JP2008223073A - 多孔質ナノ構造体及びその製造方法 - Google Patents

多孔質ナノ構造体及びその製造方法 Download PDF

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正三 新宮原
Kenichi Ogata
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Abstract

【課題】陽極酸化アルミナからなり、従来に比べ膜厚の大きな底部バリア層を有する多孔質ナノ構造体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも陽極酸化アルミナ膜を含む多孔質ナノ構造体である。その陽極酸化アルミナ膜はナノホール層と底部バリア層とを含み、その底部バリア層の厚さが200nm以上である。従来に比べ底部バリア層の膜厚が大きく、絶縁性を向上させることができるので、電界発光素子に用いると発光強度と信頼性を向上させることが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、陽極酸化アルミナからなり、規則的なナノホール構造を有する多孔質ナノ構造体及びその製造方法に関する。
アルミニウムの金属又はアルミニウム含有合金を陽極として用い、これを硫酸、シュウ酸、リン酸などの電解液中に浸漬しつつ、陰極と陽極と間に電圧をかけることにより、陽極酸化アルミナからなる多孔質ナノ構造体が得られる。この多孔質ナノ構造体は、多数の酸化物の柱状体からなり、この柱状体の中心にこの柱状体に対して平行な直径1nm〜1000nmのナノオーダーの細孔(ナノホール)が形成された構造、すなわち、多数のナノホールが基板表面に垂直に概ね等間隔で互いに平行に形成された構造を有する。この規則的なナノホール構造(以下、規則化ナノホール構造という。)を利用して、電界発光素子や、フォトニック結晶、すなわち、異なる屈折率をもつ物質を光の波長程度の周期で配列した構造体や、ナノホール構造体をテンプレートとして利用し、このナノホールに磁性材料や半導体材料の機能性材料を埋め込んだ記録素子や発光素子が提案されている。
この規則化ナノホール構造を作製する方法については、例えば、非特許文献1から4の方法が提案されている。
Science 268,1466-1468, 1955 J.Appl.Phys. 84, 6023-6026, 1998 Electrochem.Solid.St.7 E15-E17, 2004 Nat.Mater. 5, 741-747, 2006
図8は、本発明者らが提案する、規則化ナノホール構造を用いた電界発光素子の構造の一例を示す模式断面図である。規則化ナノホール構造を有する陽極酸化アルミナ膜55を、例えばアルミニウム板からなり基板を兼ねる下部電極51と、例えばアルミナからなる絶縁層53と、例えばZnO透明導電膜からなる上部電極54とで挟んだ構造を有する。発光物質56として、例えばZnOがナノホール52に充填されている。陽極酸化アルミナ膜55は、多数のナノホール52を有するナノホール層57と、底部バリア層58とからなる。絶縁層53の一部を構成する底部バリア層58の特性は、発光強度や信頼性に大きな影響を与えるため、より厚い膜厚を有する底部バリア層が必要とされている。ここで、底部バリア層58の膜厚tは、ナノホール52の先端から、断面湾曲形状を有する底部バリア層58の先端までの距離で定義される。
しかしながら、従来の陽極酸化では、底部バリア層の膜厚だけを独立して制御することは困難であり、底部バリア層の膜厚を大きくしようとするとナノホールが拡径してナノオーダーの細孔径を維持することができない。そのため、底部バリア層の膜厚は100〜150nmが限度であり、それ以上厚くすることは困難であった。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、陽極酸化アルミナからなり、従来に比べ膜厚の大きな底部バリア層を有する多孔質ナノ構造体及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究した結果、アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金の表面を酸性電解液中で陽極酸化してナノホール層を含む陽極酸化アルミナ膜を形成した後、その陽極酸化アルミナ膜を中性電解液中で陽極酸化することで従来に比べ厚膜の底部バリア層を得ることが可能なことを見出して本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の多孔質ナノ構造体は、陽極酸化アルミナ膜からなる多孔質ナノ構造体であって、該陽極酸化アルミナ膜がナノホール層と底部バリア層とからなり、該底部バリア層の厚さが200nm以上であることを特徴とする。
