JP2001131666A - ケース成形用Al−Mn−Mg系合金板およびその製造方法 - Google Patents

ケース成形用Al−Mn−Mg系合金板およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱および内圧が加わる小型ケース、例え
ば、角型電池ケースの素材として、レーザー溶接性が良
好で、ケース使用時にフクレの生じにくい性質を備えた
Al−Mn−Mg系合金板およびその製造方法を提示す
る。 【解決手段】 Mn0.8〜2.0%およびMg0.2
〜0.75%を含み、不純物元素であるSiが0.04
〜0.2%に、Feが0.04〜0.6%に制御され、
残部他の不可避的不純物とAlからなる組成で、固溶M
n量が0.2%以上であり、耐力が170〜270N/
mm2 の範囲にあるAl−Mn−Mg系合金板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、角型Liイオン電
池などのケース成形用に好適なAl−Mn−Mg系合金
板に関し、特に良好なレーザー溶接性を有することによ
り電池製造時のレーザー溶接における接合不良が無く、
またケースの耐加熱フクレ性を向上することにより、自
動車内放置等で想定される70〜90℃の加熱および内
圧発生時にもケースの変形が少ない電池を得ることがで
き、電子機器用電池のケース素材として好適なアルミニ
ウム合金板に係る。
【0002】
【従来の技術】電池ケース等のケース用プレス成形素材
として、鉄系材料に代りAl合金を用いることはケース
の軽量化のために有利である。特に、軽量化の要求によ
り携帯電話等に搭載される角形の小型Liイオン二次電
池ケースでは、アルミニウム合金板を素材とするものが
実用化されている。この角型電池のケース用材としてA
l−Mn系合金、具体的には主に3003合金(Mn:
1.0〜1.5wt%、Mg:無添加)が用いられるの
が通常である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この角型電池ケースの
肉厚としては現在、正面(最も面積の広い面)で0.5
mm前後のものが用いられているが、さらに肉厚を減らし
てケースの軽量化を進めることが求められており、その
ため3003合金より機械的強度が高い成形素材が用い
られている。
【0004】これに対し、Mgを添加したAl−Mn−
Mg合金、例えば3004合金(Mn:1.0〜1.5
wt%、Mg:0.8〜1.3wt%)は機械的強度の
上で3003合金より有利となる。しかし、3004合
金のケースは蓋とのレーザー溶接の際に、溶接部に微小
な亀裂が入る問題がありレーザー溶接性の点から用いら
れていないのが現状である。
【0005】また、電池ケースが加熱され内圧が発生し
た場合にフクレ変形が生じる問題があり、これは単に機
械的強度を高くするだけでは解決せず、合せて耐クリー
プ性を向上させる必要がある。たとえば、角形のLiイ
オン二次電池等が携帯電話等に搭載された場合、充電、
放電の繰り返しによる発熱や、夏場の外気温の高い条件
での自動車内放置状態を考えると、最高では70〜90
℃の温度にさらされると推定される。このような条件下
に長時間置かれると、電池内部で反応が進み気泡等の発
生により内圧が高まってケースにフクレ変形を生じる。
このフクレ変形は特定部位への応力集中による塑性変形
と、温度および内圧保持中に進行するクリープ変形によ
り生じるものである。このフクレ変形量が過大になった
際には、携帯電話等に組み込まれた電子部品を圧迫した
り、電子部品外側のケースに変形等の不具合を生じ、ま
た、ケースの蓋部分との溶接部分等に亀裂を生じ内容物
の漏れにより構成する電子部品に不具合を生じる等の問
題が生じる恐れがある。従って、ケースを薄肉化するた
めに、単に常温での機械的強度が高いだけでなく、加熱
と内圧が作用する状態でのフクレに対する抵抗が大きい
材料を用いることが必要となる。
【0006】本発明は、上記の技術課題を解消して、レ
ーザー溶接性が良好で、温度上昇と内圧増加等によるケ
ースフクレが少ないケース成形素材用Al−Mn−Mg
系合金板を提供する事を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、レーザー溶
接が良好で、かつケースが加熱と内圧によるフクレに対
する抵抗(以下、耐加熱フクレ性)に優れるようなAl
−Mn−Mg系合金材料の必要条件や、その具体的な製
造方法について種々検討し、本発明に至った。そして、
Mgの添加と共にMn固溶量の制御を行い、レーザー溶
接性を損わないMg添加量にて十分にケースの耐加熱フ
クレ性を向上させることを可能としたのである。具体的
には、本発明のAl−Mn合金板は、Mn0.8〜2%
およびMg0.2〜0.75%を含み、不純物元素であ
るSiが0.04〜0.2%に、Feが0.04〜0.
