JP2010285662A - 微細構造体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細構造体を高精度に製造する。
【解決手段】基板11上に被陽極酸化金属膜21を形成する工程(A)と、被陽極酸化金属膜21に、基板11に形成する凹部12のパターンに合わせたパターンで凹部22を形成する工程(B)と、凹部22のピッチに合ったピッチで微細孔23が開孔する陽極酸化条件で被陽極酸化金属膜21を部分的に陽極酸化して、微細孔膜部24とバリア層部25とからなる陽極酸化膜26を形成する工程(C1)と、バリア層部25において微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(D)と、非陽極酸化部分27において微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(E)と、微細孔膜部24をマスクとしてエッチングを行い、基板11に凹部12を形成する工程(F)と、陽極酸化膜26と非陽極酸化部分27とを除去する工程(G1)とを順次実施する。
【選択図】図2
【解決手段】基板11上に被陽極酸化金属膜21を形成する工程(A)と、被陽極酸化金属膜21に、基板11に形成する凹部12のパターンに合わせたパターンで凹部22を形成する工程(B)と、凹部22のピッチに合ったピッチで微細孔23が開孔する陽極酸化条件で被陽極酸化金属膜21を部分的に陽極酸化して、微細孔膜部24とバリア層部25とからなる陽極酸化膜26を形成する工程(C1)と、バリア層部25において微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(D)と、非陽極酸化部分27において微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(E)と、微細孔膜部24をマスクとしてエッチングを行い、基板11に凹部12を形成する工程(F)と、陽極酸化膜26と非陽極酸化部分27とを除去する工程(G1)とを順次実施する。
【選択図】図2
Description
本発明は、対象とする光の波長に対して透過性を有する基板の表層に周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体とその製造方法に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に代表される発光素子は、発光層等の水分混入による劣化等を抑制するために、封止ガラス等の封止材により封止されて使用される。従来より、発光素子と封止ガラス等の封止材との屈折率差により、発光層で発光した光のうちの一部が全反射を繰り返して外部に出射されないことが知られている。全反射する光の角度成分を回折及び/又は散乱させて外部に取り出すために、基板の表層に微細な凹凸を設けることが提案されている。
非特許文献1には干渉露光による基板の微細加工方法が提案されているが、この方法ではディスプレイ等の用途に必要な大面積化は難しい。集束イオンビーム(FIB)あるいは電子ビーム(EB)等の電子描画による基板の微細加工方法もあるが、加工に時間がかかり、大面積化も難しい。
非特許文献2には、基板の表面に単層構造の微粒子層を形成し、これをマスクとして基板をエッチングする基板の微細加工方法が提案されている。非特許文献2には、基板上に熱可塑性樹脂層を形成する工程と、積層構造の微粒子層を形成する工程と、基板を加熱して熱可塑性樹脂層を軟化させることにより、最下層の微粒子層を熱可塑性樹脂層に埋め込む工程と、基板を洗浄して最下層以外の微粒子層を除去する工程とを実施して、基板の表面に単層構造の微粒子層を形成するプロセスが挙げられている(図2等を参照)。熱可塑性樹脂層の厚みを制御することで、基板の表面に単層構造の微粒子層を接着できると記載されている。この方法によれば、大面積化は可能である。しかしながら、多数の微粒子の配列にはドメイン構造が形成されることが一般的に知られており、完全周期構造の配列構造は作製できない。このため場所によって配列構造にムラが形成される可能性がある。
特許文献1の請求項10には、
(a)基板上に金属層を形成させる工程と、
(b)前記金属層を陽極酸化してホールが形成された金属酸化層に形成させる工程と、
(c)前記金属酸化層のホールに対応するように前記基板内にホールを形成させる工程と、
(d)前記金属酸化層を除去し、その上部に第1半導体層、活性層及び第2半導体層を順次に形成させる工程と、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法が開示されている。
(a)基板上に金属層を形成させる工程と、
(b)前記金属層を陽極酸化してホールが形成された金属酸化層に形成させる工程と、
(c)前記金属酸化層のホールに対応するように前記基板内にホールを形成させる工程と、
(d)前記金属酸化層を除去し、その上部に第1半導体層、活性層及び第2半導体層を順次に形成させる工程と、を含むことを特徴とする半導体発光素子の製造方法が開示されている。
Appl.Phys.Lett.Vol.82 No.21 (2003)
東芝レビューVol.63 No.8 P.70
特許文献1の段落0031には、工程(c)をドライエッチングにより実施することが記載されている。陽極酸化膜をマスクとして基板をドライエッチングする場合、エッチングイオンが陽極酸化膜の複数の微細孔内を直進して、基板に到達することが求められる。
しかしながら、特許文献1の図6AのSEM写真では、陽極酸化膜の複数の微細孔の開口径及び開口ピッチのばらつきが大きい。陽極酸化では膜自身の自己組織化が起こるので、用いる電界質の種類・濃度及び印加電圧等の陽極酸化条件によって、安定的に形成される微細孔の径及びピッチが決まる。そのため、陽極酸化初期にランダムな径及びピッチで複数の微細孔が形成された場合、膜の内部では自己組織化によってその陽極酸化条件に合った径及びピッチになろうとし、形成される微細孔は厚み方向に蛇行したものとなってしまう。かかる陽極酸化膜をマスクとして基板をエッチングしても、基板を精度良く加工することはできない。マスクとなる陽極酸化膜の微細孔はピッチのばらつきのない周期的な構造であることが好ましい。