また、本発明の多孔質ナノ構造体の製造方法は、上記多孔質ナノ構造体の製造方法であって、少なくとも、アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金の表面を酸性電解液中で陽極酸化して陽極酸化アルミナ膜を形成する工程と、さらに該陽極酸化アルミナ膜を弱酸性又は中性電解液中で陽極酸化する工程とを有することを特徴とする。
本発明の多孔質ナノ構造体は、ナノホール径を拡径することなく、底部バリア層の膜厚を従来に比べ大きくした構造を有する。これにより、多孔質ナノ構造体の構造及び物性の制御の自由度を増大させることができる。また、底部バリア層中の皮膜欠陥の修復や膜厚の均一化がなされているので、本発明の多孔質ナノ構造体を電界発光素子に用いると、絶縁性をさらに向上させることができ、発光強度や信頼性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明するが、以下の実施の形態は例示であって、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
本発明に係る多孔質ナノ構造体は、少なくとも、アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金の表面を酸性電解液中で陽極酸化してナノホール層を含む陽極酸化アルミナ膜を形成する工程と、さらに該陽極酸化アルミナ膜を中性電解液中で陽極酸化する工程とを有する製造方法を用いて製造することができる。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る多孔質ナノ構造体の製造方法の一例を示す模式断面図である。その製造方法は、(A)アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金を表面に有する基板を用意する工程(図1(a))と、(B)その基板の表面を酸性電解液中で陽極酸化して陽極酸化アルミナ膜を形成する工程(ナノホール形成工程)(図1(b))と、(C)さらにその基板の表面を中性電解液中で陽極酸化する工程(底部バリア層成長工程)(図1(c))と、を有する。
以下(A)〜(C)の工程に関して詳細に説明する。
(A)基板を用意する工程
図1(a)に示すように、陽極酸化に供される試料板17は、アルミニウム金属又はアルミニウムを主成分として含む合金からなるアルミニウム膜12が基板11上に形成された構造を有する。基板11は、アルミニウム金属、若しくはその合金を良好に成長させることができるものであれば特に限定されない。また、アルミニウム膜は基板の表面の少なくとも一部に形成されていれば良い。また、用途に応じてアルミニウム膜を基板表面上に所定パターンで形成したものを用いることもできる。
アルミニウム膜12の製膜方法は特に限定されるものではなく、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、圧着貼り合わせ法、分子線蒸着法等の従来公知の方法を用いることができる。アルミニウム膜12は、アルミニウムを60%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上含むことが好ましい。また、合金成分となる金属も特に限定されるものではなく、種々の合金を用いることができる。例えば、アルミニウム−マグネシウム合金(Al−Mg系合金 JIS規格5000番台)やアルミニウム−マグネシウム−ケイ素(Al−Mg−Si系合金 JIS規格6000番台)を挙げることができる。
また、バルク状のアルミニウム金属若しくはアルミニウム含有合金を試料板17として用いることもできる。この場合、純度、及び形状等は特に限定されないが、より好ましくは純度99.9%以上、さらに好ましくは純度99.999%以上である。また、基板表面は、平滑処理を施すことが望ましく、例えば、過塩素酸/エタノール混合溶液中において、電解研磨を施すことが好ましい。
(B)ナノホール形成工程
続いて、試料板17の陽極酸化を行う。図1(b)に示すように、この陽極酸化により、アルミニウム層12の一部又は全部を陽極酸化アルミナ膜13に変換する。陽極酸化アルミナ膜13は、ナノホール層14と底部バリア層15とを有している。ナノホール層14は、ナノホール16を有する複数の酸化物の柱状体を有する。
