JP6197424B2 - タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
一方、シリカはジエン系ゴムとの親和性が低く、また、シリカ同士の凝集性が高いため、ジエン系ゴムに単にシリカを配合してもシリカが分散せず、タイヤの転がり抵抗を低減する効果やウェットグリップ性能を向上する効果が十分に得られないという問題があった。
特許文献1には、上記方法により製造したタイヤ用ゴム組成物を用いることで、タイヤのヒステリシスロスを小さくし、転がり抵抗を十分に低減できる旨が記載されている。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、加工性およびシリカの分散性に優れ、タイヤにしたときに低転がり抵抗性およびウェットグリップ性能に優れるタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
上記シリカの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜150質量部であり、上記シランカップリング剤の含有量が、上記シリカの含有量に対して、1〜15質量%であり、上記ブロックイソシアネートの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜10質量部である、タイヤ用ゴム組成物。
(2) 上記シランカップリング剤が、メルカプト系シランカップリング剤である、上記(1)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 上記メルカプト系シランカップリング剤が、後述する式(1)で表される化合物である、上記(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) 上記ブロックイソシアネートの90%脱ブロック温度が、110〜170℃である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造した空気入りタイヤ。
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、本発明の組成物とも言う)は、ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、(メタ)アクリロイル基を有するブロックイソシアネートとを含有する。
ここで、上記シリカの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜150質量部であり、上記シランカップリング剤の含有量は、上記シリカの含有量に対して、1〜15質量%であり、上記ブロックイソシアネートの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜10質量部である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、加工性およびシリカの分散性に優れ、タイヤにしたときに低転がり抵抗性およびウェットグリップ性能に優れるものと考えられる。
上述のとおり、本発明の組成物は、ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、(メタ)アクリロイル基を有するブロックイソシアネート(以下、特定ブロックイソシアネートとも言う)とを含有する。
ここで、ゴム組成物中にジエン系ゴムとシランカップリング剤(特にメルカプト系シランカップリング剤)とが共存すると、両者の反応などにより加工性が悪化する場合がある。本発明の組成物は、上述のとおり、特定ブロックイソシアネートを含有するため、特定ブロックイソシアネートのブロックイソシアネート基がシランカップリング剤と相互作用して安定化させる。その結果、本発明の組成物は加工性に優れるものと考えられる。さらに、本発明の組成物に含有される特定ブロックイソシアネートは(メタ)アクリロイル基を有するため、(メタ)アクリロイル基がシリカに作用してシリカの分散性を向上させるものと考えられる。これらのことは、後述する実施例および比較例が示すように、特定ブロックイソシアネートを含有しない比較例(比較例1、比較例3)よりも、特定ブロックイソシアネートを含有する実施例の方が加工性およびシリカの分散性に優れることからも推測される。
また、本発明の組成物を加硫した場合、特定ブロックイソシアネートのブロックイソシアネート基からブロック剤が解離して、イソシアネート基が生成し、生成したイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基がジエン系ゴムを架橋する。すなわち、上記特定ブロックイソシアネートは、加硫時に、ジエン系ゴムの架橋剤として機能する。架橋されたジエン系ゴムは三次元網目構造を形成するため、本発明の組成物から得られるタイヤはヒステリシスロスが小さく、低転がり抵抗性に優れるものと考えられる。このことは、後述する実施例および比較例が示すように、特定ブロックイソシアネートを含有しない比較例(比較例1、比較例3)よりも、特定ブロックイソシアネートを含有する実施例の方が低転がり抵抗性に優れることからも推測される。
また、本発明の組成物に含有される特定ブロックイソシアネートはイソシアネート基がブロック剤により保護されている点にも特徴がある。すなわち、イソシアネート基がブロック剤により保護されていない場合、加硫前に、イソシアネート基がシリカやシランカップリング剤と反応し、加工性やシリカの分散性を悪化させる。また、イソシアネート基が加硫前にシリカやシランカップリング剤と反応してしまうため、加硫時の架橋剤としての機能が低下し、また、逆に可塑性を上げる成分として働いてしまう。結果として、得られるタイヤのヒステリシスロスは増大し、低転がり抵抗性が悪化することになる。これらのことは、後述する比較例が示すように、特定ブロックイソシアネートの代わりにイソシアネート基が保護されていなイソシアネートを使用した場合(比較例2および4)には、加工性、シリカの分散性および低転がり抵抗性が悪化することからも推測される。
