JP6199657B2 - 水素分離体及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、水素含有ガス等の被分離ガス(原料ガス)から水素ガスを選択して分離することにより純度の高い水素ガスを得ることができる水素分離体及びその製造方法に関する。
従来、例えば燃料電池に供給する水素を製造するために、水蒸気改質ガス等の水素を含むガスから水素のみを選択的に取り出す水素分離体が開発されている。この水素分離体は、例えば有底円筒状のセラミック多孔質体の表面などに、パラジウム(Pd)やPd合金等の水素のみを透過させる水素透過性金属(以下水素分離金属と記す)からなる水素透過膜(以下水素分離層と記す)を形成したものである。
また、この種の水素分離体を製造する方法としては、メッキ法を用いる方法が一般的である。例えば、多孔質層に金属種核(Pd等)を担持させ、その金属種核を種核として、PdやPd合金の無電メッキを施して、水素分離層を形成する技術が提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2005−13853号公報 特開2006−265076号公報 特開平1−164419号公報
上述した従来技術では、無電解メッキに用いるメッキ液には、通常Na等のアルカリ金属が含有されているため(特許文献3参照)、多孔質層内にアルカリ金属が残留すると考えられる。
しかしながら、本発明者等の研究によれば、多孔質層内の(水素を含む)原料ガスの導入側に、Na等のアルカリ金属などが残留していると、水素透過を阻害し、水素透過性能が低下するという問題があることが明らかになった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、水素透過性能が高い水素分離体及びその製造方法を提供することにある。
(1)本発明(水素分離体)は、第1態様として、多孔質のセラミック基体と、該セラミック基体の内部に設けられ、水素を含む気体のうち水素のみを選択して透過させる水素分離金属が充填された水素分離層と、を備えた水素分離体において、前記セラミック基体のうち、前記水素分離層に隣接する前記水素を含む気体が供給される側の厚み5μm以内の範囲では、前記セラミック基体の構成材料及び前記水素分離金属以外の無機の元素であるアルカリ金属の濃度の平均が0.30atm%以下であることを特徴とする。
本第1態様では、セラミック基体のうち、水素分離層に隣接する水素を含む気体が供給される側の厚み5μm以内の範囲(以下界面隣接層と記することもある)では、セラミック基体の構成材料以外で且つ水素分離金属以外の無機の元素であるアルカリ金属の濃度の平均が0.30atm%以下である。
従って、この水素分離体(詳しくは水素分離層)によって、水素を含む気体(例えば都市ガス等の原料ガスと水蒸気を触媒に接触させ生成した改質ガス)から水素を分離する場合には、前記アルカリ金属が少ないので、水素が水素分離層を透過することが阻害されにくく、よって、水素透過性能(水素分離性能)が向上するという効果がある。
つまり、水素分離層の水素を含む気体が供給される側に、Na等のアルカリ金属が多く存在すると、水素分離層における水素の透過が阻害されやすいが(図1(a)参照)、本第1態様のように、アルカリ金属の濃度が0.30atm%以下の場合には、水素の透過が阻害されにくい(図1(b)参照)。なお、図1において、Fは水素を含む気体を示し、HSは水素分離層を示し、Sはセラミック基体を示している。
よって、本第1態様では、水素分離体の水素透過性能が高いという効果があり、そのことは後述する実験例によって裏付けされている。
なお、アルカリ金属としては、Na、K等が挙げられる。
このうち、Na、Kは、通常メッキ液に含有されるものであるので、メッキ液によって水素分離層を形成する際に、水素分離層に隣接する界面隣接層に残留し易い。
)本発明は、第態様として、前記アルカリ金属は、Naであることを特徴とする。
本第態様は、アルカリ金属を例示したものである。
)本発明は、第態様として、前記セラミック基体は、前記水素を含む気体の透過が可能な多孔質支持体の表面に形成された多孔質層であることを特徴とする。
