JP2004232009A - 電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法ならびにアルミニウム合金製電池ケース - Google Patents
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Abstract
【課題】薄肉化しても、絞り加工およびしごき加工の際に破断が生じることのない成形性を備えていると共に、電池ケースに成形加工された後に、この電池ケース内部の圧力が上昇した場合でも膨れによる変形量を小さく抑えることができる耐圧性を高くした電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法ならびにアルミニウム合金製電池ケースを提供する。
【解決手段】電池ケース用アルミニウム合金板は、Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、かつ、前記組成を有する板材の硬度がビッカース硬さで68以上85以下となるように構成した。
【選択図】 なし
【解決手段】電池ケース用アルミニウム合金板は、Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、かつ、前記組成を有する板材の硬度がビッカース硬さで68以上85以下となるように構成した。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン電池ケース等の電池ケース用アルミニウム合金板に関し、特に、高い強度および優れた成形性が付与され、応力緩和性、耐圧性(耐膨れ性)に優れた電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法ならびにアルミニウム合金製電池ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話やハンディパーソナルコンピュータ等の電源として搭載されているリチウムイオン2次電池には、通常、Niめっき鋼板またはステンレス鋼板等の金属材料に複数の絞り加工の工程と、しごき加工の工程とを適宜に組み合わせたプレス加工等の成形加工が施されて形成された電池ケースが使用されている。
【0003】
このようなリチウムイオン2次電池における近時の要求によれば、単位質量当たりのエネルギ出力密度の向上を図ることであり、これを実現するためにリチウムイオン2次電池(以下、単に「電池」という。)の電池ケース(以下、単に「電池ケース」という。)に対して一層の小型化と軽量化を図ることが要求されている。そこで、この電池ケースのより一層の小型化と軽量化とを目的として、この電池ケースにJISA3003合金等の軽量性と強度とを備えたアルミニウム合金が一部採用されている。
【0004】
ところで、このような電池ケースでは、電池の充電や放電が行なわれる際に電池ケースの内部の圧力が上昇する。また、夏季において、このような電池ケースが搭載された電子機器を自動車内等の高温環境下に長時間放置したような場合には、電池ケース自体が60乃至90℃にも達し、電池ケース用材料自体の内部応力が緩和される。その結果、電池ケースが膨れて変形し、場合によっては電池ケースが破損すると言った問題が生じる。このため、電子機器の性能を損ねる恐れもある。
【0005】
そこで、このような電池ケースに要求される特性として、電池の充電および放電時はもとより、高温環境下で使用される状況を想定して、これらの使用状況で電池ケースの内圧が上昇した場合にも、電池ケースが所期の形状を保持できることが挙げられる。その一方で、電池の小型化や軽量化および低コスト化を図るべく、電池ケースの薄肉化を図ることが強く要求されている。
【0006】
しかしながら、このような電池ケースに適用可能なアルミニウム合金素材として前記したJISA3003合金等を使用し、電池ケースの軽量化を図るべくこのアルミニウム合金素材の板厚をある程度薄くすると、変形が生じ易くなり、その結果、電池ケースの耐圧性(耐膨れ性)が低下して比較的小さな内部圧力が作用しても膨れが生じ易くなるという問題が発生する。
【0007】
すなわち、従来のJISA3003合金等のアルミニウム合金素材では、電池ケースで所望とされている軽量化を目指して薄肉化を図ると所要の耐圧性(耐膨れ性)が得られなくなるといったように素材の薄肉化と耐圧性(耐膨れ性)とが二律背反的な関係にあるため、電池ケースに対してアルミニウム合金素材の薄肉化と耐圧性(耐膨れ性)とを両立させて満足させることは困難であった。
【0008】
このため、JIS3000系のアルミニウム合金にCu等を添加することによりアルミニウム合金の強度を向上させて、このアルミニウム合金板の板厚を薄肉化して電池ケースの軽量化を可能とする技術が開示されている。この技術によれば、所要の強度を確保してある程度の軽量化が可能となり、しかも所要の成形性を有したアルミニウム合金が得られるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−284014号公報(第2頁2〜16行)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電池ケースとして成形された加工後の側壁部の硬度は、ビッカース硬さで70以下という値であることが測定されており、この場合、温度上昇しなくても内圧が加わることにより塑性変形が進行し、膨れが生じる。また、電池ケース材料の内部応力の緩和も大きく耐圧性(耐膨れ性)に劣るものであった。また、Mgの添加により強度を高めたものも存在するが、加工硬化性が高まるため、しごき加工性が低下してしまう。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、アルミニウム合金素材を薄肉化しても、絞り加工およびしごき加工の際に破断が生じることのない成形性を備えていると共に、電池ケースに成形加工された後に、充放電あるいは60乃至90℃程度への温度上昇により、この電池ケース内部の圧力が上昇した場合でも、電池ケースの膨れによる変形量を小さく抑えることが可能な、成形性、応力緩和性および耐圧性(耐膨れ性)に優れた電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法ならびにアルミニウム合金製電池ケースを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、JIS3000系のアルミニウム合金の組成で、強度上昇に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を所定の範囲内に規制するとともに、アルミニウム合金中の化合物形成に寄与するSiおよびFeの含有量を所定の範囲内に規制し、なおかつこのような組成を有するアルミニウム合金で、加工前のアルミニウム合金板材の硬さおよび加工後の電池ケースの側壁硬度が所定の範囲にあるように構成することによって、超硬質にして、優れた成形性(高いしごき加工性)が得られ、電池ケースに加工した後、使用環境温度下での内部応力の緩和を抑えることが可能となることを知見して前記課題を解決することができることを見い出した。
【0013】
すなわち、前記課題を解決するための本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで(0.2<Cu≦0.5)、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで(0.1≦Mg≦0.8)、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで(0.6≦Mn≦1.5)含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで(0.05≦Si≦0.5)、Feを0.1質量%から1.0質量%まで(0.1≦Fe≦1.0)含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、かつ、前記組成を有する板材の硬度がビッカース硬さで68以上85以下となるように構成した(請求項1)。
【0014】
このように構成すれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を所定の範囲内に規制して適正化し、さらにアルミニウム合金中に化合物を形成させて成形性に寄与するSiおよびFeの両方の含有量を所定の範囲内に規制して適正化し、なおかつアルミニウム合金板材のビッカース硬さを所定の範囲内に規制したので、電池ケースに成形された際に使用環境温度下での内部応力の緩和が抑制され、アルミニウム合金板を薄肉化しても、所定の強度と成形性、応力緩和性並びに所望の耐圧性(耐膨れ性)を有する電池ケース用アルミニウム合金板が具現化される。また、板材の硬度を68以上85以下とすることにより、絞りしごき加工成形機(以下、単に「加工機」という。)での成形が安定する。
【0015】
また、アルミニウム合金製電池ケースとしては、Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、かつ、前記組成を有する板材の硬度がビッカース硬さで68以上85以下となる電池ケース用アルミニウム合金板を用い、その電池ケース用アルミニウム合金板を打ち抜いた直径が60mmのブランク板から絞りしごき加工を行い側壁高さが50mmの電池ケースとした際に測定した側壁硬度が、ビッカース硬さで73以上95以下となると共に、前記絞りしごき加工前の前記電池ケース用アルミニウム合金板材の硬度と、前記アルミニウム合金製電池ケースとした際に測定した側壁硬度との硬度差がビッカース硬さで5〜10となるように構成した(請求項2)。
【0016】
