JP5891512B2 - 多孔性フィルター、その製造方法、多孔性フィルターを支持体とする水素分離膜、欠陥の封止方法、及び水素分離方法 - Google Patents

多孔性フィルター、その製造方法、多孔性フィルターを支持体とする水素分離膜、欠陥の封止方法、及び水素分離方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔性フィルター、その製造方法、該多孔性フィルターを支持体とする水素分離膜、欠陥の封止方法、及び水素分離方法に関するものである。
多孔性セラミックス膜は気体又は液体の濾過に用いられる他、その上にパラジウム又はパラジウム合金の薄膜を形成したものは水素分離膜として用いられている。
多孔性セラミックス膜表面の細孔径はその用途により異なるが、不純物除去を目的とする場合、1μm以下の微細孔であることが好ましく、0.5μm以下の微細孔であることがより好ましい。多孔性セラミックス膜をパラジウム又はパラジウム合金の薄膜の支持体とする場合にも細孔径は1μm以下の微細孔であることが好ましく、0.5μm以下の微細孔であることがより好ましい。何れの用途でも多孔性セラミックス膜を通過する気体又は液体の透過速度が高いことが必要とされるが、このような微細孔は高い透過抵抗を有しており、そのため微細孔を有する多孔性セラミックス膜の膜厚を薄くすることが必要となる。
これを実現する手法として、粗い多孔性膜表面に微細孔を有する多孔性セラミック膜をコーティングすることが、通常行われる。しかし、微細孔を有する多孔性セラミック膜の部分が薄いほど膜のひび割れや膜の部分的な欠損といった表面欠陥が増え、濾過材としての分画性能を損なう。また、パラジウム又はパラジウム合金の薄膜の支持体とする場合でも支持体の表面欠陥は、その上に形成されるパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜の貫通欠陥(ピンホール)形成の原因となるので好ましくない。
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、表面欠陥のない多孔性フィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。また、当該多孔性フィルターを支持体として用いることにより、水素分離膜として有用性が高いパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜を欠陥無く多孔性セラミックス支持体上に形成し、高価なパラジウムの使用量を削減すると同時に、高い水素透過速度と高い水素選択性とを両立させる水素分離膜を提供すると共に、当該水素分離膜を使用して水素を効率よく分離する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、多孔性セラミック膜の他方面側にある金属イオンを含有するめっき液を浸透圧により多孔性セラミックス膜の一方面側に移動させ、多孔性セラミックス膜の一方面側で金属を析出させることにより微細孔を閉塞することなく表面欠陥を金属で閉塞できること、また、このようにして形成したセラミックスフィルターを支持体として、その表面にパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜を形成すると良好な水素分離膜となること、パラジウム合金薄膜形成過程でパラジウム合金薄膜前駆体の他方面側にある金属イオンを含有するめっき液を浸透圧によりパラジウム合金薄膜前駆体の一方面側に移動させ、パラジウム合金薄膜前駆体の一方面側で金属を析出させることにより欠陥を閉塞できることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の前記目的は、細孔径が0.02〜1.0μmである微細孔を有する多孔性セラミックス膜の一方面に開口した前記微細孔よりも大きな欠陥のみが金属により閉塞されており、前記多孔性セラミックス膜における微細孔が前記金属により閉塞されていないことを特徴とする多孔性フィルターにより達成される。
この多孔性フィルターを水素分離膜の支持体として用いる場合、前記欠陥を閉塞している金属がパラジウム及び/又は銅であることが特に好ましい。
また、本発明の前記目的は、多孔性セラミック膜の一方面側にパラジウムからなる無電解めっき用触媒微粒子付与を行い、次に、めっき用触媒微粒子の還元を行った後、多孔性セラミックス膜の一方面側溶質を溶解した溶媒を配置すると共に、前記多孔性セラミックス膜の他方面側に金属イオンを含有するめっき液を配置し、前記めっき液を前記多孔性セラミックス膜の一方面側に移動させ、前記多孔性セラミックス膜の一方面側で前記金属を析出させることを特徴とする多孔性フィルターの製造方法であって、前記溶質は、糖類又は塩類である多孔性フィルターの製造方法により達成される。
