JP2005022924A - 細孔基材及びその製造方法並びにガス分離材用細孔基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】細孔径の小さな細孔が規則的に配列し、十分な強度を有し、更には、この細孔基材上に所望の膜厚を有するガス分離層を均一に形成することができる細孔基材及びその製造方法並びにガス分離材用細孔基材を提供する。
【解決手段】本発明の細孔基材1は、アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔11が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径が10nm以下であり、通気性支持部材と、この支持部材の上に配設された金属アルミニウム層と、金属アルミニウム層の上記支持部材側でない全表面を被覆するマスキング層とからなる複合体を作製する工程と、この複合体の支持部材側の金属アルミニウム層を陽極酸化する工程と、上記マスキング層を取り除く工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除く工程等から得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の細孔基材1は、アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔11が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径が10nm以下であり、通気性支持部材と、この支持部材の上に配設された金属アルミニウム層と、金属アルミニウム層の上記支持部材側でない全表面を被覆するマスキング層とからなる複合体を作製する工程と、この複合体の支持部材側の金属アルミニウム層を陽極酸化する工程と、上記マスキング層を取り除く工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除く工程等から得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細孔基材及びその製造方法並びにガス分離材用細孔基材に関し、更に詳しくは、水素、二酸化炭素、炭化水素等のガスを効率よく分離するガス分離材に好適な細孔基材及びその製造方法並びにガス分離材用細孔基材に関する。本発明の細孔基材は、ガス分離材、高集積電子回路の絶縁層、高密度磁気記録媒体、光記録媒体、発光素子、化学センサー等に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、混合ガス中から特定のガスを分離するために、シリカ等無機材料からなるガス分離膜(ガス分離材)の研究が盛んに行われている。無機材料は、分離膜中の細孔をガス分離用の微細な細孔径に制御しやすく、更に、その耐水性、機械的強度等をより高めるために、層構造を有するガス分離膜も開示されている。例えば、特許文献1には、粗い細孔構造を有する多孔質支持体上に担持された微細な細孔構造(素材はγ−アルミナ粉体、細孔径は2〜50nm程度)を有する中間層を設け、この中間層上に数百nm〜数十μmの厚みを有するガス分離層(素材はシリカ)を均一に形成させてなる積層型ガス分離膜が開示されている。
上記中間層を構成する素材として、陽極酸化アルミナ(特許文献2参照)等としたガス分離膜も開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−276586号公報
【特許文献2】
特開平10−85568号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、中間層及びガス分離層を備えるガス分離膜は、一般に、中間層上に、ディップコーティング、スピンコーティング等の方法によってガス分離層を形成する前駆体溶液を塗布し、熱処理を施すことによって得られる。ガス分離膜としての性能向上には、ガス分離層の膜厚を薄くすることが不可欠とされるが、薄くなるほど欠陥の発生を抑えにくくなる傾向にある。また、中間層の内部に前駆体溶液が、中間層の表面から数μmにわたってしみ込むために、特許文献1及び2に開示される構成では、ガス分離層の厚さ、更にはガス分離膜の厚さを精密に制御することは困難である。特に、特許文献1に関わるγ−アルミナは、耐水蒸気特性に劣り、高温・長時間の水蒸気雰囲気下において細孔径が増大する、中間層自身の機械的強度が脆くなる等の問題がある。その結果、安定したガス分離層を形成するために、前駆体溶液を何度も塗布する必要が生ずる。
また、特許文献2に関わる陽極酸化アルミナは、数nmの微細な細孔径を得ることが困難であり、中間層としては好適とはいえない。
以上より、本発明は、細孔が規則的に配列し、十分な強度を有する細孔基材、更には、上記のような前駆体溶液によりガス分離層を容易に且つ均一に形成でき、所望の膜厚を確保でき、欠陥がなく、所定のガスを効率よく分離するガス分離材とすることができる細孔基材及びその製造方法並びにガス分離材用細孔基材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下に示される。
(1) アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径が10nm以下であることを特徴とする細孔基材。
(2) 上記細孔の径が、この細孔の延長方向に段階的に異なる上記(1)に記載の細孔基材。
(3) 更に、少なくとも一部が通気性である支持部材を備える上記(1)又は(2)に記載の細孔基材。
(4) 金属アルミニウム層と、この金属アルミニウム層の一方の面を被覆するマスキング層とからなる複合体を作製する複合体作製工程と、上記複合体の上記金属アルミニウム層の露出面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする細孔基材の製造方法。
(5) 少なくとも一部が通気性である支持部材と、この支持部材の上に配設された金属アルミニウム層と、この金属アルミニウム層の上記支持部材側でない全表面を被覆するマスキング層とからなる複合体を作製する複合体作製工程と、上記複合体の上記支持部材側の上記金属アルミニウム層の表面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする細孔基材の製造方法。
(6) 上記陽極酸化工程において、電圧の印加を間欠的に行う上記(4)又は(5)に記載の細孔基材の製造方法。
(7) 上記陽極酸化工程において、印加電圧を変化させながら行う上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の細孔基材の製造方法。
(8) 上記金属アルミニウム層の配設は、メッキ法、イオンプレーティング法及び真空蒸着法から選ばれる方法、あるいは、金属アルミニウム部材の圧着及び嵌合から選ばれる機械的固定法による上記(4)乃至(7)のいずれかに記載の細孔基材の製造方法。
(9) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の細孔基材をガス分離材に用いることを特徴とするガス分離材用細孔基材。
【0006】
【発明の効果】
本発明の細孔基材は、アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径が10nm以下であることから、細孔の延長方向の強度が十分に高く、細孔径が10nm以下である開口表面上に、所望の膜厚を有するガス分離層を容易に且つ均一に形成することができ、所定のガスを特に効率よく分離するガス分離材とすることができる。
上記細孔の径が段階的に異なる場合には、隣り合う細孔どうしの間隔が広い部分、即ち、アルミナからなる壁の厚い部分を有するため、細孔基材の強度が高く、また、細孔の径が段階的に大きくなるあるいは小さくなる場合には、ガス分離に用いる際に、細孔径の大きいところでは、ガス流に対する抵抗が低いため、ガス透過率を大きくすることができる。
更に少なくとも一部が通気性である支持部材を備える場合には、より補強された細孔基材とすることができ、上記のようなガス分離層を備えた場合にも、通気孔を利用したガス分離材とすることができる。
【0007】
本発明の細孔基材の製造方法によれば、基材の内部を貫通し、少なくとも1面に開口する細孔が多数規則的に配列し、その最大径が10nm以下である細孔基材を効率よく製造することができる。
他の本発明の細孔基材の製造方法によれば、支持部材上の所望の位置に、均一な細孔を有する細孔基材を効率よく製造することができる。
上記陽極酸化工程において、電圧の印加を間欠的に行う場合には、細孔径のより小さな細孔を有する細孔基材、更には所望の細孔径を有する細孔基材を効率よく製造することができる。
