description
下記一般式(1)で表されるイオン性化合物と、炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒を混合した後、モレキュラーシーブと接触させる工程を含むことを特徴とする電解液の製造方法である。
(XSO2)(X’SO2)N-Y+ (1)
(式中、X、X’はフッ素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基を表し、X、X’の少なくとも一方はフッ素原子であり、Y+はアルカリ金属カチオン又はオニウムカチオンを表す。)
本発明の電解液とは、下記一般式(1)で表されるイオン性化合物(以下、イオン性化合物(1)という場合がある)と遊離酸を含み、前記遊離酸の含有量が25ppm未満(質量基準、以下同様)であるところに特徴を有する。
(XSO2)(X’SO2)N-Y+ (1)
(式中、X、X’はフッ素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基を表し、X、X’の少なくとも一方はフッ素原子であり、Y+はアルカリ金属カチオン又はオニウムカチオンを表す。)
次に、上記一般式(1):(XSO2)(X’SO2)N-Y+で表されるイオン性化合物について説明する。本発明の電解液には、電解質として、アニオン成分:(XSO2)(X’SO2)N-と、カチオン成分:Y+とからなるイオン性化合物(1)が含まれる。一般式(1)中、X及びX’はフッ素原子又は炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基を表し、X、X’の少なくとも一方はフッ素原子である。炭素数1〜6アルキル基としては、直鎖状のアルキル基であるのが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、上記アルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。これらの中でも、X、X’としては、フッ素原子、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
本発明の電解液には媒体が含まれていてもよい。媒体としては、非プロトン性溶媒、ポリマー等が挙げられる。非プロトン性有機溶媒としては、誘電率が大きく、電解質塩(フルオロスルホニルイミドのアルカリ金属塩、後述する他の電解質)の溶解性が高く、沸点が60℃以上であり、且つ、電気化学的安定範囲が広い溶媒が好適である。より好ましくは非水系溶媒である。非水系溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル(1,2−ジメトキシエタン)、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,6−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、クラウンエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル(メチルエチルカーボネート)、炭酸ジエチル(ジエチルカーボネート)、炭酸ジフェニル、炭酸メチルフェニル等の鎖状炭酸エステル類;炭酸エチレン(エチレンカーボネート)、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、2,3−ジメチル炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、2−ビニル炭酸エチレン等の環状炭酸エステル類;蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル等の脂肪族カルボン酸エステル類;安息香酸メチル、安息香酸エチル等の芳香族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のカルボン酸エステル類;リン酸トリメチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2−メチルグルタロニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル類;N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等の硫黄化合物類:エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド類;ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類;ニトロメタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上が好適である。これらの中でも、炭酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類、カルボン酸エステル類、エーテル類がより好ましく、炭酸エステル類がさらに好ましい。
本発明に係る電解液には、上記イオン性化合物(1)のみが電解質として含まれていてもよいが、これ以外の他の電解質が含まれていてもよい。他の電解質を用いることで、電解液中のイオンの絶対量を増加させることができ、電気伝導度の向上を図ることができる。
