JP2008001925A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】合金を成膜対象物に注入可能な成膜装置を提供する。
【解決手段】本発明は第一、第二の同軸型蒸着源3a、3bを有しており、第一、第二の蒸着源3a、3bの第一、第二の開口39a、39bからは正の微小荷電粒子が放出され、その微小荷電粒子はクーロン力によって飛行方向が曲げられて成膜対象物68表面に到達する。このとき、成膜対象物68の表面に負電圧を印加すれば、微小荷電粒子の飛行速度が加速されるので、微小荷電粒子が成膜対象物68表面に注入される。第一、第二の同軸型蒸着源3a、3bの蒸着材料として異なる種類の金属材料を用いれば、成膜対象物68表面に合金が注入される。
【選択図】図3

Description

本発明は成膜装置に関する。
図8の符号101は従来技術の成膜装置を示している。
この成膜装置101は真空槽102を有しており、真空槽102内部には蒸着源103が配置されている。
蒸着源103は筒状のアノード電極132と、放出部130とを有しており、アノード電極132と放出部130は、該放出部130がアノード電極132に配置された状態で、取り付け部120によって真空槽102内部の底壁側にそれぞれ固定されている。
放出部130は蒸着材料131と、トリガ電極134と、棒状電極135とを有している。トリガ電極134はリング状であって、棒状電極135はトリガ電極134に挿通された状態で、その下端が取り付け部120に取り付けられている。棒状電極135の先端はトリガ電極134から突き出され、蒸着材料131は棒状電極135の先端を覆っている。
蒸着材料131と棒状電極135は電気的に接続され、他方トリガ電極134は絶縁部材137、138によって棒状電極135と蒸着材料131から絶縁されている。棒状電極135とトリガ電極134は真空槽102外部に配置された電源装置104にそれぞれ接続されている。
真空排気系108を動作させて真空槽102内部に真空雰囲気を形成し、該真空雰囲気を維持しながら電源装置104を起動し、アノード電極132と真空槽102とを接地電位に置いた状態で、トリガ電極134に正の電圧を印加すると共に、棒状電極135に負の電圧を印加すると、トリガ電極134と蒸着材料131との間にトリガ放電が起こり、該トリガ放電によって蒸着材料131の側面とアノード電極132内周面との間でアーク放電が誘起される。
アーク放電が誘起されると、アーク電流が流れ、該アーク電流により蒸着材料131の側面から蒸着材料の粒子が放出される。
蒸着材料の粒子のうち、電荷質量比(電荷/質量)の大きい微小な荷電粒子は、アーク電流により発生する磁界によって飛行方向が曲げられ、アノード電極132の開口から放出されるが、電荷質量比の小さい巨大な荷電粒子や中性粒子はアーク電流により飛行方向が曲げられる率が少なく、アノード電極132の内壁に衝突する。
アノード電極132の開口の上方には基板ホルダ117が配置されており、予め基板ホルダ117のアノード電極132開口と対向する面には基板107が保持されているので、アノード電極132の開口から放出された荷電粒子は基板107表面に付着し、薄膜が成長する。このように、基板107には反応性が高い荷電粒子のみが到達するので、膜質の良い薄膜を形成することができる。
荷電粒子は通常の蒸着法で発生する蒸気に比べて反応性が高いので、基板107表面には緻密な膜が形成される。しかし、この成膜装置101では荷電粒子が基板107表面に注入されることはなく、この成膜装置101を用いて、例えば基板107の表面改質を行うことはできなかった。
また、中性粒子や巨大荷電粒子がアノード電極132の内周面に付着する際に、一部は衝突の際砕け散り、微小荷電粒子よりも大きな小滴(直径20μm程度)が形成されることがある。
この小滴の飛散方向は特定の方向性が見られず、蒸着材料131を中心としてほぼ半球面内に飛散するので、一部はアノード電極132の開口から放出されてしまう。開口から放出された小滴が、成膜中の膜に取り込まれると、薄膜の膜質が劣化するという問題もあった。
特開2006−83431号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は荷電粒子を成膜対象物に注入可能な成膜装置を製造することである。
上記課題を解決するために本発明は、真空槽と、第一の蒸着材料を取り囲む第一のアノード電極の第一の開口から前記真空槽内に前記第一の蒸着材料の蒸気を放出する第一の同軸型蒸着源とを有する成膜装置であって、前記第一の開口は成膜対象物とは離間した位置に向けられ、前記真空槽内に配置され、前記成膜対象物を貫通し、前記成膜対象物上で湾曲した第一の磁力線を形成する磁界形成装置と、前記第一の蒸着材料と前記第一のアノード電極の間に第一のアーク電流を流すアーク電流源と、前記第一のアーク電流が流れている間に、前記成膜対象物に複数回断続して負電圧を印加するバイアス電源とを有する成膜装置である。
本発明は成膜装置であって、湾曲した第一のヨーク部材を有し、前記第一のヨーク部材の一端には第一の凹部が形成され、前記磁界形成装置は前記第一のヨーク部材の他端上に配置され、前記成膜対象物は前記磁界形成装置の前記第一のヨーク部材とは反対側に配置され、前記第一のアノード電極は前記第一の凹部に挿通された成膜装置である。
