JP6189823B2 - 角筒電池ケース用アルミニウム合金板 - Google Patents

角筒電池ケース用アルミニウム合金板 Download PDF

Info

Publication number
JP6189823B2
JP6189823B2 JP2014250395A JP2014250395A JP6189823B2 JP 6189823 B2 JP6189823 B2 JP 6189823B2 JP 2014250395 A JP2014250395 A JP 2014250395A JP 2014250395 A JP2014250395 A JP 2014250395A JP 6189823 B2 JP6189823 B2 JP 6189823B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
mass
battery case
alloy plate
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014250395A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016113627A (ja
Inventor
小林 一徳
一徳 小林
小西 晴之
晴之 小西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2014250395A priority Critical patent/JP6189823B2/ja
Priority to CN201510888094.5A priority patent/CN105695803B/zh
Priority to KR1020150175080A priority patent/KR101761026B1/ko
Publication of JP2016113627A publication Critical patent/JP2016113627A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6189823B2 publication Critical patent/JP6189823B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C21/00Alloys based on aluminium
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M50/00Constructional details or processes of manufacture of the non-active parts of electrochemical cells other than fuel cells, e.g. hybrid cells
    • H01M50/10Primary casings; Jackets or wrappings
    • H01M50/116Primary casings; Jackets or wrappings characterised by the material
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池ケース等に用いられる角筒電池ケース用アルミニウム合金板に関する。
携帯電話やノート型パソコン等の電源として、リチウムイオン二次電池が広く使用されているが、その優れた特性により、近年、電気自動車やハイブリッド車の電源としても採用され始めている。この二次電池の外装である角筒ケース(以下、角筒電池ケース)の材料には、電池の小型化及び軽量化、そして角筒電池ケース(主として角筒電池ケース本体)に成形するための成形性等を満たすため、アルミニウム合金板が用いられている。
角筒電池ケースは、アルミニウム合金板にプレス加工(深絞り−しごき加工)を加えて製造され、電極剤(電極及び電解液)を入れた後、蓋部材とレーザ溶接される。このため、電池ケース用アルミニウム合金板には、優れたプレス加工性とレーザ溶接性が必要とされる。また、角筒電池ケースには、電池の膨れに対抗する強度又は外部衝撃から電極剤を保護する強度が必要である。
このようなプレス加工性、レーザ溶接性、及び強度(角筒電池ケースにプレス加工後の強度)を備えるアルミニウム合金板として、JIS3005をベースにしたAl−Mn系アルミニウム合金板が多く開発されている(特許文献1〜4参照)。
特開2001−181766号公報 特開2002−294379号公報 特開2003−242937号公報 特開2003−3226号公報
