JP2019099389A - スルホニルイミド化合物、それを含む電解質組成物、及びスルホニルイミド化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(式(1)中、R1、R2、及びR3はそれぞれフッ素、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。M+はアルカリ金属イオンを表す。)
(式(1)中、R1、R2、及びR3はそれぞれフッ素、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。M+はアルカリ金属イオンを表す。)
(XSO2)(XSO2)NM (2)
(式(2)中、Xはフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。複数のXはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。Mはアルカリ金属を表す。)
(式(1)中、R1、R2、及びR3はそれぞれフッ素、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。M+はアルカリ金属イオンを表す。)
(式中、M+はアルカリ金属イオンを表す。)
(XSO2)(XSO2)NM (2)
(式(2)中、Xはフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。複数のXはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。Mはアルカリ金属を表す。また、Mは、式(1)中のM+と同じアルカリ金属であってもよい。)
なお、本明細書において電解質組成物における各成分の含有量は、電解質組成物の全量に対する割合(質量ppm等)である。
以下では、19F−NMRの測定は、下記の条件で行われた。
測定装置:VNMRS 600(VARIAN社製)
重溶媒:アセトニトリル−d3
分析濃度:試料濃度;12質量%、内部標準;3.6質量%
積算回数:16回
〔フルオロスルホニルイミド合成工程(フッ素化工程)〕
攪拌装置を備えたパイレックス(登録商標)製反応容器A(内容量5L)に、窒素気流下で酢酸ブチル990gを投入した。投入された酢酸ブチルに110g(514mmol)のビス(クロロスルホニル)イミドを室温(25℃)で滴下して加えた。
攪拌装置を備えたパイレックス(登録商標)製反応容器B(内容量3L)に、25質量%アンモニア水297g(4360mmol、ビス(クロロスルホニル)イミドに対して8.49当量)を投入した。アンモニア水を攪拌しながら、室温で、反応容器Bに、溶液Aを滴下して加えた。溶液Aの滴下終了後、攪拌を停止したところ、反応系は水層と有機層の2層に分かれた。塩化亜鉛などの副生物を含む水層を除去し、有機層であるアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドの酢酸ブチル溶液を得た。
得られた有機層に含まれるアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドに対して、リチウムの量が2当量となるように、15質量%の水酸化リチウム水溶液133g(Li換算で834mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。その後、反応系から水層を除去して、有機層であるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、LiFSIとも呼ぶ)の酢酸ブチル溶液を得た。
また、得られた有機層を試料として、19F−NMR測定を行った(内部標準物質:トリフルオロメチルベンゼン)。得られた19F−NMRのチャートには、LiFSIのピークが観測された。上述の内部標準法により、有機層におけるLiFSIの濃度を求めた。有機層中のLiFSIの濃度は7質量%であった(有機層の収量:994g、LiFSIの収量:69.6g)。
ロータリーエバポレーター(「REN−1000」、IWAKI社製)を使用して、減圧下で、上記カチオン交換工程2で得られた有機層から溶媒を一部留去し、LiFSIの濃縮溶液162gを得た(濃度:43質量%)。
LiF14.3g(0.55mol)を量り取り、PFA(フッソ樹脂製)反応容器に投入した。反応容器を氷冷しながら、液体のビス(フルオロスルホニル)イミド(HFSI)90.47g(0.50mol)を投入し、スラリー状の反応混合物を調製した。当該反応混合物を140℃に加熱したところ、フッ化リチウムが溶解して液状の反応溶液が得られた。反応溶液の温度を140℃で保持し、15分間反応を行った。さらに反応溶液を10hPa、140℃〜145℃で2時間減圧加熱し、その後、常圧において窒素吹き流し環境で140℃24時間加熱した。この結果、電解質組成物を72g得た。
合成例1の方法に従って得られたLiFSIをフッ素樹脂製三ツ口フラスコに100g投入した。窒素シール下でフラスコの内温が150℃となるまで加熱して18時間保持した後、自然冷却して固体状の生成物(以降生成物1と記載する)を95g得た。生成物1を試料として、19F−NMRにより分析した(内部標準物質:ベンゼンスルホニルフルオリド、δ68.9ppm、singlet、以降、内部標準としてベンゼンスルホニルフルオリドを使用した。)。その結果、LiFSIに由来するピーク(δ55.4ppm、singlet)及びLiFSO3に由来するピーク(δ40.1ppm、singlet)に加えて、ピークがそれぞれδ64.67ppm(triplet:J=7.6Hz)、δ58.77ppm(doublet:J=7.6Hz、)に観測された。δ64.67ppmのピークとδ58.77ppmのピークとの面積比は1:2であった。これらのことから、δ64.67ppmのピーク及びδ58.77ppmのピークは、上記式(1)で表される化合物の一つであるリチウムN,N−ビス(フルオロスルホニル)イミドスルファモイルフルオリド(以下、LiFSISFとも呼ぶ。)の中央のSに結合しているフッ素、及び両端のSに結合しているフッ素にそれぞれ由来すると考えられる。上述の内部標準法により求めた生成物1におけるLiFSISFの含有量は1.2質量%であった。また、同様にして求めたLiFSO3の含有量は0.8質量%であった。
HPLC:LC 30A System(島津製作所製)
