JP2016162739A - ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、ナトリウムイオン二次電池用負極、並びにナトリウムイオン二次電池 - Google Patents

ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、ナトリウムイオン二次電池用負極、並びにナトリウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2016162739A
JP2016162739A JP2015043942A JP2015043942A JP2016162739A JP 2016162739 A JP2016162739 A JP 2016162739A JP 2015043942 A JP2015043942 A JP 2015043942A JP 2015043942 A JP2015043942 A JP 2015043942A JP 2016162739 A JP2016162739 A JP 2016162739A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
ion secondary
sodium ion
secondary battery
titanium oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015043942A
Other languages
English (en)
Inventor
将一郎 酒井
Shoichiro Sakai
将一郎 酒井
新田 耕司
Koji Nitta
耕司 新田
篤史 福永
Atsushi Fukunaga
篤史 福永
瑛子 今▲崎▼
Eiko Imazaki
瑛子 今▲崎▼
理加 萩原
Rika Hagiwara
理加 萩原
野平 俊之
Toshiyuki Nohira
俊之 野平
常勝 丁
Changsheng Ding
常勝 丁
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Kyoto University NUC
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Kyoto University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd, Kyoto University NUC filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2015043942A priority Critical patent/JP2016162739A/ja
Publication of JP2016162739A publication Critical patent/JP2016162739A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】酸化チタンを含む負極を高容量化する。【解決手段】アモルファス相を含む酸化チタンを含むナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダーを用いる。アモルファス相を含む酸化チタンは、ナトリウムイオンを吸蔵および放出する。アモルファス相を含む酸化チタンには、予めナトリウムが組み込まれていてもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、ナトリウムイオン二次電池の負極材料に関する。
従来のナトリウムイオン二次電池の負極活物質としては、ハードカーボンや金属ナトリウムが用いられている(特許文献1参照)。一方、結晶性酸化チタンをナトリウムイオン二次電池の負極活物質に用いることも検討されている(非特許文献1参照)。
特開2013−48077号公報
Journal of Power Sources 251(2014)pp.379−385
しかし、結晶性酸化チタンを負極活物質として用いるナトリウムイオン二次電池は、高容量化が難しい。
本発明の一局面は、アモルファス相を含む酸化チタンを含み、前記酸化チタンは、ナトリウムイオンを吸蔵および放出する、ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダーに関する。
本発明の別の局面は、上記負極活物質パウダーと、前記負極活物質パウダーを分散させる分散媒と、を含む、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物に関する。
本発明の更に別の局面は、上記スラリー組成物を負極集電体に付着させた後、前記分散媒を揮散させることにより製造された、ナトリウムイオン二次電池用負極に関する。
本発明の更に別の局面は、上記負極と、正極と、ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質と、を具備するナトリウムイオン二次電池に関する。
本発明によれば、酸化チタンを含む負極の高容量化が可能である。よって、高容量なナトリウムイオン二次電池を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の縦断面図である。 実施例1で作製したセルの充放電曲線(20mA/g)を示す図である。 アモルファス相の生成過程における各ステージの酸化チタンのXRDパターンを示す図である。 図3の各ステージに対応する時点を示す図である。 図3の各ステージの負極材料の状態を示す走査電子顕微鏡写真である。 アモルファス相を含む酸化チタンの粒子の拡大写真である。 エネルギー分散型X線分光法(EDX)分析結果から示唆される酸化チタンの反応メカニズムを示す図である。 本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池を備える充放電システムの概略構成図である。
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明に係るナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー(以下、負極活物質パウダーと称する)は、アモルファス相を含む酸化チタン(以下、酸化チタンAM)を含む。酸化チタンAMは、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出する。よって、酸化チタンAMは、ナトリウムイオン二次電池の負極の材料として用いることができる。
アモルファス相は、少なくとも酸化チタンAMの表層部に含まれていればよい。これにより、ナトリウムイオンの吸蔵および放出がスムーズに進行しやすくなると考えられる。
酸化チタンAMは、少なくとも表層部にナトリウムを含むことが望ましい。これにより、充放電に伴う負極の不可逆容量の増大が抑制される。
表層部は、ナトリウムとチタンとのモル比:Na/Tiが0.8〜1.1である領域を含むことが望ましい。これにより、充放電に伴う負極の不可逆容量の増大が更に抑制される。
なお、「酸化チタン」とは、結晶構造の有無に関わらず、チタン原子を含む酸化物を意味する。また、チタン原子以外の原子を含む酸化物でも、チタン原子を含む場合には、酸化チタンの範疇に含まれる。また、表層部とは、酸化チタンAMの粒子の表面から、例えば粒径の10%程度の深さまでの領域である。
負極活物質パウダーは、酸化チタンAMの表面の少なくとも一部を被覆する導電材を含むことが好ましい。これにより、負極の導電性が向上し、負極活物質の利用率が高められる。また、ナトリウムイオン二次電池のレート特性が向上する。
酸化チタンAMの表面の全部または一部が導電材で被覆されていない場合、負極活物質パウダーにおける酸化チタンAMの含有量は、例えば90質量%以上であり、95質量%以上が好ましく、99質量%以上が更に好ましい。上記負極活物質パウダーを負極の材料に用いることで、負極を高容量化し易くなる。
酸化チタンAMの表面の全部または一部が導電材で被覆されている場合、負極活物質パウダーにおける酸化チタンAMと導電材との合計の含有量は、例えば90質量%以上であり、95質量%以上が好ましく、99質量%以上が更に好ましい。上記負極活物質パウダーを負極の材料に用いることで、負極を高容量化し易くなるとともに、負極の導電性を高め易くなる。
上記負極活物質パウダーと分散媒とを混合することにより、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を得ることができる。このスラリー組成物を負極集電体に付着させた後、分散媒を揮散させることにより、ナトリウムイオン二次電池用負極を製造することができる。
本発明に係るナトリウムイオン二次電池は、上記負極と、正極と、ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質とを具備する。
本発明の一実施形態は、上記ナトリウムイオン二次電池と、ナトリウムイオン二次電池の充放電を制御する充放電制御ユニットと、ナトリウムイオン二次電池の温度を50℃以上に制御する温度制御ユニットと、を含む充放電システムに関する。温度制御ユニットは、ナトリウムイオン二次電池の温度を検知する温度センサと、ナトリウムイオン二次電池を加熱するためのヒータとを含んでもよい。
ナトリウムイオン二次電池の温度を50℃以上に制御して充放電することで、負極の可逆容量を大きく向上できる。つまり、ナトリウムイオン二次電池を、より高容量が得られる条件で作動させることができる。また、ナトリウムイオン二次電池の温度を50℃以上に制御して充放電することで、比較的高いレート(例えば、50〜500mA/g)で充放電する場合にも、高容量が得られ易い。温度制御ユニットは、ナトリウムイオン二次電池の温度を60℃以上に制御することが好ましい。
好ましい実施形態では、電解質は、80質量%以上のイオン液体を含み、イオン液体は、ナトリウムイオンとアニオンとを含み、アニオンは、ビススルホニルアミドアニオンを含む。このような電解質を用いる場合、電池の作動温度を高めても安定して充放電を行うことができる。
本発明の別の実施形態は、上記ナトリウムイオン二次電池の充放電方法に関する。この充放電方法は、(i)ナトリウムイオン二次電池を、50℃以上の温度で充電する工程と、(ii)ナトリウムイオン二次電池を、50℃以上の温度で放電する工程と、(iii)ナトリウムイオン二次電池の温度が50℃未満のときには、50℃以上になるまでナトリウムイオン二次電池を加熱する工程と、を含む。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態を、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(負極活物質パウダー)
負極活物質パウダーは、ナトリウムイオンを吸蔵および放出する酸化チタンAMを含む。酸化チタンAMは、少なくとも表層部にアモルファス相を含む。アモルファス相の存在は、CuKα線による粉末X線回折(XRD)測定により得られるXRD像により確認できる。例えば、XRD像において、結晶性酸化チタンのピークが観測されないか、観測されたとしても事実上アモルファスと判断される微弱なピークしか観測されないときは、アモルファス相を有する酸化チタン(酸化チタンAM)であるといえる。
負極活物質パウダーは、酸化チタンAMに組み込まれたナトリウムを含んでもよい。以下、ナトリウムが組み込まれた酸化チタンAMを、Na−Ti酸化物とも称する。例えば不可逆容量に相当する量、またはこれに近い量のナトリウムを含むNa−Ti酸化物を負極活物質として用いることで、負極を高容量化しやすくなる。また、少なくとも表層部にナトリウムを含む酸化チタンAMを用いることで、充放電に伴う負極の不可逆容量の増大が抑制されやすい。
Na−Ti酸化物は、ナトリウムとチタンとのモル比:Na/Tiが0.8〜1.1である領域を含むことが好ましい。また、表層部が、ナトリウムとチタンとのモル比:Na/Tiが0.8〜1.1である領域を含むことで、充放電に伴う負極の不可逆容量の増大が更に抑制される。
酸化チタンAMは、全体がアモルファス相であってもよいが、結晶性酸化チタンを含んでもよい。ただし、結晶性酸化チタンの含有量は、例えば5質量%以下であることが望ましい。理由は明らかではないが、アモルファス相を多く含む酸化チタンAMは、不可逆容量が小さいため、正極または電解質に含まれるナトリウムイオンを有効に利用することができる。すなわち、ナトリウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。また、アモルファス相は、ナトリウムイオンの吸蔵および放出に伴う構造変化が小さい。よって、充放電の繰り返しに伴う不可逆容量の増大も抑制されやすい。
上記のような酸化チタンAMの構造は、例えば、TiO2の組成を有する結晶性酸化チタン(二酸化チタン)にナトリウムイオンを吸蔵させた後、ナトリウムイオンの少なくとも一部を放出させることにより形成することができる。酸化チタンAMの原料となる結晶性酸化チタンの結晶構造は、特に限定されない。例えば、アナタース型酸化チタンおよび/またはルチル型酸化チタンを用いればよい。これらのうちではアナタース型が、高容量を得る観点から好ましい。
結晶性酸化チタンにナトリウムイオンを吸蔵させる方法は、特に限定されないが、電気化学的方法が挙げられる。例えば、結晶性酸化チタンの表面の少なくとも一部を導電材で被覆した後、三次元網目構造を有する金属支持体に結晶性酸化チタンを充填し、ナトリウムイオンを含む電解質中で支持体に負電位を印加する。これにより、結晶性酸化チタンにナトリウムイオンを電気化学的に吸蔵させることができる。
結晶性酸化チタンに電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵させるとき、酸化チタンに含まれるチタンは、4価からより低い価数(例えば3価または2価)に還元され、Na−Ti酸化物が生成する。このとき、Na−Ti酸化物に含まれるナトリウムとチタンとのモル比:Na/Tiは、特に限定されない。ただし、少なくとも、Na−Ti酸化物の表層部に、Na/Ti=1.5〜2.0(好ましくはNa/Ti=1.6〜1.9)を満たす領域(上限領域)が形成されるまで、酸化チタンにナトリウムを吸蔵させることが望ましい。Na−Ti酸化物が生成するとき、アモルファス相が生成すると考えられる。
その後、支持体に正電位を印加すると、Na−Ti酸化物から、電気化学的にナトリウムイオンの少なくとも一部を放出させることができる。このとき、Na−Ti酸化物に含まれるチタンが酸化されるが、アモルファス相の状態は維持されると考えられる。その後、支持体から酸化チタンAMを回収すればよい。
Na−Ti酸化物に残存させるナトリウム量は、充放電に寄与しない不可逆量になるように制御することが望ましい。これにより、電池に仕込まれる正極および電解質中のナトリウムを、より有効に利用することができる。また、電池の製造工程において負極にナトリウムをプレドープする必要がなくなる。例えば、電池内にプレドープ用の金属ナトリウムを仕込む必要性が小さくなる。例えば、Na−Ti酸化物の表層部にNa/Ti=0.8〜1.1(好ましくはNa/Ti=0.9〜1.0)を満たす領域(下限領域)が形成されるまで、Na−Ti酸化物からナトリウムを放出させることが望ましい。
なお、電気化学的方法で得られる酸化チタンAMは球形度が大きく、例えば0.8以上の球形度を有する。球形度の大きな酸化チタンAMは、負極への充填率を高めることができるため、高容量化に更に有利である。
Na/Ti=0.8〜1.1(好ましくは0.9≦x≦1.0)である下限領域を含むNa−Ti酸化物は、放電状態の負極の材料として有用である。下限領域を含むことで、Na−Ti酸化物による充放電の可逆性が向上すると考えられる。下限領域は、Na−Ti酸化物を構成する粒子の少なくとも表層部に形成されていることが好ましい。
結晶性酸化チタンに電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵させるとき、詳細は不明であるが、例えば下記式(1)のような反応が進行していると考えられる。この場合、Na−Ti酸化物は、Na2TiO3、TiOなどの複数の化合物の複合体として生成すると考えられる。
2TiO2(結晶性)+2Na++2e- → Na2TiO3+TiO (1)
次に、Na−Ti酸化物からナトリウムイオンを電気化学的に放出させるときには、詳細は不明であるが、例えば下記式(2)のような反応が進行していると考えられる。
Na2TiO3+TiO → 2TiO2(アモルファス)+2Na++2e- (2)
以上のように、ナトリウムイオンを吸蔵する際に、結晶性酸化チタンの少なくとも一部がアモルファス化し、その後、ナトリウムイオンが放出されてからもアモルファス構造が維持されるものと考えられる。なお、上記方法は、酸化チタンAMの構造を限定するものではない。上記方法で得られる構造と同じ、または類似の構造を、他の方法で形成してもよい。
酸化チタンAMの平均粒径は、例えば1〜2000nmであればよいが、1〜1000nmが好ましく、1〜500nmもしくは5〜300nmのナノ粒子であることが更に好ましい。これにより、ナトリウムイオンの吸蔵および放出がよりスムーズに進行する。
ここで、平均粒径とは、レーザー回折式の粒度分布測定で得られる粒度分布における体積基準のメディアン径である。粒径が小さい粒子については、動的光散乱式の粒度分布測定を採用してもよい。
酸化チタンAMの表面の少なくとも一部を導電材で被覆する場合、導電材としては炭素材料を用いることが好ましい。導電材としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブなどを用いることができる。また、有機酸(例えばクエン酸のような有機カルボン酸)および/または糖を500〜1000℃または500〜700℃の温度で焼成することにより得られる非晶質炭素を用いてもよい。
導電材で被覆された酸化チタンAMは、例えば、酸化チタンAMと導電性を有する炭素材料とを混合し、攪拌により、混合物にせん断力を付与することにより得ることができる。混合物にせん断力を付与する方法としては、メカノケミカル法(メカノフュージョン法も含む)が好ましい。
導電材の原料または前駆体(上記有機酸および/または糖など)を酸化チタンAMの表面に付着させ、焼成により原料または前駆体を炭化することで導電材に変換してもよい。焼成温度は、例えば700℃以下(500〜700℃など)が好ましい。酸化チタンの表面の少なくとも一部を導電材で被覆する作業は、酸化チタンAMの原料に用いる結晶性酸化チタンに対して行ってもよい。
負極活物質パウダーにおいて、酸化チタンAM(T)に対する導電材(C)の質量比:C/Tは、例えば0.001〜0.1であり、好ましくは0.01〜0.05である。質量比がこのような範囲である場合、導電性を高め易く、かつナトリウムイオンの吸蔵および放出が妨げられにくい。
負極の原料である負極活物質パウダーは、酸化チタンAMの含有量、あるいは、酸化チタンAMと導電材との合計の含有量が、90質量%以上、好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上の状態で、負極の製造工程に供給されることが想定される。
(ナトリウムイオン二次電池)
次に、本発明に係るナトリウムイオン二次電池は、上記負極と、正極と、ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質とを具備する。正極と負極との間にはセパレータを介在させることが好ましい。
図1は、一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池100を概略的に示す縦断面図である。ナトリウムイオン二次電池は、積層型の電極群、電解質(図示せず)およびこれらを収容する角型の電池ケース10を具備する。電池ケース10は、例えばアルミニウム製であり、上部が開口した有底の容器本体12と、上部開口を塞ぐ蓋体13とで構成されている。
蓋体13の中央には、電池ケース10の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。安全弁16を中央にして、蓋体13の一方側寄りには、蓋体13を貫通する外部正極端子が設けられ、蓋体13の他方側寄りの位置には、蓋体13を貫通する外部負極端子14が設けられる。
積層型の電極群は、いずれもシート状の複数の正極2と複数の負極3およびこれらの間に介在する複数のセパレータ1により構成されている。各正極2の一端部には、正極リード片2aが形成されている。複数の正極2の正極リード片2aは束ねられ、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部正極端子に接続されている。同様に、各負極3の一端部には、負極リード片3aが形成されている。複数の負極3の負極リード片3aは束ねられ、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部負極端子14に接続される。
外部正極端子および外部負極端子14は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット7が嵌められ、ナット7を回転することにより蓋体13に対してナット7が固定される。各端子の電池ケース10内部に収容される部分には、鍔部8が設けられており、ナット7の回転により、鍔部8が、蓋体13の内面に、O−リング状のガスケット9を介して固定される。
(負極)
上記負極活物質パウダーと分散媒とを混合することにより、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を得ることができる。このスラリー組成物を負極集電体に付着させた後、分散媒を揮散させることにより、ナトリウムイオン二次電池用負極を製造することができる。分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−methyl−2−pyrrolidone)などの有機溶媒の他、水などが用いられる。負極集電体としては、金属箔、金属多孔体などを用いることができる。負極集電体の材質としては、アルミニウム、アルミニウム合金などが好ましい。
負極は、負極活物質パウダーに加え、他の活物質を含んでもよい。ただし、負極活物質全体に占める負極活物質パウダーの割合は、例えば80〜100質量%であり、90〜100質量%であることが好ましい。他の活物質としては、炭素質材料(ソフトカーボン、ハードカーボンなど)、チタン酸リチウム、チタン酸ナトリウムなどが例示できる。
スラリー組成物は、更に導電材および/またはバインダを含むことができる。導電材としては、既に述べた材料を用いることができる。バインダとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゴム状重合体、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロースエーテルなどが挙げられる。バインダの量は、例えば、負極活物質100質量部に対して、3〜15質量部または5〜10質量部である。
(正極)
正極は、通常、正極集電体と、正極集電体に担持された正極活物質(または正極合剤)とを含む。正極集電体としては、金属箔または金属多孔体を用いることができる。正極集電体の材質としては、アルミニウム、アルミニウム合金などが好ましい。
正極活物質としては、ナトリウムイオンを吸蔵および放出(または挿入および脱離)する材料(すなわち、ファラデー反応により容量を発現する材料)が使用できる。このような材料としては、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)と遷移金属(Cr、Mn、Fe、Co、Niなど)とを含む化合物が挙げられる。具体的には、亜クロム酸ナトリウム、ニッケルマンガン酸ナトリウム、鉄コバルト酸ナトリウム、鉄マンガン酸ナトリウムなどのナトリウム含有遷移金属酸化物が挙げられる。
正極は、更に導電材および/またはバインダを含むことができる。導電材およびバインダとしては、負極について例示したものから適宜選択できる。導電材の量は、正極活物質100質量部に対して、例えば5〜15質量部である。バインダの量は、正極活物質100質量部に対して、例えば3〜5質量部である。
(セパレータ)
正極と負極との間にはセパレータを介在させる。セパレータとしては、例えば、樹脂製の多孔質フィルムおよび不織布などが使用できる。樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂など)、および/またはポリイミド樹脂などが例示できる。
(電解質)
ナトリウムイオン伝導性を有する電解質としては、ナトリウムイオンとアニオンとを含む非水電解質が使用される。例えば、有機溶媒にナトリウムイオンとアニオンとの塩(ナトリウム塩)を溶解させた有機電解質、あるいは、ナトリウムイオンを含むカチオンとアニオンとを含むイオン液体(溶融塩電解質)などが用いられる。イオン液体とは、溶融状態の塩(溶融塩)と同義であり、アニオンとカチオンとで構成される液状イオン性物質である。
ナトリウムイオン二次電池は、50℃以上の温度で充放電させることが望ましい。そのため、非水電解質の分解をできるだけ抑制する観点から、イオン液体を非水電解質の主成分として用いることが好ましい。非水電解質におけるナトリウム塩またはナトリウムイオンの濃度は、例えば、0.3〜10mol/Lの範囲から適宜選択できる。
(有機電解質)
有機電解質は、有機溶媒およびナトリウム塩に加え、イオン液体および/または添加剤などを含むことができるが、電解質中の有機溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば60質量%以上、好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。電解質中の有機溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば100質量%以下、または95質量%以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。
ナトリウム塩を構成するアニオン(第1アニオン)の種類は特に限定されず、例えばヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビススルホニルアミドアニオンなどが挙げられる。ナトリウム塩は、一種を単独で用いてもよく、第1アニオンの種類が異なるナトリウム塩を二種以上組み合わせて用いてもよい。
ビススルホニルアミドアニオンとしては、例えばビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(FSA:bis(fluorosulfonyl)amide anion)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(TFSA:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)などが挙げられる。
有機溶媒は、特に限定されず、ナトリウムイオン二次電池に使用される公知の有機溶媒が使用できる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびブチレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトンなどの環状炭酸エステルなどを好ましく用いることができる。有機溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(溶融塩電解質)
溶融塩電解質は、イオン液体に加え、有機溶媒および/または添加剤などを含むことができる。溶融塩電解質は、有機溶媒を含まないか、含む場合でも電解質中の有機溶媒の含有量は30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下または10質量%以下であることが更に好ましい。溶融塩電解質中のイオン液体の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上または90質量%以上であってもよい。電解質中のイオン液体は、100質量%以下であり、電解質の全てがイオン液体(電解質中のイオン液体が100質量%)である場合も好ましい。
イオン液体は、ナトリウムイオン(第1カチオン)に加え、ナトリウムイオン以外のカチオン(第2カチオン)を含むことができる。第2カチオンとしては、有機カチオンが好ましい。イオン液体は、第2カチオンを、一種含んでもよく、二種以上組合せて含んでもよい。
有機カチオンとしては、窒素含有オニウムカチオン;イオウ含有オニウムカチオン;および/またはリン含有オニウムカチオンなどが例示できる。窒素含有オニウムカチオンは、第4級アンモニウムカチオン、窒素含有ヘテロ環骨格としてピロリジン、ピリジンまたはイミダゾール骨格を有するカチオンが好ましい。
窒素含有オニウムカチオンの具体例としては、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA:tetraethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン;1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(MPPYまたはPy13:1−methyl−1−propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(MBPYまたはPy14:1−butyl−1−methylpyrrolidinium cation);1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI: 1−ethyl−3−methylimidazolium cation)、および/または1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI:1−buthyl−3−methylimidazolium cation)などが挙げられる。
イオン液体に含まれるアニオンとしては、ビススルホニルアミドアニオンが好ましい。ビススルホニルアミドアニオンとしては、有機電解質について例示したものから適宜選択できる。
ナトリウムイオン(第1カチオン)と有機カチオンとの合計に占めるナトリウムイオンの比率は、15モル%以上、20モル%以上または25モル%以上が好ましく、30モル%以上または40モル%以上でもよい。また、ナトリウムイオンの比率は、65モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがさらに好ましい。
ナトリウムイオン二次電池の作動温度(具体的には、充放電させる温度)は、50℃以上が好ましく、60℃以上または70℃以上が更に好ましい。また、ナトリウムイオン二次電池の作動温度は、120℃以下が好ましく、100℃以下が更に好ましい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。作動温度は、例えば50〜120℃、60〜120℃、70〜120℃、または70〜100℃であってもよい。
(ナトリウムイオン二次電池の充放電システムおよび充放電方法)
本実施形態に係る充放電システムは、上記のナトリウムイオン二次電池と、充放電制御ユニットと、温度制御ユニットとを含む。
充放電制御ユニットは、ナトリウムイオン二次電池と接続して、充放電を制御する。充放電制御ユニットは、ナトリウムイオン二次電池の充電を制御するユニットと、放電を制御するユニットとを備えていることが好ましい。
充電制御ユニットは、例えば、電池の充電を制御するための回路などを備えている。充電制御ユニットは、少なくとも充電時には外部電源と接続して、ナトリウムイオン二次電池の電圧および/または充電電流の積算値などが所定の値となるまで、外部電源から電流を供給することができる。充電制御ユニットは、外部電源からナトリウムイオン二次電池への充電電流および/または電圧を制御してもよい。
放電制御ユニットは、例えば、電池の放電を制御するための回路などを備えている。放電制御ユニットは、ナトリウムイオン二次電池と接続しており、ナトリウムイオン二次電池の電圧および/または放電電流の積算値などが所定の値となるまで、ナトリウムイオン二次電池からこれに接続した負荷機器への放電(具体的には、放電電流および/または電圧)を制御することができる。
温度制御ユニットは、ナトリウムイオン二次電池の温度を制御できる限り(特に、電池の温度を50℃以上に制御することができる限り)、その構成は特に制限されない。温度制御ユニットは、例えば、ナトリウムイオン二次電池の温度を検知するための温度測定部(温度センサ)と、ナトリウムイオン二次電池を加熱するためのヒータとを備えていてもよい。
ヒータは、温度センサで検知される電池の温度が、所定値(50℃など)に満たない場合に作動して、電池の温度が所定値以上となるように電池を加熱することができる。電池温度が必要以上に上昇しないように、温度センサで検知される電池温度が所定値(例えば、120℃など)になったときには、ヒータを停止させてもよい。温度センサは、電池温度を連続的に測定してもよく、断続的に測定してもよい。また、電池の充放電のいずれもが停止している間は、温度制御ユニット(または温度センサ)を停止させてもよい。必要に応じて、ヒータおよび温度センサの作動を温度制御装置(温度制御回路など)などで集約して制御してもよい。また、温度制御装置では、必要に応じて、温度センサで検知される電池温度と目標とする所定の電池温度とから、加熱に必要な熱量を算出し、算出した熱量をヒータから電池に供給するように制御してもよい。電池温度を、例えば、50℃以上の所定値付近で保持するように、温度センサから検知される電池温度または算出される必要な熱量などに応じて、ヒータによる加熱を断続的に行ってもよい。
温度制御ユニット(または温度センサ)と、充放電制御ユニット(具体的には、充電制御ユニットおよび/または放電制御ユニット)とは、必要に応じて接続していてもよい。例えば、温度センサから検知される電池温度が所定値となったときに、充放電制御ユニットにより、電池の充放電を開始したり、および/または停止したりしてもよい。
本実施形態では、温度制御ユニットにより、ナトリウムイオン二次電池を上記のような温度で作動させることで、高容量が得られる。温度制御ユニットは、例えば負極活物質の単位質量当たりの可逆容量が200mAh/g以上となるように電池の温度を制御することが好ましく、220mAh/g以上または240mAh/g以上となるように電池の温度を制御することもできる。このような容量は、例えば、充放電レートが10〜500mA/gまたは20〜200mA/gの範囲でも得ることができ、比較的高い充放電レート(具体的には、50〜500mA/gまたは50〜200mA/g)でも達成することができる。さらに、充放電を繰り返した場合でも、容量の劣化が抑制されるため、サイクル寿命を向上することもできる。
充放電システムは、必要に応じて、ナトリウムイオン二次電池の充放電システムに含まれる公知のユニットを含むことができる。例えば、電池を冷却するための冷却装置などを充放電システムが備えていてもよい。
図8は、本実施形態に係る充放電システムを概略的に示す構成図である。
充放電システム100は、ナトリウムイオン二次電池101と、電池101の充放電を制御する充放電制御ユニット102と、電池101の温度を制御する温度制御ユニット201とを備えている。充放電制御ユニット102は、電池101を充電する際の電流および/または電圧などを制御する充電制御ユニット102aと、電池101を放電する際の電流および/または電圧などを制御する放電制御ユニット102bとを含む。充電制御ユニット102aは、外部電源104および電池101と接続しており、放電制御ユニット102bは、電池101と接続している。電池101には、電池101から供給される電力を消費する負荷機器(例えば、電気自動車など)103が接続している。充電時には、負荷機器103と電池101との接続は通常切断されており、放電時には、外部電源104と充放電制御ユニット102(具体的には、充電制御ユニット102a)との接続は通常切断されている。
温度制御ユニット201は、電池101を加熱するためのヒータ201aと、電池101の温度を検知するための温度センサ102bと、温度制御装置201cとを備えている。温度制御装置201cは、ヒータ201aおよび温度センサ102bのそれぞれと接続している。温度制御装置201cは、温度センサ102bで検知される電池温度と、目標とする電池温度(50℃以上の温度)と、必要に応じてこれらの温度から求められる値などの情報に基づいて、ヒータ201aの動作(オンオフ、および/または電池に供給する熱量など)を制御する。
本実施形態には、ナトリウムイオン二次電池を前述の温度(例えば、50℃以上の温度)で充放電するナトリウムイオン二次電池の充放電方法も包含される。充放電方法は、具体的には、ナトリウムイオン二次電池を50℃以上の温度で充電する工程と、ナトリウムイオン二次電池を50℃以上の温度で放電する工程と、ナトリウムイオン二次電池の温度が50℃未満のときには、50℃以上になるまでナトリウムイオン二次電池を加熱する工程と、を含む。充放電を50℃以上の高い温度で行うことで、大きな容量を電池から取り出すことができる。電池を加熱する工程は、例えば、上記で温度制御ユニットについて説明したように、ヒータなどを利用して行うことができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(1)酸化チタンAMの調製
クエン酸0.27gを適量のエタノールに溶解させて溶液を調製した。得られたクエン酸溶液に、原料となるアナターゼ型酸化チタンのナノ粒子(平均粒径100nm)2.0gを添加し、攪拌により分散させた。得られた混合物を60℃で乾燥させ、乾燥物をアルゴン雰囲気下600℃で12時間熱処理した。このようにして、ナノ粒子の表面に付着したクエン酸が炭化され、炭化物(導電材)で被覆されたナノ粒子が得られた。炭化物の酸化チタンに対する質量比(=C/T)は、0.013であった。
炭化物で被覆されたナノ粒子と黒鉛とポリアミドイミド(バインダ)とを、質量比85:15:5で用い、適量のNMPとともに混合することにより、スラリーを調製した。スラリーを、アルミニウム箔(厚み20μm)の片面に塗布し、乾燥することにより、円盤状のペレット(直径1.2cm、厚み50μm)を作製した。
(2)セルの作製
コイン型の容器の内底部にペレットを配置し、その上にガラス繊維製のセパレータ(Whatman製、GF−A)を配置した。次いで、セパレータ上に円盤状の金属ナトリウムをペレットと対向するように配置した。容器内に非水電解質を注液し、周縁に絶縁性ガスケットを備えた蓋体を、容器の開口部に嵌め込むことで、コイン型のセルを作製した。非水電解質としては、Na・FSAと、MPPY・FSAとを、2:8のモル比で混合したものを用いた。同様のセルを複数作製した。
(3)結晶性酸化チタンによるナトリウムイオンの吸蔵
上記(2)で得られたコイン型のセルの温度を90℃に維持した状態で、20mA/gの電流値で、セル電圧が0.01Vになるまで定電流充電した。これにより、セル内でNa−Ti酸化物を生成させた。
(4)Na−Ti酸化物によるナトリウムイオンの放出
上記(3)の後、20mA/gの電流値で、セル電圧が2.5Vになるまで定電流放電した。これにより、セル内で酸化チタンAMを生成させた。
充電の際に得られた充電曲線(A1)および放電の際に得られた放電曲線(A2)を図2に示す。また、充放電途中のセルを分解し、アモルファス相の生成過程における各ステージ(ステージ1〜6)の負極材料のXRD測定を行った。図3に得られたXRDパターンを示す。図4は、XRDパターンの左端に数字で示す各ステージが対応する充放電曲線上の時点を示している。また、図5に、各ステージの負極材料の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、図6にNa−Ti酸化物の拡大写真を示す。
図2より、結晶性酸化チタンが初回にナトリウムを吸蔵する際、2段階の反応が進行していることが示唆される。また、充電に要した電気量の一部が放電に寄与していないことが理解できる。このことは、結晶性酸化チタンをそのまま用いると、不可逆な反応にナトリウムイオンが消費されてしまうことを示唆している。
図3、図4より、酸化チタンに吸蔵されるナトリウムイオン量が増加するに従い、酸化チタンの結晶性が低くなること、および、2θ=36°付近、42°付近および59°付近に、Na−Ti酸化物に帰属されると思われるピークが生じることが理解できる。
図5からは、結晶性酸化チタンがナトリウムイオンを吸蔵することで、Na−Ti酸化物に帰属されると思われる球状粒子が成長する様子が観察できる(ステージ2、3、4)。また、Na−Ti酸化物からナトリウムイオンが放出される過程においても球状粒子の形状が維持されることが理解できる(ステージ5、6)。図3と図5との対応関係から、球状粒子はアモルファス構造であることが強く示唆される。図6は、ステージ4のペレット内に見られる球状粒子の拡大写真であり、上段には粒子表面を、下段には粒子の断面を示す。これらの図から、球状粒子がナノ粒子の凝集体であることが理解できる。
図7に、各ステージで観測される球状粒子のEDX分析結果から示唆される酸化チタンの反応メカニズムを示す。また、表1にEDX分析の結果から示唆される元素比を示す。
図7は、上記方法によれば、Na0.97TiO2またはこれに近い組成のNa−Ti酸化物を製造できることを示している。その後、Na−Ti酸化物は、Na1.77TiO2またはこれに近い組成まで可逆的にナトリウムイオンを吸蔵および放出できる。
(5)ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダーの調製
次に、上記と同様のセルを作製し、これに初回充放電を施し、その後、セルを分解して、導電材で被覆された酸化チタンAM(Na/Tiが0.97のNa−Ti酸化物)を分離回収した。こうして、酸化チタンAMと導電材との合計の含有量が100質量%であるナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダーを得た。導電材の酸化チタンAMに対する質量比(=C/T)は、約0.013であった。
(6)ナトリウムイオン二次電池(ハーフセル)の作製
ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダーと黒鉛とポリアミドイミド(バインダ)とを、質量比85:15:5で混合し、更に適量のNMPを添加してスラリー組成物を調製した。スラリー組成物をアルミニウム箔(厚み20μm)の片面に塗布し、乾燥することにより、円盤状の負極(直径1.2cm、厚み50μm)を作製した。
コイン型の容器の内底部に負極を配置し、その上にガラス繊維製のセパレータ(Whatman製、GF−A)を配置した。次いで、セパレータ上に円盤状の金属ナトリウムをペレットと対向するように配置した。容器内に上記と同じ非水電解質を注液し、周縁に絶縁性ガスケットを備えた蓋体を、容器の開口部に嵌め込むことで、コイン型のハーフセルを作製した。
得られたハーフセルの温度を90℃に維持した状態で、20mA/gの電流値で、セル電圧が0.01Vになるまで定電流充電し、その後、20mA/gの電流値で、セル電圧が2.5Vになるまで定電流放電した。このときの充電曲線(B1)および放電曲線(B2)を図2または図4に重ねて示す。これらの結果は、不可逆反応がほとんど進行していないことを示唆している。また、充電曲線(B1)のステージ7(図4)における満充電状態の酸化チタンのXRDパターンを図3に示す。ステージ7はステージ4とほぼ同様のパターンであることがわかる。
アモルファス相を含む酸化チタンを含む負極活物質パウダーは、ナトリウムイオン二次電池の負極活物質として好適であり、これを用いたナトリウムイオン二次電池は、例えば、家庭用または工業用の大型電力貯蔵装置や、電気自動車やハイブリッド自動車の電源として有用である。
1:セパレータ、2:正極、2a:正極リード片、3:負極、3a:負極リード片、7:ナット、8:鍔部、9:ガスケット、10:電池ケース、12:容器本体、13:蓋体、14:外部負極端子、16:安全弁、100:充放電システム、101:ナトリウム二次電池、102:充放電制御ユニット、102a:充電制御ユニット、102b:放電制御ユニット、103:負荷機器、104:外部電源、201:温度制御ユニット、201a:ヒータ、201b:温度センサ、201c:温度制御装置

Claims (10)

  1. アモルファス相を含む酸化チタンを含み、
    前記酸化チタンは、ナトリウムイオンを吸蔵および放出する、ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー。
  2. 前記アモルファス相が、少なくとも前記酸化チタンの表層部に含まれている、請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー。
  3. 前記酸化チタンが、少なくとも前記表層部にナトリウムを含む、請求項2に記載のナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー。
  4. 前記表層部が、前記ナトリウムとチタンとのモル比:Na/Tiが0.8〜1.1である領域を含む、請求項3に記載のナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー。
  5. 更に、前記酸化チタンの表面の少なくとも一部を被覆する導電材を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー。
  6. 前記酸化チタンの含有量が、90質量%以上である、請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー。
  7. 前記酸化チタンと前記導電材との合計の含有量が、90質量%以上である、請求項5に記載のナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の負極活物質パウダーと、前記負極活物質パウダーを分散させる分散媒と、を含む、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物。
  9. 請求項8に記載のスラリー組成物を負極集電体に付着させた後、前記分散媒を揮散させることにより製造された、ナトリウムイオン二次電池用負極。
  10. 請求項9に記載の負極と、正極と、ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質と、を具備するナトリウムイオン二次電池。