本第態様は、セラミック基体を例示したものであり、水素分離体としては、多孔質支持体の表面に(セラミック基体である)多孔質層を形成した構成を採用できる。
)本発明は、第態様として、前記第1〜第3態様のいずれかに記載の水素分離体の製造方法において、前記水素分離層を前記アルカリ金属を含むメッキ液を用いて形成する場合に、前記水素分離層の形成後に、洗浄によって前記アルカリ金属の濃度を低減することを特徴とする。
本第態様では、水素分離層を前記アルカリ金属を含むメッキ液を用いて形成する場合には、水素分離層の形成後に、洗浄によってその元素の濃度を0.30atm%以下に低減するので、水素透過性能を向上させることができる。
(a)はNaが存在する場合の水素の透過状態を示す説明図、(b)はNaが存在しない場合の水素の透過状態を示す説明図である。 実施例1の水素分離体を軸方向に沿って破断して示す断面図である。 実施例1の水素分離体を軸方向に沿って破断し、その一部(図1のA部)を拡大して模式的に示す説明図である。 実施例1の水素分離体を軸方向に沿って破断し、その内部構造を更に拡大して模式的に示す説明図である。 実施例1の水素分離体を用いた水素分離装置を軸方向に沿って破断して示す断面図である。 実施例1の水素分離体の製造方法の一部を示す説明図である。 実施例1の水素分離体の製造方法の一部を示す説明図である。 実施例1の水素分離体の製造方法のうち、内部給電方式の電解メッキを示す説明図である。 Na濃度の測定方法を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
・水素分離体の構成(このうちセラミック部分の構成)としては、多孔質支持体の表面に、セラミック基体に該当する多孔質層を形成した構成を採用できる。
なお、多孔質層としては、多孔質支持体側の内側多孔質層と内側多孔質層の表面を覆うように形成された外側多孔質層(保護層)とからなる構成を採用できる。
・多孔質支持体、セラミック基体(多孔質層)の材料としては、例えばセラミックスが用いられる。このセラミックスとしては、イットリア安定化ジルコニア、安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、セリア、ドープドセリアのうち、少なくとも1種が挙げられる。
・水素分離金属としては、Pd、PdCu合金、PdAg合金、PdAu合金が挙げられる。詳しくは、Pd、Cu、Ag、Au、PdCu合金、PdAg合金、PdAu合金が挙げられる。なお、Cu、Ag、Auは、単独で用いられるものではなく、水素透過性を有するPdと合金化して用いられる合金用金属である。
・水素分離層は、セラミック基体(多孔質層)の細孔内に水素分離金属が充填された層(水素分離金属充填層)であるので、水素分離層の範囲には、水素分離金属以外にセラミック基体(多孔質層)のセラミックの材料が含まれている。
以下、本発明の実施例について説明する。
ここでは、原料ガスから水素を選択的に分離する水素分離体の実施例について説明する。
a)まず、本実施例の水素分離体の構成について説明する。
図2に示すように、本実施例の水素分離体1は、原料ガス(例えば天然ガスと水蒸気を触媒に接触させ生成した改質ガス)から、水素を選択的に分離する試験管形状の部材であり、先端側(同図上方)が閉塞されるとともに基端側(同図下方)が開放され、その軸中心に中心孔3を有している。
この水素分離体1は、基本的な構成として、その先端側に試験管形状の多孔質支持体5を備えるとともに、その基端側に筒状の緻密質支持体7を備えており、多孔質支持体5と緻密質支持体7とは同軸に配置されて一体のセラミック支持体9を構成している。
なお、水素分離体1の寸法は、例えば長さ300mm×内径6mm×外径10mmである。
このうち、多孔質支持体5は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなり、原料ガスを透過可能な通気性を有する多孔質セラミックス製の支持体である。
一方、緻密質支持体7は、YSZからなる緻密質セラミックス製の支持体、即ち、通気性が無い支持体である。
