JP2021085080A - 電子ビーム蒸発源、真空蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子ビーム加熱式の真空蒸着装置においては、広範囲の方向に飛散する高エネルギーの反射電子を高い効率で捕捉することができる電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた蒸着装置が求められていた。【解決手段】蒸着材料と、前記蒸着材料に電子ビームを照射する電子ビーム源と、前記蒸着材料で反射される高エネルギーの反射電子を、第1の収束方向に収束させる第1の反射電子収束用磁気回路と、前記高エネルギーの反射電子を、前記第1の収束方向と交差する第2の収束方向に収束させる第2の反射電子収束用磁気回路と、前記第1の反射電子収束用磁気回路および前記第2の反射電子収束用磁気回路により収束された前記高エネルギーの反射電子を捕捉する反射電子捕捉電極と、が真空容器の内部に配置されている、ことを特徴とする電子ビーム蒸発源である。【選択図】図1
Description
本発明は、電子ビーム蒸発源、及びそれを備えた真空蒸着装置に関する。すなわち、電子ビーム加熱により蒸着材料を蒸発させる装置、及びそれを備えた真空蒸着装置に関する。
特に、蒸着材料に電子ビームを照射した際に生じる反射電子を捕捉する機能を有する電子ビーム蒸発源、及びそれを備えた真空蒸着装置に関する。
特に、蒸着材料に電子ビームを照射した際に生じる反射電子を捕捉する機能を有する電子ビーム蒸発源、及びそれを備えた真空蒸着装置に関する。
近年、デジタルカメラ等の光学製品の高性能化に伴い、光学製品に組み込まれる光学部品の高機能化及び高精度化が要求されてきている。光学部品としては、例えば、基体に光学薄膜が形成された反射防止レンズやバンドパスフィルタなどがある。これらの光学部品の光学薄膜中にパーティクルが混入すると、光学部品としての性能が大幅に劣化するため、パーティクルの低減が重要な課題となっている。特に、高機能化のために多層化された光学薄膜になるほど、微小なパーティクルによる欠陥でも性能に大きな影響を及ぼすため、パーティクル低減に対する要求が高くなる。
こうした光学部品用の光学薄膜は、一般的に真空蒸着法などにより形成される。真空蒸着法は、薄膜を効率良く形成する方法として幅広い分野で用いられている。薄膜を形成する材料(蒸着材料、蒸発材料と呼ばれる)を蒸発させるための加熱方法として、電子ビーム照射、ヒータ抵抗加熱、電磁誘導加熱、イオンビーム照射、等が用いられる。電子ビーム照射による加熱は、高融点金属や酸化物等の多くの材料に適用され、蒸着材料を直接加熱できるので、坩堝に付着した他の蒸着材料等によるコンタミネーションが少ないという利点がある。このような理由から、電子ビーム加熱方式は、複数の蒸着材料を一つの真空蒸着装置内に収容して、これらの蒸着材料からなる積層膜を形成する場合等にも用いられる。
図6は、従来から知られた電子ビーム加熱型の真空蒸着装置の模式図である。真空蒸着装置は、排気系(不図示)が接続された真空容器510と、基体部520と、蒸発源530と、反射電子偏向捕捉部540とを備える。
基体部520は、蒸着膜を被覆する対象物である基体521を保持する基体保持部522と、基体521を加熱する基体加熱手段523と、膜厚モニタ手段524とで構成される。
基体部520は、蒸着膜を被覆する対象物である基体521を保持する基体保持部522と、基体521を加熱する基体加熱手段523と、膜厚モニタ手段524とで構成される。
蒸発源530は、蒸着材料531が収納された坩堝532と、坩堝532を設置するハース533と、熱電子を発生するフィラメント535と、発生した熱電子を加速するアノード536とを有する。さらに、蒸発源530は、加速された熱電子よりなる電子ビーム534の軌道を偏向し蒸着材料531に入射せしめる電子ビーム偏向用磁気回路537を備える。電子ビーム偏向用磁気回路537は、永久磁石や電磁石やポールピースで構成される。電子ビーム偏向用磁気回路537により生じる磁場の作用により、進行方向を例えば180°から270°に偏向された電子ビーム534は、蒸着材料531の表面に照射され、蒸着材料531を加熱・蒸発させる。蒸発した蒸着材料531は、基体保持部522に保持された基体521の表面に到達して堆積し、蒸着材料531からなる薄膜が形成される。
