JP3886082B2 - ナノ構造体及びその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はAl陽極酸化の手法を用いて作成した細孔(ナノホール)を有するナノ構造体に関し、該構造体は電子デバイスやマイクロデバイスなどの機能性デバイスや、構造材料などとして、広い範囲で利用可能である。さらには、陽極酸化皮膜として耐摩耗材料、絶縁材料としても利用可能である。
【0002】
【従来の技術】
金属及び半導体の薄膜、細線、ドットなどでは、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて、電子の動きが閉じ込められることにより、特異な電気的、光学的、化学的性質を示すことがある。このような観点から、機能材料として、100ナノメータ(nm)より微細な構造を有する材料(ナノ構造体)への関心が高まっている。
【0003】
ナノ構造体の製造方法としては、たとえば、フォトリソグラフィーをはじめ、電子線露光、X線露光などの微細パターン描画技術をはじめとする半導体加工技術による作成があげられる。
【0004】
また、このような作成法のほかに、自然に形成される規則的な構造、すなわち、自己組織的に形成される構造をベースに、新規なナノ構造体を実現しようとする試みがある。これらの手法は、ベースとして用いる微細構造によっては、従来の方法を上まわる微細で特殊な構造を作成できる可能性があるため、多くの研究が行われ始めている。
【0005】
自己組織的に形成される特異な構造の例としては、Al陽極酸化皮膜が挙げられる(たとえばR.C.Furneaux,W.R.Rigby & A.P.Davidson “NATURE” Vol.337 P147(1989)等参照)。Al板を酸性電解質中で陽極酸化すると、多孔質酸化皮膜が形成される。
【0006】
この多孔質酸化皮膜の特徴は、図3(c)に示すように、直径が数nm〜数百nmの極めて微細な円柱状細孔(ナノホール)14が、数nm〜数百nmの間隔で平行に配列するという特異的な幾何学的構造を有することにある。この円柱状の細孔14は、高いアスペクト比を有し、断面の径の一様性にも優れている。またこの細孔14の径および間隔は、陽極酸化の際の電流、電圧を調整することによりある程度の制御が可能である。
【0007】
このAl陽極酸化膜の特異的な幾何学構造に着目した、さまざまな応用が試みられている。益田による解説が詳しいが、以下、応用列を列記しておく。たとえば、陽極酸化膜の耐摩耗性、耐絶縁性を利用した皮膜としての応用や、皮膜を剥離してフィルターへの応用がある。さらには、ナノホール内に金属や半導体等を充填する技術や、ナノホールのレプリカ技術を用いることにより、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサ、をはじめとするさまざまな応用が試みられている。さらには、量子細線、MIM素子などの量子効果デバイス、ナノホールを化学反応場として用いる分子センサー、など多方面への応用が期待されている(益田 固体物理 31,493(1996))。
【0008】
先に述べた半導体加工技術によるナノ構造体の作成は、歩留まりの悪さや装置のコストが高いなどの問題があり、簡易な手法で再現性よく作成できる手法が望まれている。
【0009】
このような観点から、自己組織的手法、特にAl陽極酸化の手法は、ナノ構造体を容易に、制御よく作成することができるという利点がある。また、この手法では、一般に、大面積のナノ構造体を作成することが可能である。
【0010】
例えば特開昭63−187415号公報には基体上に導電性を有すると共に電気化学的に安定な下地層と、該下地層上にアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化膜が積層され、該陽極酸化膜に形成されている微細孔に磁性体を充填した磁気記録媒体が開示されている。ここで下地層としてRh、Nb、Ta、Au、Ir、Pt、Ti、Cr、Pd、Ru、Os、Ga、Zr、Ag、Sn、Cu、HfやBe等の材料を用いることでアルミニウムやアルミニウム合金の陽極酸化時に該陽極酸化膜に形成される微細孔の深さが均一になるという効果があることが記載されている。
【0011】
また特公平1−237927号公報には非磁性基体とアルミニウムまたはアルミニウム合金陽極酸化被膜との間にアルミニウム若しくはアルミニウム合金以外の金属の陽極酸化被膜を設け、陽極酸化被膜に形成されている微細孔の底部に存在するバリア層を無くし、微細孔へのメッキ効率を向上させた磁気記録媒体が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところでアルミの陽極酸化膜に形成される微細孔を利用して高機能デバイスを形成する為には、陽極酸化膜に多数存在する微細孔の状態(例えば微細孔の深さや微細孔底部の導電性等)を極力均一にすることが好ましい。これまで陽極酸化は主に陽極酸化の時間によって制御されていたが、本発明者らの検討によれば、陽極酸化膜の微細孔の状態は、陽極酸化膜の下地層の材料によつて大きく変化し、単に陽極酸化の時間によってのみ陽極酸化を制御した場合には微細孔の状態を高度に均一化することが困難であるとの知見を得た。