そして、後述するように、セラミック支持体9の外表面には、その大部分を(基端側を除いて)を覆うように、層状の表面構造11が形成されている。
この表面構造11としては、図3に要部(図2のA部)を拡大して示すように、多孔質支持体5の表面を覆う内側多孔質層13と、内側多孔質層13の表面を覆う外側多孔質層(以下保護層と称する)15と、内側多孔質層13及び保護層15に渡って(その一部分に)形成された水素分離層17とを備えている。なお、内側多孔質層13と保護層15とから多孔質層19が構成されている。以下、各構成について説明する。
前記内側多孔質層13は、多孔質支持体5の外周面全体と、緻密質支持体7の先端側(多孔質支持体5側)の外周面を覆うように構成されている。
この内側多孔質層13は、YSZからなり、原料ガスを透過可能な通気性を有する多孔質セラミックス製の被覆層である。
前記保護層15は、内側多孔質層13の外側の全表面を覆うように形成されている。また、保護層15の基端側は、緻密質支持体7の先端側の外周面を覆うように形成されている。
この保護層15は、YSZからなり、水素ガスを透過可能な通気性を有する多孔質セラミックス製の被覆層である。
この保護層15は、水素分離層17の外側(図3上方)にも広がっているので、外部から水素分離層17を損なうような汚染物質(例えばFe)が、水素分離層17に付着することを防止している。
前記水素分離層17は、内側多孔質層13においてその保護層15側の内側層17aと、保護層15においてその内側多孔質層13側の外側層17bとから構成されており、内側多孔質層13の全表面を覆うように、内側多孔質層13の外側表面に沿って全体に形成されている。
この水素分離層17は、図4に(図3を更に)拡大して模式的に示す様に、YSZからなる内側多孔質層13や保護層15の細孔21、23内に、水素透過性金属(本実施例ではPdAg合金)である水素分離金属が充填されたものである。この水素分離金属は、原料ガスから水素のみを選択して透過させることによって、原料ガスから水素を分離する金属である。
つまり、水素分離層17は、セラミックからなる内側多孔質層13及び保護層15(即ち多孔質層19)のうち、水素分離金属が充填されたセラミック部分(図4の左右方向の幅の範囲)と、その細孔21、23内に充填された水素分離金属とから構成されている。
なお、以下では、水素分離層17の細孔21、23内に充填された水素分離金属からなる部分を水素分離金属部27と称する。
特に、本実施例では、前記図3に示す様に、水素分離層17の外周側(後述する原料ガスを導入する側:図3の上方)において、水素分離層17の外周側の端面(界面)29から厚み5μmの範囲(以下界面隣接層30と称する)内のアルカリ元素(ここではNa)の平均の濃度は0.20atm%であり、0.30atm%以下となっている。
b)次に、前記水素分離体1を備えた水素分離装置について、簡単に説明する。
この水素分離装置としては、例えば特開2012−7727号公報に記載の装置を採用できる。
具体的には、図5に示す様に、水素分離装置31は、水素分離体1と、水素分離体1の開放端側が挿入された筒状の取付金具33と、水素分離体1の外周面と取付金具33の内周面との間に配置された円筒形の(ガスシールを行う)シール層35と、水素分離体1に外嵌されてシール層35の先端側を押圧する円筒形の押圧金具37と、押圧金具37に外嵌されて取付金具33に螺合する筒状の固定金具39とを備えている。なお、図5では、表面構造11は省略してある。
前記取付金具33は、先端側筒状部41と鍔部43等を備えており、軸中心には、ガスの流路となる貫通孔(中空部)45が形成され、中空部45には、水素分離体1の基端側の端部が収容されている。前記固定金具39は、押圧板47と筒状部49とを備えている。前記押圧金具37は、取付金具33と水素分離体1との間の空間50内にて、(膨張黒鉛からなる)シール層35と隣接して配置されている。
ここでは、取付金具33、押圧金具37、固定金具39によって、金属継手51が構成されており、水素分離体1(従って水素分離装置31)は、この金属継手51によって、ステンレス製の金属容器53に固定されて収容されている。なお、金属容器53に収容された水素分離装置31によって、水素分離モジュール55が構成されている。
