JP6202714B2 - 薄膜トランジスタ素子の製造方法及び塗布型半導体層のパターニング方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ素子の製造方法及び塗布型半導体層のパターニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜トランジスタ素子の製造方法及び塗布型半導体層のパターニング方法に関する。
近年、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)のうち、塗布や印刷プロセスを用いて製造することが可能な有機薄膜トランジスタ(有機TFT)や酸化物薄膜トランジスタ(酸化物TFT)が大きく注目されている。
有機デバイスは有機材料を用いているため、無機デバイスに比べ柔軟な構造を備え、比較的低温プロセスで作製することが可能である。特に、半導体材料をはじめ、絶縁材料、配線などを有機溶媒に溶かし溶液状にすることで、様々な塗布プロセス(スピンコート、ディップコート、印刷法やインクジェット法など)を利用することが可能となり、低コストで様々な応用デバイスを作製でき、また大面積化への展開も容易となる可能性がある。さらに有機デバイスは軽量でフレキシブルなため、様々な携帯端末やディスプレイ、ICタグなど幅広い装置に適用が可能である。
これまで、従来のシリコンTFTと比較して有機TFTの移動度が低いことが、ディスプレイやセンサなど応用への大きな弊害となっていた。しかし、近年、研究の急速な進歩により有機TFTの移動度が飛躍的に向上するようになってきた。
例えば非特許文献1〜3に記載のトランジスタでは、塗布型の低分子系半導体を可溶化した材料をsolution searing、ディップコーティング或いはインクジェット印刷法を用いて成膜し、その結晶成長や方位を制御することで移動度が飛躍的に向上する例を報告している。
ここで、従来の低分子系有機半導体材料は、移動度の値が最大でも1cm/Vs程度であった。しかし、上記した塗布型の低分子系半導体材料を用いた例では、グレインサイズが数十〜数百μmにおよぶ非常に大きな結晶膜を形成することが報告され、10cm/Vsを超える高い移動度が確保可能であることが報告されている。このような高い移動度の値は従来のフラットパネルで実用化されているアモルファスシリコントランジスタの特性を大幅に超えるものであり、有機トランジスタの実用可能性を大きく示した結果と言える。
Hector A. Becerri他、 Advanced Materials, vol.20,pp.2588-2594(2008) Junshi Soeda 他、 Advanced Materials、vol.23、pp.3309 (2012) Hiromi Minemawari他、 Nature、vol. 475、pp. 364 (2012)
しかしながら上記した非特許文献1〜3の例は、デバイスサイズ(チャネル長)の大きい単素子での評価結果がほとんどで、微細化又はアレイ化した素子での高移動度は未だ実現されていないのが現状である。この大きな原因として塗布製法で形成する半導体膜(半導体層)のパターニング手法が未だ確立されていないことが挙げられる。
薄膜トランジスタをディスプレイやセンサなどのアクティブ駆動に応用する場合では、チャネル長を10μm以下に微細化した素子を製造することが求められる。そして、素子間の不要な漏れ電流を抑制し、素子のオフ電流を低下させるには100μm以下の微細なエリアに半導体膜をパターニング形成する必要がある。
また、従来では、微細なエリアに半導体膜をパターニング形成する方法として、予め半導体層の下地である絶縁膜を、TFTの形成領域と非形成領域とにパターニングする方法が知られている。具体的には、絶縁膜として疎水性の大きな材料を用い、この絶縁膜に対し、TFTの形成領域の箇所にのみ紫外光の照射等の親水化処理を行い濡れ性(親水性)を良くした上で、塗布型の半導体材料を塗布し半導体層を形成する方法である。しかしながら、この方法では、TFTとして作用させる領域に直接紫外光等の親水化処理を施すため、半導体層の形成領域のダメージが大きく、安定したTFT特性を得ることができないおそれがあった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、塗布製法を用いて作製する薄膜トランジスタ素子(TFT素子)において、簡易な方法で半導体膜をパターニングすることにより、移動度の高い微細な薄膜トランジスタ素子の製造方法及び塗布型半導体層のパターニング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段として、本発明者らは絶縁膜上に形成する活性領域となる半導体層のパターニング方法について検討した。その結果、絶縁膜としてTFT素子を形成するに好適な(濡れ性が良好な)絶縁材料を用いるとともに、当該絶縁膜にフッ素化処理を施すことで、当該絶縁膜にダメージを与えることなく、TFT素子の形成領域(親水領域)と非形成領域(疎水性領域)とを微細にパターニングすることができることを見出した。つまり、本発明は、基板上に作製されるTFT素子において、塗布型の半導体材料を溶媒に溶解させた半導体溶液を、予め親水・疎水性領域にパターニングされた絶縁膜上に滴下し、親水性領域にのみに半導体溶液を集め結晶を析出させることで、結晶サイズの大きい半導体層を自発的(自己組織的)にパターニング形成する。
なお、本発明の薄膜トランジスタは、低分子または低分子系材料にアルキル鎖などを付与して可溶化した半導体材料、並びに高分子型の有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタ素子により適しているが、これに限定されるものではなく、塗布型の酸化物半導体、金属酸化物材料、カーボンナノチューブ、及びグラフェンなどを用いた薄膜トランジスタ素子にも適用可能な技術である。