6%に制御され、残部他の不可避的不純物とAlからな
る組成、あるいはさらにCu0.05〜0.2%、Cr
0.02〜0.2%およびZr0.02〜0.2%のう
ち1種以上を含む組成であり、かつ固溶Mn量が0.2
%以上で、耐力が170〜270N/mm2 の範囲にあ
る。その製造方法は、鋳塊を320〜410℃で0.5
〜20h保持する予備加熱処理したのち、材料温度が4
10℃を越えないように制御して熱間圧延を行い、その
後、圧下率30〜70%の最終冷間圧延を施すものであ
り、あるいは熱間圧延を行い、ついで15%以上の圧下
率の冷間圧延を施し、昇温速度5℃/s以上で380〜
580℃に加熱し、0〜200s保持して直ちに冷却速
度5℃/s以上で降温する条件で中間焼鈍を行い、その
後、圧下率30〜70%の最終冷間圧延を施すものであ
り、さらには、最終冷間圧延後に昇温・冷却速度を10
〜100℃/hとして160〜210℃で1〜18h、
または昇温・冷却速度を5℃/s以上として180〜2
60℃で0〜200sの焼鈍を行うものである。
【0008】
【発明の実施の形態】まず合金成分について説明する。
【0009】Mnは、主に固溶状態において機械的強度
向上に寄与し、耐加熱フクレ性向上に寄与する添加元素
である。これは、固溶したMnが加熱・内圧負荷時のク
リープ変形に関る転位移動の抵抗として働くためであ
る。Mn添加量0.8%未満ではこの効果が不足し、ま
た機械的強度も低くなるため不適当である。Mn添加量
2%を越えると粗大な晶出物が多くなり成形性が問題と
なるためケース成形用素材として不適当である。従って
Mnは0.8〜2.0%とする。なお、本発明の材料は
固溶Mn量を0.2%以上であることを必要とする。こ
れ以下であると、上述の固溶Mnによる耐加熱フクレ性
向上に対する効果が不十分となる。なお固溶Mn量を
0.4%以上とするとさらに望ましい。この固溶Mn量
は、図1のようなフェノール分析法により測定されるも
のである。
【0010】Mgは固溶強化により機械的強度向上に寄
与し、固溶Mnとともに耐加熱フクレ性を向上させる効
果を持つ添加元素である。しかし、過度の添加によりレ
ーザー溶接性を低下させるという問題もあり、他の成分
とのバランスで適正な添加量の範囲が定められる。Mg
添加量が0.2%未満であると、機械的強度および耐加
熱フクレ性向上に対する効果が不十分である。一方、M
g添加量が0.75%を超えると、レーザー溶接性の低
下、具体的には溶接部のクラックが発生しやすいため不
適当である。従って、Mg量は0.2〜0.75%とす
る。なお、Mgの添加のみで耐加熱フクレ性を向上させ
るためには本発明範囲を超えたMg添加量が必要とな
り、良好なレーザー溶接性との両立が困難となる。この
ため、本発明では固溶MnとMgの両方の効果を利用す
ることにより、良好なレーザー溶接性を損わないMg添
加量範囲内での耐加熱フクレ性向上が可能となった。
【0011】Siは、含有量が多いほどMnの析出を促
進する作用がある。そこで0.2%を越えてSiを含有
すると固溶Mnが減少し、その結果固溶Mnによるフク
レ防止効果が阻害され耐加熱フクレ性が低下するため不
適当である。なおSiは0.12%以下とすればさらに
望ましい。また、Siを0.04%未満に低減すること
はこれ以上の特性向上に結びつかないにもかかわらず、
高純度地金を必要とし高コストとなるので不適当であ
る。
【0012】Feは0.6%を越えて添加されると、粗
大な晶出物を生じ易くケース成形性に悪影響を及ぼすた
め不適当である。なおFe添加量は0.4%以下であれ
ばさらに望ましい。Feを0.04%未満に低減するこ
とはこれ以上の特性向上に結びつかないにもかかわら
ず、高純度地金を必要とし高コストとなるので不適当で
ある。
【0013】Cu、Cr、Zrは、耐加熱フクレ性の向
上に効果のある添加元素である。Cuを0.05〜0.
