JP6459795B2 - ナトリウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、スズを負極活物質として用いたナトリウムイオン二次電池に関する。
近年、太陽光または風力などの自然エネルギーを電気エネルギーに変換する技術が注目を集めている。また、多くの電気エネルギーを蓄えることができる蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタなどの需要が拡大している。しかし、これらの蓄電デバイスの市場の拡大に伴い、リチウム資源の価格も上昇しつつある。
リチウム資源に比べると、ナトリウム資源は安価である。そこで、ナトリウムイオンを用いたナトリウムイオン電池が検討されている(例えば、特許文献1)。ナトリウムイオン電池は、正極、負極、およびナトリウムイオン伝導性の非水電解質を含む。正極および負極の活物質としては、例えば、ナトリウムイオンを吸蔵および放出(または挿入および脱離)する材料が使用されている。特許文献1では、負極活物質として、ハードカーボンが使用されている。また、ケイ素やスズなどのナトリウムと合金化する負極活物質(合金系負極活物質)も検討されている。
特開2013−48077号公報
合金系負極活物質は多くのナトリウムイオンを吸蔵できるため、高容量化の観点から有利である。しかし、合金系負極活物質、中でもスズは、ナトリウムイオン吸蔵時の膨張が非常に大きいため、充放電を繰り返すと負極の劣化が顕著になる。そのため、十分なサイクル寿命を確保することができない。
本発明の目的は、スズを含む負極活物質を用いたナトリウムイオン二次電池において、負極の膨張を抑制して、高いサイクル特性を確保することである。
本発明の一局面は、正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含み、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体に担持された負極合剤層とを含み、
前記負極合剤層は、負極活物質と、導電助剤と、バインダとを含み、
前記負極活物質は、スズを含む金属粒子と、ハードカーボンとを含み、
前記負極合剤層は、空隙を有しており、
放電状態において、前記金属粒子の体積の前記空隙の体積に対する比Rp/vは、0.05≦Rp/v<0.24であり、前記金属粒子と前記ハードカーボンとの総量に占める前記金属粒子の割合は、15質量%〜60質量%である、ナトリウムイオン二次電池に関する。
本発明の上記局面によれば、スズを含む負極活物質を用いたナトリウムイオン二次電池において、充電時の負極の膨張を抑制でき、充放電サイクル時の負極の劣化を抑制することができる。よって、高いサイクル特性を確保することができる。
本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池を概略的に示す縦断面図である。
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態は、正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含むナトリウムイオン二次電池に関する。負極は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極合剤層とを含み、負極合剤層は、負極活物質と、導電助剤と、バインダとを含む。負極活物質は、スズを含む金属粒子と、ハードカーボンとを含み、負極合剤層は、空隙を有している。放電状態において、金属粒子の体積の空隙の体積に対する比Rp/vは、0.05≦Rp/v<0.24であり、金属粒子とハードカーボンとの総量に占める金属粒子の割合は、15質量%〜60質量%である。
スズやスズ合金は、多くのナトリウムイオンを可逆的に吸蔵および放出することができるため、ナトリウムイオン二次電池の負極活物質として用いることで高容量化が期待される。しかし、スズやスズ合金を負極活物質として用いると、充放電時の膨張収縮に伴う体積変化が極めて大きいため、負極が劣化して十分なサイクル寿命を確保することができない。
本実施形態では、スズを含む金属粒子を含む負極活物質を用いるにも拘わらず、比Rp/vを上記の範囲とすることで、充電時に金属粒子が大きく膨張しても、負極の膨張が抑制される。よって、充放電を繰り返しても、負極の劣化が抑制されるため、優れたサイクル特性を得ることができる。また、金属粒子を多く含む負極活物質を用いることで、電池を高容量化することもできる。
なお、「放電状態」の負極とは、不可逆容量分のナトリウムイオンだけを含む状態の負極(つまり、完全放電状態の負極)、例えば、ナトリウムイオン二次電池において初回から10回までの充放電を行った後の放電状態の負極である。
負極合剤層の空隙率は、放電状態において、25体積%〜55体積%であることが好ましい。また、満充電状態における負極合剤層の空隙率は、0体積%〜25体積%であることが好ましい。放電状態および/または満充電状態の空隙率がそれぞれこのような範囲である場合、高容量を確保しながらも、充電時の負極の膨張を抑制し易い。
なお、「満充電状態」の負極とは、ナトリウムイオン二次電池において、負極の電位が実質的に降下しなくなるまで充電した状態を言う。例えば、負極の電位が、金属ナトリウムに対して0.1V以下であるものを満充電状態の負極としてもよい。満充電状態の負極は、負極合剤層に含まれる実質的に全てのSnがNa15Sn合金に変化した状態と考えることができる。
負極合剤層の空隙率は、下記式で定義することができる。
空隙率(%)=(1−d/d)×100
(式中、dは負極合剤層の見かけ密度であり、dは負極合剤層の真密度である。)
見かけ密度dは、負極における負極合剤層の体積および質量から算出できる。真密度dは、負極合剤層の構成成分の比重や密度、および質量比から算出することができる。
比Rp/vは、0.10≦Rp/v<0.24であることが好ましい。この場合、高容量を確保し易い。
