JP6189233B2 - ナトリウム溶融塩電池およびその使用方法 - Google Patents

ナトリウム溶融塩電池およびその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナトリウムマンガンシリケート化合物を正極活物質として用いたナトリウム溶融塩電池およびその使用方法に関する。
近年、太陽光または風力などの自然エネルギーを電気エネルギーに変換する技術が注目を集めている。また、多くの電気エネルギーを蓄えることができる蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池、およびリチウムイオンキャパシタなどの需要が拡大している。しかし、これらの蓄電デバイスの市場の拡大に伴い、リチウム資源の価格も上昇しつつある。
そこで、蓄電デバイスの活物質として、ナトリウム化合物を用いることが検討されている。特許文献1では、有機電解液を用いるナトリウムイオン電池において、正極活物質として、Na2MnSiO4が検討されている。
特開2012−18801号公報
しかし、特許文献1のように、有機電解液を用いるナトリウムイオン電池では、Na2MnSiO4などのナトリウムマンガンシリケート化合物を正極活物質として用いた場合、Mnが溶出し易い。Mnの溶出により正極活物質が劣化したり、および/または析出したMnにより微小短絡が起きたりする。従って、Mnの溶出は、サイクル寿命が短くなる要因となる。特に、有機電解液へのMnの溶出は、電池温度が高く(例えば、40℃以上、または50℃以上といった高い温度に)なると顕著になり、サイクル特性の低下も顕著になる。
そこで、本発明の目的は、ナトリウムマンガンシリケート化合物を正極活物質として用いながらも、サイクル特性に優れるナトリウムイオン電池(具体的には、ナトリウム溶融塩電池)およびその使用方法を提供することにある。
本発明の一局面は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、溶融塩電解質とを含み、
前記溶融塩電解質は、イオン液体を70質量%以上含み、
前記イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、
前記カチオンは、ナトリウムイオンを含み、
前記正極活物質は、ポリアニオン型のナトリウムマンガンシリケート化合物を含むナトリウム溶融塩電池に関する。
本発明の他の一局面は、前記ナトリウム溶融塩電池の使用方法であって、前記ナトリウム溶融塩電池の充電および/または放電を行っている期間の50%以上の期間を、45℃以上の温度に維持する、使用方法に関する。
本発明の上記局面によれば、ナトリウム溶融塩電池において、ナトリウムマンガンシリケート化合物を含む正極活物質からのMnの溶出が抑制され、優れたサイクル特性が得られる。
本発明の一実施形態に係るナトリウム溶融塩電池を概略的に示す縦断面図である。 実施例1の工程(1)で得られた焼成物のX線回折スペクトルである。 実施例1のナトリウム溶融塩電池Aの作動温度が25℃である場合の充放電曲線である。 実施例1のナトリウム溶融塩電池Aの作動温度が50℃である場合の充放電曲線である。 実施例1のナトリウム溶融塩電池Aの作動温度が90℃である場合の充放電曲線である。
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態は、(1)正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、溶融塩電解質とを含み、
前記溶融塩電解質は、イオン液体を70質量%以上含み、
前記イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、
前記カチオンは、ナトリウムイオンを含み、
前記正極活物質は、ポリアニオン型のナトリウムマンガンシリケート化合物を含むナトリウム溶融塩電池に関する。
このように、ポリアニオン型のナトリウムマンガンシリケート化合物を含む正極活物質と、上記の溶融塩電解質とを組み合わせることにより、正極活物質からのMnの溶出を抑制することができる。よって、正極活物質の劣化を抑制することができるため、サイクル寿命を長くすることができる(つまり、優れたサイクル特性を得ることができる)。また、溶出したMnの析出による内部短絡の発生も抑制できるため、このような点からもサイクル寿命の低下が抑制される。
Mnの溶出は、電池温度が高いほど顕著になり易いが、上記の溶融塩電解質と組み合わせることで、電池温度が高い場合でも、Mnの溶出を抑制することができる。なお、溶融塩電解質は、熱安定性が高く、安全性の確保が比較的容易であり、かつ、高温域での継続的使用にも適している。ナトリウム溶融塩電池は、リチウム以外の安価なナトリウムをカチオンとする溶融塩を電解質として使用するため、製造コストも安価である。