JP2015043942A 2015-03-05 2015-03-05 ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、ナトリウムイオン二次電池用負極、並びにナトリウムイオン二次電池 Pending JP2016162739A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015043942A JP2016162739A (ja) 2015-03-05 2015-03-05 ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、ナトリウムイオン二次電池用負極、並びにナトリウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015043942A JP2016162739A (ja) 2015-03-05 2015-03-05 ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、ナトリウムイオン二次電池用負極、並びにナトリウムイオン二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016162739A true JP2016162739A (ja) 2016-09-05

Family

ID=56847179

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015043942A Pending JP2016162739A (ja) 2015-03-05 2015-03-05 ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、ナトリウムイオン二次電池用負極、並びにナトリウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016162739A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107768623A (zh) * 2017-09-28 2018-03-06 天津大学 非晶TiO2薄层包覆三维碳网络负载SnO2纳米颗粒复合材料制备与应用

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107768623A (zh) * 2017-09-28 2018-03-06 天津大学 非晶TiO2薄层包覆三维碳网络负载SnO2纳米颗粒复合材料制备与应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Babu et al. Fast charging materials for high power applications
JP6524158B2 (ja) 非水電解質二次電池用負極活物質、負極、非水電解質二次電池、電池パック及び車
Rosenman et al. Review on Li‐sulfur battery systems: An integral perspective
KR102633418B1 (ko) 비수전해질 이차 전지용 부극 활물질 및 비수전해질 이차 전지, 그리고 비수전해질 이차 전지용 부극재의 제조 방법
Li et al. Enhanced structural stability of boron-doped layered@ spinel@ carbon heterostructured lithium-rich manganese-based cathode materials
Aravindan et al. High power lithium-ion hybrid electrochemical capacitors using spinel LiCrTiO 4 as insertion electrode
JP6320809B2 (ja) 正極活物質、非水電解質電池および電池パック
JP6301619B2 (ja) 非水電解質二次電池、電池パック及び車
JP5476246B2 (ja) 非水電解質二次電池及び正極合剤の製造方法
JP6459795B2 (ja) ナトリウムイオン二次電池
Yang et al. Improvement of lithium storage performance of molybdenum trioxide by a synergistic effect of surface coating and oxygen vacancies
Zhu et al. Facile preparation of NaV3O8/polytriphenylamine composites as cathode materials towards high‐performance sodium storage
JP2016162742A (ja) ナトリウム二次電池、ナトリウム二次電池の充放電システムおよびナトリウム二次電池の充放電方法
Xiao et al. Layered LiNi 0.80 Co 0.15 Al 0.05 O 2 as cathode material for hybrid Li+/Na+ batteries
JP6102615B2 (ja) 負極活物質及びそれを用いた二次電池
JP7296440B2 (ja) 二次電池用の負極活物質および負極ならびに水溶液電解質二次電池
JP2013069567A (ja) 電極活物質及びその製造方法並びにリチウムイオン電池
Wu et al. Synthesis and electrochemical properties of cation‐disordered rock‐salt x Li3NbO4·(1− x) NiO compounds for Li‐ion batteries
Minakshi et al. Multi-component olivine for lithium-ion hybrid capacitor
CN105439200B (zh) 负极活性物质、钠离子电池和锂离子电池
JP2016162739A (ja) ナトリウムイオン二次電池負極活物質パウダー、ナトリウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、ナトリウムイオン二次電池用負極、並びにナトリウムイオン二次電池
Le Calvez et al. Ag2V4O11: from primary to secondary battery
JP6120069B2 (ja) 非水電解液二次電池の製造方法
JP2016066592A (ja) 負極活物質、ナトリウムイオン電池およびリチウムイオン電池
CN114586194B (zh) 锂离子电池以及用于制造锂离子电池的方法