JP2018135593A - 蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カメラなどの光学素子等の表面に光学薄膜などの膜を形成する蒸着装置において、異物が光学薄膜などの膜に取り込まれる欠陥を抑制して、製品の歩留まりを向上させる技術を提供する。【解決手段】蒸着装置は、被蒸着物5を支持する支持部6を備える容器1内において、電子ビーム源11と、蒸着材料9を配置して電子ビーム源11から照射される電子ビームを受ける材料配置部12と、防着部材33と、を有する。防着部材33は、被蒸着物5の方向から外れた方向に蒸発させられる蒸着材料の蒸気を受ける第1の面35aと、材料配置部12への軌道から外れた軌道をとる電子ビーム27を受ける第2の面35bと、を有する。【選択図】図6

Description

本発明は、真空蒸着装置などの蒸着装置に関する。例えば、カメラ、ビデオカメラなどの光学素子の表面に蒸着材料を成膜して光学薄膜などの膜を形成する真空蒸着装置等の蒸着装置に関する。
従来、カメラ、ビデオカメラのレンズ、フィルターなどの光学素子には、表面での光の反射を抑制したり、特定の波長の光だけを透過あるいは反射させたりするために、その表面に光学薄膜を形成する技術が用いられてきた。このような光学薄膜は、異なる屈折率特性を持った複数の金属化合物の薄膜を多層に積層することで所望の光学特性が得られるように設計される。光学薄膜において、金属化合物の薄膜を形成する手法として、真空蒸着やスパッタリングなどが主に用いられてきた。中でも真空蒸着は一度に大面積への成膜が可能であることから、大量生産の現場では真空蒸着がよく利用されている。
真空蒸着において、基板などの被蒸着物に形成される光学薄膜への異物の混入を極力排除するために、真空に排気された真空容器の中で成膜が行われる。真空容器の内部には、蒸着材料を収容したルツボ、蒸着材料を加熱、蒸発させるための加熱源等を含む蒸着源などが配置され、被蒸着物はルツボと対向する位置に置かれる。蒸着材料を加熱する方法としては、光学薄膜形成の分野では電子ビーム蒸着と抵抗加熱蒸着がよく用いられる。
なかでも、電子を非常に高いエネルギーまで加速して照射できるため高融点の材料でも蒸着できる上、電子ビームを磁場によってスキャンすることで蒸着材料の溶融状態を制御しやすいことから、電子ビーム蒸着が特によく用いられている。電子ビーム源では、らせん状の金属製フィラメントに電圧を掛けることによりフィラメント表面から熱電子を放出させる。こうして発生された熱電子に数kV以上の電界を掛けることで電子を加速して、ルツボに入れられた蒸着材料に衝突させる。加速された電子ビームの持っている運動エネルギーが蒸着材料に衝突する際に熱エネルギーヘと変換され、蒸発材料が加熱されることで蒸着材料の蒸発が起こる。
光学薄膜では金属酸化膜がよく用いられているが、金属酸化物による光学薄膜の屈折率は薄膜の酸化の度合いにより大きく影響される。そのため、通常はプロセスガスとして微量の酸素ガスを真空容器内に導入しながら蒸着を行うことで、安定した酸化膜を形成するようにしている。電子ビームを加速するために数kV以上の高電圧を印加している高電圧配線の近傍に、こうしたプロセスガスや真空容器内部の部材からの放出ガスなどが多量に存在すると、高電圧配線と、接地されている真空容器と、の間で放電が発生することがある。通常、こうした放電が発生すると、加速のための高電圧が瞬間的に低下するため、それによって電子ビームの軌道が変化して、ルツボの外側に電子ビームが照射されてしまうことがある。
他方、ルツボから蒸発した蒸着材料には、蒸発粒子同士あるいは真空容器内に存在するプロセスガス分子との衝突、散乱がある。そのため、全ての蒸着粒子が被蒸着物の方向に飛来する訳ではなく、その多くは、真空容器の側壁やルツボの周辺にも付着して薄膜を形成する。金属酸化膜を蒸着する場合には、このようにして被蒸着物以外の部位にも絶縁性薄膜が表面に形成されることになる。電子ビーム源の高電圧配線での放電が発生すると、電子ビームの軌道が変化して、ルツボ外の絶縁性薄膜が形成された箇所にも電子ビームが照射されることがある。絶縁性薄膜に電子ビームが照射されると、供給された電子によって薄膜が負に帯電するため、絶縁性薄膜の表面に例えば蒸着材料の微粒子などの異物が存在した場合には、その異物も負に帯電する。同極性に帯電した絶縁性薄膜と異物との間に働くクーロン反発力によって、こうした異物は上方に飛散することにもなる。もし、この飛散した異物が蒸着中の被蒸着物表面に付着して、落下することなくそのまま異物の上を覆うように成膜が進むと、異物が薄膜に取り込まれた箇所は所望の光学特性を発揮することができず、欠陥となってしまうことがある。