【0013】
そこで本発明の目的は、陽極酸化膜の微細孔の状態が極めて均一であり、より一層の高機能性デバイスに応用可能なナノ構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、本発明の以下の構成および製法により解決できる。
本発明のナノ構造体の製造方法は、導電性表面を備えた基体の該導電性表面に、細孔を有する陽極酸化膜を具備し、該細孔の底部と該導電性表面との間に酸化物層を有し、該酸化物層は、該導電性表面に含まれる材料を含み、且つ該細孔の底部と該導電性表面とを電気的に繋いでいるナノ構造体の製造方法であって、
1)Ti、Zr、Nb、Ta及びMoから選ばれる少なくとも1つの元素を含む導電性表面を備えた基体の該導電性表面にアルミニウムを含有する膜を形成する工程、
2)該アルミニウムを含む膜と対向電極の間に電圧を印加して該アルミニウムを含む膜を陽極酸化し、細孔を有する陽極酸化膜を形成する工程、及び
3)前記細孔を有する陽極酸化膜を還元性雰囲気中で熱処理を行なう工程を有し、
上記工程2)が、陽極酸化電流を検知しつつ陽極酸化を行ない、該陽極酸化が該導電性表面に到達したことを示す該陽極酸化電流の変化を検出した後に陽極酸化を停止する工程を含むことを特徴とする。
【0015】
この態様によれば、陽極酸化膜の細孔底部と導電性表面とが、導電性表面を構成する元素を含む経路で結ばれ、その結果として底部の導電性に優れた細孔を均一に有するナノ構造体を得ることができる。
【0016】
また陽極酸化を停止した後、このナノ構造体を加熱処理もしくは還元雰囲気中で加熱処理することによって細孔底部の導電性をより一層向上させることができる。
【0018】
この態様によれば導電性表面に到達した細孔を有するナノ構造体を安定して形成することができる。
【0022】
そしてこれらの態様によれば、細孔の状態がより一層均一で、高機能デバイスの応用に適したナノ構造体となる。
上記本発明に於いて、導電性膜としての材料を選択することで、任意の基体上にAl陽極酸化膜を形成できるという作用がある。
【0023】
本発明は、Al陽極酸化膜を、量子細線、MIM素子、分子センサー、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサ、耐摩耗性、耐絶縁性皮膜、フィルター、をはじめとするさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げる作用を有する。
【0024】
上記本発明の製法においては、導電性膜上にAl陽極酸化膜を形成したナノ構造体を実現することができる。さらには、本発明のナノ構造体は耐熱性に優れることや、細孔内充填物と導電性膜の間の良好な電気的接続をとることができるなどの作用がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明のナノ構造体の概念図を図1に模式的に示す。図1(a)は平面図及び図1(b)はそのAA線に於ける断面図示す。
【0026】
図1において、10は基体、11は導電性膜、13はAl陽極酸化膜、14は細孔(ナノホール)である。また、細孔には、電気化学的な手法等により任意の金属、半導体などの材料を充填することが可能である。
【0027】
基体10の材料は、任意の材料が適用可能であり、石英ガラスをはじめとする絶縁性材料、Siをはじめとする半導体材料、さらには各種金属材料などが挙げられる。
【0028】
本発明の導電性膜11の材料は、使用目的によるが、後述の実施例に示すように、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、Cu、Zn、Au、Pt、Pd、Ni、Fe、Co、Wなど主成分とする導電性膜とすることができる。
【0029】
また、導電性膜を選択することで耐熱性に優れるナノ構造体とすることができる。従来のA1板を陽極酸化した構成(図3(a))や、Al膜を途中まで陽極酸化した構成(図3(b))においては、耐熱性の面でAlの融点が限界であり、融点以下の温度においても300℃以上では、Al陽極酸化膜に膜割れなどの損傷が生じることがある。一方、本発明のように、導電性膜上にAl陽極酸化膜を配することで耐熱性の向上をすることができる。たとえば、導電性膜としてNbが好ましく、Nb下引きナノホール構成では、少なくとも1100℃までの温度における熱処理にも耐えることができる。これにより、高温プロセスが可能となり、ナノホール内への材料充填等の応用においても、その選択幅が広がる。また、熱処理することによりナノホールの化学的安定性の改善も可能である。