本発明の製造方法とは、上記電解液の製造方法であって、上記一般式(1)で表されるイオン性化合物を炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒から選ばれる溶媒と混合した後、
(i)一部又は全ての溶媒を留去させる工程、及び/又は
(ii)モレキュラーシーブと接触させる工程、
を含むところに特徴を有する。
本発明の電解液の製造方法は、上記(i)溶媒留去工程及び/又は(ii)モレキュラーシーブと接触させる工程を含む点に特徴を有するものであり、その他の工程は特に限定されない。したがって、本発明では、イオン性化合物(1)を合成する方法は特に限定されず、従来公知の方法は全て採用することが出来る。例えば、特表平8−511274号公報に記載されるように、尿素の存在下で、フルオロスルホン酸(HFSO3)を蒸留す
ることによって(フルオロスルホニル)イミドを得る方法;クロロスルホニルイミドからフッ素化剤を用いてフルオロスルホニルイミドを合成する方法、及びフルオロスルホニルイミド塩を得る方法としては、上記方法により得られたフルオロスルホニルイミド又はその塩を、所望のアルカリ金属又は有機基を与えるカチオンを有する塩との反応によりカチオン交換する方法(国際公開第2009/123328号パンフレット);等が挙げられる。
本発明では、上記一般式(1)で表されるイオン性化合物(1)と炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒とを混合した後、当該混合溶液を溶媒留去装置へと供して溶媒留去を行う。当該溶媒留去工程では、上記混合溶液に含まれる上記その他の溶媒(合成又は精製工程で用いた溶媒等)や水分を、上記炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒と共に留去させる工程である。本発明で使用可能な溶媒留去操作としては特に限定されず、単蒸留形式、薄膜蒸留器を用いる形式、蒸留塔を設けた分別蒸留形式、蒸留塔からの留出液を一定の還流比で塔内に戻しながら抜出す蒸留形式、蒸留塔を全還流で保持して還流槽に水分を濃縮し、還流槽の成分が安定したところで、短時間で一括抜き出しを行う蒸留形式等が挙げられる。溶媒留去工程で使用する装置は、いずれも公知の加熱手段を備えたものであるのが好ましい。
本発明法に係る工程(ii)では、上記一般式(1)で表されるイオン性化合物と炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒とを混合した後、この混合溶液をモレキュラーシーブと接触させる接触工程を実施する。
本発明の電解液は、遊離酸及び/又は水分の含有量が低減されたものである。したがって、本発明の電解液は、一次電池、リチウム(イオン)二次電池、燃料電池などの充電及び放電機構を有する電池の他、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、太陽電池といった各種蓄電デバイスに好適に用いられる。なお、蓄電デバイスの構造は特に限定されず、本発明の電解液は公知の蓄電デバイスに適用可能である。
1H−NMR、19F−NMRの測定は、Varian社製の「Unity Plus−400」を使用して行った(内部標準物質:トリフルオロメチルベンゼン、溶媒:重アセトニトリル、積算回数:16回)。
下記実験例で得られた試料溶液、及び、有機溶媒に含まれる水分量は平沼産業(株)製カールフィッシャー水分測定装置「AQ−2100」を用いて測定した。測定用試料の調製、水分量の測定等の一連の操作については、ドライルーム(温度:25℃、露点:−70℃〜−50℃)で行った。試料注入量は試料の水分含有量に応じて0.1ml〜3mlとし、発生液には「ハイドラナール(登録商標) クローマットAK」(Sigma Aldrich社製)を使用し、対極液には「ハイドラナール(登録商標) クローマットCG−K」(Sigma Aldrich社製)を使用した。試料は、外気に触れないよう注射器を用いて試料注入口より注入した。
中和滴定によりHF、H2SO4及びFSO3Hの合計含有量を測定した。
〔フッ素化工程〕
攪拌装置を備えたパイレックス(登録商標)製反応容器A(内容量5L)に、窒素気流下で酢酸ブチル900gを加え、ここに100g(467mmol)のビス(クロロスルホニル)イミドを室温(25℃)で滴下した。
攪拌装置を備えたパイレックス(登録商標)製反応容器B(内容量1L)に、25質量%アンモニア水270g(3964mmol、ビス(クロロスルホニル)イミドに対して8.49当量)を加えた。アンモニア水の攪拌下、室温で、反応容器Bに、反応容器Aの反応溶液を滴下して加えた。反応溶液の滴下終了後、攪拌を停止し、水層と酢酸ブチル層の2層に分かれた反応溶液から、塩化亜鉛などの副生物を含む水層を除去し、有機層として、アンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を得た。得られた有機層を試料として、19F-NMR(溶媒:重アセトニトリル)測定を行った。得られたチャートにおいて、内部標準物質として加えたトリフルオロメチルベンゼンの量、及び、これに由来するピークの積分値と、目的生成物に由来するピークの積分値との比較から、有機層に含まれるアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの粗収量を求めた(378mmol)。