近年ではカメラにおいては益々撮影画像の高精細化が求められるようになり、それらの受光素子の画素数は増大する一方である。こうした高画素化の要求によって、カメラに使用されている一部の光学素子では、その表面に形成されている光学薄膜にも高い品質が要求されるようになってきている。光学薄膜中の欠陥についても、従来より小さなサイズの欠陥であっても不良と見なされるようになってきており、製品の歩留まりを低下させる一因になっている。
上記のような技術状況において、電子ビーム源において、高電圧配線の放電が検出された場合には、例えば電力を一時的に遮断するようになっている。こうした場合、電力を遮断している時間は蒸着されず成膜結果に悪影響を及ぼすため、放電検出時の電力遮断時間は出来るだけ短い時間に設定されていることが多い。しかし圧力が充分に低下していない状態で、電力を遮断している状態から非遮断状態に戻してしまうと、再び放電が発生してしまい、それを何度も繰り返してしまうこともある。特許文献1には、電力の遮断状態から非遮断状態に戻すまでの遅延時間を適切に設定することで、電力遮断の回数を最少にすることができる電子ビーム装置が開示されている。
特開2011-76733号公報
特許文献1に記載された電子ビーム装置では、放電時の電力遮断の回数を最少にすることで、繰り返し放電を減らして放電回数を減少することはできる。しかし、回数を減らすことはできても、放電の発生そのものを無くすものではないため、頻繁に発生する放電によって異物が飛散して膜に取り込まれ欠陥となる可能性を大幅に低減することは容易ではない。
上記課題に鑑み、本発明の一側面による蒸着装置は、被蒸着物を支持する支持部を備える容器内において、電子ビーム源と、蒸着材料を配置して前記電子ビーム源から照射される電子ビームを受ける材料配置部と、防着部材と、を有し、前記防着部材は、前記被蒸着物の方向から外れた方向に蒸発させられる前記蒸着材料の蒸気を受ける第1の面と、前記材料配置部への軌道から外れた軌道をとる前記電子ビームを受ける第2の面と、を有する。
本発明の一側面によれば、放電などが発生した際に電子ビームの軌道が変化して電子ビームが蒸着材料外の領域に照射されても、異物の飛散を抑制することができる。
真空蒸着装置の一例の概略図。 電子ビーム源の一実施例の概略図。 放電が発生した場合の電子ビームの挙動を説明する図。 異物が被蒸着物上の薄膜に取り込まれて出来る欠陥を説明する図。 本発明による一実施例における防着板の一例を説明する図。 図5の防着板の構造と電子ビームが照射された場合の挙動を説明する図。 防着部材である防着板の一設計例を説明する図。 防着部材である防着板の他の設計例を説明する図。 防着部材である防着板の他の実施例を説明する図。
本発明の一側面は、カメラなどの光学素子等の表面に光学薄膜などの膜を形成する蒸着装置において、異物が光学薄膜などの膜に取り込まれる欠陥を抑制して、製品の歩留まりを向上させる技術を提供することである。上述の異物の飛散を抑制するために、前記防着部材は、被蒸着物の方向から外れた方向に蒸発させられる蒸着材料の蒸気を主に受ける第1の面と、材料配置部への軌道から外れた軌道をとる前記電子ビームを主に受ける第2の面と、を有する。前記防着部材は、材料配置部への軌道をとる電子ビームは通すようになっている。
以下、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。まず真空蒸着装置の一実施形態の概略を図1を用いて説明する。図1の真空蒸着装置において、真空排気可能な真空容器1が設けられている。真空容器1は、大気圧から、まず補助排気系2により粗引き排気が行われる。粗引き排気後、主排気系3により成膜可能な圧力まで本排気が行われる。