【0030】
さらには、下引きの導電性膜として、Ti、Zr、Nb、Ta、Moなどを用いた場合には、細孔底部において導電性膜を構成する材料の酸化物が形成される場合があるが、このような場合には水素などの還元性雰囲気中で熱処理することにより還元し、細孔底部の導電性を改善することができる。
【0031】
また、本発明は、基体として、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、Cu、Zn、Au、Pt、Pd、Ni、Fe、Co、Wのいずれかを主成分とする材料を用いる際には必ずしも導電性膜を必要としない。
また、本発明は、導電性膜を積層することもでき、Ti/Ni等の積層膜などが挙げられる。
【0032】
本発明に於いて、導電性膜の膜厚は、使用目的にもよるが、以下を考慮して設定する。
基体が導電性を有する場合は、基体上に配する導電性膜の膜厚は基体を十分に被覆することができればよく、好ましくは10nmから100μmの範囲で設定できる。
【0033】
基体の導電性が不十分の場合には、導電性膜は、陽極酸化工程において電極の役割を果たす。すなわち、Alを主成分とする膜を全膜厚にわたり陽極酸化する際には、陽極酸化の進行に伴いAlを主成分とする膜が酸化、高抵抗化することから、導電性膜の抵抗が寄与し、電圧降下が生ずることがある。この観点から、導電性膜は十分な導電性を有する事、すなわち平坦で良好な膜質が選られる範囲で厚いことが望ましい。好ましい膜厚の範囲は導電性膜材料の導電率ρ、面積等から設定されるので一概には言えないが、おおむね10nmから100μmの範囲であり、さらに好ましくは50nm〜1μmの範囲である。
【0034】
Al陽極酸化膜13は、Alを主成分とする膜を陽極酸化することにより、形成される。このAl陽極酸化膜13は、AlとO(酸素)を主成分とし、図1に示すように、多数の円柱状の細孔(ナノホール)を有する。
【0035】
このAl陽極酸化膜13は、多数の円柱状のナノホール14が、膜(板)面にほぼ垂直に配置し、それぞれのナノホールは互いに平行かつほぼ等間隔に配置していることである。また、各ナノホールは、図1a)に示すように三角格子状に配列する傾向がある。
【0036】
ナノホールの直径2rは数nm〜数百nm、間隔2Rは数nm〜数百nm程度、深さは10nm〜100μmである。
【0037】
ナノホールの間隔、直径は、陽極酸化に用いる電解液の濃度と温度、及び、陽極酸化電圧印加方法、電圧値、時間、さらには、その後のポアワイド処理条件などのプロセス諸条件である程度制御することができる。
【0038】
また、本発明の構成においては、Alを主成分とする膜は陽極酸化工程により、表面から導電性膜までに全膜厚にわたり酸化されている。すなわち、ナノホール底部が導電性膜に面しているという特徴を有する。以下このような構成を、導電性膜上ナノホールと呼ぶことにする。たとえば、導電性膜としてTiを用いる場合はTi上ナノホールと呼ぶ。
【0039】
特に、下引きの導電性膜として、Ti、Zr、Nb、Ta、Moなどを用いた場合には、図6a)に示すように、細孔底部は、導電性膜を構成する材料及びAl、Oの混合物からなる酸化物層17を有し、この酸化物層17には、細孔底部と導電性膜を結び、導電性膜11を構成する元素量の多い経路(以下パス)16を有する。このパスは細孔底部のバリアー層が下地の導電性膜まで到達した後も、陽極酸化を続けると、導電性膜を構成する材料が細孔底部に向かって拡散することによって形成されると思われる。この経路が存在すると、引き続き細孔内に電着で金属や半導体を電着する際に、従来の細孔底部にバリアー層を有する陽極酸化アルミナに比し、低い電圧で制御よく電着を可能とする。また、この経路は導電性を有するため、細孔内充填物と導電性膜の間で良好な電気的接続を実現することができる。
【0040】
さらにこのようなパスが形成されたナノ構造体を水素ガスや不活性ガス雰囲気中で熱処理を施すことで、パスの導電性をさらに改良することができ、電着時にはそれぞれの細孔で電着量のばらつきの小さい均一な堆積を実現できる。この導電性改善の理由は、パスが還元されるためと考えられる。
【0041】
一方、下引きの導電性膜として、Cu、Zn、Au、Pt、Pd、Ni、Fe、Co、Wなど用いた場合には、図6b)に示すように、細孔底部は、酸化アルミ(バリアー層)が存在せずに貫通したものとなる。
【0042】
なお、上記本発明のナノ構造体の陽極酸化ナノホールに、金属、半導体等を埋め込むことや、そのレプリカを作成することで、新たなナノ構造体を作成することもできる。
【0043】
以下、図2を用いて、本発明のナノ構造体の製造方法について更に詳細に説明する。図2a)〜e)を順に追って説明するが、以下の工程a)〜e)は、図2のa)〜e)に対応する。
【0044】
a)基体10上に導電性膜11を形成
導電性膜11の形成方法は、抵抗加熱蒸着、EB蒸着、スパッタ、CVD、メッキをはじめとする任意の製膜方法が適用可能である。
