JPWO2014020939A1 - 陽極酸化ポーラスアルミナ、アルミナスルーホールメンブレンおよびそれらの製造方法 - Google Patents

陽極酸化ポーラスアルミナ、アルミナスルーホールメンブレンおよびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

アルミニウムの陽極酸化によって溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成し、該陽極酸化ポーラスアルミナをエッチャントに浸漬し、溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、溶解性の低いアルミナ層を細孔が貫通孔化されたスルーホールメンブレンに形成することを特徴とするアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。煩雑な工程を経ることなく容易に、所望のアルミナスルーホールメンブレンを得ることができる。

Description

本発明は、アルミニウムの陽極酸化によって作製される陽極酸化ポーラスアルミナおよびアルミナスルーホールメンブレンと、それらの製造方法に関する。
アルミニウムを酸性浴中で陽極酸化することにより得られる陽極酸化ポーラスアルミナは、サイズの均一な細孔が配列したホールアレー構造を有するために、フィルターや触媒担体、鋳型材料等、様々な応用が期待できる機能性材料である。陽極酸化ポーラスアルミナは、アルミニウム材を電極として電解液中で陽極酸化を行うことでアルミニウム材の表面に形成される多孔質の酸化皮膜であるため、形成されたポーラスアルミナをフィルター用途などメンブレンとして使用する際には、地金から剥離する必要がある。陽極酸化を行ったアルミニウム材の残存地金を化学的に溶解除去すれば、ポーラスアルミナ皮膜を得ることが可能であるが、地金を溶解してしまうため残存地金を陽極酸化ポーラスアルミナの作製に使用できないことから、高スループットなメンブレンの作製法には適していない。
また、地金アルミニウムよりポーラスアルミナ皮膜を剥離する手法としては、以前より逆電解剥離法(非特許文献1)や電解研磨液中でアノード電解を行う手法(非特許文献2)をはじめ、いくつかの手法が提案されてきている。例えば、逆電解剥離法によれば、所定の条件下で陽極酸化を行いポーラスアルミナ皮膜を形成した後、アルミニウム材を陰極として逆電解を行うと皮膜の剥離を行うことができることが知られている。また、所望の陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム材を過塩素酸系の電解研磨液中で再度陽極酸化を行うことで、酸化皮膜の剥離が可能なことも報告されている。このような手法に基づけば、ポーラスアルミナ皮膜を剥離した後の地金は、再度、皮膜の形成を行うための母材として使用できるため、効率良くポーラスアルミナ皮膜の形成を行うことが可能である。
陽極酸化ポーラスアルミナの特徴の一つに、適切な条件下で陽極酸化を行うと細孔が自己組織化的に規則配列を形成することが挙げられる(非特許文献3)。適切な条件下で長時間陽極酸化を行うことで形成された酸化皮膜層を選択的に溶解除去し、再度、同一の条件下で陽極酸化を行うという二段階陽極酸化プロセスによれば、表面から皮膜底部まで細孔が規則的に配列したポーラスアルミナも得ることができる(非特許文献4)。これは、一段目の陽極酸化によって形成された皮膜底部の規則的な細孔配列に対応した窪み配列がアルミニウム地金表面に形成され、これが、2回目の陽極酸化の際に細孔発生の開始点として機能することによるものである。このような特徴を活かせば、細孔が規則的に配列したホールアレー構造を有するポーラスアルミナメンブレンの作製を行うことができる。
しかしながら、既存のポーラスアルミナ皮膜の剥離手法では、適切な条件下で長時間陽極酸化を行い残存地金表面に規則的な窪み配列を形成した場合においても、剥離処理の過程で規則的な窪み配列構造が崩壊してしまうといった問題点があった。このため、剥離処理を行った後のアルミニウム材に再度同一条件下で陽極酸化を行った場合においても、表面から細孔が規則的に配列したポーラスアルミナを形成することはできない。地金表面に形成された規則的な凹凸構造を維持したままポーラスアルミナ皮膜の剥離を行うことが可能になれば、一つのアルミニウム材から連続的に繰り返し規則性ポーラスアルミナメンブレンを作製することが可能になると期待できるが、そのようなポーラスアルミナ皮膜の剥離手法は未だ確立されていない。
陽極酸化ポーラスアルミナは、皮膜の底部にバリヤー層と呼ばれるアルミナ層が形成されているため、スルーホールメンブレンとして使用する際には、このバリヤー層を除去することが必須となる。バリヤー層の除去には、Arイオンミリングのような物理的にアルミナ層を削る手法と、化学的に溶解する手法が知られている。Arイオンミリングのような手法を用いれば、細孔径を拡大することなく貫通処理を行うことが可能であるが、装置サイズの制約から、大面積試料への適用が困難であるといった問題点がある。一方、化学的な溶解手法によれば、大面積試料への適用が可能であるが、バリヤー層溶解処理の際に、細孔内部の溶解も進行するため、孔径が拡大してしまうといった問題点がある。これは、バリヤー層が溶解されるとともに、細孔内部にエッチャントが侵入し、細孔壁部分の溶解が進行することによる。通常、陽極酸化によって形成されたポーラスアルミナの細孔径は、細孔周期の1/3程度であるが、化学的な貫通孔化処理を用いた場合では細孔周期の1/3以下のサイズの細孔を有するスルーホールメンブレンの形成を行うことは困難である。バリヤー層部分が他のアルミナ層に比べ、著しく溶解性の高い性質を有する陽極酸化ポーラスアルミナの作製が可能になれば、化学溶解法によっても、細孔径の小さいスルーホールメンブレンの作製が可能になると期待できるが、そのような陽極酸化ポーラスアルミナ皮膜の作製手法はこれまでに報告されていない。
水木一成,アルミニウム研究会誌,6,6 (1985) H. H. Yuan, F. Y. He, D. C. Sun, X. H. Xia, Chem. Mater., 16, 1841 (2004) H. Masuda and K. Fukuda, Science, 268, 1466 (1995) H. Masuda and M. Satoh, Jpn. J. Appl. Phys. 35 (1996) 126
上述の如く、アルミニウム材表面に形成された陽極酸化ポーラスアルミナ皮膜を剥離するための、既存の手法では、剥離を行うポーラスアルミナ皮膜裏面のバリヤー層に対応した凹凸構造をアルミニウム地金表面に保持することが困難であった。また、大面積試料にも適用可能なバリヤー層の化学溶解によるスルーホール処理において、孔径拡大を伴わずに貫通孔を得ることは困難であった。
そこで本発明の課題は、上述したこれらの問題点を解決することが可能な、溶解性の異なる複数のアルミナ層を有する、とくに溶解性の高いアルミナ層をスルーホール処理に必要な部位に有する陽極酸化ポーラスアルミナ、それから作製されるアルミナスルーホールメンブレンを煩雑な工程を経ることなく製造できるようにすることにある。