以上のような本発明者らの検討結果及び知見に基づきなされた本発明の要旨は以下の通りである。
[1]上記課題を解決するため、本発明による薄膜トランジスタ素子の製造方法は、基板上に作製される薄膜トランジスタの製造方法であって、絶縁膜上に活性領域となる塗布型半導体層を形成する際において、水接触角が60°〜80°である前記絶縁膜にフッ素化処理を施すことにより水接触角が80°〜110°である疎水性領域を形成する工程と、前記絶縁膜上に、半導体材料を有機溶媒に溶解させた半導体溶液を塗布し、その後焼成することで、自己組織的に活性領域と非活性領域とをパターニングする工程と、をこの順に備え、前記絶縁膜が、シクロオレフィンポリマーまたはシクロオレフィン誘導体であり、前記絶縁膜及び前記疎水性領域それぞれの水接触角の差を20°〜30°の範囲内とすることを特徴とする
[2]上記[1]に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記半導体材料が、有機半導体または無機酸化物半導体であることを特徴とする。
[3]上記[1]または[2]に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記半導体溶液に対する前記半導体材料の濃度が、2重量%以下であることを特徴とする。
[4]上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記フッ素化処理が、含フッ素ガスを用いたプラズマ処理であることを特徴とする。
[5]上記[1]〜[4]の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記フッ素化処理によるエッチング深さを2nm以下に制限することを特徴とする。
[6]上記[1]〜[5]の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記焼成の温度が、前記半導体材料の沸点の1/2以下であることを特徴とする。
[7]上記[1]〜[6]の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記絶縁膜上に塗布した前記半導体溶液を焼成する前に、前記疎水性領域が有する疎水性以上の疎水性を備えたパターニング用基板を、前記半導体溶液上に配置することにより、前記半導体溶液を前記基板の表面全体に均一な厚みに引き延ばし薄膜化させることを特徴とする。
[8]上記[7]に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記パターニング用基板の表面がフッ素樹脂によりコーティングされ、かつ前記パターニング用基板の水接触角が105°以上であることを特徴とする。
[9]上記[7]または[8]に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記パターニング基板を前記半導体溶液上に配置した後、前記半導体溶液を塗布した前記基板を前記焼成を行う装置に設置するとともに、前記パターニング基板を水平方向にスライドさせることを特徴とする。
[10]上記[7][9]の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記パターニング基板をスライドさせる速度を100mm/秒以下とすることを特徴とする。
[11]上記[1]〜[6]の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記絶縁膜上に塗布した前記半導体溶液を焼成する前に、前記基板を水平方向に対して傾斜させて前記半導体溶液を前記疎水性領域以外の領域に凝集させ、凝集させた前記半導体溶液に傾斜を持たせることを特徴とする。
[12]上記[1]〜[6]の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法において、前記絶縁膜上に塗布した前記半導体溶液を焼成する前に、前記基板の側面から気体を吹き付けて前記半導体溶液を前記疎水性領域以外の領域に凝集させ、凝集させた前記半導体溶液に傾斜を持たせることを特徴とする。
[13]上記課題を解決するため、本発明による塗布型半導体層のパターニング方法は、絶縁膜上に塗布型半導体層をパターニングする方法であって、水接触角が60°〜80°である前記絶縁膜にフッ素化処理を施すことにより水接触角が80°〜110°である疎水性領域を形成する工程と、前記絶縁膜上に、半導体材料を有機溶媒に溶解させた半導体溶液を塗布し、その後焼成することで、自己組織的に前記塗布型半導体層をパターニングする工程と、をこの順に備え、前記絶縁膜が、シクロオレフィンポリマーまたはシクロオレフィン誘導体であり、前記絶縁膜と前記疎水性領域との水接触角の差を20°〜30°の範囲内とすることを特徴とする。
本発明によれば、塗布製法を用いて作製する薄膜トランジスタ素子において、簡易な方法で半導体膜をパターニングすることにより、移動度の高い微細な薄膜トランジスタ素子の製造方法及び塗布型半導体層のパターニング方法を提供することが可能となる。
