JP2007231405A - 規則化ナノホール構造を有するアルミニウムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、クロムを含まない溶液を用いて簡便かつ安価に陽極酸化アルミニウムを作製する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するため、本発明は、アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に規則化ナノホール構造を作成するにあたり、
(1)アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面を陽極酸化して多孔質酸化アルミニウム層を形成する工程と、
(2)上記多孔質の酸化アルミニウム層をリン酸溶液中に浸漬し、選択的にエッチングして除去する工程と、
(3)上記多孔質の酸化アルミニウム層を除去した表面を再度陽極酸化してアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に規則化ナノホール構造とする方法であって、
上記リン酸溶液がCr成分を含まず、リン酸溶液への浸漬により不動態被膜を形成することができる金属塩または金属酸化物を含むことを特徴とする方法にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、クロムフリー溶液による規則化ナノホール構造を有する陽極酸化アルミニウム及びその製造方法に関する。
陽極酸化アルミナとは、アルミニウムの金属又はアルミニウム合金を陽極として用い、これを硫酸、シュウ酸、リン酸などの電解液中に浸漬しつつ、陰極と陽極と間に電圧をかけることにより得られた多孔質ナノ構造体をいう。このような陽極酸化によって得られるアルミナは、複数の酸化物の柱状体からなり、この柱状体の中心にこの柱状体に対して平行な孔が形成されている(図7)。この陽極酸化アルミニウムは、高規則化ナノホール構造体となっているため、例えばフォトニック結晶という新たな光学機能を有する素子として利用することができる。フォトニック結晶とは、異なる屈折率をもつ物質を、光の波長程度の周期で配列した構造体であり、電磁波の局在状態を実現することができる。また、ナノホール構造体をテンプレートとして利用し、このナノホールに磁性材料や半導体材料の機能性材料を埋め込むことにより、記録素子や発光素子などに利用することができる。さらにナノホールの直径は、生体分子程度の大きさであることからバイオ素子として利用することもできる。
このような陽極酸化アルミニウム構造を作製するために、リン酸及び酸化クロムの混合溶液が用いられている(非特許文献1)。このように、従来の方法では、陽極酸化アルミニウムを作製するに際し、クロムの使用が不可欠であった。
Fabrication of Gold Nanodot Array Using Anodic Porous Alumina as an Evaporation Mask, Jpn. J. Appl. Phys. Vol.35 (1996) L126-L129
しかしながら、クロムは、その金属自体に関して有害性はないが、六価クロム等に関しては皮膚炎等の原因になるだけでなく、発ガン性の疑いもあるとされ、またこの六価クロムは気化しやすいため、消化器官や肺・皮膚などから吸収され易い。クロムの化合物が人体にとって有害であるとの認識が高まりつつある中で、とりわけ、ヨーロッパにおいては、特定有害物質使用禁止指令により「6価のクロム化合物などを2006年7月以降の電子電気機器に使用してはならない」と規制されるに至っている。
したがって、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、クロムを含まない溶液を用いて簡便かつ安価に陽極酸化アルミニウムを作製する方法及び当該方法により製造された陽極酸化アルミニウムを提供することにある。
高規則化ナノ構造配列を作製するに際し、まず、一段階目の陽極酸化において、アルミナからなるナノホールがランダムに形成され、選択的エッチング溶液によりアルミナからなるナノホールが除去される。そのアルミナからなるナノホールが一端選択的に溶解除去されると、一段階目の陽極酸化で形成されたナノホールの先端の形状に対応した窪みが露わになる。その後、二段階目の陽極酸化により、当該窪みを開始点として陽極酸化ナノホールが成長し、規則正しく配列されたナノホール構造体が形成される。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、V族元素のMo(モリブデン)やW(タングステン)、或いは希土類元素であるCe(セリウム)などを用いれば、これらの元素は、不動態膜を形成することができ、アルミニウムと一段階目の陽極酸化処理で変換されたアルミナとを有する基板のうち、アルミナの層がリン酸により浸食され、下地のアルミニウムの層が現れた時点で、当該リン酸溶液に含まれるV族元素のMo(モリブデン)やW(タングステン)、或いは希土類元素であるCe(セリウム)が、下地のアルミニウム表面に不動態膜として析出し、当該不動態膜によりリン酸による下地のアルミニウムに対するエッチングが阻止されることを見出した。そのため、クロム含有のリン酸溶液を用いなくとも、規則化ナノホール構造を作製するに必要な窪みが露出され、クロム含有リン酸溶液を用いる場合と同様に良好な高規則化陽極酸化アルミナを作製することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に規則化ナノホール構造を作成するにあたり、