溶融塩電池とは、溶融塩電解質を用いる電池である。溶融塩電解質とは、イオン液体を主体とする電解質である。イオン液体は、溶融状態の塩(溶融塩)と同義であり、アニオンとカチオンとで構成される液状イオン性物質である。ナトリウム溶融塩電池とは、ナトリウムイオン伝導性を示す溶融塩を電解質として含み、ナトリウムイオンが、充放電反応に関与する電荷のキャリアとなるものを言う。
(2)前記ナトリウムマンガンシリケート化合物は、式(1):NaxMn1-yySiO4(元素Mは、Na、Mn、SiおよびO以外の元素であり、0<x≦2であり、0≦y≦0.7である)で表される化合物であることが好ましい。このような化合物を用いる場合、Mnの溶出を抑制する効果がさらに高くなる。
(3)前記元素Mは、Fe、Co、Cr、TiおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。このような元素Mを含むナトリウムマンガンシリケート化合物を用いる場合、容量を確保し易いことに加え、Mnの溶出を抑制する効果がさらに高くなる。
(4)好ましい実施形態では、前記ナトリウムマンガンシリケート化合物は、Na2MnSiO4である。このようにMnの比率が大きい化合物を用いる場合であっても、上記の溶融塩電解質と組み合わせることで、Mnの溶出を抑制することができる。
(5)前記カチオンは、さらに有機カチオンを含むことが好ましい。このようなカチオンを含むイオン液体を用いる場合、溶融塩電解質の融点および/または粘度を低下させることができるため、ナトリウムイオン伝導性を高め易く、高容量を確保し易くなる。
(6)ナトリウム溶融塩電池の作動温度は、45℃以上であってもよい。作動温度がこのように高い場合でも、上記の溶融塩電解質と組み合わせることで、Mnの溶出を大幅に抑制することができる。
(7)本発明の他の一実施形態は、前記(1)に記載のナトリウム溶融塩電池の使用方法であって、前記ナトリウム溶融塩電池の充電および/または放電を行っている期間の50%以上の期間を、45℃以上の温度に維持する、使用方法に関する。電池を定常的にこのように高い温度(つまり、作動温度)で使用する場合でも、上記の溶融塩電解質を用いることで、Mnの溶出を顕著に抑制できる。
(8)前記(7)の使用方法では、45℃以上の温度に維持された状態で、0.5時間以上継続して、前記充電および/または前記放電を行うことが好ましい。このように継続して電池を作動させる場合でも、上記の溶融塩電解質を用いることで、Mnの溶出を大幅に抑制できる。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るナトリウム溶融塩電池の具体例を、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
ナトリウム溶融塩電池は、正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、少なくともナトリウムイオンを含む溶融塩電解質とを含む。
以下、ナトリウム溶融塩電池の構成要素についてより詳細に説明する。
(正極)
(正極活物質)
正極に含まれる正極活物質は、ポリアニオン型のナトリウムマンガンシリケート化合物を含む。このようなナトリウムマンガンシリケート化合物は、作動温度が高くなりがちな溶融塩電池に用いても、高い熱安定性を確保し易い。ナトリウムマンガンシリケート化合物は、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出(または、挿入および脱離)するファラデー反応により容量を発現する。ナトリウムマンガンシリケート化合物は、単斜晶(単純単斜晶、または底心単斜晶)の結晶構造を有することが好ましい。
ナトリウムマンガンシリケート化合物としては、例えば、式(1):NaxMn1-yySiO4(元素Mは、Na、Mn、SiおよびO以外の元素であり、0<x≦2であり、0≦y≦0.7である)で表される化合物が好ましい。
式(1)において、Naの比率xは、0<x≦2であり、好ましくは0.3≦x≦2であり、さらに好ましくは0.8≦x≦2である。なお、xは、充放電により増減する。
このようなナトリウムマンガンシリケート化合物は、Na2MnSiO4が取り得る結晶構造(つまり、単斜晶のNa2MnSiO4型結晶構造)を形成し易い。
式(1)において、元素Mとしては、例えば、NaおよびMn以外の金属元素(例えば、Fe、Co、Cr、TiおよびNiなどの遷移金属元素など);P、およびハロゲン(フッ素など)などのSiおよびO以外の典型元素が挙げられる。元素Mは、一種の元素であってもよく、二種以上の元素であってもよい。ナトリウムマンガンシリケート化合物が元素Mを含む場合、Mnの溶出を抑制する効果がさらに高くなる。元素MがFe、Co、Cr、Tiおよび/またはNiなどの遷移金属元素である場合、単斜晶のNa2MnSiO4型結晶構造が維持され易いため、容量を確保し易い。
元素Mの比率yは、0≦y≦0.7であり、好ましくは0≦y≦0.6である。ナトリウムマンガンシリケート化合物が元素Mを含む場合、0<y≦0.55(例えば、0.1≦y≦0.55)または0.5≦y≦0.7の範囲も好ましい。