また、上記陽極酸化工程において、印加電圧を変化させながら行う場合には、細孔の細孔径が段階的に異なる細孔基材を効率よく製造することができる。
更に、上記金属アルミニウム層の配設が、メッキ法、イオンプレーティング法及び真空蒸着法から選ばれる方法によるか、あるいは、金属アルミニウム部材を圧着及び嵌合から選ばれる機械的固定法による場合には、アルミナ細孔部と、支持部材とが強固に接合した細孔基材を得ることができる。
【0008】
上記本発明の細孔基材をガス分離材に用いた本発明のガス分離材用細孔基材によれば、開口する細孔径が10nm以下である面にガス分離層を形成した場合に、所定のガスを効率よく分離するガス分離材とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の細孔基材は、アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径(以下、単に「細孔径」ともいう。)が10nm以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明の細孔基材は、例えば、図1に示す概略図をもって説明される。即ち、図1の細孔基材1は、例えば円形の細孔11が等間隔に配列した構造を示している。各細孔は、一定方向に貫通するが、図1においては、細孔11は基材に対して垂直方向に貫通している。また、細孔の形状は特に限定されず、最大径(細孔径)は10nm以下であり、好ましくは1〜10nm、より好ましくは1〜8nm、更に好ましくは1〜7nmである。このような小さな径の細孔を有することにより、この細孔基材上にガス分離層を形成するための前駆体溶液を塗布した場合でも、前駆体溶液が細孔の内部へ侵入することを抑制することができる。
【0011】
また、上記細孔は、1面から他面に渡る貫通部全てが同一の細孔径を有してもよいし、部分的にあるいは段階的に異なる細孔径を有してもよい。本発明の細孔基材が段階的に異なる細孔径を有する場合、その細孔径は無段階に異なっていてもよい。但し、異なる細孔径を有する場合であっても、細孔基材本体は一体化したままである。細孔径が段階的に異なる場合の1例を図2に示す。図2に示される細孔基材1aは、下方から上方に向かう細孔11が枝分かれを段階的に繰り返し、細孔径が徐々に小さくなっている。そのため、細孔基材1aの上方部表面における開口部の数は、下方部表面における開口部の数よりも極めて多くなり、細孔基材1aの上方部の細孔容積は増大する。
尚、本発明の細孔基材が段階的に異なる細孔径を有し、各細孔径を第1細孔径d1、第2細孔径d2、第3細孔径d3・・・、第n−1細孔径dn−1及び第n細孔径dnとして段階的に小さくなるとすると、連続する細孔の各細孔径の関係は、好ましくは0.2d1≦d2≦0.9d1、且つ0.2d2≦d3≦0.9d2、・・・、且つ0.2dn−1≦dn≦0.9dn−1、より好ましくは0.3d1≦d2≦0.9d1、且つ0.3d2≦d3≦0.9d2、・・・、且つ0.3dn−1≦dn≦0.9dn−1である。但し、上記細孔径dnは、少なくとも10nm以下である。
また、これらの細孔径を有する各断面における単位断面積あたりの細孔の数をそれぞれm1、m2、m3・・・、mn−1及びmnとすると、好ましくは、0.8×d1 2/d2 2≦m2/m1≦1.2×d1 2/d2 2、且つ、0.8×d2 2/d3 2≦m3/m2≦1.2×d2 2/d3 2、・・・、且つ0.8×dn−1 2/dn 2≦mn/mn−1≦1.2×dn−1 2/dn 2、より好ましくは、0.9×d1 2/d2 2≦m2/m1≦1.1×d1 2/d2 2、且つ、0.9×d2 2/d3 2≦m3/m2≦1.1×d2 2/d3 2、・・・、且つ0.9×dn−1 2/dn 2≦mn/mn−1≦1.1×dn−1 2/dn 2である。
上記範囲とすることにより、この細孔基材上にガス分離層を形成するための前駆体溶液を塗布した場合でも、前駆体溶液が細孔の内部へ侵入することを十分に抑制することができる。
本発明の細孔基材が段階的に異なる細孔径を有する場合、開口する細孔の細孔径が10nm以下でない面における最大径は、10nm以下であってもよいが、通常、10〜100nm、好ましくは10〜50nm、より好ましくは10〜30nmである。
細孔径が段階的に大きくあるいは小さくなっている細孔基材の場合には、ガス分離に用いる際に、細孔径の大きいところでは、ガス流に対する抵抗が低いため、ガス透過率を大きくすることができる。
【0012】
また、隣り合う細孔どうしの間隔は特に限定されないが、細孔の細孔径と同じであってもよいし、異なっていてもよい。この間隔は、細孔径とほぼ同じであることが好ましく、全体としてほぼ一定であることが好ましい。
更に、貫通する細孔の長さは特に限定されないが、好ましくは300μm以下、より好ましくは1〜200μm、更に好ましくは1〜150μmである。細孔が長すぎると、細孔の開口部周辺の機械的強度が劣り、基材の形状が不安定となったり、割れ等の欠陥を生じることがある。
【0013】
本発明の細孔基材は、アルミナからなるものであるが、その種類、結晶性等は特に限定されない。
また、本発明の細孔基材は、どのような形状を有してもよく、例えば、平面状、曲面状、塊状、小片状等とすることができ、これらが組み合わさったものでもよい。
【0014】
本発明の細孔基材は、更に支持部材を備えたものとすることができる。この支持部材としては特に限定されないが、本発明に関わる支持部材としては、少なくとも一部が通気性であることが好ましい。通気性を有する材料としては、多孔材、網状材等が挙げられる。これらのうち、多孔材が好ましい。多孔材の場合、細孔径、気孔率等も特に限定されない。細孔径は、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.1〜2μm、更に好ましくは0.1〜1μmである。また、気孔率は、好ましくは20〜60%、より好ましくは30〜60%、更に好ましくは40〜60%である。
また、支持部材を構成する材料も特に限定されず、アルミナ、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、チタン等の金属、ステンレス等の合金、多孔質ガラス等が挙げられる。これらのうち、セラミックスが好ましく、細孔基材本体のアルミナと熱膨張係数が同等であるアルミナ、ジルコニア等が好ましい。
更に、この支持部材の形状も特に限定されず、円筒状、角筒状、平板状、曲面状、網状、直線状、曲線状等が挙げられ、これらを組み合わせた形状であってもよい。また、この支持部材は、細孔基材単体の片側全面に配設されてもよいし、部分的に配設されるものであってもよい。
細孔基材単体(アルミナ細孔部材)と、支持部材とを備えた細孔基材の例を図3に示す。図3の細孔基材1bは、上記で説明した細孔11を備えるアルミナ細孔部12と、このアルミナ細孔部12の内側全面に密着した円筒状の支持部材13と、を有する。この図3において、各細孔は、外周面から垂直に伸びた状態である。尚、本発明においては、上記アルミナ細孔部12と、支持部材13とは、逆の位置関係であってもよい。
本発明の細孔基材は、ガス分離材、高集積電子回路の絶縁層、高密度磁気記録媒体、光記録媒体、発光素子、化学センサー等に利用することができる。
【0015】
本発明の細孔基材の製造方法は、金属アルミニウム層と、この金属アルミニウム層の一方の面を被覆するマスキング層とからなる複合体(x)を作製する複合体作製工程(X)と、上記複合体(x)の上記金属アルミニウム層の露出面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
上記金属アルミニウム層としては、市販の金属板、箔、金属片等をそのまま用いることができる。これらの形状は、板状、筒状等とすることができ、平らであっても、湾曲していても、凹凸があってもよい。
本発明に関わる複合体作製工程(X)は、上記金属アルミニウム層の一方の面を被覆するマスキング層を配設するものである。このマスキング層は、上記アルミニウム層表面の陽極酸化を防ぐために設けるものであり、その構成材料は特に限定されないが、陽極酸化の際の電解液が浸透せず、更には電解液に侵されないものが好ましい。その構成材料としては、樹脂等挙げられる。通常、パラフィンテープ、ワックス、粘着テープ等が用いられる。
【0017】
上記のようにして得られた複合体(x)は、陽極酸化工程において、マスキングされていない側の金属アルミニウム層の表面が陽極酸化される。陽極酸化の際には、マスキングされていない金属アルミニウム層表面のみが電解液に接触するため、陽極酸化が始まると、金属アルミニウム層の酸化と共に表面から内部へ細孔が形成され、この細孔が規則的に配列した構造の酸化膜(アルミナ膜)となる。尚、マスキングされている側の金属アルミニウム層は、電解液と接触しないため、酸化されず、金属状態のままとなる。
【0018】