このように構成すれば、冷間圧延時の加工硬度が小さなアルミニウム合金の板材に対して所望の強度を付与したので、加工硬化性が適正化され、しごき加工に適した強度を有し、加工機での絞りしごき加工が安定する。また、電池ケースとして薄肉に形成された場合であっても、絞りしごき加工に対する加工性を維持しながら、電池ケースの側壁硬度が確保でき、内部応力の緩和が抑制され所望の耐圧性(耐膨れ性)を有するアルミニウム合金製電池ケースが具現化される。
【0017】
また、電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法としては、Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有すると共に、前記組成を有するアルミニウム合金に対して均熱処理を施す工程と、前記均熱処理が施されたアルミニウム合金に熱間圧延および冷間圧延を施してアルミニウム合金板にする第1圧延工程と、前記第1圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して中間焼鈍を施す中間焼鈍工程と、前記中間焼鈍が施されたアルミニウム合金板に対して冷間圧延を施す第2圧延工程と、前記第2圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して最終焼鈍を行なう最終焼鈍工程とを含み、前記中間焼鈍工程及び第2圧延工程を少なくとも1回施し、前記冷間圧延の最終冷間圧延率が15〜50%である構成とした(請求項3)。
【0018】
また、電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法としては、前記組成を有するアルミニウム合金に対して均熱処理を施す工程と、前記均熱処理が施されたアルミニウム合金に熱間圧延および最終冷間圧延率を15〜50%として冷間圧延を施しアルミニウム合金板にする圧延工程と、前記圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して最終焼鈍を行なう最終焼鈍工程とを含む構成とした(請求項4)。
【0019】
このように構成すれば、冷間圧延時の加工硬化によって所望の強度が付与された、しかも、所定の最終冷間圧延率および最終焼鈍によって、電池ケースの使用環境温度下において、内部応力の緩和を抑制した電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法が具現化される。また、加工機での絞りしごき加工に適した電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法が具現化される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板を、本発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、本発明はこのような実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて、適宜に変更することが可能である。
【0021】
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、一連の成形加工が順次に施されるトランスファープレスによって所望の形状に成形されて、例えば、リチウムイオン2次電池の電池ケースに好適なものである。
【0022】
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金板は、トランスファープレスに含まれる、多段階の絞り−しごき加工のような特に過酷な加工(以下、単に「しごき加工等」という。)に対して優れた加工性を有するものである。
【0023】
また、前記したようにリチウムイオン2次電池等で放電または充電が繰り返されたり、あるいは高温環境下で使用されたり、電池ケース内部の温度が上昇しそれに伴って圧力が上昇した場合でも、この電池ケースの膨れの変形量を適切に低く抑えることができるものである。このように本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板にあっては、強度と成形性とに優れていることが必要とされる。
【0024】
〔電池ケース用アルミニウム合金板の構成〕
そこで、まず、強度と成形性とを同時に満足させる電池ケース用アルミニウム合金板を実現するために合金の組成を最適化した。すなわち、電池ケース用アルミニウム合金板の組成は、Cuが0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有している。
【0025】
そして、前記アルミニウム合金から所定の製造工程により製造されることで、その電池ケース用アルミニウム合金板の板材の硬度をビッカース硬さで68以上85以下としている。なお、このときの板材の耐力は180MPa以上とすることが好ましい。
【0026】
はじめに、この電池ケース用アルミニウム合金板の組成として、Cu、Mg、Mn、さらに、Si、Feの各元素の含有量を特定の値となるように数値限定した理由について説明する。
【0027】
(Cuの含有量:0.2を超えて0.5質量%)
Cuは、固溶強化によりアルミニウム合金素材の強度を高め、耐圧強度を向上させる作用を有する。また、Mg、Alと結びついてS’(CuMgAl2)相を生成し、応力緩和現象を抑える。Cuの含有量が0.2質量%以下ではこの効果が小さく、一方、Cuの含有量が0.5質量%を超えるとアルミニウム合金素材の成形性を低下させるとともに電池ケースのケース本体部と蓋部とをレーザ溶接等により固着させる際に割れが生じやすくなる。したがって、Cuの含有量は0.2を超えて0.5質量%とする。
【0028】
(Mgの含有量:0.1〜0.8質量%)
Mgは、固溶強化によりアルミニウム合金素材の強度を高め、耐圧強度(電池ケースの側壁強度)を向上させる作用を有する。また、使用環境温度を高めた際に生ずる応力緩和現象は、原子の拡散及び転位の移動の両者が関与して生じる。一般的に、溶媒原子(この場合は、Al)よりも原子半径が大きい溶質原子(この場合は、Mg)が固溶すると、この現象を抑制することが知られている。原子空孔との結合が強く原子の拡散を抑え、転位との相互作用も強く転位の移動も抑えるからである。この応力緩和が小さければ、二次電池ケースの膨れも抑制することができる。また、Mgは、Siと結びついて析出物(Mg2Si)を形成したり、Al及びCuと結びついてS’(CuMgAl2)相を形成し、応力緩和を抑制することができる。Mgの含有量が0.1質量%未満ではこの効果は小さく、一方、Mgの含有量が0.8質量%を超えると加工硬化性が高まってアルミニウム合金素材の成形性が低下し、また前記レーザ溶接時に割れが生じやすくなる。したがって、Mg含有量は0.1〜0.8質量%とする。
【0029】
(Mnの含有量:0.6〜1.5質量%)
Mnは、母相内に固溶して強度を高める作用を有する。Mnの含有量が0.6質量%未満であるとこの効果は小さく、一方、Mnの含有量が1.5質量%を超えると粗大な金属間化合物が生成し、成形時の割れの起点となりやすいため成形性が低下する。したがって、Mn含有量は0.6〜1.5質量%とする。
【0030】
(Siの含有量:0.05〜0.5質量%)
Siは、Al,Mn,Fe等と金属間化合物を形成し,成形性を向上させる効果を有する。また、Mgと結びついて析出物(Mg2Si)を形成し、その作用により応力緩和性も向上する。Si量が増加するにしたがってMg2Siの形成量が増加し、応力緩和性も向上する。しかし、これらのSi元素の含有量が0.05質量%未満であるとその効果が小さく、一方、Si元素の含有量が0.5質量%を超えると金属間化合物が粗大化し、成形時の割れの起点となりやすいため成形性が低下する。したがって、Si元素の含有量は、0.05〜0.5質量%とする。
【0031】
(Feの含有量:0.1〜1質量%)
Feは、Siと同様に金属間化合物を形成するため、成形性を向上させる効果を有する。しかし、Fe元素の含有量が0.1質量%未満であると化合物の形成量が少なくその効果が小さく、一方、Fe元素の含有量が1.0質量%を超えると金属間化合物が粗大化し、成形時の割れの起点となりやすいため成形性が低下する。したがって、Fe元素の含有量は、0.1〜1.0質量%とする。
【0032】
(不可避的不純物)
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板に含まれる不可避的不純物としては、Cr、Zn、Ti等が挙げられる。本発明の効果を奏するためには、これらの不可避的不純物の含有量を各々0.3質量%未満に抑える必要がある。
【0033】
〔電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法〕
アルミニウム合金板は、高いしごき性および耐圧性(耐膨れ性)が付与されるためにアルミニウム合金を冷間圧延する際の最終冷間圧延率の規制および最終冷間圧延後に最終焼鈍工程を設けることにより、超硬質化が図られ、適正な加工硬化性を有すると共に、内部応力緩和現象が抑制されることになる。ここでは、電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法で、アルミニウム合金を熱間圧延および最終冷間圧延率を15〜50%として冷間圧延した後、最終焼鈍を行なうようにしている。また、熱間圧延および冷間圧延する第1圧延工程の後、中間焼鈍工程及び冷間圧延する第2圧延工程を少なくとも1回経て、最終焼鈍工程を行う製造方法であってもよい。そして、前記第2圧延工程の最終冷間圧延は最終冷間圧延率15〜50%で行う。また、中間焼鈍は、例えば、450〜550℃程度で行なわれる。このような製造方法により、加工機での使用に適した電池ケース用アルミニウム合金板が得られる。
【0034】
(最終冷間圧延率:15〜50%)