ナトリウムマンガンシリケート化合物のうち、NaxMnSiO4(特に、Na2MnSiO4)も好ましい。このような化合物は、Mnの比率が大きいが、本発明の実施形態によれば、溶融塩電解質と組み合わせることで、このような化合物を用いる場合でも、Mnの溶出を効果的に抑制することができる。
ナトリウムマンガンシリケート化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ナトリウムマンガンシリケート化合物は、例えば、Na化合物(酸化物など)と、Mn化合物(酸化物など)と、Si化合物(酸化物など)と、必要により、元素Mを含む化合物(酸化物など)との混合物を、焼成する方法(固相合成法)により製造することができる。元素Mが複数の元素である場合、個々の元素を含む複数の化合物を用いてもよく、複数の元素を含む化合物(複合酸化物など)を用いてもよい。
また、ナトリウムマンガンシリケート化合物は、テトラアルコキシシラン(トリメトキシシラン、またはトリエトキシシランなどのテトラC1-3アルコキシシラン)を用いるゾルゲル法を利用して製造することもできる。例えば、Na化合物と、Mn化合物と、テトラアルコキシシランと、必要により元素Mを含む化合物とを、水およびアルコールの存在下で混合し、脱水縮合することにより、ナトリウムマンガンシリケート化合物を得ることができる。Na化合物、Mn化合物および元素Mを含む化合物としては、それぞれ、酢酸塩、および/またはシュウ酸塩などのカルボン酸塩(C2-5カルボン酸塩など)などが例示できる。アルコールとしては、テトラアルコキシシランのアルコキシ基と炭素数が同じアルカノールが好ましく使用される。
正極活物質は、必要により、上記のナトリウムマンガンシリケート化合物以外の活物質(具体的には、ナトリウムイオンを吸蔵および放出する材料)を含んでもよい。正極活物質に占める上記のナトリウムマンガンシリケート化合物の比率は、例えば、80〜100質量%、好ましくは90〜100質量%である。正極活物質を、上記のナトリウムマンガンシリケート化合物のみで構成してもよい。
(その他)
正極は、正極活物質(または正極活物質を含む正極合剤)と、正極活物質(または正極合剤)を担持する正極集電体とを含むことができる。
正極集電体は、金属箔でもよく、金属多孔体(金属繊維の不織布、および/または金属多孔体シートなど)であってもよい。金属多孔体としては、三次元網目状の骨格(特に、中空の骨格)を有する金属多孔体も使用できる。正極集電体の材質としては、特に限定されないが、正極電位での安定性の観点から、アルミニウム、および/またはアルミニウム合金などが好ましい。金属箔の厚みは、例えば10〜50μmであり、金属多孔体の厚みは、例えば100〜2000μmである。
正極合剤は、正極活物質に加え、さらに導電助剤および/またはバインダを含むことができる。正極は、正極集電体に正極合剤を塗布または充填し、乾燥し、必要に応じて、厚み方向に圧縮(または圧延)することにより形成できる。正極合剤は、通常、分散媒を含むスラリー(またはペースト)の形態で使用される。分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−methyl−2−pyrrolidone)などの有機溶媒、および/または水などが用いられる。
導電助剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維(気相法炭素繊維など)、および/またはカーボンナノチューブなどが挙げられる。導電性を高める観点から、導電助剤は、正極活物質粒子の表面に被覆されていてもよい。なお、導電助剤による被覆は、導電助剤を、正極活物質粒子の表面にまぶし付けることにより行ってもよく、メカノケミカル処理(メカノフュージョン処理も含む)などにより行ってもよい。
導電助剤の量は、正極活物質100質量部当たり、例えば、1〜25質量部の範囲から適宜選択でき、5〜20質量部であってもよい。
バインダとしては、特に制限されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ポリオレフィン樹脂;スチレンブタジエンゴムなどのゴム状重合体;ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミドなど);ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド樹脂;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;および/またはセルロースエーテル(カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩などのカルボキシアルキルセルロースおよびその塩など)などが挙げられる。
バインダの量は、特に制限されないが、高い結着性および容量を確保し易い観点から、正極活物質100質量部当たり、例えば、0.5〜15質量部程度の範囲から選択でき、好ましくは1〜12質量部であってもよい。
(負極)