金属粒子は、スズを含む金属の一次粒子が凝集した凝集粒子を含んでいてもよい。そして、負極合剤層は、放電状態で、厚み方向の断面の任意に選択された面積が2500μmの領域において、凝集粒子のうち粒子径が10μm以上の凝集粒子の個数が2個以下であることが好ましい。つまり、負極合剤層におけるスズを含む金属粒子の分散性が高く、サイズが大きな凝集粒子の割合が少ない。これにより、負極の膨張をさらに効果的に抑制することができる。
なお、粒子径が10μm以上の凝集粒子の個数は、負極合剤層の厚み方向の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像において求めることができる。凝集粒子の個数は、面積が2500μmである任意の領域を複数(例えば、10箇所)選択し、各領域について個数を求め、平均化した平均値であってもよい。なお、SEM画像における凝集粒子の面積と同じ面積を有する相当円の直径を凝集粒子の粒子径とするものとする。
導電助剤の量は、負極活物質100質量部に対して5質量部〜45質量部であることが好ましい。導電助剤の量がこのような範囲である場合、負極が膨張しても、導電パスが切断されるのを抑制することができる。よって、負極の抵抗の増加が抑制されることで、サイクル特性の低下がさらに抑制される。
金属粒子の平均粒子径は、放電状態において、100nm〜500nmであることが好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることで、充電時の負極の膨張をさらに抑制することができる。
金属粒子の平均粒子径は、負極合剤層の厚み方向の断面のSEM画像において求めることができる。具体的には、SEM画像において、任意の複数(例えば、50個)の金属粒子を選択し、各金属粒子の粒子径を測定し、平均化することにより平均粒子径を求めることができる。なお、SEM画像における金属粒子の面積と同じ面積を有する相当円の直径を、金属粒子の粒子径とするものとする。
放電状態における負極の厚みがTのとき、満充電状態の負極の厚みは、1.25T以下であることが好ましい。この場合、充放電に伴う負極の膨張収縮が小さいため、充放電を繰り返しても負極の劣化をさらに抑制することができる。
負極の厚みは、負極の厚み方向の断面におけるSEM画像から求めることができる。また、負極の厚みは、SEM画像において、任意の複数の箇所について負極の厚みを計測し、平均化した平均値であってもよい。
導電助剤は、カーボンブラックおよびカーボンナノファイバからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。このような導電助剤を用いた場合、負極の導電性を高め易く、充電時に負極が膨張しても抵抗の増加を抑制し易い。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の具体例を、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(負極)
負極は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極合剤層とを含む。
負極集電体は、例えば、金属箔を用いることができる。金属箔の厚みは、例えば10μm〜50μmである。
負極集電体の材質としては、特に制限されないが、ナトリウムと合金化せず、負極電位で安定であることから、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、および/またはステンレス鋼などが好ましい。
負極合剤層に含まれる負極活物質は、スズを含む金属粒子と、ハードカーボンとを含む。
(金属粒子)
金属粒子を構成する金属としては、例えば、スズ単体またはスズ合金が挙げられる。スズ合金としては、スズとスズ以外の元素(第2元素)との合金が挙げられる。第2元素としては、チタン、亜鉛、インジウム、鉛、ビスマスなどの金属元素の他、ケイ素、リンなどの非金属元素も例示できる。スズ合金は、第2元素を一種含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。金属粒子は一種を用いてもよく、種類が異なる二種以上の金属粒子を用いてもよい。
金属粒子におけるスズの含有量は、例えば、80質量%〜100質量%であり、90質量%〜100質量%であってもよい。スズの含有量がこのような範囲である場合、高容量を確保し易い反面、充放電時の膨張収縮が大きくなり易い。本実施形態では、このようなスズを多く含む金属粒子を用いる場合であっても、比Rp/vを上記の範囲とすることで、負極の膨張収縮を低減することができる。なお、金属粒子には、スズやスズ合金を形成する元素(具体的には、スズおよび第2元素)以外に不純物が含まれていてもよいが、金属粒子における不純物の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。なお、ここで言うところの金属粒子におけるスズや不純物の含有量は仕込み時のものである。
金属粒子は、負極合剤層に、一次粒子の状態で含まれていてもよく、一次粒子が凝集した凝集粒子(または二次粒子)の状態で含まれていてもよい。本実施形態では、負極合剤層が凝集粒子を含む場合でも、凝集粒子の膨張収縮による負極の膨張収縮を抑制することができるが、大きなサイズの凝集粒子の割合は少ない方が好ましい。例えば、負極合剤層は、放電状態で、厚み方向の断面の任意に選択された面積が2500μmの領域において、粒子径が10μm以上の凝集粒子の個数が2個以下であることが好ましく、1個以下または0個であってもよい。粒子径が10μm以上の凝集粒子の個数がこのような範囲である場合、充電時における負極の膨張を抑制する効果がさらに高まる。
負極合剤層において、金属粒子の平均粒子径は、放電状態において、例えば、100nm〜800nmであり、100nm〜500nmまたは100nm〜300nmであることが好ましく、100nm〜250nmであることがさらに好ましい。平均粒子径がこのような範囲である場合、充放電時に部分的に大きく膨張収縮する部分が少ないため、サイクル特性を高める上で有利である。
