JP2002294379A - 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法Info
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Abstract
生じることのない成形性を備えていると共に、電池ケー
スに成形加工された後に、この電池ケース内部の圧力が
上昇した場合でも膨れによる変形量を小さく抑え、この
電池ケースの膨れによる破壊を抑えることができる耐圧
性を高くした電池ケース用アルミニウム合金板およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 Cuを0.05から0.3質量%、Mg
を0.05から0.8質量%、およびMnを0.6から
1.5質量%含み、さらにSiおよびFeの両方または
いずれか一方の各元素を、0.1から1.0質量%含
み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有
し、かつ耐力が240から320MPaとしたアルミニ
ウム合金板として構成する。また、このアルミニウム合
金に対して熱間圧延後、そのままの状態で圧延率を75
%以上とした冷間圧延を施す。
Description
池ケース等の電池ケース用アルミニウム合金板およびそ
の製造方法に関し、特に、高い強度および高い成形性が
付与された電池ケース用アルミニウム合金板およびその
製造方法に関する。
ンピュータ等の電源として搭載されているリチウムイオ
ン2次電池には、通常、Niめっき鋼板またはステンレ
ス鋼板等の金属材料に複数の絞り加工の工程と、しごき
加工の工程とを適宜に組み合わせたプレス加工等の成形
加工が施されて形成された電池ケースが使用されてい
る。
る近時の要求によれば、単位質量当たりのエネルギ出力
密度の向上を図ることであり、これを実現するためにリ
チウムイオン2次電池(以下、単に「電池」という。)
の電池ケース(以下、単に「電池ケース」という。)に
対して一層の小型化と軽量化を図ることが要求されてい
る。そこで、この電池ケースのより一層の小型化と軽量
化とを目的として、この電池ケースにJISA3003
合金等の軽量性と強度とを備えたアルミニウム合金の適
用が検討されている。
池の充電や放電が行なわれる際に電池ケースの内部の圧
力が上昇し、更に高温環境下で使用される場合にはこの
電池ケースの内部の圧力が大きく上昇する。そのため、
電池ケースが膨れて変形し、場合によっては電池ケース
の破損が生じる場合がある。その結果、電子機器の性能
を損ねるおそれがある。
る特性として、電池の充電および放電時はもとより、高
温環境下で使用される状況を想定して、これらの使用状
況で電池ケースの内圧が上昇した場合にも、電池ケース
が所期の形状を保持できることが挙げられる。その一方
で、電池の小型化や軽量化および低コスト化を図るべ
く、電池ケースの薄肉化を図ることが強く要求されてい
る。
うな電池ケースに適用可能なアルミニウム合金素材とし
て前記したJISA3003合金等を使用し、電池ケー
スの軽量化を図るべくこのアルミニウム合金素材の板厚
をある程度薄くすると、この素材の耐力が低下して塑性
変形が生じ易くなり、その結果、電池ケースの耐圧性が
低下して比較的小さな圧力が作用しても膨れが生じ易く
なるという問題が発生する。
のアルミニウム合金素材では、電池ケースで所望とされ
ている軽量化を目指して薄肉化を図ると所要の耐力が得
られなくなるといったように素材の薄肉化と耐力とが二
律背反的な関係にあるため、電池ケースに対してアルミ
ニウム合金の薄肉化と耐力とを両立させて満足ざせるこ
とは困難であった。
報では、JIS3000系のアルミニウム合金にCu等
を添加することによりアルミニウム合金の強度を向上さ
せてこのアルミニウム合金の板厚を薄肉化し、電池ケー
スの軽量化を可能とする技術が開示されている。この技
術によれば、所要の強度を確保してある程度の軽量化が
可能となり、しかも所要の成形性を有したアルミニウム
合金が得られるようになる。しかしながら、このような
アルミニウム合金は、「絞り加工」の成形加工では問題
がみられないものの、伸び性が比較的小さいため、成形
加工が比較的過酷な「しごき加工」を施してなる電池ケ
ースには必ずしも充分とは言えなかった。
材の板厚を0.3〜0.5mmにまで薄肉化してより一
層の軽量化を達成し、且つ所要の成形性と耐力とを確保
して、さらなる軽量化と小型化とを同時に実現した電池
ケースが所望されている。しかしながら、前記したよう
な単に強度を向上させた従来のアルミニウム合金素材に
おいては、所望の軽量化を得るために薄肉化すると、所
要の耐力が得られなくなり、電池ケースの成形加工でし
ごき加工が施された場合に、素材の破断が生じ易いとい
う問題点があった。
のであって、薄肉化しても絞り加工およびしごき加工が
施されても破断が生じることのない成形性を備えている
と共に、電池ケースに成形加工された後に、この電池ケ