本工程で用いる陽極酸化の方法は酸性電解液を用いるものであれば特に限定されるものではなく、従来公知の方法を従来公知の条件で用いることができる。図2は、多孔質陽極酸化アルミナ膜13の作製に好適に使用される電解装置20を示す概略図である。当該装置20は、電解液24が蓄えられた電解液槽28と、電解液24中に浸漬された陰極21及び陽極22と、これらの電極21及び22に接続された電源26と、電解液24を攪拌するマグネティックスターラー25とを備えている。陽極22上にアルミニウム板27を備えた基板23を取り付ける。陰極21には、アルミニウム金属よりイオン化傾向の小さいPtなどの金属を用いることができる。ここで基板23には図1(a)の試料板17を用いることができる。
酸性電解液には、リン酸、シュウ酸、クロム酸等の酸性溶液を用いることができるが、シュウ酸が好ましい。例えばシュウ酸を用いる場合、1wt%〜5wt%のシュウ酸を0℃〜10℃以上の温度で用いることが好ましい。また、硫酸を用いる場合、1wt%〜5wt%の硫酸を0℃〜10℃の温度範囲で用いることが好ましい。リン酸を用いる場合、1wt%〜5wt%のリン酸を0℃〜5℃の温度範囲で用いることが好ましい。
陽極酸化は、電源26により、陽極22と陰極21との間に所定の電圧を印加して行う。陽極酸化アルミナ膜の細孔間隔は電圧に依存する。電圧の変動は、細孔配列の規則性の低下を引き起こすことから、陽極酸化は定電圧条件下行うことが好ましい。但し、負荷条件が変動せず、電圧が一定の条件下においては、定電流条件でも等価とみなすことができる。
陽極酸化を停止させる方法に関しては特に限定されるものではなく、適切な方法で適切なタイミングで停止すればよい。陽極酸化を一定電圧で電流をモニターすることにより、電流値が変化した時点で陽極酸化を停止させる方法を挙げることができる。例えば、電流値がスパイク状に変化した時点で陽極酸化を停止させることが好ましい。
本工程において、できる限り厚い陽極酸化アルミナ膜を形成することが好ましい。その厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。本工程で、厚い陽極酸化アルミナ膜を形成することにより、規則化ナノホール構造の規則性をより向上させることができるからである。
(C)底部バリア層成長工程
本工程では、中性電解液中で陽極酸化を行う。図1(c)に示すように、ナノホール16が基板11の方向に成長し、底部バリア層15の膜厚も増加する。これにより、膜厚が200nm以上の底部バリア層を有する陽極酸化アルミナ膜13からなる多孔質ナノ構造体を得ることができる。
本工程に用いる弱酸性又は中性電解液には、アルミニウムの陽極酸化においていわゆるバリア型酸化皮膜を形成する電解液を用いることができる。弱酸性電解液には、イオン解離度の低い無機酸又は有機酸、例えば、ホウ酸、マレイン酸、マロン酸、フタルクエン酸、酒石酸等を電解質として1種以上含む水溶液を挙げることができるが、ホウ酸が好ましい。中性電解液には、ホウ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の塩を電解質として1種以上含む水溶液を挙げることができるが、ホウ酸アンモニウムが好ましい。また、イオン解離度の低い無機酸又は有機酸と、塩とを含む混合電解液を用いることもできる。混合電解液としては、ホウ酸−ホウ酸アンモニウム水溶液が好ましい。また、溶媒には水に代えてエチレングリコール−水の混合溶媒を用いることもできる。混合溶媒を用いた好ましい電解液は、ホウ酸−ホウ酸アンモニウム電解液である。また、電解質の濃度は20g/L〜250g/Lが好ましい。なお、本発明において、酸性電解液のpHは0〜1であり、弱酸性電解液のpHは3〜4である。
また、陽極酸化の電圧は200V以上であることが好ましい。例えば、ホウ酸を用いた場合には300〜600V、ホウ酸アンモニウムを用いた場合には300〜600V、酒石酸アンモニウムを用いた場合には200〜400V、アジピン酸アンモニウムを用いた場合には300〜600Vが好ましい。
本工程で得られた陽極酸化アルミナ膜をさらに熱処理することもできる。不活性ガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、陽極酸化アルミナ膜を緻密化することができる。熱処理の温度は、600℃〜1200℃であることが好ましく、より好ましくは800℃〜1000℃である。この熱処理により陽極酸化アルミナ膜の耐食性を向上させることができる。また、この熱処理により陽極酸化アルミナ膜におけるシュウ酸イオンやリン酸イオンなどの電解液に起因する不純物を除去して、絶縁性の高いアルミナ膜を得ることができる。