角筒電池ケースは、例えばトランスファープレス機を用い、素材となるアルミニウム合金板にプレス加工(多段絞り−しごき加工)を加えて成形される。しかし、角筒電池ケースが大型化するほど、及び底面の長辺幅/短辺幅比が大きいほど、厳しいプレス加工により、角筒電池ケースに割れや縦すじ状の表面欠陥が発生しやすいという問題がある。
角筒電池ケースの割れは、角筒電池ケースの底面のコーナー部や側壁の底面に近い部位に発生する。この割れが発生する原因として、例えば底面のコーナー部のRが厳しい場合に材料側の変形が追随できないこと、及び多段絞り−しごき加工の前工程で底面のコーナー部であった箇所が、次工程で側面に移動して引っ張られて薄肉化すること等が挙げられる。縦すじ状の表面欠陥は、角筒電池ケースの側壁に形成される細かいキズであり、絞り−しごき加工を受けたアルミニウム合金板が金型に擦れて材料が凝着し、絞り−しごき加工の過程で角筒電池ケースの側壁が、その凝着物を擦りながら往復することによって形成される。なお、この縦すじ状の表面欠陥は角筒電池ケースの強度に影響しないが、角筒電池ケースの見栄えを損なうという問題がある。
本発明は、JIS3005をベースにしたAl−Mn系アルミニウム合金板をプレス加工(多段絞り−しごき加工)して角筒ケースを製造する場合に生じる上記の問題点を解決するためになされたもので、プレス加工性に優れた角筒ケース用アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
本発明に係る角型電池ケース用アルミニウム合金板は、Cuを0.05質量%以上、0.5質量%以下、Mgを0.2質量%以上、0.7質量%以下、Mnを0.8質量%以上、1.5質量%以下、Siを0.2質量%を超え、0.5質量%以下、Feを0.2質量%以上、0.8質量%以下含み、残部がAlと不可避的不純物とからなり、板に含有されるAl−Fe系金属間化合物のうち、Al−Fe−Mn−Si金属間化合物(α相)が50%以上の個数を占め,かつ引張強さが180N/mm以上、200N/mm以下であることを特徴とする。
上記アルミニウム合金板からなる角型電池ケースにおいて、側壁広幅面の硬さは65MHv以上、80MHv以下が適正である。
本発明に係るアルミニウム合金板はプレス加工性に優れ、プレス加工(多段絞り−しごき加工)により角筒電池ケースを製造する場合に、角筒電池ケースに割れや縦すじ状の表面欠陥が発生するのを防止できる。縦すじ状の表面欠陥は、角筒電池ケースの強度に影響しないが、角筒電池ケースを目視したとき、側壁の主として広幅面に縦すじ模様として認識され、それが目立つ場合は、角筒電池ケースの見栄えを損なうという問題がある。この割れや縦すじ状の表面欠陥は、角筒電池ケースが大型で底面の長幅−短幅比が大きいほど生じやすいが、この点を改善した本発明に係るアルミニウム合金板は、大型又は/及び底面の長辺幅/短辺幅比が大きい角筒電池ケースの製造にも好適に適用できる。
また、本発明に係るアルミニウム合金板はレーザ溶接性に優れる。さらに、プレス加工後の角筒電池ケースは、リチウムイオン二次電池用ケースとして適正な強度を有する。
以下、本発明に係る角筒電池ケース用アルミニウム合金板について、より具体的に説明する。
(アルミニウム合金板の組成)
Cu:0.05質量%以上、0.5質量%以下
Cuは、固溶強化によりアルミニウム合金板の強度を高め、角筒電池ケースにプレス加工した後の強度を向上させる作用効果を有する。しかし、Cuの含有量が0.05質量%未満ではこの作用効果は小さく、一方、Cuの含有量が0.5質量%を超えると、強度が高くかつ加工硬化性が大きくなりすぎて、プレス加工で割れが発生する。また、Cuの含有量が0.5質量%を超えると、CW(連続発振式)レーザ溶接でも溶接割れが生じやすくなる。従って、Cu含有量は0.05質量%以上、0.5質量%以下とする。
Mg:0.2質量%以上、0.7質量%以下
Mgは、固溶強化によりアルミニウム合金板の強度を高め、角筒電池ケースにプレス加工した後の強度を向上させる作用効果を有する。しかし、Mgの含有量が0.2質量%未満ではこの作用効果が小さく、一方、Mgの含有量が0.7質量%を超えると、強度が高くかつ加工硬化性が大きくなりすぎて、プレス加工で割れが発生する。また、Mgの含有量が0.7質量%を超えると、CW(連続発振式)レーザ溶接でも溶接割れが生じやすくなる。従って、Mg含有量は0.2質量%以上、0.7質量%以下とする。
Mn:0.8質量%以上、1.5質量%以下