本発明の組成物に含有されるジエン系ゴムは特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。上記ジエン系ゴムは、1種のジエン系ゴムを単独で用いても、2種以上のジエン系ゴムを併用してもよい。
ジエン系ゴムが変性ゴムである場合、加硫時に、後述する特定ブロックイソシアネートから生成したイソシアネート基がジエン系ゴムとより結合し易くなる。結果として、加硫時にジエン系ゴムの架橋がより効率的に進むため、ヒステリシスロスのより小さいタイヤが得られる。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。なかでも、得られるタイヤの剛性が優れる理由から、スチレンブタジエンゴム(SBR)であることが好ましい。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の共役ジエン中のビニル結合量は、10〜50%であることが好ましく、25〜48%であることがより好ましい。ここで、ビニル結合量とは、共役ジエンの結合様式であるシス−1,4−結合、トランス−1,4−結合および1,2−ビニル結合のうち、1,2−ビニル結合の割合をいう。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体を製造する際に使用される単量体としての、芳香族ビニル、共役ジエンは特に限定されない。
ここで、上記共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。
一方、上記芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
また、上記芳香族ビニル−共役ジエン共重合体とともに上記ブタジエンゴム(BR)を併用する場合、上記ブタジエンゴム(BR)の含有量は、得られるタイヤのウェット性能および耐摩耗性の観点から、上記ジエン系ゴムの50質量%未満であることが好ましく、45質量%未満であることがより好ましく、40質量%未満であることがさらに好ましい。
本発明の組成物に含有されるシリカは特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカがシランカップリング剤との吸着に利用できる表面積の代用特性であり、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
上記シリカの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して5質量部未満であると、ウェットグリップ性能が不十分となる。また、上記シリカの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して150質量部を超えると、低転がり抵抗性および加工性が悪化する。
本発明の組成物に含有されるシランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、1〜16であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記メルカプト系シランカップリング剤は、加水分解性基およびメルカプト基(−SH)を有するシラン化合物であれば特に制限されない。加水分解性基の具体例および好適な態様は上述のとおりである。
ここで、ポリエーテル鎖とは、エーテル結合を2以上有する側鎖であり、例えば、構造単位−Ra−O−Rb−を合計して2個以上有する側鎖が挙げられる。ここで、上記構造単位中、RaおよびRbは、それぞれ独立して、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、直鎖状もしくは分岐状のアルケニレン基、直鎖状もしくは分岐状のアルキニレン基、または、置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。なかでも、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
上記式(1)中、R12は、炭素数4〜30の直鎖状のポリエーテル基を表す。ポリエーテル基とは、エーテル結合を2以上有する基であり、その具体例としては、例えば、構造単位−Ra−O−Rb−を合計して2個以上有する基が挙げられる。RaおよびRbの定義および好適な態様は、上述したRaおよびRbと同じである。なお、mが2である場合の複数あるR12はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
炭素数4〜30の直鎖状のポリエーテル基の好適な態様としては、例えば、下記式(2)で表される基が挙げられる。
上記式(2)中、R22は、直鎖状のアルキレン基、直鎖状のアルケニレン基、または、直鎖状のアルキニレン基を表し、なかでも直鎖状のアルキレン基が好ましい。上記直鎖状のアルキレン基としては、炭素数1〜2の直鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
上記式(2)中、pは、1〜10の整数を表し、3〜7であることが好ましい。
上記式(2)中、*は、結合位置を示す。
上記式(1)中、R14は炭素数1〜30のアルキレン基を表し、なかでも炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基の具体例としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。
上記式(1)中、lは1〜2の整数を表し、1であることが好ましい。上記式(1)中、mは1〜2の整数を表し、2であることが好ましい。nは0〜1の整数を表し、0であることが好ましい。l、mおよびnはl+m+n=3の関係式を満たす。