本発明は、従来のポーラスアルミナスルーホールメンブレンの作製手法では実現が困難であった、残存アルミニウム地金表面の規則的な凹凸構造を維持したままポーラスアルミナメンブレンの剥離を行う手法、更には、細孔径が微細なポーラスアルミナスルーホールメンブレンを得る手法について鋭意検討を行った結果完成されたものである。
すなわち、本発明に係るアルミナスルーホールメンブレンの製造方法は、アルミニウムの陽極酸化によって溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成し、該陽極酸化ポーラスアルミナをエッチャントに浸漬し、溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、溶解性の低いアルミナ層を細孔が貫通孔化されたスルーホールメンブレンに形成することを特徴とする方法からなる。
このような方法においては、例えば、溶解性の低いアルミナ層を皮膜上部に、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した陽極酸化ポーラスアルミナでは、溶解性の高いアルミナ層をエッチャント中で優先的に溶解することが可能となるため、結果として、貫通孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナメンブレンを得ることができる。この時、溶解性の高いアルミナ層と、溶解性の低いアルミナ層を、2層以上実質的に交互に積層しておけば、エッチャント中での化学溶解処理により、溶解性の低い複数枚のポーラスアルミナ膜を一度に得ることも可能である。
また、溶解性の異なるアルミナ層を陽極酸化で形成する手法としては、陽極酸化に用いる電解浴の種類を変化させる手法が有効である。陽極酸化によって形成されるアルミナ層は、皮膜中に電解液中のアニオン成分を取り込むことが知られており、得られるアルミナ層の溶解性は、皮膜中に取り込まれたアニオンの種類や濃度に依存して変化する。そのため、異なるアニオン種を含む2種類以上の電解液中で陽極酸化を行う手法や、酸濃度の異なる電解液中で陽極酸化を行うことで、溶解性の異なるアルミナ層を形成することが可能となる。
溶解性の高いアルミナ層の形成には、1M以上の酸またはアルカリ試薬を含む電解液を用いた陽極酸化によることがこのましい。更には、3M以上の酸またはアルカリ試薬を含む電解液、更には8M以上の酸またはアルカリ試薬を含む電解液を用いることが有効である。
高い溶解性を示すアルミナ層の形成には、硫酸、シュウ酸、リン酸、スルファミン酸のいずれか一つ以上を含む電解液を用いることが有効である。
また、上記のようにして作製された溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたアルミニウム材をエッチャント中に浸漬すると、試料表面より細孔内部にエッチャントが侵入し高い溶解性のアルミナ層を優先的に溶解除去できるため、地金を溶解除去することなく、ポーラスアルミナスルーホールメンブレンを得ることができる。この時、溶解性の低いポーラスアルミナ層と溶解性の高いアルミナ層を複数積層しておけば、一つのアルミニウム材より、一度に複数枚のポーラスアルミナスルーホールメンブレンを得ることも可能である。
また、上記溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去する際に、酸化剤を含むエッチャントを使用すること、とくに、該酸化剤を含むエッチャントとして、クロム酸、硝酸の少なくとも一方を含む酸性溶液を使用することは、好ましい形態の一つである。アルミニウムの表面に溶解性の異なるアルミナ層の積層構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成し、皮膜の最底部に形成された溶解性の高いアルミナ層を溶解する際に,リン酸等の通常の酸性溶液を使用すると、アルミニウムの地金が露出した際に、アルミニウム表面で酸とアルミニウムが反応し水素発生が起こる。このようにして発生した水素ガスは、ポーラスアルミナ皮膜とアルミニウム地金の界面にトラップされることになり、これによりポーラスアルミナ皮膜に機械的な応力がかかり、クラックが発生することがある。このような問題は、酸化剤を含むエッチャント、中でも酸化力の高い酸性溶液(例えば、上述したクロム酸、硝酸の少なくとも一方を含む酸性溶液)を用いて溶解性の高いアルミナ層を溶解することで解決することが可能である。酸化剤を含むエッチャント、とくに、クロム酸や硝酸をはじめとする酸化力の強い酸性溶液では、アルミニウム地金が露出した場合にも、その表面に不動態膜が形成され,アルミニウムと酸の反応は進行しない。結果として、水素ガスの発生も抑制できることから、ポーラスアルミナ皮膜のクラックを抑制することができる。また、溶解性の高いアルミナ層の底部に溶解性の低いポーラスアルミナ層が形成された積層構造では、溶解性の高いアルミナ層を溶解除去しても、溶解性の低いアルミナ層がアルミニウム表面に残るため、地金が直接溶液に露出することを防ぐことができる。このような方法においても、剥離を行ったポーラスアルミナ皮膜にクラックが入ることを抑制することができる。
また、ポーラスアルミナが形成された試料の端部分をあらかじめカットしておくと、側部からも溶解が進行するため効率良く、ポーラスアルミナスルーホールメンブレンを得ることができる。皮膜の最底部に溶解性の高いアルミナ層を形成しておけば、化学溶解処理によりポーラスアルミナ皮膜を剥離処理した後に、アルミニウム地金が露出するため、このアルミニウム材に再度陽極酸化を行うことで、繰り返し陽極酸化ポーラスアルミナを形成することも可能である。とくに、地金アルミニウムの溶解性の低いエッチャントを用いて、溶解性の高いアルミナ層を溶解すれば、陽極酸化ポーラスアルミナの細孔配列に対応した窪み配列を残存地金表面に保持することが可能である。そのため、溶解性の低いアルミナ層を自己組織化的な手法(例えば 非特許文献 H. Masuda and K. Fukuda, Science, 268, 1466 (1995))あるいはテクスチャリングによる手法(例えば 非特許文献 H. Masuda, H. Yamada, M. Satoh, H. Asoh, M. Nakao and T. Tamamura: Appl.Phys. Lett. 1997, 71, 2770)により細孔が規則配列したポーラスアルミナにし、その底部に形成する溶解性の高いアルミナ層の形成を行う際に細孔の規則配列を保持することが可能であれば、ポーラスアルミナを剥離した後、残存地金表面に規則的な窪み配列構造を保持することができる。このようなアルミニウム材を、再度適切な条件下で陽極酸化を行えば、表面から細孔が規則的に配列したポーラスアルミナメンブレンを繰り返し作製することが可能となる。