Mnは、母相内に固溶して、アルミニウム合金板の強度を高め、角筒電池ケースにプレス加工した後の強度を向上させる作用効果を有する。しかし、Mnの含有量が0.8質量%未満であるとこの作用効果は小さく、一方、Mnの含有量が1.5質量%を超えると粗大な金属間化合物(Al−Fe−Mn系金属間化合物)が生成し、プレス加工時の割れの起点となりやすく、アルミニウム合金板のプレス加工性が低下する。従って、Mn含有量は0.8質量%以上、1.5質量%以下の範囲とする。
Si:0.2質量%を超え、0.5質量%以下
Siは、他の元素(Al、Fe、Mn)と結びついて、Al−Fe−Mn−Si金属間化合物(α相)を形成する。本発明に係るアルミニウム合金では、このほかにも、Al−Fe−Mn金属間化合物やAl−Fe−Si金属間化合物等のAl−Fe系金属間化合物が形成され、これらの化合物は、母相よりも硬い。これらの金属間化合物は、絞り−しごき加工時に、アルミニウム母相と金型との摩擦力を低下させ、かつ金型に凝着したアルミニウムを削り取り、ケース表面に縦すじ状の表面欠陥が発生するのを防止する作用を有する。これらの金属間化合物のうちAl−Fe−Mn−Si金属間化合物(α相)は、他の金属間化合物と比べて硬いため、アルミニウム材料の金型への凝着を防止する作用も大きく、その結果、角筒電池ケースの側壁に縦すじ状の表面欠陥が発生するのを防止する作用が大きい。しかし、Si含有量が0.2質量%以下ではこの作用が小さい。一方、Si含有量が0.5質量%を超えると、上記作用は飽和し、金属間化合物が粗大化して、これがプレス加工時の割れの起点となりやすく、さらにCW(連続発振式)レーザ溶接でも、溶接割れが発生しやすくなる。従って、Si含有量は0.2質量%を超え、0.5質量%以下とする。好ましくは、Si含有量は0.21質量%以上とする。
Fe:0.2質量%以上、0.8質量%未満
Feは、アルミニウム合金中に形成されるAl−Fe系金属間化合物を基点として、再結晶組織を微細化し、プレス加工性を向上させる作用効果を有する。しかし、Fe含有量が0.2質量%未満であるとこの作用効果は小さく、一方、Fe含有量が0.8質量%を超えるとAl−Fe系金属間化合物が粗大化し、これがプレス加工時の割れの起点となりやすい。従って、Fe含有量は0.2質量%以上、0.5質量%以下とする。
(Al−Fe−Mn−Si金属間化合物の割合)
先に述べたとおり、Al−Fe−Mn−Si金属間化合物(α相)は、他のAl−Fe系金属間化合物に比べて、プレス加工時にケース表面に縦すじ状の表面欠陥が発生するのを防ぐ作用が大きい。アルミニウム合金板中に含まれるAl−Fe系金属間化合物のうち、Al−Fe−Mn−Si金属間化合物が占める個数の割合が50%未満では、後述する実施例に示すとおり、アルミニウム材料が金型に凝着するのを防止してケース表面に縦すじ状の表面欠陥が発生するのを防止する作用が小さい。従って、アルミニウム合金板中に含まれるAl−Fe系金属間化合物のうち、Al−Fe−Mn−Si金属間化合物が占める個数の割合は50%以上とし、そのためには、Si含有量は0.2質量%を超える必要があり、好ましくは0.21質量%以上である。
なお、Al−Fe系金属間化合物には、Al−Fe−Mn−Si金属間化合物のほか、Al−Fe−Mn金属間化合物やAl−Fe−Si金属間化合物が含まれる。
(アルミニウム合金板の引張強さ)
上記アルミニウム合金板の引張強さが180N/mm未満の場合、プレス加工後の角型電池ケースにおいて、実用上必要な強度(ビッカース硬さで65MHv以上)が得られない。一方、アルミニウム合金板の引張強さが200N/mmを超える場合、プレス加工において角型電池ケースの強度が上がりすぎ、割れが発生しやすい。従って、本発明に係るアルミニウム合金板の引張強さは、180N/mm以上、200N/mm以下とする。
(角型電池ケースのビッカース硬さ)
プレス加工して得られた角型電池ケースに実用上必要とされる強度(側壁広幅面の強度)は、ビッカース硬さで65MHv以上である。このビッカース硬さを得るには、プレス加工前のアルミニウム合金板の引張強さが180N/mm以上であることが好ましい。一方、プレス加工前のアルミニウム合金板の引張強さが200N/mmを超える場合、加工後の角型電池ケースの硬さがビッカース硬さで85MHvを超え、プレス加工中に割れが発生しやすい。従って、上記アルミニウム合金をプレス加工して得られた角型電池ケースのビッカース硬さの適正値は、65MHv以上、85MHv以下である。
(アルミニウム合金板の製造)
本発明に係るアルミニウム合金板は、次の工程で製造することができる。