所望の圧力まで本排気が完了したところで、ヒーター4を用いて、基板などの被蒸着物5を配置ないし支持した支持部であるホルダ6の加熱を行う。または、別の真空容器にて、被蒸着物5を配置したホルダ6を加熱したのちに、成膜用の真空容器1に搬送し、その後、ヒーター4により被蒸着物5を所望の温度に維持する装置構成でもよい。ここでは、被蒸着物5はホルダ6に複数枚搭載されている。またホルダ6には、光学式膜厚計7用のモニター基板8が搭載されている。モニター基板8にも被蒸着物5と同様に成膜がなされ、光学式膜厚計7からモニター基板8に照射した光の反射光の強度から、モニター基板8に成膜された光学膜厚を知ることができる。これにより、その情報によって、成膜終了のタイミングを判断することができる。さらにホルダ6の周辺であって蒸着材料9の蒸気が飛来する領域に、水晶式膜厚計10が配置されており、内蔵された水晶振動子の振動数の変化から、蒸着時の単位時間あたりの成膜の膜厚である成膜レートを知ることができる。成膜レートが大きく変わると薄膜の光学特性に影響が出るため、水晶式膜厚計10で計測される成膜レートが予め設定された一定値を保つように、電子ビーム源11から蒸着材料9に照射される電子ビーム電流が制御される。
被蒸着物5が所望の温度に到達したら、電子ビーム源11により蒸着材料9の加熱を行う。本実施形態では、蒸着材料9は、金属製のルツボ12に入れられている。蒸着材料9の材料配置部は、ルツボなどに限られず、平面部に蒸着材料が置かれるようなものであってもよい。まず電子ビーム源11から蒸着材料9に照射する電子ビームの量を段階的に増加させて、蒸着材料9の突沸が起きないように蒸着材料9を除々に加熱していく。蒸着材料9が蒸着可能な状態に溶融したら、ルツボ12の上方でルツボ12と被蒸着物5の間を遮っている蒸着源シャッター13を開いて蒸着を開始する。蒸気となった蒸着材料9は、真空容器1内を飛来して、被蒸着物5の表面に堆積する。本実施形態では、ホルダ6は、真空容器1の外部に配置されたモーターにより垂直方向の軸回りに回転可能となっている。ホルダ6を回転させながら蒸着を行うことによって、ホルダ6上に搭載された複数の被蒸着物5の膜厚分布を小さくできるようになっている。光学式膜厚計7によって成膜終了のタイミングになったことが検出されたら、蒸着源シャッター13を閉じるとともに、電子ビーム源11からの電子ビーム照射を停止させる。こうして、蒸着を終了する。
また、電子ビーム源11による蒸着材料の蒸着時に、被蒸着物5に堆積した薄膜を緻密で密着性の高い膜にすることを目的として、アシストイオン源14よりイオンを被蒸着物5に対して照射する場合もある。アシストイオン源14を使用して蒸着を行う場合には、被蒸着物5が、照射されたイオンにより帯電することを防ぐ目的で、中和器15が併せて用いられる。中和器15は、照射するイオン量と同等程度の電荷量の電子を被蒸着物5に対して照射して被蒸着物5を電気的に中和するためのものである。
次に電子ビーム源11について図2を用いて説明する。電子ビーム源は、電子ビーム16を発生させるフィラメント17、フィラメント17との電位差によって電子ビーム16を加速するアノード18、ポールピース19a、19b、スキャンコイル20を含む。ポールピース19a、19bは、加速した電子ビーム16をルツボ12まで偏向させ、スキャンコイル20は、ルツボ12に照射する電子ビーム位置をルツボ12内でスキャンさせる。フィラメント17は、フィラメント加熱用電源21に接続されている。フィラメント加熱用電源21によってフィラメント17に電流が流されることで加熱されたフィラメント17から熱電子が放出される。放出された熱電子は、加速用高電圧電源22に接続されてマイナス数kVの電圧が印加されているフィラメント17とアノード18との間の電位差によって加速されて電子ビームとなる。