上記のように電子ビーム534が蒸着材料531に入射した際に、蒸着材料531の表面において、電子ビーム534と同等の高い運動エネルギーをもつ反射電子538が反射される。反射電子の発生量は、投入パワーや材料特性に依存する。反射電子が基体に到達すると、基体上に形成される蒸着膜の膜質を低下させる。
これを抑制するため、蒸着に支障のない範囲で反射電子偏向用磁気回路541を設置して基体521への反射電子538の入射を一定程度抑制したり、反射電子捕捉電極542を設置して反射電子538の一部を捕捉する対策がとられていた。
例えば、特許文献1には、基体に反射電子が到達するのを防ぐための反射電子トラップを備えた真空蒸着装置が開示されている。
電子ビーム加熱により蒸発した蒸着材料は、その全てが基体521に到達して所望の蒸着膜になるわけではなく、真空容器510内の基体521以外の各所にも飛翔して付着する。こうした付着物が剥離して微小パーティクルとなって舞い上がると、基体521の表面に成膜中の薄膜に混入して、薄膜の特性の劣化を招く可能性がある。また、付着物が剥離して坩堝532内に落下して蒸着材料531に混入して再蒸発すると、形成される蒸着膜にコンタミネーションが発生する可能性がある。
こうした付着物を剥離させる原因の一つとして、高エネルギーな反射電子の衝突が挙げられる。電子ビームがターゲットである蒸着材料に衝突した際に生ずる高運動エネルギーの反射電子は、飛翔方向がさまざまであり、真空容器内の蒸着材料が付着した箇所にも衝突する。
真空容器内の蒸着材料が付着した箇所に反射電子が衝突すると、その衝撃力により蒸着材料が剥離するばかりではなく、反射電子が照射された箇所の温度が上昇し、熱膨張により蒸着材料が剥離する可能性もある。また、反射電子が衝突した箇所にチャージアップが生じ、静電気力やチャージアップに起因した放電の衝撃により蒸着材料が剥離する可能性もある。
また、真空容器内の反射電子が衝突した箇所にチャージアップが生じると、加熱用の電子ビームの軌道に影響を与え、加熱動作を不安定化させる懸念もある。
また、真空容器内の反射電子が衝突した箇所にチャージアップが生じると、加熱用の電子ビームの軌道に影響を与え、加熱動作を不安定化させる懸念もある。
特許文献1に記載された反射電子トラップは、反射電子が基体に到達するのを防止する効果は一定程度はあったが、基体以外の箇所への反射電子の到達を有効に防止できるものではなかった。このため、特許文献1の方法では、上述した蒸着材料の剥離や、チャージアップの発生による不具合を抑制することは、困難であった。
そこで、広範囲の方向に飛散する高エネルギーの反射電子を、高い効率で捕捉することができる電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた蒸着装置が求められていた。
本発明は、蒸着材料と、前記蒸着材料に電子ビームを照射する電子ビーム源と、前記蒸着材料で反射される高エネルギーの反射電子を、第1の収束方向に収束させる第1の反射電子収束用磁気回路と、前記高エネルギーの反射電子を、前記第1の収束方向と交差する第2の収束方向に収束させる第2の反射電子収束用磁気回路と、前記第1の反射電子収束用磁気回路および前記第2の反射電子収束用磁気回路により収束された前記高エネルギーの反射電子を捕捉する反射電子捕捉電極と、が真空容器の内部に配置されている、ことを特徴とする電子ビーム蒸発源である。
本発明によれば、広範囲の方向に飛散する高エネルギーの反射電子を、高い効率で捕捉することができる電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた蒸着装置を提供することができる。
図面を参照して、本発明の実施形態である電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた蒸着装置について説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた真空蒸着装置を示す模式図である。本実施形態の真空蒸着装置は、排気装置(不図示)が接続された真空容器110と、基体部120と、蒸発源130と、反射電子収束捕捉部140とを備える。
図1は、本発明の実施形態1に係る電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた真空蒸着装置を示す模式図である。本実施形態の真空蒸着装置は、排気装置(不図示)が接続された真空容器110と、基体部120と、蒸発源130と、反射電子収束捕捉部140とを備える。