(1)アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面を陽極酸化して多孔質酸化アルミニウム層を形成する工程と、
(2)上記アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面の多孔質酸化アルミニウム層をリン酸溶液中で、選択的にエッチングして除去する工程と、
(3)上記多孔質酸化アルミニウム層を除去したアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面を再度陽極酸化してアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に規則化ナノホール構造とする方法であって、
上記選択的エッチング除去工程において、リン酸溶液がCr成分を含まず、リン酸溶液への浸漬により上記多孔質酸化アルミニウム層を除去したアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に、Mo、W、Ce、Ti、Zr、CoおよびMnからなる群から選ばれた、不動態被膜を形成することができる金属塩または金属酸化物を含むことを特徴とする。
本発明に係る陽極酸化アルミニウムの製造方法によれば、上述のMo、W、Ce、Ti、Zr及びCoは、不動態を形成しうるため、二段階の陽極酸化処理において必要とされる選択エッチング剤となり得る。そのため、クロムを使用しなくとも規則化ナノホール構造を作製するに必要な二段階陽極酸化処理をすることができる。
以下、本発明に係る、クロムフリー溶液による陽極酸化アルミニウムの製造方法に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の実施の形態は、例示するものであって、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
(陽極酸化アルミニウムの製造方法)
図1は、本発明に係る陽極酸化アルミニウムの製造方法に係る陽極酸化処理工程を示している。本発明に係る陽極酸化アルミニウムの製造方法は、アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に規則化ナノホール構造を作製するにあたり、(A)アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面を陽極酸化して多孔質酸化アルミニウム層を形成する第1陽極酸化工程と、(B)上記アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面の多孔質酸化アルミニウム層をリン酸溶液中で、選択的にエッチングして除去する選択エッチング工程と、(C)上記多孔質酸化アルミニウム層を除去したアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面を再度陽極酸化してアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に規則化ナノホール構造とする第2陽極酸化工程とを有する方法であって、
(D)上記選択的エッチング除去工程において、リン酸溶液がCr成分を含まず、リン酸溶液への浸漬により上記多孔質酸化アルミニウム層を除去したアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に、Mo、W、Ce、Ti、Zr、CoおよびMnからなる群から選ばれた、不動態被膜を形成することができる金属塩または金属酸化物を含むことを特徴とする方法にある。
以下(A)〜(D)に関して詳細に説明する。
1.選択的エッチング溶液(D)
選択的エッチング溶液とは、アルミナに対しては溶解するが、アルミニウムに対しては溶解しないというような、材料の違いにより選択的にエッチングすることができる溶液をいう。このような選択的エッチング溶液として、以下の不動態を形成しうる元素を、リン酸等の溶解性溶液等に含有させた溶液を用いる。このような溶液をエッチング剤として用いれば、アルミニウムとアルミナとを有する基板のうち、リン酸がアルミナを溶解し、下地のアルミニウムの層が現れた時点で、当該リン酸溶液に含まれる元素により、アルミニウム表面に不動態膜が形成され、当該不動態膜によりリン酸によるエッチングが阻止されるため、アルミナのみ溶解され下地のアルミニウム層は溶解されない。このような選択的エッチング溶液に含まれる元素は、不動態を形成しうる元素であれば如何なるものを用いることができる。このような元素として、Mo、W、Ce、Ti、ZrおよびCo等の元素が挙げられる。これらの元素は、塩化物としてリン酸等の溶解性溶液に混合しても良いし、酸化物として混合しても良い。不動態を形成することができる限り、他の化合物であってもよい。
また、上記溶解性溶液としては、シュウ酸、硫酸、リン酸、クロム酸、マロン酸、ホウ酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、スルホサリチル酸、ピロリン酸等を用いることができる。
