JP6195662B2 - 電子ビーム蒸発源及び真空蒸着装置 - Google Patents
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Description
上記蒸発材料保持部は、第1の蒸発材料を保持することが可能な第1の保持領域を有する。
上記電子銃は、上記第1の保持領域と上記第1の軸方向に並んで配置され、上記第1の保持領域に対して電子ビームを出射することが可能に構成される。
上記磁気回路部は、軟磁性材料で構成された磁性板と、上記電子ビームが第1の蒸発材料で反射した反射電子を上記磁性板に向かって偏向させることが可能な反射電子偏向部材とを有し、上記電子銃と上記第1の保持領域を挟んで上記第1の軸方向に並んで配置される。
上記磁気回路部は、上記第2の保持領域と上記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に対向して配置されてもよい。
上記第1の保持領域を露出する開口部を有し、上記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に上記蒸発材料保持部と対向し、全体として平坦に構成されたハースデッキをさらに具備してもよい。
上記第2の軸方向に直交し第1の極性の第1の磁性面と、
上記第2の軸方向に直交し、上記第1の極性とは異なる第2の極性の第2の磁性面とを有し、
上記第1の磁性面と上記第2の磁性面とは、第1の軸方向及び上記第2の軸方向と直交する第3の軸方向に沿って配列されてもよい。
上記第1の磁性面が形成された第1の磁石と、
上記第2の磁性面が形成され、上記第1の磁石と上記第3の軸方向に離間して配置された第2の磁石とを有してもよい。
上記支持機構は、上記真空チャンバ内に配置され、蒸着対象物を支持することが可能に構成される。
上記電子ビーム蒸発源は、蒸発材料保持部と、電子銃と、磁気回路部とを有し、上記支持機構と上記第2の軸方向に対向して上記真空チャンバ内に配置される。
上記蒸発材料保持部は、第1の蒸発材料を保持することが可能な第1の保持領域を有する。
上記電子銃は、上記第1の保持領域と上記第1の軸方向に並んで配置され、上記第1の保持領域に対して電子ビームを出射することが可能に構成される。
上記磁気回路部は、軟磁性材料で構成された磁性板と、上記電子ビームが第1の蒸発材料で反射した反射電子を上記磁性板に向かって偏向させることが可能な反射電子偏向部材とを有し、上記電子銃と上記第1の保持領域を挟んで上記第1の軸方向に並んで配置される。
[真空蒸着装置の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る真空蒸着装置を示す模式的な図である。なお、図中のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、直交する3軸方向であり、X軸方向は第1の軸方向であって電子ビーム蒸発源100の前後方向、Y軸方向は第3の軸方向あって電子ビーム蒸発源100の左右方向、Z軸方向は第2の軸方向であって鉛直方向(上下方向)に対応する。
真空蒸着装置1は、同図に示すように、真空チャンバ11と、支持機構12と、電子ビーム蒸発源100とを備える。
図2,3,4は、それぞれ電子ビーム蒸発源100の構成を示す斜視図であり、図2は全体図、図3は後述する冷却部133を示した図、図4はハースデッキ130を取り除いた図である。
電子ビーム蒸発源100は、同図に示すように、蒸発材料保持部110と、電子銃120と、ハースデッキ130と、冷却部133と、磁気回路部140とを備える。電子ビーム蒸発源100は、本実施形態において、1つ以上の坩堝を有する金属蒸着用の電子ビーム蒸発源として構成される。
電子ビーム蒸発源100は、例えばX軸方向に沿って電子銃120と蒸発材料保持部110とが配置されている。以下、電子銃120側をX軸方向前方、蒸発材料保持部110側をX軸方向後方として説明する。
また、電子ビーム蒸発源100は、Z軸方向に沿って蒸発材料保持部110、磁気回路部140及びハースデッキ130が配置されている。以下、蒸発材料保持部110側をZ軸方向下方、ハースデッキ130側をZ軸方向上方として説明する。
第1の保持領域111は、蒸着対象の第1の蒸発材料を保持することが可能であり、例えば第1の蒸発材料を収容する1つの坩堝110aを含む。「蒸発対象」とは、電子ビームBを照射されることが可能な状態にあることを言うものとする。