2%のCuを添加することにより、耐加熱フクレ性が向
上するとともに機械的強度が向上する。ただしCu量が
規定より多いと、レーザー溶接製が低下するため不適当
である。CrおよびZrを0.02〜0.2%添加する
事で、耐加熱フクレ性が向上するとともに結晶粒の安定
化がはかられ、諸特性のバラツキが低減する。ただし規
定より多いと鋳造時に粗大晶出物が形成され、ケース成
形性が悪くなるため不適当である。
【0014】このほか、アルミニウム合金の鋳造の際に
一般的に添加されるTi系あるいはTi−B系の微細化
剤に起因するTiは0.1%以下、Bは0.03%以下
の範囲で含んでもよい。
【0015】本発明のAl−Mn−Mg合金板の耐力
は、170〜270N/mm2 の範囲に制御される必要
がある。170N/mm2 より低いと、成形されたケー
スに内圧がかかった時に単純に塑性変形でのフクレが生
じやすいため不適当である。また、270N/mm2
り高い耐力であると成形が困難であるため不適当であ
る。
【0016】次に本発明材の製造方法について説明す
る。
【0017】鋳造は通常の半連続鋳造法(DC法)およ
び板連続鋳造法(CC法)のいずれでも行うことができ
る。諸特性の安定および量産性ではDC材が有利である
が、高いMn固溶量を容易に実現するにはCC法を用い
るのが有利である。
【0018】熱間圧延前の予備加熱処理は320〜41
0℃で0.5〜20h保持する条件で行う。この条件よ
り高温になるかあるいは長時間加熱されると、Mnの析
出が過度に生じて、最終的にケースの耐加熱フクレ性が
低下する。また、この範囲より低温あるいは短時間であ
ると、熱間圧延が安定して行えないため不適当である。
また、熱間圧延中の材料温度は、410℃を越えないよ
うに制御する必要がある。これより高温になると過度に
Mnの析出が生じて、成形されたケースの耐加熱フクレ
性が低下するので不適当である。なお熱間圧延では少な
くとも50%以上の圧下を加えることが望ましい。
【0019】本発明の製造法の一つとしては、熱間圧延
の次に圧下率30〜70%の最終冷間圧延を施す。圧下
率が30%より低いと、機械的強さが不足し、初期の塑
性変形により大きなフクレが起こってしまうため不適当
である。一方70%を越えると耐力などの機械的強度は
高くなるが成形が困難となり、また多くの可動転位を組
識中に含み最終的に成形された後のケースでも可動転位
が多くなるため、クリープ変形が起こりやすくなるので
不適当である。
【0020】また、本発明の別の製造方法としては、熱
間圧延後に15%以上の圧下率の冷間圧延を行ない、急
速加熱冷却による中間焼鈍を施し、次に圧下率35〜7
0%の冷間圧延を施すものである。中間焼鈍前の冷間圧
延の圧下率は15%より低いと中間焼鈍での再結晶が不
安定となり不均一な組織となる恐れがある。この中間焼
鈍は、連続焼鈍ライン(CAL)により実施することが
望ましく、昇温5℃/s以上で380〜580℃に加熱
し、0〜200s保持して直ちに冷却速度5℃/s以上
で降温する条件で行う。ここで0s保持とは、所定温度
に到達後、直ちに冷却する条件である。この様な急速加
熱冷却による焼鈍方法でないとMnの析出が生じ、Mn
固溶量が低くなるので不適当である。中間焼鈍後の最終
冷間圧延での圧下率を35〜70%とする。これより低
いと機械的強さが不足し、初期の塑性変形により大きな
フクレが起こってしまうため不適当である。この圧下率
が70%を越えると、耐力などの機械的強度は高くなる
がプレス成形が困難となり、また多くの可動転位を組識
中に含み最終的に成形された後のケースでも可動転位が
多くなるためクリープ変形が起こりやすくなるので不適
当である。
【0021】本発明のケース用素材は、最終の冷間圧延
のままで成形素材として使用することができるが、これ