また、アルミニウムの予め定めた特定の領域に(例えば、マスキングによって予め定められた特定の領域に)陽極酸化により溶解性の低いアルミナ層を形成し、その後前記特定の領域を含む該特定の領域よりも広い領域に対し(例えば、マスキングを除去したより広い領域に対し)再度陽極酸化を行うことにより溶解性の高いアルミナ層を形成して、上記陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成することもできる。本発明によれば,アルミニウムに陽極酸化を行い、溶解性の低いアルミナ層を形成した後、電解液を変えて続けて陽極酸化を行うことで、積層構造を有するポーラスアルミナ層を形成し、当該試料にウェットエッチングを施すことで、アルミナスルーホールメンブレンの作製を行うことが可能であるが、再陽極酸化を行う際に、溶解性の低いアルミナ層を形成していない部分まで(上記のより広い領域まで)電解液に浸漬し、溶解性の高いアルミナ層を形成すれば、ウェットエッチングを行うだけで、アルミナスルーホールメンブレンがアルミニウム材から完全に分離された構造を得ることができる。さらには、あらかじめ、マスキングあるいは治具を用いてアルミニウム材の一部が電解液に浸漬しないような処理を施し陽極酸化を行うことで、アルミニウム材の一部にのみ溶解性の低いアルミナ層を形成し、その後、マスキングや治具により陽極酸化を行われていなかった部分まで、溶解性の高いアルミナ層の形成を行い、最後にウェットエッチングを行って溶解性の高いアルミナ層を溶解除去すれば、アルミニウム材からアルミナスルーホールメンブレンをより簡便に剥離することも可能である。このような手法を用いれば、アルミニウム材の形状によらず、ディスク形状など、所望の形状のアルミナスルーホールメンブレンを得ることが可能である。
また、ウェットエッチングにより、陽極酸化ポーラスアルミナのスルーホール処理を行う際には、細孔径の拡大が伴うが、本発明で提案する積層構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナによれば、細孔径が拡大することなく皮膜のスルーホール処理を行うことも可能である。地金つきの状態でエッチングを行った場合においても、細孔径の拡大を最小限に抑えることが可能であるが、アルミニウム地金をあらかじめ溶解除去し、皮膜底部に形成された溶解性の高いアルミナ層に直接エッチングを施す手法によれば、地金付きの場合に比べて、より短時間に貫通孔化を行うことが可能となり、結果として、細孔径の拡大を最小限に抑えることも可能である。
また、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に厚く形成すれば、例えば、溶解性の低いアルミナ層よりも厚く形成すれば、アルミニウムの地金溶解を行う際には貫通孔化処理までの皮膜の支持層として機能させることができるため、大面積のスルーホールメンブレンや100nm以下の厚みの極薄膜メンブレンを作製する際に有効である。
また、本発明に係る方法においては、溶解性の低いアルミナ層の細孔を貫通孔化処理するに際し、あらかじめ定めた所望の領域部分のみ貫通孔化することも可能である。すなわち、上記溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成するに際し、溶解性の高いアルミナ層を、溶解性の低いアルミナ層の形成領域に対し予め定めた特定の領域のみに部分的に形成し、アルミニウムの地金を溶解除去した後、エッチャントに浸漬して上記溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、上記特定の領域の溶解性の低いアルミナ層の細孔のみが貫通孔化されたスルーホールメンブレンを形成する手法である。例えば、スルーホール化を行いたい部分にのみ溶解性の高いアルミナ層を形成する方法としては、溶解性の低いアルミナ層を形成した後、スルーホール化を行いたい部分以外に、マスクを形成して陽極酸化を行う手法を用いることができる。マスクとしては、乾燥することで塗膜となるポリマー溶液やマスキングテープを用いることができる。また、中性電解液中で陽極酸化を行うことで形成されるバリヤー型皮膜により、スルーホールを行わない部分にポアフィリングを施す手法も有効である。
さらに、本発明においては、より具体的な手法として、次のような手法を採用することもできる。例えば、アルミニウムの陽極酸化によって細孔が自己組織化的に規則配列した第1のアルミナ層を形成し、該第1のアルミナ層の細孔の底部側に、陽極酸化により第1の溶解性の高いアルミナ層を形成し、該第1の溶解性の高いアルミナ層の規則配列された細孔を次層の細孔発生開始点として利用し、陽極酸化により溶解性の低いアルミナ層を形成し、該溶解性の低いアルミナ層の細孔の底部側に、陽極酸化により第2の溶解性の高いアルミナ層を形成し、形成された陽極酸化ポーラスアルミナをエッチャントに浸漬し、前記第1、第2の溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、前記溶解性の低いアルミナ層を細孔が貫通孔化されたスルーホールメンブレンに形成する手法を採用することもできる。自己組織化プロセスにより試料表面から底部にかけて規則的なポーラスアルミナの作製を行う場合には、通常、2段階陽極酸化プロセスが必須であった。これは、長時間陽極酸化により形成したポーラスアルミナ層を一旦除去し、これによって形成されるアルミニウム地金表面の規則的な窪み配列を2段目の陽極酸化の際の細孔発生開始点として利用するものである。しかしながら、上記のような本発明におけるより具体的な手法を用いると、適切な条件下で長時間陽極酸化を行い細孔の自己組織化的な規則配列を形成したのち、一旦、溶解性の高いアルミナ層を薄く形成し、続けて溶解性の低いアルミナ層が形成可能な条件下で所望の厚みのポーラスアルミナ層の形成を行ってエッチャント中に浸漬すれば、表面から底部まで細孔が規則的に配列したポーラスアルミナがアルミ地金表面に形成された試料を簡便に作製することができる。また、最後に溶解性の高いアルミナ層を再び形成したのち、エッチャント中に浸漬することにより、上記溶解性の低いアルミナ層を所望の膜厚の高規則性スルーホールメンブレンとして、簡素なプロセスで容易に得ることもできる。
さらにまた、本発明に係る方法においては、陽極酸化によって細孔が自己組織化的に規則配列した陽極酸化ポーラスアルミナを形成し、この陽極酸化ポーラスアルミナを選択的に溶解除去し、除去後の表面に残存した規則的な窪みの配列を利用して、より高精度にアルミナスルーホールメンブレン製造用の、アルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成することができる。すなわち、アルミニウムの陽極酸化によって細孔が自己組織化的に規則配列した第1のアルミナ層を形成し、該第1のアルミナ層の皮膜を選択的に溶解除去することで、表面に前記細孔の底部に対応する規則的な窪みの配列が形成されたアルミニウム材を作製し、該アルミニウム材に対して、陽極酸化によって溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成し、該陽極酸化ポーラスアルミナをエッチャントに浸漬し、溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、溶解性の低いアルミナ層を細孔が貫通孔化されたスルーホールメンブレンに形成する手法である。
この手法においては、上記第1のアルミナ層を形成するために陽極酸化するに際し、第一段階目の陽極酸化を実施した後、陽極酸化電圧、電解液濃度の少なくとも一方を変更して第二段階目以降の陽極酸化を実施するようにすることもできる。このようにすれば、第1のアルミナ層の細孔を、より高い規則性をもって配列することができ、第1のアルミナ層除去後の窪みも、より高い規則性をもって配列することが可能になるので、最終的に得られるアルミナスルーホールメンブレンの貫通孔も、より高い規則性をもって配列することができる。
