JPWO2013153604A1 - 電子銃装置 - Google Patents

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一郎 塩野
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Abstract

るつぼの上方位置でるつぼに向かって水平方向に延出したポールピースを、装置の運転上好適な位置に備えた電子銃装置を提供する。
蒸着材料を収容するるつぼ3と、るつぼ3内の蒸着材料を加熱蒸発するために電子ビームEBを出射する電子ビーム出射機構7と、電子ビーム出射機構7を内部に収容するケース10と、ケース10に固定された状態で電子ビームEBをるつぼ3内の蒸着材料に向かうように偏向する第1のポールピース11及び第2のポールピース12と、るつぼ3内の蒸着材料に対する電子ビームEBの照射位置を調整するためにケース10外へ出てきた電子ビームEBを更に偏向する第3のポールピース13と、を備える電子銃装置1において、第3のポールピース13は、るつぼ3の上方位置に配置された状態でるつぼに向かって水平方向に延出しているとともに、ケース10外に位置し、かつ、ケース10から分離している。

Description

本発明は、電子銃装置に係り、特に、蒸着用の電子銃装置に関する。
真空蒸着法は、基体の表面に薄膜を形成する技術として知られている。この真空蒸着法は、金属や化合物などの蒸着材料に電子ビームを照射して加熱蒸発させ、これにより生成された蒸着粒子を基体(被成膜体)の表面に付着堆積させて、基体の表面上に蒸着材料からなる薄膜を形成するものである。
ところで、電子ビームは、フィラメントや電極等を構成要素として備える電子銃本体から出射された後、ポールピースで形成される磁界によって偏向され、るつぼ内の蒸着材料に向かうようになる。
以上のような機能を備えた電子銃装置の中には、るつぼの上方位置に配置されたポールピースが、るつぼに向かって水平方向に延出している構成のものが存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された蒸着用電子銃では、図5及び6に示すように、一対のL字状の強磁性体からなるポールピース101a、101bが、ケース104のるつぼ103側端部に対して横設されており、このポールピース101a、101bの下方位置にるつぼ103が配置される。図5及び6は、電子銃装置の構成についての第1の従来例を示す図であり、図5は斜視図であり、図6は模式側面図であり、説明の都合によりケース104の側壁の一部を切り欠いている。
上記の如く構成された特許文献1に記載の蒸着用電子銃では、電子銃本体部102から出射された電子ビームEBは、ポールピース101a、101bやケース104内に設置された不図示の磁界形成体によって形成される磁界により概ね270度偏向される。これにより、電子ビームEBは、図6に示すように、ケース104の上面に形成された開口104aを通じてケース104外に出て、最終的に、るつぼ103内の蒸着材料に照射されるようになる。
ここで、特許文献1に記載の蒸着用電子銃では、上記のポールピース101a、101bがケース104に対してビス止めにより固定されてしまうので、ポールピース101a、101bの配置位置についての自由度が低く、好適な位置にポールピース101a、101bを配置することが困難であった。
さらに、ポールピース101a、101bが図6に示す位置でケース104に固定されることで、るつぼ103から発生した蒸着粒子がポールピース101a、101bに付着し易くなり、その付着物が原因となって基体の成膜面にパーティクルが生じてしまう虞がある。また、不図示である略円盤状のハースにるつぼ103が保持され、当該ハースを回転させることによりるつぼ103をハースの外周方向に沿って移動させる際に、るつぼ103の上端周縁部とポールピース101a、101bの下面との間の空隙部に上記の付着物が堆積してしまうと、堆積した当該付着物とるつぼ103の上端周縁部との間に摩擦が生じる。そして、かかる摩擦の発生により、ハースの回転が阻害されてしまう。
以上のような問題に対し、図7及び8に示すように、電子銃本体部202のケース204外にはポールピースを設けず、ケース204内にのみポールピース201a、201b、201c、201dを設けた蒸着用電子銃が開発されている(例えば、特許文献2参照)。図7及び8は、電子銃装置の構成についての第2の従来例を示す図であり、図7は斜視図であり、図8は模式側面図であり、いずれの図についても説明の都合によりケース204の側壁の一部を切り欠いている。
特許文献2に記載の蒸着用電子銃であれば、ポールピース201a、201b、201c、201dがケース204の外部に露出していないので、蒸着工程において、るつぼ203から発生する蒸着粒子がポールピース201a、201b、201c、201dに付着することがなく、上述した付着物に起因する問題の発生を抑制することが可能である。
特開2008−63635号公報 特開2010−18826号公報
しかしながら、上述したポールピース101a、101bに相当するポールピース、すなわち、るつぼ203の上方でるつぼ203に向かって延出するポールピースが欠落してしまうと、図8に示すように、電子ビームEBがるつぼ203の開口面に対して垂直に入射され難くなってしまう。より具体的に説明すると、電子ビームEBがるつぼ203の開口面に対して斜め方向から入射されるため、図9に示すように、るつぼ203内の蒸着材料に対する電子ビームEBの照射範囲が略楕円状になってしまう。この結果、るつぼ203内の蒸着材料の溶け跡の形状が理想的な溶け跡の形状(例えば、後述の図10参照)となり難く、るつぼ203内の蒸着材料が有効に利用され難くなる虞がある。図9は、第2の従来例において電子ビームをるつぼ内の蒸着材料に照射したときの溶け跡を示す図である。同図に示すケースは、蒸着材料としてZrOを用いており、図中のハッチングを掛けた部分が溶け跡に相当する部分である。