負極は、負極活物質を含む。負極は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極活物質(または負極合剤)とを含んでもよい。
負極集電体は、正極集電体について記載したような金属箔または金属多孔体であってもよい。負極集電体の材質としては、特に制限されないが、ナトリウムと合金化せず、負極電位で安定であることから、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、および/またはステンレス鋼などが好ましい。負極集電体の厚みは、正極集電体の場合について記載した範囲から適宜選択できる。
負極活物質としては、ナトリウム、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、ケイ素などの金属またはその合金、もしくはその化合物;および炭素質材料などが例示できる。なお、合金は、これらの金属以外に、さらに他のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属などを含んでもよい。金属化合物としては、チタン酸リチウム(Li2Ti37および/またはLi4Ti512など)などのリチウム含有チタン酸化物、およびチタン酸ナトリウム(Na2Ti37および/またはNa4Ti512など)などのナトリウム含有チタン酸化物が例示できる。リチウム含有チタン酸化物(またはナトリウム含有チタン酸化物)において、チタンの一部、および/またはリチウム(またはナトリウム)の一部を他元素で置換してもよい。炭素質材料としては、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、および/または難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)などが例示できる。負極活物質は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、ナトリウムイオンを吸蔵および放出(または、挿入および脱離)する材料(つまり、ファラデー反応により容量を発現する材料)、例えば、上記合金、化合物、および/または炭素質材料(特に、ハードカーボンなどの炭素質材料)などが好ましい。
負極は、正極の場合に準じて、例えば、負極集電体に、負極活物質を含む負極合剤を塗布または充填し、乾燥し、必要に応じて、乾燥物を厚み方向に圧縮(または圧延)することにより形成できる。また、負極としては、負極集電体の表面に、蒸着、またはスパッタリングなどの気相法で負極活物質の堆積膜を形成することにより得られるものを用いてもよい。負極活物質には、必要に応じて、ナトリウムイオンをプレドープしてもよい。
負極合剤は、負極活物質に加え、さらに導電助剤および/またはバインダを含むことができる。結着剤および導電助剤としては、それぞれ、負極について例示したものから適宜選択できる。負極活物質に対する結着剤および導電助剤の量も、正極について例示した範囲から適宜選択できる。負極合剤は、通常、分散媒を含むスラリー(またはペースト)の形態で使用される。分散媒としては、正極について例示したものから適宜選択できる。
(セパレータ)
セパレータとしては、例えば、樹脂製の微多孔膜、および/または不織布などが使用できる。セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択できる。微多孔膜または不織布を形成する繊維に含まれる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂など)、および/またはポリイミド樹脂などが例示できる。不織布を形成する繊維は、ガラス繊維などの無機繊維であってもよい。セパレータは、セラミックス粒子などの無機フィラーを含んでもよい。
セパレータの厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜300μm程度の範囲から選択できる。
(電解質)
電解質としては、イオン液体を含む溶融塩電解質が使用される。溶融塩電解質は、イオン液体に加え、有機溶媒および/または添加剤などを含むことができるが、溶融塩電解質中のイオン液体の含有量は、70質量%以上である。溶融塩電解質中のイオン液体の含有量は、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%または90〜100質量%であってもよい。
このようにイオン液体を多く含む溶融塩電解質を用いることで、ナトリウムマンガンシリケート化合物を含む正極活物質からのMnの溶出を効果的に抑制することができる。
溶融塩電解質は、アニオンとカチオンとを含む。溶融塩電解質には、ナトリウムイオン伝導性が求められるため、カチオンは、ナトリウムイオン(第1カチオン)を含む。溶融塩電解質におけるナトリウムイオンの濃度は、例えば、0.3〜10mol/Lの範囲から適宜選択できる。
カチオンは、ナトリウムイオン(第1カチオン)に加え、ナトリウムイオン以外のカチオン(第2カチオン)を含むことができる。第2カチオンとしては、有機カチオン、およびナトリウムイオン以外の無機カチオンなどが例示できる。カチオンは、第2カチオンを、一種含んでもよく、二種以上組合せて含んでもよい。