放電状態において、金属粒子とハードカーボンとの総量に占める金属粒子の割合は、15質量%〜60質量%である。このような割合では、金属粒子の高い容量を有効利用でき、電池を高容量化できる。負極活物質の膨張収縮による体積変化は大きくなるが、比Rp/vを調節することで負極の膨張収縮が抑制されるため、優れたサイクル特性が得られる。高容量化の観点からは、放電状態における金属粒子の割合は、20質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜60質量%または35質量%〜55質量%であることがさらに好ましい。
放電状態において、金属粒子の体積の負極合剤層の空隙の体積に対する比Rp/vは、0.05以上であり、容量を高める観点からは、0.10以上または0.12以上であることが好ましい。比Rp/vは、0.24未満であり、サイクル特性をさらに向上する観点からは、0.23以下または0.22以下であることが好ましい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。比Rp/vは、例えば、0.05≦Rp/v≦0.23、0.10≦Rp/v<0.24、0.12≦Rp/v≦0.23、または0.10≦Rp/v≦0.23であってもよい。
比Rp/vが0.05未満である場合、スズを含む金属粒子を用いることによる高容量化の効果を十分に得ることができない。比Rp/vが0.24以上では、金属粒子の膨張収縮に伴う体積変化が大きくなり、充放電の繰り返しにより負極が劣化してサイクル特性が低下する。
比Rp/vは、負極を形成する際の圧縮の程度、負極合剤層の密度、構成成分の割合などを変更することにより調節することができる。
(ハードカーボン)
ハードカーボンは、炭素網面が三次元的にずれた状態で重なりあった乱層構造を有する炭素質材料である。ハードカーボンは、高温(例えば、3000℃)での加熱処理によっても、乱層構造から黒鉛構造への転換が起こらず、黒鉛結晶子の発達が見られない。そのため、ハードカーボンは、難黒鉛化性炭素(non−graphitizable carbon)とも称される。
ハードカーボンのX線回折スペクトルで測定される(002)面の平均面間隔d002は、例えば、0.37nm〜0.42nmである。ハードカーボンの平均比重は、例えば、1.4g/cm〜1.7g/cmである。
ハードカーボンの平均粒子径D50は、例えば、3μm〜20μmであり、好ましくは5μm〜15μmである。ハードカーボンの平均粒子径がこのような範囲である場合、負極合剤層にある程度の空隙を残しながらも高充填し易いため、高容量とサイクル特性とのバランスを取り易い。
平均粒子径D50とは、体積基準の粒度分布における累積が50%となる粒子径(つまり、メジアン径)を意味する。
負極活物質は、必要に応じて、スズを含む金属粒子(第1活物質)およびハードカーボン(第2活物質)に加え、これら以外の活物質(第3活物質)を含んでもよい。第3活物質としては、金属化合物(チタン酸リチウム、チタン酸ナトリウムなど)、ケイ素、ケイ素化合物(酸化物など)、ソフトカーボンなどが挙げられる。金属粒子およびハードカーボンの効果を十分に発揮させる観点からは、負極活物質に占める第3活物質の量は、5質量%以下であることが好ましい。
(導電助剤)
導電助剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、黒鉛、炭素繊維(気相法炭素繊維などのカーボンナノファイバなど)、および/またはカーボンナノチューブなどが挙げられる。導電性を高める観点から、導電助剤は、負極活物質粒子の表面に被覆されていてもよい。導電助剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。負極の抵抗の増加を抑制し易い観点からは、導電助剤としては、カーボンブラック、および/またはカーボンナノファイバが好ましい。サイクル特性をさらに高める観点からは、気相法炭素繊維などのカーボンナノファイバを用いることが有利である。
導電助剤の量は、負極活物質100質量部に対して、5質量部〜45質量部であることが好ましい。この場合、負極の抵抗の増加を抑制し易い。充電時の負極の膨張に伴って負極合剤層における導電パスが切断されることをより効果的に抑制する観点からは、導電助剤の量は、負極活物質100質量部に対して、10質量部〜45質量部であることが好ましく、高容量が得られ易い観点からは、10質量部〜40質量部であることが好ましい。
導電助剤が粒子状である場合、平均粒子径D50は、例えば、20nm〜70nm であり、30nm〜50nmであることが好ましい。また、導電助剤が繊維状である場合、平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、例えば、30〜300であり、50〜200であることが好ましい。平均粒子径や平均アスペクト比がこのような範囲である場合、充電時に負極合剤層が膨張しても、導電パスが切断され難い。
(バインダ)
バインダとしては、特に制限されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエンゴムなどのゴム状重合体、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミドなどのポリイミド樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびセルロースエーテル(カルボキシメチルセルロースおよびその塩など)などが挙げられる。バインダは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダの量は、特に制限されないが、高い結着性および容量を確保し易い観点から、負極活物質100質量部に対して、例えば、1質量部〜20質量部であり、5質量部〜15質量部であることが好ましい。
負極は、例えば、負極集電体に負極合剤を塗布または充填し、必要に応じて、厚み方向に圧縮(または圧延)することにより形成できる。適当な段階で乾燥処理を行ってもよい。負極活物質には、必要に応じて、ナトリウムイオンをプレドープしてもよい。