上記シランカップリング剤の含有量が上記シリカの含有量に対して1質量%未満であると、ウェットグリップ性能が不十分となる。また、上記シランカップリング剤の含有量が上記シリカの含有量に対して15質量%超であると、加工性が悪化する。
本発明の組成物は(メタ)アクリロイル基を有するブロックイソシアネート(特定ブロックイソシアネート)を含有する。特定ブロックイソシアネートは、(メタ)アクリロイル基とブロックイソシアネート基とを有する化合物である。
ここで、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基(CH2=CH−CO−)またはメタクリロイル基(CH2=CCH3−CO−)を表す。
また、ブロックイソシアネート基は、ブロック剤で保護されたイソシアネート基を表す。上述のとおり、本発明の組成物を加硫した場合、ブロックイソシアネート基からブロック剤が解離して、イソシアネート基(−N=C=O)が生成される。
上記ブロック剤の具体例としては、チオール類として、メタンチオール、エタンチオール、ベンゼンチオール、フェノール類として、フェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、クレゾール、1−ナフトール、2−ナフトール、オキシム類として、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アミン類としてジブチルアミン、ジフェニルアミン、アニリン、イミン類として、エチレンイミン、プロピレンイミン、カルバゾール類として、無置換カルバゾール、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、3,6−ジブロモカルバゾール、アミド類として、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム、イミド類として、コハク酸イミド、N−ヒドロキシコハク酸イミド、マレイン酸イミド、ウレア類として尿素、エチレン尿素、チオ尿素、アセト酢酸アルキルエステル類として、アセト酢酸エチルエステル、マロン酸アルキルエステル類として、マロン酸ジエチルエステル、ピラゾール類として、無置換ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−アセチルアミノピラゾール、ピラゾール−3,5−ジカルボン酸ジエチルエステル、イミダゾール類として、無置換イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、トリアゾール類として、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
ここで、90%脱ブロック温度とは、特定ブロックイソシアネートが有するブロックイソシアネート基のうち90%が、ブロック剤が解離してイソシアネート基になる温度である。90%脱ブロック温度は、加熱した特定ブロックイソシアネートのイソシアネート基の含有量をNMR法やMS法により分析することで求められる。
上記式(4)中、L41の定義、具体例および好適な態様は上述したL31と同じである。
特定ブロックイソシアネートの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して1質量部未満であると、加工性、シリカの分散性、低転がり抵抗性およびウェットグリップ性能が不十分となる。また、特定ブロックイソシアネートの含有量が上記ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部を超えると、低転がり抵抗性が悪化する。
本発明の組成物には、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに添加剤を含有することができる。
上記添加剤としては、例えば、シリカ以外の充填剤(例えば、カーボンブラック)、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、加工助剤、オイル、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤が挙げられる。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄または加硫促進剤を含有する場合は、硫黄および加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは130〜160℃)で混合し、冷却してから、硫黄または加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造した空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
下記第1表に示す成分を、下記第1表に示す割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、150±5℃に達したときに放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、タイヤ用ゴム組成物を得た。
第1表中、SBRの量について、上段の値はSBR(油展品)の量(単位:質量部)であり、下段の値は、SBRに含まれるSBRの正味の量(単位:質量部)である。
調製したタイヤ用ゴム組成物(未加硫)について、JIS K6300−1:2001に準拠し、L形ロータを用いて、試験温度125℃の条件でスコーチタイムを測定した。
結果を第1表に示す。比較例2および実施例1〜2については、比較例1のスコーチタイムを100とする指数で表した。また、比較例4〜6および実施例3〜4については、比較例3のスコーチタイムを100とする指数で表した。指数が大きいほどスコーチタイムが長く、加工性に優れる。
調製したタイヤ用ゴム組成物(未加硫)を170℃で10分間加硫して、タイヤ用ゴム組成物(加硫)を調製した。調製したタイヤ用ゴム組成物(加硫)について、歪せん断応力測定機(RPA2000、α−テクノロジー社製)により、歪0.28%の歪せん断弾性率G′と歪30.0%の歪せん断弾性率G′とを測定し、その差G′0.28(MPa)−G′30.0(MPa)をペイン効果として算出した。