有機カチオンとしては、脂肪族アミン、脂環族アミンまたは芳香族アミンに由来するカチオン(例えば、第4級アンモニウムカチオンなど)、および窒素含有へテロ環を有するカチオン(つまり、環状アミンに由来するカチオン)などの窒素含有オニウムカチオン;イオウ含有オニウムカチオン;および/またはリン含有オニウムカチオンなどが例示できる。
窒素含有有機オニウムカチオンのうち、特に、第4級アンモニウムカチオン、および窒素含有ヘテロ環骨格として、ピロリジン、ピリジン、またはイミダゾールを有するカチオンが好ましい。
窒素含有有機オニウムカチオンの具体例としては、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA:tetraethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン;1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(MPPYまたはPy13:1−methyl−1−propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(MBPYまたはPy14:1−butyl−1−methylpyrrolidinium cation);1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI: 1−ethyl−3−methylimidazolium cation)、および/または1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI:1−buthyl−3−methylimidazolium cation)などが挙げられる。
無機カチオンとしては、例えば、ナトリウムイオン以外のアルカリ金属イオン(カリウムイオンなど)、および/またはアルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
カチオンは、有機カチオンを含むことが好ましい。このようなカチオンを含むイオン液体を用いることで、溶融塩電解質の融点および/または粘度を低下させることができるため、ナトリウムイオン伝導性を高め易く、高容量を確保し易くなる。なお、カチオンは、第2カチオンとして、有機カチオンと無機カチオンとを含んでもよい。
アニオンとしては、ビススルホニルアミドアニオンを用いることが好ましい。
ビススルホニルアミドアニオンとしては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(FSA:bis(fluorosulfonyl)amide anion))、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(TFSA:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)、(フルオロスルホニル)(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン[(FSO2)(CF3SO2)N-など]、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン[N(SO2CF32 -、N(SO2252 -など]などが挙げられる。これらのうち、特に、FSAおよび/またはTFSAが好ましい。
イオン液体は、ナトリウムイオン(第1カチオン)とアニオン(第1アニオン)との塩(第1塩)を含み、必要に応じて、第2カチオンとアニオン(第2アニオン)との塩(第2塩)を含むことができる。第1塩は、一種であってもよく、第1アニオンの種類が異なる二種類以上の塩であってもよい。第2塩は、一種であってもよく、第2カチオンおよび/または第2アニオンの種類が異なる二種以上の塩であってもよい。第1および第2アニオンは、上記アニオンから適宜選択できる。
第1塩の中では、ナトリウムイオンとFSAとの塩(Na・FSA)、および/またはナトリウムイオンとTFSAとの塩(Na・TFSA)などが特に好ましい。
第2塩の具体例としては、Py13とFSAとの塩(Py13・FSA)、PY13とTFSAとの塩(Py13・TFSA)、Py14とFSAとの塩(Py14・FSA)、PY14とTFSAとの塩(Py14・TFSA)、BMIとFSAとの塩(BMI・FSA)、BMIとTFSAとの塩(BMI・TFSA)、EMIとFSAとの塩(EMI・FSA)、EMIとTFSAとの塩(EMI・TFSA)、TEMAとFSAとの塩(TEMA・FSA)、TEMAとTFSAとの塩(TEMA・FSA)、TEAとFSAとの塩(TEA・FSA)、およびTEAとTFSAとの塩(TEA・FSA)などが挙げられる。これらの第2塩は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