したがって、るつぼ内の蒸着材料に電子ビームを適切に照射する上で、るつぼの上方位置でるつぼに向かって水平方向に延出したポールピースが重要となるが、前述したように、当該ポールピースについては、その配置の自由度が確保され、好適な位置に配置できることが望まれている。
そこで、本発明の目的は、蒸着材料を収容する収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースを、好適な位置に配置することが可能な電子銃装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記のポールピースを備えた構成であっても、収容部から発生する蒸着粒子が当該ポールピースに付着することに起因して生じる不具合を抑制することが可能な電子銃装置を提供することである。
前記課題は本発明の電子銃装置によれば、蒸着材料を収容する収容部と、該収容部内の前記蒸着材料を加熱蒸発するために電子ビームを出射する電子ビーム出射機構と、該電子ビーム出射機構を内部に収容するケースと、該ケースに固定された状態で、前記電子ビーム出射機構から出射された前記電子ビームを前記収容部内の前記蒸着材料に向かうように偏向するポールピースと、前記収容部内の前記蒸着材料に対する前記電子ビームの照射位置を調整するために、前記ポールピースが偏向した後に、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを更に偏向する他のポールピースと、を備え、該他のポールピースは、前記収容部の上方位置に配置された状態で前記収容部に向かって水平方向に延出しているとともに、前記ケース外に位置し、かつ、前記ケースから分離していることにより解決される。
上記の電子銃装置によれば、従来の電子銃装置、より具体的には前述の特許文献1に記載の電子銃装置とは異なり、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースを設けながらも、ケースに固定されていないので、従来の電子銃装置に比して設置の利便性が向上している。つまり、本発明の電子銃装置であれば、蒸着材料が収容されている収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースを配置する位置について自由に設定することができ、以て、上記のポールピースを好適な位置に配置することが可能になる。
また、上記の電子銃装置において、前記収容部の上方位置に配置され、前記収容部を露出させるために切り欠かれた切り欠き部を有し、該切り欠き部以外の非切り欠き部にて、前記収容部を覆うカバーと、を更に備え、前記他のポールピースは、前記カバーの前記非切り欠き部と上下方向において重なる位置に配置されており、前記切り欠き部の下に位置する前記収容部内の前記蒸着材料に向かうように、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを偏向すると、より望ましい。
以上のように、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースを、上下方向においてカバーの非切り欠き部と重ねて配置すれば、上記のポールピースが、切り欠き部の下に位置する収容部、すなわち、電子ビームが照射された蒸着材料を収容する収容部から水平方向に離間するようになる。これにより、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースに蒸着粒子が付着し難くなり、蒸着粒子が上記のポールピースに付着することに起因して生じる不具合を抑制することが可能となる。
また、前記他のポールピースは、前記カバーの前記非切り欠き部の下に位置するように前記カバーに固定されていると、さらに望ましい。
収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースに対して仮に蒸着粒子が付着したとしても、上記のポールピースがカバーの非切り欠き部の下に配置することにより、当該付着物の飛散を効果的に防止することが可能になる。
また、上記の電子銃装置において、前記他のポールピースは、磁性体からなる一対の板状部材を有し、該一対の板状部材は、水平方向において隙間を隔てて並んだ状態で配置されており、前記他のポールピースは、前記一対の板状部材の間に形成される磁界により、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを更に偏向し、前記磁界を形成するための一対の永久磁石が前記隙間内に位置しており、該一対の永久磁石のうち、一方の永久磁石は、前記一対の板状部材のうち、一方の板状部材に当接しており、他方の永久磁石は、他方の板状部材に当接していると、より一層望ましい。
以上の構成により、他のポールピース、すなわち、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースは、収容部内の蒸着材料に向かうように電子ビームを偏向する上で、電子ビームに印加する磁界を適切に形成することが可能になる。
さらに、上記の電子銃装置において、上記の前記一対の永久磁石の間に、前記磁界の強度を調整するための調整部材が配置されており、該調整部材が、水平方向において前記一対の永久磁石が並ぶ方向と交差する方向に移動することにより、前記一対の永久磁石間の透磁率が変わって前記磁界の強度が調整されると、さらに望ましい。
上記の調整部材が設けられることにより、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが形成する磁界の強度を調整することができ、例えば、当該磁界の初期調整や経時変化に伴って要する再調整を適切に行うことが可能になる。
なお、磁界の強度調整は、上記の調整部材を水平方向において一対の永久磁石が並ぶ方向と交差する方向に移動させて一対の永久磁石間の透磁率を変えることによって行われる。このように上記の構成であれば、調整部材のスライド移動を通じて磁界の強度を容易に調整することができる。