この冷間圧延は、所望の板厚に調整すると同時に、加工硬化によってアルミニウム合金素材の強度を所望の強度に向上させるために行なわれる。なお、最終冷間圧延率を15〜50%に調整することにより、内部応力緩和現象が抑制されて耐圧性(耐膨れ性)が向上することとなる。また、加工機でのしごき加工等の作業が安定する。
【0035】
(最終冷間圧延後の最終焼鈍工程)
この焼鈍を行うことによって、アルミニウム合金中に後記する微細析出物が析出する。一般的に、微細析出物は、転位の移動を抑制する働きを有することが知られている。前記したアルミニウム合金成分においては、最終の冷間圧延後に、好ましくは、80〜200℃にて焼鈍することで、Mg2SiまたはS’(CuMgAl2)相が析出し、応力緩和現象を抑える。また、前記析出物(Mg2Si)またはS’相の生成により、加工硬化特性が上昇し、プレス加工後の強度が高まる。また、加工機でのしごき加工等の作業が安定する。
【0036】
そして、80℃未満での焼鈍では、Mg2SiまたはS’相が十分生成されない可能性があり、また、200℃を超えた焼鈍では、Mg2SiまたはS’相が粗大に成長しすぎて転位の移動を抑制する働きが低下する可能性があるため、最終冷間圧延後の焼鈍温度は、80〜200℃に制御することが好ましい。なお、この場合、昇温速度が10乃至200℃/時、保持時間が1乃至10時間のバッチ方式の焼鈍であることが好ましい。また、連続焼鈍の場合には、焼鈍温度を基本的に高温度範囲にシフトして、例えば、150〜280℃で処理時間をバッチ方式より短くして行なわれることが好ましい。
【0037】
また、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法において、前記のような最終冷間圧延率で冷間圧延が施されたアルミニウム合金板の素材は、加工機における加工性が高くなる。そして、電池ケース用アルミニウム合金板のしごき加工等を行う前の硬度を、マイクロビッカース硬度計において、荷重を300gで20秒間加えることにより測定すると、ビッカース硬さにおいて68〜85の範囲となるように、硬度を設定して構成する。このときの耐力が180MPa以上となるように設定されていると都合がよい。即ち、ビッカース硬さが68未満、かつ耐力が180MPa未満であると、加工機での電池ケース成形後の側壁部の硬度が低く、膨れ等の変形を生じる可能性が高い。一方、ビッカース硬さが85を超え、かつ耐力が180MPa未満であると、加工機を使用して、しごき加工等を行う場合に適切な加工結果を得られない可能性が高い。
【0038】
そして、加工機を使用して、後記するしごき加工等を行った後の電池ケースの側壁硬度を、前記と同様の測定方法で測定すると、ビッカース硬さにおいて73〜95の範囲内となるようにする。これは,従来のJIS3003合金板の加工前の硬度よりも著しく高い値である。加工機を使用して、電池ケースに形成されたときに、その側壁硬度が、ビッカース硬さにおいて73未満であると、膨れ等の変形を生じる可能性が高い。また、電池ケースに形成されたときに、その側壁硬度が、ビッカース硬さにおいて95を超えていると、アルミニウム合金板からの加工硬化が大きく絞りしごき加工性が劣る可能性が高い。
【0039】
また、加工機を使用して、しごき加工等を行った後の成形品である電池ケースの側壁硬度から、しごき加工等を行う前の板の硬度を引いた硬度差が、ビッカース硬さで5〜10になるように構成されている。硬度差が5未満では、加工機による成形加工後の側壁部の硬度が低くなり、膨れ性が劣るものとなる。一方、10を超えると、加工硬化が大きくなり、加工機での絞りしごき加工性が劣る。
【0040】
〔電池ケースの製造方法〕
そして、前記した電池ケース用アルミニウム合金板を所定形状にカットし、これに複数回にわたって絞りあるいはしごき加工を行い、徐々に有底筒形状の側壁面を高く成形することで、所定の側壁高さ底面積を備える電池ケースを製造する。例えば、直径60mmのブランク板から側壁高さが50mmの電池ケースを製造する。そして、この電池ケースの側壁硬度をビッカース硬度計で測定したときの値を前記した電池ケースの側壁硬度とし、その硬度を73〜95としている。
【0041】
また、電池ケース用アルミニウム合金板は、加工前の板厚さを0.3〜0.8mm程度から加工後0.1〜0.4mm程度への絞り、しごき加工を行うようにしており、直方体の角型形状になるように成形される。なお、この電池ケース用アルミニウム合金板により成形されるアルミニウム合金製電池ケース等の成型品の形状は、絞り、しごき加工を施して有底筒形状となれば、特に限定されるものではない。
【0042】
また、しごき加工等を行う前後の板厚減少率の適正範囲は、30〜80%であることが好ましい。この板厚減少率が30未満である場合、あるいは、板厚減少率が80を超える場合は、形成する電池ケースの所望の側壁厚さを達成することが困難となる。
【0043】
【実施例】
以下、電池ケース用アルミニウム合金板を実際に製造して得られた、本発明の必要条件を満足する電池ケース用アルミニウム合金板の実施例と、本発明の必要条件を満足しない比較例とを対比させて本発明について詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて適宜に変更することが可能である。
【0044】
〔第1の実施例〕
表1には、本発明の必要条件を満足する実施例の構成と、本発明の必要条件を満足しない比較例の構成とをそれぞれ示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、No.1〜21のそれぞれの組成を有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金の鋳塊に均質化処理を施した。その後、熱間圧延し、冷間圧延と中間焼鈍を繰返し、最終冷間圧延率を30%として冷間圧延を施し、板厚が0.6mmのアルミニウム合金板とした。更に、最終焼鈍として、120℃で4時間の熱処理を施した。
【0047】
すなわち、表1に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.1〜10)はいずれも本発明で規制した組成を有するものであり、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.11、12)は、各々Siの含有量が、各々本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えである。また、比較例(No.13、14)は、Feの各々本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えであり、比較例(No.15、16)は、各々Cuの本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えであり、比較例(No.17、18)はMnの含有量が、本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えであり、比較例(No.19、20)は、各々Mgの本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えである。また、比較例(No.21)はJISA3003合金であって、Siの範囲が上限値超であり、Mgの値が不明なものである。
【0048】
次に、このようにして作製したアルミニウム合金板に対して、引張試験、電池ケース形状(角型)への成形加工試験、成形加工前後の硬度測定、応力緩和試験および電池ケース封孔後の耐圧性試験(耐膨れ試験)を行った。
【0049】
〔引張試験〕
各アルミニウム合金板について、引張り方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号による引張り試験片を作製した。その後、引張り試験を実施し引張強さ及び耐力を求めた。
【0050】
〔成形加工試験〕
成形加工試験は、加工機を使用して、側壁のしごき加工率を50%として、縦5mm、横30mm、高さ50mmの角形ケースを成形し、成形可能であったものは成形性が良好であり問題なしとして「◎」、わずかに肌荒れ「○」、割れ又は肌荒れが著しく発生したものは成形性が不良であるとして「×」と評価した。
【0051】
〔成形加工前後の硬度測定〕
成形加工前の硬度測定は、アルミニウム合金板の任意の3ポイントの部位の硬度をマイクロビッカース硬度計を用いて測定し、平均値を求めた。なお、測定条件は、荷重300gで時間20秒である。また、成形加工後の硬度測定は、図1に示すように、側壁の広幅面の底部から1/4,2/4,3/4の測定ポイントP1,P2,P3の部位の硬度をマイクロビッカース硬度計を用いて測定し、平均値を求めた。なお、測定条件は、荷重300gで時間20秒である。
【0052】
〔応力緩和試験〕
先ず、アルミニウム合金板に、電池ケースへの成形加工を想定し最終冷間圧延率50%の冷間圧延を行い、図2に示すように、幅10mm、長さ150mmの試験片に切り出した。その後、日本電子材料工業会標準規格EMAS−3003に記載の片持ち梁式により、試験片100mm(L)の位置に120MPaの応力を付加し変形させ(δ0)、その状態で80℃、24時間保持した後に応力を除去し、試験片の変形量(たわみ量:ε)を測定した。なお、この場合、変形量が大きいほど、応力緩和特性に劣ることとなる。
【0053】
〔耐圧性試験(耐膨れ性試験)〕
また、耐圧試験は、電池ケースを封孔して294kPa(3kg/cm2)の内圧を作用させた状態で、100℃の温度に加熱して2時間保持した後、室温に戻し、その後電池ケース側面の膨れの変位量を測定した。この膨れ変位量が1.2mm以下であったものは耐圧性が優として「◎」、1.2mm〜1.5mmであったものは耐圧性が良好であるとして「○」、1.5mmを超えたものは不良であるとして「×」とした。
