JP6199657B2 - 水素分離体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
なお、アルカリ金属としては、Na、K等が挙げられる。
(2)本発明は、第2態様として、前記アルカリ金属は、Naであることを特徴とする。
(3)本発明は、第3態様として、前記セラミック基体は、前記水素を含む気体の透過が可能な多孔質支持体の表面に形成された多孔質層であることを特徴とする。
(4)本発明は、第4態様として、前記第1〜第3態様のいずれかに記載の水素分離体の製造方法において、前記水素分離層を前記アルカリ金属を含むメッキ液を用いて形成する場合に、前記水素分離層の形成後に、洗浄によって前記アルカリ金属の濃度を低減することを特徴とする。
・水素分離体の構成(このうちセラミック部分の構成)としては、多孔質支持体の表面に、セラミック基体に該当する多孔質層を形成した構成を採用できる。
・多孔質支持体、セラミック基体(多孔質層)の材料としては、例えばセラミックスが用いられる。このセラミックスとしては、イットリア安定化ジルコニア、安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、セリア、ドープドセリアのうち、少なくとも1種が挙げられる。
a)まず、本実施例の水素分離体の構成について説明する。
このうち、多孔質支持体5は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなり、原料ガスを透過可能な通気性を有する多孔質セラミックス製の支持体である。
そして、後述するように、セラミック支持体9の外表面には、その大部分を(基端側を除いて)を覆うように、層状の表面構造11が形成されている。
この内側多孔質層13は、YSZからなり、原料ガスを透過可能な通気性を有する多孔質セラミックス製の被覆層である。
この保護層15は、水素分離層17の外側(図3上方)にも広がっているので、外部から水素分離層17を損なうような汚染物質(例えばFe)が、水素分離層17に付着することを防止している。
特に、本実施例では、前記図3に示す様に、水素分離層17の外周側(後述する原料ガスを導入する側:図3の上方)において、水素分離層17の外周側の端面(界面)29から厚み5μmの範囲(以下界面隣接層30と称する)内のアルカリ元素(ここではNa)の平均の濃度は0.20atm%であり、0.30atm%以下となっている。
この水素分離装置としては、例えば特開2012−7727号公報に記載の装置を採用できる。
c)次に、本実施例の水素分離体1の製造方法について説明する。
本実施例では、図6(a)に示す様な型枠61を用いてプレス成形を行う。この型枠61の筒状のゴム型63の軸中心には、水素分離体1の外形に対応した円柱形の内部孔65が形成されており、この内部孔65の軸中心には、水素分離体1の中心孔3の形状に対応した円柱状(試験管形状)の中心ピン67が立設されている。これにより、略円筒形状の型枠孔69が形成されている。
<第2粉末充填工程>
次に、図6(b)に示す様に、同様に、ゴム型63の型枠孔69内において、緻密質形成部71の上に、多孔質支持体5を形成する材料として、造孔材として有機ビーズを48体積%添加したYSZ造粒粉を充填した。
次に、図6(c)に示す様に、ゴム型63の上部に、上部金型73を固定した。
そして、この状態でゴム型63の外周側より、100MPaにて加圧してプレス成形することにより、図6(d)に示す様な、水素分離体1の形状に対応した有底円筒形状成形体79を作製した。
次に、ゴム型63より取り出した有底円筒形状成形体79を脱脂し、その後、大気中で1400℃にて1時間焼成することにより、図7(a)に示す様に、φ10mm×長さ300mmのセラミック焼成体85を得た。なお、このセラミック焼成体85は、緻密質支持体7と多孔質支持体5とからなる
<内側多孔質層形成工程>
次に、YSZ粉末を有機溶媒中に分散させたスラリーを作製し、ディップコーティング法によって、セラミック焼成体85の表面(即ち多孔質支持体5の表面)にスラリーを付着させた。
次に、内側多孔質層13を備えた多孔質支持体5(その外側)を、Pdのアルカリキャタリスト溶液に浸漬させ、Pd錯体を内側多孔質層13の表面側(図7(b)の右側)に吸着させた。
次に、Pd金属核を付着させた内側多孔質層13に対して、再度上述したYSZスラリーをディップコーティングした後に、大気中で1200℃にて2時間焼き付けることにより、図7(c)に示す様に、保護層15を形成した。
<無電解メッキ工程>
次に、図7(d)に示す様に、無電解メッキ法(化学メッキ法)により、内側多孔質層13の細孔21内に付着させたPd金属核を成長させ、細孔21の一部を埋めるようにして、内側多孔質層13の表面側(保護層15側:図7(d)の右側)に、3.0μmの厚みでPdからなる無電解メッキ層91を形成した。
<電解メッキ工程>
次に、電解メッキによって、無電解メッキ層91の表面側(保護層15側)に、図7(e)に示す様に、電解メッキによって電解メッキ層93を形成した。
また、NaCl電解液中に給電電極95を挿し込んだ後、水素分離中間体87を、予め対極97の配置された浴温30℃の電解Agメッキ液(硝酸銀溶液:濃度37g/L)中にセットした。なお、電解Agメッキ液は、保護層15の外側(図8の右側)に供給される。
