JP3788915B2 - 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン電池ケース等の電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法に関し、特に、高い強度および高い成形性が付与された電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の携帯電話やハンディパーソナルコンピュータ等の電源として搭載されているリチウムイオン2次電池には、通常、Niめっき鋼板またはステンレス鋼板等の金属材料に複数の絞り加工の工程と、しごき加工の工程とを適宜に組み合わせたプレス加工等の成形加工が施されて形成された電池ケースが使用されている。
【0003】
このようなリチウムイオン2次電池における近時の要求によれば、単位質量当たりのエネルギ出力密度の向上を図ることであり、これを実現するためにリチウムイオン2次電池(以下、単に「電池」という。)の電池ケース(以下、単に「電池ケース」という。)に対して一層の小型化と軽量化を図ることが要求されている。そこで、この電池ケースのより一層の小型化と軽量化とを目的として、この電池ケースにJISA3003合金等の軽量性と強度とを備えたアルミニウム合金の適用が検討されている。
【0004】
ところで、このような電池ケースでは、電池の充電や放電が行なわれる際に電池ケースの内部の圧力が上昇し、更に高温環境下で使用される場合にはこの電池ケースの内部の圧力が大きく上昇する。そのため、電池ケースが膨れて変形し、場合によっては電池ケースの破損が生じる場合がある。その結果、電子機器の性能を損ねるおそれがある。
【0005】
そこで、このような電池ケースに要求される特性として、電池の充電および放電時はもとより、高温環境下で使用される状況を想定して、これらの使用状況で電池ケースの内圧が上昇した場合にも、電池ケースが所期の形状を保持できることが挙げられる。その一方で、電池の小型化や軽量化および低コスト化を図るべく、電池ケースの薄肉化を図ることが強く要求されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような電池ケースに適用可能なアルミニウム合金素材として前記したJISA3003合金等を使用し、電池ケースの軽量化を図るべくこのアルミニウム合金素材の板厚をある程度薄くすると、この素材の耐力が低下して塑性変形が生じ易くなり、その結果、電池ケースの耐圧性が低下して比較的小さな圧力が作用しても膨れが生じ易くなるという問題が発生する。
【0007】
すなわち、従来のJISA3003合金等のアルミニウム合金素材では、電池ケースで所望とされている軽量化を目指して薄肉化を図ると所要の耐力が得られなくなるといったように素材の薄肉化と耐力とが二律背反的な関係にあるため、電池ケースに対してアルミニウム合金の薄肉化と耐力とを両立させて満足ざせることは困難であった。
【0008】
このため、特開平10−284014号公報では、JIS3000系のアルミニウム合金にCu等を添加することによりアルミニウム合金の強度を向上させてこのアルミニウム合金の板厚を薄肉化し、電池ケースの軽量化を可能とする技術が開示されている。この技術によれば、所要の強度を確保してある程度の軽量化が可能となり、しかも所要の成形性を有したアルミニウム合金が得られるようになる。しかしながら、このようなアルミニウム合金は、「絞り加工」の成形加工では問題がみられないものの、伸び性が比較的小さいため、成形加工が比較的過酷な「しごき加工」を施してなる電池ケースには必ずしも充分とは言えなかった。
【0009】
近時の要求によれば、アルミニウム合金素材の板厚を0.3〜0.5mmにまで薄肉化してより一層の軽量化を達成し、且つ所要の成形性と耐力とを確保して、さらなる軽量化と小型化とを同時に実現した電池ケースが所望されている。しかしながら、前記したような単に強度を向上させた従来のアルミニウム合金素材においては、所望の軽量化を得るために薄肉化すると、所要の耐力が得られなくなり、電池ケースの成形加工でしごき加工が施された場合に、素材の破断が生じ易いという問題点があった。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、薄肉化しても絞り加工およびしごき加工が施されても破断が生じることのない成形性を備えていると共に、電池ケースに成形加工された後に、この電池ケース内部の圧力が上昇した場合でも膨れによる変形量を小さく抑え、この電池ケースの膨れによる破壊を抑えることができる耐圧性を高くした電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が鋭意検討した結果、本発明者等はJIS3000系のアルミニウム合金の組成で、強度上昇に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を所定の範囲内に規制するとともに、アルミニウム合金中の化合物であるα相の形成に寄与するSiおよびFeの含有量を所定の範囲内に規制し、なお且つこのような組成を有するアルミニウム合金で耐力が所定の範囲にあるように構成することによって、また、従来材よりも一段と高い圧延率で圧延し、超硬質(H19調質)にすることで、高いしごき加工性が得られること知見して前記課題を解決することができることを見いだし、本発明を創作するに至った。
【0012】
