JP2004292904A - 陽極酸化アルミナ膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い面積にわたって、規則的に配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を得る。
【解決手段】ガラス基板14上に、粒径の略等しいシリカ微粒子13が稠密状態で配列されてなる微粒子層13’が設けられてなる型15と、型15のシリカ微粒子13とアルミニウム基板16とを油圧プレス等により押し当てる。次に、アルミニウム基板16の表面16aに、微粒子層13’の配列に対応して、稠密配列された複数の窪み17を形成する。次に、一定温度に保たれた電解液中にアルミニウム基板16およびカソードを配置し、アルミニウム基板16およびカソード間に電圧を印加することにより、アルミニウム基板を陽極酸化する。
【選択図】 図3
【解決手段】ガラス基板14上に、粒径の略等しいシリカ微粒子13が稠密状態で配列されてなる微粒子層13’が設けられてなる型15と、型15のシリカ微粒子13とアルミニウム基板16とを油圧プレス等により押し当てる。次に、アルミニウム基板16の表面16aに、微粒子層13’の配列に対応して、稠密配列された複数の窪み17を形成する。次に、一定温度に保たれた電解液中にアルミニウム基板16およびカソードを配置し、アルミニウム基板16およびカソード間に電圧を印加することにより、アルミニウム基板を陽極酸化する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウムを陽極酸化して得られる、複数の微細孔を有する多孔性陽極酸化アルミナ膜およびその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属および半導体の薄膜、細線、ドット等では、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて電子の動きが閉じ込められることにより、特異な電気的、光学的、化学的性質を示すことがある。このような観点から機能性材料として、数百nmより微細な構造を有する材料(微細構造体あるいはナノ構造体と称されている)への関心が高まっている。
【0003】
こうした微細構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィをはじめ、電子線露光、X線露光などの微細パターン形成技術をはじめとする半導体加工技術によって直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
【0004】
さらに微細な規則的な構造を有するナノ構造体を得るための研究が多く行われている。特に、自己規制的に規則的な構造が形成されるものとして、Alを電界液中で陽極酸化して得られる陽極酸化アルミナ膜を挙げることができる。陽極酸化アルミナ膜には、数nm程度から数百nm程度の直径を有する微細孔が複数規則的に形成されることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。陽極酸化アルミナ膜の多孔性材料としての最大の特徴は、微細孔が、基板表面に対してほぼ垂直方向に略等間隔に平行して形成されるハニカム構造をとる点にある。これに加え、微細孔径、微細孔間隔、微細孔深さを比較的自由に制御できる点も他の材料にない特徴である。
【0005】
しかし、酸化開始点はランダムに発生するため、微細孔が規則的に配列される領域は限られており、また、各々の領域での配列方向は異なるため、直径3インチ以上ウェハ全面にわたって規則的に配列された陽極酸化アルミナ膜を得ることは困難である。
【0006】
そこで、微細孔をより広い範囲で規則的に配列させるために、プレスパターニングを用いて微細孔形成開始点を形成する方法、すなわち、複数の突起を表面に備えた基板をアルミニウム板の表面に押し付けてできた窪みや、基板状にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除き蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングしてできた窪みを微細孔形成開始点とし、その後陽極酸化を行って、より良い形状、間隔およびパターンの制御性を示す微細孔を有する多孔質酸化皮膜を作製する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、その複数種類の細孔を制御良く形成するための細孔開始点として、アルミニウム膜表面に、集束イオンビームを照射して異なる凹み形状を形成することが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
さらには、各々の開始点が正三角形状に並ぶように複数の微細孔開始点を形成する方法において、開始点が作る六角形の中心の開始点が無くても、その六角形の中心には微細孔が形成されることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−121292号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−9800号公報
【0011】
【非特許文献1】
益田秀樹、「陽極酸化アルミナにもとづく高規則性メタルナノホールアレー」、固体物理、1996年、第31巻、第5号、p.57−63
【0012】
【非特許文献2】
Applied Physics Letters Vol.178,No.6,p.826