陽極酸化膜の底部には通常、微細孔を有しないバリア層部が形成されるが、特許文献1には、バリア層部について記載がない。特許文献1の段落0031−0032,図4A及び図4Bには、陽極酸化によって、バリア層部がなく、陽極酸化膜を貫通する複数の微細孔を有する陽極酸化膜がいきなり形成され、これをマスクとして基板をドライエッチングする態様のみが記載されている。バリア層部と基板とは材質が変わるので、好適なエッチング条件は変わるはずであるが、特許文献1にはそもそもバリア層部について記載がないので、特許文献1を参照しても加工条件が分からない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体を高精度に製造することができ、大面積化も可能な微細構造体の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の第1の微細構造体の製造方法は、
対象とする光の波長に対して透過性を有する基板の表層に、周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体の製造方法において、
前記基板上に被陽極酸化金属膜を形成する工程(A)と、
前記被陽極酸化金属膜の表層に、前記基板に形成する前記複数の凹部のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部を形成する工程(B)と、
前記被陽極酸化金属膜に形成した前記複数の凹部を起点として、該複数の凹部のピッチに合ったピッチで複数の微細孔が開孔する陽極酸化条件で前記被陽極酸化金属膜を厚み方向に部分的に陽極酸化して、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔を有する微細孔膜部と、複数の微細孔を有しないバリア層部とからなる陽極酸化膜を形成する工程(C1)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記バリア層部において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(D)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記被陽極酸化金属膜の陽極酸化されずに残された非陽極酸化部分において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(E)と、
前記微細孔膜部をマスクとしてエッチングを行い、前記基板の表層に前記複数の凹部を形成する工程(F)と、
前記陽極酸化膜と、前記被陽極酸化金属膜の前記非陽極酸化部分とを除去する工程(G1)とを順次有することを特徴とするものである。
対象とする光の波長に対して透過性を有する基板の表層に、周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体の製造方法において、
前記基板上に被陽極酸化金属膜を形成する工程(A)と、
前記被陽極酸化金属膜の表層に、前記基板に形成する前記複数の凹部のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部を形成する工程(B)と、
前記被陽極酸化金属膜に形成した前記複数の凹部を起点として、該複数の凹部のピッチに合ったピッチで複数の微細孔が開孔する陽極酸化条件で前記被陽極酸化金属膜を厚み方向に部分的に陽極酸化して、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔を有する微細孔膜部と、複数の微細孔を有しないバリア層部とからなる陽極酸化膜を形成する工程(C1)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記バリア層部において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(D)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記被陽極酸化金属膜の陽極酸化されずに残された非陽極酸化部分において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(E)と、
前記微細孔膜部をマスクとしてエッチングを行い、前記基板の表層に前記複数の凹部を形成する工程(F)と、
前記陽極酸化膜と、前記被陽極酸化金属膜の前記非陽極酸化部分とを除去する工程(G1)とを順次有することを特徴とするものである。
本発明の第1の微細構造体の製造方法において、
前記陽極酸化膜の前記複数の微細孔の径と前記陽極酸化膜の厚みとのアスペクト比が1:100以下となる条件で、前記工程(C1)を実施することが好ましい。
前記陽極酸化膜の前記複数の微細孔の径と前記陽極酸化膜の厚みとのアスペクト比が1:100以下となる条件で、前記工程(C1)を実施することが好ましい。
本発明の第2の微細構造体の製造方法は、
対象とする光の波長に対して透過性を有する基板の表層に、周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体の製造方法において、
前記基板上に被陽極酸化金属膜を形成する工程(A)と、
前記被陽極酸化金属膜の表層に、前記基板に形成する前記複数の凹部のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部を形成する工程(B)と、
前記被陽極酸化金属膜に形成した前記複数の凹部を起点として、該複数の凹部のピッチに合ったピッチで複数の微細孔が開孔する陽極酸化条件で前記被陽極酸化金属膜を厚み方向にすべて陽極酸化して、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔を有する微細孔膜部と、複数の微細孔を有しないバリア層部とからなる陽極酸化膜を形成する工程(C2)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記バリア層部において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(D)と、
前記微細孔膜部をマスクとしてエッチングを行い、前記基板の表層に前記複数の凹部を形成する工程(F)と、
前記陽極酸化膜を除去する工程(G2)とを順次有することを特徴とするものである。
対象とする光の波長に対して透過性を有する基板の表層に、周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体の製造方法において、
前記基板上に被陽極酸化金属膜を形成する工程(A)と、
前記被陽極酸化金属膜の表層に、前記基板に形成する前記複数の凹部のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部を形成する工程(B)と、
前記被陽極酸化金属膜に形成した前記複数の凹部を起点として、該複数の凹部のピッチに合ったピッチで複数の微細孔が開孔する陽極酸化条件で前記被陽極酸化金属膜を厚み方向にすべて陽極酸化して、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔を有する微細孔膜部と、複数の微細孔を有しないバリア層部とからなる陽極酸化膜を形成する工程(C2)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記バリア層部において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(D)と、
前記微細孔膜部をマスクとしてエッチングを行い、前記基板の表層に前記複数の凹部を形成する工程(F)と、
前記陽極酸化膜を除去する工程(G2)とを順次有することを特徴とするものである。
本発明の第2の微細構造体の製造方法において、前記陽極酸化膜の前記複数の微細孔の径と前記陽極酸化膜の厚みとのアスペクト比が1:100以下となる条件で、前記工程(A)と前記工程(C2)とを実施することが好ましい。
本発明の微細構造体は、上記の本発明の第1又は第2の微細構造体の製造方法により製造されたものであることを特徴とするものである。
本発明の微細構造体は、全反射防止基板として好適に利用できる。
本発明の微細構造体は、全反射防止基板として好適に利用できる。
本明細書において、「微細孔が厚み方向に直進的に延びている」とは、微細孔を厚み方向で見たときの上端と下端の中心の位置ずれが微細孔の直径以下であると定義する。
本発明によれば、周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体を高精度に製造することができ、大面積化も可能な微細構造体の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により製造される微細構造体は、全反射防止基板等として好適に利用できる。本発明の微細構造体を有機EL素子等の発光素子等の基板として用いることで、微細な凹凸のない基板を用いる場合に全反射する光の角度成分を回折及び/又は散乱させて外部に取り出すことができ、光の利用効率を高めることができる。
本発明の製造方法により製造される微細構造体は、全反射防止基板等として好適に利用できる。本発明の微細構造体を有機EL素子等の発光素子等の基板として用いることで、微細な凹凸のない基板を用いる場合に全反射する光の角度成分を回折及び/又は散乱させて外部に取り出すことができ、光の利用効率を高めることができる。
「第1実施形態の微細構造体の製造方法」
図面を参照して、本発明に係る第1実施形態の微細構造体の製造方法、及びこの製造方法により製造される微細構造体について説明する。図1(a)〜(d)及び図2(a)〜(f)は各工程を示す断面図、図3は陽極酸化によって微細孔が形成される様子を示す斜視図である。
図面を参照して、本発明に係る第1実施形態の微細構造体の製造方法、及びこの製造方法により製造される微細構造体について説明する。図1(a)〜(d)及び図2(a)〜(f)は各工程を示す断面図、図3は陽極酸化によって微細孔が形成される様子を示す斜視図である。
図2(f)に示すように、本実施形態の微細構造体10は、対象とする光の波長に対して透過性を有する基板11の表層に、周期的なパターンで形成された複数の凹部12を有するものである。複数の凹部12のパターン(凹部の形状、ピッチ、及び配列パターン)は、図3に示す微細孔23のパターンに対応している。
本実施形態の微細構造体10は全反射防止板等として好適に利用できるものであり、有機EL素子等の発光素子の基板等として好適に利用できるものである。全反射防止板として利用する場合、上記で言う「対象とする光」は全反射を抑制したい光を指し、有機EL素子等の発光素子用であれば、発光素子から発光する光である。
基板11の主成分は対象とする光の波長に応じて適宜選定され、特に制限されない。基板11の主成分としては、SiO2,及びITO(インジウム錫酸化物)等の1種又は2種以上の透明材料が好ましい。本明細書において、「主成分」は80質量%以上の成分であると定義する。
複数の凹部12のピッチは対象とする光の波長に応じて適宜選定され、特に制限されない。可視光を対象とする場合、複数の凹部12のピッチは10μm以下が好ましい。
以下、微細構造体10の製造方法について説明する。
(工程(A))
はじめに、図1(a)に示すように、複数の凹部12が形成される前の平坦な基板11上に被陽極酸化金属膜21を形成する。被陽極酸化金属膜21の主成分としては陽極酸化可能なものであればよく、Al,Ti,Ta,Hf,Zr,Si,In,及びZn等の1種又は2種以上の金属が挙げられる。被陽極酸化金属膜21の主成分としてはAl等が好ましい。
(工程(A))
はじめに、図1(a)に示すように、複数の凹部12が形成される前の平坦な基板11上に被陽極酸化金属膜21を形成する。被陽極酸化金属膜21の主成分としては陽極酸化可能なものであればよく、Al,Ti,Ta,Hf,Zr,Si,In,及びZn等の1種又は2種以上の金属が挙げられる。被陽極酸化金属膜21の主成分としてはAl等が好ましい。
(工程(B))
次に、図2(a)に示すように、被陽極酸化金属膜21の表層に、基板11に形成する複数の凹部12のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部22を形成する。
複数の凹部22の形成は、図1(b)に示すように被陽極酸化金属膜21の表面にレジスト膜31を形成し、図1(c)に示すようにレジスト膜31の表層に複数の凹部22の合わせたパターンで複数の凹部32を形成し、図1(d)に示すように複数の凹部32を形成したレジスト膜31をマスクとして被陽極酸化金属膜21をエッチングして複数の凹部22を形成し、図2(a)に示すようにレジスト膜31を除去することで、実施できる。
次に、図2(a)に示すように、被陽極酸化金属膜21の表層に、基板11に形成する複数の凹部12のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部22を形成する。
複数の凹部22の形成は、図1(b)に示すように被陽極酸化金属膜21の表面にレジスト膜31を形成し、図1(c)に示すようにレジスト膜31の表層に複数の凹部22の合わせたパターンで複数の凹部32を形成し、図1(d)に示すように複数の凹部32を形成したレジスト膜31をマスクとして被陽極酸化金属膜21をエッチングして複数の凹部22を形成し、図2(a)に示すようにレジスト膜31を除去することで、実施できる。
図1(c)のようにレジスト膜31の表層に複数の凹部22の合わせたパターンで複数の凹部32を形成する方法としては、集束イオンビーム(FIB)あるいは電子ビーム(EB)等の電子描画技術、ナノインプリント、及びマスク露光等が挙げられる。
ここでは、レジストパターンをマスクとして被陽極酸化金属膜21をパターニングする場合を例として挙げたが、図1(b)〜(d)の工程を実施する代わりに、ナノインプリントにより被陽極酸化金属膜21を直接パターニングしてもよい。また、モールドを用いて、基板11上に図2(a)に示す被陽極酸化金属膜21を直接成型してもよい。
(工程(C1))
次に、図2(b)に示すように、被陽極酸化金属膜21に形成した複数の凹部22を起点として、被陽極酸化金属膜21を厚み方向に部分的に陽極酸化して、複数の微細孔23を有する微細孔膜部24と、複数の微細孔23を有しないバリア層部25とからなる陽極酸化膜26を形成する。陽極酸化膜26の主成分は被陽極酸化金属膜21の主成分の金属酸化物となる。例えば、被陽極酸化金属膜21の主成分がAlの場合、陽極酸化膜26の主成分はAl2O3となる。
次に、図2(b)に示すように、被陽極酸化金属膜21に形成した複数の凹部22を起点として、被陽極酸化金属膜21を厚み方向に部分的に陽極酸化して、複数の微細孔23を有する微細孔膜部24と、複数の微細孔23を有しないバリア層部25とからなる陽極酸化膜26を形成する。陽極酸化膜26の主成分は被陽極酸化金属膜21の主成分の金属酸化物となる。例えば、被陽極酸化金属膜21の主成分がAlの場合、陽極酸化膜26の主成分はAl2O3となる。
本実施形態では、被陽極酸化金属膜21を厚み方向に部分的に陽極酸化するので、被陽極酸化金属膜21の一部が陽極酸化されずに残る。図中、被陽極酸化金属膜21において陽極酸化されずに残された非陽極酸化部分に符号27を付してある。
図3に示すように、被陽極酸化金属膜21を陽極酸化すると、表面21sから該面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、複数の微細孔23を有する陽極酸化膜26が形成される。
陽極酸化膜26は、多数の平面視略正六角形状の微細柱状体26aが隙間なく配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体26aの略中心部には、表面21sから深さ方向に略ストレートに延びる微細孔23が開孔され、各微細柱状体26aの底面は丸みを帯びた形状となる。通常、微細柱状体26aの底部には複数の微細孔23のないバリア層部25が形成される。
陽極酸化膜26は、多数の平面視略正六角形状の微細柱状体26aが隙間なく配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体26aの略中心部には、表面21sから深さ方向に略ストレートに延びる微細孔23が開孔され、各微細柱状体26aの底面は丸みを帯びた形状となる。通常、微細柱状体26aの底部には複数の微細孔23のないバリア層部25が形成される。
本実施形態の製造方法では、被陽極酸化金属膜21の陽極酸化に先立ち、基板11に形成する複数の凹部12のパターンに合わせたパターンで、被陽極酸化金属膜21の表層に陽極酸化の起点となる複数の凹部22を形成しているので、複数の凹部22が起点となり、微細孔23の形成を複数の凹部22の位置から開始させることができる。起点となる複数の凹部22がなければ、「背景技術」の項に挙げた特許文献1の図6Aのように、微細孔の形成が膜面内でランダムに開始することがあり、複数の微細孔23を所望のパターンで安定的に精度良く形成することが難しい。
陽極酸化では膜自身の自己組織化が起こるので、用いる電界質の種類・濃度及び印加電圧等の陽極酸化条件によって、安定的に形成される微細孔の径及びピッチが決まる。したがって、起点とする複数の凹部22のピッチと、その陽極酸化条件で安定的に形成される微細孔のピッチとがずれていると、複数の凹部22のピッチで微細孔23の形成が開始されても、膜の内部では自己組織化によってその陽極酸化条件に合ったピッチになろうとし、形成される微細孔は厚み方向に蛇行したものとなってしまう。本実施形態では、被陽極酸化金属膜21に形成した複数の凹部22のピッチに合ったピッチで複数の微細孔23が開孔する陽極酸化条件で、被陽極酸化金属膜21の陽極酸化を実施する。
本実施形態では、起点制御、及び起点のピッチと陽極酸化条件により安定的に形成される微細孔のピッチとのマッチングにより、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔23を形成することができる。本実施形態では、上端と下端の中心の位置ずれが微細孔の直径以下であるストレートな微細孔23を形成することができる。
本実施形態では、先の工程において、FIBやEB等の電子描画等により複数の凹部22を形成しているが、複数の凹部22は陽極酸化の起点として機能すればよい。図3では、凹部22を円状で図示してあるが、そのピッチさえ精度良く制御すればいかなる形状でもよく、形状精度も高精度である必要はない。
電子描画では例えば、矩形状の凹部に比して円状の凹部を形成することはデータ数が多くなるため、難しく処理時間がかかる。本実施形態では例えば、電子描画が比較的容易な矩形状の複数の凹部22を形成し、これを起点として陽極酸化を実施して円筒状の微細孔23を形成することができる。電子描画により複数の凹部22を形成する場合もパターニングを高精度に実施する必要がないので、電子描画により直接基板を加工する場合に比して、電子描画にかかる時間が少なくて済み、大面積化も可能である。
陽極酸化は、図2(a)に示した基板を陽極とし陰極と共に電解質に浸漬させ、陽極陰極間に電圧を印加することで実施できる。陰極としてはカーボンやアルミニウム等が使用される。電解質としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、及びアミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
陽極酸化条件は使用する電解質の種類にもより特に制限されない。条件としては例えば、電解質濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.005〜0.60A/cm2、電圧1〜200V、電解時間3〜500分の範囲が好ましい。
陽極酸化条件は使用する電解質の種類にもより特に制限されない。条件としては例えば、電解質濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.005〜0.60A/cm2、電圧1〜200V、電解時間3〜500分の範囲が好ましい。
可視光を対象とする場合、複数の凹部12のピッチは10μm以下が好ましいことを述べた。通常、微細孔23のピッチは10〜500nmの範囲で、微細孔23の径は5〜400nmの範囲でそれぞれ制御可能である。通常、微細孔23の孔径はピッチの1/3程度となる。特開2001−9800号公報及び特開2001−138300号公報等には、微細孔の形成位置や径をより細かく制御する方法が開示されている。微細孔の深さは陽極酸化時間によって制御できる。これらの方法を用いることにより、所望のピッチ、径、及び深さを有する複数の微細孔23を形成することができる。
バリア層部25の厚みは通常、0.01〜0.4μm程度である。陽極酸化膜26の微細孔23の開孔密度は特に制限されず、例えば100〜10000個/μm2である。
バリア層部25の厚みは通常、0.01〜0.4μm程度である。陽極酸化膜26の微細孔23の開孔密度は特に制限されず、例えば100〜10000個/μm2である。
陽極酸化後には、微細孔23の径を拡大する処理を行ってもよい。微細孔23の径を拡大する処理としては、陽極酸化後の基板を酸性の溶液に浸漬させる処理等が挙げられる。酸性の溶液としては特に制限されず、燐酸、クロム酸、硝酸、及び硫酸等の酸を1種又は2種以上含む溶液が挙げられる。
(工程(D))
次に、図2(c)に示すように、微細孔膜部24をマスクとして、バリア層部25において複数の微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する。エッチング除去方法としては、ドライエッチングが好ましい。
次に、図2(c)に示すように、微細孔膜部24をマスクとして、バリア層部25において複数の微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する。エッチング除去方法としては、ドライエッチングが好ましい。
ドライエッチング条件は、用いる装置によっても変わり特に制限されない。Al2O3を主成分とする陽極酸化膜26の場合、ドライエッチング条件としては例えば、Cl2/Ar混合ガス等のガス種を用いることが好ましい。
(工程(E))
次に、図2(d)に示すように、微細孔膜部24をマスクとして、被陽極酸化金属膜21の陽極酸化されずに残された非陽極酸化部分27において複数の微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する。エッチング除去方法としては、ドライエッチングが好ましい。
次に、図2(d)に示すように、微細孔膜部24をマスクとして、被陽極酸化金属膜21の陽極酸化されずに残された非陽極酸化部分27において複数の微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する。エッチング除去方法としては、ドライエッチングが好ましい。
ドライエッチング条件は、用いる装置によっても変わり特に制限されない。Alを主成分とする被陽極酸化金属膜21を形成した場合、ドライエッチング条件としては例えば、Cl2/BCl3混合ガス等のガス種を用いることが好ましい。
(工程(F))
次に、図2(e)に示すように、微細孔膜部24をマスクとしてエッチングを行い、基板11の表層に複数の凹部12を形成する。エッチング除去方法としては、ドライエッチングが好ましい。
次に、図2(e)に示すように、微細孔膜部24をマスクとしてエッチングを行い、基板11の表層に複数の凹部12を形成する。エッチング除去方法としては、ドライエッチングが好ましい。
ドライエッチング条件は、用いる基板の材質及び装置によっても変わり特に制限されない。例えば、SiO2を主成分とする基板11の場合、ドライエッチング条件としては、CF4/CHF3混合ガス等のガス種を用いることが好ましい。
(工程(G))
最後に、図2(f)に示すように、陽極酸化膜26と、被陽極酸化金属膜21の非陽極酸化部分27とを除去して、微細構造体10が製造される。例えば、Alを主成分とする被陽極酸化金属膜21を形成した場合、図2(e)の基板を酸性の溶液に浸漬させることで、陽極酸化膜26と非陽極酸化部分27とを溶解除去することができる。酸性の溶液としては特に制限されず、燐酸、クロム酸、硝酸、及び硫酸等の酸を1種又は2種以上含む溶液が挙げられる。
最後に、図2(f)に示すように、陽極酸化膜26と、被陽極酸化金属膜21の非陽極酸化部分27とを除去して、微細構造体10が製造される。例えば、Alを主成分とする被陽極酸化金属膜21を形成した場合、図2(e)の基板を酸性の溶液に浸漬させることで、陽極酸化膜26と非陽極酸化部分27とを溶解除去することができる。酸性の溶液としては特に制限されず、燐酸、クロム酸、硝酸、及び硫酸等の酸を1種又は2種以上含む溶液が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、陽極酸化膜26の複数の微細孔23の径dに対して陽極酸化膜26の厚みtが深くなりすぎると、工程(D)〜工程(F)のドライエッチングを高精度に実施することが難しくなる。
本実施形態の製造方法において、陽極酸化膜26の複数の微細孔23の径dと陽極酸化膜26の厚みtとのアスペクト比d:t=1:100以下となる条件で、工程(C1)を実施することが好ましい。
陽極酸化後のアスペクト比d:t=1:100超となる場合、陽極酸化後に、微細孔23の径を拡大する処理を行ってd:t=1:100以下となるように調整してから、工程(D)〜(F)のエッチング工程を実施することが好ましい。
工程(D)におけるバリア層部25のエッチングは、ウェットエッチングにより実施することもできる。この場合は、ウェットエッチングにより複数の微細孔23の径が拡大するので、ウェットエッチング後の微細孔23の径が最終的に基板11に形成する複数の凹部12の径に合うように、工程(C1)及び工程(D)を調整する必要がある。
以上説明したように、本実施形態の微細構造体の製造方法によれば、周期的なパターンで形成された複数の凹部12を有する微細構造体10を高精度に製造することができ、大面積化も可能である。
本実施形態の製造方法により製造される微細構造体10は、全反射防止基板等として好適に利用できる。本発明の微細構造体を有機EL素子等の発光素子等の基板として用いることで、微細な凹凸のない基板を用いる場合に全反射する光の角度成分を回折及び/又は散乱させて外部に取り出すことができ、光の利用効率を高めることができる。
本実施形態の製造方法により製造される微細構造体10は、全反射防止基板等として好適に利用できる。本発明の微細構造体を有機EL素子等の発光素子等の基板として用いることで、微細な凹凸のない基板を用いる場合に全反射する光の角度成分を回折及び/又は散乱させて外部に取り出すことができ、光の利用効率を高めることができる。
「第2実施形態の微細構造体の製造方法」
図面を参照して、本発明に係る第2実施形態の微細構造体の製造方法、及びこの製造方法により製造される微細構造体について説明する。図4(a)〜(d)及び図5(a)〜(e)は各工程を示す断面図である。
図面を参照して、本発明に係る第2実施形態の微細構造体の製造方法、及びこの製造方法により製造される微細構造体について説明する。図4(a)〜(d)及び図5(a)〜(e)は各工程を示す断面図である。
(工程(A))
はじめに、図4(a)に示すように、複数の凹部12が形成される前の平坦な基板11上に被陽極酸化金属膜21を形成する。
(工程(B))
次に、図4(b)〜(d)及び図5(a)に示すように、被陽極酸化金属膜21の表層に、基板11に形成する複数の凹部12のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部22を形成する。
工程(A)及び工程(B)は第1実施形態と同様である。
はじめに、図4(a)に示すように、複数の凹部12が形成される前の平坦な基板11上に被陽極酸化金属膜21を形成する。
(工程(B))
次に、図4(b)〜(d)及び図5(a)に示すように、被陽極酸化金属膜21の表層に、基板11に形成する複数の凹部12のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部22を形成する。
工程(A)及び工程(B)は第1実施形態と同様である。
(工程(C2))
次に、図5(b)に示すように、被陽極酸化金属膜21に形成した複数の凹部22を起点として、複数の凹部22のピッチに合ったピッチで複数の微細孔23が開孔する陽極酸化条件で被陽極酸化金属膜21を厚み方向にすべて陽極酸化して、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔23を有する微細孔膜部24と、複数の微細孔23を有しないバリア層部25とからなる陽極酸化膜26を形成する。
次に、図5(b)に示すように、被陽極酸化金属膜21に形成した複数の凹部22を起点として、複数の凹部22のピッチに合ったピッチで複数の微細孔23が開孔する陽極酸化条件で被陽極酸化金属膜21を厚み方向にすべて陽極酸化して、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔23を有する微細孔膜部24と、複数の微細孔23を有しないバリア層部25とからなる陽極酸化膜26を形成する。
第1実施形態では非陽極酸化部分27を残したのに対して、本実施形態では、非陽極酸化部分27を残さず、被陽極酸化金属膜21を厚み方向にすべて陽極酸化することを除けば、陽極酸化条件は第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、起点制御、及び起点のピッチと陽極酸化条件により安定的に形成される微細孔のピッチとのマッチングにより、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔23を形成することができる。
(工程(D))
次に、図5(c)に示すように、微細孔膜部24をマスクとして、バリア層部25において複数の微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する。本実施形態では、非陽極酸化部分27がないので、工程(E)を実施せずに工程(F)に進む。
(工程(F))
次に、図5(d)に示すように、微細孔膜部24をマスクとしてエッチングを行い、基板11の表層に複数の凹部12を形成する。
工程(D)及び工程(F)は第1実施形態と同様である。
次に、図5(c)に示すように、微細孔膜部24をマスクとして、バリア層部25において複数の微細孔23の下方に位置する部分をエッチング除去する。本実施形態では、非陽極酸化部分27がないので、工程(E)を実施せずに工程(F)に進む。
(工程(F))
次に、図5(d)に示すように、微細孔膜部24をマスクとしてエッチングを行い、基板11の表層に複数の凹部12を形成する。
工程(D)及び工程(F)は第1実施形態と同様である。
(工程(G2))
最後に、図5(e)に示すように、陽極酸化膜26を除去して、微細構造体10が製造される。陽極酸化膜26の除去方法は第1実施形態と同様である。
最後に、図5(e)に示すように、陽極酸化膜26を除去して、微細構造体10が製造される。陽極酸化膜26の除去方法は第1実施形態と同様である。
本実施形態の製造方法は、第1実施形態よりも工程数が少なくて済むが、同じ厚みの被陽極酸化金属膜21で比較した場合、第1実施形態よりも陽極酸化の工程に時間がかかる。
本実施形態の製造方法においても、陽極酸化膜26の複数の微細孔23の径dに対して陽極酸化膜26の厚みtが深くなりすぎると、工程(D)及び工程(F)のドライエッチングを高精度に実施することが難しくなる。本実施形態の製造方法において、陽極酸化膜26の複数の微細孔23の径dと陽極酸化膜26の厚みtとのアスペクト比d:t=1:100以下となる条件で、工程(A)と工程(C2)とを実施することが好ましい。
本実施形態の微細構造体の製造方法によっても、周期的なパターンで形成された複数の凹部12を有する微細構造体10を高精度に製造することができ、大面積化も可能である。
以下、本発明に係る試験例について説明する。
(試験例1)
第1実施形態の微細構造体の製造方法に従って、本発明の微細構造体を製造した。
SiO2基板上にAlを主成分とする厚み1.0μmの被陽極酸化金属膜を形成した後、図1(b)〜(d)及び図2(a)に示したように、レジストパターンを用いたEB描画により周期的なパターンで複数の凹部を形成した。複数の凹部のピッチは、100nmとした。
第1実施形態の微細構造体の製造方法に従って、本発明の微細構造体を製造した。
SiO2基板上にAlを主成分とする厚み1.0μmの被陽極酸化金属膜を形成した後、図1(b)〜(d)及び図2(a)に示したように、レジストパターンを用いたEB描画により周期的なパターンで複数の凹部を形成した。複数の凹部のピッチは、100nmとした。
その後、100nmピッチで微細孔が形成される下記陽極酸化条件で、被陽極酸化金属膜を厚み方向に部分的に陽極酸化した。
電解質:シュウ酸、電解質液濃度:0.5M、液温:15℃、印加電圧:40V。
その後、5質量%燐酸水溶液を用いた孔径拡大処理を20分間実施した。
電解質:シュウ酸、電解質液濃度:0.5M、液温:15℃、印加電圧:40V。
その後、5質量%燐酸水溶液を用いた孔径拡大処理を20分間実施した。
得られた陽極酸化膜をSEM観察したところ、微細孔のピッチ=100nm、微細孔の径=60nm、陽極酸化膜の全体厚み(微細孔部+バリア層部)=約600nm、バリア層部の厚み=約30nmであった。得られた陽極酸化膜の複数の微細孔の径dと陽極酸化膜の厚みtとのアスペクト比d:t=1:10であった。
次に、上記陽極酸化膜の微細孔部をマスクとして、バリア層部のドライエッチングを実施した。SEMによりドライエッチング後の陽極酸化膜の断面を観察したところ、バリア層部において陽極酸化膜の複数の微細孔の下方に位置する部分が良好にエッチング除去されていることが確認された。
次に、上記陽極酸化膜の微細孔部をマスクとして、陽極酸化膜の非陽極酸化部分のドライエッチングを実施した。SEMによりドライエッチング後の非陽極酸化部分の断面を観察したところ、非陽極酸化部分において陽極酸化膜の複数の微細孔の下方に位置する部分が良好にエッチング除去されていることが確認された。
次に、上記陽極酸化膜の微細孔部をマスクとして、基板をエッチングした。
次に、上記陽極酸化膜の微細孔部をマスクとして、基板をエッチングした。
最後に、上記基板を5質量%の燐酸水溶液に浸漬させて、陽極酸化膜と非陽極酸化基板とを除去して、本発明の微細構造体を得た。得られた微細構造体をSEM観察したところ、表層には100nmピッチでアレイ状に規則正しく配列した複数の凹部が形成されていることが確認された。
(試験例2)
陽極酸化時間を長くした以外は試験例1と同様にして、微細構造体の製造を試みた。
試験例1と同様に陽極酸化膜をSEM観察したところ、微細孔のピッチ=100nm、微細孔の径=60nm、陽極酸化膜の全体厚み(微細孔部+バリア層部)=約7800nm、バリア層部の厚み=約30nmであった。得られた陽極酸化膜の複数の微細孔の径dと陽極酸化膜の厚みtとのアスペクト比d:t=1:130であった。
試験例1と同様の条件でバリア層部のドライエッチングを試みたが、バリア層部において陽極酸化膜の複数の微細孔の下方に位置する部分を完全にエッチング除去することができなかった。
陽極酸化時間を長くした以外は試験例1と同様にして、微細構造体の製造を試みた。
試験例1と同様に陽極酸化膜をSEM観察したところ、微細孔のピッチ=100nm、微細孔の径=60nm、陽極酸化膜の全体厚み(微細孔部+バリア層部)=約7800nm、バリア層部の厚み=約30nmであった。得られた陽極酸化膜の複数の微細孔の径dと陽極酸化膜の厚みtとのアスペクト比d:t=1:130であった。
試験例1と同様の条件でバリア層部のドライエッチングを試みたが、バリア層部において陽極酸化膜の複数の微細孔の下方に位置する部分を完全にエッチング除去することができなかった。
本発明の微細構造体は、全反射防止基板等として好適に利用できる。
10 微細構造体
11 基板
12 凹部
21 被陽極酸化金属膜
22 凹部
23 微細孔
24 微細孔膜部
25 バリア層部
26 陽極酸化膜
27 非陽極酸化部分
d 陽極酸化膜の微細孔の径
t 陽極酸化膜の厚み
11 基板
12 凹部
21 被陽極酸化金属膜
22 凹部
23 微細孔
24 微細孔膜部
25 バリア層部
26 陽極酸化膜
27 非陽極酸化部分
d 陽極酸化膜の微細孔の径
t 陽極酸化膜の厚み
Claims (6)
- 対象とする光の波長に対して透過性を有する基板の表層に、周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体の製造方法において、
前記基板上に被陽極酸化金属膜を形成する工程(A)と、
前記被陽極酸化金属膜の表層に、前記基板に形成する前記複数の凹部のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部を形成する工程(B)と、
前記被陽極酸化金属膜に形成した前記複数の凹部を起点として、該複数の凹部のピッチに合ったピッチで複数の微細孔が開孔する陽極酸化条件で前記被陽極酸化金属膜を厚み方向に部分的に陽極酸化して、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔を有する微細孔膜部と、複数の微細孔を有しないバリア層部とからなる陽極酸化膜を形成する工程(C1)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記バリア層部において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(D)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記被陽極酸化金属膜の陽極酸化されずに残された非陽極酸化部分において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(E)と、
前記微細孔膜部をマスクとしてエッチングを行い、前記基板の表層に前記複数の凹部を形成する工程(F)と、
前記陽極酸化膜と、前記被陽極酸化金属膜の前記非陽極酸化部分とを除去する工程(G1)とを順次有することを特徴とする微細構造体の製造方法。 - 前記陽極酸化膜の前記複数の微細孔の径と前記陽極酸化膜の厚みとのアスペクト比が1:100以下となる条件で、前記工程(C1)を実施することを特徴とする請求項1に記載の微細構造体の製造方法。
- 対象とする光の波長に対して透過性を有する基板の表層に、周期的なパターンで形成された複数の凹部を有する微細構造体の製造方法において、
前記基板上に被陽極酸化金属膜を形成する工程(A)と、
前記被陽極酸化金属膜の表層に、前記基板に形成する前記複数の凹部のパターンに合わせた周期的なパターンで複数の凹部を形成する工程(B)と、
前記被陽極酸化金属膜に形成した前記複数の凹部を起点として、該複数の凹部のピッチに合ったピッチで複数の微細孔が開孔する陽極酸化条件で前記被陽極酸化金属膜を厚み方向にすべて陽極酸化して、厚み方向に直進的に延びる複数の微細孔を有する微細孔膜部と、複数の微細孔を有しないバリア層部とからなる陽極酸化膜を形成する工程(C2)と、
前記微細孔膜部をマスクとして、前記バリア層部において前記複数の微細孔の下方に位置する部分をエッチング除去する工程(D)と、
前記微細孔膜部をマスクとしてエッチングを行い、前記基板の表層に前記複数の凹部を形成する工程(F)と、
前記陽極酸化膜を除去する工程(G2)とを順次有することを特徴とする微細構造体の製造方法。 - 前記陽極酸化膜の前記複数の微細孔の径と前記陽極酸化膜の厚みとのアスペクト比が1:100以下となる条件で、前記工程(A)と前記工程(C2)とを実施することを特徴とする請求項3に記載の微細構造体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の微細構造体の製造方法により製造されたものであることを特徴とする微細構造体。
- 全反射防止基板であることを特徴とする請求項5に記載の微細構造体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20160072372A (ko) * | 2014-12-12 | 2016-06-23 | 삼성디스플레이 주식회사 | 유기발광 표시장치 및 그 제조방법 |
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2009
- 2009-06-12 JP JP2009140963A patent/JP2010285662A/ja not_active Withdrawn
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