ース内部の圧力が上昇した場合でも膨れによる変形量を
小さく抑え、この電池ケースの膨れによる破壊を抑える
ことができる耐圧性を高くした電池ケース用アルミニウ
ム合金板およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
た結果、本発明者等はJIS3000系のアルミニウム
合金の組成で、強度上昇に寄与するCu、Mg、Mnの
含有量を所定の範囲内に規制するとともに、アルミニウ
ム合金中の化合物であるα相の形成に寄与するSiおよ
びFeの含有量を所定の範囲内に規制し、なお且つこの
ような組成を有するアルミニウム合金で耐力が所定の範
囲にあるように構成することによって、また、従来材よ
りも一段と高い圧延率で圧延し、超硬質(H19調質)
にすることで、高いしごき加工性が得られること知見し
て前記課題を解決することができることを見いだし、本
発明を創作するに至った。
明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、Cuを
0.05から0.3質量%、Mgを0.05から0.8
質量%、およびMnを0.6から1.5質量%含み、更
にSiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元素
を0.1から1.0質量%含み、残部がAlと不可避的
不純物とからなる組成を有し、且つ耐力が240から3
20MPaであることを特徴とする。(請求項1)
中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を所定の
範囲内に規制することにより適正化し、更に化合物であ
るα相の形成させ成形性に寄与するSiおよびFeの両
方またはいずれか一方で、各元素の含有量を所定の範囲
内に規制することにより適正化し、なお且つ耐力を所定
の範囲内に規制したので、薄肉化しても、所定の強度と
成形性、並びに所望の耐力を有する電池ケース用アルミ
ニウム合金板が具現化される。
10から200nmの粒径を有する析出物の密度が、3
0個/μm3であることが好ましい。(請求項2)この
ように構成すれば、アルミニウム合金中、強度と成形性
とに寄与する所定の析出物を、粒径と密度とで規制する
ことにより適正化したので、所望の強度を有する電池ケ
ース用アルミニウム合金が具現化される。
に係る電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法は、
Cuを0.05から0.3質量%、Mgを0.05から
0.8質量%、Mnを0.6から1.5質量%含み、更
に、SiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元
素を0.1から1.0質量%含み、残部がアルミニウム
および不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウ
ム合金を熱間圧延する工程および冷間圧延する工程を有
するアルミニウム合金板の製造方法において、前記熱間
圧延の後に冷間圧延を行ない、且つこの冷間圧延は圧延
率を75%以上として行なうことを特徴とする。(請求
項3)
定の強度と成形性とを両立させて具現化させることが可
能な組成を有する電池ケース用アルミニウム合金板に対
し、熱間圧延を行なった後、中間焼鈍等の熱処理を行な
うことなくそのまま冷間圧延を行ない、所望の板厚に調
整すると同時に、冷間圧延時の加工硬化によってアルミ
ニウム合金の素材に対して所望の強度を付与するべく冷
間圧延の圧延率を規制したので、しごき加工に適した強
度を有するアルミニウム合金板を製造することが可能な
電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法が具現化さ
れる。
アルミニウム合金板を、本発明の実施の形態に基づいて
詳細に説明する。なお、本発明はこのような実施の形態
のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に
基づく限りにおいて、適宜に変更することが可能であ
る。本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、
一連の成形加工が順次に施されるトランスファープレス
によって所望の形状に成形されてなる、前記したリチウ
ムイオン2次電池の電池ケースに好適なものである。
は、トランスファープレスに含まれる、多段階の絞り−
しごき加工のような特に過酷な加工(以下、単に「しご
き加工等」という。)に対して優れた加工性を有するも
のである。また、前記したようにリチウムイオン2次電
池等で放電または充電が繰り返されたり、あるいは高温
環境下で使用されるなどして電池ケース内部の温度が上
昇しそれに伴って圧力が上昇した場合でも、この電池ケ
ースの膨れの変形量を適切に低く抑えることができるも
のである。このように本発明に係る電池ケース用アルミ
ニウム合金板にあっては、強度と成形性とに優れ、且つ