【0045】
b)導電性膜11上にAlを主成分とする膜12を形成することで試料41とする。Alを主成分とする膜の形成方法は、抵抗加熱蒸着、EB蒸着、スパッタ、CVD、メッキをはじめとする任意の製膜方法が適用可能である。
【0046】
c)陽極酸化工程
上記試料41に陽極酸化を行うことで、本発明のナノ構造体を構成する。本発明の陽極酸化工程は、具体的にはAlを主成分とする膜を形成した材料を電解液中に配し、該材料とカソードとの間に陽極酸化電圧を印加する工程である。また、この工程に於いてAlを主成分とする膜を、その全膜厚にわたり、すなわち形成されるナノホールの底部が導電性膜に到達するまで、酸化する。本工程に用いる陽極酸化装置の概略を図4に示す。
【0047】
図4中40は恒温槽であり、41は試料、43は電解液、44は反応容器、42はPt板のカソード、45は陽極酸化電圧を印加する電源、46は陽極酸化電流を測定する電流計である。図では省略してあるが、このほか電圧、電流を自動制御、測定するコンピュータ、などが組み込まれている。試料41およびカソード42は、恒温水槽により温度を一定に保たれた電解液中に配置され、電源より試料、カソード間に電圧を印加することで陽極酸化が行われる。
【0048】
陽極酸化に用いる電解液は、たとえば、シュウ酸、りん酸、硫酸、クロム酸溶液などが挙げられる。陽極酸化電圧、温度などの諸条件は、作成するナノ構造体に応じて、適宜設定することができる。
【0049】
陽極酸化工程は.陽極酸化電流を連続的に検知しながら行なうことが好ましい。例えばTi、Zr、Nb、Ta及びMoから選ばれる少なくとも1つの元素を含む導電性表面に形成したアルミニウムを含む層を陽極酸化した場合の陽極酸化電流は図5のAに示す様に変化する。即ちアルミニウムを含む層の陽極酸化がその全厚さに及んだ時点で陽極酸化電流は低下し始め、その後ほぼ一定の値に収束する。そしてこの電流が低下し、ほぼ一定値になった時点で陽極酸化を停止した場合、陽極酸化膜に形成された細孔底部は図6(a)に示した様に細孔底部と導電性表面との間に陽極酸化膜が介在しているものの、殆どの細孔には、その底部と導電性表面とを繋ぐ、該導電性表面を構成する元素を含む経路が形成されており、この細孔底部に直流電源を用いて電着を行なった結果、殆どの細孔底部に安定して電着膜が析出した。このことから細孔の状態が高度に均一であることが分かる。
【0050】
一方導電性表面にZnやCuを含ませた場合の陽極酸化電流は、図5のBに示したように一度増加したのち減少した。そして陽極酸化電流が一度増加したとき、及び一度増加しその後低下したときに隠極酸化を停止して得られたナノ構造体をFE−SEMで観察すると陽極酸化膜に部分的にクレータ状の損傷が認められ、細孔が消失している部分があった。
【0051】
また導電性表面にAu、Pt、Pd、Ni、Fe、Co及びWから選ばれる少なくとも1つの元素を含ませた場合の陽極酸化電流は、図5のCに示した様に急増した。そして陽極酸化電流が急増した後に陽極酸化を停止して得たナノ構造体を同様にして観察した結果、細孔の殆どが消失していた。そしてCu、Zn、Au、Pt、Pd、Ni、Fe、Co及びWから選ばれる少なくとも1つの元素を含む導電性表面を備えた基体の導電性表面に形成したアルミニウムを含む膜の陽極酸化を、陽極酸化電流が変化した直後に停止した場合には細孔には損傷が殆ど認められず、また細孔の状態は均一であった。
【0052】
このような結果が得られる理由は明らかでないが以下に推察を述べる。陽極酸化はアルミニウムを含む膜の表面より徐々に進行し導電性表面にまで到達する。このときに導電性表面が例えばTi、Zr、Nb、Ta及びMoから選ばれる少なくとも1つの元素を含む導電性表面であった場合には細孔底部の陽極酸化膜は除去されず、導電性表面を構成する材料が陽極酸化膜中を通って細孔底部に向つて拡散し、導電性表面を構成する元素を含む経路が形成されるものと考えられる。
【0053】
そしてこのようなナノ構造体を加熱、もしくは還元雰囲気中で加熱処理すると細孔底部の導電性がより向上する理由は、該経路を構成する材料が還元される為であると考えられる。そして図5のAに示した陽極酸化電流プロファイルにおいて電流値が一定値に収束した後に陽極酸化を停止することが好ましいのは、殆ど全ての細孔底部に該経路が形成される為と考えられる。
【0054】
この態様においては陽極酸化電流がlmA/cm2 以下になった時点で陽極酸化を停止することが好ましい。
【0055】