本発明は、さらに、アルミニウムの陽極酸化によって形成される陽極酸化ポーラスアルミナであって、溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有することを特徴とする陽極酸化ポーラスアルミナについても提供する。
また、本発明は、電解液に含まれる酸の濃度または種類の異なる溶液中でアルミニウムの陽極酸化を行うことにより、溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナを形成することを特徴とする、陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法についても提供する。
また、本発明は、溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することによって得られたアルミナスルーホールメンブレンであって、その表面が,細孔の周辺部分が窪んだ構造を有していることを特徴とするアルミナスルーホールメンブレンについても提供する。高濃度の酸またはアルカリ電解液中で陽極酸化を行うと、電解液中のアニオンがアルミナ皮膜中に多量に取り込まれるため、溶解性の高いアルミナ層が形成される。このとき、低濃度の電解液中で陽極酸化を行った後、高濃度の電解液中で陽極酸化を行うと、後述の図に示すような卵形のアニオンの取り込み分布となって、細孔の周辺部に同様の形状の溶解性の高いアルミナ層が形成され、この溶解性の高いアルミナ層をウェットエッチングによって選択的に溶解除去することにより、その表面に,細孔の周辺部分が窪んだ構造、例えば、セル境界部分に対して細孔周辺部が窪んだ構造が形成される。
また、本発明は、溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することによって得られた、細孔周期の1/3以下の細孔径の細孔を有することを特徴とするアルミナスルーホールメンブレンについても提供する。前述の如く、従来の化学的な貫通孔化処理では、細孔周期の1/3以下のサイズの細孔を有するスルーホールメンブレンの形成を行うことは困難であったが、前述のような本発明に係る方法により、このようなアルミナスルーホールメンブレンの作製が可能となった。
さらに本発明は、溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの、溶解性の低いアルミナ層の形成領域に対し予め定めた特定の領域のみに部分的に形成されていた溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することによって得られた、前記特定の領域の溶解性の低いアルミナ層の細孔のみが貫通孔化されていることを特徴とするアルミナスルーホールメンブレンについても提供する。前述の如き本発明に係る方法、例えば、スルーホール化を行いたい部分にのみ溶解性の高いアルミナ層を形成する手法として、溶解性の低いアルミナ層を形成した後、スルーホール化を行いたい部分以外に、マスクを形成して陽極酸化を行う手法を用いた方法により、このような特定の領域のみが貫通孔化されたアルミナスルーホールメンブレンが得られる。
このように、本発明によれば、煩雑な工程を経ることなく容易に、所望のアルミナスルーホールメンブレンを得ることができる。
本発明の一実施態様に係る陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法を示す概略構成図である。 本発明の一実施態様に係るアルミナスルーホールメンブレンの製造方法を示す概略構成図である。 本発明の別の実施態様に係るアルミナスルーホールメンブレンの製造方法を示す概略構成図である。 本発明の別の実施態様に係る陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法を示す概略構成図である。 本発明のさらに別の実施態様に係るアルミナスルーホールメンブレンの製造方法を示す概略構成図である。 本発明のさらに別の実施態様に係るアルミナスルーホールメンブレンの製造方法を示す概略構成図である。 本発明のさらに別の実施態様に係るアルミナスルーホールメンブレンの製造方法を示す概略構成図である。 本発明のさらに別の実施態様に係るアルミナスルーホールメンブレンの製造方法を示す概略構成図である。 本発明のさらに別の実施態様に係るアルミナスルーホールメンブレンの製造方法を示す概略構成図である。 図9に示した方法で得られた構造を電子顕微鏡で観察した一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法について詳細に説明する。
図1は、本発明において得られる溶解性の異なるアルミナ層が積層した陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法を示したものである。陽極酸化の条件を変化させて2階陽極酸化を行うことで、溶解性の異なるアルミナ層を深さ方向に積層したポーラスアルミナを得ることができる。例えば、アルミニウム1の陽極酸化によって溶解性の異なる2層以上のアルミナ層を、電解液に含まれる酸の濃度または種類の異なる溶液中で陽極酸化を行うことにより作製する。図示例では、溶解性の低いアルミナ層2の細孔3の底部側に、溶解性の高いアルミナ層4が形成される。
図2は、上記のような溶解性の異なるアルミナ層2、4の積層構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナ5に、地金アルミニウム6付きの状態でエッチャントに浸漬してウェットエッチングを施すことで、ポーラスアルミナ層の剥離を行う様子を示したものである。この時、溶解性の高いアルミナ層4が選択的に溶解除去され、溶解性の低いアルミナ層2の細孔3が貫通孔化されてアルミナスルーホールメンブレン7として形成され、地金アルミニウム6から剥離される。
図3は、3層以上の積層構造からなる陽極酸化ポーラスアルミナを作製し、ウェットエッチングを施すことで、複数枚のアルミナスルーホールメンブレンを一度に形成する手法を示している。例えば、アルミニウム1の陽極酸化によって形成される溶解性の低いアルミナ層2に対し、電解液に含まれる酸の濃度または種類の異なる溶液中で陽極酸化を行うことにより溶解性の高いアルミナ層が形成される。図示例では、地金アルミニウム6側から順に、溶解性の高いアルミナ層4a、溶解性の低いアルミナ層2a、溶解性の高いアルミナ層4b、溶解性の低いアルミナ層2b、溶解性の高いアルミナ層4c、溶解性の低いアルミナ層2cが、交互に形成されている。この陽極酸化ポーラスアルミナの全体を、地金アルミニウム6付きの状態でエッチャントに浸漬してウェットエッチングを施すことにより、溶解性の高いアルミナ層4a、4b、4cを実質的に同時に溶解除去することで、複数枚のアルミナスルーホールメンブレン7a、7b、7cを一度に形成する。