そして、電解メッキ後に、この電解メッキされた水素分離中間体87を、十分に撹拌された60℃の純水の中に24時間沈めて洗浄した。これによって、水素分離中間体87の細孔内の不要な無機元素であるアルカリ金属(ここではNa)が十分に除去される。つまり、後に水素分離層17となる部分の厚み方向の両側からアルカリ金属が除去される。これによって、界面隣接層30における平均の濃度が0.20atm%となり、0.30atm%以下となる。
<合金化工程>
洗浄後に、金属部形成体101に対して、窒素中750℃で熱処理を行い、PdとAgとを合金化し、厚み4μmのPdAg合金からなる水素分離金属部27とした。これにより、厚み4μmの水素分離層17が形成された。
e)次に、本実施例の効果について説明する。
なお、ここでは、各部の番号は前記実施例1と同じ番号を用いて説明する。
本実施例2の水素分離体1は、基本的には、前記実施例1と同様な構造であるが、水素分離層17の原料供給側(即ち外周側)において、水素分離層17の界面から5μmの範囲(界面隣接層30)における平均のNa濃度が0.27atm%であり、0.30atm%以下である。
具体的には、本実施例2では、電解メッキ後に、水素分離中間体87を、十分に撹拌された60℃の純水に中に5時間沈めて洗浄した。
[実験例]
次に、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
・まず、Na濃度の求め方について説明する。
図9に模式的に示すように、水素分離層(HS)を含む多孔質層(TS)を切断(水素分離層と垂直に切断)し、その断面をEPMA分析し、対象となる元素の量(ここではNa量(atm%))を求める。なお、元素分析時のスポット(SP)径は1μm以下(例えば1μm)とする。
このようにして得られた10点の元素分析を用い、その平均値を無機元素(Na)の平均atm%(Na濃度)とする。
上述した水素分離層を含む多孔質層の断面をEPMA分析し、その元素マッピングした画像に対して、水素分離層に対して平行に所定幅の帯状の直線を引く。
・まず、実施例1と同様な水素分離モジュールを用い、550℃にて、水素分離体の外周側(一次側)に0.1MPaGの純水素を供給し、水素ガスの透過を行った。
つまり、Na濃度が0.20atm%のように0.30atm%以下と少ないと、水素透過性能が高く、好ましいことが分かる。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は24.7cc/min/cm2であり、また、長時間(例えば100時間)の試験を行っても、水素透過量の低下は無く、耐久性に優れていた。
つまり、Na濃度が0.27atm%のように0.30atm%以下と少ないと、水素透過性能が高く、好ましいことが分かる。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は18.7cc/min/cm2であった。
つまり、Na濃度が0.50atm%のように多いと、水素透過性能が低いので、好ましくないことが分かる。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は19.5cc/min/cm2であった。
つまり、Na濃度が0.39atm%のように多いと、水素透過性能が低いので、好ましくないことが分かる。
その結果、外周側から中心側への水素透過量は7.6cc/min/cm2であった。
つまり、Na濃度が0.85atm%のように多いと、水素透過性能が低いので、好ましくないことが分かる。
(1)例えば、水素分離体の中心孔に原料ガスを供給する場合は、水素分離体にて原料ガスから水素に分離され、その水素は、水素分離体の外側(従って金属容器内)に排出される。この場合には、水素分離層の中心孔側に、上述した無機の元素(例えばNa)の平均の濃度が0.30atm%以下の界面隣接層(厚み5μm)が設定される。
(3)更に、内部給電方式の場合には、セラミック支持体の外側に電解液を供給するとともに、内側に電解メッキ液を供給し、内側(中心孔側)よりメッキ金属を析出させてもよい。
5…多孔質支持体
7…緻密質支持体
13…内側多孔質層
15…保護層(外側多孔質層)
17…水素分離層
19…多孔質層
29…界面
30…界面隣接層
Claims (4)
- 多孔質のセラミック基体と、
該セラミック基体の内部に設けられ、水素を含む気体のうち水素のみを選択して透過させる水素分離金属が充填された水素分離層と、
を備えた水素分離体において、
前記セラミック基体のうち、前記水素分離層に隣接する前記水素を含む気体が供給される側の厚み5μm以内の範囲では、前記セラミック基体の構成材料及び前記水素分離金属以外の無機の元素であるアルカリ金属の濃度の平均が0.30atm%以下であることを特徴とする水素分離体。 - 前記アルカリ金属は、Naであることを特徴とする請求項1に記載の水素分離体。
- 前記セラミック基体は、前記水素を含む気体の透過が可能な多孔質支持体の表面に形成された内側多孔質層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素分離体。
- 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素分離体の製造方法において、
前記水素分離層を前記アルカリ金属を含むメッキ液を用いて形成する場合に、前記水素分離層の形成後に、洗浄によって前記アルカリ金属の濃度を低減することを特徴とする水素分離体の製造方法。
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