本発明は、前記第一の蒸着材料とは異なる材料の第二の蒸着材料を取り囲む第二のアノード電極の第二の開口から前記真空槽内に前記第二の蒸着材料の蒸気を放出する第二の同軸型蒸着源を有し、前記第二の開口は、前記成膜対象物とは離間した位置に向けられた成膜装置であって、前記磁界形成装置は、前記第二の開口と前記成膜対象物の表面との間を湾曲した第二の磁力線で結ぶように構成された成膜装置である。
本発明は成膜装置であって、湾曲した第二のヨーク部材を有し、前記第二のヨーク部材の一端には第二の凹部が形成され、前記第二のヨーク部材の他端は前記磁界形成装置の前記第一のヨーク部材が配置された側に位置し、前記第二のアノード電極は、前記第二の凹部に挿入された成膜装置である。
本発明は成膜装置であって、前記第一、第二の開口から放出される前記第一、第二の蒸着材料の飛行方向は、90°未満の角度で交叉された成膜装置である。
本発明は成膜装置であって、前記成膜対象物上には、前記第一の磁力線の経路と前記第二の磁力線の経路の間に開口を有するマスク部材が配置された成膜装置である。
本発明は成膜装置であって、前記アーク電流源は、前記第二の蒸着材料と前記第二のアノード電極の間に、前記第一のアノード電流と同期した第二のアノード電流を流すように構成された成膜装置である。
本発明は上記のように構成されており、蒸着材料とアノード電極の間にアノード放電が発生し、蒸着材料の蒸気と電子から成るプラズマがアノード電極内に形成されると、第一、第二の開口から放出された質量が小さな電子は磁力線に巻き付きながら磁力線に沿って移動し、成膜対象物方向に向かって移動する。
蒸着材料蒸気は正電荷を有しており、第一、第二の開口から成膜対象物とは離間した方向に放出されると、蒸着材料蒸気のうち、質量が小さな微小荷電粒子は電子に引き付けられて移動方向が曲げられ、成膜対象物方向に向かって、磁力線に沿って移動する。これにより、正電荷の蒸気が成膜対象物に入射し、薄膜が形成される。
質量が大きな巨大粒子は直進性が強く、成膜対象物とは離間した方向に飛行し、成膜対象物に入射しない。
成膜対象物に負電圧を印加すると、成膜対象物に入射する微小荷電粒子は加速され、成膜対象物の内部に注入される。成膜対象物に印加された負電圧により、第一、第二の同軸型蒸着源と成膜対象物の間に流れる電流は、徐々に増加し、第一、第二の同軸型蒸着源と成膜対象物の間に放電が生じてしまう。
成膜対象物に負電圧が印加され、成膜対象物と第一、第二の蒸着源の間に電流が流れ始めてから、成膜対象物と第一、第二の蒸着源の間に放電が生じるまでの時間は、第一、第二のアーク電流が流れる時間よりも短い。
本発明では、負電圧印加後、その放電が生じる前に負電圧の印加を停止し、第一、第二の同軸型蒸着源と成膜対象物との間に流れる電流をゼロにするので、放電が生じない。
電流がゼロになった後、負電圧の印加を再開するので、第一、第二のアーク電流が流れている間、複数回断続して負電圧を印加することになる。
また、本発明に設けられた磁界形成装置は、成膜対象物を磁力線が貫通するように構成されているため、成膜対象物の裏面と第一、第二の同軸型蒸着源の間には、磁力線が通る第一、第二のヨークが設けられ、成膜対象物の裏面に形成される磁力線が、成膜対象物の表面に形成される磁力線を乱さないようにされている。
異なる材質の蒸着材料を有する第一、第二の蒸着源から同時に蒸着材料蒸気を放出させる場合、第一の蒸着材料から放出された正の微小荷電粒子は第一の磁力線に巻き付き、拡がりながら成膜対象物に入射し、第二の蒸着材料から放出された正の荷電粒子は第二の磁力線に巻き付き、拡がりながら成膜対象物に入射する。
第一の磁力線と第二の磁力線は交叉しないから、第一の蒸着材料と第二の蒸着材料の微小荷電粒子が入射する領域の重なり合った部分で両方の蒸着材料が入射する。その結果、重なり合った部分では、成膜対象物の内部に第一、第二の蒸着材料物質の両方が注入され、合金が形成される。従って、重なり合った部分に窓を有するマスクを成膜対象物上に配置すれば、成膜対象物の内部に合金を注入することができる。
微小荷電粒子は反応性が高いので、本発明の成膜装置を用いれば、ReとIrの合金等、従来の溶融法やスパッタ法では合金を作成することができなかった材料を合金化することが可能であり、ReとIrの蒸気を放出する時に成膜対象物に負電圧を印加すればReとIrの合金は成膜対象物の内部に注入される。
ReとIrの合金の注入は、例えばレンズ等の金型(スタンパ)の表面改質に用いられる。レンズの金型は溶融したガラスを鋳込むため、800℃近い高温に晒される。そのため、金型の耐久性や離剥性を確保するために、従来はイリジウム(Ir)、レニウム(Re)、白金(Pt)等の金属材料を金型表面にコーティングするか、又はイオン注入させていた。
金型表面に薄膜を成膜する(コーティング)よりも金属材料を注入する方が金型の耐久性は高く、イリジウム単独、レニウム単独、又は白金単独で金型に注入させるよりも、イリジウムとレニウムの合金を注入する方が金型の耐久性が向上する。
本発明の成膜装置を用いれば蒸着材料を成膜対象物に注入して表面改質を行うことができる。第一、第二の同軸型蒸着源から異なる種類の蒸着材料の蒸気を放出させれば、従来作成が困難であった金属材料の合金ができる。