図4は、剥離処理を施したのち、再度陽極酸化を行うことで、地金表面の窪みパターンに対応した細孔配列を有する陽極酸化ポーラスアルミナの形成を行う手法を示している。例えば、図2に示したのと同様に、溶解性の異なるアルミナ層2、4の積層構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナに、地金アルミニウム6付きの状態でエッチャントに浸漬してウェットエッチングを施すことで、溶解性の高いアルミナ層4を選択的に溶解除去し、溶解性の低いアルミナ層2をアルミナスルーホールメンブレン7として形成するとともに地金アルミニウム6から剥離する。剥離後、表面に窪みパターン8が残存した状態で再度陽極酸化を行うことにより、窪みパターン8に対応した細孔配列を有する陽極酸化ポーラスアルミナ9を形成する。
図5は、地金部分を溶解除去した後にウェットエッチングを施すことで、ポーラスアルミナスルーホールメンブレンの作製を行う手法を示している。図示例では、図1に示したのと同様に、アルミニウム1の陽極酸化によって溶解性の異なる2層以上のアルミナ層を、例えば、電解液に含まれる酸の濃度または種類の異なる溶液中で陽極酸化を行うことにより作製する。すなわち、溶解性の低いアルミナ層2の細孔3の底部側に、溶解性の高いアルミナ層4を形成する。地金アルミニウム6を溶解除去した後に、溶解性の高いアルミナ層4を選択的に溶解除去し、溶解性の低いアルミナ層2の細孔3を貫通孔化してアルミナスルーホールメンブレン7を作製する。
図6は、溶解性の高いアルミナ層を厚く形成し、支持層として使用するプロセスを示している。例えば、図5に示したように形成される、地金アルミニウム6溶解除去後の、溶解性の低いアルミナ層2dと溶解性の高いアルミナ層4dの積層構成を有する陽極酸化ポーラスアルミナ5の溶解性の高いアルミナ層4dを比較的厚い層に形成し、支持層として機能させる。この支持層として機能する溶解性の高いアルミナ層4dを選択的に溶解除去し、溶解性の低いアルミナ層2dの細孔を貫通孔化してアルミナスルーホールメンブレン7を作製する。溶解性の高いアルミナ層4dが溶解除去されるまでは、溶解性の低いアルミナ層2dはアルミナ層4dで支持されているので、溶解性の低いアルミナ層2d自体は比較的薄い層でも形態保持可能となり、最終的に薄いアルミナスルーホールメンブレン7の作製が可能となる。
図7は、予め定められた特定の領域のみスルーホール化したアルミナスルーホールメンブレンの作製例を示している。図1に示したのと同様に、アルミニウム1の陽極酸化によって細孔3を有する溶解性の低いアルミナ層2を形成し、上記予め定められた特定の領域以外の領域(つまり、スルーホール化を行いたくない領域)に例えばマスク11を施し、上記とは異なる条件の陽極酸化によってマスク11を施していない領域部分に対して溶解性の低いアルミナ層2の細孔3の底部側に溶解性の高いアルミナ層12を形成し、地金アルミニウム6を溶解除去した後に、マスク11と溶解性の高いアルミナ層12を溶解除去することにより、特定の領域のみ部分的にスルーホール化したアルミナスルーホールメンブレン13を作製することができる。
図8は、溶解性の高いアルミナ層を溶解性の低いアルミナ層よりも広い領域に形成し、溶解性の高いアルミナ層の溶解除去により簡便にアルミナスルーホールメンブレンを作製する手法の例を概略平面図として示している。図8(A)に示す例では、アルミニウム1の予め定めた特定の領域21に(例えば、マスキングによって予め定められた特定の領域21に)陽極酸化により溶解性の低いアルミナ層22を形成し、その後この特定の領域21を含む該特定の領域21よりも広い領域23に対し(例えば、上記マスキングを除去することにより、あるいは別のマスキングを施すことにより設定された、上記領域21よりも広い領域23に対し)再度陽極酸化を行うことにより溶解性の高いアルミナ層24を形成し、溶解性の高いアルミナ層24を溶解除去することにより、溶解性の低いアルミナ層22で形成されたアルミナスルーホールメンブレン25を地金アルミニウム6から簡便に剥離させることができる。図8(B)に示す例においても同様に、アルミニウム1の予め定めた特定の領域26に陽極酸化により溶解性の低いアルミナ層27を形成し、その後この特定の領域26を含む該特定の領域26よりも広い領域28に対し再度陽極酸化を行うことにより溶解性の高いアルミナ層29を形成し、溶解性の高いアルミナ層29を溶解除去することにより、溶解性の低いアルミナ層27で形成されたアルミナスルーホールメンブレン30を地金アルミニウム6から簡便に剥離させることができる。
図9は、細孔の周辺部分が窪んだ表面構造を有するアルミナスルーホールメンブレンの作製例を示している。アルミニウム1の表面上に溶解性の低いアルミナ層31を形成した後溶解性の高いアルミナ層32を形成するとき、低濃度の電解液中で陽極酸化を行った後,高濃度の電解液中で陽極酸化を行うと、図9に示したような略卵形のアニオンの取り込み分布となり、この溶解性の高いアルミナ層32に対してウェットエッチングを行い溶解性の高いアルミナ層32を溶解除去すると、セル境界部分に対して細孔3の周辺部が窪んだ構造33のアルミナスルーホールメンブレン34が形成される。このような方法により作製されたアルミナスルーホールメンブレンの構造を電子顕微鏡で観察した一例を図10に示す(図9に示した方法で得られた構造41)。
実施例1(アルミ地金付き試料からの細孔周期100nmアルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で8分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、皮膜部分を地金より取り外することでアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例2(アルミ地金付き試料からの細孔周期63nmアルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.3M硫酸浴、浴温17度、化成電圧25Vの条件下で180分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧25Vの条件下で8分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、皮膜部分を地金より取り外することでアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例3(細孔周期100nm周期高規則性アルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で5時間陽極酸化を行い、その後、酸化皮膜部分をクロム酸リン酸混合溶液中で選択的に溶解除去することで、規則的な窪み配列が表面に形成されたアルミニウム板を得た。このようにして得られたアルミニウム板に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で8分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、皮膜部分を地金より取り外することでポーラスアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例4(細孔周期100nm周期高規則性アルミナスルーホールメンブレンの繰り返し形成)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で5時間陽極酸化を行い、その後、酸化皮膜部分をクロム酸リン酸混合溶液中で選択的に溶解除去することで、規則的な窪み配列が表面に形成されたアルミニウム板を得た。このようにして得られたアルミニウム板に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で8分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、皮膜部分を地金より取り外することでポーラスアルミナスルーホールメンブレンを得た。メンブレンを取り外した地金の表面には、規則的な窪み配列が形成されていることから、このアルミに板を使用し、再度、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で8分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、皮膜部分を地金より取り外することでアルミナスルーホールメンブレンを得た。このような操作を5回繰り返した場合においても、表面から底部にかけて細孔が規則的に配列したアルミナスルーホールメンブレンを作製することが可能であった。