一方導電性表面がAu、Pt、Pd、Ni、Fe、Co及びWから選ばれる少なくとも1つの元素を含む導電性表面である場合には、陽極酸化がアルミニウムを含む膜の表面より徐々に進行して導電性表面にまで到達し、電解液が導電性表面と接触した時点で導電性表面の電解液の電気分解や導電性表面の溶解が生じ、その結果大きな電流が流れるものと考えられ、これが細孔の消失の原因であると推測される。また導電性表面がCuやZnを含む導電性表面である場合にも電解液が接触したときには多少の電気分解や溶解が生じ、比較的大きな電流が流れ、それによって細孔の消失が生じるものと考えられる。そしてこの態様においては陽極酸化電流が変化した直後に陽極酸化を停止することによって細孔の消失を極めて有効に防止することができる。他の方法の一つとして例えば陽極酸化電圧出力に電流制限を施すことや、直列抵抗を配して陽極酸化することが挙げられる。特に電流制限を施す場合の電流制限値は50mA/cm2以下とすることが好ましい。
【0056】
ナノ構造体の用途に応じて、下記d)及びe)の処理を行ってもよい。
d)ポアワイドニング処理
上記の工程を経たナノ構造体c)を酸溶液(たとえばリン酸溶液)中に浸す本処理により、適宜、ナノホールの径を広げることができる。濃度、処理時間、温度、によりナノホール径制御をすることができる。
【0057】
e)ナノホール内に金属、半導体を充填
上記各の構造体c)及びd)のナノホール14に金属、半導体を充填することができる。この際電気化学的な手法によるNi、Fe、Co、Cdなどの充填(D.Al−Mawlawi et.al. J..Mater.Res.,9,1014(1994)、益田 他 表面技術 Vol43,798(1992))、溶融金属の導入(C.A.Huber et.al.SCIENCE 263,800(1994))、などによる各種材料の充填技術を用いることができる。たとえば、電気化学的なFe,Ni,Co充填の手法の例をあげると、それぞれFeSO4,NiSO4,CoSO4水溶液を用いた電解析出などが挙げられる。 図2e)においては、充填材15はAl陽極酸化膜13を完全に覆っているが、ナノホール14の内部途中まで充填し、利用することも可能である。
【0058】
前述したとおり、本発明は、基体として、Ti,Zr,Nb,Ta,Mo,Cu,Znのいずれかを主成分とする材料を用いる際には必ずしも導電性膜を必要とせず、その場合は、上記製造工程に於いて、工程a)を省略し、b’)基体10上にAlを主成分とする膜12を形成することで試料41とし、以下c)〜e)の工程を実施すればよい。
【0059】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具休的に示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜本発明の範囲内で変更できるものである。
なお、以下の実施例の中で、実施例2、4、6は本発明の実施例を示し、実施例1、3、5は参考例を示す。
【0060】
実施例1
幅40mm、長さ15mmの石英基板を5枚用意し、有機溶剤及び純水で十分に洗浄した後、各々の石英基板の表面に真空蒸着法若しくはスパッタ法によってTi、Zr、Nb、Ta及びMoを厚さl00nmに成膜した。なおTi以外はガラスヘの密着性向上の為、予めTiを厚さ20nmに成膜した上に成膜して、導電性表面を有する石英基板を得た。
次に各々の導電性表面上にスパッタ法によりアルミニウム膜を厚さ1μmに形成した。
【0061】
図4に示した陽極酸化装置を用いてアルミニウム膜を陽極酸化処理した。電解液には0.3Mシュウ酸水溶液を用い、恒温水槽により電解液を17℃に保持し、陽極酸化電圧をDC40Vとして陽極酸化電流を検知しつつ陽極酸化を行なった。その結果図5のAに示した様に陽極酸化開始から8分後に陽極酸化電流が低下し始め、10分後にはlmA/cm2 以下となった為陽極酸化を停止した。次いで、ポアワイド処理としてリン酸5wt%溶液に30分間浸漬した後、純水及びイソプロピルアルコールで洗浄してナノ構造体を得た。
【0062】
このナノ構造体の表面を電界放出走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察し、また断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その結果、殆どの細孔底部の構造は、図6(a)に示した様にパス(経路)16を有していた。また細孔14は直径が約50nmの極めて微細で均一な円柱状細孔であり、多数の細孔が約100nmの間隔で互いに平行に、且つほぼ等間隔で配列していた。またアルミニウム膜は全膜厚に亘って酸化されていた。
【0063】
またパス(経路)には元素分析によって導電性表面を構成する各々の金属が含まれていることが確認された。これは陽極酸化がアルミニウム膜表面から徐々に進行し、最終的に導電性表面に到達したのちも陽極酸化を続けることによって導電性表面を構成する材料が細孔底部の陽極酸化膜中を通って細孔底部に向って拡散したことによるものと考えられる。特に導電性表面がTiもしくはNbの場合は、陽極酸化電流プロファイルの減少が急峻であり、より均一な細孔が形成されていると思われる。
【0064】
比較例1