負極合剤は、通常、分散媒を含むスラリー(またはペースト)の形態で使用される。分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−methyl−2−pyrrolidone)などの有機溶媒、および/または水などが用いられる。
負極合剤スラリーは、負極合剤の構成成分を分散媒中に分散させることにより調製される。構成成分、特に、スズを含む金属粒子を微分散させると、充放電による負極の膨張収縮を低減する効果が高まる。負極合剤を調製する際には、公知のミキサー、ニーダー、ディスパー、ミルなどを利用することができる。
金属粒子の分散性を高める観点からは、遠心力を利用して構成成分を攪拌する装置を利用することが好ましい。例えば、薄膜旋回型高速ミキサーなどを用い、遠心力を利用して構成成分と分散媒との混合物の薄膜を形成し、高速旋回することにより薄膜中の成分を微分散させることが好ましい。遠心力を利用して構成成分を分散させると、負極合剤中に含まれる、粒子径10μm以上といった大きな凝集粒子の割合を低減し易いため有利である。混合物の薄膜を高速旋回する場合、攪拌装置の回転速度は、例えば、10m/s〜50m/sであり、20m/s〜40m/sであることが好ましい。攪拌時間は、例えば、10秒〜60秒としてもよく、15秒〜45秒であってもよい。回転速度および/または攪拌時間がこのような範囲である場合、成分を微分散させる上でより有利である。
負極合剤スラリー(またはペースト)の固形分濃度は、例えば、30質量%〜70質量%であり、分散性を高める観点からは、例えば、35質量%〜65質量%とすることが好ましく、40質量%〜55質量%とすることがさらに好ましい。
負極を作製する際の圧縮の程度は、負極合剤層の密度、負極合剤層の放電状態における空隙率などが所望の範囲となるように調節することが好ましい。圧縮の程度は、比Rp/vに影響するため、比Rp/vが上述の範囲となるように圧縮の際の圧力および/または圧縮する回数などを調節してもよい。
負極合剤層の空隙率は、放電状態において、例えば、25体積%〜55体積%であり、27体積%〜50体積%であることが好ましく、30体積%〜46体積%または32体積%〜46体積%であることがさらに好ましい。放電状態の空隙率がこのような範囲である場合、充電時の負極の膨張を抑制する効果がさらに高まることに加え、高容量を確保し易い。
満充電状態における負極合剤層の空隙率は、例えば、0体積%〜25体積%であり、1体積%〜22体積%であることが好ましく、2体積%〜21体積%であることがさらに好ましい。満充電状態の空隙率がこのような範囲である場合、充電による負極の膨張をさらに効果的に抑制することができるとともに、高容量を確保し易い。
本実施形態では、充電時の負極の膨張を抑制することができるため、充放電に伴う負極の劣化を抑制することができる。放電状態における負極の厚みがTのとき、満充電状態の負極の厚みは、例えば、1.26T以下であり、1.25T以下(具体的には、T〜1.25T)であることが好ましく、T〜1.20TまたはT〜1.15Tであることがさらに好ましい。満充電状態の負極の厚みがこのような範囲である場合、充放電に伴う負極の劣化がさらに抑制されるため、優れたサイクル特性が得られ易い。
(正極)
正極は、正極活物質を含んでおり、正極集電体と、正極集電体に担持された正極活物質(または正極合剤)とを含んでもよい。
正極集電体は、例えば、負極集電体について記載したような金属箔、金属多孔体などが使用できる。正極集電体の材質としては、特に制限されないが、正極電位での安定性の観点から、アルミニウム、および/またはアルミニウム合金などが好ましい。正極集電体の厚みは、負極集電体の場合について記載した範囲から適宜選択できる。
正極活物質としては、ナトリウムイオンを可逆的に吸蔵および放出する材料が挙げられる。このような材料としては、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)と遷移金属(Cr、Mn、Fe、Co、Niなどの周期表の第4周期の遷移金属など)とを含む化合物が挙げられる。このような化合物では、アルカリ金属および遷移金属の少なくともいずれか一方の一部が、Alなどの典型金属元素で置換されていてもよい。
正極活物質は、ナトリウム含有遷移金属化合物などの遷移金属化合物を含むことが好ましい。遷移金属化合物としては、溶融塩電池の正極活物質として使用できる公知のもの、例えば、硫化物(TiS、FeSなどの遷移金属硫化物;NaTiSなどのナトリウム含有遷移金属硫化物など)、酸化物[亜クロム酸ナトリウム(NaCrO)、NaNi0.5Mn0.5、鉄マンガン酸ナトリウム(Na2/3Fe1/3Mn2/3など)などのナトリウム含有遷移金属酸化物など]、ナトリウム遷移金属酸素酸塩、および/またはナトリウム含有遷移金属ハロゲン化物(NaFeFなど)などが挙げられる。これらのうち、亜クロム酸ナトリウム、鉄マンガン酸ナトリウムなどが好ましい。亜クロム酸ナトリウムのCrまたはNaの一部を他元素で置換してもよく、鉄マンガン酸ナトリウムのFe、MnまたはNaの一部を他元素で置換してもよい。
正極活物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
正極は、負極の場合に準じて、例えば、正極集電体に、正極活物質を含む正極合剤を塗布または充填し、必要に応じて、厚み方向に圧縮(または圧延)することにより形成できる。適当な段階で乾燥処理を行ってもよい。
正極合剤は、正極活物質に加え、さらに導電助剤および/またはバインダを含むことができる。バインダおよび導電助剤としては、それぞれ、負極について例示したものから適宜選択できる。正極合剤は、通常、分散媒を含むスラリー(またはペースト)の形態で使用される。分散媒としては、負極について例示したものから適宜選択できる。
導電助剤の量は、正極活物質100質量部に対して、例えば、1質量部〜25質量部の範囲から適宜選択でき、5質量部〜20質量部であってもよい。