第1塩と第2塩との合計に占める第1塩の比率(つまり、ナトリウムイオンと第2カチオンとの合計に占めるナトリウムイオンの比率)は、各塩の種類に応じて、例えば、5〜95モル%の範囲から適宜選択することができる。
第2カチオンが有機カチオンである場合、第1塩の比率は、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上または25モル%以上であることが好ましく、30モル%以上または40モル%以上であることがさらに好ましい。また、第1塩の比率は、65モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがさらに好ましい。このような溶融塩電解質は、比較的低粘度であり、高容量が得られ易い。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせて好ましい範囲を設定することができる。例えば、第1塩の比率は、10〜65モル%、15〜55モル%、または25〜55モル%であってもよい。
ナトリウム溶融塩電池の作動温度は、溶融塩電解質の組成によって調節することができる。ナトリウム溶融塩電池は、例えば、−20℃から90℃を超える高温域までの広い温度範囲で作動させることができる。ナトリウム溶融塩電池の作動温度は、40℃以上または45℃以上であることが好ましく、50℃以上または70℃以上であることがさらに好ましい。ナトリウム溶融塩電池の作動温度は、例えば、100℃以下、95℃以下または90℃以下であることが好ましい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。作動温度は、40〜100℃、45〜100℃、45〜95℃、45〜90℃、または50〜90℃であってもよい。
なお、ナトリウム溶融塩電池の作動温度とは、定常的または継続的に電池を作動(充電および/または放電)させる温度(または使用温度)を意味する。ナトリウム溶融塩電池の充電および/または放電を行っている期間の大部分を上記作動温度として記載した温度または温度範囲(例えば、45℃以上、または45〜100℃)に維持することが好ましい。本発明の一実施形態には、ナトリウム溶融塩電池の充電および/または放電を行っている期間の大部分(例えば、50%以上、好ましくは70%以上の期間)を、上記の温度に維持する、ナトリウム溶融塩電池の使用方法も含まれる。例えば、45℃以上といった高い温度で定常的に電池を使用する場合であっても、本発明の実施形態によれば、Mnの溶出を有効に抑制できる。上記の温度に維持された状態で、例えば、0.5時間以上(好ましくは1時間または2時間以上)継続して、充電および/または放電を行ってもよい。このように継続して電池を作動させる場合でも、Mnの溶出を顕著に抑制することができる。
ナトリウム溶融塩電池は、例えば、(a)正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータとで電極群を形成する工程、ならびに(b)電極群および溶融塩電解質を電池ケース内に収容する工程を経ることにより製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るナトリウム溶融塩電池を概略的に示す縦断面図である。ナトリウム溶融塩電池は、積層型の電極群、溶融塩電解質(図示せず)およびこれらを収容する角型のアルミニウム製の電池ケース10を具備する。電池ケース10は、上部が開口した有底の容器本体12と、上部開口を塞ぐ蓋体13とで構成されている。
ナトリウム溶融塩電池を組み立てる際には、まず、正極2と負極3とをこれらの間にセパレータ1を介在させた状態で積層することにより電極群が構成され、構成された電極群が電池ケース10の容器本体12に挿入される。その後、容器本体12に溶融塩電解質を注液し、電極群を構成するセパレータ1、正極2および負極3の空隙に溶融塩電解質を含浸させる工程が行われる。あるいは、溶融塩電解質に電極群を含浸し、その後、溶融塩電解質を含んだ状態の電極群を容器本体12に収容してもよい。
蓋体13の中央には、電池ケース10の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。安全弁16を中央にして、蓋体13の一方側寄りには、蓋体13を貫通する外部正極端子14が設けられ、蓋体13の他方側寄りの位置には、蓋体13を貫通する外部負極端子が設けられる。
積層型の電極群は、いずれも矩形のシート状である、複数の正極2と複数の負極3およびこれらの間に介在する複数のセパレータ1により構成されている。図1では、セパレータ1は、正極2を包囲するように袋状に形成されているが、セパレータの形態は特に限定されない。複数の正極2と複数の負極3は、電極群内で積層方向に交互に配置される。