また、上記の電子銃装置において、前記他のポールピースは、磁性体からなる一対の板状部材を有し、該一対の板状部材は、水平方向において隙間を隔てて並んだ状態で配置されており、前記他のポールピースは、前記一対の板状部材の間に形成される磁界により、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを更に偏向し、前記磁界を形成するための少なくとも1個以上の永久磁石が前記隙間内に位置しており、該少なくとも1個以上の永久磁石は、前記一対の板状部材の双方に当接していることとしてもよい。
以上の構成では、上述した一対の永久磁石が設けられているケースと同様、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが収容部内の蒸着材料に向かうように電子ビームを偏向する上で、電子ビームに印加する磁界を適切に形成することが可能になる。
さらに、上記の電子銃装置において、前記少なくとも1個以上の永久磁石が、水平方向において前記一対の板状部材が並ぶ方向と交差する方向に移動することにより、前記磁界の強度が調整されることとしてもよい。
以上の構成であれば、少なくとも1個以上の永久磁石を水平移動させることにより、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが形成する磁界の強度を容易に調整することができる。
また、上記の電子銃装置において、前記少なくとも1個以上の永久磁石に接触することにより前記磁界の強度を調整するための調整部材が更に設けられていることとしてもよい。
以上の構成であれば、板状部材間に少なくとも1個以上の永久磁石が設けられているケースにおいて、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが形成する磁界の強度を容易に調整することができる。
また、上記の電子銃装置において、前記他のポールピースは、磁性体からなる一対の板状部材を有し、該一対の板状部材は、水平方向において隙間を隔てて並んだ状態で配置されており、前記他のポールピースは、前記一対の板状部材の間に形成される磁界により、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを更に偏向し、前記磁界を形成するための電磁石が前記隙間内に位置しており、該電磁石は、前記一対の板状部材の双方に当接していることとしてもよい。
以上の構成では、上述した一対の永久磁石や少なくとも1個以上の永久磁石が設けられているケースと同様、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが収容部内の蒸着材料に向かうように電子ビームを偏向する上で、電子ビームに印加する磁界を適切に形成することが可能になる。
また、上記の電子銃装置において、前記電磁石の巻線に流れる電流の大きさを変更することにより、前記磁界の強度が調整されることとしてもよい。
以上の構成であれば、板状部材間に電磁石が設けられているケースにおいて、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが形成する磁界の強度を容易に調整することができる。
請求項1に係る電子銃装置によれば、蒸着材料が収容されている収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースを配置する位置について自由に設定することができ、当該ポールピースを好適な位置に配置することができる。
請求項2に係る電子銃装置によれば、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースに蒸着粒子が付着し難くなり、蒸着粒子が上記のポールピースに付着することに起因して生じる不具合を抑制することが可能となる。
請求項3に係る電子銃装置によれば、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースを、電子ビームが当たらない位置に配置させることにより、電子ビームが照射される位置にある収容部から発生した蒸着粒子が付着してしまうのをより効果的に抑制することができる。
請求項4に係る電子銃装置によれば、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが、収容部内の蒸着材料に向かうように電子ビームを偏向する上で、電子ビームに印加する磁界を適切に形成することができる。
請求項5に係る電子銃装置によれば、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが形成する磁界の強度について、初期調整や経時変化に伴って要する再調整を適切に行うことができる。なお、調整部材のスライド移動を通じて磁界強度を容易に調整することができる。
請求項6に係る電子銃装置によれば、請求項4に係る電子銃装置と同様、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが収容部内の蒸着材料に向かうように電子ビームを偏向する上で、電子ビームに印加する磁界を適切に形成することが可能になる。
請求項7に係る電子銃装置によれば、少なくとも1個以上の永久磁石を水平移動させることにより、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが形成する磁界の強度を容易に調整することができる。
請求項8に係る電子銃装置によれば、板状部材間に少なくとも1個以上の永久磁石が設けられているケースにおいて、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが形成する磁界の強度を容易に調整することができる。