これらの試験結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.1〜10)は、アルミニウム合金板の組成、成形加工前後の硬度がいずれも本発明で規制した範囲内にあるため、優れたしごき成形加工性、耐圧性を示している。
【0056】
一方、比較例(No.11)は、表1に示すようにSiの含有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であり、また、比較例(No.12)は上限値を超えるため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。比較例(No.13)は、Feの含有量が表1に示すように本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、比較例(No.14)は上限値を超えるため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。
【0057】
また、比較例(No.15)は、Cuの含有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、応力緩和特性が低く耐圧性が劣るものとなっている。一方、比較例(No.16)は、Cuの含有量および成形前後の硬度差が本発明で規制した範囲の上限値を超えているため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。
【0058】
さらに、比較例(No.17)は、Mnの含有量および成形加工前後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。比較例(No.18)は、Mnの含有量が本発明で規制する上限値を超えているため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。比較例(No.19)は、Mgの含有量、成形後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。比較例(No.20)は、Mg含有量および成形前後の硬度差が本発明で規制した範囲の上限値を超えているため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。また、比較例(No.21)は、Si含有量が本発明で規制した範囲の上限値を超え、また、成形後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性に劣るものとなっている。
【0059】
〔第2の実施例〕
前記の第1の実施例であるところの表1に示される、実施例(No.1)の組成を有するアルミニウム合金鋳塊に均質化処理を施した後、熱間圧延を行い、冷間圧延と中間焼鈍を繰返し、最終冷間圧延率を30%として冷間圧延を施し、板厚が0.6mmのアルミニウム合金板とし、最終焼鈍として熱処理を施したもの(実施例(No.22、23)、比較例(No.25))と施さないもの(比較例(No.24))とを作製した。実施例(No.22、23)、比較例(No.24、25)の組成は実施例(No.1)と同一組成である。このようにして作製した各種のアルミニウム合金板について、第1の実施例と同様の試験を行い評価した。これらの評価結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
表3に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.22、23)は、いずれもアルミニウム合金板の組成及び成形加工前後の硬度が本発明で規制した範囲内にあるため、優れたしごき加工性、耐圧性を示している。
【0062】
一方、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.24)は、最終焼鈍を施さず、成形後の硬度も本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。また、比較例(No.25)は、最終焼鈍温度が高く、成形後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。
【0063】
〔第3の実施例〕
前記の第1の実施例であるところの表1に示される、実施例(No.1)の組成を有するアルミニウム合金鋳塊に均質化処理を施した後、熱間圧延を行い、冷間圧延と中間焼鈍を繰返し、最終冷間圧延率を10〜60%の5水準として冷間圧延を施し、板厚が0.6mmのアルミニウム合金板とし、最終焼鈍として120℃で4hの熱処理を施したものを作製した。このようにして作製した各種のアルミニウム合金板について、第1の実施例と同様の試験を行い評価した。これらの評価結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
表4に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.26〜28)は、いずれもアルミニウム合金板の組成及び成形加工前後の硬度が本発明で規制した範囲内にあるため、優れたしごき加工性、耐圧性を示している。
【0066】
一方、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.29)は、最終冷間圧延率が本発明で規制した範囲の下限値未満、または、成形後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。また、比較例(No.30)は、最終冷間圧延率が本発明で規制した範囲の上限値超、または、成形前の硬度が本発明で規制した範囲の上限値を超えるため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。
【0067】
【発明の効果】
以上説明した通りに構成される本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明によれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を適正化し、さらに成形性に寄与するSiおよびFeの両方の各元素の含有量を適正化し、なおかつ加工前の板材の硬度について適正化したので、使用環境温度下での内部応力の緩和が抑制され、所定の強度と成形性、並びに薄肉化された状態での内圧、温度の変化に対応できる電池ケースを形成することができる電池ケース用アルミニウム合金板を提供することができる。
【0068】
本発明によれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を適正化し、さらに成形性に寄与するSiおよびFeの両方の各元素の含有量を適正化し、なおかつ加工前の板材の硬度および電池ケースの側壁硬度について適正化し、さらには加工前後の硬度差を所定範囲内に規制して加工硬化性を適正化したので、使用環境温度下での内部応力の緩和が抑制され、所定の強度と成形性、並びに薄肉化された状態での内圧、温度の変化に対応できるアルミニウム合金製電池ケースを提供することができる。
【0069】
本発明によれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を適正化し、さらに成形性に寄与するSiおよびFeの両方の各元素の含有量を適正化し、なおかつアルミニウム合金板の製造において所定範囲(15〜50%)の最終冷間圧延率での圧延工程および最終焼鈍工程が施されるので、使用環境温度下での内部応力の緩和が抑制され、所定の強度と成形性、並びに薄肉化された状態での内圧、温度の変化に対応できる電池ケースを形成することができる電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法を提供することができる。
【0070】
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、薄肉化してもしごき加工に対して適切な強度と成形性を有する組成および硬度が適切に規定されている。その結果、リチウムイオン2次電池の電池ケース等の容器形状に成形するためのしごき加工等における成形性が優れていると共に、ケース内部の圧力が上昇しても膨れ変形量が少なく、耐圧性(耐膨れ性)が高いアルミニウム合金製電池ケースを得ることができる。このような本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板からアルミニウム合金製電池ケースを成形すれば、リチウムイオン2次電池の電池ケースをはじめとする各種の容器に対して求められている、近時の軽量化や小型化の要求を充分に満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電池ケース用アルミニウ合金板の加工後における電池ケースでのビッカース硬さの測定部位を示す模式図である。
【図2】本発明におけるアルミニウム合金板での応力緩和試験の模式図である。
【符号の説明】
1 電池ケース
P1 測定ポイント
P2 測定ポイント
P3 測定ポイント
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン電池ケース等の電池ケース用アルミニウム合金板に関し、特に、高い強度および優れた成形性が付与され、応力緩和性、耐圧性(耐膨れ性)に優れた電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法ならびにアルミニウム合金製電池ケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話やハンディパーソナルコンピュータ等の電源として搭載されているリチウムイオン2次電池には、通常、Niめっき鋼板またはステンレス鋼板等の金属材料に複数の絞り加工の工程と、しごき加工の工程とを適宜に組み合わせたプレス加工等の成形加工が施されて形成された電池ケースが使用されている。