所定の耐力を備えていることが必要とされる。
そこで、まず、本発明者等は、強度と成形性とを同時に
満足させるアルミニウム合金板を実現するために合金の
組成を最適化した。すなわち、本発明に係る電池ケース
用アルミニウム合金板の組成は、Cuの含有量を0.0
5〜0.3質量%、Mgの含有量を0.05〜1.0質
量%、およびMnの含有量を0.6〜1.5質量%と
し、更に、SiおよびFeの両方またはいずれか一方に
おける各元素の含有量を、0.1〜1.0質量%とし、
残部をアルミニウムおよび不可避的不純物とする。以
下、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板で、
各元素の含有量をこのように数値限定した理由について
説明する。
%)Cuは、固溶強化によりアルミニウム合金素材の強
度を高め、耐圧強度を向上させる作用を有する。Cuの
含有量が0.05質量%未満ではこの効果が小さく、一
方、Cuの含有量が0.3質量%を超えるとアルミニウ
ム素材の成形性を低下させると共に電池ケースのケース
本体部と蓋部とをレーザ溶接等により固着させる際に割
れが生じ易くなる。したがって、Cuの含有量は0.0
5から0.3質量%とする。
%)Mgは、固溶強化によりアルミニウム合金素材の強
度を高め、耐圧強度を向上させる作用を有する。Mgの
含有量が0.05質量%未満ではこの効果は小さく、一
方、Mgの含有量が0.8質量%を超えると加工硬化性
が高まってアルミニウム合金素材の成形性が低下し、ま
た前記レーザ溶接時に割れが生じ易くなる。したがっ
て、Mg含有量は0.05から0.8質量%とする。
Mnは、アルミニウム合金中で金属間化合物として分散
し、再結晶組織を微細化させる作用を有するため、この
作用によって成形性およびレーザ溶接性が向上する効果
が発揮されるようになる。Mnの含有量が0.6質量%
未満であるとこの効果は小さく、一方、Mnの含有量が
1.5質量%を超えると粗大な金属間化合物が生成し、
成形時の割れの起点となり易いため成形性が低下する。
したがって、Mn含有量は0.6から1.5質量%とす
る。
方の含有量:0.1〜1.0質量%)SiおよびFe
は、Mnと同様に再結晶組織を微細化するため、成形性
およびレーザ溶接性を向上させる効果を有する。しか
し、これらのSiおよびFeの両方またはいずれか一方
における各元素の含有量が0.1質量%未満であるとそ
の効果が小さく、一方、SiおよびFeの両方またはい
ずれか一方における各元素の含有量が1.0質量%を超
えると粗大な金属間化合物が生成し、成形時の割れの起
点となり易いため成形性が低下する。したがって、Si
およびFeの両方またはいずれか一方における各元素の
含有量は、0.1から1.0質量%とする。なお、Si
およびFeの両方を含有する場合、Siの含有量は0.
1から1.0質量%であり、Feの含有量は0.1から
1.0質量%である。
密度:30個/μm3以上)次に、本発明者等は、析出物
の粒径とこの粒径を有する析出物の密度について規制す
ることにより、アルミニウム合金板の強度を適正化でき
ることを知見した。本発明に係る電池ケース用アルミニ
ウム合金板で、粒径が10〜200nmである析出物の
密度を30個/μm3以上とした理由について説明す
る。本発明者等は、既に、この析出物が主にAl−Mn
系の化合物から構成され、このうち、粒径が10〜20
0nmの範囲にあるものがアルミニウム合金板の強度に
特に大きく寄与することを明らかにしている。そして、
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板で、粒径
が10〜200nmである析出物の密度が30個/μm
3以上であると、強度と成形性とを調和させて満足させ
るアルミニウム合金板が具現化されることを見いだし
た。粒径が10〜200nmである析出物の密度が30
個/μm3未満では、このような効果が得られない。
Al−Mn系の化合物からなる析出物が、冷間圧延の際
に結晶粒界の欠損を有効に修復し、その結果として、こ
のアルミニウム合金の強度の低下を補完すると同時に、
その後の成形性を向上させると考えられる。
造方法〕更に、本発明者等は、アルミニウム合金板に高
いしごき性を付与するためにアルミニウム合金を冷間圧
延する際の圧延率を規制することにより、超硬質化(H
19調質)が図られ、所望の低い加工硬化性が発現され
ることを知見した。本発明に係る電池ケース用アルミニ
ウム合金板の製造方法で、冷間圧延を行なう際の圧延率
を75%以上とした理由について説明する。
は、所望の板厚に調整すると同時に、加工硬化によって
アルミニウム合金素材の強度を所望の強度に向上させる
ために行なわれる。なお、この冷間圧延の圧延率は、高
ければ高いほど強度の高いアルミニウム合金板が得られ
るようになる。
た電池ケースの成形プロセスに含まれる絞り−しごき加
工において、このアルミニウム合金板の変形量はしごき
加工によるものが支配的である。特に、前記したトラン