第2の保持領域112は、第1の保持領域111と隣接し、蒸着待機中の第2の蒸発材料を保持することが可能に構成される。「蒸発待機中」とは、蒸発材料保持部110によって保持されてはいるが、電子ビームBを照射されない状態にあることを言うものとする。第2の保持領域112は、例えば、それぞれ蒸着待機中の蒸発材料を収容することが可能な複数の坩堝110b,110c・・・を含む。第2の蒸発材料とは、ここでは、これらの蒸発材料のうちの一つの蒸発材料を言うものとする。複数の坩堝110b,110c・・・の数は特に限定されず、例えば3〜20個程度とすることができる。
また、電子銃120は、電子ビーム用偏向部材は偏向用磁極121と図示しない偏向用磁石を有しており、電子ビームBを例えば180〜270°偏向し、第1の保持領域111に照射させることが可能に構成される。図示しない偏向用磁石は、電磁石あるいは永久磁石で構成されてもよい。
図3に示すように、冷却部133は、本実施形態において、水冷式の冷却機構であり、液状の冷却媒体を導入及び排出することが可能な冷却用端子134と、当該冷却媒体を循環させることが可能な冷却管135を有する。冷却管135は、ハースデッキ130内部に配置され、冷却媒体を循環させることでハースデッキ130を冷却する。冷却媒体としては、例えば水を適用することができる。冷却用端子134及び冷却管135の配置は特に限定されないが、例えば図3に示すように、冷却媒体がX軸方向後方から前方を通って再びX軸方向後方に流出するように配置してもよい。これにより、ハースデッキ130全体を冷却することができる。
磁性板141は、軟磁性材料で構成され、本実施形態において鉄を含む材料で構成される。磁性板141は、第2の保持領域112の少なくとも一部を被覆し、後述するように、蒸発材料保持部110を遮蔽する磁気シールドとして機能する。磁性板141の形状は特に限定されないが、例えば略矩形に形成され、Y軸方向に沿った幅が約200mm(すなわち蒸発材料保持部110の径と同程度)で形成され得る。また磁性板141の厚みも特に限定されないが、例えば2mm程度とすることができる。
反射電子偏向部材142は、電子ビームBが第1の蒸発材料で反射した反射電子を磁性板141に向かって偏向させることが可能に構成される。反射電子偏向部材142は、本実施形態において、磁性板141上に配置される。
図4及び図5に示すように、反射電子偏向部材142は、Z軸方向に直交し第1の極性の第1の磁性面143と、Z軸方向に直交し第1の極性とは異なる第2の極性の第2の磁性面144とを有する。第1の極性は、例えばN極とし、第2の極性は例えばS極とする。
より具体的に、反射電子偏向部材142は、第1の磁性面143が形成された第1の磁石145と、第2の磁性面144が形成され第1の磁石145とY軸方向に離間して配置された第2の磁石146とを有する。例えば第1の磁石145及び第2の磁石146各々は、本実施形態において、略直方体状の2つの永久磁石で構成される。永久磁石としては、例えば、フェライト磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石等を適宜適用することができる。図5Aに示すように、本実施形態において、第1の磁石145及び第2の磁石146は、磁性板141のX軸方向に沿った辺に沿って配置される。
本実施形態において、図5Aに示すように、第1の磁性面143と第2の磁性面144とのY軸方向に沿って離間する幅W1は、蒸発材料保持部110の第1の保持領域111のY軸方向に沿った長さW2よりも長くなるように構成される。ここで、幅W1は、第1の磁性面143と第2の磁性面144とのY軸方向に沿って離間する幅のうち、Y軸方向に沿って最も短い幅をいい、長さW2は、第1の保持領域111のうち、Y軸方向に沿って最も長い部分の長さをいうものとする。
また、第1の磁性面143と第2の磁性面144とのY軸方向に沿って離間する幅は、X軸方向後方に向かうに従い、一定となるように構成されてもよい。すなわち、第1の磁性面143と第2の磁性面144とは、それぞれ、X軸方向に沿って平行に延在し得る。また、第1の磁性面143と第2の磁性面144とは、それぞれ、X軸方向に沿って蒸発材料保持部110の後端まで配置され得る。
そこで、本実施形態によれば、磁気回路部140によって反射電子Reを偏向させ、ハースデッキ130にて捕捉することができる。これにより、蒸着中の基板Wの温度上昇を抑制し、蒸着膜の膜質を良好に維持することができる。