図1は、第1実施形態に係る製造方法により得られる薄膜トランジスタ10を示した断面模式図である。 図2Aは、第1実施形態に係る薄膜トランジスタ素子10の製造方法を説明するための断面模式図である。 図2Bは、第1実施形態に係る薄膜トランジスタ素子10の製造方法を説明するための断面模式図である。 図2Cは、第1実施形態に係る薄膜トランジスタ素子10の製造方法を説明するための断面模式図である。 図2Dは、第1実施形態に係る薄膜トランジスタ素子10の製造方法を説明するための断面模式図である。 図3Aは、第2実施形態に係る薄膜トランジスタ素子20の製造方法を説明するための断面模式図である。 図3Bは、第2実施形態に係る薄膜トランジスタ素子20の製造方法を説明するための断面模式図である。 図3Cは、第2実施形態に係る薄膜トランジスタ素子20´の製造方法を説明するための断面模式図である。 図3Dは、第2実施形態に係る薄膜トランジスタ素子20´の製造方法を説明するための断面模式図である。 図4Aは、第3実施形態に係る薄膜トランジスタ素子30の製造方法を説明するための断面模式図である。 図4Bは、第3実施形態に係る薄膜トランジスタ素子30の製造方法を説明するための断面模式図である。 図4Cは、第3実施形態に係る薄膜トランジスタ素子30の製造方法を説明するための断面模式図である。 図5は、本実施例に係るパターニング方法によって作製した塗布型半導体層57を備えた薄膜トランジスタの光学顕微鏡写真である。 図6は、本実施例に係る薄膜トランジスタ素子のドレイン電流―ゲート電圧(Id−Vg)特性を示すグラフである。
以下、本発明の薄膜トランジスタ素子の製造方法及び塗布型半導体層のパターニング方法の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
また、以下の各実施形態において説明する薄膜トランジスタ素子はいずれもボトムゲート・ボトムコンタクト型構造のものであるが、本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、ボトムゲート・ボトムコンタクト型構造に限らず、ボトムゲート・トップコンタクト型構造やトップゲート型構造の薄膜トランジスタの製造方法としても適用可能である。
<薄膜トランジスタ素子の製造方法>
「第1実施形態」
まず、第1実施形態に係る薄膜トランジスタ素子の製造方法について図1〜図2Dを参照しながら説明する。図1〜図2Dは、本実施形態である薄膜トランジスタ素子の断面模式図であるが、薄膜トランジスタ素子10の特徴部分を見易くするために、一部の構成を省略して示している。また、図2A〜図2Dのそれぞれは、本実施形態に係る薄膜トランジスタ素子10の製造方法を説明するための概略図であり、各工程における断面模式図を示す。
本実施形態に係る薄膜トランジスタ素子10の製造方法は、基板11上に作製される薄膜トランジスタの製造方法であって、絶縁膜13上に活性領域となる塗布型半導体層17(単に、半導体層17ともいう)を形成する際において、水接触角が60°〜80°である絶縁膜13にフッ素化処理を施すことにより水接触角が80°〜110°である疎水性領域16を形成する工程と、絶縁膜13上に、半導体材料を有機溶媒に溶解させた半導体溶液17aを塗布し、その後焼成することで、自己組織的に活性領域と非活性領域とをパターニングする工程と、をこの順に備え、絶縁膜13及び疎水性領域16それぞれの水接触角の差を20°〜30°の範囲内とすることを特徴とする。
ここで、上述したように、図1に示した薄膜トランジスタ素子10の構造はボトムゲート・ボトムコンタクト型構造であり、基板11の表面に形成されたゲート電極12、絶縁膜13、ソース電極およびドレイン電極(14および15)、および塗布型半導体層17を備えている。なお、図1に示すボトムゲート・ボトムコンタクト型の薄膜トランジスタ素子10の場合、絶縁膜13はゲート絶縁膜として機能する。
以下、本実施形態に係る薄膜トランジスタ素子10の製造方法について詳細に説明する。
まず、図2Aに示すように、基板11上にゲート電極12を形成する。ゲート電極12は、例えばスパッタリング法(単に、スパッタともいう)などにより基板11上に形成し、次いで、ゲート電極の所望のパターンとなるようエッチングを施すことで形成することができる。
基板11の材料は、特に限定されず、絶縁材料からなる種々の基板で構成されてよいが、例えば、シリコンウェハなどのシリコン基板、石英、ソーダガラス、無機アルカリガラスなどのガラス基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ポリカーボネートなどのプラスチックフィルム等を用いることが出来る。また、表面が絶縁性処理されていれば、金属フォイル等も基板11として用いることができる。
ゲート電極12の材料は導電性材料の材料であれば特に限定されず、アルミ、モリブデン、クロム、銅などの金属材料に加え、これらのインク材料あるいは導電性高分子材料、また酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)などを用いることが可能である。
次に、図2Aに示すように、ゲート電極12を覆うように基板11上に絶縁膜13を成膜する。本実施形態に係る絶縁膜13は、ゲート電極12を覆ってゲート電極12を絶縁するゲート絶縁膜である。
絶縁膜13の材料は塗布形成が可能で、かつ濡れ性が良好な絶縁膜材料を用い、ポリマー絶縁膜材料を用いることが好ましい。例えば、シクロオレフィンポリマーまたはその誘導体、シクロオレフィン類をモノマーとして合成される主鎖に脂環構造を有するポリマー、メタクリル樹脂(PMMA)またはその誘導体、ポリカーボネート樹脂(PC)またはその誘導体、ポリビニルフェノール樹脂(PVP)またはその誘導体、またこれらポリマー樹脂と無機材料のハイブリッド絶縁材料などを用いることができる。