また、本発明の前記目的は、上記多孔性フィルターの一方面にパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜が形成された水素分離膜により達成される。
また、本発明の前記目的は、パラジウム合金薄膜の前駆体となる金属膜の一方面側に溶質及び還元剤を溶解した溶媒を配置すると共に、前記金属膜の他方面側にパラジウム合金薄膜を構成する金属のイオンを含有する還元剤を含まないめっき液を配置し、前記めっき液を前記金属膜の一方面側に移動させ、前記金属膜の一方面側で前記金属イオンを還元・析出させることを特徴とするパラジウム合金薄膜の欠陥の封止方法であって、前記溶質は、糖類又は塩類である欠陥の封止方法により達成される。

また、本発明の前記目的は、上記水素分離膜を介して、一方側に水素含有混合気体を位置させ、他方側の水素分圧を水素含有混合気体側の水素分圧以下とすることを特徴とする水素含有混合気体からの水素の分離方法により達成される。
本発明によれば、比較的簡単な方法によって、セラミックス多孔体の表面欠陥を金属で閉塞した多孔性フィルターを得ることが出来る。また、この多孔性フィルターを基材とすることにより、平均膜厚が薄い場合であっても欠陥のないパラジウム又はパラジウム合金薄膜を形成できる。この方法は、大規模な製造設備を必要としない方法であり、工程の厳密な管理や歩留まりの悪さから解放され、大量生産が容易となる点等で、非常に有用性が高い方法である。
得られる多孔性フィルターは欠陥に起因する分画性能の低下を回避することができると共に、水素分離膜は、欠陥のないパラジウム又はパラジウム合金薄膜を有することによって、水素以外の気体が透過することを極めて効果的に防止でき、優れた水素の選択的透過性を有するものであり、水素を含有する混合気体から水素を分離するための水素分離膜として極めて有効に利用できる。
(a)は、浸透圧めっきを行う前の多孔性フィルターにおける欠陥部のデジタルマイクロスコープ観察写真であり、(b)は、浸透圧めっき後の多孔性フィルターにおける欠陥部のデジタルマイクロスコープ観察写真である。 浸透圧めっきを行った後の多孔性フィルターにおける欠陥部の走査電子顕微鏡写真である。
まず最初に、本発明に係る多孔性フィルター及びその製造方法について説明する。本発明の多孔性フィルターは、セラミックス微粒子が焼結して多孔性セラミックス薄膜となったものであり、その表面に開口するひび割れや剥離による欠損等の欠陥部位が金属により閉塞されているところに特徴がある。多孔性セラミックス薄膜の材質としてはイットリウム安定化酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、ジルコニア−セリア、アルミナ、シリカ、酸化チタニウムなどが例示できる。多孔性セラミックスの細孔径はその用途により適宜選択すべきであるが、好ましくは0.02〜1.0μm、更に好ましくは0.05〜0.5μmである。このような多孔性セラミックス薄膜は、膜厚が好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下の薄膜であることが良好な気体又は液体の透過速度を保つために必要であり、そのため、通常、更に粗い多孔性基材により支持される。多孔性基材としてはイットリウム安定化酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、ジルコニア−セリア、アルミナ、シリカ、酸化チタニウム等のセラミックスの他に、焼結金属や金属メッシュ等の多孔性金属でも差し支えない。多孔性金属の材質としては、ステンレス、ハステロイ合金、インコネル合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金等を例示できる。例えば多孔性金属のような表面細孔径が大きい基材である場合、その表面細孔に充填される形態で多孔性セラミックス薄膜が形成されていても差し支えない。多孔性基材の厚みには特に制限はなく、その構造が安定に保持できれば良いが、通常、0.3〜2mmが例示できる。なお、多孔性フィルターの形状について特に限定はなく、例えば、板状、中空の管状、有底筒状等の形状を採用することができる。
多孔性セラミックス薄膜の多孔性基材への保持は公知の方法で行えば良い。例えば、セラミックス微粒子やゾル状やゲル状のセラミックス微粒子前駆体の分散スラリーを多孔性基材上へスプレー、スクリーン印刷、浸漬法等の方法でコーティングしても良いし、泳動電着やガスデポジションのような方法を用いても良い。