に最終焼鈍を加えて用いることもできる。その場合、昇
温・冷却速度10〜100℃/h、焼鈍温度160〜2
10℃、保持時間1〜18hの焼鈍条件が好適である
が、この条件はバッチ式の焼鈍装置で行うのに適してい
る。また、昇温・冷却速度を5℃/s以上として180
〜260℃で0〜200sの焼鈍を行う最終焼鈍条件も
採用できるが、これは急速加熱および冷却が可能な連続
焼鈍ライン(CAL)により実施することができる。こ
の最終焼鈍は、冷間圧延により生じた可動転位を低減す
る効果と、一部で固溶Mnの転位近傍への偏析を起こし
てクリープ変形時の転移移動への抵抗を増大させる効果
を持ち、さらなる耐加熱フクレ性の向上を可能とするも
のである。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0023】<実施例1>通常のDC法(半連続鋳造
法)で表1に示す本発明範囲組成の合金を鋳造し、次に
表2の製造条件で板厚0.8mmの圧延板とした。なお
最終焼鈍の昇温、冷却は、発明例G−9が昇温10℃/
s、冷却10℃/s、他は昇温50℃/h、冷却150
℃/hの条件で行った。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】できあがった圧延板についてMn固溶量と
耐力を測定した。また圧延板を多段のプレス成形により
図2に示すケース厚さ8mm、幅30mmで角がR1.
5mmの断面を持ち、高さ45mmで肉厚0.45mm
の角型ケースとした。実用化されている肉厚約0.5m
mのものに対して、これは10%程度薄肉化した試験で
ある。次に0.8mmの圧延板をケースの肉厚と同じの
板厚0.45mmまで冷間圧延加工した板を突合わせ
て、1回当りの照射エネルギー5J、パルス数20H
z、ビーム径0.6mm、400mm/minの速度で
溶接長200mmのレーザー溶接を同一材に対して6回
行い、工業顕微鏡にて溶接部での微小な割れの発生の有
無を確認するレーザー溶接性試験を行った。割れの有無
により、○:割れ無し、×:割れ有り、××:割れ顕著
と評価した。また、電池が加熱されて電池内容物の反応
により内圧が生じた場合を模して、成形したケースを8
5℃で保持しながら、図3の概略図の装置で2kg/c
2の内圧をかけ24h保持する加熱内圧フクレ試験を
同一材について3回行い、フクレ量(ケース厚さの増
加)を平均値で評価した。その結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】表に示されるように、発明例のものはすべ
て問題なくケース成形できた。またレーザー溶接におい
ても割れの発生が無くレーザー溶接性に優れており、ま
たフクレも小さく、本発明のAl−Mn−Mg系合金板
を素材とした角形ケースは、耐加熱フクレ性に優れ、こ
の材料のレーザー溶接性が良好であることが明らかであ
る。これに対して、比較例はいずれかの特性が劣ってい
る。NG1はMn量が本発明の範囲以下の合金を用いた
ものであり、このためMn固溶量も少なく、その結果、
耐力が低くフクレも大きくなってしまっている。NG2
はMn量が本発明の範囲以上の合金を用いたものであ
り、鋳造時に鋳塊の一部に割れが発生して圧延板の製造
ができなかった。NG3はMg量が本発明の範囲以下の
合金を用いたものであり、耐力がやや低くまたフクレが
多くなってしまっている。NG4はMg量が本発明の範
囲以上に多量に含まれているものであり、耐力、耐加熱
フクレ性は充分であるもののレーザー溶接性が悪くなっ
ている。NG5はMg量が本発明の範囲以上に多量に含
まれているものであり、耐力は充分であるものの強度が
強くなりすぎてケース成形時に一部に割れが発生した。
またレーザー溶接性が悪くなっている。割れの発生して
いないケースに対してフクレ試験を行った結果、耐加熱