19F-NMR(溶媒:重アセトニトリル):δ56.0
得られた有機層に含まれるアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドに対して、リチウムの量が2当量となるように、15質量%の水酸化リチウム水溶液121g(Liとして758mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。その後、反応溶液から水層を除去して、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を得た。
フラスコ内で、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド18.71gと、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(30/70、体積比)溶液101.21gとを混合し溶解させて、試料溶液を得た。得られた試料溶液の遊離酸量は25ppm、水分量は70.0ppmであった。
モレキュラーシーブ2:リチウムカチオン及びナトリウムカチオンを有するモレキュラーシーブ(型番「Li−X SDG」、平均孔径(公称値):10Å、球状、ユニオン昭和株式会社社製)
モレキュラーシーブ3:ナトリウムカチオンを有するモレキュラーシーブ(型番「4A
SDG」、平均孔径(公称値):4Å、球状、ユニオン昭和株式会社社製)
モレキュラーシーブ4:ナトリウムカチオン及びカルシウムカチオンを有するモレキュラーシーブ(型番「3A SDG」、平均孔径(公称値):3Å、球状、ユニオン昭和株式会社社製)
フラスコに、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド6.25gを加え、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(30/70、体積比)溶液を33.74g加え溶解した。溶液の水分量は72.5ppm、遊離酸量は35ppmであった。得られた溶液に、シクロヘキサン11.20gを加え、減圧下、温度50℃に加熱してシクロヘキサンを留去し、試料溶液を得た。このとき得られた試料溶液の水分量は8.0ppmであり、遊離酸量は15ppmであった。19F−NMRで確認したが、加熱前後の試料溶液中のリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド濃度に変化は見られなかった。
実験例1〜5で得られた試料溶液を各々容量20mlのスクリュー管に入れて密閉し、外部からの水分の浸入を防止した。各電解液を入れたスクリュー管をアルミニウム製の袋に入れて遮光した状態で、温度25℃の環境で2ヶ月間保存し、試料溶液に含まれる水分量及び遊離酸量の経時変化を評価した。結果を表4に示す。なお、2ヶ月間保存した後の試料溶液に外観上の変化は認められず、無色透明の液体であった。
実験例1において調製したモレキュラーシーブとの接触工程前の試料溶液(遊離酸量:25ppm、水分量:70.0ppm)を用いたこと以外は、実験例6〜10と同様にして、2ヶ月間保存し、試料溶液に含まれる水分量及び遊離酸量の経時変化を評価した。結果を表4に示す。なお、2ヶ月間保存した後の試料溶液に外観上の変化は認められず、無色透明の液体であった。
〔カチオン交換工程2−カリウム塩の合成〕
製造例1と同様にして、フッ素化工程、カチオン交換工程1(アンモニウム塩の合成)を行って得られたアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を使用して、カチオン交換工程2を行った。得られた有機層に含まれるアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドに対して、カリウムの量が2当量となるように、15質量%の水酸化カリウム水溶液283g(Kとして758mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。その後、反応溶液から水層を除去して、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を得た。
フラスコ内で、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド21.9gと、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(30/70、体積比)溶液100.1gとを混合し溶解させて、試料溶液を得た。得られた試料溶液の遊離酸量は35ppm、水分量は53ppmであった。