不動態を形成しうる元素化合物として、酸化モリブデンを使用し、溶解性溶液としてリン酸を使用した場合、酸化モリブデンの濃度と、リン酸の濃度との比率は、10:100〜100:100の範囲にあることが好ましい。更に好ましくは、20:100〜35:100である。また、不動態を形成しうる元素化合物として、塩化セシウムを使用し、溶解性溶液としてリン酸を使用した場合、塩化セシウムの濃度と、リン酸の濃度との比率は、5:100〜50:100の範囲にあることが好ましい。更に好ましくは、5:100〜20:100である。酸化モリブデン等の、不動態を形成しうる元素が少なすぎると、下地のアルミニウム層をリン酸のエッチング作用から完全には防御することができず、二段階目の陽極酸化処理で必要となる窪みが良好に形成されない。
2.第1陽極酸化工程(A)
まず、陽極酸化処理に供されるべきアルミニウム基板を作製する。そのため、基材上にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を形成する(図1(a))。図1(a)中、11は基材、12はアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を示す。基材11は、アルミニウム金属、若しくはその合金を良好に成長させることができれば、如何なる材料を用いても良い。
アルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜12の製膜方法は特に限定されるものではなく、CVD、スパッタ、真空蒸着、圧着貼り合わせ、分子線蒸着等の従来公知の方法を用いることができる。
ここで、アルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜12は、規則的な配列のナノホールが形成されている陽極酸化ナノホール層が得られるものであれば、アルミニウム以外の物質を含んでいてもよい。アルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜12は、アルミニウムを60%以上含んでいることが好ましく、90%以上含んでいることがより好ましく、95%以上含んでいることがさらに好ましい。また、上記合金膜にアルミニウムとともに含まれる金属も特に限定されるものではなく、種々の合金を好適に用いることができる。
上述のように、基材11上にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜12を蒸着等したもの以外に、バルク状のアルミニウム金属若しくはアルミニウム含有の合金を基板17として使用しても良い(図1(a'))。この場合、純度、及び形状等は如何なる範囲のものを使用しても良いが、高規則性ナノホールを作製するためには、純度99.9%以上のアルミニウムを使用することが好ましく、純度99.999%以上のアルミニウムを使用することがさらに好ましい。基板表面は、平滑処理を施すことが望ましく、例えば、過塩素酸/エタノール混合溶液中において、電解研磨を施すことが好ましい。
基材11上にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜12を蒸着等したものであっても、アルミニウム金属若しくはアルミニウム含有合金のバルク状の塊りを基板としたものであっても、以下アルミニウム含有基板17と称する。
続いて、図1(b)に示すように、上記アルミニウム含有基板17に対して第1陽極酸化処理を行う。この第1陽極酸化工程では、アルミニウム含有基板(図1(a))のアルミニウム層12に対して陽極酸化処理を施す。この工程により、アルミニウム層12の一部又は全部を多孔質陽極酸化アルミナ13に変換する。これにより、多孔質陽極酸化アルミナの層13が、下地のアルミニウム層12上に形成される。
ここで、陽極酸化の方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を従来公知の条件で好適に用いることができる。図2は、多孔質陽極酸化アルミナ13の作製に好適に使用される装置20を示す概略図である。当該装置20は、電解液24が蓄えられた電解液槽28と、電解液24中に浸漬された陰極21及び陽極22と、これらの電極21及び22に接続された電源26と、を備える。
本実施の形態では、電解液24としてシュウ酸を使用した場合、1wt%〜5wt%のシュウ酸を0℃〜10℃以上の温度で用いることが好ましい。また、電解液24として硫酸を用いた場合、1wt%〜5wt%の硫酸を0℃〜10℃の温度範囲で用いることが好ましい。電解液24としてリン酸を用いた場合、1wt%〜5wt%のリン酸を0℃〜5℃の温度範囲で用いることが好ましい。電源26により、陽極22と陰極21との間に所定の化成電圧を印加すると、規則正しい細孔配列が形成される。多孔質アルミナの細孔間隔は化成電圧に依存し、化成電圧の変動は、セル径の変動、ひいては細孔配列の規則性の低下を引き起こすことから、陽極酸化は定電圧条件下行うことが好ましい。但し、負荷条件が変動せず、化成電圧が一定の条件下においては、定電流条件でも等価とみなすことができる。陽極酸化処理において、陽極22にアルミニウム金属板23を取り付け、陰極21として、アルミニウム金属よりイオン化傾向の小さいPtなどの金属を取り付ける。陽極21として、アルミニウム以外の金属(若しくは合金)を使用しても良いが、この場合、陰極21としてはアルミニウム金属よりイオン化傾向が小さい金属を選択することが好ましい。
また、電解液24としては、シュウ酸、硫酸、リン酸以外に、例えば、クロム酸、マロン酸、ホウ酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、スルホサリチル酸、ピロリン酸等を用いることができる。