そして、上述した水素分離モジュール55では、例えば水素分離体1の外側(従って金属容器53内)に原料ガスが供給されると、水素分離体1にて原料ガスから水素に分離され、その水素は、水素分離体1の中心孔3を介して外部に取り出される。
なお、原料ガスとしては、メタンなどの炭化水素ガスと水蒸気との混合ガスや、少なくとも水素ガスを含む混合ガスが挙げられる。
c)次に、本実施例の水素分離体1の製造方法について説明する。
<第1粉末充填工程>
本実施例では、図6(a)に示す様な型枠61を用いてプレス成形を行う。この型枠61の筒状のゴム型63の軸中心には、水素分離体1の外形に対応した円柱形の内部孔65が形成されており、この内部孔65の軸中心には、水素分離体1の中心孔3の形状に対応した円柱状(試験管形状)の中心ピン67が立設されている。これにより、略円筒形状の型枠孔69が形成されている。
そして、このゴム型63の型枠孔69内に、緻密質支持体7を形成する材料として、YSZ造粒粉を充填し、円筒状の緻密質形成部71を作製した。
<第2粉末充填工程>
次に、図6(b)に示す様に、同様に、ゴム型63の型枠孔69内において、緻密質形成部71の上に、多孔質支持体5を形成する材料として、造孔材として有機ビーズを48体積%添加したYSZ造粒粉を充填した。
<加圧工程>
次に、図6(c)に示す様に、ゴム型63の上部に、上部金型73を固定した。
そして、この状態でゴム型63の外周側より、100MPaにて加圧してプレス成形することにより、図6(d)に示す様な、水素分離体1の形状に対応した有底円筒形状成形体79を作製した。
<焼成工程>
次に、ゴム型63より取り出した有底円筒形状成形体79を脱脂し、その後、大気中で1400℃にて1時間焼成することにより、図7(a)に示す様に、φ10mm×長さ300mmのセラミック焼成体85を得た。なお、このセラミック焼成体85は、緻密質支持体7と多孔質支持体5とからなる
<内側多孔質層形成工程>
次に、YSZ粉末を有機溶媒中に分散させたスラリーを作製し、ディップコーティング法によって、セラミック焼成体85の表面(即ち多孔質支持体5の表面)にスラリーを付着させた。
そして、このスラリーを付着させたセラミック焼成体85を、大気中で1150℃にて2時間焼き付けて、図7(b)に(図7(a)のB部を拡大して)示す様に、セラミック焼成体85の表面(即ち多孔質支持体5の表面)を覆う内側多孔質層13を形成した。
<Pd金属核形成工程>
次に、内側多孔質層13を備えた多孔質支持体5(その外側)を、Pdのアルカリキャタリスト溶液に浸漬させ、Pd錯体を内側多孔質層13の表面側(図7(b)の右側)に吸着させた。
その後、ジメチルアミノボラン水溶液に浸漬させることにより、Pd錯体を還元しPd金属核とした。つまり、内側多孔質層13の細孔21の内周面に、Pd金属核を付着させた。
<保護層形成工程>
次に、Pd金属核を付着させた内側多孔質層13に対して、再度上述したYSZスラリーをディップコーティングした後に、大気中で1200℃にて2時間焼き付けることにより、図7(c)に示す様に、保護層15を形成した。
これによって、多孔質支持体5の表面に内側多孔質層13及び保護層15が形成された水素分離中間体87が得られた。
<無電解メッキ工程>
次に、図7(d)に示す様に、無電解メッキ法(化学メッキ法)により、内側多孔質層13の細孔21内に付着させたPd金属核を成長させ、細孔21の一部を埋めるようにして、内側多孔質層13の表面側(保護層15側:図7(d)の右側)に、3.0μmの厚みでPdからなる無電解メッキ層91を形成した。
この無電解メッキ法では、多孔質支持体5の内側多孔質層13や保護層15で覆われた部分を、浴温60℃の無電解Pdメッキ液(パラジウム化合物:濃度2g/L)中にセットし、20分にわたり無電解メッキを行って、無電解メッキ層91を形成した。
なお、この無電解Pdメッキ液の詳しい成分は、Pd塩、エチレンジアミン、ギ酸ナトリウムであり、その中には、アルカリ成分としてナトリウム(Na)が含まれている。