しかし、無欠陥の多孔性セラミックス薄膜の成膜は難しく、薄膜の膜厚が薄くなると共に、また、面積が大きくなると共にひび割れ、膜の部分的剥離といった欠陥が生成し、製品の品質を劣化させると共に歩留まりが落ちる結果となる。そこで、このような欠陥を解消する方法として無電解めっきを用いて欠陥上に選択的に金属を析出させ、膜の一方面に開口する欠陥を閉塞する。
多孔性セラミックス薄膜の表面欠陥を閉塞及び/又は被覆する金属は特に限定されず、その用途に応じ適宜選択すれば良いが、パラジウム、金、白金、ロジウム、ルテニウム、銀、ニッケル、コバルト、クロム、銅、鉄、スズやその混合物が例示できる。欠陥を閉塞する金属の厚さは欠陥の形状、大きさ等により必ずしも制限されないが、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmであれば良い。
金属の無電解めっきでは通常、被めっき物への無電解めっき用触媒微粒子付与、及び、めっき用触媒微粒子の還元が、金属イオン及び還元剤を含む無電解めっき液中での無電解めっきに先駆けて行われる。無電解めっき液中の被めっき物表面では付与した触媒微粒子によって金属イオンの還元反応が最初に生じ、触媒微粒子が核となって、めっきする金属の成長が生じる。ここでの無電解めっき用試薬類は公知のものを使用すれば良い。無電解めっき用触媒付与の方法としては、一般にスズイオン等の金属イオンを含んだ溶液に被めっき物を入れ、被めっき物表面にスズイオン等の金属イオンを吸着させ、その後、パラジウムイオンを含んだ触媒溶液に入れて表面に付着したスズイオン等の金属イオンをパラジウムイオンに交換し、その後、これを還元する方法や、スズイオンやパラジウムイオン等が共存する溶液に被めっき物を入れ、その後、これを還元する方法、及び、パラジウムイオンを直接、被めっき物に付着させる溶液(アルカリ触媒)に入れ、その後、これを還元する方法などがある。
多孔性セラミックス薄膜の一方面上の欠陥へ金属を析出させるためには、先ず、上記の無電解めっき用触媒微粒子付与を多孔性セラミックス薄膜の一方面に行い、次に、めっき用触媒微粒子の還元を行う。そして、引き続くめっき工程では多孔性セラミックス薄膜の他方面側(多孔性基材側)に無電解めっき液を置き、多孔性セラミックスの細孔を通じて無電解めっき液を多孔性セラミックス薄膜の一方面に供給する。無電解めっき液の多孔性セラミックス薄膜一方面への移動は、多孔性セラミックス薄膜の他方面側(多孔性基材側)の圧力を薄膜一方面側の圧力より高くすることでも行えるが、多孔性セラミック薄膜の一方面に溶質を溶解した溶媒を置き、浸透圧を発生させると簡便にしかも効率的に行える。溶媒としては使用する無電解めっき液と相溶性があり、無電解めっきに悪影響を与えないものであれば差し支えなく、水やメタノール、エタノール、プロパノールといったアルコール類やその混合物が例示できる。溶質としては溶媒への溶解度が高く、無電解めっきに悪影響を与えないものであれば差し支えなく、グルコース、スクロースといった糖類、塩化ナトリウム、塩化カリウムといった塩類が例示できる。溶液の濃度は無電解めっき液の欠陥への供給速度を考慮して決定すれば良いが、通常、0.5〜10mol/L程度とすれば良い。
ここで無電解めっき液に代えて還元剤を含まないめっき液を用い、多孔性セラミックス薄膜の一方面の溶質を溶解した溶媒に還元剤を溶解しても同様の効果を得ることができる。通常、無電解めっき液は劣化を防ぐため、金属イオンを含有する溶液と還元剤を含む溶液とに分離して保存し、使用前に混合してめっきに供する。そこで、還元剤を含まないめっき液として混合前の金属イオンを含有する溶液を用いても良い。還元剤としてはアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミノボラン、トリメチルアミノボラン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、タンニン酸、グリオキシル酸、ジボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、等を例示できるが、金属イオンを還元する能力のある薬剤であれば特に制限されない。
多孔性セラミックス薄膜の一方面に存在する欠陥部分の液体透過速度は無欠陥の部分の透過速度に比べて極めて大きいので選択的に無電解めっき液又は還元剤を含まないめっき液が欠陥部分に供給され、その結果として金属が選択的に欠陥上に析出し欠陥を閉塞する。その閉塞の様子は欠陥の状態によって異なり、例えばセラミックス薄膜の小部分が剥落しているような箇所であると無電解めっき液又は金属イオン溶液の流出量が多くなるので欠陥部分が金属で被覆される。また、比較的に欠陥が小さい場合は、無電解めっき液又は還元剤を含まないめっき液の流出量が小さくなるので欠陥内部で金属の析出が生じる結果となる。