請求項9に係る電子銃装置によれば、請求項4や6に係る電子銃装置と同様、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが収容部内の蒸着材料に向かうように電子ビームを偏向する上で、電子ビームに印加する磁界を適切に形成することが可能になる。
請求項10に係る電子銃装置によれば、板状部材間に電磁石が設けられているケースにおいて、収容部の上方位置で収容部に向かって水平方向に延出したポールピースが形成する磁界の強度を容易に調整することができる。
本実施形態に係る電子銃装置1の構成を示す模式側面図である。 本実施形態に係る電子銃装置1の模式斜視図である。 ハースカバー5に取り付けられたポールピース13を下方から見た図である。 ポールピース13とハースカバー5との位置関係を示す図である。 電子銃装置の構成についての第1の従来例を示す斜視図である。 電子銃装置の構成についての第1の従来例を示す模式側面図である。 電子銃装置の構成についての第2の従来例を示す斜視図である。 電子銃装置の構成についての第2の従来例を示す模式側面図である。 第2の従来例において電子ビームEBをるつぼ203内の蒸着材料に照射したときの溶け跡を示す図である。 本実施形態において電子ビームEBをるつぼ3内の蒸着材料に照射したときの溶け跡を示す図である。 ハースカバー5に取り付けられたポールピース13周辺に関する第1変形例を示す図である。 ハースカバー5に取り付けられたポールピース13周辺に関する第2変形例を示す図である。
以下に、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)について図1乃至4並びに図10を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電子銃装置1の構成を示す模式側面図である。図2は、本実施形態に係る電子銃装置1の模式斜視図であり、同図中、ケース10内の機器については、ポールピース11,12のみ図示している。図3は、ハースカバー5に取り付けられたポールピース13を下方から見た図である。同図には、ハースカバー5に取り付けられたポールピース13の位置を説明する上で、電子ビームEBが照射される位置にあるるつぼ3を破線にて示している。図4は、ポールピース13とハースカバー5との位置関係を示す図である。
図10は、本実施形態において電子ビームEBをるつぼ3内の蒸着材料に照射したときの溶け跡を示す図である。同図に示すケースは、蒸着材料としてZrOを用いており、図中のハッチングを掛けた部分が溶け跡に相当する部分である。
本実施形態に係る電子銃装置1は、薄膜形成装置の一種であり、具体的には電子ビーム蒸着用の電子銃装置である。本実施形態に係る電子銃装置1は、図1に示すように、電子銃装置本体2と、複数のるつぼ3と、ハース4と、ハースカバー5と、ハース駆動機構6と、複数のポールピース11,12,13と、を主要な構成要素として備えている。
電子銃装置本体2は、るつぼ3内の蒸着材料を加熱蒸発するために電子ビームEBを発生させるためのものであり、電子ビーム出射機構7と、スキャンコイル9と、電子銃装置本体2各部を内部に収容する箱状のケース10と、を有する。
電子ビーム出射機構7は、電子ビームEBを出射するものであり、本実施形態では公知の構成が採用されており、具体的に説明すると、加熱したフィラメント8から放出された熱電子を不図示の電極が形成する電界によって加速することで電子ビームEBを出射する。スキャンコイル9は、走査磁界を発生させて電子ビーム出射機構7から出射された電子ビームEBに印加することにより、るつぼ3内の蒸着材料に対する電子ビームEBの照射位置(照射スポット)を水平方向、より具体的には水平方向であって互いに直交する2つの方向の各方向に走査するものである。
ケース10は、本実施形態では非磁性体からなり、ケース10の上壁のうち、るつぼ3が位置する側とは反対側の部分には矩形状の開口10aが形成されている。また、本実施形態では、図1及び2に示すように、ケース10内に2組のポールピース11,12が収容されている。これらのポールピース11,12の各々は、本発明のポールピースに相当し、ビス等の固定手段によってケース10に固定されている。そして、これらのポールピース11,12の各々は協働して、電子ビーム出射機構7から出射された電子ビームEBをるつぼ3内の蒸着材料に向かうように偏向する。
具体的に説明すると、2組のポールピース11,12のうち、第1のポールピース11は、図2に示すように、強磁性体からなる一対の板状部材11a,11bにより構成され、ケース10の内空間において、上記の開口10aから見てるつぼ3側とは反対側に配置されている。第1のポールピース11を構成する一対の板状部材11a,11bの各々は、図2に示すように隙間を隔てて水平方向に並び、強磁性体からなるヨーク材(不図示)を介して永久磁石(不図示)と接触している。これにより、板状部材11a,11b間には、電子ビームEBを偏向するための磁界が形成される。
一方、2組のポールピース11,12のうち、第2のポールピース12についても、強磁性体からなる一対の板状部材12a,12bにより構成され、ケース10の内空間において、上記の開口10aから見てるつぼ3側と同じ側に配置されている。そして、第2のポールピース12を構成する一対の板状部材12a,12bの各々は、第1のポールピースと同様に、隙間を隔てて水平方向に並び、強磁性体からなるヨーク材(不図示)を介して永久磁石(不図示)と接触している。これにより、板状部材12a,12bの間には、電子ビームEBを偏向するための磁界が形成される。
これら2組のポールピース11,12の各々が形成する磁界により、電子ビーム出射機構7から出射された電子ビームEBが、るつぼ3内の蒸着材料に向かうように偏向し、上記の開口10aを通過してケース10の外へ出てくるようになる。