<電解メッキ工程>
次に、電解メッキによって、無電解メッキ層91の表面側(保護層15側)に、図7(e)に示す様に、電解メッキによって電解メッキ層93を形成した。
詳しくは、図8に示す様に、水素分離中間体87の中心孔3に、濃度6.0mol/LのNaCl水溶液(NaCl飽和水溶液)を電解液として導入した。
また、NaCl電解液中に給電電極95を挿し込んだ後、水素分離中間体87を、予め対極97の配置された浴温30℃の電解Agメッキ液(硝酸銀溶液:濃度37g/L)中にセットした。なお、電解Agメッキ液は、保護層15の外側(図8の右側)に供給される。
そして、電流値(電流密度)0.3A/dmにて定電流電解メッキを2.0分間実施し、無電解メッキ層91上にAgメッキ膜である厚さ1.0μmの電解メッキ層93を形成し、(後に水素分離金属部27となる)金属部形成体101を作製した。
なお、電解メッキ層93は、保護層15の内側の一部にも形成されるが、製品としては、メッキ金属が充填されていない外側の多孔質部分が実質的に保護層15として機能する。
また、この電解メッキでは、多孔質支持体5の内側の中心孔3(従って多孔質支持体5の細孔103)に供給された電解液を介して、無電解メッキ層91に電子が供給され、保護層15の外側(従って保護層15の細孔23)に供給された電解Agメッキ液を介して、無電解メッキ層91の外側にメッキ金属(ここではAg)が供給される。
<洗浄工程>
そして、電解メッキ後に、この電解メッキされた水素分離中間体87を、十分に撹拌された60℃の純水の中に24時間沈めて洗浄した。これによって、水素分離中間体87の細孔内の不要な無機元素であるアルカリ金属(ここではNa)が十分に除去される。つまり、後に水素分離層17となる部分の厚み方向の両側からアルカリ金属が除去される。これによって、界面隣接層30における平均の濃度が0.20atm%となり、0.30atm%以下となる。
なお、どの程度洗浄すれば0.30atm%以下となるかは、予め実験等によって求めることができる。
<合金化工程>
洗浄後に、金属部形成体101に対して、窒素中750℃で熱処理を行い、PdとAgとを合金化し、厚み4μmのPdAg合金からなる水素分離金属部27とした。これにより、厚み4μmの水素分離層17が形成された。
これらの工程によって、水素分離体1が完成した。また、この水素分離体1に金属継手51を取り付けて、水素分離装置31を完成した。
e)次に、本実施例の効果について説明する。
本実施例では、多孔質層19のうち、水素分離層17に隣接する原料ガスが供給される側の厚み5μm以内の範囲(界面隣接層30)では、多孔質層19の構成材料及び水素分離金属以外の無機の元素(ここではアルカリ金属であるNa)の濃度の平均が0.30atm%以下である。
従って、この水素分離体1(詳しくは水素分離層17)によって、都市ガス等の原料ガスから水素を分離する場合には、残留するNaが少ないので、水素が水素分離層17を透過することが阻害されにくく、よって、水素透過性能が向上するという効果がある。
また、本実施例では、多孔質層19の界面隣接層30に残留したNaを、洗浄によって除去するので、好適にNa濃度を低減できる。
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
なお、ここでは、各部の番号は前記実施例1と同じ番号を用いて説明する。
本実施例2の水素分離体1は、基本的には、前記実施例1と同様な構造であるが、水素分離層17の原料供給側(即ち外周側)において、水素分離層17の界面から5μmの範囲(界面隣接層30)における平均のNa濃度が0.27atm%であり、0.30atm%以下である。
この本実施例2の水素分離体を製造する方法も、基本的には前記実施例1と同様であるが、洗浄方法が異なる。
具体的には、本実施例2では、電解メッキ後に、水素分離中間体87を、十分に撹拌された60℃の純水に中に5時間沈めて洗浄した。
本実施例2では、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、洗浄時間が短いため、工数を削減することが可能である。
[実験例]