次に、本発明にかかる水素分離膜及びその製造方法について説明する。本発明の水素分離膜は上記の金属で欠陥を閉塞した多孔性フィルターを支持体として、その上にパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜が形成されているものである。パラジウム合金薄膜としては、パラジウムと、銀、金、銅、ニッケル、白金、ロジウム及びルテニウムからなる群から選ばれる一種または二種以上の金属との合金が好ましい。この様なパラジウム合金中におけるパラジウムの割合は、40重量%以上であることが好ましい。パラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜の平均膜厚は0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましい。膜厚がこれより小さいと膜のピンホールが増加して水素分離膜としての水素選択性を低くし、膜厚がこれより大きいと水素透過速度が小さくなって実用性を失う。
この時、多孔性フィルターの欠陥を閉塞している金属はパラジウム、銀、金、銅、ニッケル、白金、ロジウム及びルテニウムからなる群から選ばれる一種または二種以上の金属であることが好ましく、パラジウム及び/又は銅であることがより好ましい。この欠陥を閉塞している金属はその上に形成されるパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜の一部となる。即ち、欠陥上の金属膜厚はパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜の平均膜厚と欠陥を閉塞している金属の厚さの和とほぼ一致する。
金属で欠陥を閉塞した多孔性フィルター上へのパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜の形成は、例えば無電解めっき法、化学蒸着法、マグネトロンスパッタリングといった公知の方法によれば良いが、無電解めっき法によるのが最も簡便である。
無電解めっき法では、通常、めっきに先駆けて、支持体に無電解めっき用触媒微粒子付与と還元を行う。しかし、支持体がパラジウムで欠陥を閉塞した多孔性フィルターである場合は、この工程を省略しても良い。欠陥を閉塞する金属にパラジウムより卑であるものが含まれる場合、即ち、銀、ニッケル、コバルト、クロム、銅、鉄、スズが含まれる場合、パラジウムイオンを含有する溶液に多孔性フィルターを浸漬してパラジウムより卑な金属をパラジウムによって置換めっきしても良い。また、この置換めっきの工程と無電解めっき用触媒微粒子付与と還元の工程を組み合わせても良い。次にパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜の前駆体である金属層の無電解めっきによる成膜を行う。この無電解めっき液は、公知のものを使用すれば良い。無電解めっき液は、多孔性セラミックス薄膜の一方面側、即ち金属の析出している表面側に置けば良い。パラジウム合金薄膜を形成する場合は、パラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜の前駆体である金属層の無電解めっきに引き続き、更にパラジウム合金薄膜を形成する金属の成膜を行い、その後、熱処理により合金化しても良い。
支持体として金属で欠陥が閉塞された多孔性フィルターを用いると、従来のセラミックス多孔体を支持体として用いた場合に比べて、支持体上に形成されたパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜のピンホール生成を抑制でき、その結果として従来に比べて薄膜化が可能となる。そして更に、以下の手法を用いるとパラジウム薄膜またはパラジウム合金薄膜のより一層の無欠陥化が可能となる。
即ち、支持体上へのパラジウム又はパラジウム合金のめっきの第1段階として無電解めっきによりパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜の前駆体である金属層を支持体上に形成する。そして、前駆体である金属層が支持体表面をほぼ覆った時点で、第2段階の金属膜の成膜として第1段階のめっき膜のめっき液に接触している側の圧力が他方の支持体側の圧力より大きくなるようにして、めっき液を残存する欠陥に侵入させる。その結果として、欠陥内部でパラジウムまたはパラジウム合金薄膜を形成する金属の析出が生じ効率的に欠陥を閉塞させることができる。また、第2段階でめっきする金属種が第1段階と異なっていても良い。第2段階で無電解めっきを行う場合、第1段階の無電解めっきの終了後に再び、無電解めっき用触媒微粒子付与工程を行っても差し支えない。この時、多孔性セラミックス支持体(多孔性フィルター)の触媒溶液に接触している片面の圧力が他方の片面の圧力より大きくなるようにして、触媒溶液を欠陥内に導入すれば良い。また、触媒の還元時にも、多孔性セラミックス支持体(多孔性フィルター)の還元剤を含んだ溶液に接触している片面の圧力が他方の片面の圧力より大きくなるようにして、溶液を欠陥内に導入すれば良い。