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プレスパターニング等で窪みを形成する方法では、開始点を形成するために半導体微細加工工程が必要であり、製造工程が長くなり、コストが高くなるという問題がある。また、アルミニウム基板表面に集束イオンビーム等で開始点を形成する方法では、直径3インチ以上のウェハ全面にわたって形成するにはさらに長時間を要するため、製造効率が悪くコストが高いという問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みて、広い面積に亘って規則配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を、簡便な工程で安価で得ることが可能な陽極酸化アルミナ膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の陽極酸化アルミナ膜の製造方法は、第1の基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、第1の基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、微粒子層が形成された第1の基板を焼成して型を形成する工程と、
型の微粒子層を、アルミニウム基板表面に押し当てることにより、該表面に微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の第2の陽極酸化アルミナ膜の製造方法は、アルミニウム基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、アルミニウム基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、微粒子層が形成されたアルミニウム基板を焼成して型を形成する工程と、
型の微粒子層を、該微粒子層上から、該微粒子より硬い材料からなる第1の基板で押すことにより、アルミニウム基板表面に微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の第3の陽極酸化アルミナ膜の製造方法は、第1の基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、第1の基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、微粒子層が形成された第1の基板を焼成して型を形成する工程と、
型の微粒子層上に、アルミニウム層を積層させた後、型を除去することにより、アルミニウム層の表面に、微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
アルミニウム層を陽極酸化する工程とからなることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の第4の陽極酸化アルミナ膜の製造方法は、アルミニウム基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引上げることにより、アルミニウム基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、微粒子層が形成されたアルミニウム基板を焼成する工程と、
微粒子層をマスクとして、アルミニウム基板表面をエッチングすることにより、該表面に、微粒子層の隙間に対応した窪みを形成する工程と、
アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とするものである。
【0019】
微粒子層は、微粒子が一つの面内で稠密状態で配列されてなるものであることが望ましい。
【0020】
また、微粒子はSiO2、Al2O3、MgOまたはTiO2からなることが望ましい。
【0021】
なお、上記「稠密状態」とは、1つの微粒子の周囲に同じ粒径の微粒子が6個接して配置されている状態をいう。
【0022】
【発明の効果】
本発明の第1の陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、結果として、広い面積に亘って規則配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を、簡便な工程で安価に得ることが可能である。
【0023】
具体的には、第1の基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、第1の基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、微粒子層が形成された第1の基板を焼成することにより、複数の微粒子が自然に規則的に配列した型を得ることができる。すなわち、微細加工工程等の複雑な工程を用いること無く、簡便な工程で規則的なパターンを有する型を得ることができるので、型自体の製造コストおよび時間を低減することができる。
【0024】
また、集束イオンビーム等を用いて、アルミニウム板に窪みを設ける方法に比べて、1mm角以上の広い面積に亘って規則的な窪みを短時間で得ることができる。
【0025】
また、そのような型をアルミニウム基板表面に押し付けることにより、容易にアルミニウム基板表面に規則的な窪み、すなわち、規則的な陽極酸化の開始点を設けることができるので、規則的に配列された複数の微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を得ることができる。
【0026】
また、本発明の第2の陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、上記本発明の第1の製造方法と同様に、簡便な工程で規則的なパターンを有する型を得ることができるので、型の製造コストおよび時間を低減することができる。また、微粒子層をアルミニウム基板上に設け、第1の基板で微粒子層を押すことにより、微粒子層の配列に対応した窪みを、容易にアルミニウム基板に形成することができるので、上記第1の製造方法と同様に、広い面積に亘って規則配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を、簡便な工程で安価に得ることが可能である。
【0027】
また、本発明の第3の陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、上記第1の製造方法と同様に、簡便な工程で規則的なパターンを有する型を得ることができるので、型の製造コストおよび時間を低減することができる。
【0028】