陽極酸化の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。電圧の印加は、直流であっても間欠(例えば、特開平9−316692号公報、特開2000−8193号公報等参照)であってもよいが、間欠的に行うことが好ましい。ここで、「間欠的に電圧を印加する」とは、間隔をおいて直流電圧を印加することを意味する。間欠的に電圧を印加することで、細孔径のより均一な細孔を形成することができる。また、陽極酸化工程の初期を直流電圧印加とし、中〜後期を間欠電圧印加としてもよい。尚、直流電圧印加のみの場合、形成される細孔径が大きくなりすぎる傾向にあり、ガス分離層を形成する前駆体溶液を塗布すると、この前駆体溶液が細孔の内部にしみ込み、形成されるガス分離層の厚さを精密に制御することが困難となる場合がある。
【0019】
陽極酸化の具体的な方法としては、所定濃度の硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸等からなる電解液に、純度99.5〜99.99%の金属アルミニウムを浸漬し、この金属アルミニウムを陽極とし、また、電解液中に白金等からなる電極を設けてこれを陰極として、電圧を印加する。印加電圧は、通常、0.5〜50V、好ましくは0.5〜30Vであり、また、周波数は、通常、10Hz〜10kHz、好ましくは50Hz〜0.5kHzである。この条件において、通常、0.1〜1000mA程度の電流が流れる。印加時間は、通常、0.1〜40時間である。間欠的に電圧を印加する場合は、矩形、鋸歯状もしくは正弦状の波形を有する間欠電圧を印加することが好ましい。
尚、陽極酸化によって形成される細孔の細孔径は、印加電圧の大きさに依存し、電圧が大きいほど細孔径は大きくなり、電圧が小さいほど細孔径は小さくなる。上記条件により、細孔径を1nm〜50nmの範囲で制御することができる。
【0020】
間欠的に電圧を印加する陽極酸化の際には、終始一定条件で行ってもよいし、段階的に条件を変化させてもよい。一定条件で間欠電圧を印加する場合には、一定の細孔径を有する細孔基材を得ることができる。また、段階的に条件を変化させる場合には、印加電圧の大小に応じた細孔径を有する細孔基材を得ることができる。
形成される細孔基材の機械的強度を十分なものとするために、例えば、陽極酸化初期にて印加電圧を高めとし、細孔径が30〜50nmである細孔を形成し、その後、徐々に印加電圧を小さくし、細孔径も1〜10nm、好ましくは1〜7nm等と小さくなるような条件とすることができる。尚、上記のように、初期の陽極酸化は、直流電圧印加による方法でもよい。
【0021】
陽極酸化工程は、金属アルミニウム層のすべてを酸化させず、細孔が所望の細孔径あるいは所望の長さとなった時点で終了する。その後、必要に応じて、洗浄し、マスキング層除去工程によりマスキング層を取り除き、残存する金属アルミニウム部を露出させる。次いで、アルミニウム除去工程により残存する金属アルミニウム部を取り除く。このアルミニウム除去工程は、陽極酸化によって得られたアルミナを侵さない条件であればどのような方法を適用してもよい。通常、臭素のメタノール溶液、塩化銅の塩酸溶液等を用いて金属アルミニウムを溶解する。
【0022】
上記アルミニウム除去工程によって、陽極酸化アルミナのみからなる材料が得られるが、この時点ではまだ細孔は貫通していない。即ち、陽極酸化の条件によって得られた所定の細孔径を有する細孔は、上記アルミニウム除去工程前の金属アルミニウム部との界面に、半球状の凸型に形成された、アルミナからなる薄いバリア層によって閉じた状態となっている。このバリア層は、バリア層除去工程によって取り除かれ、細孔が貫通した細孔基材を得ることができる。
上記バリア層除去工程は、低濃度の酸(硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、リン酸)等を用いることができる。この処理によって、バリア層が除去され、細孔が貫通し、開口部の細孔径が均一な細孔基材を得ることができる。
その後、必要に応じて、洗浄される。得られた細孔基材は、陽極酸化が安定的に進行するため、細孔の長さをほぼ一定なものとすることができる。
【0023】
他の本発明の細孔基材の製造方法は、少なくとも一部が通気性である支持部材と、この支持部材の上に配設された金属アルミニウム層と、この金属アルミニウム層の上記支持部材側でない全表面を被覆するマスキング層とからなる複合体(y)を作製する複合体作製工程(Y)と、上記複合体(y)の上記支持部材側の上記金属アルミニウム層の表面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする。
【0024】
本製造方法における支持部材としては、上記例示した材料及び形状を有する指示部材を目的に応じて適用すればよいが、金属アルミニウムの陽極酸化を効率よく進行させるため、更に、この支持部材と一体化した細孔基材をガス分離材の1部材としてより機能させるために、少なくとも一部が通気性である材料を用いる。また、電解液等に侵されず、あるいは電解液の組成を変化させない材料であることが好ましい。このような材料としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、多孔質ガラス等のガラス等からなる多孔材が好ましい。また、形状は、円筒状、平板状、網状等が好ましい。これらの形状とすることにより、陽極酸化される金属アルミニウムとの接触あるいは金属アルミニウム層の固定をより確実とすることができる。また、曲線状の線材を螺旋状にしてその外周あるいは内周に金属アルミニウム板等を配設してもよい。
【0025】
上記支持部材の上に配設される金属アルミニウム層は、支持部材の所望の位置にどのような方法で配設されたものであってもよく、例えば、メッキ法、イオンプレーティング法及び真空蒸着法から選ばれる方法、所定形状の金属アルミニウム部材の圧着、嵌合等から選ばれる機械的固定法等が挙げられる。
【0026】
複合体作製工程(Y)における複合体の作製順は特に限定されず、例えば、上記支持部材と、その上に配設された金属アルミニウム層と、からなる積層体に、更にこのアルミニウム層の支持部材側でない全表面にマスキング層を配設する方法等がある。このマスキング層は、支持部材側でないアルミニウム層表面の陽極酸化を防ぐために設けるものである。
【0027】
上記のようにして得られた複合体(y)は、陽極酸化工程において、支持部材側の金属アルミニウム層が陽極酸化される。陽極酸化の際には、支持部材側の金属アルミニウム層表面のみが電解液に接触する(支持部材の一部が通気性である場合には、通気孔を通して電解液と金属アルミニウム層表面と接触する)ため、陽極酸化が始まると、金属アルミニウム層の酸化と共に表面から内部へ細孔が形成され、この細孔が規則的に配列した構造の酸化膜(アルミナ膜)となる。
【0028】
陽極酸化工程における陽極酸化の方法、マスキング層除去工程、アルミニウム除去工程及びバリア層除去工程は、上記と同様とすることができる。
上記本発明の細孔基材の製造方法においては、通常、金属アルミニウム層が電解液と接触する面からその内部方向へと陽極酸化を進め、細孔を形成させた結果、酸化方向に細孔及びその細孔径の分布が規則的な細孔基材を得ることができるが、所望の位置へのマスキング層の配設と、陽極酸化とを多段で組み合わせることにより、複数の表面において、大小さまざまな細孔径を有する細孔基材を得ることもできる。
【0029】
本発明のガス分離材用細孔基材は、上記において説明した細孔基材をガス分離材に用いることを特徴とする。
本発明のガス分離材用細孔基材は、細孔径の小さな細孔を有するため、この基材上の、特に、開口する細孔径が10nm以下である面に、シリカ等からなるガス分離層を形成するための前駆体溶液を、細孔の内部に侵入させることなく所望の厚さで塗布することができ、均一な膜を得ることができる。
上記前駆体溶液としては、例えば、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物を含むもの等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
以下、例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例
1.細孔基材の作製
外径2.0mm±0.1mm、内径1.5mm、長さ50mmの多孔性アルミナキャピラリー(純度;99.99%、平均細孔直径;0.15μm、気孔率;39%±3%)を支持部材とし、この支持部材の外表面を覆うように、化学研磨を施した金属アルミニウム管(純度99.99%、外径3.0mm、内径2.1mm、長さ50mm)を嵌合した。次いで、パラフィンテープ(商品名;「PARAFILM M」、American National Can社製)によって、金属アルミニウム管の表面を被覆(マスキング)し、複合体を得た。