るつぼ3は、本発明の収容部に相当し、ZrO等の蒸着材料を収容する容器であり、円盤状のハース4に形成された窪み内にセットされることによりハース4に保持される。ハース4は、その外周に沿って上記の窪みが複数形成されていることにより、複数のるつぼ3を保持することが可能である。また、ハース4は、ハース駆動機構6から駆動力が伝達されることにより、その中央に位置する軸回りに回転するようになっている。そして、ハース4の回転に伴って、ハース4に保持された状態のるつぼ3がハース4の外周方向に沿って移動する。
以上のような構成により、ハース4に保持された各るつぼ3は、内部の蒸着材料に対して電子ビームEBが照射される位置(以下、照射位置)から電子ビームEBが照射されない位置(以下、非照射位置)へ移動し、また、非照射位置から照射位置へ移動することが可能となる。したがって、上記の照射位置にあるるつぼ3内の蒸着材料が蒸発してなくなると、ハース4が回転し、当該るつぼ3が照射位置から非照射位置に退避し、代わりに、上記るつぼ3の隣に位置するるつぼ3が照射位置へ至るようになる。
なお、ハース4については、銅などの熱伝導性の高い金属で形成され、不図示の水冷装置により直接的または間接的に冷却されている。
ハースカバー5は、本発明のカバーに相当し、ハース4の直上位置に配置された略円盤状の部材であり、蒸発によりるつぼ3から飛散した蒸着材料が成膜用チャンバ内に無用に拡散するのを防止するものである。また、ハースカバー5には、ハース4に保持された複数のるつぼ3のうち、照射位置に位置するるつぼ3を露出するために、外周部のうち、当該るつぼ3の上方位置に位置する部分が略半円状に切り欠かれた切り欠き部5aが形成されている。この切り欠き部5aが形成されていることにより、照射位置に位置するるつぼ3が切り欠き部5aを通じて露出し、当該るつぼ3内の蒸着材料に対して電子ビームEBを照射することが可能となる。
一方、ハース4に保持された複数のるつぼ3のうち、照射位置に位置するるつぼ3以外のるつぼ3、すなわち、非照射位置にあるるつぼ3については、ハースカバー5の切り欠き部5a以外の部分(以下、非切り欠き部5b)によって覆われる。
そして、本実施形態では、ハースカバー5の非切り欠き部5bと上下方向において重なる位置、より具体的には非切り欠き部5bの直下位置に、第3のポールピース13が配置されている。この第3のポールピース13は、本発明の他のポールピースに相当し、るつぼ3の蒸着材料に対する電子ビームEBの照射位置を調整するために、第1のポールピース11及び第2のポールピース12が偏向した後に、ケース10外へ出てきた電子ビームEBを更に偏向する。
第3のポールピース13は、照射位置にあるるつぼ3の上方位置に配置された状態で、当該るつぼ3に向かって水平方向に延出している。より具体的に説明すると、第3のポールピース13は、強磁性体からなる一対の板状部材13a,13bを有し、当該一対の板状部材13a,13bは、水平方向において隙間を隔てて並んだ状態で配置され、電子銃装置本体2側から照射位置にあるるつぼ3に向かって延出している。また、各板状部材13a,13bは、照射位置のるつぼ3に向かってL字状に屈曲しており、図3に示すように、屈曲した各板状部材13a,13bの先端同士の間には空隙Sが設けられ、当該空隙Sの前方(電子銃装置本体2側とは反対側)には、照射位置にあるるつぼ3が位置している。
さらに、板状部材13a,13b間の隙間内には、図3に示すように、ケース10外に出た電子ビームEBを更に偏向する磁界を形成するための一対の永久磁石14a,14bが配置されている。一対の永久磁石14aは、一方の板状部材13aと並ぶように当該板状部材13aに隣接しており、他方の永久磁石14bは、同様に、他方の板状部材13bと並ぶように当該板状部材13bに隣接している。
以上のような構成により、第3のポールピース13は、上記の空隙Sに磁界を形成し、当該磁界によってケース10外に出た電子ビームEBを更に偏向する。このような第3のポールピース13の作用により、ケース10外に出た電子ビームEBは、ハース4に保持された複数のるつぼ3のうち、切り欠き部5aの下に位置するるつぼ3内の蒸着材料に向かうように偏向することになる。
上述したように、本実施形態では、ケース10内で出射された電子ビームEBをるつぼ3内の蒸着材料に向かうように偏向するために、3組のポールピース11,12,13が設けられており、これらのポールピース11,12,13の協働により、電子ビームEBがその出射位置から概ね270度偏向されて、照射位置にあるるつぼ3内の蒸着材料の表面に照射されることとなる。
なお、本実施形態では、るつぼ3の上方位置でるつぼ3に向かって水平方向に延出したポールピース、すなわち、第3のポールピース13が備えられていることにより、るつぼ3内の蒸着材料に対する電子ビームEBの照射位置を所望の位置に調整することが可能である。さらに、第3のポールピース13が備えられていることにより、電子ビームEBがるつぼ3の開口面に対して略垂直に入射されるようになる。この結果、るつぼ3内の蒸着材料の溶け跡の形状が、図10に示すように、理想的な溶け跡の形状、すなわち、蒸着材料の表面中央部を略均一に照射した形状となる。かかる状態であれば、るつぼ3内の蒸着材料が、適切に加熱蒸発されるので、成膜材料として有効に利用されるようになる。
さらに、本実施形態では、第3のポールピース13がケース10外に位置し、かつ、ケース10から分離している。このように第3のポールピース13がケース10から分離していることで、本実施形態では、従来の電子銃装置(例えば、上述した特許文献1に記載の電子銃装置)に比して、るつぼ3の上方位置でるつぼ3に向かって水平方向に延出したポールピース、すなわち第3のポールピース13について、設置の利便性が向上している。
以上のように第3のポールピース13の配置位置について自由度が向上することで、本実施形態では、るつぼ3から発生する蒸着粒子が第3のポールピース13に付着することを抑制し、当該蒸着粒子の付着に起因して生じる不都合を抑制することが可能になる。