実施例1において導電性表面を構成する金属層をW、Fe、Ni、Pd、Pt及びAuに換えた以外は実施例1と同様にして導電性表面にアルミニウム膜を有する基体を作製した。次に実施例1と同様の条件にてアルミニウム膜を陽極酸化を行ない、図5のCに示す様に陽極酸化電流が急増した10分後に陽極酸化を停止した。
【0065】
以降実施例1と同様にポアワイドの処理、及び洗浄を行なった後、FE−SEM及びTEMで細孔の状態を観察した。その結果、陽極酸化膜中の細孔には中度〜重度の損傷が認められた。ここで中度の損傷とは細孔の一部の消失、重度の損傷とは殆どの細孔の消失を意味する。
【0066】
比較例2
実施例1において導電性金属層をZn及びCuに換えた以外は実施例1と同様にして導電性表面にアルミニウム膜を有する基体を作製した。次に実施例1と同様の条件にてアルミニウム膜を陽極酸化を行ない、図5のBに示す様に陽極酸化電流が一度上昇した後低下した10分後に陽極酸化を停止した。
【0067】
以降実施例1と同様にポアワイドの処理、及び洗浄を行なった後、FE−SEM及びTEMで細孔の状態を観察した。その結果、陽極酸化膜中の細孔には軽度の損傷が認められた。ここで軽度の損傷とは直径数μmのクレータ状の孔が部分的に観察される場合である。
【0068】
実施例2
陽極酸化工程において、陽極酸化電源に電流リミッタをかけた以外は比較例1及び2と同様にしてナノ構造体を形成した。
【0069】
すなわち、陽極酸化から5min後、Al膜の電流プロファイルが回復したところで(図5の矢印X)、DC電源の電流リミッタを作動させた。電流リミットの値は5min後の陽極酸化電流値の1.2倍の値として設定した。その他の条件は、比較例1及び2に準じた。
【0070】
FE−SEM観察の結果、比較例1及び2のナノ構造体に比ベて、ナノホールの損傷の大幅な低減がはかられていることがわかった。断面を観察すると、図6b)に示したように殆どの細孔が導電性表面にまで到達していることが分かった。又Cuにおいては細孔底部においてその一部が酸化物を形成していた。
【0071】
次に各々のナノ構造体に対して0.14MのNiSO4 及び0.5MのH3 BO3 からなる電解液中に浸漬し、カーボンの対向電極を用いて細孔底部にNiを電着したところ、カロメル標準電極に対して−lV〜−1.5Vという低い電圧で殆どの細孔の底部にNiを充填することができた。また細孔に充填したNiと導電性表面との間の電気伝導度を調べたところ、導電性表面と細孔に充填したNiとの間の電気的接続は良好であった。
【0072】
実施例3
本実施例には、金属基体を用いた場合のナノ構造体の製造における陽極酸化電流モニターについて記載する。
【0073】
本実施例には、試料として以下のものを用いた。
実施例3−1:0.5mm厚のNi板基体に導電性膜としてMoをEB蒸着によりlμm製膜した。
実施例3−2:0.5mm厚のMo板を基体として用い、導電性膜は形成しなかった。
【0074】
それぞれの試料のMo薄膜上、又はMo基体上にAl膜をEB蒸着により1.5μm形成した。さらに、Al膜が形成されていない面において、電解液に触れる部分をエポキシで被覆した。陽極酸化工程は、実施例1に準じた。但し、陽極酸化の終了は、処理中、常に陽極酸化の電流プロファイルをモニターし、陽極酸化が導電性膜面まで到達していることを示す電流減少後、さらに電流が安定したこと(図5の矢印Y)を判断して電圧印加を停止、この工程を終了した。
【0075】
FE−SEM観察により、本実施例のサンプルを観察したところ、図6(a)にしめすようなAl陽極酸化ナノホールが、それぞれの金属基体上に作成されており、また、本実施例のナノホールの深さは均一であった。
【0076】
比較例3
Al板を実施例3と同様の条件で10分間陽極酸化して図3(a)に示した構造を有するナノ構造体を得た。この構造体を実施例3と同様にしてFE−SEMで観察した結果、細孔の深さにバラツキが認められた。
【0077】
上記実施例3及び比較例3より、下引きとして実施例1で示した材料の導電性膜を配置することにより、任意の基体上にAl陽極酸化ナノホールを形成できることがわかった。
また、本実施例においては、Al陽極酸化ナノホールの厚さ、ナノホールの深さが、Al膜の膜厚で規定されるため、それらを広い面積にわたり均一とすることができた。
【0078】
また、本実施例のように、陽極酸化電流をモニターし、電流プロファイルにより陽極酸化終了を判断することにより、再現良くパスを形成することや、不必要な陽極酸化の回避をすることができた。
【0079】
実施例4
本実施例においては、基体として2インチ径のn−Si基板を用い、導電性膜としては、厚さ200nmのTi(実施例4−1)、及びNb膜(実施例4−2、3)を用いた。Al膜の膜厚は、500nmとした。また、比較例4として、導電性膜なしでAl膜を膜途中まで陽極酸化した図3b)の構成の試料を用いした。
【0080】
c)陽極酸化およびd)ポアワイド処理の手法は、実施例1に準じた。