この複合体の外側に白金線電極(アノード)を取り付け、一方、複合体の多孔性アルミナキャピラリー内部に白金線電極(カソード)を通して固定し、2℃に冷却した1mol/リットルの硫酸電解溶液中に入れて陽極酸化を行った。陽極酸化は、間欠電圧を16時間印加して行った。印加電圧は、25Vから10V、5V、2V、1Vと段階的に変化させ、陽極酸化アルミナの細孔径を30nmから12nm、6.5nm、4.5nm、3nmと段階的に小さくした。
陽極酸化後、陽極酸化アルミナ付き複合体を9体積%の臭素のメタノール溶液中に室温にて5時間浸漬し、最外層に残存した金属アルミニウム部を溶解した。その後、金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を、2℃に冷却した1mol/リットルの硫酸溶液中に20時間浸漬して溶解し、細孔を開口させた。これにより、図3に示すような細孔基材(A)を得た。この細孔基材(A)は、支持部材と陽極酸化アルミナとが一体化したものであり、陽極酸化アルミナは、支持部材側の最内部の細孔径が30nm、最外部(最表面)の細孔径が3nm、長さが150μmであり、且つ支持部材に対して垂直方向に貫通する細孔が多数配列していた。この細孔基材(A)の細孔径分布を測定したところ、図4に示すような結果となった。図4より、得られた細孔基材(A)を構成する細孔の細孔径は、大部分が30Å(3nm)であることが分かる。
【0031】
2.細孔基材の評価
上記で得られた細孔基材(A)を以下の要領で評価した。まず、細孔基材(A)の1端部を低融点ガラスによって封止し、更にもう一方の端部を外径6mm、内径3mm、長さ120mmの緻密アルミナ管(ハルデンワンガー社製)に熱処理により接合した。このときの熱処理温度600℃である。
この接合体を用い、図5に示すガス透過試験装置を用い、水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)及び一酸化炭素ガス(CO)の透過率を測定し、ガス分離性能を表す指標として透過率の比である透過係数比αを各使用ガスに対して求めた。
測定は、定容積圧力変化法に基づき、300℃及び500℃における単成分ガス透過試験を行った。まず、減圧にした透過側ラインに設置したバッファタンク内の圧力変化によってガス分子の流量を定量する。大気圧の供給ガスを、上記細孔基材を保持した透過セル内に200ml/minにて流し、真空ポンプにてバッファタンク内を30Torrに減圧した後に、真空ポンプとバッファタンクとの間に設置したストップバルブを閉じ、圧力計P2によってタンク内が40Torrに昇圧するまでの時間を計測した。用いた単成分ガスの種類はH2、N2、CO及びCH4の4種であり、単位膜面積及び単位圧力差のもとで上記細孔基材(A)を透過するガス量について、透過率を測定した。単位は、mol/m2・s・Paである。得られた透過率及び透過係数比を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
一般に、ガス分離材(ガス分離膜)用の基材としては、10−6mol/m2・s・Pa以上の透過率を有すれば十分とされており、表1より、上記細孔基材(A)についても優れた透過率を示していることが分かる。
また、上記基材は直径3nmの細孔を有するために、その透過機構は、透過率がガス成分の分子量の平方根に反比例する関係、即ち、Knudsen則に従うことが分かった。同則は細孔径2〜50nmにて支配的であることが知られており、本特性と良い整合性を示す。
【0034】
3.ガス分離材の製造及び評価
以下の要領で、上記緻密アルミナ管に接合した細孔基材(A)の細孔基材表面にガス分離層を形成させ、ガス分離材(A)を製造した。まず、シリカ源として0.033molのテトラエトキシシランを、2molのエタノールに溶かし室温で攪拌した。その後、この溶液に、0.5Nの塩酸溶液を0.7ml滴下し、2時間攪拌し、シリカ前駆体溶液を得た。次いで、上記細孔基材(A)の細孔基材部を、このシリカ前駆体溶液中に1分間浸すことでディップコートを行い、大気中600℃で熱処理を行った。これを4回繰り返してガス分離層21を形成させ、ガス分離材(A)2aを得た(図6参照)。
得られたガス分離材(A)の断面電子顕微鏡画像と同一箇所のエネルギー分散型X線分析による元素分析結果を図7に併せて示す。塗布したシリカ前駆体溶液に由来するSi元素が細孔基材の内部にはほとんど侵入していないことが分かる。
また、得られたガス分離材(A)のガス分離性能を上記細孔基材(A)の場合と同様にして測定した。その結果を表1に併記した。
表1より、300℃における透過係数比が3桁のオーダーにまで良化し、500℃における透過係数比も、例えば、α(H2/CO)の場合、63であり、優れた性能を示すことが分かる。
【0035】
比較例
1.細孔基材の作製
外径10mm、内径8mm、長さ50mmの多孔質α−アルミナ(平均細孔径;0.1μm)を支持部材とし、これに約0.5mol/リットルのベーマイトゾル溶液をディップコートにより塗布し、大気中600℃で熱処理を行った。これを2回繰り返し、細孔基材(B)を得た。この細孔基材(B)の細孔径分布を測定したところ、図8に示すような結果となった。図8より、得られた細孔基材(B)の細孔径(孔径)は20〜100Å(2〜10nm)の広い分布を有することが分かる。ピークトップで見ると、細孔径(孔径)は平均5nmである。
【0036】
2.細孔基材の評価
上記で得られた細孔基材(B)の透過率の測定を、上記実施例と同様にして行った。その結果を表2に示す。
また、上記基材は直径5nmの細孔を有するために、その透過機構は、透過率がガス成分の分子量の平方根に反比例する関係、即ち、Knudsen則に従うことが分かった。同則は細孔径2〜50nmにて支配的であることが知られており、本特性と良い整合性を示す。
【0037】
【表2】
【0038】
3.ガス分離材の製造及び評価
上記で得られた細孔基材(B)の接合体を、上記実施例で調製したシリカ前駆体溶液に1分間浸すことでディップコートを行い、大気中600℃で熱処理を行った。これを10回繰り返すことでようやくガス分離層21を形成させ、分子ふるい性能を有するガス分離材(B)2bとすることができた(図9参照)。
得られたガス分離材(B)の断面の電子顕微鏡画像と同一箇所のエネルギー分散型X線分析による元素分析結果を図10に併せて示す。塗布したシリカ前駆体溶液に由来するSi元素が細孔基材の内部に侵入していることが分かる。
また、得られたガス分離材(B)のガス分離性能を上記と同様にして測定した。その結果を表2に併記した。
表2より、300℃における透過係数比が2桁のオーダーに留まり、500℃における透過係数比も、例えば、α(H2/CO)の場合、30と実施例に比べ劣っていた。また、分子ふるい性能の発現に、10回の塗布工程を要したために、ガス分離層の厚さが実施例のそれよりも厚くなり、透過率及び透過係数比が低下したものと考えられる。
【0039】
実施例の効果
上記実施例で得られた細孔基材は、図4からも明らかなように、細孔径が3nm、4.5nm及び6.5nmといった特定の値で突出した分布となっているが、最表面の細孔の大部分が3nmであり、同一径の細孔が配列しているものと考えられる。このように、細孔が規則的に配列した細孔基材上にガス分離層を形成しても、容易に所望の厚さとすることができ、欠陥がなく、均一性も高い。従って、ガス分離材とした場合には、ガス分離層の特性をそのまま生かした性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細孔基材を示す説明斜視図である。
【図2】細孔径が段階的に異なる細孔チャンネルを有する細孔基材を示す説明縦断面図である。
【図3】円筒形支持部材の上に細孔チャンネルが配列した細孔基材を示す説明斜視図である。
【図4】実施例で得られた細孔基材の細孔径分布を示すグラフである。
【図5】定容積圧力変化法を原理とするガス透過性能評価装置の模式図である。
【図6】実施例で得られたガス分離材を示す縦断面概略図である。
【図7】実施例においてガス分離層を形成した際の、細孔基材部の断面画像及び細孔基材に対するシリカ前駆体溶液の含浸程度を比較したSi元素のEDXチャートである。
【図8】比較例で得られた細孔基材の細孔径分布を示すグラフである。
【図9】比較例で得られたガス分離材を示す縦断面概略図である。
【図10】比較例においてガス分離層を形成した際の、細孔基材部の断面画像及び細孔基材に対するシリカ前駆体溶液の含浸程度を比較したSi元素のEDXチャートである。
【符号の説明】