実施例5(複数枚のポーラスアルミナスルーホールメンブレンの一括成形)
実施例3に記載の方法により規則的な窪み配列が形成されたアルミニウム板を作製し、これに、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で15分間陽極酸化、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で8分間陽極酸化をそれぞれ5回ずつ行った。このようにして得られた試料を、1wt%リン酸水溶液、浴温30℃に30分間浸漬することにより、溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去した。その後、試料は、蒸留水で洗浄し、乾燥させた。試料表面より、ポーラスアルミナ層を取りはずすことで、5枚のスルーホールメンブレンを得ることが可能であった。
実施例6(理想配列アルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板表面に、100 nm周期で突起が規則的に配列した構造を持つNi製モールドを押し付け、表面に微細な凹凸パターンを形成した。テクスチャリング処理を施したアルミニウム板に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で8分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、皮膜部分を地金より取り外することで細孔が理想配列したアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例7(細孔径30nmの100nm周期アルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で5時間陽極酸化を行い、その後、酸化皮膜部分をクロム酸リン酸混合溶液中で選択的に溶解除去することで、規則的な窪み配列が表面に形成されたアルミニウム板を得た。このようにして得られたアルミニウム板に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で15分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で8分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料の背面部分を機械的に削り酸化皮膜を除去し地金を露出させ、ヨウ素飽和メタノール中に浸漬することで、残存地金を選択的に溶解除去した。地金除去後の試料は、1wt%リン酸水溶液、浴温30度に、10分間浸漬することで表面、裏面ともに、細孔径が30nmの細孔周期100nmアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例8(溶解性の高いアルミナ層を支持層とするアルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で5時間陽極酸化を行い、その後、酸化皮膜部分をクロム酸リン酸混合溶液中で選択的に溶解除去することで、規則的な窪み配列が表面に形成されたアルミニウム板を得た。このようにして得られたアルミニウム板に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で15秒間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で15分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料の背面部分を機械的に削り酸化皮膜を除去し地金を露出させ、ヨウ素飽和メタノール中に浸漬することで、残存地金を選択的に溶解除去した。溶解性の低いアルミナ層の厚みは100nmであったが、溶解性の高いアルミナ層を2μm形成していることから、ハンドリングも可能な機械強度を有する皮膜を得ることができた。地金除去後の試料は、1wt%リン酸水溶液、浴温30度に、10分間浸漬することで膜厚100nm スルーホールメンブレンとすることが可能であった。
実施例9(200nm周期理想配列アルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板表面に、200 nm周期で突起が規則的に配列した構造を持つNi製モールドを押し付け、表面に微細な凹凸パターンを形成した。テクスチャリング処理を施したアルミニウム板に、0.05Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧80Vの条件下で15分間陽極酸化を行った。その後、続けて、14M硫酸浴、浴温0度、化成電圧80Vの条件下で10分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、皮膜部分を地金より取り外することで細孔が理想配列したアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例10(45nm周期アルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、8M硫酸浴、浴温17度、化成電圧25Vの条件下で1時間陽極酸化を行い、その後、酸化皮膜部分をクロム酸リン酸混合溶液中で選択的に溶解除去することで、規則的な窪み配列が表面に形成されたアルミニウム板を得た。このようにして得られたアルミニウム板に、0.3M硫酸浴、浴温17度、化成電圧18Vの条件下で2分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧18Vの条件下で20分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料の背面部分を機械的に削り酸化皮膜を除去し地金を露出させ、ヨウ素飽和メタノール中に浸漬することで、残存地金を選択的に溶解除去した。地金除去後の試料は、1wt%リン酸水溶液、浴温30度に、10分間浸漬することで表面、裏面ともに、細孔径が15nmの細孔周期45nmアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例11(細孔周期100nm周期高規則性アルミナスルーホールメンブレンの形成)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で5時間陽極酸化を行い、続けて12M硫酸浴、40V、0度の条件下で10分間陽極酸化を行った。さらにつづけて、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で90分間陽極酸化、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で8分間陽極酸化を行い、規則性の悪い最上層の下に溶解性の高いアルミナ層、所望の膜厚を有する規則的なポーラスアルミナ層、更にその下に溶解性の高いアルミナ層が積層された試料を得た。この手法では、溶解性の高いアルミナ層を中間層とした場合にも細孔配列規則性は保持することができることが確認されている。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。これにより、所望の膜厚を有する表面から底部まで細孔が規則的に配列したポーラスアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例12(自己組織化プロセスで作製した200nm周期アルミナスルーホールメンブレン)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.8Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で16時間陽極酸化を行い、その後、0.8Mシュウ酸、浴温17度、化成電圧80Vの条件下で1時間陽極酸化を行った。この試料の酸化皮膜部分をクロム酸リン酸混合溶液中で選択的に溶解除去することで、規則的な窪み配列が表面に形成されたアルミニウム板を得た。このようにして得られたアルミニウム板に、0.05Mシュウ酸浴、浴温0度、化成電圧80Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、続けて、14M硫酸浴、浴温0度、化成電圧80Vの条件下で20分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1wt%リン酸水溶液、浴温30度中に30分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、皮膜部分を地金より取り外することで細孔が自己組織化的に200nm周期で規則配列したアルミナスルーホールメンブレンを得た。
実施例13(クロム酸を用いた溶解性の高いアルミナ層の溶解除去)
純度99.99%のアルミニウム板に、過塩素酸エタノール混合溶液中で電解研磨処理を施したのち、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で5時間陽極酸化を行い、その後、酸化皮膜部分をクロム酸リン酸混合溶液中で選択的に溶解除去することで、規則的な窪み配列が表面に形成されたアルミニウム板を得た。このようにして得られたアルミニウム板に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で15分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成した。得られた試料を1.8wt%クロム酸、6wt%リン酸の混合水溶液、浴温30度中に15分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、3辺のエッジ部分のアルミナ層をスコッチテープで剥離することで、ポーラスアルミナスルーホールメンブレンを地金アルミニウムより取り外した。ポーラスアルミナスルーホールメンブレンを剥離したアルミニウム板表面には、規則的な細孔配列を有するポーラスアルミナが保持されているため、残った地金に再陽極酸化を行うことで、高アスペクト比の規則性ポーラスアルミナメンブレンを得ることが可能であった。
実施例14(溶解性の高いアルミナ層の溶解除去時の水素ガス発生の抑制)
アルミニウム板に、0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、続けて、12M硫酸浴、浴温0度、化成電圧40Vの条件下で15分間陽極酸化を行い、溶解性の高いアルミナ層を皮膜底部に形成したのち、再び0.3Mシュウ酸浴、浴温17度、化成電圧40Vの条件下で5分間陽極酸化を行った。得られた試料を5wt%リン酸の混合水溶液、浴温30度中に15分間浸漬することで、溶解性の高いアルミナ層の除去を行った。エッチング後の試料は、蒸留水で洗浄、乾燥したのち、3辺のエッジ部分のアルミナ層をスコッチテープで剥離することで、ポーラスアルミナスルーホールメンブレンを基材より取り外した。
本発明に係るアルミナスルーホールメンブレンは、高規則性多孔性材料として、各種フィルター材料などの各種用途における様々な機能性デバイス用材料として適用することができる。
1 アルミニウム
2、2a、2b、2c、2d、22、27、31 溶解性の低いアルミナ層
3 細孔
4、4a、4b、4c、4d、24、29、32 溶解性の高いアルミナ層
5 陽極酸化ポーラスアルミナ
6 地金アルミニウム
7、7a、7b、7c、25、30、34 アルミナスルーホールメンブレン
8 窪み配列
9 陽極酸化ポーラスアルミナ
11 マスク
12 溶解性の高いアルミナ層
13 アルミナスルーホールメンブレン
21、26 予め定めた特定の領域
23、28 特定の領域よりも広い領域
33 細孔周辺部が窪んだ構造
41 図9に示した方法で得られた構造

Claims (20)

  1. アルミニウムの陽極酸化によって溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成し、該陽極酸化ポーラスアルミナをエッチャントに浸漬し、溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、溶解性の低いアルミナ層を細孔が貫通孔化されたスルーホールメンブレンに形成することを特徴とする、アルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  2. 前記溶解性の異なる2層以上のアルミナ層を、電解液に含まれる酸の濃度または種類の異なる溶液中で陽極酸化を行うことにより作製する、請求項1に記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  3. 前記溶解性の高いアルミナ層を、1M以上の濃度の酸を含む電解液を用いた陽極酸化によって作製する、請求項1または2に記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  4. 前記溶解性の高いアルミナ層を、硫酸、シュウ酸、リン酸、スルファミン酸のいずれか1つ以上を用いて形成する、請求項1〜3のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  5. 前記溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去し、溶解性の低いアルミナ層をスルーホールメンブレンに形成する際に、アルミニウムの地金を溶解除去することなく、陽極酸化ポーラスアルミナをエッチャントに浸漬する、請求項1〜4のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  6. 