JP2005276520A - 電子銃 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空成膜装置や真空溶接装置等において、照射対象材の溶解や蒸発等の最中に電子ビームの加速電圧を変化させて該電子ビームの強弱を変えた場合でも、常に一定の照射対象材に確実に電子ビームを照射できるようにし、各々の照射対象材における最適条件で溶解、蒸発又は溶接等を行うことを可能にする。
【解決手段】フィラメント2に電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビーム3とし、該電子ビームを磁界により偏向させて所定の照射対象材55に照射するように構成された電子銃において、永久磁石4と電磁石5,6とを組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に制御して永久磁石と電磁石から生じる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とする。
【選択図】 図7
【解決手段】フィラメント2に電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビーム3とし、該電子ビームを磁界により偏向させて所定の照射対象材55に照射するように構成された電子銃において、永久磁石4と電磁石5,6とを組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に制御して永久磁石と電磁石から生じる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とする。
【選択図】 図7
Description
本発明は、主としてターゲットに薄膜を形成する真空成膜装置や真空溶接装置等に使用される電子銃に係り、特に電子ビームを偏向させるために永久磁石と電磁石とを組み合わせて使用し、その総合磁界を電気的に制御して電子ビームを任意の位置に照射できるようにしたことで、照射対象材の溶解や蒸発等の最中に電子ビームの加速電圧を変化させて該電子ビームの強弱を変えた場合でも、常に一定の照射対象材に確実に電子ビームを照射でき、各々の照射対象材における最適条件で溶解、蒸発又は溶接等を行うことが可能な電子銃に関する。
電子銃は、フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから熱電子を放出させ、該熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを磁界により偏向させて所定の照射対象材、例えばるつぼ内の蒸発材料に照射するように構成されている。
るつぼ内の照射対象材に到達した電子ビームを該るつぼ内で走査させるための磁束発生源としては、従来より電磁石が用いられていたが、そもそも電子ビームを偏向させてるつぼ内の照射対象材に到達させるための磁界発生源としては、従来永久磁石が単独で用いられ、その磁界の強さは、電子ビームの加速電圧に応じて決定し、例えば加速電圧が小さいときは磁界が弱い永久磁石を使用し、加速電圧が大きいときは、磁界が強い永久磁石を使用していた。
電子ビームの加速電圧を常に一定にして使用するのであれば永久磁石でも問題はないが、例えば真空蒸着に使用する蒸発材料には、二酸化シリコン、フッ化マグネシウム等の低融点材、一酸化シリコン等の低昇華材もあれば、アルミニウム、シリコン、タンタル又はチタン等の金属材、二酸化チタン等の高融点材もあり、各材料により最適な加速電圧が存在する。
永久磁石の磁界の強さを補正しないまま加速電圧を高くすると、該永久磁石では電磁力が不足して電子ビームを十分に偏向させることができず、該電子ビームは照射対象材を越えて行き過ぎてしまう。逆に加速電圧を低くすると、電磁力が過大となり照射対象材に届かなくなってしまう。
このため従来は加速電圧を変える度に、永久磁石の磁界の強さを補正する必要があり、その手段として、例えば永久磁石近傍にシャント板(例えば、鉄板)を配置し、加速電圧に応じて該シャント板の厚さを変更したり、また永久磁石そのものを適当な磁界の強さを有するものに取り替えていた。
しかしシャント板等の交換作業が必要となるために効率が悪く、またシャント板を取り替える等しても、そのシャント板が取り付けられている間はそのシャント板の厚さに応じた磁界で一定しており、例えば蒸着工程中に電子ビームの加速電圧を任意に調節することはできず、また蒸発材料を二種類以上使用する場合には、各々の蒸発材料に対応した複数台の電子銃を必要とする場合があった。
永久磁石と電磁石とを組み合わせ、電磁石を夫々電気的に制御して総合的な磁界を変化させることは従来から行われていることであるが、これを電子銃に用いたものはこれまで存在していなかった。
なお、本願出願人及び発明者は、本願発明に関連する公知特許文献又は公知非特許文献を知らないので、その記載を省略する。
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、永久磁石と電磁石とを組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に制御して永久磁石と電磁石から生じる総合磁界を変化させるように構成することによって、電子ビームの加速電圧を変化させた場合でも、該電子ビームを一定の照射対象材に照射し、かつ該照射対象材に対する電子ビームの走査を行うことができるようにすることであり、またこれによって真空蒸着や真空溶接等の工程中に任意に加速電圧を変化させることができるようにして、照射対象材やその環境に応じて最適な条件で電子ビームを照射できるようにすることである。