所定成分のアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製し、この鋳塊に面削を施した後に、570℃以上かつアルミニウム合金の融点未満の温度で、好ましくは2時間以上の均質化熱処理を施す。続いて均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延し、次いで冷間圧延し、中間焼鈍で再結晶させた後、最終冷間圧延を行う。最終冷間圧延は、アルミニウム合金板を所定の板厚にするとともに、強度の調整を行うためのもので、アルミニウム合金板の引張強さを200N/mm以下とするには、加工率は30%未満に抑えることが好ましい。
(レーザ溶接)
CW(連続発振式)レーザー溶接は、連続入熱により溶接部の溶融アルミニウムが保温され、流動しやすい状態であり、溶接部の凝固収縮の隙間を溶融アルミニウムが追従するように埋める。このため、パルスレーザ溶接に比べて溶接部に応力が残留せず、アルミニウム合金板のSi、Mg、Cuの含有量が比較的多い場合でも、溶接割れが発生しにくい。また、CWレーザ溶接は高出力であるため、溶接速度を高くし溶接封止作業の生産性を向上させることができ、十分な溶け込み深さを確保できるので、厚みの厚い大型の角型電池ケースの溶接も可能である。
なお、本発明に係るアルミニウム合金板のレーザ溶接には、CWレーザーのほか、パルスレーザーや、パルスレーザとCWレーザーの併用方式も適用できる。
(角型電池ケースの形状、サイズ)
本発明に係るアルミニウム合金は、主として携帯電話やノート型パソコンの電源として用いられる小型の角型電池ケース(特許文献1〜4参照)のほか、車載用の大型の電池ケースの製造にも用いることができる。車載用の大型角型電池ケースは、底面の短幅10mm以上、長幅70mm以上、高さ60mm以上(何れもケース外側のサイズ)、底面の長幅/短幅比は4〜12程度である。
(アルミニウム合金板の作製方法)
表1に示す組成のアルミニウム合金を、溶解、鋳造して鋳塊とし、この鋳塊に面削を施した後に、590℃、570℃又は550℃にて均質化熱処理を施した。この均質化した鋳塊に、熱間圧延、さらに冷間圧延を施してアルミニウム合金板とした後、中間焼鈍を行った。中間焼鈍では、冷間圧延後の圧延板を480℃に加熱し、この温度に30秒保持した後、冷却した。最後に、圧下率25%、18%又は40%で最終冷間圧延を行って板厚1.0mmのアルミニウム合金板(H材)とした。表1に均質化処理の温度及び最終冷間圧延の圧延率を示す。
Figure 0006189823
作製したアルミニウム合金板を用いて、アルミニウム合金板の機械的性質、金属間化合物の分布状態、プレス加工性、プレス加工後のケースのビッカース硬さ、レーザ溶接性を、下記要領で測定及び評価した。その結果を表2に示す。
(板材の機械的性質)
アルミニウム合金板から、引張方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号引張試験片を切り出し、JISZ2241の規定による引張試験を実施し、引張強さ、耐力(0.2%耐力)、及び伸びを測定した。強度の合格基準は、引張強さが180N/mm以上、200N/mm以下とした。
(金属間化合物の分布状態)
アルミニウム合金板から試験片を切り出して樹脂埋めし、圧延面が観察面となるように研磨して鏡面とし、この鏡面化された面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて、加速電圧20KV、倍率500倍の組成(COMPO)像で観察した。母相より白く写る部分をAl−Fe系金属間化合物と見なし、無作為に40個のAl−Fe系金属間化合物を選択した。選択したAl−Fe系金属間化合物についてEDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)測定を行い、Si,Fe,Mnを含む化合物をAl−Fe−Mn−Si金属間化合物(α相)と判断して、その個数(n)をカウントした。続いて、Al−Fe系金属間化合物中に占めるAl−Fe−Mn−Si金属間化合物(α相)の個数の割合((n/40)×100%)を算出した。以下、この割合を簡略化してα相比率という場合がある。
なお、板表面におけるAl−Fe系金属間化合物全体の面積率はいずれの場合も2〜3%であり、大きな差異はなかった。
(プレス加工性)
トランスファープレス加工機を使用し、側壁のしごき加工率を40%として、アルミニウム合金板に多段絞り−しごき加工を施し、底面が短辺15mm×長辺120mm、側壁の高さ90mm(いずれも外側輪郭サイズ)の角型電池ケース本体を成形した。この際、割れがなくプレス加工可能なものをプレス加工性が優れているとして「○」、プレス加工時に割れが発生したものをプレス加工性が劣るとして「×」と判定した。