より具体的に説明すると、第3のポールピース13の配置位置を自由に設定することができ、本実施形態では、図2及び3に示すように、ハースカバー5の非切り欠き部5bと上下方向において重なる位置に第3のポールピース13を配置している。このような位置関係により、第3のポールピース13は、切り欠き部5aの下に位置するるつぼ3、すなわち、照射位置のるつぼ3から水平方向に離間するようになる。したがって、図4に示すように、当該るつぼ3から発生する蒸着粒子が第3のポールピース13に付着し難くなる。
以上の結果、照射位置のるつぼ3から発生した蒸着粒子が第3のポールピース13に付着し、その後、当該付着物が他のるつぼ3内に混入して当該るつぼ3内の組成を変えてしまうのを抑制することが可能となる。
また、他のるつぼ3内に蒸着粒子の付着物が混入した場合、当該他のるつぼ3内の蒸着材料に対して電子ビームEBが当たる際に上記の混入物が再蒸発し、当該再蒸発物が基体の成膜面に付着してしまう結果、基体の成膜面にパーティクルを生じさせてしまう。これに対し、本実施形態では、上述したように蒸着粒子が第3のポールピース13に付着し難くなっているため、基体の成膜面におけるパーティクルを低減することが可能になる。
さらに、るつぼ3から発生した蒸着粒子が第3のポールピース13に付着し、るつぼ3の上端周縁部と第3のポールピース13の各板状部材13a,13bの下面との間の空隙部に上記の付着物が堆積してしまうと、ハース4の回転時に、堆積した当該付着物とるつぼ3の上端周縁部との間に摩擦が生じる。かかる摩擦の発生により、ハース4が適切に回転できなくなってしまう虞がある。これに対し、本実施形態では、上述したように蒸着粒子が第3のポールピース13に付着し難くなっているため、るつぼ3の上端周縁部と第3のポールピース13の各板状部材13a,13bの下面との間の空隙部に、蒸着粒子の付着物が堆積してしまうことがなく、当該付着物によってハース4の回転が阻害されることもない。
そして、本実施形態では特に、第3のポールピース13が非切り欠き部5bの下に位置するようにハースカバー5に固定されている。このように第3のポールピース13をハースカバー5の非切り欠き部5bの下に配置すれば、仮に第3のポールピース13に蒸着粒子が付着してしまったとしても、ハースカバー5によって当該付着物の飛散を効果的に防止することが可能となる。さらに、図4に示すように、第3のポールピース13には電子ビームEBが当たらないので、第3のポールピース13に付着した蒸着粒子が再蒸発して基体の成膜面に付着して当該成膜面上においてパーティクルが発生するのを防止することも可能となる。
ところで、第3のポールピース13は、前述したように、磁性体からなる一対の板状部材13a,13bを有し、当該一対の板状部材13a,13bの間(より具体的には、板状部材13a,13bの先端同士の間に設けられた空隙S)に形成される磁界により、ケース10外へ出てきた電子ビームEBを更に偏向する。そして、上記の磁界を形成するための一対の永久磁石14a,14bが、それぞれ、対応する板状部材13a,13bに隣接している。このような構成により、第3のポールピース13は、るつぼ3内の蒸着材料に向かうように電子ビームEBを偏向する上で、電子ビームEBに印加する磁界を適切に形成することが可能になる。
さらに、本実施形態では、図3に示すように、一対の永久磁石14a,14bの間に調整部材としてのシャント棒16が備えられており、このシャント棒16によって、第3のポールピース13が形成する磁界の強度を調整することが可能である。より具体的に説明すると、シャント棒16は、純鉄からなる棒状部材であり、その両脇に位置するヨーク材15a,15bを介して上記一対の永久磁石14a,14bの各々と接触している。ヨーク材15a,15bとは、永久磁石14a、14bによって発生された磁界を導く磁路を形成するものであり、シャント棒16と同様、純鉄からなる。
また、本実施形態において、シャント棒16は、水平方向において一対の永久磁石14a,14bが並ぶ方向と交差する方向、具体的には図3中の矢印にて示す方向に移動可能に構成されている。具体的には、シャント棒16は、一対の永久磁石14a、14bの間で各永久磁石14a,14bに対して摺動するように図3中の矢印方向にスライドすることができる。なお、シャント棒16の移動は、人がシャント棒16を把持しながら行ってもよく、あるいは、人手によって操作されるハンドル等の操作部を備えた不図示の駆動機構が設けられ、当該操作部が操作されることによって上記の駆動機構が操作量に応じた距離だけシャント棒16を移動させることとしてもよい。
そして、図3中の矢印方向にシャント棒16をスライド移動させると、一対の永久磁石14a,14b間の透磁率が変わって、第3のポールピース13が形成する磁界の強度が調整されるようになる。このように磁界の強度が形成される結果、電子ビームEBの偏向度合いを調整し、以て、るつぼ3の蒸着材料に対する電子ビームEBの照射位置をコントロールすることが可能になる。
なお、シャント棒16が図3に示す位置にある状態、すなわち、シャント棒16のうち、永久磁石14a,14bとオーバーラップする位置にある部分が最大となった状態では、上記の透磁率が最大となり、第3のポールピース13が形成する磁界の強度も最大となる。一方、シャント棒16をスライド移動させることにより、シャント棒16中の永久磁石14a,14bとオーバーラップしている部分が減少すると(換言すると、ヨーク材15a,15b間の空間においてシャント棒16が存在しない領域が増加すると)、それに応じて透磁率が減少し、磁界の強度も低下することになる。
以上のようなシャント棒16が設けられることにより、第3のポールピース13が形成する磁界の強度を調整することができ、例えば、当該磁界の初期調整や経時変化に伴って要する再調整を適切に行うことが可能になる。また、磁界の強度の調整は、シャント棒16を水平方向において一対の永久磁石14a,14bが並ぶ方向と交差する方向に移動させて永久磁石14a,14b間の透磁率を変えることにより行われる。このような構成により、本実施形態では、シャント棒16のスライド移動を通じて磁界の強度を容易に調整することができる。