スファープレスによる多段階のしごき加工では、「し
わ」や「破断」を生じさせない強度を有するアルミニウ
ム合金板が望ましい。前記冷間圧延の圧延率が75%未
満であると、しごき加工に充分な強度が得られない。よ
って圧延率は75%以上とする。
ウム合金板の製造方法において、このように比較的高い
圧延率で冷間圧延が施されたアルミニウム合金板の素材
は、引張強さと耐力との差が一層縮められ、したがっ
て、加工硬化性が比較的低くなっているため、しごき加
工の際の加工性が高くなる。
際に製造して得られた、本発明の必要条件を満足する電
池ケース用アルミニウム合金板の実施例と、本発明の必
要条件を満足しない比較例とを対比させて本発明につい
て詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみ
に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づ
く限りにおいて適宜に変更することが可能である。
件を満足する実施例の構成と、本発明の必要条件を満足
しない比較例の構成とをそれぞれ示す表である。
ミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合
金の鋳塊に均質化処理を施し、熱間圧延した後、圧延率
を80%として冷間圧延を施し、板厚が0.3mmのア
ルミニウム合金板を作製した。すなわち、表1に示す通
り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.1〜1
0)はいずれも本発明で規制した組成を有するものであ
り、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.1
1、12)は、各々Cuの含有量が、各々本発明で規制
した範囲の下限値未満または上限値超である。
有量が本発明で規制した範囲の下限値以下の量となって
いるものであり、比較例(No.14)は、Mgの含有
量が本発明で規制した範囲の上限値超であり、比較例
(No.15、16)はMnの含有量が、本発明で規制
した範囲の下限値未満または上限値超であり、比較例
(No.17、18、19)はSiとFeとの総量が、
各々本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超
である。また、比較例(No.20)はJISA300
3合金であって、SiとFeとの総量が本発明で規制し
た範囲を満足するものであるか否かについて不明なもの
である。
ム合金板に対して、引張試験、TEM(transmi
ssion electron microscop
e:透過電子顕微鏡)による析出物の分布状態の観察、
成形試験、耐圧試験、およびレーザ溶接試験を行なっ
た。
0%として、縦7mm、横25mm、高さ45mmの角
形ケースを成形し、成形可能であったものは成形性が良
好であるとして「○」、割れまたは肌荒れが著しく発生
したものは成形性が不良であるとして「×」と評価し
た。
294kPaの内圧を作用させた状態で、100℃の温
度に加熱して2時間保持した後、室温に戻し、その後ケ
ース側面の膨れの変位量を測定した。この膨れ変位量が
1.5mm以下であったものは耐圧性が良好であるとし
て「○」、1.5mmを超えたものは不良であるとして
「×」とした。
ttrium aluminumgarnet)パルス
レーザを備えた溶接機を使用し、レーザの発振周波数を
30Hz、パルス出力を8J、溶接速度を0.4mm/
分としてレーザ溶接を行なった。溶接可能であったもの
は溶接性が良好であるとして「○」、割れが発生したも
のは不良であるとして「×」とした。これらの試験結果
を表2に示す。
する実施例(No.1〜10)は、アルミニウム合金板
の組成および耐力がいずれも本発明で規制した範囲内に
あるため、優れた成形性、耐圧性、レーザ溶接性を示し
ている。
すようにCuの含有量が本発明で規制した範囲の下限値
未満であるため耐圧性が劣るものとなっている。比較例
(No.12)は、Cuの含有量が表1に示すように本
発明で規制する上限値を超えるため、電池ケースのケー
ス本体部と蓋部とをレーザ溶接により固着させる際に割
れが生じ易くなってレーザ溶接性が劣るものとなってい
る。
有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、
耐圧性が劣るものとなっている。比較例(No.14)
は、Mgの含有量が本発明で規制した範囲の上限値を超
えているため、成形性およびレーザ溶接性が劣るものと
なっている。
有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため耐
圧性が劣るものとなっている。比較例(No.16)
は、Mnの含有量が本発明で規制する上限値を超えてい
るため、成形性が劣るものとなっている。比較例(N
o.17)は、Si、Feの含有量がそれぞれ本発明で
規制した範囲の下限値未満であるため成形性が劣るもの