ポールピース19a、19bは強磁性材料で作られており、同じく強磁性体材料で作られている接続部材23によって永久磁石24と接続されている。そのため、ポールピース19a、19bは永久磁石24によって磁化され、磁界を形成している。アノード18で加速された電子ビーム16が、ポールピース19a、19bの形成する磁界によって向きを約270度変えられ、ルツボ12のほぼ中央に照射するように設計されている。またルツボ12内の蒸着材料9全面に電子ビーム16を照射して、蒸着材料9を加熱溶融する必要がある。そのため、電磁石で構成されるスキャンコイル20が形成する磁界によって、電子ビーム16をルツボ12内においてX、Y方向にスキャンできるようになっている。こうしてルツボ12内で溶融された蒸着材料9が蒸発して、その蒸発粒子は、電子ビーム源11の上方に設置された図1に図示の被蒸着物5へと到達して光学薄膜を形成する。
次に、電子ビームを加速するための高電圧配線近傍で放電が発生した場合の電子ビームの挙動について、図3を用いて説明する。フィラメント17には、高電圧配線25を介して加速用高電圧電源22から高電圧が印加されている。真空容器内の高電圧配線25近傍の圧力が、ガス26などの存在によって上昇すると、その圧力値によっては、マイナス数kVが印加されている高電圧配線25と、接地されている真空容器1や真空容器内構成物と、の間で放電が発生することがある。
圧力上昇が発生する要因としては以下のようなものがある。通常、光学薄膜として金属酸化物を形成する場合には、真空容器内にガス供給口(不図示)から酸素ガスを供給するので、そのガスが高電圧配線25近傍に滞留する可能性がある。また、真空容器内壁や真空容器内の構成物が図1のヒーター4、電子ビーム源11、ルツボ12などからの輻射熱によって暖められて、表面に吸着されていたガスが放出される可能性もある。あるいは、ガスを吸着していた蒸着材料9が、電子ビーム16で加熱されて、多量のガスを放出することもある。このように高電圧配線25の近傍の圧力が上昇する要因は数多く存在し、圧力上昇によって電子ビーム源の放電は頻繁に発生している。
放電が発生すると電子ビームを加速する加速電圧が低下するため、正常時には電子ビーム16のようにルツボ12内に向かっていた電子ビーム軌道が、電子ビーム27のようにルツボ12の手前側などに照射される電子ビーム軌道に変化する。ルツボ12手前にあるビーム源カバー28に電子ビーム27が照射されると、ビーム源カバー28の表面に付着している絶縁性薄膜29に多量の電子が供給されて、絶縁性薄膜29が負に帯電する。絶縁性薄膜29の上には、周辺の構造物(不図示)の表面についた薄膜が剥離して飛び散った破片やルツボ内の突沸により飛散した蒸着材料の粒子などを含む異物30が存在している。こうした異物30も絶縁性薄膜29と同様に負に帯電するため、絶縁性薄膜29と異物30との間にはクーロン反発力が働き、異物30は上方に飛散することがある。飛散した異物が被蒸着物5の表面に到達、付着して、落下することなく、そのままその異物の上を覆うように成膜が進むと、図4に示すように異物31が薄膜32に取り込まれて、その箇所は所望の光学特性を果たすことができずに欠陥となることがある。
次に、本実施形態において、異物防着部材である防着板を取り付けた電子ビーム源について図5を用いて説明する。ここでは、防着板33は、材料配置部であるルツボ12のある空間と電子ビーム源11のある空間とを仕切るビーム源カバー28の上に取り付けられている。防着板33は導電性の高い導電性材料である金属材料で作られており、接地されているビーム源カバー28を介して接地されている。ビーム源カバー28の如きものは、通常の蒸着装置で既に設けられていることが多いので、それを利用して防着板33を設ければ、コストを削減することができる。防着板33を取り付けた電子ビーム源において、放電が発生した場合には、電子ビーム軌道は電子ビーム27で示される軌道に変化して、電子ビーム27は防着板33に照射される。