バインダの量は、特に制限されないが、高い結着性および容量を確保し易い観点から、正極活物質100質量部に対して、例えば、0.5質量部〜15質量部程度の範囲から選択でき、好ましくは1質量部〜12質量部であってもよい。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極との間に介在させる。セパレータとしては、例えば、樹脂製の微多孔膜、および/または不織布などが使用できる。セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択できる。微多孔膜または不織布を形成する繊維に含まれる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、および/またはポリイミド樹脂などが例示できる。不織布を形成する繊維は、ガラス繊維などの無機繊維であってもよい。セパレータは、セラミックス粒子などの無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーは、セパレータにコーティングされた状態であってもよい。
セパレータの厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm〜300μm程度の範囲から選択できる。
(電解質)
電解質としては、ナトリウムイオンを含む非水電解質が使用される。非水電解質としては、例えば、非水溶媒(または有機溶媒)にナトリウムイオンとアニオンとの塩(ナトリウム塩)を溶解させた電解質(有機電解質)、およびナトリウムイオンとアニオンとを含むイオン液体(溶融塩電解質)などが用いられる。
低温特性などの観点からは、非水溶媒(有機溶媒)を含む電解質を用いることが好ましい。電解質の分解をできるだけ抑制する観点からは、イオン液体を含む電解質を用いることが好ましく、イオン液体および非水溶媒を含む電解質を用いてもよい。
電解質におけるナトリウム塩またはナトリウムイオンの濃度は、例えば、0.3〜10mol/Lの範囲から適宜選択できる。
(有機電解質)
有機電解質は、非水溶媒(有機溶媒)およびナトリウム塩に加え、イオン液体および/または添加剤などを含むことができるが、高い低温特性を確保し易い観点からは、電解質中の非水溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60質量%〜100質量%であってもよい。
ナトリウム塩を構成するアニオン(第1アニオン)の種類は特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン、ビス(オキサラト)ボレートイオン(B(C )、トリス(オキサラト)ホスフェートイオン(P(C )、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO )、およびビススルホニルアミドアニオンなどが挙げられる。ナトリウム塩は、一種を単独で用いてもよく、第1アニオンの種類が異なるナトリウム塩を二種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のビススルホニルアミドアニオンとしては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(FSA:bis(fluorosulfonyl)amide anion))、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(TFSA:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)、(フルオロスルホニル)(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン[(FSO)(CFSO)Nなど]、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン[N(SOCF 、N(SO など]などが挙げられる。これらのうち、特に、FSAおよび/またはTFSAが好ましい。
非水溶媒は、特に限定されず、ナトリウムイオン二次電池に使用される公知の非水溶媒が使用できる。非水溶媒は、イオン伝導度の観点から、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびブチレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;ならびに、γ−ブチロラクトンなどの環状炭酸エステルなどを好ましく用いることができる。非水溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(溶融塩電解質)
電解質としてイオン液体を用いる場合、電解質は、カチオンとアニオンとを含むイオン液体に加え、非水溶媒および/または添加剤などを含むことができる。ただし、電解質の分解を抑制し易い観点からは、電解質中のイオン液体の含有量は、80質量%以上(例えば、80質量%〜100質量%)であることが好ましく、90質量%〜100質量%であってもよい。
イオン液体は、ナトリウムイオン(第2カチオン)に加え、ナトリウムイオン以外のカチオン(第3カチオン)を含むことができる。第3カチオンとしては、有機カチオン、およびナトリウムイオン以外の無機カチオンなどが例示できる。イオン液体は、第3カチオンを、一種含んでもよく、二種以上組み合わせて含んでもよい。
無機カチオンとしては、例えば、ナトリウムイオン以外のアルカリ金属イオン(カリウムイオンなど)、および/またはアルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
有機カチオンとしては、脂肪族アミン、脂環族アミンまたは芳香族アミンに由来するカチオン(例えば、第4級アンモニウムカチオンなど)の他、窒素含有へテロ環を有するカチオン(つまり、環状アミンに由来するカチオン)などの窒素含有オニウムカチオン、イオウ含有オニウムカチオン、リン含有オニウムカチオンなどが例示できる。
有機カチオンのうち、特に、第4級アンモニウムカチオンの他、窒素含有ヘテロ環骨格として、ピロリジン、ピリジン、またはイミダゾール骨格を有するカチオンが好ましい。