1,1a及び1b;細孔基材、11;細孔、12;アルミナ細孔部、13;支持部材、14;ベーマイト、2a及び2b;ガス分離材、21;ガス分離層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、細孔基材及びその製造方法並びにガス分離材用細孔基材に関し、更に詳しくは、水素、二酸化炭素、炭化水素等のガスを効率よく分離するガス分離材に好適な細孔基材及びその製造方法並びにガス分離材用細孔基材に関する。本発明の細孔基材は、ガス分離材、高集積電子回路の絶縁層、高密度磁気記録媒体、光記録媒体、発光素子、化学センサー等に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、混合ガス中から特定のガスを分離するために、シリカ等無機材料からなるガス分離膜(ガス分離材)の研究が盛んに行われている。無機材料は、分離膜中の細孔をガス分離用の微細な細孔径に制御しやすく、更に、その耐水性、機械的強度等をより高めるために、層構造を有するガス分離膜も開示されている。例えば、特許文献1には、粗い細孔構造を有する多孔質支持体上に担持された微細な細孔構造(素材はγ−アルミナ粉体、細孔径は2〜50nm程度)を有する中間層を設け、この中間層上に数百nm〜数十μmの厚みを有するガス分離層(素材はシリカ)を均一に形成させてなる積層型ガス分離膜が開示されている。
上記中間層を構成する素材として、陽極酸化アルミナ(特許文献2参照)等としたガス分離膜も開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−276586号公報
【特許文献2】
特開平10−85568号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、中間層及びガス分離層を備えるガス分離膜は、一般に、中間層上に、ディップコーティング、スピンコーティング等の方法によってガス分離層を形成する前駆体溶液を塗布し、熱処理を施すことによって得られる。ガス分離膜としての性能向上には、ガス分離層の膜厚を薄くすることが不可欠とされるが、薄くなるほど欠陥の発生を抑えにくくなる傾向にある。また、中間層の内部に前駆体溶液が、中間層の表面から数μmにわたってしみ込むために、特許文献1及び2に開示される構成では、ガス分離層の厚さ、更にはガス分離膜の厚さを精密に制御することは困難である。特に、特許文献1に関わるγ−アルミナは、耐水蒸気特性に劣り、高温・長時間の水蒸気雰囲気下において細孔径が増大する、中間層自身の機械的強度が脆くなる等の問題がある。その結果、安定したガス分離層を形成するために、前駆体溶液を何度も塗布する必要が生ずる。
また、特許文献2に関わる陽極酸化アルミナは、数nmの微細な細孔径を得ることが困難であり、中間層としては好適とはいえない。
以上より、本発明は、細孔が規則的に配列し、十分な強度を有する細孔基材、更には、上記のような前駆体溶液によりガス分離層を容易に且つ均一に形成でき、所望の膜厚を確保でき、欠陥がなく、所定のガスを効率よく分離するガス分離材とすることができる細孔基材及びその製造方法並びにガス分離材用細孔基材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下に示される。
(1) アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径が10nm以下であることを特徴とする細孔基材。
(2) 上記細孔の径が、この細孔の延長方向に段階的に異なる上記(1)に記載の細孔基材。
(3) 更に、少なくとも一部が通気性である支持部材を備える上記(1)又は(2)に記載の細孔基材。
(4) 金属アルミニウム層と、この金属アルミニウム層の一方の面を被覆するマスキング層とからなる複合体を作製する複合体作製工程と、上記複合体の上記金属アルミニウム層の露出面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする細孔基材の製造方法。
(5) 少なくとも一部が通気性である支持部材と、この支持部材の上に配設された金属アルミニウム層と、この金属アルミニウム層の上記支持部材側でない全表面を被覆するマスキング層とからなる複合体を作製する複合体作製工程と、上記複合体の上記支持部材側の上記金属アルミニウム層の表面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする細孔基材の製造方法。
(6) 上記陽極酸化工程において、電圧の印加を間欠的に行う上記(4)又は(5)に記載の細孔基材の製造方法。
(7) 上記陽極酸化工程において、印加電圧を変化させながら行う上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の細孔基材の製造方法。
(8) 上記金属アルミニウム層の配設は、メッキ法、イオンプレーティング法及び真空蒸着法から選ばれる方法、あるいは、金属アルミニウム部材の圧着及び嵌合から選ばれる機械的固定法による上記(4)乃至(7)のいずれかに記載の細孔基材の製造方法。
(9) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の細孔基材をガス分離材に用いることを特徴とするガス分離材用細孔基材。
【0006】
【発明の効果】
本発明の細孔基材は、アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径が10nm以下であることから、細孔の延長方向の強度が十分に高く、細孔径が10nm以下である開口表面上に、所望の膜厚を有するガス分離層を容易に且つ均一に形成することができ、所定のガスを特に効率よく分離するガス分離材とすることができる。
上記細孔の径が段階的に異なる場合には、隣り合う細孔どうしの間隔が広い部分、即ち、アルミナからなる壁の厚い部分を有するため、細孔基材の強度が高く、また、細孔の径が段階的に大きくなるあるいは小さくなる場合には、ガス分離に用いる際に、細孔径の大きいところでは、ガス流に対する抵抗が低いため、ガス透過率を大きくすることができる。
更に少なくとも一部が通気性である支持部材を備える場合には、より補強された細孔基材とすることができ、上記のようなガス分離層を備えた場合にも、通気孔を利用したガス分離材とすることができる。
【0007】
本発明の細孔基材の製造方法によれば、基材の内部を貫通し、少なくとも1面に開口する細孔が多数規則的に配列し、その最大径が10nm以下である細孔基材を効率よく製造することができる。
他の本発明の細孔基材の製造方法によれば、支持部材上の所望の位置に、均一な細孔を有する細孔基材を効率よく製造することができる。
上記陽極酸化工程において、電圧の印加を間欠的に行う場合には、細孔径のより小さな細孔を有する細孔基材、更には所望の細孔径を有する細孔基材を効率よく製造することができる。
また、上記陽極酸化工程において、印加電圧を変化させながら行う場合には、細孔の細孔径が段階的に異なる細孔基材を効率よく製造することができる。
更に、上記金属アルミニウム層の配設が、メッキ法、イオンプレーティング法及び真空蒸着法から選ばれる方法によるか、あるいは、金属アルミニウム部材を圧着及び嵌合から選ばれる機械的固定法による場合には、アルミナ細孔部と、支持部材とが強固に接合した細孔基材を得ることができる。
【0008】
上記本発明の細孔基材をガス分離材に用いた本発明のガス分離材用細孔基材によれば、開口する細孔径が10nm以下である面にガス分離層を形成した場合に、所定のガスを効率よく分離するガス分離材とすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の細孔基材は、アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径(以下、単に「細孔径」ともいう。)が10nm以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明の細孔基材は、例えば、図1に示す概略図をもって説明される。即ち、図1の細孔基材1は、例えば円形の細孔11が等間隔に配列した構造を示している。各細孔は、一定方向に貫通するが、図1においては、細孔11は基材に対して垂直方向に貫通している。また、細孔の形状は特に限定されず、最大径(細孔径)は10nm以下であり、好ましくは1〜10nm、より好ましくは1〜8nm、更に好ましくは1〜7nmである。このような小さな径の細孔を有することにより、この細孔基材上にガス分離層を形成するための前駆体溶液を塗布した場合でも、前駆体溶液が細孔の内部へ侵入することを抑制することができる。
【0011】