陽極酸化処理を停止させる方法に関しては特に限定されるものではなく、適切な方法で適切なタイミングで停止すればよい。陽極酸化を一定電圧で電流をモニターすることにより、電流値が変化した時点で陽極酸化処理を停止させる方法を挙げることができる。例えば、電流値がスパイク状に変化した時点で陽極酸化を停止させることが好ましい。
第1陽極酸化工程(A)では、アルミニウム金属又はアルミニウム合金製の基板の一方の面に、この基板の一部を酸化し変換することにより、アルミナからなるナノホール13がランダムに形成される。このような陽極酸化によって得られるナノホール13は、孔15を有する複数の酸化物の柱状体を有する。この柱状体の先端は丸みを帯びており、この先端部分が、高規則化ナノホールの形成の基点となる窪み14となる。
複数の窪みのような部分があれば、それを基点としてナノホールが成長するため、ナノホール13が規則正しく形成される。多孔質ナノホールの規則性は多孔質ナノホール13の成長と共に向上することから、できる限り厚いアルミニウム層を有する基板を使用し、長時間陽極酸化を実施することが好ましい。具体的には、上記アルミニウム層は、数100μm以上の厚さを有することが好ましい。
3.選択エッチング工程(B)
図1(c)は、選択エッチング工程(B)を示す。選択エッチング工程(B)においては、上記窪み14を露出するために、選択的エッチング溶液により、第1陽極酸化工程(A)において形成されたアルミナから成るナノホール13の層を溶解する。これにより、上述のように、アルミナからなるナノホールの先端部分に対応した窪み14が露出される。
4.第2陽極酸化工程(C)
図1(d)は、第2陽極酸化工程(C)を示す。第2陽極酸化工程(C)において、陽極酸化処理がなされると、窪み14が開始点となって、当該窪み14からナノホール13が基板11の方向に成長する。第2陽極酸化の条件等は第1陽極酸化の条件等と同様である。選択エッチング工程(B)において露出された窪み14は、ランダムに形成されているが、これを基点として、アルミニウム層がアルミナに変換され、ナノホールが下方へ進行していくにしたがってナノホールは規則正しく配列される。
また、上述のように陽極酸化処理した後に下地のアルミニウム12及び基材11を除去し、更にナノホール13の底部16を溶解除去することにより、貫通孔を有する多孔質陽極酸化アルミナを得ることもできる。この場合、多孔質の陽極酸化アルミナ13を下地のアルミニウム12から分離するためには、塩化第一水銀溶液中において下地のアルミニウム12を選択的に溶解除去する方法、あるいは、ヨードのメタノール溶液により下地のアルミニウム12を選択的に溶解除去する方法等を用いることができる。ナノホール底部16のエッチングには、リン酸等の酸により溶解する方法、イオンビーム、機械研磨等を用い、物理的にナノホールの底部を溶解除去し、貫通孔を形成する方法等を用いることができる。
このようにして得られた多孔質の陽極酸化アルミナを熱処理しても良い。熱処理工程は、アルミナのテンプレートに対して、不活性ガス雰囲気中でアニール処理することによりなされる。熱処理を行うことにより、多孔質のアルミナ膜が緻密化される。アニール処理の温度は、600℃〜1200℃であることが好ましく、より好ましくは800℃〜1000℃である。アニール処理(すなわち熱処理工程)を行うことにより、陽極酸化ナノホール層を熱処理により改変して耐食性を向上させることができる。また、この熱処理によって多孔質アルミナ膜におけるアルミニウム原子Alと酸素原子Oとの元素組成比を制御することも可能となる。
また、アニール処理時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば、酸素分圧が133Pa(1Torr)以下であり、かつ水素分圧が133Pa(1Torr)以下である条件が好ましい。あるいは、酸素濃度が1%以下であり、かつ水素濃度が1%以下である不活性ガス雰囲気が好ましい。熱処理工程のその他の条件は特に限定されるものではなく、公知の条件を種々選択して用いればよい。
このようにして作製された多孔質の陽極酸化アルミナは、ナノホール内に、金属、半導体、高分子、有機物等の様々な物質を充填することにより、各種記録媒体、光学素子等として利用することができる。これらの物質の充填には、電析法、ゾルゲル法、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法等を用いることができる。
(多孔質の陽極酸化アルミナ)
本発明に係る多孔質の陽極酸化アルミナの構造体を、図3A及び図3Bに基づいて説明する。図3A及び図3Bは、本発明に係る構造体を示すSEM図である。図3Aは、本発明に係るナノ構造体を上方から見たSEM図、図3Bは、断面が露出されたナノ構造体を斜めから見たSEM図である。図3A及び図3Bに示す構造体は、陽極酸化ナノホール層32(X)と、基板31(Y)とを具備する。さらに、上記構造体の陽極酸化ナノホール層32の細孔に他の物質(Z)が埋め込まれていても良い。
以下に、本発明の構造体について、(X)陽極酸化ナノホール層、(Y)基板、(Z)他の物質に関して詳細に説明する。
(X)陽極酸化ナノホール層
上記陽極酸化ナノホール層32は、基板31上に形成されたアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜を、酸性電解液中で陽極酸化することにより得られる膜であればよい。かかる陽極酸化ナノホール層32は、アルミニウムと酸素とを主成分として含むが、陽極酸化ナノホール層としての機能を妨げない限り、他の元素を含んでいてもよい。陽極酸化ナノホール層32には、多数の円柱状のナノホール33が、基板31表面に対し略垂直に形成されている。また、多数のナノホール33は規則的に形成されており、各ナノホールは略等間隔で互いに平行に配列している。