以上までに本実施形態に係る電子銃装置1について説明してきたが、本実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、上述した部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
例えば、上記の実施形態では、ケース10に2種類のポールピース(具体的には、第1のポールピース11及び第2のポールピース12)が固定されていることとしたが、これに限定されるものではなく、ケース10に固定されているポールピースの数については、少なくとも1つ以上設けられていればよい。また、上記の実施形態では、ケース10に固定されているポールピースについては、ケース10内に収容された状態でケース10に固定されていることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ケース10の外壁に固定されてケース10の外に露出しているものであってもよい。
また、上記の実施形態では、るつぼ3の上方位置に配置された状態でるつぼ3に向かって水平方向に延出しているポールピース、すなわち、第3のポールピース13が、上下方向においてハースカバー5の非切り欠き部5bの下に設置されていることとした。ただし、第3のポールピース13の設置位置については、上記の位置に限定されるものではなく、例えば、ハースカバー5の非切り欠き部5bの上に配置されていることとしてもよい。
また、上記の実施形態では、収容部の一例として、ハース4に保持されたるつぼ3について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ハース4自体に蒸着材料を収容する部分が形成されていることとしてもよい。さらに、上記の実施形態では、ハース4に複数のるつぼ3が保持されている構成について説明したが、ハースがるつぼ3を1個のみ保持するハースであってもよい。
また、上記の実施形態では、複数のポールピース11,12,13の協働により、電子ビームEBがその出射位置から概ね270度偏向されて、照射位置にあるるつぼ3内の蒸着材料の表面に照射されるケースについて説明したが、偏向角度については特に限定されるものではなく、例えば、電子ビームEBがその出射位置から約180度偏向されて照射位置のるつぼ3内の蒸着材料に照射されることとしてもよい。
また、上記の実施形態では、第3のポールピース13を構成する一対の板状部材13a,13bの間に、一対の永久磁石14a,14bが配置されており、各永久磁石14a,14bが対応する板状部材13a,13bに隣接していることとした。さらに、上記の実施形態では、一対の永久磁石14a,14bの間に調整部材としてのシャント棒16が備えられており、永久磁石14a,14bが並ぶ方向と交差する方向にシャント棒16を水平移動させることで第3のポールピース13が形成する磁界の強度が調整されることとした。
ただし、一対の板状部材13a,13bの間に磁界を形成するための構成としては、上記の実施形態の他、例えば図11、図12に示す構成が考えられる。図11及び図12は、ハースカバー5に取り付けられたポールピース13(すなわち、第3のポールピース13)周辺に関する変形例を示す図である。
図11に示すケースでは、一対の永久磁石14a,14bの代わりに、横長の永久磁石17が一対の板状部材13a,13bの間の隙間に配置されている。そして、この横長の永久磁石17の両端が、それぞれ、対応する板状部材13a,13bと当接している。これにより、図11に示すケースでは、上述した一対の永久磁石14a,14bが設けられているケースと同様、るつぼ3の上方位置でるつぼ3に向かって水平方向に延出したポールピース、すなわち第3のポールピース13がるつぼ3内の蒸着材料に向かうように電子ビームEBを偏向する上で必要となる磁界を適切に形成することが可能になる。
なお、図11に示すケースでは、一対の板状部材13a,13bの間の隙間に横長の永久磁石17を1個だけ配置することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、断片状となった複数の永久磁石を列状に並べたものを上記の隙間に配置し、当該複数の永久磁石のうち、両端に位置する永久磁石を、対応する板状部材13a,13bと当接させることとしてもよい。すなわち、第3のポールピース13が電子ビームEBを偏向するのに必要な磁界を形成する上で、一対の板状部材13a,13bの間の隙間に少なくとも1個以上の永久磁石が設けられ、当該少なくとも1個以上の永久磁石が一対の板状部材13a,13bの双方に当接していればよい。
また、図11に示すケースでは、横長の永久磁石17が、水平方向において一対の板状部材13a,13bが並ぶ方向と交差する方向、具体的には、図11中で矢印にて示す方向に移動可能な状態で取り付けられており、当該方向に横長の永久磁石17を移動することにより、第3のポールピース13が形成する磁界の強度を調整することが可能である。
さらに、図11に示すケースでは、強磁性体、具体的には純鉄からなる調整部材18が、横長の永久磁石17が有する表面のうち、板状部材13a,13bの先端部とは反対側に位置する面に接触している。そして、この調整部材18が横長の永久磁石17に接触することにより、第3のポールピース13が形成する磁界の強度を調整することが可能である。
以上のように、図11に示すケースでは、横長の永久磁石17を水平移動させたり、調整部材18を永久磁石17に接触させたりすることにより、第3のポールピース13が形成する磁界の強度を容易に調整することができる。
一方、図12に示すケースでは、一対の板状部材13a,13bの間の隙間内に電磁石19が配置されており、該電磁石19の両端は、それぞれ、対応する板状部材13a,13bに当接している。かかる構成であっても、上述した一対の永久磁石14a,14bや横長の永久磁石17が設けられているケースと同様、第3のポールピース13が電子ビームEBを偏向する上で必要となる磁界を適切に形成することが可能になる。また、図12に示すケースでは、電磁石19の巻線(コイル)に流れる電流の大きさを変更することにより、上記磁界の強度を容易に調整することが可能である。