また、上記細孔は、1面から他面に渡る貫通部全てが同一の細孔径を有してもよいし、部分的にあるいは段階的に異なる細孔径を有してもよい。本発明の細孔基材が段階的に異なる細孔径を有する場合、その細孔径は無段階に異なっていてもよい。但し、異なる細孔径を有する場合であっても、細孔基材本体は一体化したままである。細孔径が段階的に異なる場合の1例を図2に示す。図2に示される細孔基材1aは、下方から上方に向かう細孔11が枝分かれを段階的に繰り返し、細孔径が徐々に小さくなっている。そのため、細孔基材1aの上方部表面における開口部の数は、下方部表面における開口部の数よりも極めて多くなり、細孔基材1aの上方部の細孔容積は増大する。
尚、本発明の細孔基材が段階的に異なる細孔径を有し、各細孔径を第1細孔径d1、第2細孔径d2、第3細孔径d3・・・、第n−1細孔径dn−1及び第n細孔径dnとして段階的に小さくなるとすると、連続する細孔の各細孔径の関係は、好ましくは0.2d1≦d2≦0.9d1、且つ0.2d2≦d3≦0.9d2、・・・、且つ0.2dn−1≦dn≦0.9dn−1、より好ましくは0.3d1≦d2≦0.9d1、且つ0.3d2≦d3≦0.9d2、・・・、且つ0.3dn−1≦dn≦0.9dn−1である。但し、上記細孔径dnは、少なくとも10nm以下である。
また、これらの細孔径を有する各断面における単位断面積あたりの細孔の数をそれぞれm1、m2、m3・・・、mn−1及びmnとすると、好ましくは、0.8×d1 2/d2 2≦m2/m1≦1.2×d1 2/d2 2、且つ、0.8×d2 2/d3 2≦m3/m2≦1.2×d2 2/d3 2、・・・、且つ0.8×dn−1 2/dn 2≦mn/mn−1≦1.2×dn−1 2/dn 2、より好ましくは、0.9×d1 2/d2 2≦m2/m1≦1.1×d1 2/d2 2、且つ、0.9×d2 2/d3 2≦m3/m2≦1.1×d2 2/d3 2、・・・、且つ0.9×dn−1 2/dn 2≦mn/mn−1≦1.1×dn−1 2/dn 2である。
上記範囲とすることにより、この細孔基材上にガス分離層を形成するための前駆体溶液を塗布した場合でも、前駆体溶液が細孔の内部へ侵入することを十分に抑制することができる。
本発明の細孔基材が段階的に異なる細孔径を有する場合、開口する細孔の細孔径が10nm以下でない面における最大径は、10nm以下であってもよいが、通常、10〜100nm、好ましくは10〜50nm、より好ましくは10〜30nmである。
細孔径が段階的に大きくあるいは小さくなっている細孔基材の場合には、ガス分離に用いる際に、細孔径の大きいところでは、ガス流に対する抵抗が低いため、ガス透過率を大きくすることができる。
【0012】
また、隣り合う細孔どうしの間隔は特に限定されないが、細孔の細孔径と同じであってもよいし、異なっていてもよい。この間隔は、細孔径とほぼ同じであることが好ましく、全体としてほぼ一定であることが好ましい。
更に、貫通する細孔の長さは特に限定されないが、好ましくは300μm以下、より好ましくは1〜200μm、更に好ましくは1〜150μmである。細孔が長すぎると、細孔の開口部周辺の機械的強度が劣り、基材の形状が不安定となったり、割れ等の欠陥を生じることがある。
【0013】
本発明の細孔基材は、アルミナからなるものであるが、その種類、結晶性等は特に限定されない。
また、本発明の細孔基材は、どのような形状を有してもよく、例えば、平面状、曲面状、塊状、小片状等とすることができ、これらが組み合わさったものでもよい。
【0014】
本発明の細孔基材は、更に支持部材を備えたものとすることができる。この支持部材としては特に限定されないが、本発明に関わる支持部材としては、少なくとも一部が通気性であることが好ましい。通気性を有する材料としては、多孔材、網状材等が挙げられる。これらのうち、多孔材が好ましい。多孔材の場合、細孔径、気孔率等も特に限定されない。細孔径は、好ましくは0.05〜2μm、より好ましくは0.1〜2μm、更に好ましくは0.1〜1μmである。また、気孔率は、好ましくは20〜60%、より好ましくは30〜60%、更に好ましくは40〜60%である。
また、支持部材を構成する材料も特に限定されず、アルミナ、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、チタン等の金属、ステンレス等の合金、多孔質ガラス等が挙げられる。これらのうち、セラミックスが好ましく、細孔基材本体のアルミナと熱膨張係数が同等であるアルミナ、ジルコニア等が好ましい。
更に、この支持部材の形状も特に限定されず、円筒状、角筒状、平板状、曲面状、網状、直線状、曲線状等が挙げられ、これらを組み合わせた形状であってもよい。また、この支持部材は、細孔基材単体の片側全面に配設されてもよいし、部分的に配設されるものであってもよい。
細孔基材単体(アルミナ細孔部材)と、支持部材とを備えた細孔基材の例を図3に示す。図3の細孔基材1bは、上記で説明した細孔11を備えるアルミナ細孔部12と、このアルミナ細孔部12の内側全面に密着した円筒状の支持部材13と、を有する。この図3において、各細孔は、外周面から垂直に伸びた状態である。尚、本発明においては、上記アルミナ細孔部12と、支持部材13とは、逆の位置関係であってもよい。
本発明の細孔基材は、ガス分離材、高集積電子回路の絶縁層、高密度磁気記録媒体、光記録媒体、発光素子、化学センサー等に利用することができる。
【0015】
本発明の細孔基材の製造方法は、金属アルミニウム層と、この金属アルミニウム層の一方の面を被覆するマスキング層とからなる複合体(x)を作製する複合体作製工程(X)と、上記複合体(x)の上記金属アルミニウム層の露出面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
上記金属アルミニウム層としては、市販の金属板、箔、金属片等をそのまま用いることができる。これらの形状は、板状、筒状等とすることができ、平らであっても、湾曲していても、凹凸があってもよい。
本発明に関わる複合体作製工程(X)は、上記金属アルミニウム層の一方の面を被覆するマスキング層を配設するものである。このマスキング層は、上記アルミニウム層表面の陽極酸化を防ぐために設けるものであり、その構成材料は特に限定されないが、陽極酸化の際の電解液が浸透せず、更には電解液に侵されないものが好ましい。その構成材料としては、樹脂等挙げられる。通常、パラフィンテープ、ワックス、粘着テープ等が用いられる。
【0017】
上記のようにして得られた複合体(x)は、陽極酸化工程において、マスキングされていない側の金属アルミニウム層の表面が陽極酸化される。陽極酸化の際には、マスキングされていない金属アルミニウム層表面のみが電解液に接触するため、陽極酸化が始まると、金属アルミニウム層の酸化と共に表面から内部へ細孔が形成され、この細孔が規則的に配列した構造の酸化膜(アルミナ膜)となる。尚、マスキングされている側の金属アルミニウム層は、電解液と接触しないため、酸化されず、金属状態のままとなる。
【0018】
陽極酸化の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。電圧の印加は、直流であっても間欠(例えば、特開平9−316692号公報、特開2000−8193号公報等参照)であってもよいが、間欠的に行うことが好ましい。ここで、「間欠的に電圧を印加する」とは、間隔をおいて直流電圧を印加することを意味する。間欠的に電圧を印加することで、細孔径のより均一な細孔を形成することができる。また、陽極酸化工程の初期を直流電圧印加とし、中〜後期を間欠電圧印加としてもよい。尚、直流電圧印加のみの場合、形成される細孔径が大きくなりすぎる傾向にあり、ガス分離層を形成する前駆体溶液を塗布すると、この前駆体溶液が細孔の内部にしみ込み、形成されるガス分離層の厚さを精密に制御することが困難となる場合がある。
【0019】
陽極酸化の具体的な方法としては、所定濃度の硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸等からなる電解液に、純度99.5〜99.99%の金属アルミニウムを浸漬し、この金属アルミニウムを陽極とし、また、電解液中に白金等からなる電極を設けてこれを陰極として、電圧を印加する。印加電圧は、通常、0.5〜50V、好ましくは0.5〜30Vであり、また、周波数は、通常、10Hz〜10kHz、好ましくは50Hz〜0.5kHzである。この条件において、通常、0.1〜1000mA程度の電流が流れる。印加時間は、通常、0.1〜40時間である。間欠的に電圧を印加する場合は、矩形、鋸歯状もしくは正弦状の波形を有する間欠電圧を印加することが好ましい。
尚、陽極酸化によって形成される細孔の細孔径は、印加電圧の大きさに依存し、電圧が大きいほど細孔径は大きくなり、電圧が小さいほど細孔径は小さくなる。上記条件により、細孔径を1nm〜50nmの範囲で制御することができる。
【0020】
間欠的に電圧を印加する陽極酸化の際には、終始一定条件で行ってもよいし、段階的に条件を変化させてもよい。一定条件で間欠電圧を印加する場合には、一定の細孔径を有する細孔基材を得ることができる。また、段階的に条件を変化させる場合には、印加電圧の大小に応じた細孔径を有する細孔基材を得ることができる。