各正極2の一端部には、正極リード片2aを形成してもよい。複数の正極2の正極リード片2aを束ねるとともに、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部正極端子14に接続することにより、複数の正極2が並列に接続される。同様に、各負極3の一端部には、負極リード片3aを形成してもよい。複数の負極3の負極リード片3aを束ねるとともに、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部負極端子に接続することにより、複数の負極3が並列に接続される。正極リード片2aの束と負極リード片3aの束は、互いの接触を避けるように、電極群の一端面の左右に、間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子14および外部負極端子は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット7が嵌められ、ナット7を回転することにより蓋体13に対してナット7が固定される。各端子の電池ケース10内部に収容される部分には、鍔部8が設けられており、ナット7の回転により、鍔部8が、蓋体13の内面に、ワッシャ9を介して固定される。
電極群は、積層タイプに限らず、正極と負極とをセパレータを介して捲回することにより形成したものであってもよい。負極に金属ナトリウムが析出するのを防止する観点から、正極よりも負極の寸法を大きくしてもよい。
[付記]
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、溶融塩電解質とを含み、
前記溶融塩電解質は、イオン液体を70質量%以上含み、
前記イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、
前記カチオンは、ナトリウムイオンを含み、
前記正極活物質は、ポリアニオン型のナトリウムマンガンシリケート化合物を含むナトリウム溶融塩電池。
このようなナトリウム溶融塩電池では、Mnの溶出が抑制され、優れたサイクル特性が得られる。
(付記2)
前記正極は、さらに導電助剤を含み、前記正極活物質の粒子の表面は、前記導電助剤で被覆されていることが好ましい。この場合、正極の導電性をさらに高めることができる。
(付記3)
前記ナトリウムマンガンシリケート化合物は、Na2MnSiO4であり、電池の作動温度は、45℃以上であることが好ましい。電池の作動温度がこのように高くても、溶融塩電解質を用いることで、Mnの溶出を顕著に抑制できる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)Na2MnSiO4の合成
CH3COONa 1.275g、およびMn(CH3COO)2・4H2O 1.905gを水に溶解して水溶液を調製した。Si(OCH2CH54 1.619gをエタノールに溶解してエタノール溶液を調製した。水溶液とエタノール溶液とを混合し、酢酸を添加して、pHを約2に調整し、得られた混合物を8時間攪拌した。エバポレータで混合物から液体を除去し、残留物を回収した。残留物を粉砕し、700℃で12時間焼成した。焼成物のX線回折スペクトルを測定し、Na2MnSiO4のX線回折パターンと比較し、焼成物がNa2MnSiO4であることを確認した。焼成物のX線回折スペクトルを図2に示す。
(2)ナトリウム溶融塩電池の作製
上記(1)で得られたNa2MnSiO4(正極活物質)および気相法炭素繊維(導電助剤)を、ボールミル内で混合することにより、正極活物質粒子を、気相法炭素繊維で被覆した。得られた被覆粒子と、ポリフッ化ビニリデン(バインダ)のNMP溶液とを混合することにより、正極合剤ペーストを調製した。このとき、正極活物質と、導電助剤と、バインダとの質量比を100:18.75:6.25とした。正極合剤ペーストを、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、十分に乾燥させ、圧延して、厚さ80μmの正極を作製した。正極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
金属ナトリウムディスク(アルドリッチ社製、厚さ200μm)をニッケル集電体に圧着して、総厚700μmの負極を作製した。負極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
コイン型の正極、負極およびセパレータを、0.3Paの減圧下で、90℃以上で加熱して十分に乾燥させた。その後、浅底の円筒型のAl/SUSクラッド製容器に、コイン型の負極を載置し、その上にコイン型のセパレータを介してコイン型の正極を載置し、所定量の溶融塩電解質を容器内に注液した。その後、周縁に絶縁ガスケットを具備する浅底の円筒型のAl/SUSクラッド製封口板で、容器の開口を封口した。これにより、容器底面と封口板との間で、負極、セパレータおよび正極からなる電極群に圧力を印加し、部材間の接触を確保した。こうして、設計容量1.5mAhのコイン型のナトリウム溶融塩電池A(ハーフセル)を作製した。なお、セパレータとしては、ガラスマイクロファイバー(ワットマン社製、グレードGF/A、厚さ260μm)製のセパレータを用いた。溶融塩電解質としては、Na・FSAとPy13・FSAとを、20:80のモル比で含むイオン液体(溶融塩電解質中のイオン液体の含有量:100質量%)を用いた。