ここで、本実施系形態では、絶縁膜13上に塗布型半導体層17を形成(パターニング)する前にあらかじめ、塗布型半導体層17の形成領域以外の領域(非形成領域)に対してフッ素化処理施して非形成領域の疎水化を行うことで疎水性領域16を形成する。そうした上で塗布型半導体層17の材料である半導体溶液17aを塗布する。そのため、塗布型半導体層17の形成領域は絶縁膜13の本来の特性を持った領域となるため、絶縁膜13は濡れ性に良好な材料を用いることが好ましい。また、塗布型半導体層17の非形成領域はフッ素化処理を施すため、非形成領域の表面が粗くなるおそれがある。そのため、絶縁膜13はフッ素化処理に対して耐性を備えたものを用いることが好ましい。これらの観点より、絶縁膜13として、特に、シクロオレフィンポリマーまたはシクロオレフィン誘導体を用いることがより好ましい。
絶縁膜13の成膜方法としては、ゲート電極12を形成した基板11上に、上述したような絶縁膜13の材料を塗布することにより形成される。塗布する方法としては、例えば、ドロップキャスト法、ディップコーティング法、インクジェット法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、回転塗布法、バー塗布法、スクリーン印刷法等の各種の方法を採用することができる。
絶縁膜13の成膜厚さは、特に限定されないが、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜200nmである。
また、本実施形態において、絶縁膜13の表面の水接触角は60°〜80°の範囲である。水接触角を当該範囲に調整する方法としては、例えば、絶縁膜13を形成するための塗膜形成時の乾燥過程の温度、時間等を調整して、塗膜表面からの溶剤の蒸発を均一化することで、表面張力変化を小さくして、得られる絶縁膜13の表面を平滑化する方法、または、絶縁材料の分子構造において、膜表面の親水基、疎水基のバランスを調整する方法等がある。このような方法により、絶縁膜13表面の水接触角を所望の範囲に調整することができる。
なお、絶縁膜13上に形成する塗布型半導体層16の積層性を向上させる観点から、絶縁膜13の水接触角を75°以下とすることが好ましい。一方、絶縁膜13の水接触角が過度に小さいと塗布型半導体層17の分子配向および結晶性が悪くなるおそれがあるため、絶縁膜13の水接触角を50°以上とすることが好ましい。
次に、図2Aに示すように、絶縁膜13上に、ソース電極14及びドレイン電極15を形成する。
ソース電極14及びドレイン電極15は、薄膜トランジスタの出力電極であり、導電性材料から構成することができる。ソース電極14及びドレイン電極15の材料としては、例えば、金、銀、ニッケルなどの金属コロイド粒子を分散させた溶液若しくは銀などの金属粒子を導電材料として用いたペーストが挙げられる。また、例えば、金属や合金、透明導電膜材料を、全面にスパッタ法や蒸着法等によって成膜後、レジスト材料を用い、フォトリソグラフィー法やスクリーン印刷法で所望のレジストパターンを形成した後、酸等のエッチング液でエッチングすることにより所望のパターンを形成することができる。また、金属や合金、透明導電膜材料を、マスクを用いてスパッタ法や蒸着法で直接所望のパターンを形成することもできる。これらスパッタ法や蒸着法に使用できる金属材料としては、アルミニウム、モリブデン、クロム、チタン、タンタル、ニッケル、銅、銀、金、白金、パラジウム等が、透明導電膜材料としてはITO等が挙げられる。
次に、絶縁膜13上に、薄膜トランジスタ素子10の活性領域となる塗布型半導体層17を形成(パターニング)する。本実施形態に係る塗布型半導体層16のパターニング工程は、絶縁膜13にフッ素化処理を施し、水接触角が80°〜110°である疎水性領域16を形成する工程と、絶縁膜13上に、半導体材料を有機溶媒に溶解させた半導体溶液17aを塗布し、その後焼成することで、自己組織的に活性領域と非活性領域とをパターニングする工程と、に概略構成される。
疎水性領域16を形成する工程について説明する。
まず、ソース電極14及びドレイン電極15を作製した絶縁膜13上に、薄膜トランジスタのチャネル領域となる領域(塗布型半導体層17の形成領域)のみをカバーする形でポジレジスト膜(不図示)をパターン形成する。
次に、フッ素化処理を施し、絶縁膜13の表面のうち、ポジレジスト膜によりカバーされていない露出された領域(非形成領域)の表面をフッ素化し、図2Bに示すように疎水性領域16を形成する。疎水性領域16を形成した後は、ポジレジスト膜を有機溶剤を用いて剥離、除去する。
フッ素化処理としては例えば、含フッ素ガスを用いたプラズマ処理を採用することができ、この場合に用いるガスとしてCFガスを例示できる。
疎水性領域16を形成する際にプラズマ処理を採用した場合、プラズマの照射により非形成領域の絶縁膜13がエッチングされ、絶縁膜13の表面が荒れてしまうことがある。しかし、本実施形態では、塗布型半導体層17を形成する領域以外の領域にフッ素化処理を施すため、塗布型半導体層17の形成領域についてはプラズマ照射の影響を受けない。つまり、塗布型半導体層17の形成するための半導体溶液17aの塗布する際には、プラズマ照射によって生じた絶縁膜13の表面荒れの影響を受けることなく、本来の絶縁膜13が有する濡れ性を維持した状態の絶縁膜13表面に半導体溶液17aを塗布することができる。
また、本実施形態においては、疎水性領域16へのプラズマ照射によるエッチングによって生じたエッチング溝の深さについても抑制した方が好ましい。これは、エッチング溝の深さが大きいと、後工程において絶縁膜13上に半導体溶液17aを塗布する際に、半導体層17の形成領域への半導体溶液17aの凝集が不十分となるおそれがあるためである。
具体的に説明すると、まず、本実施形態では、チャネル領域となる領域にのみ半導体層17を形成することから、半導体層17の非形成領域へはフッ素化処理を施し疎水性領域16とし、チャネル領域の形成領域と非形成領域である疎水性領域16とにパターニングする。このように、非形成領域を疎水化することにより、半導体溶液17aを塗布した際に、半導体層17の形成領域は絶縁膜13が備えている濡れ性が良好であることと、非形成領域には疎水性を付与したことから、半導体溶液17aは半導体層17の形成領域へ自発的に凝集する。しかしながら、疎水性領域16へのプラズマ照射によるエッチング量が多いと、絶縁膜13表面上に生じるエッチング溝による段差が大きくなり、この大きな段差が半導体溶液17aの自発的な凝集を阻害し、その結果、半導体層17のパターニング性が劣化してしまうおそれがある。
このようなことから、本実施形態では、プラズマ照射によって生じるエッチング溝の深さを小さく抑制することが好ましい。より具体的には、エッチング深さを2nm以下に制限することがより好ましい。さらに具体的には半導体層17として用いる半導体材料の分子長に匹敵する、或いはこれ以下のエッチング深さとすることが望ましい。
また、このようにエッチング溝の深さを小さくするためには、プラズマを照射する際の出力(パワー)を小さくし、またプラズマの照射時間を短くすることで達成できる。なお、プラズマ照射の好ましい条件は用いる照射機器によって若干変動するが、パワーを25〜100Wの範囲、またプラズマの照射時間を10〜30秒の範囲とすることが好ましい。
また、本実施形態においては、上記フッ素化処理によって形成する疎水性領域16の水接触角を80°〜110°の範囲とし、また、絶縁膜13及び疎水性領域16それぞれの水接触角の差を20°〜30°の範囲内とする。
このように、活性領域となる半導体層17の形成領域である絶縁膜13と非活性領域となる疎水性領域16それぞれの水接触角の差を20°〜30°とすることにより、効率的に半導体溶液17aの自発的な凝集を促すことができるとともに、微細な領域への半導体層16のパターニング精度を高めることができる。その結果、薄膜トランジスタ素子の特性を向上させることができる。
次に、塗布型半導体層17を形成し、活性領域と非活性領域とをパターニングする工程について説明する。
まず、図2Cに示すように、上記フッ素化処理により表面の塗れ性・疎水性が制御された絶縁膜13上に、半導体溶液17aを塗布する。
半導体溶液17aとしては半導体材料を有機溶媒に溶解させたものを用いる。なお、塗布法によって半導体層17を成膜するため、用いる半導体材料は有機溶媒に溶解可能で塗布型のものであれば特に限定しないが、有機半導体や無機酸化物半導体を用いることができる。具体的には、低分子系の有機半導体材料にアルキル鎖などを付与して可溶化した半導体材料、高分子型の有機半導体材料、塗布型の酸化物半導体、金属酸化物材料、その他カーボンナノチューブやグラフェンなどを分散させた溶液を用いることができる。なお、半導体層17の結晶方位の制御ならびに半導体材料の可溶性の観点から、低分子系の有機半導体材料或いは結晶性の高い半導体溶液を用いることが好ましい。
半導体溶液17aは、上記したような半導体材料を有機溶媒に溶解させることで得ることができる。なお、半導体溶液17に対する半導体材料の濃度が高すぎると、半導体溶液17aを焼成し結晶化させる際に、疎水性領域16でも結晶が析出するおそれがあるため、半導体溶液17aに対する半導体材料の濃度を2重量%以下とすることが好ましい。
また、半導体層17の膜厚については特に限定しないが、半導体溶液17aの塗布量によって制御することができる。なお、半導体層17の膜厚を制御する方法としては、予め半導体溶液17a中にスペーサーを混合して上で絶縁膜13上に塗布する方法も挙げられる。
次に、絶縁膜13上に、半導体溶液17aを塗布した後に焼成工程を行う。具体的には、絶縁膜13上に塗布した半導体溶液17aを、例えばホットプレート、オーブン等を用いて加熱、焼成し、有機溶媒を蒸発させることで、活性領域となる領域に、上述したような半導体材料からなる塗布型半導体層17を形成することができ、図2Dに示すように、活性領域と非活性領域とにパターニングすることができる。なお、焼成する手段としては、上記ホットプレート、オーブンの他に、熱気流を用いた乾燥方法、真空加熱等を採用することができる。
焼成する温度が高すぎると、半導体溶液17aを焼成し結晶化させる際に、疎水性領域16でも結晶が析出し、活性領域と非活性領域とのパターニング精度が劣化するおそれがあるため、焼成温度は、用いる半導体材料の沸点の1/2以下とすることが好ましい。
以上説明した製造方法によって、本実施形態に係る薄膜トランジスタ素子10を製造することができる。
なお、上記で説明した塗布型半導体層のパターニング方法は、ボトムゲート・ボトムコンタクト構造を有する薄膜トランジス素子における塗布型半導体層17のパターニング方法であるが、上記のパターニング方法を、例えばトップゲート型構造の薄膜トランジス素子において適用する場合は、塗布型半導体層17を形成する前に、別途ゲート絶縁膜13とは異なる絶縁膜を基板11上に形成することにより、薄膜トランジスタ素子を製造することが可能となる。
以上説明した本実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法によれば、簡易で低コストである塗布方法を用い、結晶性及び微細領域のパターニング性に優れた半導体層をパターニングすることができる。その結果、移動度の高い微細な薄膜トランジスタ素子の製造が可能となり、トランジスタの素子特性を向上させることができる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態に係る薄膜トランジスタ素子20の製造方法について図3A〜図3Dを参照しながら説明する。図3A〜図3Dは、本実施形態である薄膜トランジスタ素子20、20´の断面模式図であるが、この薄膜トランジスタ素子20、20´の特徴部分を見易くするために、一部の構成を省略して示している。なお、図3A〜図3Dは第1実施形態と同様のボトムゲート・ボトムコンタクト型のトランジスタ素子であり、第1実施形態で示した部材と同一の部材については同一の符号を付して示している。