となっている。比較例(No.18)および比較例(N
o.19)は、いずれもSi、Feの含有量が本発明で
規制した範囲の上限値を超えるため成形性が劣るものと
なっている。
ける表1に示される、実施例1(No.1)の組成を有
するアルミニウム合金鋳塊に均質化処理を施した後、表
3に示す条件にて圧延を行ない、板厚が0.3mmのア
ルミニウム合金板を作製した。このようにして作製した
各種のアルミニウム合金板について、第1の実施例と同
様の試験を行なって評価した。これらの評価結果を、前
記アルミニウム合金板の作製条件と併せて表3に示す。
する実施例(No.21)および実施例(No.22)
は、いずれもアルミニウム合金板の組成、耐力および冷
間圧延率が本発明で規制した範囲内にあるため、優れた
成形性、耐圧性、レーザ溶接性を示している。一方、本
発明の必要条件を満足しない比較例(No.23)は、
冷間圧延率が本発明で規制した範囲の下限未満であるた
め成形性が劣るものとなっている。
よれば、以下の効果を奏する。本発明の請求項に係る発
明によれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するC
u、Mg、Mnの含有量を適正化し、更に化合物である
α相の形成させ成形性に寄与するSiおよびFeの両方
またはいずれか一方における各元素の含有量を適正化
し、なお且つ耐力を適正化したので、所定の強度と成形
性、並びに所望の耐力を有する電池ケース用アルミニウ
ム合金板を提供することができる。
ム合金中、強度と成形性とに寄与する所定の析出物を、
粒径と密度とで規制することにより適正化したので、所
望の強度を有する電池ケース用アルミニウム合金を提供
することができる。
ース用アルミニウム合金板に対し、熱間圧延を行なった
後、中間焼鈍等の熱処理を行なうことなくそのまま冷間
圧延を行ない、所望の板厚に調整すると同時に、冷間圧
延時の加工硬化によってアルミニウム合金の素材に対し
て所望の強度を付与するべく冷間圧延の圧延率を適正化
したので、しごき加工に適した強度を有するアルミニウ
ム合金板を製造することが可能な電池ケース用アルミニ
ウム合金板の製造方法を提供することができる。
金板は、薄肉化してもしごき加工に対して適切な強度と
成形性を有する組成を有し、熱間圧延後、中間焼鈍を行
なうことなく、そのまま比較的高い圧延率で冷間圧延が
施されて製造されることにより、強度が適切に規定され
ている。その結果、リチウムイオン2次電池の電池ケー
ス等の容器形状に成形するためのしごき加工における成
形性が優れていると共に、ケース内部の圧力が上昇して
も膨れ変形量が少なく、耐圧性が高い電池ケースを得る
ことができる。このような本発明に係る電池ケース用ア
ルミニウム合金板によれば、リチウムイオン2次電池の
電池ケースをはじめとする各種の容器に対して求められ
ている、近時の軽量化や小型化の要求を充分に満足させ
ることができる。
8)
10から200nmの粒径を有する析出物の密度が、3
0個/μm 3以上であることが好ましい。(請求項2) このように構成すれば、アルミニウム合金中、強度と成
形性とに寄与する所定の析出物を、粒径と密度とで規制
することにより適正化したので、所望の強度を有する電
池ケース用アルミニウム合金が具現化される。
Claims (3)
- 【請求項1】 Cuを0.05から0.3質量%、Mg
を0.05から0.8質量%、およびMnを0.6から
1.5質量%含み、更に、 SiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元素を
0.1から1.0質量%含み、残部がAlと不可避的不
純物とからなる組成を有し、且つ耐力が240から32
0MPaであることを特徴とする電池ケース用アルミニ
ウム合金板。 - 【請求項2】 前記アルミニウム合金板において、10
から200nmの粒径を有する析出物の密度が、30個
/μm3であることを特徴とする請求項1に記載の電池
ケース用アルミニウム合金板。 - 【請求項3】 Cuを0.05から0.3質量%、Mg
を0.05から0.8質量%、およびMnを0.6から
1.5質量%含み、更に、 SiおよびFeの両方またはいずれか一方で、各元素を
0.1から1.0質量%含み、残部がアルミニウムと不
可避的不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金
を熱間圧延する工程と、冷間圧延する工程とを有するア
ルミニウム合金板の製造方法において、 前記アルミニウム合金を熱間圧延する工程の後、そのま
まの状態で冷間圧延を行なうと共に、この冷間圧延がア
ルミニウム合金の圧延率を75%以上として行なわれる
ことを特徴とする電池ケース用アルミニウム合金板の製
造方法。
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Cited By (4)
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