防着板の構造と防着板に電子ビームが照射された場合の挙動について図6を用いて説明する。防着板33は、略水平に配置された平板部分34とその上に立てられた1以上(図示例では複数枚)の平面板35を含む。複数枚の平面板35は、第1の面35aがルツボ12に正対して(ルツボがある側に向いて)設置されている。ルツボ12から発生した蒸着材料からなる蒸着粒子36の蒸気は、主に、複数枚の平面板35のうちで最もルツボ12に近い平面板のルツボに対する第1の面35aに付着して薄膜37を形成している。また、複数枚の平面板35のうちでルツボ12から離れた平面板35の第1の面35aにも、蒸着粒子36は付着して薄膜38を形成している。この平面板はルツボ12からは手前の平面板によって陰になっているが、蒸着粒子同士の散乱などによる廻り込みによって、この平面板にも蒸着粒子36が付着するために、薄膜38が形成される。このように蒸着粒子による薄膜は、複数枚の平面板35の全てにおいて、平面板35のルツボ12に対する側の第1の面35aに形成され得る。
放電が発生した場合には、電子ビーム軌道は図6に示される電子ビーム27のような軌道となり、電子ビームは複数枚の平面板35に対して、ルツボ12に対する第1の面35aとは反対側の第2の面35bに必ず照射されるようになっている。つまり、その様になるように平面板35の形状、配置、姿勢などが設計されている。こうして、ルツボ12からの蒸着粒子36は複数枚の平面板35のルツボ12に対する側の面で受け止める。そして、放電時の電子ビーム27の照射は、それとは逆のルツボ12に対する面とは反対側の面で受け止める。このように、蒸着粒子36と放電時の電子ビーム27とを別々の面で受け止める構造になっている。従って、ルツボ12のある方向への軌道を外れた電子ビーム27が照射される第2の面35bには、蒸着粒子36の付着による絶縁性の薄膜はほとんど存在せず、導電性の防着板材料の表面そのままである。そのため、防着板表面の帯電が起こらないので、そこから異物が飛散して被蒸着物の表面に欠陥を生じさせることが抑制ないし防止される。
上記実施形態の防着板の具体的数値例を図7によって説明する。ここでは、複数の防着板の平面板35がほぼ同間隔で下部の平板部分34上に設けられている。高さH、間隔L、角度θの好ましい寸法範囲としては、0<H≦40mm、0<L≦30mm、10°<θ<150°を例示することができる。これは、具体的な真空蒸着装置において、予め正常電圧時と異常電圧時(放電発生時)の電子ビーム16、27の軌道、ルツボ12からの蒸着粒子36の蒸気の軌道などに基づいて設計すればよい。
図8は防着板の他の形態例と具体的数値例を示す。図8(a)では、ルツボ12や水平配置の平板部分34に対する図示の配置構造において、正常電圧時(5keV)と異常電圧時(2keV)の電子ビームの軌道や蒸着粒子の蒸気の軌道に基づいて設計された防着板が示されている。その平面板35の高さH、間隔L、角度θは図示の様になっている。図示例では、防着板の平面板35の高さHと角度θは変化しているが、間隔Lはほぼ一定の5mmである。間隔Lは15mm程度まで間引いても効果が認められる。好ましい範囲としては、0<H≦20mm、0<L≦20mm、10°<θ<150°を例示することができる。破線で示すように1枚の平面板35’を設けても、異物防着部材として必要な条件を満たすこともあり得る。この平面板35’は、電子ビーム16の正常軌道と電子ビーム27の異常軌道の境辺りまで伸びていて、図8(a)の紙面と交差する方向の幅も異物防着機能を果たすように充分にとられている。
図8(b)は、複数の平面板35の高さH、間隔L、角度θがそれぞれ変化する例を示す。図中の数値の単位はmmである。これらの設計も、所与の構成の真空蒸着装置における電子ビーム16、27の軌道、蒸着粒子36の蒸気の軌道などに基づいて行うことができる。
図9は、ルツボ12を挟んで、電子ビーム源11の側とは反対の側に、異物の発生を抑制するための異物防着部材である防着板を配した例を示す。ここでは、ルツボに照射された電子のうち、ルツボ内の蒸着材料面で反射される成分(反射電子)の飛来する軌道と、ルツボ12からの蒸着粒子36の蒸気の軌道などに基づいて設計すればよい。図9では、複数(17枚)の平面板35が平板部分34にほぼ同高、同間隔(20mm)、同角度で設けられている。このように、異物防着部材は、蒸着材料が配置される部分の周りにおいて何れの箇所に設けられてもよい。周りにぐるりと連続的に設けられてもよいし、所々に設けられてもよい。