前記溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去する際に、酸化剤を含むエッチャントを使用する、請求項1〜5のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  7. 前記酸化剤を含むエッチャントとして、クロム酸、硝酸の少なくとも一方を含む酸性溶液を使用する、請求項6に記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  8. 前記陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜をアルミニウムの地金から剥離し、該剥離後に地金表面に残った皮膜底部の細孔配列に対応した窪み配列を利用し、繰り返し陽極酸化によって溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成する、請求項1〜7のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  9. アルミニウムの予め定めた特定の領域に陽極酸化により溶解性の低いアルミナ層を形成し、その後前記特定の領域を含む該特定の領域よりも広い領域に対し再度陽極酸化を行うことにより溶解性の高いアルミナ層を形成して、前記陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成する、請求項1〜8のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  10. 前記溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成し、アルミニウムの地金を溶解除去した後、エッチャントに浸漬して溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去する、請求項1〜4のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  11. 前記溶解性の高いアルミナ層を、溶解性の低いアルミナ層よりも厚く形成し、アルミニウムの地金溶解後の陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜の支持層として利用する、請求項10に記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  12. 前記溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成するに際し、溶解性の高いアルミナ層を、溶解性の低いアルミナ層の形成領域に対し予め定めた特定の領域のみに部分的に形成し、アルミニウムの地金を溶解除去した後、エッチャントに浸漬して前記溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、前記特定の領域の溶解性の低いアルミナ層の細孔のみが貫通孔化されたスルーホールメンブレンを形成する、請求項1〜4、6〜11のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  13. アルミニウムの陽極酸化によって細孔が自己組織化的に規則配列した第1のアルミナ層を形成し、該第1のアルミナ層の細孔の底部側に、陽極酸化により第1の溶解性の高いアルミナ層を形成し、該第1の溶解性の高いアルミナ層の規則配列された細孔を次層の細孔発生開始点として利用し、陽極酸化により溶解性の低いアルミナ層を形成し、該溶解性の低いアルミナ層の細孔の底部側に、陽極酸化により第2の溶解性の高いアルミナ層を形成し、形成された陽極酸化ポーラスアルミナをエッチャントに浸漬し、前記第1、第2の溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、前記溶解性の低いアルミナ層を細孔が貫通孔化されたスルーホールメンブレンに形成する、請求項1〜12のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  14. アルミニウムの陽極酸化によって細孔が自己組織化的に規則配列した第1のアルミナ層を形成し、該第1のアルミナ層の皮膜を選択的に溶解除去することで、表面に前記細孔の底部に対応する規則的な窪みの配列が形成されたアルミニウム材を作製し、該アルミニウム材に対して、陽極酸化によって溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの皮膜を形成し、該陽極酸化ポーラスアルミナをエッチャントに浸漬し、溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することにより、溶解性の低いアルミナ層を細孔が貫通孔化されたスルーホールメンブレンに形成する、請求項1〜12のいずれかに記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  15. 前記第1のアルミナ層を形成するために陽極酸化するに際し、第一段階目の陽極酸化を実施した後、陽極酸化電圧、電解液濃度の少なくとも一方を変更して第二段階目以降の陽極酸化を実施する、請求項14に記載のアルミナスルーホールメンブレンの製造方法。
  16. アルミニウムの陽極酸化によって形成される陽極酸化ポーラスアルミナであって、溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有することを特徴とする陽極酸化ポーラスアルミナ。
  17. 電解液に含まれる酸の濃度または種類の異なる溶液中でアルミニウムの陽極酸化を行うことにより、溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナを形成することを特徴とする、陽極酸化ポーラスアルミナの製造方法。
  18. 溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することによって得られたアルミナスルーホールメンブレンであって、その表面が,細孔の周辺部分が窪んだ構造を有していることを特徴とするアルミナスルーホールメンブレン。
  19. 溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することによって得られた、細孔周期の1/3以下の細孔径の細孔を有することを特徴とするアルミナスルーホールメンブレン。
  20. 溶解性の異なるアルミナ層が2層以上積層された構造を有する陽極酸化ポーラスアルミナの、溶解性の低いアルミナ層の形成領域に対し予め定めた特定の領域のみに部分的に形成されていた溶解性の高いアルミナ層を選択的に溶解除去することによって得られた、前記特定の領域の溶解性の低いアルミナ層の細孔のみが貫通孔化されていることを特徴とするアルミナスルーホールメンブレン。
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