フラスコに、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド7.3gを加え、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(30/70、体積比)溶液を33.5g加え溶解した。溶液の水分量は52ppm、遊離酸量は35ppmであった。得られた溶液に、シクロヘキサン10.5gを加え、減圧下、温度50℃に加熱してシクロヘキサンを留去し、試料溶液を得た。このとき得られた試料溶液の水分量は8.0ppmであり、遊離酸量は9ppmであった。19F−NMRで確認したが、加熱前後の試料溶液中のカリウムビス(フルオロスルホニル)イミド濃度に変化は見られなかった。
実験例12〜16で得られた試料溶液を各々容量20mlのスクリュー管に入れて密閉し、外部からの水分の浸入を防止した。各電解液を入れたスクリュー管をアルミニウム製の袋に入れて遮光した状態で、温度25℃の環境で2ヶ月間保存し、試料溶液に含まれる水分量及び遊離酸量の経時変化を評価した。結果を表8に示す。なお、2ヶ月間保存した後の試料溶液に外観上の変化は認められず、無色透明の液体であった。
実験例12で調製したモレキュラーシーブとの接触工程前の試料溶液(遊離酸量:35ppm、水分量:53ppm)を用いたこと以外は、実験例17〜21と同様にして、当該試料溶液を2ヶ月間保存し、試料溶液に含まれる水分量及び遊離酸量の経時変化を評価した。結果を表8に示す。なお、2ヶ月間保存した後の試料溶液に外観上の変化は認められず、無色透明の液体であった。
〔カチオン交換工程2−ナトリウム塩の合成〕
製造例1と同様にして、フッ素化工程、カチオン交換工程1(アンモニウム塩の合成)を行って得られたアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を使用して、カチオン交換工程2を行った。得られた有機層に含まれるアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドに対して、ナトリウムの量が2当量となるように、15質量%の水酸化ナトリウム水溶液202g(Naとして758mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。その後、反応溶液から水層を除去して、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を得た。
フラスコ内で、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド20.3gと、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(30/70、体積比)溶液99.5gとを混合し溶解させて、試料溶液を得た。得られた試料溶液の遊離酸量は30ppm、水分量は55ppmであった。
フラスコに、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド6.8gを加え、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(30/70、体積比)溶液を33.2g加え溶解した。溶液の水分量は53ppm、遊離酸量は30ppmであった。得られた溶液に、シクロヘキサン10.8gを加え、減圧下、温度50℃に加熱してシクロヘキサンを留去し、試料溶液を得た。このとき得られた試料溶液の水分量は7.8ppmであり、遊離酸量は15ppmであった。19F−NMRで確認したが、加熱前後の試料溶液中のナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド濃度に変化は見られなかった。
実験例23〜27で得られた試料溶液を各々容量20mlのスクリュー管に入れて密閉し、外部からの水分の浸入を防止した。各電解液を入れたスクリュー管をアルミニウム製の袋に入れて遮光した状態で、温度25℃の環境で2ヶ月間保存し、試料溶液に含まれる水分量及び遊離酸量の経時変化を評価した。結果を表12に示す。なお、2ヶ月間保存した後の試料溶液に外観上の変化は認められず、無色透明の液体であった。
実験例23で調製したモレキュラーシーブとの接触工程前の試料溶液(遊離酸量:30ppm、水分量:55ppm)を用いたこと以外は、実験例28〜32と同様にして、2ヶ月間保存し、試料溶液に含まれる水分量及び遊離酸量の経時変化を評価した。結果を表12に示す。なお、2ヶ月間保存した後の試料溶液に外観上の変化は認められず、無色透明の液体であった。
〔カチオン交換工程3−エチルメチルイミダゾリウム塩の合成〕
製造例1と同様にして、フッ素化工程、カチオン交換工程1(アンモニウム塩の合成)カチオン交換工程2を行って得られたリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を使用して、カチオン交換工程3を行った。得られた有機層に含まれるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドに対して、エチルメチルイミダゾリウムの量が1.05当量となるように、15質量%のエチルメチルイミダゾリウムブロマイド水溶液453g(エチルメチルイミダゾリウムブロマイドとして356mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。その後、反応溶液から水層を除去して、エチルメチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を得た。