また、熱処理時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも、酸素分圧が133Pa(1Torr)以下であり、かつ水素分圧が133Pa(1Torr)以下である条件が好ましい。あるいは、少なくとも、酸素濃度が1%以下であり、かつ水素濃度が1%以下である不活性ガス雰囲気が好ましい。酸素濃度と水素濃度を所定範囲に維持することにより、陽極酸化アルミナ膜13の還元や、アルミニウム膜12の酸化による酸化膜の増加を防止することができる。すなわち、酸素濃度をかかる範囲とすることにより、アルミニウム膜の酸化を防止することができる。また、水素濃度をかかる範囲とすることにより、陽極酸化アルミナ膜とアルミニウム膜12との境界部分で還元によりアルミニウムが析出することを防止することができるからである。また、上記不活性ガスは、特に限定されるものではないが、例えば、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)、Rn(ラドン)等を用いることが好ましい。
本実施の形態によれば、酸性電解液中における陽極酸化後に、バリア型酸化皮膜を形成する弱酸性又は中性電解液中で陽極酸化を行うことにより、多孔質ナノ構造体のナノホール径を拡径することなく、底部バリア層の膜厚のみを従来に比べ大きくすることが可能である。
また、酸性電解液中における陽極酸化によるアルミナ膜は、膜厚が不均一で、皮膜欠陥も多いが、バリア型酸化皮膜を成長させて底部バリア層の膜厚を厚くするにつれて、アルミナ膜の皮膜欠陥を修復したり、膜厚をより均一化することができる。これにより、作製した多孔質ナノ構造体を電界発光素子に用いた場合、絶縁性の向上により発光強度や信頼性の向上をもたらすことができる。
実施の形態2.
本実施の形態は、ナノホール形成の開始点となる多数の窪みを形成することにより、ナノホール構造の規則性を向上させることを目的として、実施の形態1におけるナノホール形成工程に選択エッチング工程と再陽極酸化工程を設けた点が実施の形態1と相違する。
図3は、本実施の形態に係る多孔質ナノ構造体の製造方法の一例を示す模式工程図である。その製造方法は、(A)アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金を表面に有する基板を用意する工程(図3(a))と、(B−1)その基板の表面を酸性電解液中で陽極酸化して第1の陽極酸化アルミナ膜を形成する第1陽極酸化工程(図3(b))と、(B−2)その第1の陽極酸化アルミナ膜をリン酸溶液中で選択的エッチングにより除去する選択エッチング工程(図3(c))と、(B−3)再度基板の表面を酸性電解液中で陽極酸化して第2の陽極酸化アルミナ膜を形成する第2陽極酸化工程(図3(d))と、(C)さらにその基板の表面を中性電解液中で陽極酸化する工程(底部バリア層成長工程)(図3(e))と、を含んでいる。
以下、(B−1)〜(B−3)の工程に関して説明する。
(B−1)第1陽極酸化工程
陽極酸化により、アルミニウム膜12の一部又は全部を陽極酸化アルミナ膜13に変換するものであり、実施の形態1の酸性電解液中での陽極酸化工程と同様の条件で行うことができる。
(B−2)選択エッチング工程
図3(c)に示すように、本工程では、第1陽極酸化工程で形成させた第1の陽極アルミナ膜をリン酸溶液を用いて選択的にエッチングして除去する。これにより、ナノホールの形成の開始点となる窪み18を露出させることができる。
(B−3)第2陽極酸化工程
本工程では、第1陽極酸化工程と同様の条件で再度陽極酸化を行う。これにより、図3(d)に示すように、窪み18を開始点として、その窪み18からナノホール16が基板11の方向に成長する。先の選択エッチング工程において形成された窪み18は、ランダムに形成されているが、これを開始点として、アルミニウム層12がアルミナに変換され、ナノホール16が下方へ成長するにしたがってナノホール16は規則正しく配列するようになる。
本実施の形態によれば、ナノホール形成工程において、一旦形成した陽極酸化アルミナ膜をエッチングにより除去して多数の窪みを形成し、再度陽極酸化を行うことによりその窪みを開始点としてナノホールを形成するようにしたので、ナノホール構造の規則性をさらに向上させることができる。
なお、本実施の形態では、多数の窪みを形成する方法に、一旦生成した陽極酸化アルミナ膜をリン酸溶液中で選択的エッチングにより除去して窪みを形成する方法を用いたが、アルミニウム板又はアルミニウム含有合金板等の基板の表面に多数の窪みを所定の間隔で形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、規則的な突起配列を有する器具を用いて、陽極酸化前の基板に規則配列した多数の窪みを形成し、かかる窪みをナノホール形成の開始点とすることもできる。また、フォトリソグラフィーや電子線リソグラフィーやX線リソグラフィー等の微細加工技術を用いて基板表面に細孔配列に対応したレジストパターンを形成し、次いでそのレジストパターンをエッチングして細孔配列に対応した多数の窪みを形成する方法を用いることもできる。
実施の形態3.