フクレ性は良好であった。NG6はFe、Si量が本発
明の規定を越えた合金を用いたものであり、粗大晶出物
が形成されており、このためケース成形時に粗大晶出物
を起点として局部割れを生じたものがあった。割れの無
い成形ケースを選びフクレ試験を実施したところMn固
溶量が低いため、フクレ量が大きくなっている。NG7
はCuを本発明の範囲以上に多量に添加したものであ
り、耐力、耐加熱フクレ性は充分であるものの、レーザ
ー溶接性が悪くなっている。NG8はCr、Zrを本発
明の範囲以上に多量に添加したものであり、粗大晶出物
が形成されているためケース成形時に局部割れが生じて
健全なケースが得られず、フクレ試験が実施できなかっ
た。NG9は本発明の規定を満たす合金成分であるが、
最終冷間圧延率が低い製造方法を用いたものであり、こ
のため耐力が低く、フクレ量が大きなものとなってしま
っている。NG10は本発明の規定を満たす合金成分で
あるが、熱間予備加熱条件が本発明の規定より高温で行
い、熱間圧延中の最高材温も高すぎたため、Mn固溶量
が減少し、このためフクレ量が大きなものとなってしま
っている。NG11は本発明の規定を満たす合金成分で
あるが、最終冷間圧延率が本発明の規定より大きな製造
条件であり、そのため耐力が大きくなりすぎ、ケース成
形時に割れが発生してしまい、フクレ試験ができなかっ
た。
【0029】<実施例2>表1のb、cの合金について
CC法(連続鋳造圧延法)で板厚6mmの板状の鋳造材
を作製し、これを表4の条件で0.8mmの圧延板とし
た。これを実施例1の場合と同様に成形し試験を実施し
た。さらに、実施例1と同様にレーザー溶接性を調べ
た。その結果を表5に示す。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】表4より、本発明例のAl−Mn−Mg系
合金板を素材とした場合、レーザー溶接性に優れている
とともに、角形ケースの耐加熱フクレ性が優れることわ
かる。DC鋳造法(半連続鋳造法)による実施例1と比
較すると、同一合金を用いてもMn固溶量が多くなって
おり、これによりフクレ量がさらに小さなものとなって
おり、より耐加熱フクレ性に優れていることがわかる。
これに対して比較例のNG14、NG15は合金成分は
本発明の範囲内であるものの、熱延予備加熱条件が本発
明の範囲から外れており熱間圧延中の材料温度も本発明
の範囲から外れているため、Mn固溶量が少なくなって
おり、また耐力が低く、レーザー溶接性は良好であるも
ののフクレ量が大きくなってしまっている。
【0033】
【発明の効果】本発明のAl−Mn−Mg系合金は、固
溶MnとMgの両方の効果を利用することにより、レー
ザー溶接性を損わなず、かつケースの耐加熱フクレ性向
上を可能としたものである。これにより、電池製造時の
蓋材とのレーザー溶接による接合に支障がなく、またケ
ースの肉厚を薄くしても自動車内放置等で想定される7
0〜90℃の加熱および内圧発生時にもフクレ変形を抑
えられケースの変形が少ないことから、本発明にかかる
合金板は軽量・安全が要求される電子機器用角型Liイ
オン電池のケース素材として好適である。特に小型軽量
の角形Liイオン電池のケース素材として有用性が高
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】固溶Mn量の分析方法を示すフローチャートで
ある。
【図2】実施例で成形したケースの高さ方向に垂直な断
面の形状を示す模式図である。
【図3】実施例で行ったフクレ試験を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 電池ケース 2 固定治具 3 シリコンゴムシール 4 シリコンゴム