次に、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
実験に使用する水素分離体として、前記実施例1、2と同様な水素分離体の試料(実施例試料1、実施例試料2)と比較例の水素分離体の試料とを作製し、下記のNa濃度の測定と水素透過性能の実験を行った。
なお、比較例の水素分離体の試料(比較例試料1、比較例試料2、比較例試料3)は、基本的には前記実施例1と同様な方法で作成したが、洗浄方法が異なっている。具体的には、比較例試料1は20℃の純水で15分間洗浄し、比較例試料2は60℃の純水で2分間洗浄し、比較例試料3は洗浄をしなかった。
(実験方法)
・まず、Na濃度の求め方について説明する。
図9に模式的に示すように、水素分離層(HS)を含む多孔質層(TS)を切断(水素分離層と垂直に切断)し、その断面をEPMA分析し、対象となる元素の量(ここではNa量(atm%))を求める。なお、元素分析時のスポット(SP)径は1μm以下(例えば1μm)とする。
そして、水素分離層と原料ガスの供給側(同図上方)との界面から、原料ガスの供給側に向かって5μm以内の領域(界面隣接層RR)にて、10点定量分析を行う。詳しくは、10点のスポットの中心は、水素分離層の厚み方向(同図上下方向)の所定の位置(例えば中央)を通って厚み方向と垂直の方向に沿ったライン上にあり、その間隔は等間隔例えば5μm間隔である。
なお、スポット径は、界面隣接層をはみ出さないように設定する。例えばスポット径を、スポットの中間から界面までの距離より小さくなるように設定する。
このようにして得られた10点の元素分析を用い、その平均値を無機元素(Na)の平均atm%(Na濃度)とする。
・次に、水素分離体の厚み方向における界面の設定方法について説明する。
上述した水素分離層を含む多孔質層の断面をEPMA分析し、その元素マッピングした画像に対して、水素分離層に対して平行に所定幅の帯状の直線を引く。
直線に含まれるセラミック支持体を構成するセラミック材料、水素分離金属などのうち、セラミック材料を除いた成分中で水素分離金属が容積比で50%以上で且つ連続的に厚み方向に300nm以上形成されている領域を水素分離層の領域とする。
なお、元素分析は、サンプルに対して5000倍の拡大倍率で行い、スポット径は1μm以下とし、更にマッピングの際の測定点数は、画像内で均等に10000点以上で分析する、直線の幅は、水素金属層の厚みより1/10以下で且つ10nm〜1μmの範囲とする。直線は、画像の端から端まで引く。
このようにして、水素分離層を構成する直線の帯を認識できるので、水素分離層の厚み方向の端部である界面を把握することができる。よって、界面から5μmの範囲も把握することができる。
(実験内容)
・まず、実施例1と同様な水素分離モジュールを用い、550℃にて、水素分離体の外周側(一次側)に0.1MPaGの純水素を供給し、水素ガスの透過を行った。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は23.2cc/min/cmであり、また、長時間(例えば100時間)の試験を行っても、水素透過量の低下は無く、耐久性に優れていた。
そして、この評価後に、水素分離体を軸方向に沿って切断し、その断面をEPMA分析したところ、一次側の平均のNa濃度は、0.20atm%であった。
つまり、Na濃度が0.20atm%のように0.30atm%以下と少ないと、水素透過性能が高く、好ましいことが分かる。
・また、実施例試料2の水素分離体を用いて、上記と同様な条件で、水素ガスの透過を行った。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は24.7cc/min/cmであり、また、長時間(例えば100時間)の試験を行っても、水素透過量の低下は無く、耐久性に優れていた。
この評価後に、水素分離体を軸方向に沿って切断し、その断面をEPMA分析したところ、一次側のNa濃度は、0.27atm%であった。
つまり、Na濃度が0.27atm%のように0.30atm%以下と少ないと、水素透過性能が高く、好ましいことが分かる。