実施例4−3においては、陽極酸化後更に、2%H2 、98%Heの還元雰囲気中で500℃、lhrの熱処理を施した。
【0081】
e)細孔充填
前記ポアワイド処理まで終了したサンプルを、0.14M NiSO4 、0.5M H3 BO3 からなる電解液中で、カーボンの対向電極と共に浸して電着することでナノホール底にNiを析出させた。
【0082】
比較例4においては電着に−15V以上の電圧を要し、その堆積も再現性が悪かったが、本実施例4−l、4−2、3においては、比較例4に比べて、カロメル電極に対して、−1〜−1.5Vという低い電圧で試料全面にわたり均一にNiを充填することができた。FE−SEM観察結果は、図7(a)に示す形態を有した。直径が約50nmの円柱状細孔にNiが充填されており、このNi充填細孔が多数、約百nmの間隔で互いに平行かつほば等間隔に配列形成していた。特に電着量を制御し、図7(b)に示すようにナノホールの中途までNiを堆積した実施例4−3においては、細孔間の充填物の量のばらつきが小さかった。
【0083】
この理由について考察するに、ナノホール内への電着においては、析出反応がナノホール底で速やかに進行することが重要となるが、比較例においては図3b)に示すナノホール底のバリヤー層32が反応を妨げる一方、本実施例においては、図6a)に示すように、細孔底部にパス16を有することで、パスが導電経路となり、ホール底でのNi析出反応がスムーズに進行したことに起因すると思われる。
【0084】
また、4−3においては還元雰囲気(水素)中の熱処理により、細孔底部のパスを還元することで、さらに細孔底部の導電性が改善されたと考えられる。
またNi充填材と導電性膜の間の電気伝導度を調べたところ、実施例4−1、4−2、4−3において、導電性膜と充填材の間に電気的接続が良好であった。
【0085】
実施例5
本実施例においては、石英ガラスの基体を用い、導電性膜としては厚さlμmのNb膜(実施例5−1)、Ti膜(実施例5−2)、Cu膜(実施例5−3)、Pt膜(実施例5−4)、Co膜(実施例5−5)を用いた。Al膜の膜厚はlμmとした。陽極酸化手法は、Nb及びTiは実施例1、Cu、Pt、Coは実施例2に準じた。
【0086】
比較例5として、Al板を5min間陽極酸化した図3(a)の構成のサンプルを用意した。
比較例6として、導電性膜なしで石英ガラス上のAl膜を膜途中まで陽極酸化した図3(b)の構成のサンプルを用意した。Alの膜厚はlμm、陽極酸化時間は5minである。
【0087】
引き続き、前記本実施例のNb下引さナノホールを、He雰囲気中で200℃から1100℃の範囲でlhの熱処理を行い、FE−SEMにより形態変化を観察した。昇温、降温レートは5℃/minとした。
【0088】
比較例5、6で作成した図3(a),(b)のAl上ナノホールは、Alの融点(630℃)を鑑み、200〜500℃の範囲とした。
比較例5及び6は熱処理前は、それぞれ図3a)、b)の形態を有していたが、300℃程度以上の熱処理を経た試料は、陽極酸化皮膜(Al陽極酸化ナノホール)に膜われを生じていた。
【0089】
一方で、本実施例の導電性膜を下引きした構成においては、以下に示す高い温度まで、図1に示される構造を有しており、熱処理による形状、変化は見られなかった。たとえば、細孔は、直径が約50nmの均一な円柱状細孔であり、多数の細礼が、約百nmの間隔で互いに平行かつほば等間隔に配列形成していた。
【0090】
以下の表1に熱処理により、損傷の生じなかった温度範囲を記す。
【0091】
【表1】
Figure 0003886082
【0092】
これにより、本発明の導電性膜上ナノホール構成を有するナノ構造体、その中でもNb上ナノホールは、熱耐性に優れることがわかった。これにより、高温プロセスに耐えうるナノホールを構成できた。
【0093】
また、TEM観察により、熱処理後のAl陽極酸化ナノホールを構成する酸化アルミは結晶性にすぐれた。さらに処理前後でAl陽極酸化ナノホールの酸耐性を比較したところ、熱処理により化学的安定性の改善が為されていることがわかった。
【0094】
実施例6
実施例5と同様な手法で導電性表面がNb及びPtのナノ構造体を用意した。これらの構造体の細孔内にC.A.Huberらの手法と同様な手法で金属や半導体材料を導入した。すなわち、導入する材料を各々のナノ構造体とともに薄い金属製アンプルに配し、アンプル内を不活性雰囲気で満たした後、導入材料の融点以上の温度に上げ、さらに圧力を徐々に4K bar程度まで加え、最終的にアンプルを圧し砕くことで行った。ここで、Huberらは800℃までの熱処理を行っているが、本発明のナノ構造体を用いることで1100℃までの熱処理が可能であった。
【0095】
これにより、低融点の金属In、Sn、Alや半導体(Se、Te、GaSb、Bi2 Te3 )などに加え、より高融点のAg、Au、Cuなどの金属、Geなどの半導体を導入することができた。