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 630 C22F 1/00 630A 661 661Z 682 682 683 683 685 685 691 691B 691C 692 692A 694 694A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mn0.8〜2.0%およびMg0.2
    〜0.75%を含み、不純物元素であるSiが0.04
    〜0.2%に、Feが0.04〜0.6%に制御され、
    残部他の不可避的不純物とAlからなる組成で、固溶M
    n量が0.2%以上であり、耐力が170〜270N/
    mm2 の範囲にあることを特徴とするレーザー溶接性が
    良好で、耐加熱フクレ性に優れたケース成形素材用Al
    −Mn−Mg系合金板。
  2. 【請求項2】 Mn0.8〜2.0%およびMg0.2
    〜0.75%を含み、不純物元素であるSiが0.04
    〜0.2%に、Feが0.04〜0.6%に制御され、
    Cu0.05〜0.2%、Cr0.02〜0.2%およ
    びZr0.02〜0.2%のうち1種以上を含み、残部
    他の不可避的不純物とAlからなる組成で、固溶Mn量
    が0.2%以上であり、耐力が170〜270N/mm
    2 の範囲にあることを特徴とするレーザー溶接性が良好
    で、耐加熱フクレ性に優れたケース成形素材用Al−M
    n−Mg系合金板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のアルミニウム合
    金組成の鋳塊を320〜410℃で0.5〜20h保持
    する予備加熱処理したのち、材料温度が410℃を越え
    ないように制御して熱間圧延を行い、その後、圧下率3
    0〜70%の最終冷間圧延を施すことを特徴とする請求
    項1、2記載のレーザー溶接性が良好で、耐加熱フクレ
    性に優れたケース成形素材用Al−Mn−Mg系合金板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のアルミニウム合
    金組成の鋳塊を320〜410℃で0.5〜20h保持
    する予備加熱処理したのち、材料温度が410℃を越え
    ないように制御して熱間圧延を行い、ついで15%以上
    の圧下率の冷間圧延を施し、昇温速度5℃/s以上で3
    80〜580℃に加熱し、0〜200s保持して直ちに
    冷却速度5℃/s以上で降温する条件で中間焼鈍を行
    い、その後、圧下率30〜70%の最終冷間圧延を施す
    ことを特徴とする請求項1、2記載のレーザー溶接性が
    良好で、耐加熱フクレ性に優れたケース成形素材用Al
    −Mn−Mg系合金板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3および4の製造方法に加えて、
    最終冷間圧延後に昇温・冷却速度を10〜100℃/h
    として160〜210℃で1〜18hの焼鈍を行うこと
    を特徴とするレーザー溶接性が良好で、耐加熱フクレ性
    に優れたケース成形素材用Al−Mn−Mg系合金板の
    製造方法。
  6. 【請求項6】請求項3および4の製造方法に加えて、最
    終冷間圧延後に昇温・冷却速度を5℃/s以上として1
    80〜260℃で0〜200sの焼鈍を行うことを特徴
    とするレーザー溶接性が良好で、耐加熱フクレ性に優れ
    たケース成形素材用Al−Mn−Mg系合金板の製造方
    法。
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