すなわち、前記課題を解決するための本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、Cuを0.05から0.3質量%、Mgを0.05から0.8質量%、およびMnを0.6から1.5質量%含み、更にSiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元素を0.1から1.0質量%含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、且つ耐力が280から320MPaであることを特徴とする。また、Cuを0.25から0.3質量%含むことを特徴とする。(請求項1、請求項2
【0013】
このように構成すれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を所定の範囲内に規制することにより適正化し、更に化合物であるα相形成させ成形性に寄与するSiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元素の含有量を所定の範囲内に規制することにより適正化し、なお且つ耐力を所定の範囲内に規制したので、薄肉化しても、所定の強度と成形性、並びに所望の耐力を有する電池ケース用アルミニウム合金板が具現化される。
【0014】
また、前記アルミニウム合金板において、10から200nmの粒径を有する析出物の密度が、30個/μm3以上であることが好ましい
のように構成すれば、アルミニウム合金中、強度と成形性とに寄与する所定の析出物を、粒径と密度とで規制することにより適正化したので、所望の強度を有する電池ケース用アルミニウム合金板が具現化される。
【0015】
そして、前記課題を解決するための本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法は、Cuを0.05から0.3質量%、Mgを0.05から0.8質量%、Mnを0.6から1.5質量%含み、更に、SiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元素を0.1から1.0質量%含み、残部がアルミニウムおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金を熱間圧延する工程および冷間圧延する工程を有するアルミニウム合金板の製造方法において、前記熱間圧延の後に冷間圧延を行ない、且つこの冷間圧延は圧延率を75%以上として行なうことを特徴とする。(請求項
【0016】
このように構成すれば、前記したように所定の強度と成形性とを両立させて具現化させることが可能な組成を有する電池ケース用アルミニウム合金板に対し、熱間圧延を行なった後、中間焼鈍等の熱処理を行なうことなくそのまま冷間圧延を行ない、所望の板厚に調整すると同時に、冷間圧延時の加工硬化によってアルミニウム合金の素材に対して所望の強度を付与するべく冷間圧延の圧延率を規制したので、しごき加工に適した強度を有するアルミニウム合金板を製造することが可能な電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法が具現化される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板を、本発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、本発明はこのような実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて、適宜に変更することが可能である。
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、一連の成形加工が順次に施されるトランスファープレスによって所望の形状に成形されてなる、前記したリチウムイオン2次電池の電池ケースに好適なものである。
【0018】
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金は、トランスファープレスに含まれる、多段階の絞り−しごき加工のような特に過酷な加工(以下、単に「しごき加工等」という。)に対して優れた加工性を有するものである。
また、前記したようにリチウムイオン2次電池等で放電または充電が繰り返されたり、あるいは高温環境下で使用されるなどして電池ケース内部の温度が上昇しそれに伴って圧力が上昇した場合でも、この電池ケースの膨れの変形量を適切に低く抑えることができるものである。
このように本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板にあっては、強度と成形性とに優れ、且つ280から320MPaの耐力を備えていることが必要とされる。
【0019】
〔電池ケース用アルミニウム合金の構成〕
そこで、まず、本発明者等は、強度と成形性とを同時に満足させるアルミニウム合金板を実現するために合金の組成を最適化した。すなわち、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板の組成は、Cuの含有量を0.05〜0.3質量%、Mgの含有量を0.05〜0.8質量%、およびMnの含有量を0.6〜1.5質量%とし、更に、SiおよびFeの両方またはいずれか一方における各元素の含有量を、0.1〜1.0質量%とし、残部をアルミニウムおよび不可避的不純物とする。また、Cuの含有量は0.25から0.3質量%が好ましい。以下、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板で、各元素の含有量をこのように数値限定した理由について説明する。