第2段階に引き続き、パラジウム合金薄膜を形成するために更にパラジウム合金薄膜を形成する金属の成膜を行っても良い。この成膜では第2段階と同様の手法を用いてめっきすることも出来るし、通常のめっき法や化学蒸着法、マグネトロンスパッタリングといった公知の成膜手法を用いることも出来る。この引き続く成膜は繰り返し行っても良い。
ここで、第2段階の成膜後も欠陥が残留することがあり、その上に更に金属の成膜を行っても、その欠陥を効率的に除去できないことがある。これは通常の支持体上へのパラジウム合金薄膜の成膜でも同様である。この場合、支持体上へのパラジウム合金薄膜の前駆体である金属膜の成膜後、膜の他方面側(支持体側)に還元剤を含まないめっき液を置き、欠陥の細孔を通じて還元剤を含まないめっき液を金属膜の一方面側に供給する。金属膜の一方面側への移動は、金属膜の他方面側の圧力を金属膜の一方面側の圧力より高くすることでも行えるが、金属膜の一方面側に溶質を溶解した溶媒を置き、浸透圧を発生させると簡便にしかも効率的に行える。この時、この溶媒中に還元剤を溶解しておく。すると欠陥部位の還元剤を含まないめっき液と還元剤が会合する部位で金属が析出し、欠陥の閉塞が効率的に行える。還元剤を含まないめっき液に代えて通常の無電解めっき液を使用することはできるが、無電解めっき液中に還元剤が含まれるため、成膜された金属膜の他方面側で金属の析出が生じる可能性があるので好ましくない。
溶媒としては使用する還元剤を含まないめっき液と相溶性があり、金属の析出に悪影響を与えないものであれば差し支えなく、水やメタノール、エタノール、プロパノールといったアルコール類やその混合物が例示できる。溶質としては溶媒への溶解度が高く、金属イオンの還元析出に悪影響を与えないものであれば差し支えなく、グルコース、スクロースといった糖類、塩化ナトリウム、塩化カリウムといった塩類が例示できる。溶液の濃度は金属イオンを含有する溶液の欠陥への供給速度を考慮して決定すれば良いが、通常、0.5〜10mol/L程度とすれば良い。還元剤を含まないめっき液に含有される金属イオンとしてはパラジウム合金膜を構成する金属、即ち、パラジウム、銀、金、銅、ニッケル、白金、ロジウム及びルテニウムの何れかのイオンであれば良い。還元剤としてはアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミノボラン、トリメチルアミノボラン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、タンニン酸、グリオキシル酸、ジボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、等を例示できるが、金属イオンを還元する能力のある薬剤であれば特に制限されない。
金属膜がパラジウムを含有している場合、その上層にパラジウム合金薄膜を構成する金属でパラジウム以外の金属薄膜を成膜するのが好ましい。パラジウムを含有する金属膜と還元剤を含む溶媒が接触すると発生した水素によりパラジウムを含有する金属膜の脆化が生じて金属膜を破壊する恐れがある。この金属膜の欠陥封止方法は金属で欠陥が閉塞された多孔性フィルターを支持体とするパラジウム合金膜の製造に適用できるのみならず、通常の支持体上へのパラジウム合金膜の製造にも適用できる。
この後、更にパラジウム合金薄膜を形成する金属の成膜を行っても良い。この成膜では前記第2段階と同様の手法を用いてめっきすることも出来るし、通常のめっき法や化学蒸着法、マグネトロンスパッタリングといった公知の成膜手法を用いることも出来る。この引き続く成膜は繰り返し行っても良い。
欠陥を金属で閉塞した多孔性フィルター上にパラジウム薄膜を成膜した場合、水素分離膜として、そのまま用いても差し支えないが、熱処理を行うと性能が安定化するので好ましい。また、パラジウム合金を形成する金属を層状に成膜した場合、完全な合金状態を得るために熱処理が必要であるし、パラジウム合金を直接成膜した場合でも何らかの熱処理が必要である。この熱処理は通常、還元ガス雰囲気下、或いは不活性ガス雰囲気下で加熱することによって行うことができる。還元ガスとしては、例えば水素、一酸化炭素、メタノール等の還元性を有する気体を用いることができる。不活性ガスとしてはヘリウム、窒素、アルゴン等が例示できる。あるいは、真空下で行ってもよい。処理温度は適宜設定することができるが、300〜800℃程度とすることが好ましく、400〜700℃とすることが特に好ましい。熱処理の上限温度は多孔性セラミックスや焼結金属(多孔性セラミックスの支持体とした場合)の耐熱性も考慮して決定される。処理中に水素分離膜表面に付着した有機物を取り除くため、酸素あるいは酸素を含んだ気体と接触させても差し支えない。