異物防着部材の紙面と交差する方向(例えば垂直方向)の幅については、蒸着粒子36の蒸気や電子ビームの廻り込みなどを考慮して適宜に設計すればよい。この方向において、異物防着部材は平面的でもよいし、屈曲ないし湾曲していてもよい。上記実施形態でも、平面板35は屈曲ないし湾曲していてもよい。
上記実施形態によれば、電子ビーム源の放電やルツボからの反射電子が発生した際に電子ビームの軌道が変化して電子ビームがルツボなどの蒸着材料の配置部外の領域に照射されても、異物の飛散を抑制することができる。例えば、その領域には、絶縁性薄膜があまり形成されていないため負に帯電することが抑制されている上、そこからのクーロン反発力による異物飛散の発生が抑制される。したがって、電子ビーム源の放電やルツボからの反射電子により発生する光学薄膜などの膜の不良発生を大幅に低減することができる。また、従来型の電子ビーム源であっても、電子ビーム源そのものを改造することなく、防着板などの異物防着部材を電子ビーム源のビーム源カバーなどの上に追加するたけで、放電や反射電子による異物の飛散を防止ないし抑制することができる。よって、低コストで光学薄膜などの膜の不良発生を低減することが可能となる。
1・・・真空容器(容器)
5・・・レンズ(被蒸着物)
6・・・ホルダ(支持部)
9・・・蒸着材料
11・・・電子ビーム源
12・・・ルツボ(材料配置部)
27・・・外れた軌道をとる電子ビーム
33・・・防着板(防着部材)
35a・・・第1の面
35b・・・第2の面

Claims (10)

  1. 被蒸着物を支持する支持部を備える容器内において、電子ビーム源と、蒸着材料を配置して前記電子ビーム源から照射される電子ビームを受ける材料配置部と、防着部材と、を有し、
    前記防着部材は、前記被蒸着物の方向から外れた方向に蒸発させられる前記蒸着材料の蒸気を受ける第1の面と、前記材料配置部への軌道から外れた軌道をとる前記電子ビームを受ける第2の面と、を有することを特徴とする蒸着装置。
  2. 前記防着部材は、略水平な平板部分と前記平板部分の上に立てられた1以上の平面板とを含み、前記平面板は、前記材料配置部のある側に面する前記第1の面と、前記第1の面とは反対側の前記第2の面とを有することを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置
  3. 複数の前記平面板が設けられ、それぞれ、所定の高さ、間隔、角度で設けられていることを特徴とする請求項2に記載の蒸着装置
  4. 前記高さH、前記間隔L、前記角度θの寸法範囲は、0<H≦40mm、0<L≦30mm、10°<θ<150°であることを特徴とする請求項3に記載の蒸着装置。
  5. 前記防着部材は、前記材料配置部の周りの何れかの箇所に設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の蒸着装置。
  6. 前記防着部材は、前記材料配置部と前記電子ビーム源との間の空間に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の蒸着装置。
  7. 前記防着部材は、前記材料配置部のある空間と前記電子ビーム源のある空間とを仕切るビーム源カバーの上に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の蒸着装置。
  8. 前記防着部材は、前記材料配置部を挟んで、前記電子ビーム源のある空間の側とは反対の側の空間に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の蒸着装置。
  9. 前記防着部材は、導電性材料で形成され、接地されていることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の蒸着装置。
  10. 前記材料配置部は、前記蒸着材料を収容して前記電子ビーム源から照射される電子ビームを受けるルツボであることを特徴とする蒸着装置。
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