以下で図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1の符号1は本発明の第一例の成膜装置を示しており、成膜装置1は真空槽2と、同軸型蒸着源3と、磁界形成装置52と、基板ホルダ17と、ヨーク部材55とを有している。
先ず、ヨーク部材55と同軸型蒸着源3と磁界形成装置52と基板ホルダ17の位置関係について説明する。
ヨーク部材55は真空槽2の内部に配置されている。ここでは、ヨーク部材55は180°以下の角度(ここでは略90°)に折り曲げられてL字形状に湾曲している。
ヨーク部材55の折り曲げられた側の面を内側の面とすると、磁界形成装置52はL字形状の一方の側壁の内側の面に取り付けられ、他方の側壁には貫通孔からなる凹部59が形成されている。
ここでは磁界形成装置52は板状であって、表面57にS極又はN極が形成され、裏面56には表面と反対の極性の磁極が形成されており、磁界形成装置52は裏面56がヨーク部材55に向けられ、表面57がヨーク部材55とは反対側に向けられている。
ヨーク部材55は金属や合金等、後述する真空雰囲気よりも透磁率の高い透磁性材料で構成されており、従って、磁界形成装置52の表面と裏面とを結ぶ磁力線のうち、ヨーク部材55に近い部分はヨーク部材55内を通り、ヨーク部材55から遠い部分は磁界形成装置52の表面57上の空間を通り、ヨーク部材55内部を通る磁力線は磁界形成装置52の裏面56で、ヨーク部材55が無い場合よりも収束し、表面57上の空間を通る磁力線は、ヨーク部材55の凹部59が形成された側の端部と、凹部59の内壁面とでヨーク部材55が無い場合よりも収束する。
磁界形成装置52の表面57と裏面56とを結ぶ磁力線は、磁界形成装置52の表面57上では、表面57と略垂直に伸びており、ヨーク部材55の凹部59が形成された側壁の端部近傍では、表面57上の磁力線とは異なる角度で伸びるように構成されている。
ここでは、凹部59が形成された側壁の端部近傍では、磁力線が磁界形成装置52の表面57と略平行に伸びるようにされており、従って凹部59が形成された側の側壁の端部と、磁界形成装置52の表面とを結ぶ磁力線は、該表面57上で湾曲している。図1符号5はその湾曲した磁力線を示している。
同軸型蒸着源3は筒状のアノード電極32を有しており、アノード電極32はヨーク部材55の凹部59に挿通され、アノード電極32の一端部の開口39が、磁界形成装置52の外周よりも外側で、磁界形成装置52の表面57の上方位置に向けられ、開口39から放出される蒸気は磁界形成装置52の表面57の上方位置に向けて飛行する。
上述したように、凹部59が形成された側壁の端部と、磁界形成装置52の表面57の間には湾曲した磁力線5が形成されており、該側壁の端部に入る又は出る磁力線5は開口39の近傍を通る。
ヨーク部材55の凹部59が形成された側壁の端部は、磁界形成装置52の表面57からの高さが、開口39よりも高い位置にあり、従って、開口39から放出される蒸気は該側壁の端部と磁界形成装置52の表面57とを結ぶ磁力線5に入射する。
磁界形成装置52の表面57上には基板ホルダ17が配置されている。
成膜対象物7は例えば金型であって、表面改質又は薄膜を形成する面を表面、その反対側の面を裏面とすると、成膜対象物7は裏面を磁界形成装置52の表面57に向け、表面を磁界形成装置52とは反対側に向けた状態で、基板ホルダ17に保持される。
成膜対象物7を基板ホルダ17に保持させた時には、磁界形成装置52の表面57からの高さは、ヨーク部材55の凹部59が形成された側壁の端部の高さの方が、成膜対象物7表面よりも高くされており、該側壁の端部と磁界形成装置52の表面57とを結ぶ磁力線5は、成膜対象物7の表面を通り、成膜対象物7を貫通する。
ここでは、成膜対象物7の表面は磁界形成装置52の表面57と略水平にされており、上述したよう磁力線5は磁界形成装置52の表面57に略垂直に入射するから、該磁力線5は成膜対象物7の表面にも略垂直に入射する。
アノード電極32の中心軸線13を開口39の向きとすると、開口39は中心軸線13が成膜対象物7表面の法線12と交差するよう向けられている。例えば、中心軸線13と法線12とは直交しており、開口39の中心から中心軸線13と法線12との交点までの距離は、成膜対象物7の半径よりも大きくなっている。従って開口39は成膜対象物7の斜め上方に位置し、開口39から直進して飛行する粒子は成膜対象物7には到達しないようになっている。
次に、同軸型蒸着源3の構造についてより詳細に説明する。
アノード電極32の内部には、トリガ電極34と蒸着材料31とを有する放出部30が配置されている。
真空槽2外部にはアーク電流源14とトリガ電流源16とを有する電源装置4が配置されており、蒸着材料31とアノード電極32はそれぞれアーク電流源14に接続され、トリガ電極34はトリガ電流源16に接続されている。トリガ電極34は絶縁部材37によって蒸着材料31から絶縁されており、トリガ電流源16からトリガ電極34に蒸着材料31とは異なる大きさの電圧を印加可能になっている。