そこで、本実施形態によれば、磁気回路部140上が開放された空間であり、かつ図5B、図6に示すように、反射電子偏向部材142によって、ドーム状に、電子ビーム蒸発源100のZ軸方向上方にも磁場を形成することができる。これにより、反射電子偏向部材142が、Z軸方向上方に飛散した反射電子も磁場の影響を及ぼして偏向させることができる。したがって、電子銃装置100が、より広範な範囲に飛散した反射電子を捕捉することができる。さらに、本実施形態によれば、磁気回路部140がZ軸方向上方に向かって開放された構成であり、かつ、磁気回路部140がハースデッキ130に被覆されているため、上記メンテナンスの手間を省くことができる。
これにより、反射電子偏向部材142によって形成される磁力線については、X軸方向後方に向かうに従い大きい曲線を描く磁力線が増加する。したがって、反射電子偏向部材142が、Z軸方向上方に高く飛散した反射電子やY軸方向右方や左方に飛散した反射電子を偏向させることが容易になり、反射電子を大きな偏向径で偏向させることができる。
図8に示す電子ビーム蒸発源300は、電子ビーム蒸発源100と同様の構成の蒸発材料保持部110と、電子銃120とを備えるが、磁気回路部を有さず、ハースデッキ330の構成が異なる。ハースデッキ330は、実施例と同様の開口部131及び冷却部133(図8において図示せず)を有するが、全体として平坦に構成されておらず、凸部332を有する。
続いて、本実施形態に係る電子ビーム蒸発源100を実施例1、図8に示した電子ビーム蒸発源300を比較例1として用い、本実施形態の作用効果を確認するための実験を行った。
電子ビーム蒸発源100,300をチャンバ11内に配置して電子銃120を駆動し、チャンバ11の所定の位置に配置した基板に複数の温度センサを設けて各基板における温度の上昇を確認した。なお、基板として、ガラス基板を用いた。
図9は、チャンバ11内の基板及び温度センサを配置した位置を模式的に示す図である。温度センサT1は、チャンバ11の頂部11aに配置された。温度センサT1と第1の保持領域111との距離は、約650mmであった。温度センサT2は、1つの支持部13の略中央部に配置された。温度センサT2と第1の保持領域111との距離は、約600mmであり、温度センサT2と第1の保持領域111とを結ぶ直線のX軸方向とのなす角度θ2は、約70°であった。温度センサT3は、上記支持部13のZ軸方向下部に配置された。温度センサT3と第1の保持領域111との距離は、約600mmであり、温度センサT3と第1の保持領域111とを結ぶ直線のX軸方向とのなす角度θ3は、約45°であった。
なお、支持機構12は駆動しなかった。
図10は、実施例1の結果を示し、図11は、比較例1の結果を示す。また、いずれのグラフも、縦軸は温度センサT1,T2,T3によって検出された温度を示し、横軸は時間を示す。
続いて、実験例1−2では、ハースデッキ上に、XY平面とのなす角度が異なる検出電極を設けて、各検出電極に流れる電流値を検出した。検出電極は、XY平面とのなす角度がそれぞれ20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、及び90°となるように設けられ、それぞれグランド電位に接続された。
比較例2に係る電子ビーム蒸着源は、電子ビーム蒸発源100と同様の構成の蒸発材料保持部110と、電子銃120と、ハースデッキ130とを備えるが、磁気回路部を有さない。
図12に示すように、実施例1について、いずれの電極からもほぼ電流を検出できなかった。これにより、ほぼ全ての反射電子が磁気回路部140によって捕捉されていることが確認された。一方で、比較例2について、20°から60°の比較的低い角度の電極において大きな電流が検出され、反射電子がこれらの領域を中心に大量に飛散することが確認された。また、比較例1に関しても、比較例2より検出した電流値が小さいものの、90°を除く各角度において実施例1よりも大きな電流値が検出され、反射電子が飛散することが確認された。
[電子ビーム蒸発源の構成]
図13は、本発明の第2の実施形態に係る電子ビーム蒸発源の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明において電子ビーム蒸発源100と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
続いて、本実施形態に係る電子ビーム蒸発源200の作用効果を確認するための実験を行った。なお、電子ビーム蒸発源200を実施例2として用いた。