次に、本発明の多孔質ナノ構造体の構造について、図1(c)に基づいて説明する。
本発明の多孔質ナノ構造体は、少なくとも陽極酸化アルミナ膜13を含み、その陽極酸化アルミナ膜13はナノホール層14と底部バリア層15とを含む。ナノホール層14には、多数の円柱状のナノホール16が、基板11表面に対し略垂直に形成されている。また、多数のナノホール16は略等間隔で互いに平行に配列している。ナノホールの形状は、柱状であれば円柱状に限られるものではなく、三角柱や四角柱や六角柱であってもよい
また、底部バリア層の厚さは200nmより大きく、より好ましくは300nm以上、さらに好ましくは400nm以上である。特に上限は限定されないが、1000nm以下が好ましい。また、ナノホールの直径は、1nm〜1000nm、より好ましくは1nm〜200nm、さらに好ましくは2nm〜100nmである。また、各ナノホールの中心間の間隔は、3nm〜1000nm、より好ましくは3nm〜500nm、さらに好ましくは5nm〜100nmである。また、ナノホール層の膜厚は、10nm〜10μmであれば、特に限定されるものではなく、使用用途により適宜選択することができる。
また、底部バリア層は、その表面に、ホウ酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、マレイン酸イオン、マロン酸イオン、フタルクエン酸イオン等の群から選択された少なくとも1種のアニオンを含んでも良い。このアニオンは中性電解液に含まれるものであり、陽極酸化時に、アニオンの一部が表面に取り込まれる。
また、本発明の多孔質ナノ構造体は、陽極酸化アルミナ膜13に接する、アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金からなるアルミニウム膜12を有していても良い。さらに、本発明の多孔質ナノ構造体は、少なくとも表面の一部にそのアルミニウム膜12を有する基板11を有していても良い。
基板の材料は、陽極酸化時にアルミニウム膜へ電流を供給することができるものであれば特に限定されない。例えば、ニッケル、銅、金等の金属、半導体、グラファイト等を用いることができる。これら材料からなる基板を1種あるいは複数積層して用いることもできる。また、これらの基板の厚さは特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択することができる。
さらに、本発明の多孔質ナノ構造体は、そのナノホールに発光物質を充填することができる。発光物質には、II−VI族化合物半導体を用いることができる。II−VI族化合物半導体は、Zn、Hg、Cd、MgおよびBeから成る群より選ばれる少なくとも一種のII族元素と、O、S、SeおよびTeからなる群より選ばれる少なくとも一種のVI族元素とからなる化合物半導体であれば特に限定されるものではない。したがって、2種類の元素を含むものであってもよいし、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。具体的には、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdS、CdSe、CdTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe等を挙げることができる。もちろん、上記II−VI族化合物半導体は、これに限定されるものではなく、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。これら発光物質の充填には、電析法、ゾルゲル法、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法等を用いることができる。
なお、本発明の多孔質ナノ構造体は、必要に応じ、さらに他の膜または層を具備していてもよい。かかる他の膜または層としては、特に限定されるものではないが、例えば、電極、透明電極、絶縁膜、ミラー等を挙げることができる。
実施例1.