結果を第1表に示す。比較例2および実施例1〜2については、比較例1のペイン効果を100とする指数で表した。また、比較例4〜6および実施例3〜4については、比較例3のペイン効果を100とする指数で表した。指数が小さいほどペイン効果が小さく、シリカの分散性に優れる。
調製したタイヤ用ゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
上述のとおり作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6394:2007に準拠し、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。
結果を第1表に示す。比較例2および実施例1〜2については、比較例1のtanδ(60℃)を100とする指数で表した。また、比較例4〜6および実施例3〜4については、比較例3のtanδ(60℃)を100とする指数で表した。指数が小さいほどtanδ(60℃)が小さく、タイヤにしたときに低転がり抵抗性に優れる。
上述のとおり作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6394:2007に準拠し、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件でtanδ(0℃)を測定した。
結果を第1表に示す。比較例2および実施例1〜2については、比較例1のtanδ(0℃)を100とする指数で表した。また、比較例4〜6および実施例3〜4については、比較例3のtanδ(0℃)を100とする指数で表した。指数が大きいほどtanδ(0℃)が大きく、タイヤにしたときにウェットグリップ性能に優れる。
・SBR:E581(末端にヒドロキシル基を有するスチレンブタジエンゴム、油展品(SBR100質量部に対して油展オイル37.5質量部を含む。SBR中のSBRの正味は72.7質量%。)、スチレン含有量:37質量%、ビニル結合量:42%、重量平均分子量:1,260,000、旭化成社製)
・BR:BR1220(ブタジエンゴム、日本ゼオン社製)
・シリカ:Zeosil 1165MP(CTAB比表面積=152m2/g、ローディア社製)
・カーボンブラック:シーストKHA(N2SA=77m2/g、東海カーボン社製)
・シランカップリング剤1:Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグサ社製)
・シランカップリング剤2:Si363(上記式(1)で表される化合物。ここで、R11:−OC2H5、R12:−O(C2H4O)5−C13H27、R14:−(CH2)3−、l=1、m=2、n=0。)(エボニックデグッサ社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸YR(日油社製)
・老化防止剤:6PPD(フレキシス社製)
・オイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤1:ノクセラーCZ−G(大内新興化学工業社製)
・加硫促進剤2:サンセラーD−G(三新化学工業社製)
・イソシアネート:カレンズMOI(2−イソシアネートエチルメタクリレート、昭和電工社製)
・ブロックイソシアネート:カレンズMOI−BM(90%脱ブロック温度:150℃)(上記式(3)で表される化合物。ここで、R31:−CH3、L31:−O−CH2−CH2−、B:−O−N=C(CH3)−CH2−CH3。)(昭和電工社製)
なお、実施例1および2と実施例3および4との対比をしたところ、シランカップリング剤としてメルカプト系シランカップリング剤を使用する実施例3および4の方が、シリカの分散性、低転がり抵抗性およびウェットグリップ性能がより優れていた。
また、特定ブロックイソシアネートの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して10質量部を超える場合(比較例6)には、低転がり抵抗性が悪化した。
また、特定ブロックイソシアネートの代わりにイソシアネート基が保護されていなイソシアネートを使用した場合(比較例2および4)には、加工性、シリカの分散性および低転がり抵抗性が悪化した。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (5)
- ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、(メタ)アクリロイル基を有するブロックイソシアネートとを含有し、
前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜150質量部であり、前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカの含有量に対して、1〜15質量%であり、前記ブロックイソシアネートの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜10質量部である、タイヤ用ゴム組成物。 - 前記シランカップリング剤が、メルカプト系シランカップリング剤である、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記メルカプト系シランカップリング剤が、下記式(1)で表される化合物である、請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ブロックイソシアネートの90%脱ブロック温度が、110〜170℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造した空気入りタイヤ。
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