第1の実施形態の実験例1−1と同様の実験を行った。すなわち、電子ビーム蒸発源200をチャンバ11内に配置して電子銃120を駆動し、チャンバ11の所定の位置に配置した基板に設けられた温度センサT1,T2,T3により温度の上昇を確認した。温度センサT1,T2,T3の配置は、実験例1−1と同様とした。
表2及び図14に示すように、実施例2における各温度センサT1,T2,T3によって検出された温度は、比較例1と比較して低い結果となった。これにより、実施例2においても、磁気回路部240により反射電子が捕捉され、基板の温度上昇を抑制できることが確認された。
11…真空チャンバ
12…支持機構
100,200…電子ビーム蒸発源
110…蒸発材料保持部
111…第1の保持領域
112…第2の保持領域
120…電子銃
130…ハースデッキ
133…冷却部
140,240…磁気回路部
141…磁性板
142,242…反射電子偏向部材
143…第1の磁性面
144…第2の磁性面
145…第1の磁石
146…第2の磁石
Claims (3)
- 第1の蒸発材料を保持することが可能な第1の保持領域と、前記第1の保持領域と隣接し、蒸着待機中の第2の蒸発材料を保持することが可能な第2の保持領域とを有する蒸発材料保持部と、
前記第1の保持領域と第1の軸方向に並んで配置され、前記第1の保持領域に対して電子ビームを出射することが可能な電子銃と、
軟磁性材料で構成された磁性板と、前記電子ビームが第1の蒸発材料で反射した反射電子を前記磁性板に向かって偏向させることが可能な反射電子偏向部材とを有する磁気回路部と、
前記第1の保持領域を露出する開口部を有し、前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に前記蒸発材料保持部と対向し、非強磁性金属で形成され、全体として平坦に構成されたハースデッキと
を具備し、
前記第1の保持領域は、前記電子銃と前記磁性板との間に位置し、前記磁性板と前記第1の軸方向に並んで配置され、
前記磁気回路部は、前記蒸発材料保持部の前記第2の保持領域と前記ハースデッキとの間に配置され、
前記反射電子偏向部材は、前記第2の軸方向に直交し第1の極性の第1の磁性面が形成された第1の磁石と、前記第2の軸方向に直交し前記第1の極性とは異なる第2の極性の第2の磁性面が形成され、前記第1及び前記第2の軸方向と直交する第3の軸方向に前記第1の磁石と離間して配置された第2の磁石とを有する
電子ビーム蒸発源。 - 請求項1に記載の電子ビーム蒸発源であって、
前記ハースデッキを冷却することが可能な冷却部をさらに具備する
電子ビーム蒸発源。 - 真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に配置され、蒸着対象物を支持することが可能な支持機構と、
第1の蒸発材料を保持することが可能な第1の保持領域と、前記第1の保持領域と第1の軸方向に隣接し蒸着待機中の第2の蒸発材料を保持することが可能な第2の保持領域とを有する蒸発材料保持部と、
前記第1の保持領域と前記第1の軸方向に並んで配置され、前記第1の保持領域に対して電子ビームを出射することが可能な電子銃と、
軟磁性材料で構成された磁性板と、前記電子ビームが第1の蒸発材料で反射した反射電子を前記磁性板に向かって偏向させることが可能な反射電子偏向部材とを有する磁気回路部と、
前記第1の保持領域を露出する開口部を有し、前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に前記蒸発材料保持部と対向し、非強磁性金属で形成され、全体として平坦に構成されたハースデッキと
を有し、前記支持機構と前記第2の軸方向に対向して前記真空チャンバ内に配置された電子ビーム蒸発源と
を具備し、
前記第1の保持領域は、前記電子銃と前記磁性板との間に位置し、前記磁性板と前記第1の軸方向に並んで配置され、
前記磁気回路部は、前記蒸発材料保持部の前記第2の保持領域と前記ハースデッキとの間に配置され、
前記反射電子偏向部材は、前記第2の軸方向に直交し第1の極性の第1の磁性面が形成された第1の磁石と、前記第2の軸方向に直交し前記第1の極性とは異なる第2の極性の第2の磁性面が形成され、前記第1及び前記第2の軸方向と直交する第3の軸方向に前記第1の磁石と離間して配置された第2の磁石とを有する
真空蒸着装置。
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