真空槽2には真空排気系8が接続されており、該真空排気系8を起動し、真空槽2内部に真空雰囲気を形成し、該真空雰囲気を維持しながら、アノード電極32と真空槽2とを接地電位に置いた状態で、負電圧を蒸着材料31に印加し、負電圧であって、蒸着材料31に対して正のパルス状電圧をトリガ電極34に印加すると、蒸着材料31とトリガ電極34の間にトリガ放電が起こる。
トリガ放電が起こると、アノード電極32と蒸着材料31の間にアーク放電が発生し、アノード電極32と蒸着材料31の間にアーク電流が流れ、蒸着材料31の側面から蒸着材料の蒸気が放出される。
ここでは、アノード電極32から蒸着材料31に流れたアーク電流は、放出部30の内部をアノード電極32の中心軸線13に沿って開口39から遠ざかる方向に直線状に流れるようになっている。
蒸着材料の蒸気は電荷質量比(電荷/質量)の大きい微小荷電粒子を含み、微小荷電粒子はアーク電流によって生じる磁界によって、アーク電流と平行であって、かつ、アーク電流とは逆向きな方向に飛行方向が曲げられて、開口39から電子と一緒に放出される。従って、微小荷電粒子が開口39から放出された直後の飛行方向は、アノード電極32の中心軸線13と平行になっている。
開口39から放出された電子と微小荷電粒子は、上述したように、ヨーク部材55の凹部59が形成された側壁の端部と、磁界形成装置52の表面57とを結ぶ磁力線5に入射し、電子はその磁力線5に入射すると、磁力線5に巻きつきながら移動して、飛行方向が中心軸線13に沿った方向から成膜対象物7に向かう方向に変えられる。
開口39から放出される正の微小荷電粒子は、クーロン力によって電子に引き付けられ、電子と同じ方向に進行方向が曲げられると、磁力線5に巻きつきながら移動する。従って、正の微小荷電粒子の進行方向も中心軸線13に沿った方向から成膜対象物7に向かう方向に曲げられ、主として湾曲した磁力線5が成膜対象物7表面と交わる領域の周囲(ここでは成膜対象物7表面の全領域)に微小荷電粒子が到達する。
第一例の成膜装置1と、後述する第二、第三例の成膜装置では、放出部30はアノード電極32の内部に位置するから、蒸着材料31はアノード電極32の内壁面で囲まれており、蒸着材料31と成膜対象物7の全表面はアノード電極32又は他の部材によって成膜対象物7から遮られ、成膜対象物7と直接面しないようになっている。
蒸着材料31からは微小荷電粒子の他に、電荷質量比の小さい巨大荷電粒子や、中性粒子や、蒸着材料の溶融物(液滴)が放出されるが、これらの粒子や液滴はクーロン力で進行方向が曲げられないので、アノード電極32や他の部材に衝突して成膜対象物7に到達しない。
真空槽2外部にはバイアス電源12が配置されている。基板ホルダ17はバイアス電源12に接続されており、バイアス電源12を動作すると基板ホルダ17に保持された成膜対象物7に電圧が印加されるようになっている。
トリガ放電を起こす時に成膜対象物7に電圧を印加しないと、微小荷電粒子は成膜対象物7表面に堆積し、成膜対象物7表面上に蒸着材料の薄膜が形成される。
トリガ放電を起こす時に、真空槽2に対して負電圧を成膜対象物7に印加すると、微小荷電粒子が加速されて成膜対象物7表面に注入され、成膜対象物7表面が改質される。
図2(a)はアーク電流の電流量(放電電流量)と時間との関係を示している。ここでは、アーク電流源14は不図示のコンデンサを有しており、アーク電流が流れ始めてから放電電流量がゼロになるまでの放電時間tはコンデンサの容量によって決まっている。
トリガ放電を起こす時にはアノード電極32は接地電位に置かれているため、アノード電極32と成膜対象物7との間の電位差によって電流が流れ、成膜対象物7に負電圧を印加し続けると、放電時間tが終了する前にアノード電極32と成膜対象物7との間に異常放電が起こる。
バイアス電源12には切り替え装置18が接続されており、該切り替え装置18によって成膜対象物7は負電位と接地電位に交互に置かれる。図2(b)は成膜対象物7に印加される電圧(バイアス電圧)の波形を示しており、成膜対象物7が1回負電位に置かれる時間と、1回接地電位に置かれる時間の合計をパルス幅とすると、パルス幅は放電時間tよりも短く、切り替え装置18はアノード電極32と成膜対象物7との間に異常放電が起こる前に成膜対象物7の電位を負電位から接地電位に切り替えるように設定されているから、異常放電は起こらない。
成膜対象物7が接地電位に切り替わると、微小荷電粒子が成膜対象物7表面に注入されなくなるが、放電時間tの間に成膜対象物7が複数回負電位に置かれるようにパルス幅を設定すれば、成膜対象物7に微小荷電粒子が連続して注入されない時間が短くなるので、成膜対象物7表面に微小荷電粒子が堆積せずに表面改質が行われる。
以上は、蒸着材料の粒子を成膜対象物7表面に注入する蒸着材料の粒子が1種類の場合について説明したが本発明はこれに限定されるものではない。
図3の符号6と、図4(a)、(b)の符号9は複数種類の蒸着材料を成膜対象物に注入可能な第二、第三例の成膜装置を示している。
第二、第三例の成膜装置6、9で共通する部材について説明すると、成膜装置6、9は、真空槽2と、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bと、円盤部材79、99と、第一、第二の同軸型蒸着源3a、3b、83a、83bと、磁界形成装置62、82とをそれぞれ有している。
第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bはL字形状であり、一方の側壁には貫通孔からなる凹部59a、59b、86a、86bがそれぞれ設けられている。第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの凹部59a、59b、86a、86bが設けられた側壁とは反対側の側壁の先端部は、円盤部材79、99の外周にそれぞれ接続されており、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bは円盤部材79、99を中心として左右位置に配置されている。
円盤部材79、99の片面を表面、他の面を裏面とすると第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの凹部59a、59b、86a、86bが形成された側壁は、円盤部材79、99の表面側に突き出されている。
磁界形成装置62、82は、図1に示した磁界形成装置52と同様に表面42、44と裏面41、43に反対の極性の磁極がそれぞれ形成されており、磁界形成装置62、82は裏面41、43を円盤部材79、99側に向けて円盤部材の表面上に配置され(図3、図4(a))、表面42、44が第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの円盤部材79、99上に突き出された方向に向けられている(図3、図4(b))。
円盤部材79、99と第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bは真空雰囲気よりも透磁率が高い透磁性材料でそれぞれ構成されており、従って、第一、第二の磁極を結ぶ磁力線のうち、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bに近い部分は第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bと円盤部材79、99を通り、遠い部分は磁界形成装置62、82の表面42、44上の空間を通る。
第一、第二の磁極を結ぶ磁力線は、磁界形成装置62、82の表面42、44上では、該表面42、44と略垂直に伸びており、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの凹部59a、59b、86a、86b側の側壁の端部近傍では、磁界形成装置62、82の表面42、44上の磁力線とは異なる角度で伸びるように構成されている。
ここでは、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの凹部59a、59b、86a、86b側の側壁の端部近傍では、磁力線が磁界形成装置62、82の表面42、44と略平行に伸びるようにされており、従って第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの凹部59a、59b、86a、86bが形成された側の側壁の端部と、磁界形成装置62、82の表面42、44とを結ぶ磁力線は、その表面42、44上で湾曲している。
第一、第二の磁極を結ぶ磁力線は、円盤部材79、99内と第一の腕部材69a、89a内を通るものと、円盤部材79、99内と第二の腕部材69b、89b内を通るものがあり、磁界形成装置62、82の裏面41、43と、円盤部材79、99の外周側で磁力線が収束され、磁界形成装置62、82の表面42、44上の磁力線が第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの端部でそれぞれ収束されるように構成されている。
第一の腕部材69a、89a内を通る磁力線を第一の磁力線5aとし、第二の腕部材内を通る磁力線を第二の磁力線5bとし、磁力線を収束させる部材をヨークとすると、円盤部材79、99の第一の磁力線5aが通る部分と第一の腕部材69a、89aとで第一のヨーク55a、85aが構成され、円盤部材79、99の第二の磁力線5bが通る部分と第二の腕部材69b、89bとで第二のヨーク55b、85bが構成されている。
ここでは、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bは同じ材質同じ形状にされており、磁界形成装置62、82は円盤部材79、99の略中央に位置し、第一、第二のヨーク55a、55b、85a、85bは同じ面積が磁界形成装置62、82の裏面と面するようになっているから、第一、第二の磁力線5a、5bの磁束量は略等しくなっている。
第一、第二の同軸型蒸着源3a、3b、83a、83bは第一例の成膜装置1の同軸型蒸着源3と同じ構成である。
第一、第二の同軸型蒸着源3a、3b、83a、83bのアノード電極(第一、第二のアノード電極)32a、32b、46a、46bは凹部59a、59b、86a、86bにそれぞれ挿通され、蒸気を放出する開口(第一、第二の開口)39a、39b、49a、49bがそれぞれ磁界形成装置62、82の外周よりも外側の領域で、磁界形成装置62、82の表面42、44の上方位置に向けられており、従って、第一、第二の開口39a、39b、49a、49bから放出される蒸気は同じ磁界形成装置62、82の表面42、44の上方位置に向かってそれぞれ飛行する。
第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの凹部59a、59b、86a、86b側の側壁の端部は、磁界形成装置62、82の表面42、44からの高さが第一、第二の開口39a、39b、49a、49bよりもそれぞれ高くなっている。
第一の腕部材69a、89aの凹部59a、86a側の側壁の端部に入る又は出る磁力線5aは、第一の開口39a、49a近傍を通り、第二の腕部材69b、89bの凹部59b、86b側の側壁の端部に入る又は出る磁力線5bは、第二の開口39b、49b近傍を通るようになっており、従って第一の開口39a、49aから放出される蒸気は、第一の腕部材69a、89aの側壁端部と、磁界形成装置62、82の表面42、44とを結ぶ第一の磁力線5aに入射し、第二の開口39b、49bから放出される蒸気は、第二の腕部材69b、89bと磁界形成装置62、82の表面42、44とを結ぶ第二の磁力線5bに入射する。
上述したように、正の微小荷電粒子はクーロン力によって電子に引き付けられて飛行方向が曲げられるから、第一の開口39a、49aから放出される正の微小荷電粒子は第一の磁力線5aに巻きついて移動して磁界形成装置62、82の表面42、44に向かい、第二の開口39b、49bから放出される正の微小荷電粒子は第二の磁力線5bに巻きついて移動して磁界形成装置62、82の表面42、44に向かう。
磁界形成装置62、82の表面42、44上には基板ホルダ67、87が配置されている。成膜対象物68、88は薄膜が形成される面とは反対側の裏面を磁界形成装置62、82の表面42、44に向けて基板ホルダ67、87に保持され、成膜対象物68、88の表面に第一、第二の磁力線5a、5bの両方が通るようになっている。ここでは、第一、第二の磁力線5a、5bの成膜対象物68、88の表面を通る部分は、成膜対象物68、88の表面に対して略垂直になっている。
上述したように、正の微小荷電粒子は磁力線5に巻きついて移動するから、成膜対象物68、88の表面には第一の磁力線5aに巻きついて移動する微小荷電粒子と、第二の磁力線5bに巻きついて移動する微小荷電粒子の両方が入射する。
磁力線同士は交わらないから、第一の磁力線5aに巻きついて移動する微小荷電粒子と、第二の磁力線5bに巻きついて移動する微小荷電粒子は、成膜対象物68、88表面の別々の領域に入射する。
図5、6の符号A、Cは第一の磁力線5aに巻きついて移動する微小荷電粒子が入射する領域(第一の領域)を示し、同図の符号B、Dは第二の磁力線5bに巻きついて移動する微小荷電粒子が入射する領域(第二の領域)を示している。
微小荷電粒子は第一、第二の磁力線5a、5bに巻き付いて移動する時に拡散するから、第一、第二の磁力線5a、5bが通る領域の境界近傍で第一、第二の領域A、B、C、Dは重なり合い、その重なり領域M、Nには第一の磁力線5aに巻きついて移動する微小荷電粒子と、第二の磁力線5bに巻きついて移動する微小荷電粒子の両方が入射する。
第一、第二のアノード電極32a、32b、46a、46bと蒸着材料(ここでは不図示)との間にそれぞれアノード電圧した状態で、第一、第二の同軸型蒸着源3a、3b、83a、83b内部でトリガ放電をそれぞれ発生させ、第一、第二の同軸型蒸着源3a、3b、83a、83b内でアノード電流を同期して流すと、第一、第二の開口39a、39b、49a、49bから蒸着材料の微小荷電粒子が放出され、上記重なり領域M、Nには、第一の開口39a、49aから放出された正の微小荷電粒子と、第二の開口39b、49bから放出された正の微小荷電粒子とが一緒に到達する。
第一、第二の同軸型蒸着源3a、3b、83a、83bの蒸着材料が互いに異なる金属材料で構成された場合には、重なり領域M、Nに異なる金属材料の正の微小荷電粒子が到達し、合金が生成される。
合金が生成されるときに、成膜対象物68、88物に電圧を印加しない場合には、重なり領域M、Nに合金膜が形成され、成膜対象物68、88に上述したパルス状の負電圧を印加した場合には、重なり領域M、Nに合金が注入されて、表面が改質される。
このように重なり領域M、Nでは合金の成膜又は注入が行われるが、第一、第二の領域A、B、C、Dの重なり領域M、N以外の部分には第一又は第二の磁力線5aのいずれか一方に巻きついて移動する微小荷電粒子だけが到達するから、合金が生成されず、1種類の蒸着材料の薄膜が形成されるか、1種類の蒸着材料だけが注入される。
図7は、第二例の成膜装置6において、第一、第二の領域A、Bの重なり領域M、N以外の部分を成膜対象物68から遮蔽するために、成膜対象物68の表面上にマスク65を配置した場合を示している。
重なり領域Mの場所や広さは予め求められており、マスク65には重なり領域Mに応じた形状の開口74を設けておく。そのマスク65を開口74が第一の磁力線5aが通る領域と第二の磁力線5bが通る領域との境界近傍に位置するように配置すると、開口74内には成膜対象物68表面の重なり領域Mが露出し、第一、第二の領域A、Bが重ならない部分は露出せずにマスク65で覆われる。
従って、第一、第二の開口39a、39bから蒸気を一緒に放出させた場合には、重なり領域Mだけに微小荷電粒子が到達して合金膜の形成又は合金の注入が行われ、重なり領域M以外には微小荷電粒子が到達しない。
平面形状がマスク65の開口74よりも広く、外周が開口74からはみ出すような大型の成膜対象物68に合金膜の形成又は合金の注入を行う場合、第一、第二の39a、39bから蒸気を一緒に放出しながら、成膜対象物68を同一平面内で回転させる。具体的には、基板ホルダ67を回転手段(ここでは不図示)に接続し、該回転手段で基板ホルダ67を回転させることで、成膜対象物68を同一平面内で回転させる。
成膜対象物68を回転させるときに、成膜対象物68の回転中心がマスク65の開口74内に位置し、かつ、該開口74に成膜対象物68の縁から回転中心を挟んで反対側の縁までが露出するようにすれば、成膜対象物68表面の全領域に合金膜の形成又は又は合金の注入が行われる。
次に、微小荷電粒子の飛行方向と、成膜領域との関係を説明すると、図5は第一、第二のアノード電極32a、32bの中心軸線(第一、第二の中心軸線13a、13b)が互いに平行な場合を示しており、第一、第二の中心軸線13a、13bが互いに平行な場合は、微小荷電粒子の第一、第二の開口39a、39bから放出された直後の飛行方向は互いに平行であり、その飛行方向180°の角度で交叉する。
微小荷電粒子の第一、第二の開口39a、39bから放出された直後の飛行方向が互いに平行な場合と、その飛行方向が平行でなく、図6に示したように90°未満の角度で交叉する場合、即ち、第一、第二の中心軸線15a、15bが90°未満の角度で交叉する場合との実験結果を比べると、90°未満の角度で交叉した方が、第一、第二の領域C、Dの重なり領域Nの面積が顕著に広くなり、より大面積に合金を注入することができる。
尚、第一、第二の中心軸線13a、13b、15a、15bが成す角度とは成膜対象物68、88表面と平行な平面上の線分、即ち、第一、第二の中心軸線13a、13b、15a、15bを成膜対象物68、88の表面に投影させた線分の成す角度のことである。
微小荷電粒子の第一、第二の開口49a、49bから放出された直後の飛行方向が90°未満で交叉する場合も、成膜対象物88の表面上にマスク95を配置して、開口75内に重なり領域Nを露出させ、第一、第二の領域C、Dの重なり領域N以外の部分をマスク95で覆えば、成膜対象物88の表面には1種類の蒸着材料の膜、又は1種類の蒸着材料だけの注入が行われず、合金の成膜、又は合金の注入だけが行われる。
微小荷電粒子の第一、第二の開口49a、49bから放出された直後の飛行方向が90°未満で交叉する場合、重なり領域Nの面積が顕著に広くなるから、マスク75の開口を大面積にすることが可能であり、より大型の成膜対象物88の表面改質を行うことができる。
尚、第二、第三例の成膜装置6、9の運転条件の一例を述べると、第一、第二の同軸型蒸着源3a、3b、83a、83bの蒸着材料にそれぞれレニウム(Re)とイリジウム(Ir)を用いる場合、成膜対象物68、88に印加する負電圧は約5μs(休止期間:5μs:デュティ:50%)で、5kVの負電圧であり、放電時間tは100〜200μ秒であり、1つの金型(成膜対象物68、88)に所定回数(30〜100回)のトリガ放電を繰り返す。
レニウム量をイリジウムより多く含有させたい場合は放電パラメータであるアーク電圧(V)やコンデンサ容量(C)をイリジウムより高い値に設定すると、放電量が多くなる。即ち、成膜量(S)はCV2に比例する。
以上は蒸着材料がReとIrの場合について説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、種々の金属材料の合金の成膜、又は合金の注入に用いることができる。蒸着材料としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルト、鉄、ニッケル等の金属材料の他にも、グラファイト等金属材料以外の無機材料も用いることができる。
同軸型蒸着源の数は1個又は2個に限定されず、3個以上同じ真空槽2内に設けてもよい。
アノード電極32の形状も特に限定されず、放出部30を取り囲む形状のものであれば、円筒状、角筒状等種々の形状のものを用いることができる。
本発明の成膜装置1、6、9は、金型の表面改質だけではなく、ダイヤモンドライクカーボンや半導体の高誘電体膜、絶縁膜、銅薄膜、磁性薄膜、高融点金属膜等の成膜にも用いることができる。アノード電極32の材質も特に限定されず、ステンレス、インコネル等種々の材質のものを用いることができる。
磁界形成装置52、62、82の形状は板状に限定されず、リング状、柱状等種々の形状のものを用いることができる。磁界形成装置52、62、82の材質も特に限定されず、フェライト製の磁性材料や、サマリウム・コバルト製の磁性材料、それらを複合した永久磁石の他、電磁石を用いることもできる。磁界形成装置52、62、82を1つの永久磁石、又は1つの電磁石で構成してもよいし、2つ以上の永久磁石、又は2つ以上の電磁石で構成してもよい。2つ以上の磁石で磁界形成装置52、62、82を構成する場合には、各磁石の磁極の向きが同じになるように配置する。
ヨーク部材55や、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bの形状はL字形状に限定されず、内部で磁力線の向きが曲がるように折り曲げられた形状のものであれば、例えば、弧状であってもよいし、直線状のヨークを複数個接続したもので構成してもよい。
ヨーク部材55や、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bに形成する凹部59、59a、59b、86a、86bは貫通孔からなるものに限定されず、アノード電極32、32a、32b、46a、46bを挿通可能なものであれば、ヨーク部材55や、第一、第二の腕部材69a、69b、89a、89bをS字状又は弧状に湾曲させて凹部を形成してもよい。
以上はトリガ放電を一緒に起こしてアノード電流を同期させ、第一、第二の開口39a、39b、49a、49bから同時に蒸気を放出させる場合について説明したが本発明はこれに限定されず、トリガ放電を別々に起こし、第一、第二の開口39a、39b、49a、49bから別々に蒸気を放出させて、成膜対象物68、88表面に積層膜を形成することもできる。
また、真空槽2に反応ガス供給系を接続し、真空槽2内部に反応ガスを供給しながら蒸着材料の蒸気の放出を行って、蒸着材料と反応ガスの反応物の膜の形成、又は反応物の注入を行うこともできる。
本発明第一例の成膜装置を説明する断面図 (a):アーク放電の放電電流量と放電時間との関係を説明するグラフ、(b):成膜対象物に印加する負電圧の波形を説明するグラフ 本発明第二例の成膜装置を説明する断面図 (a)、(b):本発明第三例の成膜装置を説明する斜視図 本発明第二例の成膜装置の第一、第二の領域を説明する平面図 本発明第三例の成膜装置の第一、第二の領域を説明する平面図 本発明第二例の成膜装置にマスクを設けた場合を説明する断面図 従来技術の成膜装置を説明する断面図
符号の説明
1……成膜装置 2……真空槽 3、3a、3b、83a、83b……第同軸型蒸着源(第一、第二の同軸型蒸着源) 5、5a、5b……磁力線(第一、第二の磁力線) 7、68、88……成膜対象物 12……バイアス電源 31……蒸着材料 32、32a、32b、46a、46b……アノード電極(第一、第二のアノード電極) 39、39a、39b、49a、49b……開口(第一、第二の開口)

Claims (7)

  1. 真空槽と、
    第一の蒸着材料を取り囲む第一のアノード電極の第一の開口から前記真空槽内に前記第一の蒸着材料の蒸気を放出する第一の同軸型蒸着源とを有する成膜装置であって、
    前記第一の開口は成膜対象物とは離間した位置に向けられ、
    前記真空槽内に配置され、前記成膜対象物を貫通し、前記成膜対象物上で湾曲した第一の磁力線を形成する磁界形成装置と、
    前記第一の蒸着材料と前記第一のアノード電極の間に第一のアーク電流を流すアーク電流源と、
    前記第一のアーク電流が流れている間に、前記成膜対象物に複数回断続して負電圧を印加するバイアス電源とを有する成膜装置。
  2. 湾曲した第一のヨーク部材を有し、
    前記第一のヨーク部材の一端には第一の凹部が形成され、
    前記磁界形成装置は前記第一のヨーク部材の他端上に配置され、
    前記成膜対象物は前記磁界形成装置の前記第一のヨーク部材とは反対側に配置され、
    前記第一のアノード電極は前記第一の凹部に挿通された請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記第一の蒸着材料とは異なる材料の第二の蒸着材料を取り囲む第二のアノード電極の第二の開口から前記真空槽内に前記第二の蒸着材料の蒸気を放出する第二の同軸型蒸着源を有し、
    前記第二の開口は、前記成膜対象物とは離間した位置に向けられた請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の成膜装置であって、
    前記磁界形成装置は、前記第二の開口と前記成膜対象物の表面との間を湾曲した第二の磁力線で結ぶように構成された成膜装置。
  4. 湾曲した第二のヨーク部材を有し、
    前記第二のヨーク部材の一端には第二の凹部が形成され、
    前記第二のヨーク部材の他端は前記磁界形成装置の前記第一のヨーク部材が配置された側に位置し、
    前記第二のアノード電極は、前記第二の凹部に挿入された請求項3記載の成膜装置。
  5. 前記第一、第二の開口から放出される前記第一、第二の蒸着材料の飛行方向は、90°未満の角度で交叉された請求項3又は請求項4のいずれか1項記載の成膜装置。
  6. 前記成膜対象物上には、前記第一の磁力線の経路と前記第二の磁力線の経路の間に開口を有するマスク部材が配置された請求項3乃至請求項5記載のいずれか1項記載の成膜装置。
  7. 前記アーク電流源は、前記第二の蒸着材料と前記第二のアノード電極の間に、前記第一のアノード電流と同期した第二のアノード電流を流すように構成された請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載の成膜装置。
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