また、本発明においてはナノホールが導電性材料の上に配置されているため、ナノホールと導電性膜(Nb又はPt)との電気的接続が可能であった。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、以下の効果がある。
1)任意の基体上に極めて均一な状態の細孔を有するAl陽極酸化膜を形成できる。
2)導電材上に極めて均一な状態の細孔を有するAl陽極酸化膜を形成できる。さらに、ナノホール内に金属もしくは半導体を充填した構成においては、導電材と上記金属もしくは半導体の電気的接続を可能とする。
3)大面積にわたりナノホールの深さが均一なAl陽極酸化膜を形成できる。
4)高温耐性に優れたナノ構造体を形成できる。また、熱処理により、結晶性に優れたAl陽極酸化膜を形成できる。
【0097】
これらは、Al陽極酸化膜をさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げるものである。
本発明のナノ構造体は、それ自体機能材料として使用可能であるが、さらなる新規なナノ構造体の母材、鋳型、などとして用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナノ構造体の構造を示す概念図であって、(a)平面図、(b)は(a)のAA線断面図である。
【図2】本発明のナノ構造体の製造工程を示す模式断面図であって、a)は基体上に導電性膜を形成したところ、b)は導電性膜上にA1を主成分とする膜を形成したところ、c)はA1膜を陽極酸化し、ナノホールを形成したところ、d)はポアワイドニング処理によりナノホール径を広げたところ、e)はナノホールに金属もしくは半導体を充填したところを示す。
【図3】従来のA1板(膜)上のA1陽極酸化膜の構造を示す概略図で、a)A1板を陽極酸化した場合の断面図、b)は基体上のA1膜を途中まで陽極酸化した場合の断面図、c)A1板(膜)に形成したナノホールの斜視図である。
【図4】陽極酸化装置を説明するための概略図である。
【図5】陽極酸化時の電流プロファイルの分類を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例1および実施例3のナノ構造体の細孔底部の形態を示す概略図である。
【図7】本発明の実施例4のナノ構造体の細孔底部の形態を示す概略図で、(a)は細孔を完全に充填した形態、(b)は細孔の中途まで充填した形態を示す。
【符号の説明】
10 基体
11 導電成膜
12 A1を主成分とする膜
13 A1陽極酸化膜
14 細孔
15 充填材
16 パス
17 酸化物層
31 A1板
32 バリアー層
40 恒温層
41 試料
42 カソード
43 電解液
44 反応容器
45 電源
46 電流計

Claims (8)

  1. 導電性表面を備えた基体の該導電性表面に、細孔を有する陽極酸化膜を具備し、該細孔の底部と該導電性表面との間に酸化物層を有し、該酸化物層は、該導電性表面に含まれる材料を含み、且つ該細孔の底部と該導電性表面とを電気的に繋いでいるナノ構造体の製造方法であって、
    1)Ti、Zr、Nb、Ta及びMoから選ばれる少なくとも1つの元素を含む導電性表面を備えた基体の該導電性表面にアルミニウムを含有する膜を形成する工程、
    2)該アルミニウムを含む膜と対向電極の間に電圧を印加して該アルミニウムを含む膜を陽極酸化し、細孔を有する陽極酸化膜を形成する工程、及び
    3)前記細孔を有する陽極酸化膜を還元性雰囲気中で熱処理を行なう工程を有し、
    上記工程2)が、陽極酸化電流を検知しつつ陽極酸化を行ない、該陽極酸化が該導電性表面に到達したことを示す該陽極酸化電流の変化を検出した後に陽極酸化を停止する工程を含むことを特徴とするナノ構造体の製造方法。
  2. 該加熱処理が、300℃以上に加熱する工程を含む請求項1記載のナノ構造体の製造方法。
  3. 前記工程3)の後に、前記細孔内に金属及び半導体の少なくとも一方を充填する工程を含む請求項1に記載のナノ構造体の製造方法。
  4. 前記細孔内に金属及び半導体の少なくとも一方を充填する工程が、充填される該金属、該半導体若しくは該金属及び該半導体の熔融体と前記ナノ構造体とを接触させる工程を含む請求項3記載のナノ構造体の製造方法。
  5. 該接触させる工程を加圧下で行なう請求項4記載のナノ構造体の製造方法。
  6. 該金属及び該半導体がIn、Sn、Al、Se、Te、GaSb及びBi2Te3から選ばれた少なくとも1種である請求項3乃至5のいずれかの項に記載のナノ構造体の製造方法。
  7. 該金属及び半導体がAg、Au、Cu及びGeから選ばれた少なくとも1種である請求項3乃至5のいずれかの項に記載のナノ構造体の製造方法。
  8. 前記充填する工程が、電解析出により行なわれる請求項3に記載のナノ構造体の製造方法。
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