また、第1の基板上に形成された微粒子層上にアルミニウム層を積層させるので、アルミニウム層の表面に、微粒子層の配列に対応した窪みを、より鮮明に形成することができる。従って、高い歩留りで良好に規則的に配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を得ることができる。
【0029】
また、本発明の第4の陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、上記第1の製造方法と同様に、自然に規則的に配列された微粒子層を得ることができる。また、アルミニウム基板上に直接微粒子層を形成しており、その微粒子層をマスクとしてアルミニウム層表面をエッチングすることにより、微粒子層の隙間に対応した窪みを形成するので、簡略化された工程で陽極酸化の規則的に配列された開始点を得ることができ、製造コストを低減することができる。なお、微粒子層の隙間に対応した窪みが形成されると、窪みが成す六角形の中心には窪みが形成されないが、前述の非特許文献2に記載のように、陽極酸化後は、六角形の中心に規則正しく微細孔が形成される。
【0030】
微粒子層が、微粒子が稠密状態で配列されてなるものである場合は、より高密度な微細孔を得ることができる。
【0031】
また、微粒子をSiO2、Al2O3、MgOまたはTiO2からなるものとした場合は、アルミニウムより硬いので、良好にアルミニウムに窪みを形成することができる。
【0032】
また、上記本発明の4つの陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、前述の、基板状にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除き蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングしてできた窪みを微細孔形成開始点とし、その後陽極酸化を行う方法に比べ、工程が少ないので、製造コスト等を低減することが可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
本発明の第1の実施形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。図1に、その製造方法に用いる微粒子層を有する型の製造過程を示し、図2に、微粒子層の配列図を示し、図3に、陽極酸化アルミナ膜の製造過程の断面図を示す。
【0035】
まず、本実施の形態に用いる型の製造方法について説明する。
【0036】
図1(a)に示すように、例えばビーカー11の中に、水12に直径1000nm以下程度のシリカ(SiO2)微粒子13が混合されてなる懸濁液を用意する。水または、シリカ粒子の凝集が生じないように脱イオン化しておく。水この懸濁液の中に、ガラス基板14を、ガラス基板14のシリカ微粒子13を配列させる表面が液面に垂直となるように浸漬する。図1(b)に示すように、ガラス基板14が浸漬された状態で、温度、湿度を調節して、所定の速度でガラス基板14を徐々に引上げる。次に、微粒子層13’が形成されたガラス基板14を乾燥させた後、焼成することにより型15を完成させる。
【0037】
ガラス基板14は、液面に垂直な方向に限らず斜めに浸漬してもよい。
【0038】
また、懸濁液の液体は、水に限らず有機溶媒であってもよい。
【0039】
また、ガラス基板14は、引き上げずに、恒温恒湿条件下で静置してもよい。いずれも場合も、微粒子の種類とサイズを考慮し、温度や湿度の条件の最適化を図ることが望ましい。
【0040】
また、微粒子を配列させる基板としては、ガラス基板の代わりに、他の無機質板、金属もしくは合金、さらには、焼成温度での耐熱性を有する有機ポリマーの板状体とすることも可能である。そして、このような基板は、単一層のものでもよいし、多層板でもよい。
【0041】
上記のようにして作製された型15は、図2に示すように、ガラス基板14上に、粒径の略等しいシリカ微粒子13が稠密状態で配列されてなる微粒子層13’が形成されてなるものである。
【0042】
次に、陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。
【0043】
図3(a)および(b)に示すように、上記のように作製された型15のシリカ微粒子13とアルミニウム基板16とを油圧プレス等により押し当てる。
【0044】
図3(c)に示すように、アルミニウム基板16の表面16aに、微粒子層の配列に対応した複数の窪み17が形成される。
【0045】
次に、一定温度に保たれた電解液中にアルミニウム基板16およびカソードを配置し、アルミニウム基板16およびカソード間に電圧を印加することにより、アルミニウム基板16を陽極酸化する。これにより、図3(d)に示すように、アルミニウム基板16の表面16aに、微細孔19が稠密配列で規則的に配列された陽極酸化アルミナ膜18を得ることができる。なお、図では底部にアルミニウムが一部残っているが、残ったアルミニウムおよび孔の底部のアルミナ膜は、エッチングあるいは研磨により除去することが可能であり、これにより貫通孔を有する陽極酸化アルミナ膜とすることができる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。図4に、その陽極酸化アルミナ膜の製造過程の断面図を示す。
【0047】
上記第1の実施の形態の方法と同様に、アルミニウム基板24上に、粒径の略等しいシリカ微粒子13が稠密状態で配列されてなる微粒子層が設けられてなる型25を作製する。
【0048】
次に、図4(a)および(b)に示すように、油圧プレス等で、型25のシリカ微粒子13とガラス基板26とを油圧プレス等により押し当てる。
【0049】
次に、図4(c)に示すように、アルミニウム基板24の表面24aに、シリカ微粒子層の配列に対応した複数の窪み27が形成される。
【0050】
次に、一定温度に保たれた電解液中にアルミニウム基板24およびカソードを配置し、アルミニウム基板24およびカソード間に電圧を印加することにより、アルミニウム基板を陽極酸化する。これにより、図4(d)に示すように、アルミニウム基板24の表面に、微細孔29が稠密配列で規則的に配列された陽極酸化アルミナ膜28を得ることができる。