有機カチオンの具体例としては、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA:tetraethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン;1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(MPPY:1−methyl−1−propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(MBPY:1−butyl−1−methylpyrrolidinium cation);1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI: 1−ethyl−3−methylimidazolium cation)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI:1−buthyl−3−methylimidazolium cation)などが挙げられる。
アニオンとしては、ビススルホニルアミドアニオンを用いることが好ましい。ビススルホニルアミドアニオンとしては、有機電解質について例示したものから適宜選択できる。ビススルホニルアミドアニオンのうち、特に、FSAおよび/またはTFSAが好ましい。
ナトリウムイオン二次電池は、例えば、(a)正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータとで電極群を形成する工程、ならびに(b)電極群および電解質を電池ケース内に収容する工程を経ることにより製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池を概略的に示す縦断面図である。ナトリウムイオン二次電池は、積層型の電極群、電解質(図示せず)およびこれらを収容する角型のアルミニウム製の電池ケース10を具備する。電池ケース10は、上部が開口した有底の容器本体12と、上部開口を塞ぐ蓋体13とで構成されている。
蓋体13の中央には、電池ケース10の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。安全弁16を中央にして、蓋体13の一方側寄りには、蓋体13を貫通する外部正極端子が設けられ、蓋体13の他方側寄りの位置には、蓋体13を貫通する外部負極端子14が設けられる。
積層型の電極群は、いずれも矩形のシート状である、複数の正極2と複数の負極3およびこれらの間に介在する複数のセパレータ1により構成されている。図1では、セパレータ1は、正極2を包囲するように袋状に形成されているが、セパレータの形態は特に限定されない。複数の正極2と複数の負極3は、電極群内で積層方向に交互に配置される。
各正極2の一端部には、正極リード片2aを形成してもよい。複数の正極2の正極リード片2aを束ねるとともに、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部正極端子に接続することにより、複数の正極2が並列に接続される。同様に、各負極3の一端部には、負極リード片3aを形成してもよい。複数の負極3の負極リード片3aを束ねるとともに、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部負極端子14に接続することにより、複数の負極3が並列に接続される。正極リード片2aの束と負極リード片3aの束は、互いの接触を避けるように、電極群の一端面の左右に、間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子および外部負極端子14は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット7が嵌められ、ナット7を回転することにより蓋体13に対してナット7が固定される。各端子の電池ケース10内部に収容される部分には、鍔部8が設けられており、ナット7の回転により、鍔部8が、蓋体13の内面に、O−リング状のガスケット9を介して固定される。
電極群は、積層タイプに限らず、正極と負極とをセパレータを介して捲回することにより形成したものであってもよい。負極に金属ナトリウムが析出するのを防止する観点から、正極よりも負極の寸法を大きくしてもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)負極の作製
薄膜旋回型ミキサーを用いて、負極活物質としてのスズ粉末(平均粒子径D50:120nm)およびハードカーボン(平均粒子径D50:9μm)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(平均粒子径D50:48nm)と、バインダとしてのポリアミドイミドと、NMPとを、回転速度30m/sにて、30秒間高速旋回することにより、負極合剤ペーストを調製した。このとき、スズ粉末とハードカーボンとアセチレンブラックとポリアミドイミドとの質量比は、35:47:10:8とした。負極合剤ペーストの固形分濃度は45質量%であった。スズ粉末およびハードカーボンの総量に占めるスズ粉末の割合は、42.7質量%であり、負極活物質100質量部に対するアセチレンブラックの量は、12.2質量部であった。
得られた負極合剤ペーストを、負極集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、乾燥し、圧縮して、さらに真空乾燥後、打ち抜くことで、円盤状の負極(直径12mm、厚み65μm)を作製した。
(2)ハーフセルの作製
コイン型電池の容器の内底部に(1)で得られた負極を配置し、負極上にセパレータを配置した。次いで、金属ナトリウム電極(対極)を、負極と対向するように、セパレータを介在させた状態で配置した。電池容器内に非水電解質を注液し、周縁に絶縁性ガスケットを備えた蓋体を、電池容器の開口部に嵌め込むことで、コイン型のハーフセル(電池a1)を作製した。ハーフセルを、40℃の温度で、時間率0.1Cレートの電流値で、0.005Vになるまで充電し、0.05Cレートの電流値で0.7Vまで放電した。この充電と放電のサイクルを5回繰り返すことにより予備充放電を完了させた。