【0003】
このようなリチウムイオン2次電池における近時の要求によれば、単位質量当たりのエネルギ出力密度の向上を図ることであり、これを実現するためにリチウムイオン2次電池(以下、単に「電池」という。)の電池ケース(以下、単に「電池ケース」という。)に対して一層の小型化と軽量化を図ることが要求されている。そこで、この電池ケースのより一層の小型化と軽量化とを目的として、この電池ケースにJISA3003合金等の軽量性と強度とを備えたアルミニウム合金が一部採用されている。
【0004】
ところで、このような電池ケースでは、電池の充電や放電が行なわれる際に電池ケースの内部の圧力が上昇する。また、夏季において、このような電池ケースが搭載された電子機器を自動車内等の高温環境下に長時間放置したような場合には、電池ケース自体が60乃至90℃にも達し、電池ケース用材料自体の内部応力が緩和される。その結果、電池ケースが膨れて変形し、場合によっては電池ケースが破損すると言った問題が生じる。このため、電子機器の性能を損ねる恐れもある。
【0005】
そこで、このような電池ケースに要求される特性として、電池の充電および放電時はもとより、高温環境下で使用される状況を想定して、これらの使用状況で電池ケースの内圧が上昇した場合にも、電池ケースが所期の形状を保持できることが挙げられる。その一方で、電池の小型化や軽量化および低コスト化を図るべく、電池ケースの薄肉化を図ることが強く要求されている。
【0006】
しかしながら、このような電池ケースに適用可能なアルミニウム合金素材として前記したJISA3003合金等を使用し、電池ケースの軽量化を図るべくこのアルミニウム合金素材の板厚をある程度薄くすると、変形が生じ易くなり、その結果、電池ケースの耐圧性(耐膨れ性)が低下して比較的小さな内部圧力が作用しても膨れが生じ易くなるという問題が発生する。
【0007】
すなわち、従来のJISA3003合金等のアルミニウム合金素材では、電池ケースで所望とされている軽量化を目指して薄肉化を図ると所要の耐圧性(耐膨れ性)が得られなくなるといったように素材の薄肉化と耐圧性(耐膨れ性)とが二律背反的な関係にあるため、電池ケースに対してアルミニウム合金素材の薄肉化と耐圧性(耐膨れ性)とを両立させて満足させることは困難であった。
【0008】
このため、JIS3000系のアルミニウム合金にCu等を添加することによりアルミニウム合金の強度を向上させて、このアルミニウム合金板の板厚を薄肉化して電池ケースの軽量化を可能とする技術が開示されている。この技術によれば、所要の強度を確保してある程度の軽量化が可能となり、しかも所要の成形性を有したアルミニウム合金が得られるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−284014号公報(第2頁2〜16行)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電池ケースとして成形された加工後の側壁部の硬度は、ビッカース硬さで70以下という値であることが測定されており、この場合、温度上昇しなくても内圧が加わることにより塑性変形が進行し、膨れが生じる。また、電池ケース材料の内部応力の緩和も大きく耐圧性(耐膨れ性)に劣るものであった。また、Mgの添加により強度を高めたものも存在するが、加工硬化性が高まるため、しごき加工性が低下してしまう。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、アルミニウム合金素材を薄肉化しても、絞り加工およびしごき加工の際に破断が生じることのない成形性を備えていると共に、電池ケースに成形加工された後に、充放電あるいは60乃至90℃程度への温度上昇により、この電池ケース内部の圧力が上昇した場合でも、電池ケースの膨れによる変形量を小さく抑えることが可能な、成形性、応力緩和性および耐圧性(耐膨れ性)に優れた電池ケース用アルミニウム合金板およびその製造方法ならびにアルミニウム合金製電池ケースを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、JIS3000系のアルミニウム合金の組成で、強度上昇に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を所定の範囲内に規制するとともに、アルミニウム合金中の化合物形成に寄与するSiおよびFeの含有量を所定の範囲内に規制し、なおかつこのような組成を有するアルミニウム合金で、加工前のアルミニウム合金板材の硬さおよび加工後の電池ケースの側壁硬度が所定の範囲にあるように構成することによって、超硬質にして、優れた成形性(高いしごき加工性)が得られ、電池ケースに加工した後、使用環境温度下での内部応力の緩和を抑えることが可能となることを知見して前記課題を解決することができることを見い出した。
【0013】
すなわち、前記課題を解決するための本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで(0.2<Cu≦0.5)、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで(0.1≦Mg≦0.8)、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで(0.6≦Mn≦1.5)含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで(0.05≦Si≦0.5)、Feを0.1質量%から1.0質量%まで(0.1≦Fe≦1.0)含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、かつ、前記組成を有する板材の硬度がビッカース硬さで68以上85以下となるように構成した(請求項1)。
【0014】
このように構成すれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を所定の範囲内に規制して適正化し、さらにアルミニウム合金中に化合物を形成させて成形性に寄与するSiおよびFeの両方の含有量を所定の範囲内に規制して適正化し、なおかつアルミニウム合金板材のビッカース硬さを所定の範囲内に規制したので、電池ケースに成形された際に使用環境温度下での内部応力の緩和が抑制され、アルミニウム合金板を薄肉化しても、所定の強度と成形性、応力緩和性並びに所望の耐圧性(耐膨れ性)を有する電池ケース用アルミニウム合金板が具現化される。また、板材の硬度を68以上85以下とすることにより、絞りしごき加工成形機(以下、単に「加工機」という。)での成形が安定する。
【0015】
また、アルミニウム合金製電池ケースとしては、Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、かつ、前記組成を有する板材の硬度がビッカース硬さで68以上85以下となる電池ケース用アルミニウム合金板を用い、その電池ケース用アルミニウム合金板を打ち抜いた直径が60mmのブランク板から絞りしごき加工を行い側壁高さが50mmの電池ケースとした際に測定した側壁硬度が、ビッカース硬さで73以上95以下となると共に、前記絞りしごき加工前の前記電池ケース用アルミニウム合金板材の硬度と、前記アルミニウム合金製電池ケースとした際に測定した側壁硬度との硬度差がビッカース硬さで5〜10となるように構成した(請求項2)。
【0016】
このように構成すれば、冷間圧延時の加工硬度が小さなアルミニウム合金の板材に対して所望の強度を付与したので、加工硬化性が適正化され、しごき加工に適した強度を有し、加工機での絞りしごき加工が安定する。また、電池ケースとして薄肉に形成された場合であっても、絞りしごき加工に対する加工性を維持しながら、電池ケースの側壁硬度が確保でき、内部応力の緩和が抑制され所望の耐圧性(耐膨れ性)を有するアルミニウム合金製電池ケースが具現化される。
【0017】
また、電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法としては、Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有すると共に、前記組成を有するアルミニウム合金に対して均熱処理を施す工程と、前記均熱処理が施されたアルミニウム合金に熱間圧延および冷間圧延を施してアルミニウム合金板にする第1圧延工程と、前記第1圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して中間焼鈍を施す中間焼鈍工程と、前記中間焼鈍が施されたアルミニウム合金板に対して冷間圧延を施す第2圧延工程と、前記第2圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して最終焼鈍を行なう最終焼鈍工程とを含み、前記中間焼鈍工程及び第2圧延工程を少なくとも1回施し、前記冷間圧延の最終冷間圧延率が15〜50%である構成とした(請求項3)。
【0018】
また、電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法としては、前記組成を有するアルミニウム合金に対して均熱処理を施す工程と、前記均熱処理が施されたアルミニウム合金に熱間圧延および最終冷間圧延率を15〜50%として冷間圧延を施しアルミニウム合金板にする圧延工程と、前記圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して最終焼鈍を行なう最終焼鈍工程とを含む構成とした(請求項4)。
【0019】