(3)評価
(A)初期容量およびサイクル特性
ナトリウム溶融塩電池を、恒温室内で25℃になるまで加熱した。温度が安定した状態で、以下の(a)および(b)の条件を充放電の1サイクルとして充放電を行い、1サイクル目の放電容量(初期容量)を求めた。次いで、(a)および(b)の充放電サイクルを20回繰り返して放電容量を求め、初期容量(100%)に対する容量維持率(%)を求めた。電池の温度が、50℃および90℃のそれぞれの場合についても、上記と同様にして初期容量および容量維持率を求めた。
(a)電流密度29.4mA/g(0.2C相当の電流値)、上限電圧(充電終止電圧)4Vまで充電
(b)電流密度29.4mA/g(0.2C相当の電流値)、下限電圧(放電終止電圧)2Vまで放電
25℃、50℃および90℃のそれぞれの温度について、上記の充放電サイクルにおける1回目、2回目、および10回目の充放電曲線を図3〜図5に示す。図3は、25℃における充放電曲線であり、図4は、50℃における充放電曲線、図5は、90℃における充放電曲線である。
(B)Mnの溶出
上記(A)において、50℃の電池温度で評価した後の電池を分解し、溶融塩電解質中のMnの濃度(ppm)をICP分析により分析した。
比較例1
電解質として、有機電解液を用いる以外は、実施例1と同様にして、コイン型電池Bを作製した。有機電解液としては、NaPF6を1mol/Lの濃度で含むプロピレンカーボネート溶液を用いた。
得られたコイン型電池Bを用いて、実施例1と同様の評価を行った。なお、サイクル特性(A)の評価は、電池温度が50℃の場合についてのみ行った。
実施例1および比較例1の結果を表1に示す。
Figure 0006189233
表1に示されるように、実施例では、比較例に比べて、Mnの溶出量が格段に少なく、高いサイクル特性が得られた。実施例では、電池温度が90℃と高い場合にも、比較的高い容量維持率が得られている。これは、Mnの溶出が抑制されていることによるものと考えられる。
また、図3〜図5から、実施例の電池では、いずれの作動温度でも、初回充電時には不可逆容量が見られるが、放電容量は充放電サイクルを繰り返しても安定しており、高い容量維持率が得られることが分かる。
本発明の一実施形態に係るナトリウム溶融塩電池は、サイクル特性に優れることから、長期的な信頼性が求められる用途、例えば、家庭用または工業用の大型電力貯蔵装置、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電源として有用である。
1:セパレータ
2:正極
2a:正極リード片
3:負極
3a:負極リード片
7:ナット
8:鍔部
9:ワッシャ
10:電池ケース
12:容器本体
13:蓋体
14:外部正極端子
16:安全弁

Claims (8)

  1. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、溶融塩電解質とを含み、
    前記溶融塩電解質は、イオン液体を70質量%以上含み、
    前記イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、
    前記カチオンは、ナトリウムイオンを含み、
    前記正極活物質は、ポリアニオン型のナトリウムマンガンシリケート化合物を含むナトリウム溶融塩電池。
  2. 前記ナトリウムマンガンシリケート化合物は、式(1):NaxMn1-yySiO4(元素Mは、Na、Mn、SiおよびO以外の元素であり、0<x≦2であり、0≦y≦0.7である)で表される化合物である請求項1に記載のナトリウム溶融塩電池。
  3. 前記元素Mは、Fe、Co、Cr、TiおよびNiからなる群より選択される少なくとも一種である請求項2に記載のナトリウム溶融塩電池。
  4. 前記ナトリウムマンガンシリケート化合物は、Na2MnSiO4である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のナトリウム溶融塩電池。
  5. 前記カチオンは、さらに有機カチオンを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のナトリウム溶融塩電池。
  6. 作動温度は、45℃以上である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のナトリウム溶融塩電池。
  7. 請求項1に記載のナトリウム溶融塩電池の使用方法であって、
    前記ナトリウム溶融塩電池の充電および/または放電を行っている期間の50%以上の期間を、45℃以上の温度に維持する、使用方法。
  8. 45℃以上の温度に維持された状態で、0.5時間以上継続して、前記充電および/または前記放電を行う、請求項7に記載の使用方法。
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