基体部120は、蒸着膜を被覆する対象物である基体121を交換可能に保持し、回転させる基体保持部122と、基体加熱手段123と、膜厚モニタ手段124とで構成される。基体保持部122は、例えばシンバルのような略円形状の部材であり、複数の基体121を保持することが可能に構成される。基体保持部122は、中心軸周りに公転させる図示しない駆動部を有する。これにより、複数の基体121上に均一性の高い薄膜を形成することができる。膜厚モニタ手段124は、例えば光学干渉や水晶振動子などを利用した方式が用いられる。
蒸発源130は、蒸着材料131が収納された坩堝132と、坩堝132を設置するハース133と、熱電子を発生するフィラメント135と、発生した熱電子を加速するアノード136とを有する。フィラメント135とアノード136を合わせて電子ビーム源と呼ぶこともできる。さらに、蒸発源130は、加速された熱電子よりなる電子ビーム134の軌道を偏向し、蒸着材料131に入射せしめる電子ビーム偏向用磁気回路137を備える。電子ビーム偏向用磁気回路137は、永久磁石や電磁石や磁性体で構成される。
ハース133は、例えば略円盤状に形成され、周方向に沿って3〜20個の坩堝132が配置される。各坩堝132は凹状に形成され、内部に蒸着材料131が収容されているが、坩堝毎に異なる蒸着材料を収容してもよい。ハース133は、略円盤状の回転軸まわりに回転する図示しない駆動機構を有し、所定位置で停止可能に構成される。これにより、ハース133は電子ビーム134の照射による加熱が可能な位置に所望の坩堝132を停止させ、蒸発させる蒸着材料131を変化させることができる。
電子ビーム偏向用磁気回路137により生じる磁場の作用により、進行方向を180°から270°偏向された電子ビーム134は、蒸着材料131に照射され、蒸着材料131を加熱して蒸発させる。蒸発した蒸着材料131は、基体保持部122に保持された基体121の表面に到達して堆積し、蒸着材料131からなる薄膜が形成される。
上記のように電子ビーム134が蒸着材料131を照射した際に、蒸着材料131の表面において、加速エネルギーや蒸着材料特性に依存して、電子ビーム134と同等の高い運動エネルギー(高エネルギー)をもつ反射電子138が広範囲の角度に放出される。
反射電子収束捕捉部140は、反射電子収束用磁気回路141a及び反射電子収束用磁気回路141bと、反射電子捕捉電極142とを備える。反射電子収束用磁気回路141a及び反射電子収束用磁気回路141bは、例えば直方体状の一対の永久磁石と磁性体とで構成され、図1の紙面に垂直な方向の磁界を発生する。永久磁石としては、例えば、フェライト磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石等を適宜適用することができる。磁性体の材質は軟磁性材料であり通常は鉄を含む材料を用いる。
反射電子収束用磁気回路141aと反射電子収束用磁気回路141bを異なる角度に配置することにより、互いに収束方向が交差する収束磁界を形成することができる。すなわち、第1の収束方向に収束させる第1の反射電子収束用磁気回路と、第2の収束方向に収束させる第2の反射電子収束用磁気回路を設け、第1の収束方向と第2の収束方向を交差させる。これにより、3次元的に広範囲の方向に飛散しようとする反射電子を、狭い範囲(局所)に収束させることが容易になる。
一つの態様としては、2つの反射電子収束用磁気回路の収束方向が直交するように収束方向を交差させる。特に好ましい態様としては、一方の反射電子収束用磁気回路の収束方向を鉛直方向とし、他方の反射電子収束用磁気回路の収束方向を水平方向にする。
本実施形態では、反射電子収束用磁気回路141aは反射電子を鉛直方向に収束できる位置および向きに、反射電子収束用磁気回路141bが反射電子を水平方向に収束できる位置および向きに、それぞれ設置されている。それぞれの磁気回路の収束位置は、1点に一致させるのが望ましいが、反射電子捕捉電極142で捕捉できる範囲内に収束できれば、必ずしも厳密に一致させなくともよい。
こうして、真空容器110内の広範囲に飛散しようとする反射電子138は、反射電子収束用磁気回路141a及び反射電子収束用磁気回路141bの作用により局所に収束される。反射電子138が収束される局所には、反射電子捕捉電極142が設置されている。