このように構成すれば、冷間圧延時の加工硬化によって所望の強度が付与された、しかも、所定の最終冷間圧延率および最終焼鈍によって、電池ケースの使用環境温度下において、内部応力の緩和を抑制した電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法が具現化される。また、加工機での絞りしごき加工に適した電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法が具現化される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板を、本発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。なお、本発明はこのような実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて、適宜に変更することが可能である。
【0021】
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、一連の成形加工が順次に施されるトランスファープレスによって所望の形状に成形されて、例えば、リチウムイオン2次電池の電池ケースに好適なものである。
【0022】
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金板は、トランスファープレスに含まれる、多段階の絞り−しごき加工のような特に過酷な加工(以下、単に「しごき加工等」という。)に対して優れた加工性を有するものである。
【0023】
また、前記したようにリチウムイオン2次電池等で放電または充電が繰り返されたり、あるいは高温環境下で使用されたり、電池ケース内部の温度が上昇しそれに伴って圧力が上昇した場合でも、この電池ケースの膨れの変形量を適切に低く抑えることができるものである。このように本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板にあっては、強度と成形性とに優れていることが必要とされる。
【0024】
〔電池ケース用アルミニウム合金板の構成〕
そこで、まず、強度と成形性とを同時に満足させる電池ケース用アルミニウム合金板を実現するために合金の組成を最適化した。すなわち、電池ケース用アルミニウム合金板の組成は、Cuが0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有している。
【0025】
そして、前記アルミニウム合金から所定の製造工程により製造されることで、その電池ケース用アルミニウム合金板の板材の硬度をビッカース硬さで68以上85以下としている。なお、このときの板材の耐力は180MPa以上とすることが好ましい。
【0026】
はじめに、この電池ケース用アルミニウム合金板の組成として、Cu、Mg、Mn、さらに、Si、Feの各元素の含有量を特定の値となるように数値限定した理由について説明する。
【0027】
(Cuの含有量:0.2を超えて0.5質量%)
Cuは、固溶強化によりアルミニウム合金素材の強度を高め、耐圧強度を向上させる作用を有する。また、Mg、Alと結びついてS’(CuMgAl2)相を生成し、応力緩和現象を抑える。Cuの含有量が0.2質量%以下ではこの効果が小さく、一方、Cuの含有量が0.5質量%を超えるとアルミニウム合金素材の成形性を低下させるとともに電池ケースのケース本体部と蓋部とをレーザ溶接等により固着させる際に割れが生じやすくなる。したがって、Cuの含有量は0.2を超えて0.5質量%とする。
【0028】
(Mgの含有量:0.1〜0.8質量%)
Mgは、固溶強化によりアルミニウム合金素材の強度を高め、耐圧強度(電池ケースの側壁強度)を向上させる作用を有する。また、使用環境温度を高めた際に生ずる応力緩和現象は、原子の拡散及び転位の移動の両者が関与して生じる。一般的に、溶媒原子(この場合は、Al)よりも原子半径が大きい溶質原子(この場合は、Mg)が固溶すると、この現象を抑制することが知られている。原子空孔との結合が強く原子の拡散を抑え、転位との相互作用も強く転位の移動も抑えるからである。この応力緩和が小さければ、二次電池ケースの膨れも抑制することができる。また、Mgは、Siと結びついて析出物(Mg2Si)を形成したり、Al及びCuと結びついてS’(CuMgAl2)相を形成し、応力緩和を抑制することができる。Mgの含有量が0.1質量%未満ではこの効果は小さく、一方、Mgの含有量が0.8質量%を超えると加工硬化性が高まってアルミニウム合金素材の成形性が低下し、また前記レーザ溶接時に割れが生じやすくなる。したがって、Mg含有量は0.1〜0.8質量%とする。
【0029】
(Mnの含有量:0.6〜1.5質量%)
Mnは、母相内に固溶して強度を高める作用を有する。Mnの含有量が0.6質量%未満であるとこの効果は小さく、一方、Mnの含有量が1.5質量%を超えると粗大な金属間化合物が生成し、成形時の割れの起点となりやすいため成形性が低下する。したがって、Mn含有量は0.6〜1.5質量%とする。
【0030】
(Siの含有量:0.05〜0.5質量%)
Siは、Al,Mn,Fe等と金属間化合物を形成し,成形性を向上させる効果を有する。また、Mgと結びついて析出物(Mg2Si)を形成し、その作用により応力緩和性も向上する。Si量が増加するにしたがってMg2Siの形成量が増加し、応力緩和性も向上する。しかし、これらのSi元素の含有量が0.05質量%未満であるとその効果が小さく、一方、Si元素の含有量が0.5質量%を超えると金属間化合物が粗大化し、成形時の割れの起点となりやすいため成形性が低下する。したがって、Si元素の含有量は、0.05〜0.5質量%とする。
【0031】
(Feの含有量:0.1〜1質量%)
Feは、Siと同様に金属間化合物を形成するため、成形性を向上させる効果を有する。しかし、Fe元素の含有量が0.1質量%未満であると化合物の形成量が少なくその効果が小さく、一方、Fe元素の含有量が1.0質量%を超えると金属間化合物が粗大化し、成形時の割れの起点となりやすいため成形性が低下する。したがって、Fe元素の含有量は、0.1〜1.0質量%とする。
【0032】
(不可避的不純物)
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板に含まれる不可避的不純物としては、Cr、Zn、Ti等が挙げられる。本発明の効果を奏するためには、これらの不可避的不純物の含有量を各々0.3質量%未満に抑える必要がある。
【0033】
〔電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法〕
アルミニウム合金板は、高いしごき性および耐圧性(耐膨れ性)が付与されるためにアルミニウム合金を冷間圧延する際の最終冷間圧延率の規制および最終冷間圧延後に最終焼鈍工程を設けることにより、超硬質化が図られ、適正な加工硬化性を有すると共に、内部応力緩和現象が抑制されることになる。ここでは、電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法で、アルミニウム合金を熱間圧延および最終冷間圧延率を15〜50%として冷間圧延した後、最終焼鈍を行なうようにしている。また、熱間圧延および冷間圧延する第1圧延工程の後、中間焼鈍工程及び冷間圧延する第2圧延工程を少なくとも1回経て、最終焼鈍工程を行う製造方法であってもよい。そして、前記第2圧延工程の最終冷間圧延は最終冷間圧延率15〜50%で行う。また、中間焼鈍は、例えば、450〜550℃程度で行なわれる。このような製造方法により、加工機での使用に適した電池ケース用アルミニウム合金板が得られる。
【0034】
(最終冷間圧延率:15〜50%)
この冷間圧延は、所望の板厚に調整すると同時に、加工硬化によってアルミニウム合金素材の強度を所望の強度に向上させるために行なわれる。なお、最終冷間圧延率を15〜50%に調整することにより、内部応力緩和現象が抑制されて耐圧性(耐膨れ性)が向上することとなる。また、加工機でのしごき加工等の作業が安定する。
【0035】
(最終冷間圧延後の最終焼鈍工程)
この焼鈍を行うことによって、アルミニウム合金中に後記する微細析出物が析出する。一般的に、微細析出物は、転位の移動を抑制する働きを有することが知られている。前記したアルミニウム合金成分においては、最終の冷間圧延後に、好ましくは、80〜200℃にて焼鈍することで、Mg2SiまたはS’(CuMgAl2)相が析出し、応力緩和現象を抑える。また、前記析出物(Mg2Si)またはS’相の生成により、加工硬化特性が上昇し、プレス加工後の強度が高まる。また、加工機でのしごき加工等の作業が安定する。
【0036】
そして、80℃未満での焼鈍では、Mg2SiまたはS’相が十分生成されない可能性があり、また、200℃を超えた焼鈍では、Mg2SiまたはS’相が粗大に成長しすぎて転位の移動を抑制する働きが低下する可能性があるため、最終冷間圧延後の焼鈍温度は、80〜200℃に制御することが好ましい。なお、この場合、昇温速度が10乃至200℃/時、保持時間が1乃至10時間のバッチ方式の焼鈍であることが好ましい。また、連続焼鈍の場合には、焼鈍温度を基本的に高温度範囲にシフトして、例えば、150〜280℃で処理時間をバッチ方式より短くして行なわれることが好ましい。
【0037】
また、本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法において、前記のような最終冷間圧延率で冷間圧延が施されたアルミニウム合金板の素材は、加工機における加工性が高くなる。そして、電池ケース用アルミニウム合金板のしごき加工等を行う前の硬度を、マイクロビッカース硬度計において、荷重を300gで20秒間加えることにより測定すると、ビッカース硬さにおいて68〜85の範囲となるように、硬度を設定して構成する。このときの耐力が180MPa以上となるように設定されていると都合がよい。即ち、ビッカース硬さが68未満、かつ耐力が180MPa未満であると、加工機での電池ケース成形後の側壁部の硬度が低く、膨れ等の変形を生じる可能性が高い。一方、ビッカース硬さが85を超え、かつ耐力が180MPa未満であると、加工機を使用して、しごき加工等を行う場合に適切な加工結果を得られない可能性が高い。