また、角型電池ケースの側壁の広幅面に生じた縦すじの深さを、WYKO装置(白色光干渉型顕微鏡:Veeco Instruments Inc.社製 のNT3300)を用いて測定した。縦すじの最大深さが2μm以下のものをプレス加工性が優れているとして「○」、最大深さが2μmを超えるものをプレス加工性が劣るとして「×」と判定した。なお、この縦すじはプレス金型に凝着したアルミニウムが、プレス加工中にケース表面を傷つけることにより形成されるものである。縦すじの最大深さが2μm以下のとき、目視評価で特に目立つ縦すじ模様は生じておらず、最大深さが2μmを超えるとき、目視評価で目立つ縦すじ模様が生じていた。
(ケース加工品の硬さ(強度))
得られた角型電池ケース本体の硬さを、マイクロビッカース硬度計を用いて評価した。硬さの測定は、得られた角型電池ケース本体の側壁の広幅面の幅方向中央の底部から、高さ(90mm)の1/4,2/4,3/4高さの部位で行い、3箇所の平均値を求めた。ただし、No.16,18,20,23〜29,32についてはケースに割れが発生したため、割れが発生した部分を避けて側壁の広幅面の幅方向中央から3箇所、前記測定部位になるべく近い部位を選定して硬さの測定を行い、3箇所の平均値を求めた。
(溶接性評価試験)
アルミニウム合金板から30mm×100mmのサイズの試験片を切り出し、CW(連続発振式)ファイバーレーザ(IPGフォトニクスジャパン株式会社製、型式:YLR−10000)を熱源とした溶接加工機を用いて、90mm溶接長でビードオンプレート溶接した。溶接条件は、レーザ出力2.5〜3.0kW、溶接速度6.0m/分、前進角5deg.で、溶接部の溶け込み深さが0.4〜0.5mmとなるようにレーザ出力を調整した。溶接ビードに割れが発生しなかったものはレーザ溶接性が良好として「○」、割れが発生したものはレーザ溶接性が不良として「×」と判定した。
Figure 0006189823
表1,2に示すように、No.1〜14のアルミニウム合金板は、合金組成が本発明の規定を満たし、引張強さと、Al−Fe系金属間化合物中に占めるAl−Fe−Mn−Si金属間化合物の個数の割合(以下、α相比率という)が、本発明の規定範囲内である。No.1〜14は、プレス加工性が優れ、絞り−しごき加工において割れが発生せず、最大深さが2μmを超える縦すじ模様の発生が抑えられている。また、No.1〜14は、角型電池ケースの強度(硬さ)が適正値であるMHv65〜85の範囲内であり、レーザ溶接性にも優れる。
一方、No.15〜32のアルミニウム合金板は本発明の比較例であり、合金組成、引張強さ、α相比率のいずれかが、本発明の規定範囲外である。
No.15はCu含有量が不足するため、No.17は、Mg含有量が不足するため、No.19はMn含有量が不足するため、いずれもアルミニウム合金板の引張強さが小さく、プレス加工後の角型電池ケースの強度(硬さ)が低い。
No.16はCu含有量が過剰なため、No.18はMg含有量が過剰なため、No.20はMn含有量が過剰なため、何れもアルミニウム合金板の引張強さが大きすぎ、プレス加工において割れが発生し、プレス加工後の角筒電池ケースは強度(硬さ)が上がりすぎている。また、No.16,18は、レーザ溶接性も劣る。
No.21,22はSi含有量が不足するため、いずれもα相比率が小さく、プレス加工後の角筒電池ケースの側壁面に最大深さが2μmを超える縦すじ模様が生じていた。
No.23はSi含有量が過剰なため、プレス加工において割れが発生し、レーザ溶接性も劣る。
No.24はFe含有量が不足するため、No.25はFe含有量が過剰なため、いずれもプレス加工において割れが発生した。
No.26はSi及びFe含有量が不足するため、α相比率が小さく、プレス加工において割れが発生し、プレス加工後の角筒電池ケースの側壁面に最大深さが2μmを超える縦すじ模様が形成されていた。
No.27はSi及びFe含有量が過剰なため、アルミニウム合金板の引張強さが大きすぎ、プレス加工において割れが発生し、レーザ溶接性も劣る。
No.28はCu及びMgの含有量が過剰なため、No.29はCu及びMn含有量が過剰なため、いずれもアルミニウム合金板の引張強さが大きすぎ、プレス加工において割れが発生し、プレス加工後の角筒電池ケースは強度(硬さ)が上がりすぎている。No.28,29はレーザ溶接性も劣る。
No.30,31はα相比率が小さいため、プレス加工後の角筒電池ケースの側壁面に最大深さが2μmを超える縦すじ模様が形成されていた。No.30,31においてα相比率が小さかったのは、均質化処理の温度が低すぎためと考えられる。
No.32はアルミニウム合金板の引張強さが200MPaを超えため、プレス加工において割れが発生した。No.32においてアルミニウム合金板の引張強さが200MPaを超えたのは、最終冷間圧延の圧延率が大きすぎたためと考えられる。