【0051】
次に、本発明の第3の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。図5に、その陽極酸化アルミナ膜の製造過程の断面図を示す。
【0052】
図5(a)に示すように、上記第1の実施の形態で用いた、ガラス基板14上に微粒子層13’が形成されてなる型15を用意する。
【0053】
次に、図5(b)に示すように、微粒子層13’の上部から、アルミニウムを蒸着してアルミニウム蒸着層34を形成する。蒸着厚さは、シリカ微粒子の粒径以上とすることが望ましい。
【0054】
次に、図5(c)に示すように、さらにアルミニウム蒸着膜34の上部にアルミニウムメッキ層35を形成する。最表面に保護膜として絶縁膜36を形成する。
【0055】
次に、図5(d)に示すように、ガラス基板を剥離する。さらに、図5(e)に示すように、シリカ微粒子を、アルミニウムに対して選択性のあるエッチャントでウェットエッチングあるいはドライエッチング等により除去する。これにより、アルミニウム蒸着層34の表面34aに、シリカ微粒子層の配列に対応した複数の窪み37が形成される。
【0056】
その後、図5(f)に示すように、上記実施の形態と同様に、陽極酸化して、稠密配列した微細孔39を有する陽極酸化アルミナ膜38を得る。
【0057】
次に、本発明の第4の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。図6に、その陽極酸化アルミナ膜の製造過程の断面図を示す。
【0058】
図6(a)に示すように、上記第1の実施の形態で用いた型15を作製した方法と同様の方法で、アルミニウム基板36上に、粒径の略等しいシリカ微粒子13が稠密状態で配列されてなる微粒子層13’を形成する。
【0059】
次に、微粒子層13’をマスクにして、原子線等の粒子線によるエッチングを行い、アルミニウム基板36の表面36aに窪み37を設ける。
【0060】
この窪み37は、図7に示すように、微粒子層13’の隙間位置に対応した配列を有する。
【0061】
その後、図6(c)に示すように、上記実施の形態と同様に、陽極酸化して、稠密配列した微細孔39を有する陽極酸化アルミナ膜38を得る。
【0062】
本実施の形態における、開始点のパターンは、アルミニウム層微粒子層13’の隙間に対応したパターンであり、微粒子でマスクされた領域は、パターンが形成されていないが、その領域の周辺が規則的な配列を有しているので、稠密状態で配列された微細孔を得ることができる。
【0063】
上記すべての実施の形態では、微粒子が1段、稠密配列されてなる微粒子層13’を用いて説明したが、図8に示すように、微粒子13が稠密配列されてなる微粒子層13’の上部に、微粒子13と同じ粒径を有する微粒子23を配置させてなる稠密配列された微粒子層23’を設けてもよい。さらには、稠密配列された微粒子層を複数段形成してもよい。
【0064】
上記実施の形態では、シリカ(SiO2)微粒子を用いた場合について説明したが、シリカに限らずAl2O3、MgOまたはTiO2等の無機質微粒子であってもよい。また、同種のものに限らず、これらの微粒子の2種類以上の混合微粒子であってもよい。微粒子の材料は、アルミニウムより硬いことが望ましい。ここでいう「硬い」とは、アルミニウムを塑性変形させることができる物性を有するもののことを示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法に用いる型の製造方法を示す断面図
【図2】本発明の第1の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法に用いる型の微粒子の配列を示す上面図
【図3】本発明の第1の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法を示す断面図
【図4】本発明の第2の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法を示す断面図
【図5】本発明の第3の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法を示す断面図
【図6】本発明の第4の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法を示す断面図
【図7】第4の実施の形態で用いるアルミニウム基板に設けられた窪みを示す上面図
【図8】微粒子層の他の配列を示す上面図
【符号の説明】
11 ビーカー
12 水
13 シリカ微粒子
13’ シリカ微粒子層
14 ガラス基板
15,25 型
16 アルミニウム基板
17 窪み
18 陽極酸化アルミナ膜
19 微細孔
24 アルミニウム基板
26 ガラス基板
34 アルミニウム蒸着膜
35 アルミニウムメッキ層
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウムを陽極酸化して得られる、複数の微細孔を有する多孔性陽極酸化アルミナ膜およびその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属および半導体の薄膜、細線、ドット等では、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて電子の動きが閉じ込められることにより、特異な電気的、光学的、化学的性質を示すことがある。このような観点から機能性材料として、数百nmより微細な構造を有する材料(微細構造体あるいはナノ構造体と称されている)への関心が高まっている。
【0003】
こうした微細構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィをはじめ、電子線露光、X線露光などの微細パターン形成技術をはじめとする半導体加工技術によって直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
【0004】