移動相:溶媒A(0.1質量%ギ酸水溶液)、溶媒B(メタノール)、A:B=20:80(体積比)
流量速度:0.1ml/min
カラム温度:40℃
検出器:吸光度検出器(190nm〜800nm)
注入量:1μL
MS:Q Exactive (Thermo Fisher Scientific製)
イオン化方法:エレクトロスプレーイオン化法(ESI)
プローブヒーター温度:330℃
キャピラリー温度:330℃
なお、LC−MSでは、ピーク分離を行わず、全てをイオン化した。一段目でイオン化したものの内、主要なピークにつきMS/MS測定を行い、フラグメントイオンのパターンからLiFSISFのアニオン部を同定した。
以上のICP発光分光分析結果から、式(3)の金属イオンはLiであることが分かった。
合成例1のカチオン交換工程2において、水酸化リチウムに代えて15質量%の水酸化ナトリウム水溶液222g(Na換算で833mmol)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてカチオン交換工程2を行い、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)溶液を調製した。
次いで、貧溶媒としてデカンを使用したこと、減圧度を1.33kPa(10torr)、加熱温度を60℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして濃縮工程及び精製を実施し、NaFSIの白色結晶を得た。
実験例1のカチオン交換工程2において、水酸化リチウムに代えて15質量%の水酸化カリウム水溶液312g(K換算で834mmol)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてカチオン交換工程2を行い、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(KFSI)溶液を調製した。
次いで、貧溶媒としてデカンを使用したこと、減圧度を4kPa(30torr)、加熱温度を60℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして濃縮工程及び精製を実施し、KFSIの白色結晶を得た。
合成例1の方法に従って得られたLiFSIをフッ素樹脂製三ツ口フラスコに100g投入し、窒素シール下でフラスコの内温が150℃に加熱し、2時間保持した。その後、自然冷却して固体状の生成物(以降生成物4と記載する)を95.4g得た。
合成例1の方法に従って得られたLiFSIをフッ素樹脂製三ツ口フラスコに100g投入し、窒素シール下でフラスコの内温が150℃になるまで加熱し、108時間保持した。その後、自然冷却して固体状の生成物(以降生成物5と記載する)を95.2g得た。
合成例1の方法に従って得たLiFSIをフッ素樹脂製三ツ口フラスコに100g投入し、窒素シール下で内温が145℃になるまで加熱し、10分間保持した。その後、自然冷却して固体状の生成物(以降生成物C1と記載する)を95.2g得た。
合成例1の方法に従ってLiFSIを得た後、何ら処理を行わなかった(以降生成物C2と記載する)。
実際の電解質組成物の秤量値と、表1の分析結果から算出される電解液中のLiFSISF及びLiFSO3の含有量を表2に示す。
上記仕様のセルを下記条件でエージングを行い、電池4、5、C1及びC2を完成させた。
上記セルに電解液4、5、C1及びC2の各電解液を注液してから1時間経過後、セルに4.2V及び200mAの定電流定電圧充電を90分間行った。その後72時間放置した。その後余分なラミネートを開放し、再度真空溶着することでガス抜きを行った。ガス抜き後、4.2V及び500mAの定電流定電圧充電を5時間行い、10分間の休止の後、200mAで閉路電圧2.75Vまで定電流放電を行った。10分間の休止後、更に4.2V及び500mAの定電流定電圧充電を5時間行った。10分間の休止後、1000mAで閉路電圧2.75Vまで定電流放電を行った。エージングはすべて25℃で実施した。
電池4、5、C1及びC2のそれぞれに、以下の条件で500サイクルの充放電サイクル試験を行った。
充電条件:45℃で、4.2V及び1000mAの定電圧定電流充電を電流値が20mAとなるまで行った。その後、45℃で10分間休止した。
放電条件:45℃で、1000mAの定電流放電を閉路電圧が2.75Vとなるまで行った。その後、45℃で10分間休止した。
LiFSO3を含む電池C1と、LiFSO3を含まない電池C2とでは、容量維持率及び20mA放電容量についてほぼ同等であった。また、LiFSISFの含有量が大きい電池5のほうが、電池4よりも容量維持率及び20mA放電容量に優れていた。このように、電池4及び5で高温サイクル後の電池特性が改善された理由として、LiFSISFが耐熱性に優れ、電解液の反応副生生物の発生を抑制するためと考えられる。
Claims (6)
- 式(1)中のR1、R2、及びR3がいずれもフッ素原子であり、M+がLi+である、請求項1に記載の化合物。
- 下記式(1)で表される化合物と下記式(2)で表される化合物とを含む電解質組成物であって、前記電解質組成物における式(1)の化合物の含有量が1質量ppm〜200000質量ppmであり、式(2)の化合物の含有量が100000質量ppm以上である、電解質組成物。
(式(1)中、R1、R2、及びR3はそれぞれフッ素、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。M+はアルカリ金属イオンを表す。)
(XSO2)(XSO2)NM (2)
(式(2)中、Xはフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。複数のXはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。Mはアルカリ金属を表す。)
- 式(1)におけるR1、R2、及びR3がいずれもフッ素原子であり、M+がLi+であり、式(2)におけるXがすべてフッ素原子である、請求項3に記載の電解質組成物。
- さらに、MFSO3(Mは、アルカリ金属を表す。)を100質量ppm〜100000質量ppm含む、請求項3又は4に記載の電解質組成物。
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