本実施形態によれば、互いに収束方向が交差する収束磁界を形成することにより、3次元的に見て反射電子の収束性が向上するので、従来に比べ捕捉効率を飛躍的に向上することが可能になる。例えば、図6に示した従来の装置では2次電子の捕捉率は30%程度であったが、本実施形態では2次電子の捕捉率を例えば95%に向上させることができる。
このようにして、反射電子138の大部分を捕捉できるので、反射電子138の衝突に起因して生じる微小パーティクルは激減し、微小パーティクルの混入により発生する薄膜の特性劣化を抑制することができる。また、反射電子138の衝突により蒸着装置内の各所に生じた不測のチャージアップに起因する放電破壊や電子ビーム軌道の不安定化による弊害を、大幅に低減することができる。
[実施形態2]
図2は、本発明の実施形態2に係る電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた真空蒸着装置を示す模式図である。本実施形態の真空蒸着装置は、排気装置(不図示)が接続された真空容器210と、基体部220と、蒸発源230と、反射電子収束捕捉部240とを備える。図2においては、実施形態1と共通する要素については、図1で付した参照番号に100を加えて示している。例えば、図1では真空容器の参照番号は110としたが、実施形態2を説明するための図2では真空容器の参照番号は210としている。他の要素についても、同様の規則で参照番号を付している。
図2は、本発明の実施形態2に係る電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた真空蒸着装置を示す模式図である。本実施形態の真空蒸着装置は、排気装置(不図示)が接続された真空容器210と、基体部220と、蒸発源230と、反射電子収束捕捉部240とを備える。図2においては、実施形態1と共通する要素については、図1で付した参照番号に100を加えて示している。例えば、図1では真空容器の参照番号は110としたが、実施形態2を説明するための図2では真空容器の参照番号は210としている。他の要素についても、同様の規則で参照番号を付している。
本実施形態は、反射電子収束用磁気回路および反射電子捕捉電極を配置する向きと位置が、実施形態1とは異なる。実施形態1では、図1に示したように、反射電子捕捉電極142の外面のうち、電子ビーム134で加熱される蒸着材料131から見える位置にある面に反射電子を誘導して捕捉した。
これに対して、本実施形態では、図2に示すように、反射電子捕捉電極242の外面のうち、電子ビーム234で加熱される蒸着材料231から見えない位置にある面に反射電子を誘導する。電子ビームで加熱される蒸着材料から見える位置にある面には、蒸着処理を継続するうちに蒸着材料が付着する可能性がある。蒸着材料が絶縁性材料である場合には、付着した蒸着材料がチャージアップしてしまう可能性がある。また、絶縁性の材料ではない場合であっても、反射電子捕捉電極に付着した蒸着材料に反射電子が衝突すると、パーティクルを発生させる等の弊害を生じる可能性もある。
本実施形態では、反射電子捕捉電極242の外面のうち、電子ビーム234で加熱される蒸着材料231から見えない位置にある面に反射電子を誘導するように、反射電子収束用磁気回路241a、反射電子収束用磁気回路241bを設置する。
本実施形態によれば、実施形態1と同様に反射電子の大部分(例えば95%)を捕捉できるうえ、実施形態1よりもさらに微小パーティクルの発生を減少させることができる。このため、微小パーティクルの混入により発生する薄膜の特性劣化を、さらに抑制することができる。また、実施形態1と同様に反射電子の衝突により蒸着装置内の各所に生じた不測のチャージアップに起因する放電破壊や電子ビーム軌道の不安定化による弊害を、大幅に低減することができる。さらには、反射電子捕捉電極自身のチャージアップも抑制することができる。
図5に、実施形態2の一例について、反射電子軌道のシミュレーション結果を示す。解析条件については、反射電子収束用磁気回路に用いる磁石の着磁密度は、高弾道用と低弾道用を含む鉛直方向収束用が0.5T、水平方向収束用が0.45Tとした。反射電子が出射される出射位置(x,y,z)は、ハースの中心位置(97,28,0)と、中心位置からx方向またはZ方向に+3mm、−3mm、+10mm、−10mm移動した各位置と、を用いた。出射角は、y軸基準でx方向に5°間隔で−30〜+30°の範囲とし、出射する反射電子のエネルギーは6keVとした。
図5に示すように、本実施形態によれば、反射電子は広範囲に拡散しようとするが、垂直方向用の反射電子収束用磁気回路、及び水平方向用の反射電子収束用磁気回路により局所に収束され、その殆どが反射電子捕捉電極により捕捉される様子が確認できる。
[実施形態3]
図3は、本発明の実施形態3に係る電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた真空蒸着装置を示す模式図である。本実施形態の真空蒸着装置は、排気装置(不図示)が接続された真空容器310と、基体部320と、蒸発源330と、反射電子収束捕捉部340とを備える。図3においては、実施形態2と共通する要素については、図2で付した参照番号に100を加えて示している。例えば、図2では真空容器の参照番号は210としたが、実施形態3を説明するための図3では真空容器の参照番号は310としている。他の要素についても、同様の規則で参照番号を付している。
図3は、本発明の実施形態3に係る電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた真空蒸着装置を示す模式図である。本実施形態の真空蒸着装置は、排気装置(不図示)が接続された真空容器310と、基体部320と、蒸発源330と、反射電子収束捕捉部340とを備える。図3においては、実施形態2と共通する要素については、図2で付した参照番号に100を加えて示している。例えば、図2では真空容器の参照番号は210としたが、実施形態3を説明するための図3では真空容器の参照番号は310としている。他の要素についても、同様の規則で参照番号を付している。
本実施形態は、反射電子収束用磁気回路および反射電子捕捉電極を配置する向きと位置が、実施形態2とは異なる。図2から判るように、実施形態2では、反射電子捕捉電極242の外面のうち反射電子を捕捉する面は、当該面からの垂線が基体保持手段222と交差する向きに配置されていた。実施形態2のように当該面からの垂線が基体保持手段と交差するような配置だと、チャンバ内で微少量ながらパーティクルが発生して反射電子捕捉電極に衝突した場合に、パーティクルが反跳して基体に堆積した蒸着膜に付着してしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態では、図3に示すように、反射電子捕捉電極342の外面のうち反射電子を捕捉する面は、当該面に対する法線が基体保持手段322と交差しない向きになるように配置されている。このような構成を採用することにより、実施形態2と同様に反射電子の大部分(例えば95%)を捕捉できる。さらには、真空チャンバ内に微小パーティクルが発生して反射電子捕捉電極に衝突した場合であっても、それが反跳して基体に堆積した蒸着膜に付着するのを抑制することができる。このため、微小パーティクルの混入により発生する薄膜の特性劣化を、さらに抑制することができる。
[実施形態4]
図4は、本発明の実施形態4に係る電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた真空蒸着装置を示す模式図である。本実施形態の真空蒸着装置は、排気装置(不図示)が接続された真空容器410と、基体部420と、蒸発源430と、反射電子収束捕捉部440とを備える。図4においては、実施形態3と共通する要素については、図3で付した参照番号に100を加えて示している。例えば、図3では真空容器の参照番号は310としたが、実施形態4を説明するための図4では真空容器の参照番号は410としている。他の要素についても、同様の規則で参照番号を付している。
図4は、本発明の実施形態4に係る電子ビーム蒸発源、およびそれを備えた真空蒸着装置を示す模式図である。本実施形態の真空蒸着装置は、排気装置(不図示)が接続された真空容器410と、基体部420と、蒸発源430と、反射電子収束捕捉部440とを備える。図4においては、実施形態3と共通する要素については、図3で付した参照番号に100を加えて示している。例えば、図3では真空容器の参照番号は310としたが、実施形態4を説明するための図4では真空容器の参照番号は410としている。他の要素についても、同様の規則で参照番号を付している。