1 電子銃装置
2 電子銃装置本体
3 るつぼ
4 ハース
5 ハースカバー
5a 切り欠き部
5b 非切り欠き部
6 ハース駆動機構
7 電子ビーム出射機構
8 フィラメント
9 スキャンコイル
10 ケース
10a 開口
11 第1のポールピース
11a,11b 板状部材
12 第2のポールピース
12a,12b 板状部材
13 第3のポールピース
13a,13b 板状部材
14a,14b 永久磁石
15a,15b ヨーク材
16 シャント棒
17 永久磁石
18 調整部材
19 電磁石
101a,101b ポールピース
102 電子銃本体部
103 るつぼ
104 ケース
104a 開口
201a,201b,201c,201d ポールピース
202 電子銃本体部
203 るつぼ
204 ケース
EB 電子ビーム
S 空隙

Claims (10)

  1. 蒸着材料を収容する収容部と、
    該収容部内の前記蒸着材料を加熱蒸発するために電子ビームを出射する電子ビーム出射機構と、
    該電子ビーム出射機構を内部に収容するケースと、
    該ケースに固定された状態で、前記電子ビーム出射機構から出射された前記電子ビームを前記収容部内の前記蒸着材料に向かうように偏向するポールピースと、
    前記収容部内の前記蒸着材料に対する前記電子ビームの照射位置を調整するために、前記ポールピースが偏向した後に、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを更に偏向する他のポールピースと、を備え、
    該他のポールピースは、前記収容部の上方位置に配置された状態で前記収容部に向かって水平方向に延出しているとともに、前記ケース外に位置し、かつ、前記ケースから分離していることを特徴とする電子銃装置。
  2. 前記収容部の上方位置に配置され、前記収容部を露出させるために切り欠かれた切り欠き部を有し、該切り欠き部以外の非切り欠き部にて、前記収容部を覆うカバーと、を更に備え、
    前記他のポールピースは、前記カバーの前記非切り欠き部と上下方向において重なる位置に配置されており、前記切り欠き部の下に位置する前記収容部内の前記蒸着材料に向かうように、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを偏向することを特徴とする請求項1に記載の電子銃装置。
  3. 前記他のポールピースは、前記カバーの前記非切り欠き部の下に位置するように前記カバーに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の電子銃装置。
  4. 前記他のポールピースは、磁性体からなる一対の板状部材を有し、
    該一対の板状部材は、水平方向において隙間を隔てて並んだ状態で配置されており、
    前記他のポールピースは、前記一対の板状部材の間に形成される磁界により、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを更に偏向し、
    前記磁界を形成するための一対の永久磁石が前記隙間内に位置しており、該一対の永久磁石のうち、一方の永久磁石は、前記一対の板状部材のうち、一方の板状部材に当接しており、他方の永久磁石は、他方の板状部材に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子銃装置。
  5. 前記一対の永久磁石の間に、前記磁界の強度を調整するための調整部材が配置されており、
    該調整部材が、水平方向において前記一対の永久磁石が並ぶ方向と交差する方向に移動することにより、前記一対の永久磁石間の透磁率が変わって前記磁界の強度が調整されることを特徴とする請求項4に記載の電子銃装置。
  6. 前記他のポールピースは、磁性体からなる一対の板状部材を有し、
    該一対の板状部材は、水平方向において隙間を隔てて並んだ状態で配置されており、
    前記他のポールピースは、前記一対の板状部材の間に形成される磁界により、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを更に偏向し、
    前記磁界を形成するための少なくとも1個以上の永久磁石が前記隙間内に位置しており、該少なくとも1個以上の永久磁石は、前記一対の板状部材の双方に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子銃装置。
  7. 前記少なくとも1個以上の永久磁石が、水平方向において前記一対の板状部材が並ぶ方向と交差する方向に移動することにより、前記磁界の強度が調整されることを特徴とする請求項6に記載の電子銃装置。
  8. 前記少なくとも1個以上の永久磁石に接触することにより前記磁界の強度を調整するための調整部材が更に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子銃装置。
  9. 前記他のポールピースは、磁性体からなる一対の板状部材を有し、
    該一対の板状部材は、水平方向において隙間を隔てて並んだ状態で配置されており、
    前記他のポールピースは、前記一対の板状部材の間に形成される磁界により、前記ケース外へ出てきた前記電子ビームを更に偏向し、
    前記磁界を形成するための電磁石が前記隙間内に位置しており、該電磁石は、前記一対の板状部材の双方に当接していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子銃装置。
  10. 前記電磁石の巻線に流れる電流の大きさを変更することにより、前記磁界の強度が調整されることを特徴とする請求項9に記載の電子銃装置。

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