【0038】
そして、加工機を使用して、後記するしごき加工等を行った後の電池ケースの側壁硬度を、前記と同様の測定方法で測定すると、ビッカース硬さにおいて73〜95の範囲内となるようにする。これは,従来のJIS3003合金板の加工前の硬度よりも著しく高い値である。加工機を使用して、電池ケースに形成されたときに、その側壁硬度が、ビッカース硬さにおいて73未満であると、膨れ等の変形を生じる可能性が高い。また、電池ケースに形成されたときに、その側壁硬度が、ビッカース硬さにおいて95を超えていると、アルミニウム合金板からの加工硬化が大きく絞りしごき加工性が劣る可能性が高い。
【0039】
また、加工機を使用して、しごき加工等を行った後の成形品である電池ケースの側壁硬度から、しごき加工等を行う前の板の硬度を引いた硬度差が、ビッカース硬さで5〜10になるように構成されている。硬度差が5未満では、加工機による成形加工後の側壁部の硬度が低くなり、膨れ性が劣るものとなる。一方、10を超えると、加工硬化が大きくなり、加工機での絞りしごき加工性が劣る。
【0040】
〔電池ケースの製造方法〕
そして、前記した電池ケース用アルミニウム合金板を所定形状にカットし、これに複数回にわたって絞りあるいはしごき加工を行い、徐々に有底筒形状の側壁面を高く成形することで、所定の側壁高さ底面積を備える電池ケースを製造する。例えば、直径60mmのブランク板から側壁高さが50mmの電池ケースを製造する。そして、この電池ケースの側壁硬度をビッカース硬度計で測定したときの値を前記した電池ケースの側壁硬度とし、その硬度を73〜95としている。
【0041】
また、電池ケース用アルミニウム合金板は、加工前の板厚さを0.3〜0.8mm程度から加工後0.1〜0.4mm程度への絞り、しごき加工を行うようにしており、直方体の角型形状になるように成形される。なお、この電池ケース用アルミニウム合金板により成形されるアルミニウム合金製電池ケース等の成型品の形状は、絞り、しごき加工を施して有底筒形状となれば、特に限定されるものではない。
【0042】
また、しごき加工等を行う前後の板厚減少率の適正範囲は、30〜80%であることが好ましい。この板厚減少率が30未満である場合、あるいは、板厚減少率が80を超える場合は、形成する電池ケースの所望の側壁厚さを達成することが困難となる。
【0043】
【実施例】
以下、電池ケース用アルミニウム合金板を実際に製造して得られた、本発明の必要条件を満足する電池ケース用アルミニウム合金板の実施例と、本発明の必要条件を満足しない比較例とを対比させて本発明について詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにおいて適宜に変更することが可能である。
【0044】
〔第1の実施例〕
表1には、本発明の必要条件を満足する実施例の構成と、本発明の必要条件を満足しない比較例の構成とをそれぞれ示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、No.1〜21のそれぞれの組成を有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金の鋳塊に均質化処理を施した。その後、熱間圧延し、冷間圧延と中間焼鈍を繰返し、最終冷間圧延率を30%として冷間圧延を施し、板厚が0.6mmのアルミニウム合金板とした。更に、最終焼鈍として、120℃で4時間の熱処理を施した。
【0047】
すなわち、表1に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.1〜10)はいずれも本発明で規制した組成を有するものであり、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.11、12)は、各々Siの含有量が、各々本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えである。また、比較例(No.13、14)は、Feの各々本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えであり、比較例(No.15、16)は、各々Cuの本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えであり、比較例(No.17、18)はMnの含有量が、本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えであり、比較例(No.19、20)は、各々Mgの本発明で規制した範囲の下限値未満または上限値超えである。また、比較例(No.21)はJISA3003合金であって、Siの範囲が上限値超であり、Mgの値が不明なものである。
【0048】
次に、このようにして作製したアルミニウム合金板に対して、引張試験、電池ケース形状(角型)への成形加工試験、成形加工前後の硬度測定、応力緩和試験および電池ケース封孔後の耐圧性試験(耐膨れ試験)を行った。
【0049】
〔引張試験〕
各アルミニウム合金板について、引張り方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号による引張り試験片を作製した。その後、引張り試験を実施し引張強さ及び耐力を求めた。
【0050】
〔成形加工試験〕
成形加工試験は、加工機を使用して、側壁のしごき加工率を50%として、縦5mm、横30mm、高さ50mmの角形ケースを成形し、成形可能であったものは成形性が良好であり問題なしとして「◎」、わずかに肌荒れ「○」、割れ又は肌荒れが著しく発生したものは成形性が不良であるとして「×」と評価した。
【0051】
〔成形加工前後の硬度測定〕
成形加工前の硬度測定は、アルミニウム合金板の任意の3ポイントの部位の硬度をマイクロビッカース硬度計を用いて測定し、平均値を求めた。なお、測定条件は、荷重300gで時間20秒である。また、成形加工後の硬度測定は、図1に示すように、側壁の広幅面の底部から1/4,2/4,3/4の測定ポイントP1,P2,P3の部位の硬度をマイクロビッカース硬度計を用いて測定し、平均値を求めた。なお、測定条件は、荷重300gで時間20秒である。
【0052】
〔応力緩和試験〕
先ず、アルミニウム合金板に、電池ケースへの成形加工を想定し最終冷間圧延率50%の冷間圧延を行い、図2に示すように、幅10mm、長さ150mmの試験片に切り出した。その後、日本電子材料工業会標準規格EMAS−3003に記載の片持ち梁式により、試験片100mm(L)の位置に120MPaの応力を付加し変形させ(δ0)、その状態で80℃、24時間保持した後に応力を除去し、試験片の変形量(たわみ量:ε)を測定した。なお、この場合、変形量が大きいほど、応力緩和特性に劣ることとなる。
【0053】
〔耐圧性試験(耐膨れ性試験)〕
また、耐圧試験は、電池ケースを封孔して294kPa(3kg/cm2)の内圧を作用させた状態で、100℃の温度に加熱して2時間保持した後、室温に戻し、その後電池ケース側面の膨れの変位量を測定した。この膨れ変位量が1.2mm以下であったものは耐圧性が優として「◎」、1.2mm〜1.5mmであったものは耐圧性が良好であるとして「○」、1.5mmを超えたものは不良であるとして「×」とした。
これらの試験結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.1〜10)は、アルミニウム合金板の組成、成形加工前後の硬度がいずれも本発明で規制した範囲内にあるため、優れたしごき成形加工性、耐圧性を示している。
【0056】
一方、比較例(No.11)は、表1に示すようにSiの含有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であり、また、比較例(No.12)は上限値を超えるため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。比較例(No.13)は、Feの含有量が表1に示すように本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、比較例(No.14)は上限値を超えるため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。
【0057】
また、比較例(No.15)は、Cuの含有量が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、応力緩和特性が低く耐圧性が劣るものとなっている。一方、比較例(No.16)は、Cuの含有量および成形前後の硬度差が本発明で規制した範囲の上限値を超えているため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。
【0058】
さらに、比較例(No.17)は、Mnの含有量および成形加工前後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。比較例(No.18)は、Mnの含有量が本発明で規制する上限値を超えているため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。比較例(No.19)は、Mgの含有量、成形後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。比較例(No.20)は、Mg含有量および成形前後の硬度差が本発明で規制した範囲の上限値を超えているため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。また、比較例(No.21)は、Si含有量が本発明で規制した範囲の上限値を超え、また、成形後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性に劣るものとなっている。