また他の目的は、上記構成により、永久磁石の交換作業や、該永久磁石近傍のシャント板の交換作業を不要にして、真空蒸着や真空溶接等の工程を効率化できるようにすることである。
更に他の目的は、フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを永久磁石の磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、永久磁石に電磁石を組み合わせ、電磁石の磁界を電気的に制御して、永久磁石の磁界に対して電磁石の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成することによって、例えば最適な加速電圧が夫々異なる二種類以上の蒸発材料を照射対象材とする場合でも1台の電子銃で電子ビームの加速電圧を変えながら常に最適な溶解、蒸発等を行うことができるようにすることであり、またこれによって異常蒸発等の不具合の発生を防止し、かつ真空成膜(蒸着)装置や真空溶接装置等の電子銃を使用する装置の製造コスト及びランニングコストを低減させることである。
また他の目的は、上記構成において、永久磁石の両極に夫々直列に電磁石を組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に夫々個別に制御して、永久磁石の一定の磁界に対して複数の電磁石の個別の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成することによって、照射対象材となる各種の材料に応じて電子ビームの加速電圧を強めたり弱めたりしたときに、該加速電圧に応じて電子ビームを照射対象材に照射させるために必要な総合磁界を直ちにかつ正確に作り出すことができるようにすることである。
更に他の目的は、電磁石の両極に夫々直列に永久磁石を組み合わせることによって、電子ビームを照射対象材に照射させるために必要な総合磁界を低コストで自在に変化させることができるようにすることである。
また他の目的は、上記構成において、電磁石の磁界を、該電磁石に供給する電流、電圧又は電力により制御するように構成することによって、電磁石の磁界の制御における自由度を増加させ、電磁石の長寿命化及びコスト低減を図ることである。
要するに本発明(請求項1)は、フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、永久磁石と電磁石とを組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に制御して前記永久磁石と前記電磁石から生じる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とするものである。
また本発明(請求項2)は、フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを永久磁石の磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、前記永久磁石に電磁石を組み合わせ、前記電磁石の磁界を電気的に制御して、前記永久磁石の磁界に対して前記電磁石の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とするものである。
また本発明(請求項3)は、フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを永久磁石の磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、前記永久磁石の両極に夫々直列に電磁石を組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に夫々個別に制御して、前記永久磁石の一定の磁界に対して前記複数の電磁石の個別の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とするものである。
また本発明(請求項4)は、フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを永久磁石の磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、電磁石の両極に夫々直列に前記永久磁石を組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に制御して、前記永久磁石の一定の磁界に対して前記電磁石の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とするものである。
また本発明(請求項5)は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子銃において、電磁石の磁界を、該電磁石に供給する電流、電圧又は電力により制御するように構成したことを特徴とするものである。
本発明は、上記のようにフィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、永久磁石と電磁石とを組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に制御して永久磁石と電磁石から生じる総合磁界を変化させるように構成したので、電子ビームの加速電圧を変化させた場合でも、該電子ビームを一定の照射対象材に照射し、かつ該照射対象材に対する電子ビームの走査を行うことができる効果があり、またこの結果真空蒸着や真空溶接等の工程中に任意に加速電圧を変化させることができ、照射対象材やその環境に応じて最適な条件で電子ビームを照射できるという効果が得られる。
また上記構成としたので、永久磁石の交換作業や、該永久磁石近傍のシャント板の交換作業を不要にし得、真空蒸着や真空溶接等の工程を効率化できる効果がある。
更にフィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを永久磁石の磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、永久磁石に電磁石を組み合わせ、電磁石の磁界を電気的に制御して、永久磁石の磁界に対して電磁石の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成したので、例えば最適な加速電圧が夫々異なる二種類以上の蒸発材料を照射対象材とする場合でも1台の電子銃で電子ビームの加速電圧を変えながら常に最適な溶解、蒸発等を行うことができる効果があり、またこの結果異常蒸発等の不具合の発生を防止し、かつ真空成膜(蒸着)装置や真空溶接装置等の電子銃を使用する装置の製造コスト及びランニングコストを低減させる効果が得られる。
また上記構成において、永久磁石の両極に夫々直列に電磁石を組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に夫々個別に制御して、永久磁石の一定の磁界に対して複数の電磁石の個別の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成したので、照射対象材となる各種の材料に応じて電子ビームの加速電圧を強めたり弱めたりしたときに、該加速電圧に応じて電子ビームを照射対象材に照射させるために必要な総合磁界を直ちにかつ正確に作り出すことができる効果がある。
更に上記構成において、電磁石の両極に夫々直列に永久磁石を組み合わせたので、電子ビームを照射対象材に照射させるために必要な総合磁界を低コストで自在に変化させることができるという効果が得られる。
また上記構成において、電磁石の磁界を、該電磁石に供給する電流、電圧又は電力により制御するように構成したので、電磁石の磁界の制御における自由度を増加させ、電磁石の長寿命化及びコスト低減を図ることができるという効果が得られる。
以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。本発明に係る電子銃1は、図1から図5及び図7において、フィラメント2に電流を流すことにより該フィラメント2から放出される熱電子(図示せず)を収束させると共に加速させて電子ビーム3とし、該電子ビーム3を永久磁石4の磁界により偏向させて所定の照射対象材55に照射するように構成され、永久磁石4の両極に夫々直列に電磁石5,6を組み合わせ、該電磁石5,6の磁界を電気的に夫々個別に制御して、永久磁石4の磁界に対して複数の電磁石5,6の個別の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成されている。
永久磁石4は、例えばサマリウム−コバルト(Sm-Co )磁石等であって、N極からS極(いずれも図示せず)への磁力線の方向が水平となるように、本体となる銅ブロック12のうち、るつぼ8の下方となる位置に取り付けられている。
電磁石5,6は、例えば円柱状のフェライト等の磁性体9に導線を例えば300乃至600回巻き付けてなるものであり、該導線がコイル10を構成し、該導線の両端がリード線11となっている。電磁石5,6の両端にはつば部15が夫々形成されている。
電磁石5,6は、図4及び図5に示すように、永久磁石4を中心にし、その両極に磁性体7を介して夫々直列に取り付けられ、永久磁石4の磁束の方向と電磁石5,6の磁束の方向が一致するようになっている。
永久磁石4と電磁石5,6は、組み合わされた状態でベース板13上に取り付けられ、また銅ブロック12もOリング25を介して該ベース板13上にねじ18により取り付けられている。
永久磁石4と電磁石5,6にはねじ17により保護カバー14が取り付けられ、更に該保護カバー14に隣接してシャント板16が取り付けられている。
なお、永久磁石と電磁石との組合せは、図11に示すように、電磁石64の両極に夫々直列に永久磁石65,66を組み合わせ、該電磁石64の磁界を電気的に制御して、永久磁石65,66の一定の磁界に対して電磁石64の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成してもよい。
この場合において、電磁石64は、例えば磁性体68に導線を巻き付け、コイル69としたものである。また永久磁石65,66の極性は、例えば夫々同じ向きとなるように揃えられている。
ベース板13には、Oリング19を介して冷却水給排水口20がねじ21により取り付けられており、該冷却水給排水口20には図示しないホース等が接続金具22、Oリング23及びナット24を用いて接続されるようになっている。
銅ブロック12の両側面には、第2ポールピース取付け部26がねじ28により夫々取り付けられ、該第2ポールピース取付け部26上には、ねじ29により第2ポールピース30が夫々取り付けられている。第2ポールピース30上には、ねじ31により第1ポールピース32が夫々取り付けられている。銅ブロック12上には、ねじ34により一対の第3ポールピース33が取り付けられている。
銅ブロック12の下部には、電子ビーム発生源35が配設されている。給電部36がブラケット38及びねじ39により銅ブロック12に取り付けられ、該給電部36にフィラメント2が取り付けられている。
フィラメント2の近傍には、ウェーネルト41及びアノード42がねじ43により夫々取り付けられており、フィラメント2から飛び出した熱電子を収束させると共に湾曲させて、上方に加速させるようになっている。
銅ブロック12のうち、電子ビーム3の進行方向となる上方には、該電子ビーム3をるつぼ8の方向に偏向させると共に、該るつぼ8で走査させるためのスキャンコイル部45が取り付けられている。
スキャンコイル部45には、電子ビーム3を左右方向に偏向させる一対の電磁石46と、前後方向に偏向させる電磁石48とから構成され、3個の電磁石46,48をブラケット49に固定した状態で、ねじ50により銅ブロック12に取り付けられている。スキャンコイル部45には、ケーブル51を通じて給電を行うようになっている。
銅ブロック12の中央には、上下に貫通した電子ビーム通路12aが形成されており、該電子ビーム通路12aを三方向から囲むように、電磁石46,48が配置されている。
電子ビーム通路12aには、電磁石46,48の露出を防止するための保護カバー52が取り付けられ、更に銅ブロック12の上部を覆うように銅カバー53がねじ54により取り付けられている。銅カバー53には、電子ビーム3が通過可能な切欠き53aが形成されている。
なお、上記構成において、シャント板16、第2ポールピース取付け部26、第2ポールピース30、第1ポールピース32、第3ポールピース33は例えばフェライト系の磁性体である。
本発明は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図6において、フィラメント2に電流を流すと、該フィラメントが発熱し、熱電子(図示せず)が放出される。
アノード42には、グランド電位又はプラス電位に電圧が印加されているので、熱電子はアノード42に引かれて加速し収束して電子ビーム3となる。
ここでウェーネルト41には、マイナス電位の高電圧が印加されているので、電子ビーム3は直接アノード42に向かうことができず、上方向(矢印A方向)に偏向しながら進む。
ここで、電子ビーム3は、永久磁石4及び電磁石5,6の磁界により矢印B方向、矢印C方向と偏向しながら進み、るつぼ8内の照射対象材55に矢印D方向に到達する。るつぼ8内においては、スキャンコイル部45の磁界を制御して電子ビーム3を走査することにより、照射対象材55を均一に溶解又は蒸発させることができる。
電磁石5,6の磁界は、該電磁石5,6に供給する電流、電圧又は電力により電気的に制御される。例えば図7においては、電磁石5,6の磁界を電力により制御しており、図9においては、電流極性により制御している。なお、電力による制御とは、電圧及び電流の双方による制御を意味しており、また電流による制御には電流極性の切替えも含まれ、電流の可変範囲は、例えば0乃至2Aである。
電磁石5,6に電流を供給していないときには、永久磁石4及びシャント板16により構成される一定の磁界によって電子ビーム3の照射位置が決まる。
電磁石5,6に対して、永久磁石4の磁界を強める方向に電流を供給すると、電磁石5,6の個別の磁界が永久磁石4に作用し、該永久磁石4よりも強い総合磁界が得られる。
逆に電流極性を切り替えて永久磁石4の磁界を弱める方向に電流を供給すると、電磁石5,6の個別の磁界の強さに応じて永久磁石4の磁界が相殺され、永久磁石4よりも弱い総合磁界が得られる。
電磁石5,6については、夫々同一の電流を同一の電圧で供給してもよいし、また同一又は異なる電流を同一又は異なる電圧で供給して、各々の磁界の強さが異なるようにしてもよい。総合磁界を変化させることができればよいからである。
電子ビーム3の加速度電圧は、通常5乃至7kVの範囲内であるが、これよりも広い範囲、例えば±4kVの間で変化させても、それに応じて総合磁界を変化させることで、電子ビーム3を一定の位置(例えば、るつぼ8)に照射し続けることが可能である。
即ち、るつぼ8内の照射対象材55が低融点材の場合に、電子ビーム3のエネルギを弱くするために加速電圧を低くすると、そのままでは電子ビーム3がるつぼ8に届かないことになるが、永久磁石4及び電磁石5,6による総合磁界を弱めることで、図8及び図10に示すように、るつぼ8に電子ビーム3を到達させることができ、該るつぼ内の照射対象材55を溶解又は蒸発等させることができる。この際、照射対象材55に適したエネルギで電子ビーム3を照射しているので、異常蒸発を起こすことがない。
また照射対象材55が金属材や高融点材の場合には、逆に電子ビーム3のエネルギを強めるために加速電圧を高くするが、そのままでは電子ビーム3を十分に偏向させることができず、るつぼ8を越えて行き過ぎてしまうことになるが、永久磁石4及び電磁石5,6による総合磁界を強めることで、るつぼ8に電子ビーム3を照射することができ、少ない電子ビーム電流で照射対象材55を溶解又は蒸発等させることができる。
これによって、真空成膜装置(図示せず)においては、ターゲット(図示せず)であるガラス、合成樹脂基板等に、そのターゲットにとって最適な条件で薄膜を形成することが可能であり、例えば薄膜形成初期は電子ビーム3の加速電圧を高くし、薄膜形成後期は同電圧を低くしたり、また二種類以上の照射対象材55を使用する場合に、各々の材質に最適な加速電圧に随時切り替えて電子ビーム3を照射することが可能である。
なお、本発明における永久磁石4と電磁石5,6とを組み合わせて総合磁界を変化させるという構成は、電子銃1におけるスキャンコイル部45等の主要磁場部にも用いることができる。また本発明に係る電子銃1は、真空成膜装置や真空溶接装置にも使用できる。
1 電子銃
2 フィラメント
3 電子ビーム
4 永久磁石
5 電磁石
6 電磁石
55 照射対象材
64 電磁石
65 永久磁石
66 永久磁石
2 フィラメント
3 電子ビーム
4 永久磁石
5 電磁石
6 電磁石
55 照射対象材
64 電磁石
65 永久磁石
66 永久磁石
Claims (5)
- フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、永久磁石と電磁石とを組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に制御して前記永久磁石と前記電磁石から生じる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とする電子銃。
- フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを永久磁石の磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、前記永久磁石に電磁石を組み合わせ、前記電磁石の磁界を電気的に制御して、前記永久磁石の磁界に対して前記電磁石の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とする電子銃。
- フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを永久磁石の磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、前記永久磁石の両極に夫々直列に電磁石を組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に夫々個別に制御して、前記永久磁石の一定の磁界に対して前記複数の電磁石の個別の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とする電子銃。
- フィラメントに電流を流すことにより該フィラメントから放出される熱電子を収束させると共に加速させて電子ビームとし、該電子ビームを永久磁石の磁界により偏向させて所定の照射対象材に照射するように構成された電子銃において、電磁石の両極に夫々直列に前記永久磁石を組み合わせ、該電磁石の磁界を電気的に制御して、前記永久磁石の一定の磁界に対して前記電磁石の磁界を作用させて得られる総合磁界を変化させるように構成したことを特徴とする電子銃。
- 前記電磁石の磁界を、該電磁石に供給する電流、電圧又は電力により制御するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子銃。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010018826A (ja) * | 2008-07-09 | 2010-01-28 | Nisshin Giken Kk | 蒸着用電子銃 |
JP2012004083A (ja) * | 2010-06-21 | 2012-01-05 | Toshiba Corp | X線管装置 |
RU2446504C1 (ru) * | 2010-08-03 | 2012-03-27 | Учреждение Российской Академии Наук Институт Сильноточной Электроники Сибирского Отделения Ран (Исэ Со Ран) | Сильноточная электронная пушка |
RU2688190C1 (ru) * | 2018-01-10 | 2019-05-21 | Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт сильноточной электроники Сибирского отделения Российской академии наук, (ИСЭ СО РАН) | Устройство для поверхностной обработки массивных металлических изделий |
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2004
- 2004-03-23 JP JP2004085460A patent/JP2005276520A/ja active Pending
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