・更に、比較例試料1の水素分離体の試料を用いて、上記と同様な条件で、水素ガスの透過を行った。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は18.7cc/min/cmであった。
この評価後に、水素分離体を軸方向に沿って切断し、その断面をEPMA分析したところ、一次側のNa濃度は、0.50atm%であった。
つまり、Na濃度が0.50atm%のように多いと、水素透過性能が低いので、好ましくないことが分かる。
また、比較例試料2の水素分離体の試料を用いて、上記と同様な条件で、水素ガスの透過を行った。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は19.5cc/min/cmであった。
この評価後に、水素分離体を軸方向に沿って切断し、その断面をEPMA分析したところ、一次側のNa濃度は、0.39atm%であった。
つまり、Na濃度が0.39atm%のように多いと、水素透過性能が低いので、好ましくないことが分かる。
また、比較例試料3の水素分離体の試料を用いて、上記と同様な条件で、水素ガスの透過を行った。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は7.6cc/min/cmであった。
この評価後に、水素分離体を軸方向に沿って切断し、その断面をEPMA分析したところ、一次側のNa濃度は、0.85atm%であった。
つまり、Na濃度が0.85atm%のように多いと、水素透過性能が低いので、好ましくないことが分かる。
尚、本発明は前記実施形態や実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば、水素分離体の中心孔に原料ガスを供給する場合は、水素分離体にて原料ガスから水素に分離され、その水素は、水素分離体の外側(従って金属容器内)に排出される。この場合には、水素分離層の中心孔側に、上述した無機の元素(例えばNa)の平均の濃度が0.30atm%以下の界面隣接層(厚み5μm)が設定される。
(2)また、例えば、上述した内部給電方式の電解メッキ以外に、通常の電解メッキを採用できる。
(3)更に、内部給電方式の場合には、セラミック支持体の外側に電解液を供給するとともに、内側に電解メッキ液を供給し、内側(中心孔側)よりメッキ金属を析出させてもよい。
(4)また、前記各実施例の水素分離体中(例えば多孔質支持体内など)に、天然ガス等の原料ガスを改質(例えば水蒸気改質)して、水素リッチの改質ガスとする(Ni等の)改質触媒を加えてもよい。
1…水素分離体
5…多孔質支持体
7…緻密質支持体
13…内側多孔質層
15…保護層(外側多孔質層)
17…水素分離層
19…多孔質層
29…界面
30…界面隣接層

Claims (4)

  1. 多孔質のセラミック基体と、
    該セラミック基体の内部に設けられ、水素を含む気体のうち水素のみを選択して透過させる水素分離金属が充填された水素分離層と、
    を備えた水素分離体において、
    前記セラミック基体のうち、前記水素分離層に隣接する前記水素を含む気体が供給される側の厚み5μm以内の範囲では、前記セラミック基体の構成材料及び前記水素分離金属以外の無機の元素であるアルカリ金属の濃度の平均が0.30atm%以下であることを特徴とする水素分離体。
  2. 前記アルカリ金属は、Naであることを特徴とする請求項に記載の水素分離体。
  3. 前記セラミック基体は、前記水素を含む気体の透過が可能な多孔質支持体の表面に形成された内側多孔質層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素分離体。
  4. 前記請求項1〜のいずれか1項に記載の水素分離体の製造方法において、
    前記水素分離層を前記アルカリ金属を含むメッキ液を用いて形成する場合に、前記水素分離層の形成後に、洗浄によって前記アルカリ金属の濃度を低減することを特徴とする水素分離体の製造方法。
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