(実験方法)
純度99.999%のアルミニウム基板を、過塩素酸/エタノール溶液を用い電解研磨を施したものを基板として用い、3wt%リン酸溶液を電解液とし、液温0℃、強攪拌条件下、110Vの定電圧条件下、60分陽極酸化を行うことにより、基板上に陽極酸化アルミナ膜を形成した。次に、0.78Mホウ酸溶液を電解液とし、液温60℃、300Vの定電圧条件下、30分陽極酸化を行った。
(結果)
図4は、リン酸溶液中での陽極酸化後の陽極酸化アルミナ膜の断面のSEM写真である。一方、図5はホウ酸溶液中での陽極酸化後の陽極酸化アルミナ膜の断面のSEM写真である。ホウ酸溶液中での陽極酸化後も、ナノホールの直径は約100nmで変化していない。しかし、ホウ酸溶液中での陽極酸化により、底部バリア層の膜厚が、リン酸溶液中での陽極酸化後の100nm〜150nmから、300nm〜400nmへと大きく増加したことを確認した。
また、図6は、ホウ酸溶液中での陽極酸化後の陽極酸化アルミナ膜のリン(P)についてのX線光電子分光法(XPS)による分析結果を示すグラフである。印加電圧300Vの場合、底部バリア層の表面にPの存在は認められなかった。一方、底部バリア層の膜厚が増加しなかった印加電圧150Vの場合、底部バリア層の表面にはPの存在が認められた。また、図7にホウ酸溶液中での印加電圧300Vによる陽極酸化後の陽極酸化アルミナ膜のホウ素(B)についてのXPSによる分析結果を示す。以上の結果より、ホウ酸溶液中での陽極酸化では底部バリア層の膜厚の増加に伴い、その表面にPではなくBが存在することを確認した。
本発明の多孔質ナノ構造体は、ナノホール径を拡径することなく、底部バリア層の膜厚を従来に比べ大きくした構造を有する。また、底部バリア層の構造を、表面に特定の元素を取り込ませた構造とすることもできる。これにより、底部バリア層の膜厚や表面組成を制御することが可能となり、多孔質ナノ構造体の構造及び物性の制御の自由度を増大させることができる。特に、本発明の多孔質ナノ構造体を電界発光素子に用いると、絶縁性を向上させることができるので、発光強度や信頼性を向上させることが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る多孔質ナノ構造体の製造工程の一例を示す模式断面図である。 本発明に係る多孔質ナノ構造体の作製に好適に使用される装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の実施の形態2に係る多孔質ナノ構造体の製造工程の一例を示す模式断面図である。 従来の多孔質ナノ構造体の断面構造の一例を示すSEM写真である。 本発明に係る多孔質ナノ構造体の断面構造の一例を示すSEM写真である。 本発明に係る多孔質ナノ構造体と従来の多孔質ナノ構造体の表面のリンをX線光電子分光法(XPS)により分析した結果を示すグラフである。 本発明に係る多孔質ナノ構造体の表面のホウ素をX線光電子分光法(XPS)により分析した結果を示すグラフである。 多孔質ナノ構造体を用いた電界発光素子の構造の一例を示す模式断面図である。
符号の説明
11 基板
12 アルミニウム膜
13 陽極酸化アルミナ膜
14 ナノホール層
15 底部バリア層
16 ナノホール
17 試料板
18 窪み
20 陽極酸化装置
21 陰極
22 陽極
23 基板
24 電解液
25 マグネティックスターラー
26 電源
27 アルミニウム金属板
28 電解液槽

Claims (5)

  1. 少なくとも陽極酸化アルミナ膜を含む多孔質ナノ構造体であって、
    該陽極酸化アルミナ膜はナノホール層と底部バリア層とを含み、該底部バリア層の厚さが200nm以上である多孔質ナノ構造体。
  2. 上記底部バリア層と接する、アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金からなるアルミニウム膜を有する請求項1記載の多孔質ナノ構造体。
  3. 請求項1記載の多孔質ナノ構造体の製造方法であって、
    少なくとも、アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金の表面を酸性電解液中で陽極酸化して陽極酸化アルミナ膜を形成する工程と、さらに該陽極酸化アルミナ膜を弱酸性又は中性電解液中で陽極酸化する工程とを有する、多孔質ナノ構造体の製造方法。
  4. 上記陽極酸化アルミナ膜を形成する工程が、少なくとも、
    上記アルミニウム金属又はアルミニウム含有合金の表面にナノホールの開始点となる多数の窪みを形成する工程と、
    該多数の窪みを形成した上記アルミニウム金属又はアルミニウム合金の表面を陽極酸化する工程と、を有する請求項3記載の製造方法。
  5. 上記の弱酸性又は中性電解液中での陽極酸化を200V以上の電圧で行う請求項3又は4に記載の製造方法。
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