形成される細孔基材の機械的強度を十分なものとするために、例えば、陽極酸化初期にて印加電圧を高めとし、細孔径が30〜50nmである細孔を形成し、その後、徐々に印加電圧を小さくし、細孔径も1〜10nm、好ましくは1〜7nm等と小さくなるような条件とすることができる。尚、上記のように、初期の陽極酸化は、直流電圧印加による方法でもよい。
【0021】
陽極酸化工程は、金属アルミニウム層のすべてを酸化させず、細孔が所望の細孔径あるいは所望の長さとなった時点で終了する。その後、必要に応じて、洗浄し、マスキング層除去工程によりマスキング層を取り除き、残存する金属アルミニウム部を露出させる。次いで、アルミニウム除去工程により残存する金属アルミニウム部を取り除く。このアルミニウム除去工程は、陽極酸化によって得られたアルミナを侵さない条件であればどのような方法を適用してもよい。通常、臭素のメタノール溶液、塩化銅の塩酸溶液等を用いて金属アルミニウムを溶解する。
【0022】
上記アルミニウム除去工程によって、陽極酸化アルミナのみからなる材料が得られるが、この時点ではまだ細孔は貫通していない。即ち、陽極酸化の条件によって得られた所定の細孔径を有する細孔は、上記アルミニウム除去工程前の金属アルミニウム部との界面に、半球状の凸型に形成された、アルミナからなる薄いバリア層によって閉じた状態となっている。このバリア層は、バリア層除去工程によって取り除かれ、細孔が貫通した細孔基材を得ることができる。
上記バリア層除去工程は、低濃度の酸(硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、リン酸)等を用いることができる。この処理によって、バリア層が除去され、細孔が貫通し、開口部の細孔径が均一な細孔基材を得ることができる。
その後、必要に応じて、洗浄される。得られた細孔基材は、陽極酸化が安定的に進行するため、細孔の長さをほぼ一定なものとすることができる。
【0023】
他の本発明の細孔基材の製造方法は、少なくとも一部が通気性である支持部材と、この支持部材の上に配設された金属アルミニウム層と、この金属アルミニウム層の上記支持部材側でない全表面を被覆するマスキング層とからなる複合体(y)を作製する複合体作製工程(Y)と、上記複合体(y)の上記支持部材側の上記金属アルミニウム層の表面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする。
【0024】
本製造方法における支持部材としては、上記例示した材料及び形状を有する指示部材を目的に応じて適用すればよいが、金属アルミニウムの陽極酸化を効率よく進行させるため、更に、この支持部材と一体化した細孔基材をガス分離材の1部材としてより機能させるために、少なくとも一部が通気性である材料を用いる。また、電解液等に侵されず、あるいは電解液の組成を変化させない材料であることが好ましい。このような材料としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、多孔質ガラス等のガラス等からなる多孔材が好ましい。また、形状は、円筒状、平板状、網状等が好ましい。これらの形状とすることにより、陽極酸化される金属アルミニウムとの接触あるいは金属アルミニウム層の固定をより確実とすることができる。また、曲線状の線材を螺旋状にしてその外周あるいは内周に金属アルミニウム板等を配設してもよい。
【0025】
上記支持部材の上に配設される金属アルミニウム層は、支持部材の所望の位置にどのような方法で配設されたものであってもよく、例えば、メッキ法、イオンプレーティング法及び真空蒸着法から選ばれる方法、所定形状の金属アルミニウム部材の圧着、嵌合等から選ばれる機械的固定法等が挙げられる。
【0026】
複合体作製工程(Y)における複合体の作製順は特に限定されず、例えば、上記支持部材と、その上に配設された金属アルミニウム層と、からなる積層体に、更にこのアルミニウム層の支持部材側でない全表面にマスキング層を配設する方法等がある。このマスキング層は、支持部材側でないアルミニウム層表面の陽極酸化を防ぐために設けるものである。
【0027】
上記のようにして得られた複合体(y)は、陽極酸化工程において、支持部材側の金属アルミニウム層が陽極酸化される。陽極酸化の際には、支持部材側の金属アルミニウム層表面のみが電解液に接触する(支持部材の一部が通気性である場合には、通気孔を通して電解液と金属アルミニウム層表面と接触する)ため、陽極酸化が始まると、金属アルミニウム層の酸化と共に表面から内部へ細孔が形成され、この細孔が規則的に配列した構造の酸化膜(アルミナ膜)となる。
【0028】
陽極酸化工程における陽極酸化の方法、マスキング層除去工程、アルミニウム除去工程及びバリア層除去工程は、上記と同様とすることができる。
上記本発明の細孔基材の製造方法においては、通常、金属アルミニウム層が電解液と接触する面からその内部方向へと陽極酸化を進め、細孔を形成させた結果、酸化方向に細孔及びその細孔径の分布が規則的な細孔基材を得ることができるが、所望の位置へのマスキング層の配設と、陽極酸化とを多段で組み合わせることにより、複数の表面において、大小さまざまな細孔径を有する細孔基材を得ることもできる。
【0029】
本発明のガス分離材用細孔基材は、上記において説明した細孔基材をガス分離材に用いることを特徴とする。
本発明のガス分離材用細孔基材は、細孔径の小さな細孔を有するため、この基材上の、特に、開口する細孔径が10nm以下である面に、シリカ等からなるガス分離層を形成するための前駆体溶液を、細孔の内部に侵入させることなく所望の厚さで塗布することができ、均一な膜を得ることができる。
上記前駆体溶液としては、例えば、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物を含むもの等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
以下、例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例
1.細孔基材の作製
外径2.0mm±0.1mm、内径1.5mm、長さ50mmの多孔性アルミナキャピラリー(純度;99.99%、平均細孔直径;0.15μm、気孔率;39%±3%)を支持部材とし、この支持部材の外表面を覆うように、化学研磨を施した金属アルミニウム管(純度99.99%、外径3.0mm、内径2.1mm、長さ50mm)を嵌合した。次いで、パラフィンテープ(商品名;「PARAFILM M」、American National Can社製)によって、金属アルミニウム管の表面を被覆(マスキング)し、複合体を得た。
この複合体の外側に白金線電極(アノード)を取り付け、一方、複合体の多孔性アルミナキャピラリー内部に白金線電極(カソード)を通して固定し、2℃に冷却した1mol/リットルの硫酸電解溶液中に入れて陽極酸化を行った。陽極酸化は、間欠電圧を16時間印加して行った。印加電圧は、25Vから10V、5V、2V、1Vと段階的に変化させ、陽極酸化アルミナの細孔径を30nmから12nm、6.5nm、4.5nm、3nmと段階的に小さくした。
陽極酸化後、陽極酸化アルミナ付き複合体を9体積%の臭素のメタノール溶液中に室温にて5時間浸漬し、最外層に残存した金属アルミニウム部を溶解した。その後、金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を、2℃に冷却した1mol/リットルの硫酸溶液中に20時間浸漬して溶解し、細孔を開口させた。これにより、図3に示すような細孔基材(A)を得た。この細孔基材(A)は、支持部材と陽極酸化アルミナとが一体化したものであり、陽極酸化アルミナは、支持部材側の最内部の細孔径が30nm、最外部(最表面)の細孔径が3nm、長さが150μmであり、且つ支持部材に対して垂直方向に貫通する細孔が多数配列していた。この細孔基材(A)の細孔径分布を測定したところ、図4に示すような結果となった。図4より、得られた細孔基材(A)を構成する細孔の細孔径は、大部分が30Å(3nm)であることが分かる。
【0031】
2.細孔基材の評価
上記で得られた細孔基材(A)を以下の要領で評価した。まず、細孔基材(A)の1端部を低融点ガラスによって封止し、更にもう一方の端部を外径6mm、内径3mm、長さ120mmの緻密アルミナ管(ハルデンワンガー社製)に熱処理により接合した。このときの熱処理温度600℃である。
この接合体を用い、図5に示すガス透過試験装置を用い、水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)及び一酸化炭素ガス(CO)の透過率を測定し、ガス分離性能を表す指標として透過率の比である透過係数比αを各使用ガスに対して求めた。