本実施形態は、反射電子捕捉電極の電位が正バイアスに維持されるように反射電子捕捉電極に電圧源を接続していることが実施形態3とは異なる。反射電子捕捉電極442は、電気的に接地してもよいが、反射電子の捕捉効率を高めるため、正バイアスを印加するのがさらに望ましいのである。
本実施形態では、反射電子の捕捉効率を、例えば99%以上に高めることができるので、反射電子の衝突に起因して生じる微小パーティクルは激減し、微小パーティクルの混入により発生する薄膜の特性劣化をさらに抑制することができる。また、反射電子の衝突により蒸着装置内の各所に生じた不測のチャージアップに起因する放電破壊や電子ビーム軌道の不安定化による弊害を、さらに低減することができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
本発明は、光学素子に光学薄膜を形成する真空蒸着装置に好適に適用できるが、それ以外の対象物に蒸着膜を形成する真空蒸着装置に適用しても差し支えない。例えば、半導体素子、表示素子、その他の素子に、導電膜、半導体膜、絶縁膜や、その他の機能性膜を堆積させるための真空蒸着装置に適用しても差し支えない。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
本発明は、光学素子に光学薄膜を形成する真空蒸着装置に好適に適用できるが、それ以外の対象物に蒸着膜を形成する真空蒸着装置に適用しても差し支えない。例えば、半導体素子、表示素子、その他の素子に、導電膜、半導体膜、絶縁膜や、その他の機能性膜を堆積させるための真空蒸着装置に適用しても差し支えない。
110・・・真空容器/120・・・基体部/121・・・基体/122・・・基体保持部/123・・・基体加熱手段/124・・・膜厚モニタ手段/130・・・蒸発源/131・・・蒸着材料/132・・・坩堝/133・・・ハース/134・・・電子ビーム/135・・・フィラメント/136・・・アノード/137・・・電子ビーム偏向用磁気回路/138・・・反射電子/140・・・反射電子収束捕捉部/141a、141b・・・反射電子収束用磁気回路/142・・・反射電子捕捉電極
Claims (7)
- 蒸着材料と、
前記蒸着材料に電子ビームを照射する電子ビーム源と、
前記蒸着材料で反射される高エネルギーの反射電子を、第1の収束方向に収束させる第1の反射電子収束用磁気回路と、
前記高エネルギーの反射電子を、前記第1の収束方向と交差する第2の収束方向に収束させる第2の反射電子収束用磁気回路と、
前記第1の反射電子収束用磁気回路および前記第2の反射電子収束用磁気回路により収束された前記高エネルギーの反射電子を捕捉する反射電子捕捉電極と、が真空容器の内部に配置されている、
ことを特徴とする電子ビーム蒸発源。 - 前記第1の収束方向と前記第2の収束方向は直交する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム蒸発源。 - 前記第1の収束方向は鉛直方向で、前記第2の収束方向は水平方向である、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子ビーム蒸発源。 - 前記第1の反射電子収束用磁気回路および前記第2の反射電子収束用磁気回路は、
前記反射電子捕捉電極の外面のうち、前記蒸着材料から見えない位置にある面に前記反射電子を誘導する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸発源。 - 前記反射電子捕捉電極は、電気的に接地されているか、または正バイアスが印加されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸発源。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の電子ビーム蒸発源と、
前記電子ビーム源から前記電子ビームを照射されて蒸発した蒸着材料を堆積させる基体を交換可能に保持する基体保持部と、を備える、
ことを特徴とする真空蒸着装置。 - 前記第1の反射電子収束用磁気回路および前記2の反射電子収束用磁気回路が前記反射電子を誘導する前記反射電子捕捉電極の面からの法線が、前記基体保持部と交差しない、
ことを特徴とする請求項6に記載の真空蒸着装置。
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