JP2008045170A - 貫通細孔を有するポーラスアルミナおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも1層のアルミニウム層をアルミニウム基層上に密着させ、陽極酸化することによりアルミニウム層をポーラスアルミナ層にするとともに該ポーラスアルミナ層に該ポーラスアルミナ層を貫通してアルミニウム基層まで延びる細孔を形成し、しかる後にポーラスアルミナ層を剥離することを特徴とする貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法、およびその方法により製造された貫通細孔を有するポーラスアルミナ。
【選択図】図1
Description
H. Masuda and K. Fukuda, Science, 268, 1466 (1995) H. Masuda et al., Appl. Phys. Lett., 71,2770 (1997)
図1は、本発明の一実施態様に係る貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法を示している。アルミニウム層としてのアルミニウム箔1をアルミニウム基層としてのアルミニウム板2の上に密着させ、このアルミニウム箔1を陽極酸化することで、各細孔が貫通したポーラスアルミナを得ることができる。図示例では説明の簡素化のために1層のアルミニウム箔1を示しているが、複数枚積層してもよい。アルミニウム箔1は、所定条件での陽極酸化により、細孔3が形成されたポーラスアルミナの層4とされるが、細孔3がアルミニウム基層としてのアルミニウム板2内に延びるまで処理が進められる。このとき、細孔3が形成されたポーラスアルミナ部分の底部に形成されるバリア層5は、アルミニウム板2内に位置することになり、アルミニウム箔1からポーラスアルミナ層4に転換された部分に対しては、直行する細孔3が完全にポーラスアルミナ層4を貫通して延びることになる。所定の陽極酸化後に、ポーラスアルミナ層4がアルミニウム板2から剥離されることにより、目標とする貫通細孔を有するポーラスアルミナ6が得られる。複数のアルミニウム箔1を積層した場合には、形成された各ポーラスアルミナ層4を順次剥離させればよい。剥離に際しては、前述の如く、酸性溶液中に浸漬した後剥離すると、剥離が容易になる。また、アルミニウム箔1の密着積層に際しては、前述の如く、圧着(たとえばローラー式圧着機構を用いて圧着)すると、アルミニウム箔1の密着度がより高められ、間に電解液が侵入することが回避されて、陽極酸化がより確実に行われるようになる。さらに、事前にアルミニウム箔1の表面の酸化皮膜を溶解除去や、加熱により軟化させた後アルミニウム板2上に密着させると、より確実な密着状態が得られる。
純度99.9%、厚さ30μmのアルミニウム箔と、純度99.99%、厚さ400μmのアルミニウム板をそれぞれ、400℃で1時間アニール処理し軟化させた。アニール後の試料は、過塩素酸とエタノールの混合溶液中で電解研磨を行い鏡面とした後、クロム酸−リン酸混合溶液中で表面の酸化皮膜を溶解除去した。前処理後のアルミニウム板の両面にアルミニウム箔を3枚づつ積層させ、ローラー式圧着装置で試料の圧着を行った。圧着後の試料は、0.3Mシュウ酸水溶液中、浴温17℃において直流40Vの条件下で17時間陽極酸化を行った。試料表面に形成されたアルミナ層は、5wt%のリン酸水溶液に5分間浸漬することにより、容易に剥離することが可能であった。図3に、剥離後の貫通細孔を有するポーラスアルミナ6の電子顕微鏡による観察結果を示す。図4に、より拡大観察した、アルミニウム板直上のポーラスアルミナ層4部分とアルミニウム板2の表面部分の電子顕微鏡による観察結果を示す。
実施例1と同様の方法で前処理したアルミニウム箔をアルミニウム板の上に積層させ、100nm周期の規則的な突起パターンを有するモールドを押し付けることで、アルミニウム箔の圧着と窪み形成を同時に行った。表面に規則的な窪み配列を形成した圧着試料を0.5Mシュウ酸浴中、浴温17℃、化成電圧40Vにおいて6時間陽極酸化を行った。陽極酸化後の試料は、5wt%リン酸水溶液中に5分間浸漬した後、理想配列貫通細孔を有するポーラスアルミナを剥離した。
2 アルミニウム基層としてのアルミニウム板
3 細孔
4 ポーラスアルミナ層
5 バリア層
6 貫通細孔を有するポーラスアルミナ
7 突起パターン
8 モールド
9 窪み
Claims (14)
- 少なくとも1層のアルミニウム層をアルミニウム基層上に密着させ、陽極酸化することにより前記アルミニウム層をポーラスアルミナ層にするとともに該ポーラスアルミナ層に該ポーラスアルミナ層を貫通して前記アルミニウム基層まで延びる細孔を形成し、しかる後に前記ポーラスアルミナ層を剥離することを特徴とする貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 複数のアルミニウム層を前記アルミニウム基層上に積層し、前記陽極酸化後に、形成された各ポーラスアルミナ層を順次剥離する、請求項1に記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 前記アルミニウム層がアルミニウム箔またはアルミニウム薄板からなる、請求項1または2に記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 前記アルミニウム層を前記アルミニウム基層上に密着させるに際し、外部から圧力を加えて前記アルミニウム層を前記アルミニウム基層に圧着させる、請求項1〜3のいずれかに記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- ローラー式圧着機構を用いて圧着させる、請求項4に記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 前記アルミニウム層の表面に形成された酸化皮膜を溶解除去した後、該アルミニウム層を前記アルミニウム基層上に密着させる、請求項1〜5のいずれかに記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 前記アルミニウム層を加熱により軟化させた後、該アルミニウム層を前記アルミニウム基層上に密着させる、請求項1〜6のいずれかに記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 前記陽極酸化後のポーラスアルミナ層を、酸性溶液中に浸漬した後剥離する、請求項1〜7のいずれかに記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- シュウ酸を電解液として用い、化成電圧30V〜40Vにて陽極酸化する、請求項1〜8のいずれかに記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 硫酸を電解液として用い、化成電圧10V〜30Vにて陽極酸化する、請求項1〜8のいずれかに記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- リン酸を電解液として用い、化成電圧180V〜200Vにて陽極酸化する、請求項1〜8のいずれかに記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 前記陽極酸化に先立ち、最表層のアルミニウム層の表面に微細な窪みを形成し、これを陽極酸化時の細孔発生の開始点とし前記ポーラスアルミナ層を形成する、請求項1〜11のいずれかに記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 前記微細な窪みを形成するに際し、前記最表層のアルミニウム層上に、表面に所定の突起パターンを有するモールドを置き、該モールドに荷重を加える、請求項12に記載の貫通細孔を有するポーラスアルミナの製造方法。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の方法により製造された、貫通細孔を有するポーラスアルミナ。
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