このように構成された水素分離膜は、常法に従って、水素を含有する混合気体から水素のみを分離するために使用できる。例えば、該水素分離膜によって隔離された任意の一方の側に水素含有混合気体を位置させて該水素分離膜の一方の面を水素含有気体と接触させ、水素分離膜の他方の面側の水素分圧を水素含有混合気体側の水素分圧以下とすればよい。これにより水素分離膜中を水素が選択的に透過して、水素含有混合気体側にある水素のみを反対側に移動させて分離することができる。この場合の水素分離膜の温度は、通常150℃〜700℃程度、好ましくは300℃〜600℃程度とすればよい。温度が低すぎるとパラジウム又はパラジウム合金薄膜の脆化が生じ易くなり、温度が高すぎると膜の劣化が生じ易くなるので好ましくない。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
内部と外部が隔離された有底筒状のステンレス製焼結金属フィルター(フィルター長5cm、フィルター直径1cm)の外表面にイットリウム安定化酸化ジルコニウム粒子をコーティングして製作した層厚30μm、平均細孔径0.1μmのセラミックス多孔体薄膜(多孔性セラミックス膜)が成膜された多孔性フィルターを、市販のアルカリ触媒中に50℃で浸漬して、外表面にパラジウムイオンを付着させ、引き続き、市販の還元液中で還元した。次に、市販の無電解パラジウムめっき液を有底筒状の焼結金属フィルターの内部に満たし、セラミックス多孔体薄膜の外表面をグルコース濃度4mol/Lの水溶液中に室温で2時間浸漬した。浸透圧によって、無電解パラジウムめっき液が、多孔性フィルターの外表面に形成されるセラミックス多孔体薄膜の欠陥部位に流出し、欠陥部にパラジウム金属の析出が生じた。このようにして得られた多孔性フィルターを乾燥後、デジタルマイクロスコープで観察した結果、図1に示すように、欠陥部位がパラジウムによって変色していることが確認された。なお、図1(a)は、浸透圧めっきを行う前のセラミックス多孔体薄膜における欠陥部のデジタルマイクロスコープ観察写真であり、図1(b)は、浸透圧めっき後のセラミックス多孔体薄膜における欠陥部のデジタルマイクロスコープ観察写真である。この欠陥部分はセラミックス多孔体薄膜を成膜する際に生じた不均一なセラミックス多孔体の部分であり、部分的に亀裂が存在していると考えられる。また、走査電子顕微鏡観察からパラジウムによる0.3μm以下の細孔の閉塞がないことが確認された。
実施例2
実施例1の無電解パラジウムめっき液に代えて市販の無電解銀めっき液を用いた他は実施例1と同様に行い、欠陥部に銀が析出した多孔性フィルターを得た。乾燥後、デジタルマイクロスコープで観察した結果、欠陥部位が銀によって変色していることが確認された。また、走査電子顕微鏡観察から銀による0.3μm以下の細孔の閉塞がないことが確認された。なお、図2は、浸透圧めっきを行った後のセラミックス多孔体薄膜における欠陥部の走査電子顕微鏡写真であり、欠陥中央部が銀で被覆されていることがEDS分析によって明らかとなった。この欠陥部分はセラミックス多孔体の一部が剥落して形成されたものと考えられる。
実施例3
実施例1と同様の操作でセラミックス多孔体薄膜(多孔性セラミックス膜)の欠陥部位にパラジウムを析出させ、パラジウムで欠陥を閉塞及び/又は被覆した多孔性フィルターを製作した。この多孔性フィルターを水洗後、市販の無電解パラジウムめっき液中に多孔性フィルターの外表面を50℃で浸漬し、多孔性フィルター外表面にパラジウムめっきした。このパラジウム薄膜の平均膜厚は0.8μmであった。
これを洗浄・乾燥後にアルゴン気流下で400℃まで昇温し、引き続き、水素気流下400℃で24時間、加熱処理して多孔性フィルターを支持体とするパラジウム薄膜からなる水素分離膜を得た。
パラジウムを主成分とする水素分離膜の水素透過速度(k)は一般にシーベルト則に従う。即ち、
k=J/(p10.5−p20.5
となる。ここでJは水素透過流速(mmol/s/m)、p1は入口側水素分圧(Pa)、p2は出口側水素分圧(Pa)である。
また、水素以外の気体では、一般にガス透過速度(k’)は、
k’=J’/(p3−p4)
と、なる。ここでJ’はガス透過流速(mmol/s/m)、p3は入口側ガス分圧(Pa)、p4は出口側ガス分圧(Pa)である。
水素選択性の目安としては例えば、差圧1気圧における水素透過流速と水素以外のガス透過流速の比(水素選択比、R)が挙げられる。即ち、
R = J/J’= k×1013250.5/(k’×101325)
この数値が高いほど水素選択性が高いと判定される。
そこで、上記方法で得られた水素分離膜の性能を評価するため、水素差圧0〜2気圧、アルゴン差圧0〜4気圧の範囲でガス透過試験を行った結果、400℃において4.7mmol/s/m/Pa0.5の水素透過速度を得ると共に9.5nmol/s/m/Paのアルゴンの透過速度を得た。また、水素選択比は約1600であった。
実施例4
パラジウムの析出時間を1時間とした他は実施例1と同様の操作でセラミックス多孔体薄膜(多孔性セラミックス膜)の欠陥部位にパラジウムを析出させ、パラジウムで欠陥を閉塞及び/又は被覆した多孔性フィルターを製作した。この多孔性フィルターを水洗後、市販の無電解パラジウムめっき液中に多孔性フィルターの外表面を50℃で浸漬し、多孔性フィルター外表面にパラジウムを析出させた。多孔性フィルター表面がパラジウム膜前駆体に覆われた後、無電解パラジウムめっき液をパラジウム膜前駆体に残存する貫通欠陥に導くためフィルター内部(有底筒状の焼結金属フィルターの内部)をポンプによって0.1気圧まで減圧して無電解パラジウムめっきを行った。得られたパラジウム薄膜の平均膜厚は1.9μmであった。
これを洗浄・乾燥後にアルゴン気流下で400℃まで昇温し、引き続き、水素気流下400℃で24時間、加熱処理して多孔性フィルターを支持体とするパラジウム薄膜からなる水素分離膜を得た。
ガス透過試験の結果、400℃において3.0mmol/s/m/Pa0.5の水素透過速度を得た。また、アルゴンの透過速度は0.9nmol/s/m/Paであり水素選択比は約11000であった。
実施例5
実施例1の無電解パラジウムめっき液に代えて市販の無電解銅めっき液を用い、グルコース濃度4mol/lの水溶液中に室温で3時間浸漬する他は実施例1と同様に行い、セラミックス多孔体薄膜(多孔性セラミックス膜)の欠陥部位に銅を析出させ、銅で欠陥を閉塞及び/又は被覆した多孔性フィルターを製作した。これを還元剤を含まない市販のパラジウムめっき液に18時間浸漬し銅表面をパラジウムで置換めっきした。そして、この多孔性フィルターを市販のアルカリ触媒中に50℃で浸漬して、外表面にパラジウムイオンを付着させ、引き続き、市販の還元液中で還元した。その後、実施例4と同様の操作でパラジウム薄膜を成膜した。形成されたパラジウム薄膜の平均膜厚は1.6μmであった。そして、この多孔性フィルター上に形成されたパラジウム薄膜を銅のエチレンジアミン錯体からなる電気めっき液に浸漬し、フィルター内部をポンプによって0.1気圧まで減圧しながら、パラジウム薄膜上に銅の電気めっきを行い、パラジウム薄膜上に銅薄膜を形成した。
これを洗浄・乾燥後にアルゴン気流下で400℃まで昇温し、引き続き、水素気流下400℃で50時間、加熱処理して多孔性フィルターを支持体とするパラジウム・銅合金薄膜からなる水素分離膜を得た。得られた合金の平均銅含有量は44重量%、合金の平均膜厚は3.4μmであった。
ガス透過試験の結果、400℃において1.7mmol/s/m/Pa0.5の水素透過速度を得た。また、アルゴンの透過速度は0.6nmol/s/m/Paであり水素選択比は約8100であった。
実施例6
実施例4と同様の操作でセラミックス多孔体薄膜(多孔性セラミックス膜)の欠陥部位にパラジウムを析出させ、パラジウムで欠陥を閉塞及び/又は被覆した多孔性フィルターを製作した。その後、実施例4と同様の操作でパラジウム薄膜を成膜した。形成されたパラジウム薄膜の平均膜厚は0.7μmであった。そして、この多孔性フィルター上に形成されたパラジウム薄膜をパラジウム及び銀のアンミン錯体からなる電気めっき液に浸漬し、フィルター内部をポンプによって0.1気圧まで減圧しながら、パラジウム薄膜上にパラジウム・銀合金の電気めっきを行い、パラジウム薄膜上にパラジウム・銀合金薄膜を形成した。
これを洗浄・乾燥後にアルゴン気流下で400℃まで昇温し、引き続き、水素気流下400℃で50時間、加熱処理して多孔性フィルターを支持体とするパラジウム・銀合金薄膜からなる水素分離膜を得た。得られた合金の平均銀含有量は5重量%、合金の平均膜厚は1.7μmであった。
ガス透過試験の結果、400℃において3.5mmol/s/m/Pa0.5の水素透過速度を得た。また、アルゴンの透過速度は1.4nmol/s/m/Paであり水素選択比は約7900であった。
実施例7