さらに微細な規則的な構造を有するナノ構造体を得るための研究が多く行われている。特に、自己規制的に規則的な構造が形成されるものとして、Alを電界液中で陽極酸化して得られる陽極酸化アルミナ膜を挙げることができる。陽極酸化アルミナ膜には、数nm程度から数百nm程度の直径を有する微細孔が複数規則的に形成されることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。陽極酸化アルミナ膜の多孔性材料としての最大の特徴は、微細孔が、基板表面に対してほぼ垂直方向に略等間隔に平行して形成されるハニカム構造をとる点にある。これに加え、微細孔径、微細孔間隔、微細孔深さを比較的自由に制御できる点も他の材料にない特徴である。
【0005】
しかし、酸化開始点はランダムに発生するため、微細孔が規則的に配列される領域は限られており、また、各々の領域での配列方向は異なるため、直径3インチ以上ウェハ全面にわたって規則的に配列された陽極酸化アルミナ膜を得ることは困難である。
【0006】
そこで、微細孔をより広い範囲で規則的に配列させるために、プレスパターニングを用いて微細孔形成開始点を形成する方法、すなわち、複数の突起を表面に備えた基板をアルミニウム板の表面に押し付けてできた窪みや、基板状にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除き蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングしてできた窪みを微細孔形成開始点とし、その後陽極酸化を行って、より良い形状、間隔およびパターンの制御性を示す微細孔を有する多孔質酸化皮膜を作製する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、その複数種類の細孔を制御良く形成するための細孔開始点として、アルミニウム膜表面に、集束イオンビームを照射して異なる凹み形状を形成することが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
さらには、各々の開始点が正三角形状に並ぶように複数の微細孔開始点を形成する方法において、開始点が作る六角形の中心の開始点が無くても、その六角形の中心には微細孔が形成されることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−121292号公報
【0010】
【特許文献2】
特開2001−9800号公報
【0011】
【非特許文献1】
益田秀樹、「陽極酸化アルミナにもとづく高規則性メタルナノホールアレー」、固体物理、1996年、第31巻、第5号、p.57−63
【0012】
【非特許文献2】
Applied Physics Letters Vol.178,No.6,p.826
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プレスパターニング等で窪みを形成する方法では、開始点を形成するために半導体微細加工工程が必要であり、製造工程が長くなり、コストが高くなるという問題がある。また、アルミニウム基板表面に集束イオンビーム等で開始点を形成する方法では、直径3インチ以上のウェハ全面にわたって形成するにはさらに長時間を要するため、製造効率が悪くコストが高いという問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みて、広い面積に亘って規則配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を、簡便な工程で安価で得ることが可能な陽極酸化アルミナ膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の陽極酸化アルミナ膜の製造方法は、第1の基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、第1の基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、微粒子層が形成された第1の基板を焼成して型を形成する工程と、
型の微粒子層を、アルミニウム基板表面に押し当てることにより、該表面に微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の第2の陽極酸化アルミナ膜の製造方法は、アルミニウム基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、アルミニウム基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、微粒子層が形成されたアルミニウム基板を焼成して型を形成する工程と、
型の微粒子層を、該微粒子層上から、該微粒子より硬い材料からなる第1の基板で押すことにより、アルミニウム基板表面に微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の第3の陽極酸化アルミナ膜の製造方法は、第1の基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、第1の基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、微粒子層が形成された第1の基板を焼成して型を形成する工程と、
型の微粒子層上に、アルミニウム層を積層させた後、型を除去することにより、アルミニウム層の表面に、微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
アルミニウム層を陽極酸化する工程とからなることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の第4の陽極酸化アルミナ膜の製造方法は、アルミニウム基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引上げることにより、アルミニウム基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、微粒子層が形成されたアルミニウム基板を焼成する工程と、
微粒子層をマスクとして、アルミニウム基板表面をエッチングすることにより、該表面に、微粒子層の隙間に対応した窪みを形成する工程と、
アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とするものである。
【0019】
微粒子層は、微粒子が一つの面内で稠密状態で配列されてなるものであることが望ましい。
【0020】
また、微粒子はSiO2、Al2O3、MgOまたはTiO2からなることが望ましい。
【0021】
なお、上記「稠密状態」とは、1つの微粒子の周囲に同じ粒径の微粒子が6個接して配置されている状態をいう。
【0022】
【発明の効果】
本発明の第1の陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、結果として、広い面積に亘って規則配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を、簡便な工程で安価に得ることが可能である。
【0023】
具体的には、第1の基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、第1の基板表面に微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、微粒子層が形成された第1の基板を焼成することにより、複数の微粒子が自然に規則的に配列した型を得ることができる。すなわち、微細加工工程等の複雑な工程を用いること無く、簡便な工程で規則的なパターンを有する型を得ることができるので、型自体の製造コストおよび時間を低減することができる。
【0024】
また、集束イオンビーム等を用いて、アルミニウム板に窪みを設ける方法に比べて、1mm角以上の広い面積に亘って規則的な窪みを短時間で得ることができる。
【0025】
また、そのような型をアルミニウム基板表面に押し付けることにより、容易にアルミニウム基板表面に規則的な窪み、すなわち、規則的な陽極酸化の開始点を設けることができるので、規則的に配列された複数の微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を得ることができる。
【0026】
また、本発明の第2の陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、上記本発明の第1の製造方法と同様に、簡便な工程で規則的なパターンを有する型を得ることができるので、型の製造コストおよび時間を低減することができる。また、微粒子層をアルミニウム基板上に設け、第1の基板で微粒子層を押すことにより、微粒子層の配列に対応した窪みを、容易にアルミニウム基板に形成することができるので、上記第1の製造方法と同様に、広い面積に亘って規則配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を、簡便な工程で安価に得ることが可能である。
【0027】
また、本発明の第3の陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、上記第1の製造方法と同様に、簡便な工程で規則的なパターンを有する型を得ることができるので、型の製造コストおよび時間を低減することができる。
【0028】
また、第1の基板上に形成された微粒子層上にアルミニウム層を積層させるので、アルミニウム層の表面に、微粒子層の配列に対応した窪みを、より鮮明に形成することができる。従って、高い歩留りで良好に規則的に配列された微細孔を有する陽極酸化アルミナ膜を得ることができる。
【0029】
また、本発明の第4の陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、上記第1の製造方法と同様に、自然に規則的に配列された微粒子層を得ることができる。また、アルミニウム基板上に直接微粒子層を形成しており、その微粒子層をマスクとしてアルミニウム層表面をエッチングすることにより、微粒子層の隙間に対応した窪みを形成するので、簡略化された工程で陽極酸化の規則的に配列された開始点を得ることができ、製造コストを低減することができる。なお、微粒子層の隙間に対応した窪みが形成されると、窪みが成す六角形の中心には窪みが形成されないが、前述の非特許文献2に記載のように、陽極酸化後は、六角形の中心に規則正しく微細孔が形成される。
【0030】
微粒子層が、微粒子が稠密状態で配列されてなるものである場合は、より高密度な微細孔を得ることができる。
【0031】
また、微粒子をSiO2、Al2O3、MgOまたはTiO2からなるものとした場合は、アルミニウムより硬いので、良好にアルミニウムに窪みを形成することができる。
【0032】
また、上記本発明の4つの陽極酸化アルミナ膜の製造方法によれば、前述の、基板状にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除き蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングしてできた窪みを微細孔形成開始点とし、その後陽極酸化を行う方法に比べ、工程が少ないので、製造コスト等を低減することが可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
本発明の第1の実施形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。図1に、その製造方法に用いる微粒子層を有する型の製造過程を示し、図2に、微粒子層の配列図を示し、図3に、陽極酸化アルミナ膜の製造過程の断面図を示す。
【0035】
まず、本実施の形態に用いる型の製造方法について説明する。
【0036】
図1(a)に示すように、例えばビーカー11の中に、水12に直径1000nm以下程度のシリカ(SiO2)微粒子13が混合されてなる懸濁液を用意する。水または、シリカ粒子の凝集が生じないように脱イオン化しておく。水この懸濁液の中に、ガラス基板14を、ガラス基板14のシリカ微粒子13を配列させる表面が液面に垂直となるように浸漬する。図1(b)に示すように、ガラス基板14が浸漬された状態で、温度、湿度を調節して、所定の速度でガラス基板14を徐々に引上げる。次に、微粒子層13’が形成されたガラス基板14を乾燥させた後、焼成することにより型15を完成させる。