本実施形態に係る薄膜トランジスタ素子20、20´の製造方法は、上記第1実施形態における半導体溶液17aの塗布する工程までは同様であるため、それ以降の工程について詳細に説明することとする。
まず、図3Aに示すように、第1実施形態と同様の半導体溶液17aを塗布した後であって、第1実施形態における焼成工程の前に、フッ素化処理によって形成した疎水性領域16が有する疎水性以上の疎水性を備えたパターニング用基板18を、前工程で塗布した半導体溶液17a上に配置する。なお、このとき、塗布した半導体溶液17aを基板11上からこぼさない程度に配置したパターニング基板18を基板11方向に押し当てながら配置することが好ましい。そうすることで、半導体溶液17aの自発的な凝集をより促すことができる。
その後、第1実施形態と同様の焼成工程を行い有機溶媒を蒸発させることで、図3Bに示すように、活性領域となる領域に塗布型半導体層27を形成することができ、活性領域と非活性領域とにパターニングすることができる。また、本実施形態のように、半導体溶液17a上に大きな疎水性を有するパターニング用基板18を配置することにより、より効率的に半導体溶液17aを自発的に凝集させることができるとともに、半導体溶液17aを基板11の表面全体に均一な厚みに引き延ばし薄膜化させることができる。
パターニング用基板18としては、疎水性領域が有する疎水性以上の疎水性を備えた材料であれば特に限定することなく用いることができるが、半導体溶液17aを半導体層の形成領域へより効率的に自発的に凝集させる観点から、平坦性の高いプラスチック基板、ガラス基板、シリコン基板を用いることが好ましい。
パターニング用基板18の表面は、フッ素樹脂によりコーティングされていることが好ましい。半導体溶液17aの自発的な凝集を促すには、半導体溶液17a上に配置するパターニング基板18の表面の疎水性を大きくすることが効果的である。そのため、パターニング基板11の半導体溶液17a側の表面をフッ素樹脂によってコーティングすることが好ましい。コーティング材料としてはフッ素ポリマー樹脂(例えばCytop、テフロン(登録商標)など)やポリスチレンなどの撥水性の高い高分子材料を用いたフィルム或いはこれらをコーティングした基板、または、疎水基を有する自己組織化単分子が好ましい。
また、パターニング基板18の疎水性を大きくして半導体溶液17aの自発的な凝集を促すという観点から、パターニング用基板18の水接触角が105°以上であることが好ましい。
また、図3C、Dに示すように、上記パターニング基板18を半導体溶液17a上に配置した後、半導体溶液17aを塗布した基板11を、例えば、焼成手段であり加熱されたホットプレート上に設置するとともに、パターニング基板18を水平方向(図中の矢印方向)に一定の速度でスライドさせることが好ましい。
このように、パターニング基板18を水平方向にスライドさせながら焼成工程を行うことにより、パターニング基板18のスライド移動によって半導体溶液17aの表面が徐々に露出するため、露出された半導体溶液17a表面から順に焼成されて結晶化するとともに、結晶化した半導体溶液17aを半導体層27´の形成領域へ凝集させて塗布型半導体層27´を形成することができる。
また、パターニング基板18をスライドさせる速度を100mm/秒以下とすることが好ましい。パターニング基板18をスライドさせる速度(移動速度)を遅くすることにより、半導体溶液17aの表面をゆっくりと徐々に露出させることができるため、焼成による結晶化をはかりながら半導体層27´の形成領域へ凝集させることができる。そのため、パターニング基板18の移動速度を100mm/秒以下とすることが好ましい。
以上説明した本実施形態に係る薄膜トランジスタ20、20´の製造方法によれば、半導体溶液17aを塗布した後に、半導体溶液17a上に、大きな疎水性を備えたパターニング用基板18を配置し、より自発的に半導体溶液17aを半導体層27、27´の形成領域へ凝集させることができる。また、当該パターニング用基板18をスライドさせながら焼結工程を行うことにより、露出された半導体溶液17aの表面から徐々に結晶化させつつ、半導体層27´の形成領域へ凝集させることができ、結晶性及び微細領域のパターニング性に優れた半導体層27´をパターニングすることができる。その結果、移動度の高い微細な薄膜トランジスタ素子20、20´の製造が可能となり、トランジスタの素子特性を向上させることができる。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態に係る薄膜トランジスタ素子の製造方法について図4A〜図4Cを参照しながら説明する。図4A〜図4Cは、本実施形態である薄膜トランジスタ素子30の断面模式図であるが、この薄膜トランジスタ素子30の特徴部分を見易くするために、一部の構成を省略して示している。なお、図4A〜図4Cは第1実施形態と同様のボトムゲート・ボトムコンタクト型のトランジスタ素子であり、第1実施形態で示した部材と同一の部材については同一の符号を付して示している。
本実施形態に係る薄膜トランジスタ素子30の製造方法は、上記第1実施形態における半導体溶液の塗布する工程までは同様であるため、それ以降の工程について詳細に説明することとする。
まず、図4Aに示すように、第1実施形態と同様に、絶縁膜13上に疎水性領域16を形成した後、図4Bに示すように、半導体溶液17aを塗布する。
次に、図4Cに示すように、半導体溶液17aを加熱・焼成する前に、基板11を水平方向に対して傾斜させることにより、半導体溶液17aを半導体層37の形成領域(疎水性領域16以外の領域)に凝集させるとともに半導体溶液17aに傾斜を持たせる。