【0020】
(Cuの含有量:0.05〜0.3質量%)
Cuは、固溶強化によりアルミニウム合金素材の強度を高め、耐圧強度を向上させる作用を有する。Cuの含有量が0.05質量%未満ではこの効果が小さく、一方、Cuの含有量が0.3質量%を超えるとアルミニウム素材の成形性を低下させると共に電池ケースのケース本体部と蓋部とをレーザ溶接等により固着させる際に割れが生じ易くなる。したがって、Cuの含有量は0.05から0.3質量%とする。また、0.25〜0.3質量%が好ましい。
【0021】
(Mgの含有量:0.05〜0.8質量%)
Mgは、固溶強化によりアルミニウム合金素材の強度を高め、耐圧強度を向上させる作用を有する。Mgの含有量が0.05質量%未満ではこの効果は小さく、一方、Mgの含有量が0.8質量%を超えると加工硬化性が高まってアルミニウム合金素材の成形性が低下し、また前記レーザ溶接時に割れが生じ易くなる。したがって、Mg含有量は0.05から0.8質量%とする。
【0022】
(Mnの含有量:0.6〜1.5質量%)
Mnは、アルミニウム合金中で金属間化合物として分散し、再結晶組織を微細化させる作用を有するため、この作用によって成形性およびレーザ溶接性が向上する効果が発揮されるようになる。Mnの含有量が0.6質量%未満であるとこの効果は小さく、一方、Mnの含有量が1.5質量%を超えると粗大な金属間化合物が生成し、成形時の割れの起点となり易いため成形性が低下する。したがって、Mn含有量は0.6から1.5質量%とする。
【0023】
(SiおよびFeの両方またはいずれか一方の含有量:0.1〜1.0質量%)SiおよびFeは、Mnと同様に再結晶組織を微細化するため、成形性およびレーザ溶接性を向上させる効果を有する。しかし、これらのSiおよびFeの両方またはいずれか一方における各元素の含有量が0.1質量%未満であるとその効果が小さく、一方、SiおよびFeの両方またはいずれか一方における各元素の含有量が1.0質量%を超えると粗大な金属間化合物が生成し、成形時の割れの起点となり易いため成形性が低下する。したがって、SiおよびFeの両方またはいずれか一方における各元素の含有量は、0.1から1.0質量%とする。なお、SiおよびFeの両方を含有する場合、Siの含有量は0.1から1.0質量%であり、Feの含有量は0.1から1.0質量%である。
【0024】
(粒径が10〜200nmである析出物の密度:30個/μm3以上)
次に、本発明者等は、析出物の粒径とこの粒径を有する析出物の密度について規制することにより、アルミニウム合金板の強度を適正化できることを知見した。本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板で、粒径が10〜200nmである析出物の密度を30個/μm3以上とした理由について説明する。
本発明者等は、既に、この析出物が主にAl−Mn系の化合物から構成され、このうち、粒径が10〜200nmの範囲にあるものがアルミニウム合金板の強度に特に大きく寄与することを明らかにしている。そして、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板で、粒径が10〜200nmである析出物の密度が30個/μm3以上であると、強度と成形性とを調和させて満足させるアルミニウム合金板が具現化されることを見いだした。粒径が10〜200nmである析出物の密度が30個/μm3未満では、このような効果が得られない。
【0025】
このような効果は、アルミニウム合金中のAl−Mn系の化合物からなる析出物が、冷間圧延の際に結晶粒界の欠損を有効に修復し、その結果として、このアルミニウム合金の強度の低下を補完すると同時に、その後の成形性を向上させると考えられる。
【0026】
〔電池ケース用アルミニウム合金の製造方法〕
更に、本発明者等は、アルミニウム合金板に高いしごき性を付与するためにアルミニウム合金を冷間圧延する際の圧延率を規制することにより、超硬質化(H19調質)が図られ、所望の低い加工硬化性が発現されることを知見した。本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法で、冷間圧延を行なう際の圧延率を75%以上とした理由について説明する。
【0027】
(冷間圧延率:75%以上)
この冷間圧延は、所望の板厚に調整すると同時に、加工硬化によってアルミニウム合金素材の強度を所望の強度に向上させるために行なわれる。なお、この冷間圧延の圧延率は、高ければ高いほど強度の高いアルミニウム合金板が得られるようになる。
【0028】
一方、アルミニウム合金板の薄肉材を用いた電池ケースの成形プロセスに含まれる絞り−しごき加工において、このアルミニウム合金板の変形量はしごき加工によるものが支配的である。特に、前記したトランスファープレスによる多段階のしごき加工では、「しわ」や「破断」を生じさせない強度を有するアルミニウム合金板が望ましい。前記冷間圧延の圧延率が75%未満であると、しごき加工に充分な強度が得られない。よって圧延率は75%以上とする。
【0029】
また、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法において、このように比較的高い圧延率で冷間圧延が施されたアルミニウム合金板の素材は、引張強さと耐力との差が一層縮められ、したがって、加工硬化性が比較的低くなっているため、しごき加工の際の加工性が高くなる。