なお、セパレータとしては、ポリオレフィン製の微多孔膜(厚さ50μm)を用いた。非水電解質としては、NaFSAと、MPPYFSAとを、4:6のモル比で混合したものを用いた。
(3)評価
上記(2)で得られた予備充放電後のコイン型のハーフセルまたはこのハーフセルから取り出した負極(つまり放電状態の負極)を用いて、下記の評価を行った。
(a)負極合剤層の密度、空隙率、および比Rp/v、ならびに負極の理論容量
放電状態の負極の直径と負極合剤層の厚みを測定し、これらを用いて負極合剤層の見かけの体積(cm)を求めた。そして、負極合剤層の質量(g)を見かけの体積で除することにより、放電状態における負極合剤層の密度(見かけ密度)を求めたところ、1.50g/cmであった。
負極合剤層の構成成分の比重や密度および質量比から、放電状態における負極合剤層の真密度を求めた。真密度と見かけ密度とから既述の式を用いて、放電状態における負極合剤層の空隙率を求めたところ、32体積%であった。
満充電状態における負極合剤層の空隙率は、放電状態における空隙率の場合に準じて既述のようにして求めた。ただし、見かけ密度は放電状態と同じであるものとし、真密度は負極におけるSnの全てがNa15Sn合金に変換されているものとして、Na15Sn合金の密度2.4g/cmを用いて計算した。
負極合剤層の構成成分の比重や密度および質量比から、放電状態の負極合剤層に含まれるスズ粉末の総体積を求めた。負極合剤層の真密度と見かけ密度から負極合剤層における空隙の体積を求めた。スズ粉末の総体積を負極合剤層の空隙の体積で除することにより、比Rp/vを求めたところ、0.22であった。
スズの理論容量を500mAh/g、ハードカーボンの理論容量を250mAh/gとして、負極中のスズ粉末およびハードカーボンの質量比から、負極の理論容量を求めた。その結果、負極の理論容量は、357mAh/gであった。
(b)凝集粒子の個数および金属粒子の平均粒子径
放電状態の負極の負極合剤層部分の厚み方向の断面のSEM画像において、面積が2500μmの領域を任意に選択し、この領域における粒子径が10μm以上の凝集粒子の個数を数えた。合計10箇所の領域について同様の作業を行い、平均値を算出した。
上記の断面のSEM画像において、任意に選択した50個の金属粒子の粒子径を計測し、平均化することにより平均粒子径を求めた。
(c)負極の厚み比
予備充放電後のハーフセルを、40℃の温度で、時間率0.05Cレートの電流値で0.005Vになるまで充電することにより、ナトリウムイオンを負極活物質中に吸蔵させた。この状態(初回充電時)のハーフセルの厚み方向の断面のSEM写真を撮影し、負極(つまり、満充電状態の負極)の厚みを計測した。この厚みを、予備充放電後(つまり放電状態)の負極の厚みで除することにより、負極の厚み比(つまり、放電状態の負極の厚みに対する満充電状態の負極の厚みの比)を求めた。
(d)初回容量
予備充放電後のハーフセルを、40℃の温度で、時間率0.1Cレートの電流値で、0.005Vになるまで充電を行い、0.05Cレートの電流値で0.7Vまでの放電を行い、このとき(初回放電時)の放電容量を測定した。放電容量は、負極活物質の単位質量当たりのハーフセルの容量(mAh/g)および負極の見かけ体積当たりのハーフセルの容量(Ah/L)で求めた。
(e)サイクル特性
上記(d)の充放電を50回繰り返した際の放電容量を、初回放電時の放電容量の場合と同様にして求めた。そして、初回充電時の充電容量を100%としたときの比率(容量維持率)(%)を算出し、サイクル特性の指標とした。
(4)ナトリウムイオン二次電池の作製
NaCrO(正極活物質)100質量部、アセチレンブラック(導電助剤)11.8質量部およびポリフッ化ビニリデン(バインダ)5.9質量部を、NMPとともに混合して、正極合剤ペーストを調製した。得られた正極合剤ペーストを、正極集電体としてのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥後に圧縮し、150℃で真空乾燥後に打ち抜くことで、円盤状の正極(直径12mm、厚み85μm)を作製した。
得られた正極を金属ナトリウム極に代えて用いる以外は、上記(2)と同様にして、コイン型のナトリウムイオン二次電池を作製した。ナトリウムイオン二次電池を40℃の温度で、時間率0.1Cレートの電流値で、電圧が3.4Vになるまで定電流充電し、3.4Vで定電圧充電を行い、時間率0.05Cレートの電流値で、電圧が1.8Vになるまで放電を行った。この充放電サイクルを5回繰り返して予備充放電を行い、さらに充放電サイクルを複数回行い、ナトリウムイオン二次電池が繰り返し充放電できることを確認した。
実施例2
負極合剤層の密度が1.20g/cmとなるように、圧縮の程度を調整した以外は、実施例1と同様にして、負極およびハーフセルを作製し、評価を行った。
実施例3
スズ粉末とハードカーボンとアセチレンブラックとポリアミドイミドとの質量比を、15:67:10:8に変更するとともに、負極合剤層の密度が1.25g/cmとなるように、圧縮の程度を調整した以外は、実施例1と同様にして、負極およびハーフセルを作製し、評価を行った。
実施例4
スズ粉末とハードカーボンとアセチレンブラックとポリアミドイミドとの質量比を、35:32:25:8に変更するとともに、負極合剤層の密度が1.30g/cmとなるように、圧縮の程度を調整した以外は、実施例1と同様にして、負極およびハーフセルを作製し、評価を行った。
実施例5
負極合剤ペーストの固形分濃度を70質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極およびハーフセルを作製し、評価を行った。
比較例1
スズ粉末とハードカーボンとアセチレンブラックとポリアミドイミドとの質量比を、55:27:10:8に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極およびハーフセルを作製し、評価を行った。
比較例2