次に、基板11を傾斜された状態で基板11を加熱、焼成する。これにより、空気に触れた半導体溶液17aの表面から有機溶剤が蒸発し始め、半導体溶液17aの傾斜方向に沿った方位に結晶が析出する。
つまり、図4Cに示すように、基板11を接地面Gに対し、傾斜角度がθとなるよう傾斜させ、半導体溶液17aを半導体層37の形成領域に凝集させるとともに半導体溶液17aに角度θの傾斜を持たせる。そしてこの状態で、凝集させた半導体溶液17aを焼成することにより、傾斜角度θを備えた結晶化した半導体層37を得ることができる。
傾斜角度θは半導体溶液17aが基板11から零れ落ちない程度に調整するのがよい。また、半導体溶液17aの傾斜角度θを調整することで結晶化後の半導体層37の結晶方位を制御できるため、基板11を傾斜させる際には、所望の結晶方位となるよう傾斜角度θを調整することが望ましい。
また、基板11を傾斜させる工程と焼成工程を同時に行うこともできる。傾斜させる工程と焼成工程を同時に行うことにより、半導体溶液17aが基板11の傾斜方向に沿って流動していくと同時に、この流動方向と同一方向に半導体溶液17aの結晶化が進むこととなる。なお、基板11を傾斜させる工程と焼成工程を同時に行う際は、半導体溶液17aが非形成領域16で焼成されないよう、焼成温度を、用いる半導体材料の沸点の1/2以下とすることが好ましい。
以上説明した本実施形態に係る薄膜トランジスタの製造方法によれば、半導体溶液17aを塗布した後に、基板11を傾斜させ半導体溶液17aを半導体層37の形成領域に凝集させた上で焼成するため、半導体溶液17aに傾斜を持たせるとともに、焼成により結晶化させた半導体層37の結晶方位を基板11の傾斜角度θによって制御することができる。
「第4実施形態」
次に、第4実施形態に係る薄膜トランジスタ素子40の製造方法について説明する。なお、本実施形態についても、第1実施形態と同様のボトムゲート・ボトムコンタクト型の薄膜トランジスタ素子について説明することとし、第1実施形態で示した部材と同一の部材については同一の符号を付して説明する。
ここで、半導体層の結晶方位を制御する方法として上記第3実施形態では基板11を傾斜させる手法について説明したが、本実施形態では、半導体溶液17aを塗布した後に、基板11の側面方向から気体を吹き付ける方法を採用する。
まず、第1実施形態と同様の半導体溶液17aを塗布した後、半導体溶液17aを焼成する前に基板11の側面方向から気体を吹き付けて、半導体溶液17aを半導体層47の形成領域(疎水性領域16以外の領域)に凝集させ、凝集させた半導体溶液17aに傾斜を持たせる。
つまり、半導体溶液17aを塗布した後に基板11の側面方向から気体を吹き付けることにより、基板11上の半導体溶液を半導体層の形成領域に凝集させるとともに、気体の風圧によって半導体溶液に傾斜した分布を持たせる。この状態で基板11を加熱、焼成すると、半導体溶液17aの傾斜方向に沿った方位に結晶が析出し、基板11に対して傾斜した半導体層37を得ることができる。
なお、吹き付ける気体は特に限定せず、空気や不活性ガス等を例示できる。また、吹き付ける際の流量等の条件は半導体溶液17aが基板11から零れ落ちない程度に適宜調整してよい。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例)
まず、プラスチック基板上にモリブデンからなるゲート電極52をスパッタ法により成膜した。ゲート電極52の膜厚は50nmとした。
次に、シクロオレフィンポリマー(COP;日本ゼオン社製)からなる絶縁膜をスピンコート法により200nmの厚みとなるよう成膜した。当該絶縁膜の表面の水接触角を測定したところ70°であった。
次に、絶縁膜上に、金からなるソース電極54と、金からなるドレイン電極55を蒸着・フォトリソグラフィーを用いて形成した。
次に、ソース電極54及びドレイン電極55を作製した基板上に、薄膜トランジスタのチャネル領域(活性領域)となる塗布型半導体層の形成領域のみをカバーする形でポジレジスト膜をパターン形成した。
次に、フッ素化処理として含フッ素ガスを用いたプラズマ処理を施し、ポジレジスト膜により覆われていない露出された絶縁膜の表面をフッ素化し疎水性領域を形成した。本実施例ではCFガスを用い、出力を25W〜100Wの低出力範囲、処理時間を10秒〜30秒の範囲でプラズマ処理した。得られた疎水性領域の表面の水接触角を測定したところ98°〜100°であった。また、フッ素化処理によって形成された疎水性領域のエッチング溝の深さを測定したところ2nm以下であった。
その後、ポジレジスト膜を有機溶剤を用いて剥離した。
次に、以下に説明するパターニング方法によって塗布型半導体層57を形成した。
まず、上記フッ素化処理により表面の塗れ性・疎水性が制御された絶縁膜上に、半導体溶液を塗布する。半導体溶液としては、(低分子有機半導体層)を、濃度が2重量%となるよう有機溶媒に溶解させたものを用いた。半導体溶液の塗布量は20〜30μlとした。
次に、絶縁膜上に塗布した半導体溶液上に、フッ素ポリマー(Cytоp)を表面コーティングした超疎水性(水接触角110°)のプラスチック基板(パターニング用基板)を基板方向に押し当てるように配置し、半導体溶液を基板表面全体に行き渡るよう引き延ばした。さらに、この状態で、基板を加熱されたホットプレート上に設置するとともに、半導体溶液上に配置したパターニング用基板を10mm/秒の等速度でスライドさせた。これにより、半導体溶液の表面が徐々に露出し、露出された表面から順に焼成されて結晶化するとともに、結晶化した半導体溶液を半導体層の形成領域へ凝集させ、塗布型半導体層57を形成することができた。