【0030】
【実施例】
以下、電池ケース用アルミニウム合金板を実際に製造して得られた、本発明の必要条件を満足する電池ケース用アルミニウム合金板の実施例を含む実験例と、本発明の必要条件を満足しない比較例とを対比させて本発明について詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて適宜に変更することが可能である。
【0031】
〔第1の実験例
表1は、本発明の必要条件を満足する実施例(実験例No.2、4、6)を含む実験例(No.1〜10)の構成と、本発明の必要条件を満足しない比較例の構成とをそれぞれ示す表である。
【0032】
【表1】
Figure 0003788915
【0033】
表1に示すような組成を有し、残部がアルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金の鋳塊に均質化処理を施し、熱間圧延した後、圧延率を80%として冷間圧延を施し、板厚が0.3mmのアルミニウム合金板を作製した。
すなわち、表1に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(実験例No.2、4、6)を含む実験例(No.1〜10)はいずれも本発明で規制した組成を有するものであり、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.11、12)は、各々Cuの含有量が、各々本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超である。
【0034】
また、比較例(No.13)は、Mgの含有量が本発明で規制した範囲の下限値以下の量となっているものであり、比較例(No.14)は、Mgの含有量が本発明で規制した範囲の上限値超であり、比較例(No.15、16)はMnの含有量が、本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超であり、比較例(No.17、18、19)はSiとFeとの総量が、各々本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超である。また、比較例(No.20)はJISA3003合金であって、SiとFeとの総量が本発明で規制した範囲を満足するものであるか否かについて不明なものである。
【0035】
次に、このようにして作製したアルミニウム合金板に対して、引張試験、TEM(transmission electron microscope:透過電子顕微鏡)による析出物の分布状態の観察、成形試験、耐圧試験、およびレーザ溶接試験を行なった。
【0036】
前記成形試験は、側壁のしごき加工率を50%として、縦7mm、横25mm、高さ45mmの角形ケースを成形し、成形可能であったものは成形性が良好であるとして「○」、割れまたは肌荒れが著しく発生したものは成形性が不良であるとして「×」と評価した。
【0037】
また、前記耐圧試験は、ケースを封孔して294kPaの内圧を作用させた状態で、100℃の温度に加熱して2時間保持した後、室温に戻し、その後ケース側面の膨れの変位量を測定した。この膨れ変位量が1.5mm以下であったものは耐圧性が良好であるとして「○」、1.5mmを超えたものは不良であるとして「×」とした。
【0038】
更に、前記レーザ溶接試験は、YAG(yttrium aluminum garnet)パルスレーザを備えた溶接機を使用し、レーザの発振周波数を30Hz、パルス出力を8J、溶接速度を0.4mm/分としてレーザ溶接を行なった。溶接可能であったものは溶接性が良好であるとして「○」、割れが発生したものは不良であるとして「×」とした。これらの試験結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003788915
【0040】
表2に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(実験例No.2、4、6)を含む実験例(No.1〜10)は、優れた成形性、耐圧性、レーザ溶接性を示している。
【0041】
一方、比較例(No.11)は、表1に示すようにCuの含有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため耐圧性が劣るものとなっている。比較例(No.12)は、Cuの含有量が表1に示すように本発明で規制する上限値を超えるため、電池ケースのケース本体部と蓋部とをレーザ溶接により固着させる際に割れが生じ易くなってレーザ溶接性が劣るものとなっている。
【0042】
また、比較例(No.13)は、Mgの含有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。比較例(No.14)は、Mgの含有量が本発明で規制した範囲の上限値を超えているため、成形性およびレーザ溶接性が劣るものとなっている。
【0043】
更に、比較例(No.15)は、Mnの含有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため耐圧性が劣るものとなっている。比較例(No.16)は、Mnの含有量が本発明で規制する上限値を超えているため、成形性が劣るものとなっている。比較例(No.17)は、Si、Feの含有量がそれぞれ本発明で規制した範囲の下限値未満であるため成形性が劣るものとなっている。比較例(No.18)および比較例(No.19)は、いずれもSi、Feの含有量が本発明で規制した範囲の上限値を超えるため成形性が劣るものとなっている。