測定は、定容積圧力変化法に基づき、300℃及び500℃における単成分ガス透過試験を行った。まず、減圧にした透過側ラインに設置したバッファタンク内の圧力変化によってガス分子の流量を定量する。大気圧の供給ガスを、上記細孔基材を保持した透過セル内に200ml/minにて流し、真空ポンプにてバッファタンク内を30Torrに減圧した後に、真空ポンプとバッファタンクとの間に設置したストップバルブを閉じ、圧力計P2によってタンク内が40Torrに昇圧するまでの時間を計測した。用いた単成分ガスの種類はH2、N2、CO及びCH4の4種であり、単位膜面積及び単位圧力差のもとで上記細孔基材(A)を透過するガス量について、透過率を測定した。単位は、mol/m2・s・Paである。得られた透過率及び透過係数比を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
一般に、ガス分離材(ガス分離膜)用の基材としては、10−6mol/m2・s・Pa以上の透過率を有すれば十分とされており、表1より、上記細孔基材(A)についても優れた透過率を示していることが分かる。
また、上記基材は直径3nmの細孔を有するために、その透過機構は、透過率がガス成分の分子量の平方根に反比例する関係、即ち、Knudsen則に従うことが分かった。同則は細孔径2〜50nmにて支配的であることが知られており、本特性と良い整合性を示す。
【0034】
3.ガス分離材の製造及び評価
以下の要領で、上記緻密アルミナ管に接合した細孔基材(A)の細孔基材表面にガス分離層を形成させ、ガス分離材(A)を製造した。まず、シリカ源として0.033molのテトラエトキシシランを、2molのエタノールに溶かし室温で攪拌した。その後、この溶液に、0.5Nの塩酸溶液を0.7ml滴下し、2時間攪拌し、シリカ前駆体溶液を得た。次いで、上記細孔基材(A)の細孔基材部を、このシリカ前駆体溶液中に1分間浸すことでディップコートを行い、大気中600℃で熱処理を行った。これを4回繰り返してガス分離層21を形成させ、ガス分離材(A)2aを得た(図6参照)。
得られたガス分離材(A)の断面電子顕微鏡画像と同一箇所のエネルギー分散型X線分析による元素分析結果を図7に併せて示す。塗布したシリカ前駆体溶液に由来するSi元素が細孔基材の内部にはほとんど侵入していないことが分かる。
また、得られたガス分離材(A)のガス分離性能を上記細孔基材(A)の場合と同様にして測定した。その結果を表1に併記した。
表1より、300℃における透過係数比が3桁のオーダーにまで良化し、500℃における透過係数比も、例えば、α(H2/CO)の場合、63であり、優れた性能を示すことが分かる。
【0035】
比較例
1.細孔基材の作製
外径10mm、内径8mm、長さ50mmの多孔質α−アルミナ(平均細孔径;0.1μm)を支持部材とし、これに約0.5mol/リットルのベーマイトゾル溶液をディップコートにより塗布し、大気中600℃で熱処理を行った。これを2回繰り返し、細孔基材(B)を得た。この細孔基材(B)の細孔径分布を測定したところ、図8に示すような結果となった。図8より、得られた細孔基材(B)の細孔径(孔径)は20〜100Å(2〜10nm)の広い分布を有することが分かる。ピークトップで見ると、細孔径(孔径)は平均5nmである。
【0036】
2.細孔基材の評価
上記で得られた細孔基材(B)の透過率の測定を、上記実施例と同様にして行った。その結果を表2に示す。
また、上記基材は直径5nmの細孔を有するために、その透過機構は、透過率がガス成分の分子量の平方根に反比例する関係、即ち、Knudsen則に従うことが分かった。同則は細孔径2〜50nmにて支配的であることが知られており、本特性と良い整合性を示す。
【0037】
【表2】
【0038】
3.ガス分離材の製造及び評価
上記で得られた細孔基材(B)の接合体を、上記実施例で調製したシリカ前駆体溶液に1分間浸すことでディップコートを行い、大気中600℃で熱処理を行った。これを10回繰り返すことでようやくガス分離層21を形成させ、分子ふるい性能を有するガス分離材(B)2bとすることができた(図9参照)。
得られたガス分離材(B)の断面の電子顕微鏡画像と同一箇所のエネルギー分散型X線分析による元素分析結果を図10に併せて示す。塗布したシリカ前駆体溶液に由来するSi元素が細孔基材の内部に侵入していることが分かる。
また、得られたガス分離材(B)のガス分離性能を上記と同様にして測定した。その結果を表2に併記した。
表2より、300℃における透過係数比が2桁のオーダーに留まり、500℃における透過係数比も、例えば、α(H2/CO)の場合、30と実施例に比べ劣っていた。また、分子ふるい性能の発現に、10回の塗布工程を要したために、ガス分離層の厚さが実施例のそれよりも厚くなり、透過率及び透過係数比が低下したものと考えられる。
【0039】
実施例の効果
上記実施例で得られた細孔基材は、図4からも明らかなように、細孔径が3nm、4.5nm及び6.5nmといった特定の値で突出した分布となっているが、最表面の細孔の大部分が3nmであり、同一径の細孔が配列しているものと考えられる。このように、細孔が規則的に配列した細孔基材上にガス分離層を形成しても、容易に所望の厚さとすることができ、欠陥がなく、均一性も高い。従って、ガス分離材とした場合には、ガス分離層の特性をそのまま生かした性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細孔基材を示す説明斜視図である。
【図2】細孔径が段階的に異なる細孔チャンネルを有する細孔基材を示す説明縦断面図である。
【図3】円筒形支持部材の上に細孔チャンネルが配列した細孔基材を示す説明斜視図である。
【図4】実施例で得られた細孔基材の細孔径分布を示すグラフである。
【図5】定容積圧力変化法を原理とするガス透過性能評価装置の模式図である。
【図6】実施例で得られたガス分離材を示す縦断面概略図である。
【図7】実施例においてガス分離層を形成した際の、細孔基材部の断面画像及び細孔基材に対するシリカ前駆体溶液の含浸程度を比較したSi元素のEDXチャートである。
【図8】比較例で得られた細孔基材の細孔径分布を示すグラフである。
【図9】比較例で得られたガス分離材を示す縦断面概略図である。
【図10】比較例においてガス分離層を形成した際の、細孔基材部の断面画像及び細孔基材に対するシリカ前駆体溶液の含浸程度を比較したSi元素のEDXチャートである。
【符号の説明】
1,1a及び1b;細孔基材、11;細孔、12;アルミナ細孔部、13;支持部材、14;ベーマイト、2a及び2b;ガス分離材、21;ガス分離層。
Claims (9)
- アルミナからなる基材の1面から他面に貫通する細孔が多数配列し、少なくとも1面に開口する細孔の最大径が10nm以下であることを特徴とする細孔基材。
- 上記細孔の径が、該細孔の延長方向に段階的に異なる請求項1に記載の細孔基材。
- 更に、少なくとも一部が通気性である支持部材を備える請求項1又は2に記載の細孔基材。
- 金属アルミニウム層と、該金属アルミニウム層の一方の面を被覆するマスキング層とからなる複合体を作製する複合体作製工程と、上記複合体の上記金属アルミニウム層の露出面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする細孔基材の製造方法。
- 少なくとも一部が通気性である支持部材と、該支持部材の上に配設された金属アルミニウム層と、該金属アルミニウム層の上記支持部材側でない全表面を被覆するマスキング層とからなる複合体を作製する複合体作製工程と、上記複合体の上記支持部材側の上記金属アルミニウム層の表面を陽極酸化する陽極酸化工程と、上記マスキング層を取り除くマスキング層除去工程と、残存する金属アルミニウム部を取り除くアルミニウム除去工程と、陽極酸化アルミナからなり且つ上記金属アルミニウム部との界面に形成されたバリア層を取り除くバリア層除去工程とを備えることを特徴とする細孔基材の製造方法。
- 上記陽極酸化工程において、電圧の印加を間欠的に行う請求項4又は5に記載の細孔基材の製造方法。
- 上記陽極酸化工程において、印加電圧を変化させながら行う請求項4乃至6のいずれかに記載の細孔基材の製造方法。
- 上記金属アルミニウム層の配設は、メッキ法、イオンプレーティング法及び真空蒸着法から選ばれる方法、あるいは、金属アルミニウム部材の圧着及び嵌合から選ばれる機械的固定法による請求項4乃至7のいずれかに記載の細孔基材の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の細孔基材をガス分離材に用いることを特徴とするガス分離材用細孔基材。
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