以上説明したパターニング方法を用いて作製した塗布型半導体層57を備えた薄膜トランジスタ素子の光学顕微鏡写真を図5に示す。図5に示す通り、所定の微細な領域に半導体層をパターニングおよび結晶化させることができた。
また、本実施例に係る薄膜トランジスタ素子の電気特性(ドレイン電流(Id)―ゲート電圧(Vg)特性)のグラフを図6に示す。なお、図6中の「1.E−x」は、1.0×10−xを意味する。また、図6中の横軸はゲート電圧Vg(V)、縦軸はドレイン電流Id(A)である。
本実施例では、半導体層を微細にパターニングできるため、1.0pA(1.0×10−12A)以下の低いオフ電流と高いオン・オフ比を実現することができた。
10,20,20´,30,40・・・薄膜トランジスタ素子
11・・・基板
12,52・・・ゲート電極
13・・・絶縁膜
14,54・・ソース電極
15,55・・・ドレイン電極
16・・・疎水性領域
17,27,27´,37,47,57・・・塗布型半導体層(半導体層)
17a・・・半導体溶液
18・・・パターニング用基板
θ・・・傾斜角度
G・・・接地面

Claims (13)

  1. 基板上に作製される薄膜トランジスタの製造方法であって、
    絶縁膜上に活性領域となる塗布型半導体層を形成する際において、
    水接触角が60°〜80°である前記絶縁膜にフッ素化処理を施すことにより水接触角が80°〜110°である疎水性領域を形成する工程と、
    前記絶縁膜上に、半導体材料を有機溶媒に溶解させた半導体溶液を塗布し、その後焼成することで、自己組織的に活性領域と非活性領域とをパターニングする工程と、
    をこの順に備え、
    前記絶縁膜が、シクロオレフィンポリマーまたはシクロオレフィン誘導体であり、前記絶縁膜及び前記疎水性領域それぞれの水接触角の差を20°〜30°の範囲内とすることを特徴とする薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  2. 前記半導体材料が、有機半導体または無機酸化物半導体であることを特徴とする請求項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  3. 前記半導体溶液に対する前記半導体材料の濃度が、2重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  4. 前記フッ素化処理が、含フッ素ガスを用いたプラズマ処理であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  5. 前記フッ素化処理によるエッチング深さを2nm以下に制限することを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  6. 前記焼成の温度が、前記半導体材料の沸点の1/2以下であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  7. 前記絶縁膜上に塗布した前記半導体溶液を焼成する前に、前記疎水性領域が有する疎水性以上の疎水性を備えたパターニング用基板を、前記半導体溶液上に配置することにより、前記半導体溶液を前記基板の表面全体に均一な厚みに引き延ばし薄膜化させることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  8. 前記パターニング用基板の表面がフッ素樹脂によりコーティングされ、かつ前記パターニング用基板の水接触角が105°以上であることを特徴とする請求項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  9. 前記パターニング基板を前記半導体溶液上に配置した後、前記半導体溶液を塗布した前記基板を前記焼成を行う装置に設置するとともに、前記パターニング基板を水平方向にスライドさせることを特徴とする請求項またはに記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  10. 前記パターニング基板をスライドさせる速度を100mm/秒以下とすることを特徴とする請求項の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  11. 前記絶縁膜上に塗布した前記半導体溶液を焼成する前に、前記基板を水平方向に対して傾斜させて前記半導体溶液を前記疎水性領域以外の領域に凝集させ、凝集させた前記半導体溶液に傾斜を持たせることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  12. 前記絶縁膜上に塗布した前記半導体溶液を焼成する前に、前記基板の側面から気体を吹き付けて前記半導体溶液を前記疎水性領域以外の領域に凝集させ、凝集させた前記半導体溶液に傾斜を持たせることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  13. 絶縁膜上に塗布型半導体層をパターニングする方法であって、
    水接触角が60°〜80°である前記絶縁膜にフッ素化処理を施すことにより水接触角が80°〜110°である疎水性領域を形成する工程と、
    前記絶縁膜上に、半導体材料を有機溶媒に溶解させた半導体溶液を塗布し、その後焼成することで、自己組織的に前記塗布型半導体層をパターニングする工程と、
    をこの順に備え、
    前記絶縁膜が、シクロオレフィンポリマーまたはシクロオレフィン誘導体であり、前記絶縁膜と前記疎水性領域との水接触角の差を20°〜30°の範囲内とすることを特徴とする塗布型半導体層のパターニング方法。
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