【0059】
〔第2の実施例〕
前記の第1の実施例であるところの表1に示される、実施例(No.1)の組成を有するアルミニウム合金鋳塊に均質化処理を施した後、熱間圧延を行い、冷間圧延と中間焼鈍を繰返し、最終冷間圧延率を30%として冷間圧延を施し、板厚が0.6mmのアルミニウム合金板とし、最終焼鈍として熱処理を施したもの(実施例(No.22、23)、比較例(No.25))と施さないもの(比較例(No.24))とを作製した。実施例(No.22、23)、比較例(No.24、25)の組成は実施例(No.1)と同一組成である。このようにして作製した各種のアルミニウム合金板について、第1の実施例と同様の試験を行い評価した。これらの評価結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
表3に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.22、23)は、いずれもアルミニウム合金板の組成及び成形加工前後の硬度が本発明で規制した範囲内にあるため、優れたしごき加工性、耐圧性を示している。
【0062】
一方、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.24)は、最終焼鈍を施さず、成形後の硬度も本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。また、比較例(No.25)は、最終焼鈍温度が高く、成形後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。
【0063】
〔第3の実施例〕
前記の第1の実施例であるところの表1に示される、実施例(No.1)の組成を有するアルミニウム合金鋳塊に均質化処理を施した後、熱間圧延を行い、冷間圧延と中間焼鈍を繰返し、最終冷間圧延率を10〜60%の5水準として冷間圧延を施し、板厚が0.6mmのアルミニウム合金板とし、最終焼鈍として120℃で4hの熱処理を施したものを作製した。このようにして作製した各種のアルミニウム合金板について、第1の実施例と同様の試験を行い評価した。これらの評価結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
表4に示す通り、本発明の必要条件を満足する実施例(No.26〜28)は、いずれもアルミニウム合金板の組成及び成形加工前後の硬度が本発明で規制した範囲内にあるため、優れたしごき加工性、耐圧性を示している。
【0066】
一方、本発明の必要条件を満足しない比較例(No.29)は、最終冷間圧延率が本発明で規制した範囲の下限値未満、または、成形後の硬度が本発明で規制した範囲の下限値未満であるため、耐圧性が劣るものとなっている。また、比較例(No.30)は、最終冷間圧延率が本発明で規制した範囲の上限値超、または、成形前の硬度が本発明で規制した範囲の上限値を超えるため、しごき成形加工性が劣るものとなっている。
【0067】
【発明の効果】
以上説明した通りに構成される本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明によれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を適正化し、さらに成形性に寄与するSiおよびFeの両方の各元素の含有量を適正化し、なおかつ加工前の板材の硬度について適正化したので、使用環境温度下での内部応力の緩和が抑制され、所定の強度と成形性、並びに薄肉化された状態での内圧、温度の変化に対応できる電池ケースを形成することができる電池ケース用アルミニウム合金板を提供することができる。
【0068】
本発明によれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を適正化し、さらに成形性に寄与するSiおよびFeの両方の各元素の含有量を適正化し、なおかつ加工前の板材の硬度および電池ケースの側壁硬度について適正化し、さらには加工前後の硬度差を所定範囲内に規制して加工硬化性を適正化したので、使用環境温度下での内部応力の緩和が抑制され、所定の強度と成形性、並びに薄肉化された状態での内圧、温度の変化に対応できるアルミニウム合金製電池ケースを提供することができる。
【0069】
本発明によれば、アルミニウム合金中、強度に寄与するCu、Mg、Mnの含有量を適正化し、さらに成形性に寄与するSiおよびFeの両方の各元素の含有量を適正化し、なおかつアルミニウム合金板の製造において所定範囲(15〜50%)の最終冷間圧延率での圧延工程および最終焼鈍工程が施されるので、使用環境温度下での内部応力の緩和が抑制され、所定の強度と成形性、並びに薄肉化された状態での内圧、温度の変化に対応できる電池ケースを形成することができる電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法を提供することができる。
【0070】
本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板は、薄肉化してもしごき加工に対して適切な強度と成形性を有する組成および硬度が適切に規定されている。その結果、リチウムイオン2次電池の電池ケース等の容器形状に成形するためのしごき加工等における成形性が優れていると共に、ケース内部の圧力が上昇しても膨れ変形量が少なく、耐圧性(耐膨れ性)が高いアルミニウム合金製電池ケースを得ることができる。このような本発明に係る電池ケース用アルミニウム合金板からアルミニウム合金製電池ケースを成形すれば、リチウムイオン2次電池の電池ケースをはじめとする各種の容器に対して求められている、近時の軽量化や小型化の要求を充分に満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電池ケース用アルミニウ合金板の加工後における電池ケースでのビッカース硬さの測定部位を示す模式図である。
【図2】本発明におけるアルミニウム合金板での応力緩和試験の模式図である。
【符号の説明】
1 電池ケース
P1 測定ポイント
P2 測定ポイント
P3 測定ポイント
Claims (4)
- Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、
Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、かつ、
前記組成を有する板材の硬度がビッカース硬さで68以上85以下となることを特徴とする電池ケース用アルミニウム合金板。 - Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、
Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有し、かつ、前記組成を有する板材の硬度がビッカース硬さで68以上85以下となる電池ケース用アルミニウム合金板を用い、その電池ケース用アルミニウム合金板を打ち抜いた直径が60mmのブランク板から絞りしごき加工を行い側壁高さが50mmの電池ケースとした際に測定した側壁硬度が、ビッカース硬さで73以上95以下となると共に、
前記絞りしごき加工前の前記電池ケース用アルミニウム合金板材の硬度と、前記アルミニウム合金製電池ケースとした際に測定した側壁硬度との硬度差がビッカース硬さで5〜10となることを特徴とするアルミニウム合金製電池ケース。 - Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有すると共に、
前記組成を有するアルミニウム合金に対して均熱処理を施す工程と、
前記均熱処理が施されたアルミニウム合金に熱間圧延および冷間圧延を施してアルミニウム合金板にする第1圧延工程と、
前記第1圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して中間焼鈍を施す中間焼鈍工程と、
前記中間焼鈍が施されたアルミニウム合金板に対して冷間圧延を施す第2圧延工程と、
前記第2圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して最終焼鈍を行なう最終焼鈍工程とを含み、
前記中間焼鈍工程及び第2圧延工程を少なくとも1回施し、前記冷間圧延の最終冷間圧延率が15〜50%であることを特徴とする電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法。 - Cuを0.2質量%を超えて0.5質量%まで、Mgを0.1質量%から0.8質量%まで、およびMnを0.6質量%から1.5質量%まで含み、更に、Siを0.05質量%から0.5質量%まで、Feを0.1質量%から1.0質量%まで含み、残部がAlと不可避的不純物とからなる組成を有すると共に、
前記組成を有するアルミニウム合金に対して均熱処理を施す工程と、
前記均熱処理が施されたアルミニウム合金に熱間圧延および最終冷間圧延率を15〜50%として冷間圧延を施しアルミニウム合金板にする圧延工程と、
前記圧延工程が施されたアルミニウム合金板に対して最終焼鈍を行なう最終焼鈍工程と、を含むことを特徴とする電池ケース用アルミニウム合金板の製造方法。
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