【0044】
〔第2の実験例
前記の第1の実験例における表1に示される、実験例(No.1)の組成を有するアルミニウム合金鋳塊に均質化処理を施した後、表3に示す条件にて圧延を行ない、板厚が0.3mmのアルミニウム合金板を作製した。このようにして作製した各種のアルミニウム合金板について、第1の実験例と同様の試験を行なって評価した。これらの評価結果を、前記アルミニウム合金板の作製条件と併せて表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0003788915
【0046】
表3に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(実験例No.22)および実験例(No.21)は、優れた成形性、耐圧性、レーザ溶接性を示している。
一方、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.23)は、冷間圧延率が本発明で規制した範囲の下限未満であるため成形性が劣るものとなっている。
【0047】
【発明の効果】
以上説明した通りに構成される本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明の請求項1または請求項2に係る発明によれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を適正化し、更に化合物であるα相形成させ成形性に寄与するSiおよびFeの両方またはいずれか一方における各元素の含有量を適正化し、なお且つ耐力を適正化したので、所定の強度と成形性、並びに所望の耐力を有する電池ケース用アルミニウム合金板を提供することができる。
【0048】
また、アルミニウム合金中、強度と成形性とに寄与する所定の析出物を、粒径と密度とで規制することにより適正化したので、所望の強度を有する電池ケース用アルミニウム合金板を提供することができる。
【0049】
請求項に係る発明によれば、前記電池ケース用アルミニウム合金板に対し、熱間圧延を行なった後、中間焼鈍等の熱処理を行なうことなくそのまま冷間圧延を行ない、所望の板厚に調整すると同時に、冷間圧延時の加工硬化によってアルミニウム合金の素材に対して所望の強度を付与するべく冷間圧延の圧延率を適正化したので、しごき加工に適した強度を有するアルミニウム合金板を製造することが可能な電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法を提供することができる。
【0050】
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、薄肉化してもしごき加工に対して適切な強度と成形性を有する組成を有し、熱間圧延後、中間焼鈍を行なうことなく、そのまま比較的高い圧延率で冷間圧延が施されて製造されることにより、強度が適切に規定されている。その結果、リチウムイオン2次電池の電池ケース等の容器形状に成形するためのしごき加工における成形性が優れていると共に、ケース内部の圧力が上昇しても膨れ変形量が少なく、耐圧性が高い電池ケースを得ることができる。このような本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板によれば、リチウムイオン2次電池の電池ケースをはじめとする各種の容器に対して求められている、近時の軽量化や小型化の要求を充分に満足させることができる。

Claims (3)

  1. Cuを0.05から0.3質量%、Mgを0.05から0.8質量%、およびMnを0.6から1.5質量%含み、更に、
    SiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元素を0.1から1.0質量%含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、且つ
    耐力が280から320MPaであることを特徴とする電池ケース用アルミニウム合金板。
  2. 前記Cuを0.25から0.3質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の電池ケース用アルミニウム合金板。
  3. Cuを0.05から0.3質量%、Mgを0.05から0.8質量%、およびMnを0.6から1.5質量%含み、更に、
    SiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元素を0.1から1.0質量%含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金を熱間圧延する工程と、冷間圧延する工程とを有するアルミニウム合金板の製造方法において、
    前記アルミニウム合金を熱間圧延する工程の後、冷間圧延を行なうと共に、この冷間圧延がアルミニウム合金の圧延率を75%以上として行なわれることを特徴とする電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法。
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