【0037】
ガラス基板14は、液面に垂直な方向に限らず斜めに浸漬してもよい。
【0038】
また、懸濁液の液体は、水に限らず有機溶媒であってもよい。
【0039】
また、ガラス基板14は、引き上げずに、恒温恒湿条件下で静置してもよい。いずれも場合も、微粒子の種類とサイズを考慮し、温度や湿度の条件の最適化を図ることが望ましい。
【0040】
また、微粒子を配列させる基板としては、ガラス基板の代わりに、他の無機質板、金属もしくは合金、さらには、焼成温度での耐熱性を有する有機ポリマーの板状体とすることも可能である。そして、このような基板は、単一層のものでもよいし、多層板でもよい。
【0041】
上記のようにして作製された型15は、図2に示すように、ガラス基板14上に、粒径の略等しいシリカ微粒子13が稠密状態で配列されてなる微粒子層13’が形成されてなるものである。
【0042】
次に、陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。
【0043】
図3(a)および(b)に示すように、上記のように作製された型15のシリカ微粒子13とアルミニウム基板16とを油圧プレス等により押し当てる。
【0044】
図3(c)に示すように、アルミニウム基板16の表面16aに、微粒子層の配列に対応した複数の窪み17が形成される。
【0045】
次に、一定温度に保たれた電解液中にアルミニウム基板16およびカソードを配置し、アルミニウム基板16およびカソード間に電圧を印加することにより、アルミニウム基板16を陽極酸化する。これにより、図3(d)に示すように、アルミニウム基板16の表面16aに、微細孔19が稠密配列で規則的に配列された陽極酸化アルミナ膜18を得ることができる。なお、図では底部にアルミニウムが一部残っているが、残ったアルミニウムおよび孔の底部のアルミナ膜は、エッチングあるいは研磨により除去することが可能であり、これにより貫通孔を有する陽極酸化アルミナ膜とすることができる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。図4に、その陽極酸化アルミナ膜の製造過程の断面図を示す。
【0047】
上記第1の実施の形態の方法と同様に、アルミニウム基板24上に、粒径の略等しいシリカ微粒子13が稠密状態で配列されてなる微粒子層が設けられてなる型25を作製する。
【0048】
次に、図4(a)および(b)に示すように、油圧プレス等で、型25のシリカ微粒子13とガラス基板26とを油圧プレス等により押し当てる。
【0049】
次に、図4(c)に示すように、アルミニウム基板24の表面24aに、シリカ微粒子層の配列に対応した複数の窪み27が形成される。
【0050】
次に、一定温度に保たれた電解液中にアルミニウム基板24およびカソードを配置し、アルミニウム基板24およびカソード間に電圧を印加することにより、アルミニウム基板を陽極酸化する。これにより、図4(d)に示すように、アルミニウム基板24の表面に、微細孔29が稠密配列で規則的に配列された陽極酸化アルミナ膜28を得ることができる。
【0051】
次に、本発明の第3の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。図5に、その陽極酸化アルミナ膜の製造過程の断面図を示す。
【0052】
図5(a)に示すように、上記第1の実施の形態で用いた、ガラス基板14上に微粒子層13’が形成されてなる型15を用意する。
【0053】
次に、図5(b)に示すように、微粒子層13’の上部から、アルミニウムを蒸着してアルミニウム蒸着層34を形成する。蒸着厚さは、シリカ微粒子の粒径以上とすることが望ましい。
【0054】
次に、図5(c)に示すように、さらにアルミニウム蒸着膜34の上部にアルミニウムメッキ層35を形成する。最表面に保護膜として絶縁膜36を形成する。
【0055】
次に、図5(d)に示すように、ガラス基板を剥離する。さらに、図5(e)に示すように、シリカ微粒子を、アルミニウムに対して選択性のあるエッチャントでウェットエッチングあるいはドライエッチング等により除去する。これにより、アルミニウム蒸着層34の表面34aに、シリカ微粒子層の配列に対応した複数の窪み37が形成される。
【0056】
その後、図5(f)に示すように、上記実施の形態と同様に、陽極酸化して、稠密配列した微細孔39を有する陽極酸化アルミナ膜38を得る。
【0057】
次に、本発明の第4の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。陽極酸化アルミナ膜の製造方法について説明する。図6に、その陽極酸化アルミナ膜の製造過程の断面図を示す。
【0058】
図6(a)に示すように、上記第1の実施の形態で用いた型15を作製した方法と同様の方法で、アルミニウム基板36上に、粒径の略等しいシリカ微粒子13が稠密状態で配列されてなる微粒子層13’を形成する。
【0059】
次に、微粒子層13’をマスクにして、原子線等の粒子線によるエッチングを行い、アルミニウム基板36の表面36aに窪み37を設ける。
【0060】
この窪み37は、図7に示すように、微粒子層13’の隙間位置に対応した配列を有する。
【0061】
その後、図6(c)に示すように、上記実施の形態と同様に、陽極酸化して、稠密配列した微細孔39を有する陽極酸化アルミナ膜38を得る。
【0062】
本実施の形態における、開始点のパターンは、アルミニウム層微粒子層13’の隙間に対応したパターンであり、微粒子でマスクされた領域は、パターンが形成されていないが、その領域の周辺が規則的な配列を有しているので、稠密状態で配列された微細孔を得ることができる。
【0063】
上記すべての実施の形態では、微粒子が1段、稠密配列されてなる微粒子層13’を用いて説明したが、図8に示すように、微粒子13が稠密配列されてなる微粒子層13’の上部に、微粒子13と同じ粒径を有する微粒子23を配置させてなる稠密配列された微粒子層23’を設けてもよい。さらには、稠密配列された微粒子層を複数段形成してもよい。
【0064】
上記実施の形態では、シリカ(SiO2)微粒子を用いた場合について説明したが、シリカに限らずAl2O3、MgOまたはTiO2等の無機質微粒子であってもよい。また、同種のものに限らず、これらの微粒子の2種類以上の混合微粒子であってもよい。微粒子の材料は、アルミニウムより硬いことが望ましい。ここでいう「硬い」とは、アルミニウムを塑性変形させることができる物性を有するもののことを示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法に用いる型の製造方法を示す断面図
【図2】本発明の第1の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法に用いる型の微粒子の配列を示す上面図
【図3】本発明の第1の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法を示す断面図
【図4】本発明の第2の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法を示す断面図
【図5】本発明の第3の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法を示す断面図
【図6】本発明の第4の実施の形態による陽極酸化アルミナ膜の製造方法を示す断面図
【図7】第4の実施の形態で用いるアルミニウム基板に設けられた窪みを示す上面図
【図8】微粒子層の他の配列を示す上面図
【符号の説明】
11 ビーカー
12 水
13 シリカ微粒子
13’ シリカ微粒子層
14 ガラス基板
15,25 型
16 アルミニウム基板
17 窪み
18 陽極酸化アルミナ膜
19 微細孔
24 アルミニウム基板
26 ガラス基板
34 アルミニウム蒸着膜
35 アルミニウムメッキ層
Claims (6)
- 第1の基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、該第1の基板表面に前記微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、該微粒子層が形成された該第1の基板を焼成して型を形成する工程と、
該型の前記微粒子層を、アルミニウム基板表面に押し当てることにより、該表面に前記微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
該アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とする陽極酸化アルミナ膜の製造方法。 - アルミニウム基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、該アルミニウム基板表面に前記微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、該微粒子層が形成された該アルミニウム基板を焼成して型を形成する工程と、
該型の前記微粒子層を、該微粒子層上から、該微粒子より硬い材料からなる第1の基板で押すことにより、前記アルミニウム基板表面に前記微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
前記アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とする陽極酸化アルミナ膜の製造方法。 - 第1の基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引き上げることにより、該第1の基板表面に前記微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、その後、該微粒子層が形成された該第1の基板を焼成して型を形成する工程と、
該型の微粒子層上に、アルミニウム層を積層させた後、前記型を除去することにより、該アルミニウム層の表面に、前記微粒子層の配列に対応した窪みを形成する工程と、
該アルミニウム層を陽極酸化する工程とからなることを特徴とする陽極酸化アルミナ膜の製造方法。 - アルミニウム基板を、粒径が略等しい複数の微粒子を含む懸濁液に浸し、所定の時間後、引上げることにより、前記アルミニウム基板表面に前記微粒子が規則的に配列されてなる微粒子層を形成し、該微粒子層が形成された該アルミニウム基板を焼成する工程と、
該微粒子層をマスクとして、前記アルミニウム基板表面をエッチングすることにより、前記表面に、前記微粒子層の隙間に対応した窪みを形成する工程と、
該アルミニウム基板を陽極酸化する工程とからなることを特徴とする陽極酸化アルミナ膜の製造方法。 - 前記微粒子層が、前記微粒子が一つの面内で稠密状態で配列されてなるものであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の陽極酸化アルミナ膜の製造方法。
- 前記微粒子が、SiO2、Al2O3、MgOまたはTiO2からなることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の陽極酸化アルミナ膜の製造方法。
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CN105297100A (zh) * | 2015-09-11 | 2016-02-03 | 浙江家强铝业有限公司 | 一种在铝制品表面形成有序凹孔的方法 |
CN106435685A (zh) * | 2016-09-18 | 2017-02-22 | 佛山科学技术学院 | 铝表面电沉积制备低吸收率与高半球发射率氧化膜的方法 |
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-
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- 2003-03-27 JP JP2003087889A patent/JP2004292904A/ja not_active Withdrawn
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