負極合剤層の密度が1.65g/cmとなるように、圧縮の程度を調整した以外は、比較例1と同様にして、負極およびハーフセルを作製し、評価を行った。
比較例3
スズ粉末とハードカーボンとアセチレンブラックとポリアミドイミドとの質量比を、35:54:3:8に変更した以外は、実施例1と同様にして、負極およびハーフセルを作製し、評価を行った。
比較例4
負極合剤ペーストの固形分濃度を70質量%に変更した以外は、比較例3と同様にして、負極およびハーフセルを作製し、評価を行った。
実施例および比較例の結果を表1に示す。実施例1〜5はA1〜A5であり、比較例1〜4はB1〜B4である。なお、表1中では、スズ粉末をSn、ハードカーボンをHCで表した。Sn、HC、および導電助剤の量は、原料の仕込み量である。負極合剤層の密度とは、放電状態の負極における負極合剤層の見かけ密度である。空隙率は負極合剤層の空隙率である。凝集粒子の個数とは、放電状態の負極合剤において所定面積の領域に含まれる粒子径が10μm以上の凝集粒子の平均個数であり、Sn平均粒子径とは、放電状態の負極合剤層中の金属粒子の平均粒子径である。
Figure 0006459795
表1に示されるように、実施例では、充放電を繰り返した後も80%〜99%と高い容量維持率が得られている。このことと、負極の厚み比が小さくなっていることから、実施例では、負極の劣化が抑制されていることが分かる。それに対し、比較例1〜4では、実施例に比べて、容量維持率が低く、サイクル特性に劣っている。比較例1、2および4では、負極の厚み比が大きいことから、充放電時の負極の膨張収縮により負極の劣化が顕著であったことが分かる。比較例3では、充放電時の膨張収縮により負極内の導電パスが減少し、抵抗が増加したことで、サイクル特性が低下したと考えられる。実施例5および比較例4の結果から、粒子径が10μm以上の凝集粒子が多くなると、対応する実施例1および比較例3と比べてサイクル特性が低下する傾向が見られる。よって、より高いサイクル特性を得る観点からは、粒子径が10μm以上の凝集粒子の個数は少ない方が好ましい。
なお、満充電状態の負極合剤層の空隙率は、負極合剤層の体積を放電状態の負極合剤層の体積と同じであると仮定して算出した見かけ密度を元に計算している。そのため、B1およびB2でのようにマイナスの数値となる場合がある。B1およびB2では、充電により負極合剤層における空隙を理想的に埋めることができても、負極合剤層の厚みが増加するということを示している。実際には、空隙が理想的に埋まることはないため、満充電状態の空隙率がプラスの数値となる場合でも、充電時に負極合剤層の厚みは増加する。実施例では、このときの厚みの増加が比較例に比べて大きく抑制されている。
本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池は、サイクル特性に優れており、高容量を得ることもできる。そのため、ナトリウムイオン二次電池は、例えば、家庭用または工業用の大型電力貯蔵装置や、電気自動車やハイブリッド自動車の電源として有用である。
1:セパレータ
2:正極
2a:正極リード片
3:負極
3a:負極リード片
7:ナット
8:鍔部
9:ガスケット
10:電池ケース
12:容器本体
13:蓋体
14:外部負極端子
16:安全弁

Claims (9)

  1. 正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する非水電解質とを含み、
    前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体に担持された負極合剤層とを含み、
    前記負極合剤層は、負極活物質と、導電助剤と、バインダとを含み、
    前記負極活物質は、スズを含む金属粒子と、ハードカーボンとを含み、
    前記負極合剤層は、空隙を有しており、
    放電状態において、前記金属粒子の体積の前記空隙の体積に対する比Rp/vは、0.05≦Rp/v<0.24であり、前記金属粒子と前記ハードカーボンとの総量に占める前記金属粒子の割合は、15質量%〜60質量%である、ナトリウムイオン二次電池。
  2. 前記負極合剤層の空隙率は、放電状態において、25体積%〜55体積%である、請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池。
  3. 前記負極合剤層の空隙率は、満充電状態において、0体積%〜25体積%である、請求項1または請求項2に記載のナトリウムイオン二次電池。
  4. 前記比Rp/vは、0.10≦Rp/v<0.24である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池。
  5. 前記金属粒子は、スズを含む金属の一次粒子が凝集した凝集粒子を含み、
    前記負極合剤層は、放電状態で、厚み方向の断面の任意に選択された面積が2500μmの領域において、前記凝集粒子のうち粒子径が10μm以上の凝集粒子の個数が2個以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池。
  6. 前記導電助剤の量は、前記負極活物質100質量部に対して5質量部〜45質量部である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池。
  7. 前記金属粒子の平均粒子径は、放電状態において、100nm〜500nmである、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池。
  8. 放電状態における前記負極の厚みがTのとき、満充電状態の前記負極の厚みは1.25T以下である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池。
  9. 前記導電助剤は、カーボンブラックおよびカーボンナノファイバからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のナトリウムイオン二次電池。
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