フラスコ内で、エチルメチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド29.1gと、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(30/70、体積比)溶液98.6gとを混合し溶解させて、試料溶液を得た。得られた試料溶液の遊離酸量は28ppm、水分量は51ppmであった。
フラスコに、エチルメチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド9.7gを加え、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(30/70、体積比)溶液を32.7g加え溶解した。溶液の水分量は54ppm、遊離酸量は28ppmであった。得られた溶液に、シクロヘキサン11.0gを加え、減圧下、温度50℃に加熱してシクロヘキサンを留去し、試料溶液を得た。このとき得られた試料溶液の水分量は7.8ppmであり、遊離酸量は13ppmであった。19F−NMRで確認したが、加熱前後の試料溶液中のエチルメチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド濃度に変化は見られなかった。
実験例34〜38で得られた試料溶液を各々容量20mlのスクリュー管に入れて密閉し、外部からの水分の浸入を防止した。各電解液を入れたスクリュー管をアルミニウム製の袋に入れて遮光した状態で、温度25℃の環境で2ヶ月間保存し、試料溶液に含まれる水分量及び遊離酸量の経時変化を評価した。結果を表16に示す。なお、2ヶ月間保存した後の試料溶液に外観上の変化は認められず、無色透明の液体であった。
実験例34において調製したモレキュラーシーブとの接触工程前の試料溶液(遊離酸量:28ppm、水分量:51ppm)を用いたこと以外は、実験例39〜43と同様にして、2ヶ月間保存し、試料溶液に含まれる水分量及び遊離酸量の経時変化を評価した。結果を表16に示す。なお、2ヶ月間保存した後の試料溶液に外観上の変化は認められず、無色透明の液体であった。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表されるイオン性化合物と遊離酸と媒体を含み、前記遊離酸の含有量が25ppm未満(質量基準)である電解液を製造する方法であって、
下記一般式(1)で表されるイオン性化合物と、炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒を混合した後、モレキュラーシーブと接触させる工程を含み、
(XSO2)(X’SO2)N-Y+ (1)
(式中、XおよびX’はフッ素原子であり、Y+はアルカリ金属カチオン又はオニウムカチオンを表す。)
上記電解液は、電解質として、上記一般式(1)で表されるイオン性化合物以外の電解質を含んでいてもよく、
全電解質(上記一般式(1)で表されるイオン性化合物と他の電解質)と上記媒体の合計量100質量部に対する上記媒体の量が50質量部〜99質量部であり、
上記電解液における上記全電解質の濃度が1質量%以上、50質量%未満であり、且つ、
上記電解液は、媒体として炭酸エステル類を含むことを特徴とする電解液の製造方法。 - 上記遊離酸が、HF、H2SO4及びFSO3Hよりなる群から選ばれる1種以上の遊離酸である請求項1に記載の電解液の製造方法。
- 上記電解液の水分量が50ppm以下(質量基準)である請求項1または2に記載の電解液の製造方法。
- 上記一般式(1)において、Y +がリチウムカチオンである請求項1〜3のいずれかに記載の電解液の製造方法。
- 上記イオン性化合物と炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒を混合した混合溶液が、モレキュラーシーブと接触の際に更新される請求項1〜4のいずれかに記載の電解液の製造方法。
- 上記イオン性化合物と炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒を混合した混合溶液とモレキュラーシーブとを混合し、攪拌する請求項1〜5のいずれかに記載の電解液の製造方法。
- モレキュラーシーブの充填層に上記イオン性化合物と炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒を混合した混合溶液を通過させる請求項1〜5のいずれかに記載の電解液の製造方法。
- 上記イオン性化合物と炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒を混合した混合溶液とモレキュラーシーブとを接触させる際の温度を−40℃〜200℃とする請求項1〜7のいずれかに記載の電解液の製造方法。
- 上記イオン性化合物と炭化水素系溶媒及び/又は非プロトン性溶媒を混合した混合溶液とモレキュラーシーブとを接触させる時間を72時間以下とする請求項1〜8のいずれかに記載の電解液の製造方法。
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