Claims (2)

  1. Cuを0.05質量%以上、0.5質量%以下、Mgを0.2質量%以上、0.7質量%以下、Mnを0.8質量%以上、1.5質量%以下、Siを0.2質量%を超え、0.5質量%以下、Feを0.2質量%以上、0.8質量%以下含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる角型電池ケース用アルミニウム合金板において、その中に含有されるAl−Fe系金属間化合物のうち、Al−Fe−Mn−Si金属間化合物が50%以上の個数を占め,かつ引張強さが180N/mm以上、200N/mm以下であることを特徴とする角型電池ケース用アルミニウム合金板。
  2. 請求項1に記載されたアルミニウム合金板からなる角型電池ケースにおいて、その側壁広幅面の硬さが65MHv以上、80MHv以下であることを特徴とする角型電池ケース。
JP2014250395A 2014-12-10 2014-12-10 角筒電池ケース用アルミニウム合金板 Expired - Fee Related JP6189823B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014250395A JP6189823B2 (ja) 2014-12-10 2014-12-10 角筒電池ケース用アルミニウム合金板
CN201510888094.5A CN105695803B (zh) 2014-12-10 2015-12-07 矩形电池壳体用铝合金板
KR1020150175080A KR101761026B1 (ko) 2014-12-10 2015-12-09 각형 전지 케이스용 알루미늄 합금판