ナノホール33は、前記基板31まで貫通し、基板31がナノホール33の底部に露出していてもよいし、図3Bに示すように、蓋部34を有していても良い。
当該ナノホール33は、熱処理を施されていても良い。熱処理は、600℃以上の温度で行なえばよいが、700℃以上の温度で行なうことがより好ましく、800℃以上の温度で行なうことがさらに好ましく、900℃以上の温度で行なうことが特に好ましい。600℃以上の温度で、熱処理することにより、陽極酸化ナノホール層の耐食性が向上するため、ナノホールの配列の維持を容易とすることができる。また、温度が高いほど陽極酸化ナノホール層の耐食性を向上させることができるが、上記熱処理は、1200℃以下の温度で行なうことが好ましく、1000℃以下の温度で行なうことがより好ましい。かかる温度より低い温度で熱処理を行なうことにより熱による基板の変形等を回避することができる。
また、上記熱処理は、水素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または水素分圧が133Pa以下である真空中で行なわれることが好ましい。あるいは上記熱処理は、水素濃度が1%以下である不活性ガス雰囲気中、または真空中で行なわれることが好ましい。これにより、陽極酸化ナノホール層の還元を防止することができる。すなわち、これにより、陽極酸化ナノホール層と基板との境界部分で還元によりアルミニウムが析出することを防止することができる。
さらに、上記熱処理は、酸素分圧が133Pa以下であって、且つ、水素分圧が133Pa以下である不活性ガス雰囲気中、または酸素分圧が133Pa以下であって、且つ、水素分圧が133Pa以下である真空中で行なわれることが好ましい。あるいは上記熱処理は、酸素濃度が1%以下であって、且つ、水素濃度が1%以下である不活性ガス雰囲気中、または真空中で行なわれることが好ましい。これにより、陽極酸化ナノホール層の還元や、基板の酸化による酸化膜の増加を防止することができる。すなわち、酸素分圧をかかる範囲とすることにより、基板の酸化膜がより厚くなることを防止することができる。また、水素分圧をかかる範囲とすることにより、陽極酸化ナノホール層と基板との境界部分で還元によりアルミニウムが析出することを防ぐことができる。
また、上記不活性ガスは、特に限定されるものではないが、例えば、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)、Rn(ラドン)等を用いることが好ましい。
上述したように、本発明に係る構造体では、陽極酸化ナノホール層は、熱処理により、耐食性が向上するように改変されている。ここで、上記陽極酸化ナノホール層は、熱処理により、酸化膜に対する腐食効果を有する溶液中における腐食速度が、熱処理前の42%以下であるように改変されていることが好ましく、27%以下であるように改変されていることがより好ましい。腐食速度が上記のように改変されることにより、ナノホール33の配列を維持したまま、基板31の清浄表面をナノホール底部に露出させることが可能となる。
ここで、酸化膜に対する腐食効果を有する溶液とは、特に限定されるものではないが、フッ化水素酸(フッ化水素溶液)、フッ化アンモニウム溶液、水酸化カリウム溶液、硝酸、硫酸、またはこれらの混合溶液等を挙げることができる。
なお、図3A及び図3Bは、本発明の構造体の一例を示すものであり、本発明の構造体はこれに限定されるものではない。例えば、ナノホール33は円柱状に限られるものではなく、柱状であれば断面の形状は特に限定されるものではない。ナノホール33の断面の形状は、例えば、三角形、四角形、六角形等であってもよい。また、図3A及び図3Bでは、ナノホール33は、三角格子上に配列されているが、ナノホールの配置はこれに限定されるものではない。ナノホールの配置は、例えば、規則的な突起配列を有する器具を用いて、陽極酸化前の膜にくぼみを形成し、かかるくぼみをナノホール形成の開始点とすること等により制御することもできる。
また、ナノホールの直径は、通常、数nm〜数百nm程度であるが、2nm〜50nmであることがより好ましい。これにより、ナノホールに磁気材料を充填し、ナノ構造体を磁気記録材料として使用する場合、高密度磁気記録が可能となる。また、各ナノホール間の間隔は、各ナノホールの中心間の間隔は、数nmから数百nm程度であるが、5nmから100nmであることがより好ましい。これにより、例えば、記録密度の高密度化に対応する垂直磁気記録媒体を提供することが可能となる。なお、ナノホールの直径やナノホール間の間隔は、陽極酸化の条件を変化させることにより制御可能である。
また、ナノホールの深さ、すなわち陽極酸化ナノホール層の膜厚は、例えば10nm〜10μmであればよいが、特に限定されるものではなく、使用用途により適宜選択することができる。なお、ナノホールの深さは、陽極酸化するアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜の膜厚であるので、これらの膜の形成時に所望の膜厚とすればよい。
(Y)基板
上記基板31は、特に限定されるものではないが、単結晶基板であることが好ましい。これにより、ナノホール33の底部に単結晶基板の清浄表面が露出しているため、ナノホール内で、当該単結晶基板から直接種々の磁性体や半導体のナノ構造体を成長させることができる。それゆえ、ナノホール内部に埋め込まれた物質の結晶性を制御することが可能となり、磁気記録媒体や発光素子等の性能を向上することが可能となるという効果を奏する。
基板31は、特に限定されるものではなく、例えば、ニッケル、銅、金等の金属、半導体、グラファイト等を挙げることができるが、中でも上記基板は、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体からなる群より選択される少なくとも1つの半導体を含んでいることが好ましい。したがって、上記基板は上記半導体のうちの1つを含んでいてもよいし、複数の半導体の組み合わせで含んでいてもよい。また、上記基板は、上記半導体以外に他の材料を含んでいてもよい。複数の半導体または/および上記他の材料を含む場合には、これらは積層されていてもよい。また、上記基板の厚さは特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択すればよい。
ここで、上記II−VI族化合物半導体は、Zn、Hg、Cd、MgおよびBeから成る群より選ばれる少なくとも一種のII族元素と、O、S、SeおよびTeからなる群より選ばれる少なくとも一種のVI族元素とからなる化合物半導体であれば特に限定されるものではない。したがって、2種類の元素を含むものであってもよいし、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。
上記II−VI族化合物半導体としては、具体的には、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdS、CdSe、CdTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe等を挙げることができる。もちろん、上記II−VI族化合物半導体は、これに限定されるものではなく、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。また、上記基板には、II−VI族化合物半導体が複数種類含まれていてもよい。
また、上記III−V族化合物半導体は、B、Al、GaおよびInから成る群より選ばれる少なくとも一種のIII族元素と、N、P、AsおよびSbからなる群より選ばれる少なくとも一種のV族元素とからなる化合物半導体であれば特に限定されるものではない。したがって、2種類の元素を含むものであってもよいし、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。
上記III−V族化合物半導体としては、具体的には、例えば、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等を挙げることができる。もちろん、上記III−V族化合物半導体は、これに限定されるものではなく、3種類以上の複数の元素を含むものであってもよい。また、上記基板には、III−V族化合物半導体が複数種類含まれていてもよい。
上記IV族元素としては、SiおよびGeからなる群より選ばれる少なくとも一種のIV族元素であれば特に限定されるものではない。
基板に以上のような半導体を用いることにより、陽極酸化時にアルミニウム膜またはアルミニウムを主成分として含む合金膜へ基板から電流を供給することができる。また、上記半導体を用いれば大きな単結晶を比較的容易に得ることができ、その単結晶基板上では高結晶性、高配向性を有する物質の成長が可能になる。
(Z)ナノ構造体に充填された他の物質
本発明に係るナノ構造体は、少なくとも、基板と、陽極酸化ナノホール層とを具備していればよいが、当該陽極酸化ナノホール層に形成されているナノホールに、さらに他の物質が埋め込まれていてもよく、これらの他の物質が充填されたナノ構造体も本発明の構造体に含まれる。ここで、他の物質とは、特に限定されるものではなく、金属、半導体、有機物、半金属、セラミックス等であればよいが、中でも上記他の物質は半導体または金属であることがより好ましい。
上記の構成によれば、規則的な配列を有する柱状のナノ構造体の作製が可能となる。それゆえ、特に、前記ナノホール中に磁性体や半導体を埋め込む場合、垂直磁気記録媒体や発光素子等の機能素子として利用することが可能となる。
ナノホールに埋め込まれている上記他の物質は、単一の物質であってもよいし、複数の物質であってもよい。また、上記他の物質が複数の物質である場合には、当該複数の物質は、ナノホールに均質に埋め込まれていてもよいし、ナノホール内で積層構造を有する形で埋め込まれていてもよい。
上記他の物質が上記ナノホールに埋め込まれた構造体では、上記他の物質はナノホールの底部において上記基板33に直接接していることが好ましい。基板33として単結晶基板を用いる場合、上記他の物質を、基板33からの結晶方位情報に基づいて結晶成長させることが可能となる。
また、上記他の物質は、基板33から配向性を有するように結晶成長していることが好ましい。ここで上記他の物質は基板33から配向性を有するように結晶成長していることが好ましい。また、上記他の物質は、結晶性が高いことが好ましく、単結晶成長していることがより好ましい。これにより、結晶配向性を有するナノ構造体を得ることができる。それゆえ、かかるナノ構造体を用いる磁気記録媒体や、発光素子等の機能素子の性能を向上させることが可能となる。すなわち、磁気記録媒体では、例えば垂直磁気異方性を向上させることができ、また、発光素子では、例えば、発光出力を向上させることができる。
また、埋め込んだ物質を基板結晶上にヘテロエピタキシャル成長させるためには、基板と埋め込む物質の結晶構造が同じであることが好ましく、さらに格子不整合が10%以下であることが好ましい。かかる基板と埋め込む物質との組み合わせとしては、例えば、AlGaAs/GaAs、GaInAs/InP、GaInPAs/InP、GaInAsSb/GaSb、GaInAsSb/InAs等を挙げることができる。なお、これらの組み合わせにおいては、どちらが基板であってもよいし、どちらが埋め込まれていてもよい。
また、埋め込む物質の結晶構造が異なる場合や格子不整合が10%を超える場合においても、バッファ層や超格子層を用いたり、基板面を指数面からわずかに傾けることなどによりエピタキシャル成長が可能である。かかる基板と埋め込む物質との組み合わせとしては、例えば、SiGe/Si、GaAs/Ge、GaInN/GaN、ZnSSe/ZnSe、GaAs/Si、GaN/SiInAs等を挙げることができる。なお、これらの組み合わせにおいても、どちらが基板であってもよいし、どちらが埋め込まれていてもよい。
上記他の物質は、半導体または金属であることが好ましい。かかる半導体としては特に限定されるものではないが、例えば、II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体からなる群より選択される少なくとも1つの半導体であることが好ましい。したがって、ナノホールに埋め込まれる半導体は、上記半導体のうちの1つであってもよいし、複数の半導体の組み合わせであってもよい。例えば、バンドギャップの大きく異なる二種類の半導体薄膜をそれぞれ膜厚数nm〜数十nm程度として交互に積層した構造では、縦方向に量子井戸が形成されて電子が井戸内に閉じ込められ、量子サイズ効果が実現される。ナノホールに埋め込み形成した細線では、さらに横方向にも電子を閉じ込められることができるので、顕著な量子サイズ効果を実現することができる。それにより、波長を任意に設計可能な高輝度な半導体レーザーを作製することができる。
上記II−VI族化合物半導体、III−V族化合物半導体およびIV族元素を含む半導体については、上記(Y)基板のところで説明したものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
また、上記金属も特に限定されるものではないが、磁性体であることが好ましい。上記金属は、例えば、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、及びNi(ニッケル)からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含むことが好ましい。したがって、上記金属は、これらのうちの1種の金属を含むものであってもよいし、これらのうちの複数の金属を含むものであってもよい。また、上記金属は、これらの金属に加えて他の金属を含むものであってもよい。このように、ナノホールに金属を埋め込むことにより得られる構造体は、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体として用いることができる。
なお、上記他の物質がナノホールに埋め込まれた構造体は、上記他の物質がナノホール全体にわたって埋め込まれている構造体であってもよいし、上記他の物質がナノホールの途中まで埋め込まれている構造体であってもよい。
なお、本発明の構造体は、前記基板と、ナノホールに半導体または金属が埋め込まれた陽極酸化ナノホール層とに加えてさらに他の膜または層を具備していてもよい。かかる他の膜または層としては、特に限定されるものではないが、例えば、電極、透明電極、絶縁膜、ミラー等を挙げることができる。
純度99.999%のアルミニウム基板を、過塩素酸/エタノール溶液を用い電解研磨を施した後、3wt%リン酸を電解液とし、液温0℃、強攪拌条件下、110Vの定電圧条件下、60分陽極酸化を行うことにより、多孔質の陽極酸化アルミナを得た。次に60℃に加熱したリン酸6wt%と酸化モリブデン1.8wt%の混合溶液を用いてアルミナ膜のみを選択的にエッチングした。残ったアルミニウム膜を一定電圧で電流をモニターしながら陽極酸化を行った。図4は、本実施例1において得られた陽極酸化ナノホール層を上方からSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果を示す図である。クロム含有の溶液と同様、高規則化ナノ構造体を形成するために必要な窪みが形成されているのが観察された。
図6は、クロムを含まない選択的エッチング剤を使用して作製した陽極酸化アルミナ(実施例1)と、クロムを含む選択的エッチング剤を使用して作製した陽極酸化アルミナ(比較例)と、をX線光電子分光法(XPS)により分析したグラフである。図6から分かるように、従来の方法により作製した陽極酸化アルミナでは、580eV及び590eV付近にクロムの存在を示すピークが現れたが、本実施例1に係る方法により作製した陽極酸化アルミナでは、そのようなピークは現れなかった。そのため、人体等に有害なクロムが、陽極酸化アルミナには含まれないことが分かった。
純度99.999%のAlを、実施例1と同様に陽極酸化を行うことにより、多孔質の陽極酸化アルミナを得た。次に60℃に加熱したリン酸6wt%と塩化セシウム1.0wt%の混合溶液を用いてアルミナ膜のみを選択的にエッチングした。図5は、本実施例2において得られた陽極酸化ナノホール層を上方からSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果を示す図である。クロム含有の溶液と同様、高規則化ナノ構造体を形成するために必要な窪みが形成されているのが観察された。
純度99.999%のAlを、実施例1と同様に陽極酸化を行うことにより、多孔質の陽極酸化アルミナを得た。次にリン酸と酸化タングステンの混合溶液を用いてアルミナ膜のみを選択的にエッチングした。クロム含有の溶液と同様、高規則化ナノ構造体を形成するために必要な窪みが形成された。
純度99.999%のAlを、実施例1と同様に陽極酸化を行うことにより、多孔質の陽極酸化アルミナを得た。次にリン酸と酸化チタンの混合溶液を用いてアルミナ膜のみを選択的にエッチングした。クロム含有の溶液と同様、高規則化ナノ構造体を形成するために必要な窪みが形成された。
純度99.999%のAlを、実施例1と同様に陽極酸化を行うことにより、多孔質の陽極酸化アルミナを得た。次にリン酸と酸化ジルコニウムの混合溶液を用いてアルミナ膜のみを選択的にエッチングした。クロム含有の溶液と同様、高規則化ナノ構造体を形成するために必要な窪みが形成された。
純度99.999%のAlを、実施例1と同様に陽極酸化を行うことにより、多孔質の陽極酸化アルミナを得た。次にリン酸と酸化コバルトの混合溶液を用いてアルミナ膜のみを選択的にエッチングした。クロム含有の溶液と同様、高規則化ナノ構造体を形成するために必要な窪みが形成された。
純度99.999%のAlを、実施例1と同様に陽極酸化を行うことにより、多孔質の陽極酸化アルミナを得た。次にリン酸と酸化マンガンの混合溶液を用いてアルミナ膜のみを選択的にエッチングした。クロム含有の溶液と同様、高規則化ナノ構造体を形成するために必要な窪みが形成された。
本発明に係る陽極酸化アルミニウムは、規則化ナノホール構造体となっているため、例えば電磁波の局在状態を実現することができるフォトニック結晶という新たな光学機能を有する素子として利用することができる。また、ナノホール構造体をテンプレートとして利用し、これに磁性材料や半導体材料の機能性材料を埋め込むことにより、記録素子等として利用することができる。また、磁気記録媒体や発光素子等の半導体素子のみならず、これらを組み込んだ各種製品を製造する電子機器等にも利用可能である。さらにナノホールの直径は、生体分子程度の大きさであることからバイオ素子として利用することもできる。
図1は、本発明に係る陽極酸化アルミニウムの製造方法に係る陽極酸化処理工程を示している。 図2は、多孔質陽極酸化アルミナの作製に好適に使用される装置を示す概略図である 図3Aは、本発明に係る多孔質陽極酸化ナノホール構造体を上方から見たSEM図である。 図3Bは、本発明に係る多孔質陽極酸化ナノホール構造体の断面を斜めから見たSEM図である。 図4は、本実施例1において得られた陽極酸化ナノホール層を上方からSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果を示す図である。 図5は、本実施例2において得られた陽極酸化ナノホール層を上方からSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果を示す図である。 図6は、クロムを含まない選択的エッチング剤を使用して作製した陽極酸化アルミナ(実施例1)と、クロムを含む選択的エッチング剤を使用して作製した陽極酸化アルミナ(比較例)と、をX線光電子分光法(XPS)により分析したグラフである。 図7は、陽極酸化によって得られた多孔質ナノ構造体の概略斜視図である。

Claims (3)

  1. アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に規則化ナノホール構造を作成するにあたり、
    (1)アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面を陽極酸化して多孔質酸化アルミニウム層を形成する工程と、
    (2)上記アルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面の多孔質酸化アルミニウム層をリン酸溶液中で、選択的にエッチングして除去する工程と、
    (3)上記多孔質酸化アルミニウム層を除去したアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面を再度陽極酸化してアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に規則化ナノホール構造とする方法であって、
    上記選択的エッチング除去工程において、リン酸溶液がCr成分を含まず、リン酸溶液への浸漬により上記多孔質酸化アルミニウム層を除去したアルミニウム金属又はアルミニウム合金製品の表面に、Mo、W、Ce、Ti、Zr、CoおよびMnからなる群から選ばれた、不動態被膜を形成することができる金属塩または金属酸化物を含むことを特徴とする方法。
  2. 上記金属塩又は金属酸化物が、Mo、W、およびCeからなる群から選ばれた金属の塩又は酸化物であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. リン酸溶液に対しリン酸の10〜100重量%のモリブデン酸化物又は5〜50%重量%の塩化セシウムを添加してなる請求項1記載の方法。
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