グルコース濃度4mol/lの水溶液中に室温で5時間浸漬する他は実施例1と同様の操作で、セラミックス多孔体薄膜(多孔性セラミックス膜)の欠陥部位にパラジウムを析出させ、パラジウムで欠陥を閉塞及び/又は被覆した多孔性フィルターを製作した。この多孔性フィルターを市販のアルカリ触媒中に50℃で浸漬して、外表面にパラジウムイオンを付着させ、引き続き、市販の還元液中で還元した。そして、実施例4と同様の操作でパラジウム薄膜を成膜した。形成されたパラジウム薄膜の平均膜厚は2.3μmであった。そして、実施例5と同様の操作でパラジウム薄膜上に0.5μmの銅薄膜を形成した。次に、市販の還元剤を含まないパラジウムめっき液をこの金属薄膜を成膜した多孔性フィルター内部に満たし、その外表面をジメチルアミノボランを含有するグルコース濃度2mol/Lの水溶液中に室温で19時間浸漬した。浸透圧によって還元剤を含まないパラジウムめっき液が多孔性フィルターの外表面に形成された金属薄膜の欠陥部位に流出し、欠陥部にパラジウム金属の析出が生じた。そして、これを市販の銅の無電解めっき液に室温で浸漬して銅薄膜を0.2μm成膜した後、この上に実施例5と同様の操作で銅薄膜を形成した。
これを洗浄・乾燥後にアルゴン気流下で400℃まで昇温し、引き続き、水素気流下400℃で50時間、加熱処理して多孔性フィルターを支持体とするパラジウム・銅合金薄膜からなる水素分離膜を得た。得られた合金の平均銅含有量は44重量%、合金の平均膜厚は4.7μmであった。
ガス透過試験の結果、400℃において1.3mmol/s/m/Pa0.5の水素透過速度を得た。また、アルゴンの透過速度は0.0nmol/s/m/Paであり水素選択比は無限大であった。
比較例1
実施例1のセラミックス多孔体薄膜(多孔性セラミックス膜)の欠陥を金属で閉塞することなく、そのまま水洗後、セラミックス多孔体薄膜を市販の無電解パラジウムめっき液中に50℃で浸漬し、多孔体薄膜表面にパラジウムめっきした。このパラジウム薄膜の平均膜厚は0.8μmであった。
これを洗浄・乾燥後にアルゴン気流下で400℃まで昇温し、引き続き、水素気流下400℃で24時間、加熱処理してセラミックス多孔体薄膜を支持体とするパラジウム薄膜からなる水素分離膜を得た。
ガス透過試験の結果、400℃において3.8mmol/s/m/Pa0.5の水素透過速度を得ると共に18nmol/s/m/Paのアルゴンの透過速度を得た。また、水素選択比は、約700であった。比較例1と上述の実施例3とを比較すると、水素選択比は、比較例1が約700であるのに対し、実施例3が約1600であり、本発明に係る水素分離膜が、優れた水素の選択的透過性を有し、水素以外の気体が透過することを効果的に防止できていることがわかる。

Claims (6)

  1. 細孔径が0.02〜1.0μmである微細孔を有する多孔性セラミックス膜の一方面に開口した前記微細孔よりも大きな欠陥のみが金属により閉塞されており、前記多孔性セラミックス膜における微細孔が前記金属により閉塞されていないことを特徴とする多孔性フィルター。
  2. 前記欠陥を閉塞している金属がパラジウム及び/又は銅である請求項1の多孔性フィルター。
  3. 多孔性セラミックス膜の一方面側にパラジウムからなる無電解めっき用触媒微粒子付与を行い、次に、めっき用触媒微粒子の還元を行った後、多孔性セラミックス膜の一方面側溶質を溶解した溶媒を配置すると共に、前記多孔性セラミックス膜の他方面側に金属イオンを含有するめっき液を配置し、前記めっき液を前記多孔性セラミックス膜の一方面側に移動させ、前記多孔性セラミックス膜の一方面側で前記金属を析出させることを特徴とする多孔性フィルターの製造方法であって、前記溶質は、糖類又は塩類である多孔性フィルターの製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載された多孔性フィルターの一方面にパラジウム薄膜又はパラジウム合金薄膜が形成された水素分離膜。
  5. パラジウム合金薄膜の前駆体となる金属膜の一方面側に溶質及び還元剤を溶解した溶媒を配置すると共に、前記金属膜の他方面側にパラジウム合金薄膜を構成する金属のイオンを含有する還元剤を含まないめっき液を配置し、前記めっき液を前記金属膜の一方面側に移動させ、前記金属膜の一方面側で前記金属イオンを還元・析出させることを特徴とするパラジウム合金薄膜の欠陥の封止方法であって、前記溶質は、糖類又は塩類である欠陥の封止方法。
  6. 請求項4に記載の水素分離膜を介して、一方側に水素含有混合気体を位置させ、他方側の水素分圧を水素含有混合気体側の水素分圧以下とすることを特徴とする水素含有混合気体からの水素の分離方法。
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