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014250395A JP6189823B2 (ja) 2014-12-10 2014-12-10 角筒電池ケース用アルミニウム合金板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016113627A JP2016113627A (ja) 2016-06-23
JP6189823B2 true JP6189823B2 (ja) 2017-08-30

Family

ID=56141120

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014250395A Expired - Fee Related JP6189823B2 (ja) 2014-12-10 2014-12-10 角筒電池ケース用アルミニウム合金板

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6189823B2 (ja)
KR (1) KR101761026B1 (ja)
CN (1) CN105695803B (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109732206A (zh) * 2019-01-30 2019-05-10 华中科技大学 一种适用于可热处理强化铝合金的全流程加工方法
EP4199200A1 (de) * 2021-12-17 2023-06-21 Speira GmbH Hochfestes batteriezellgehäuse für grossformatige batterierundzellen aus einer aluminiumlegierung

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03173733A (ja) * 1989-12-01 1991-07-29 Kobe Steel Ltd 支持基盤用アルミニウム合金軟質材及びその製造法
JP4072804B2 (ja) 1999-12-20 2008-04-09 株式会社神戸製鋼所 電池ケース用アルミニウム合金板
JP3788915B2 (ja) 2001-03-29 2006-06-21 株式会社神戸製鋼所 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP3760262B2 (ja) 2001-06-21 2006-03-29 日本軽金属株式会社 パルスレーザー溶接性に優れたアルミニウム合金板の製造方法
JP3719661B2 (ja) 2002-02-14 2005-11-24 株式会社神戸製鋼所 電池ケース用アルミニウム合金板およびアルミニウム合金製電池ケース
JP4242225B2 (ja) * 2002-10-18 2009-03-25 住友軽金属工業株式会社 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2004232009A (ja) * 2003-01-29 2004-08-19 Kobe Steel Ltd 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法ならびにアルミニウム合金製電池ケース
JP4256269B2 (ja) * 2004-01-19 2009-04-22 住友軽金属工業株式会社 高強度角型電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法
KR100688764B1 (ko) * 2004-03-31 2007-03-02 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 알루미늄 합금판, 그 제조 방법 및 알루미늄 합금제 전지케이스
JP2006037129A (ja) * 2004-07-23 2006-02-09 Kobe Steel Ltd 二次電池ケースの封口板用アルミニウム合金板
JP4426934B2 (ja) * 2004-09-08 2010-03-03 株式会社神戸製鋼所 樹脂被覆包装容器用アルミニウム合金板およびその製造方法
US7704451B2 (en) * 2005-04-20 2010-04-27 Kobe Steel, Ltd. Aluminum alloy sheet, method for producing the same, and aluminum alloy container
JP2008127656A (ja) * 2006-11-22 2008-06-05 Kobe Steel Ltd 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP5684617B2 (ja) 2011-03-22 2015-03-18 三菱アルミニウム株式会社 レーザ溶接性に優れる二次電池大型角型缶用高強度アルミニウム合金板及びその製造方法
JP5456747B2 (ja) * 2011-10-14 2014-04-02 株式会社神戸製鋼所 電池ケース用アルミニウム合金板及び電池ケース
CN102747252A (zh) * 2012-07-02 2012-10-24 招商局铝业(重庆)有限公司 手机锂电池壳体用铝合金带材及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN105695803B (zh) 2018-07-27
KR20160070707A (ko) 2016-06-20
CN105695803A (zh) 2016-06-22
JP2016113627A (ja) 2016-06-23
KR101761026B1 (ko) 2017-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5602445B2 (ja) リチウムイオン電池ケース用アルミニウム合金板材
CA2871843C (en) Aluminum alloy sheet for battery case use excellent in formability, heat dissipation, and weldability
JP5456747B2 (ja) 電池ケース用アルミニウム合金板及び電池ケース
WO2013008314A1 (ja) リチウムイオン電池ケース用アルミニウム合金板材
JP5872256B2 (ja) リチウムイオン電池封口材用アルミニウム合金板材およびその製造方法
JP2008127656A (ja) 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP5725345B2 (ja) 成形性、溶接性に優れた電池ケース用アルミニウム合金板
JP2009068056A (ja) レーザ溶接性に優れたアルミニウム合金板材
JP6228913B2 (ja) リチウムイオン電池用アルミニウム合金板材およびその製造方法
JPWO2014192256A1 (ja) 電池ケース用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP6189823B2 (ja) 角筒電池ケース用アルミニウム合金板
JP6087413B1 (ja) レーザー溶接性に優れた自動車バスバー用アルミニウム合金板
JP4274170B2 (ja) パルスレーザー溶接性に優れたアルミニウム合金板
JP4539913B2 (ja) 二次電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP4347137B2 (ja) 二次電池ケース用高強度アルミニウム合金板の製造方法
JP6033141B2 (ja) 大型角筒電池ケース用アルミニウム合金板
JP2001131666A (ja) ケース成形用Al−Mn−Mg系合金板およびその製造方法
JP2011068934A (ja) 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法ならびに電池ケース
JP5726554B2 (ja) 電池ケース本体用アルミニウム合金板および電池ケース
JP2014227590A (ja) 電池ケース用アルミニウム合金板
JP2005200729A (ja) 高強度角型電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2003293059A (ja) 二次電池ケース用アルミニウム合金クラッド板および二次電池ケース

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170803

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6189823

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees