JP2015222628A - ナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法およびナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法 - Google Patents
ナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法およびナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】正極合剤スラリーのゲル化を抑制できる、高容量のナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法を提供する。【解決手段】ナトリウム含有遷移金属酸化物は、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表され、元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、元素Meを含む化合物とを、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、第1工程で得られる混合物を焼成して、ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む製造方法により得られる。【選択図】図1
Description
本発明は、ナトリウムイオン二次電池の正極活物質として有用なナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法、およびナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法に関する。
近年、電気エネルギーを蓄えることができる高エネルギー密度の電池として、非水電解質二次電池の需要が拡大している。非水電解質二次電池の中では、軽量かつ高い起電力を有する点で、リチウムイオン二次電池が有望である。しかし、リチウムイオン二次電池の市場の拡大に伴い、リチウム資源の価格が上昇している。
そこで、より安価で安定なナトリウム化合物を正極活物質として用いるナトリウムイオン二次電池が注目を集めつつある。なかでも、亜クロム酸ナトリウム(NaCrO2)を正極活物質として用い、ハードカーボンを負極活物質として用いるナトリウムイオン二次電池は、平均3V程度の電圧を有し、熱安定性が高く、今後の開発の進展が期待されている(特許文献1)。また、作動電圧を高める観点から、NaNi0.5Ti0.5O2などのNiを含むナトリウム含有遷移金属酸化物をナトリウム二次電池の正極活物質として用いることが提案されている(特許文献2)。
亜クロム酸ナトリウムは、サイクル特性およびレート特性に優れるものの、容量(またはエネルギー密度)が比較的小さいため、これを正極活物質として用いる限り、ナトリウムイオン二次電池の高容量化には限界がある。一方、特許文献2で提案されているようなナトリウム含有遷移金属酸化物を用いる場合、作動電圧を高めることで、高エネルギー密度化が期待できる。
Cr、Niなどの遷移金属元素を含むナトリウム含有遷移金属酸化物は、ナトリウム含有化合物と遷移金属元素を含む化合物との混合物を焼成することにより得られる。このようにして得られるナトリウム含有遷移金属酸化物を、導電助剤およびバインダなどとともに、分散媒と混合することで、正極合剤スラリーが調製される。そして、正極合剤スラリーを、正極集電体に塗布(または充填)することにより正極が作製される。亜クロム酸ナトリウムの場合、上記のような手順で焼成して得られるものを用いて正極合剤スラリーを調製しても、ゲル化はほとんど問題にならない。ところが、上記のような手順で作製したNiおよび/またはFeを含むナトリウム含有遷移金属酸化物を用いて正極合剤スラリーを調製すると、ゲル化が著しくなる場合がある。また、ゲル化がそれほど著しくない場合でも、正極および電池の容量(またはエネルギー密度)が大きく低下する場合もある。
本発明の目的は、高容量(または高エネルギー密度)が得られ、かつ正極合剤スラリーのゲル化を抑制できるナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法、およびナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法を提供することである。
本発明の一局面は、層状P2型または層状O3型の結晶構造を有するナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法であって、
前記ナトリウム含有遷移金属酸化物は、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表され、
前記元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、前記元素Meを含む化合物とを、前記元素Meに対するNaの原子比が前記xqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られる混合物を焼成して、前記ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む、ナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法に関する。
前記ナトリウム含有遷移金属酸化物は、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表され、
前記元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、前記元素Meを含む化合物とを、前記元素Meに対するNaの原子比が前記xqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られる混合物を焼成して、前記ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む、ナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法に関する。
本発明の他の一局面は、層状P2型または層状O3型の結晶構造を有し、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表されるナトリウム含有遷移金属酸化物を製造する工程Aと、
前記ナトリウム含有遷移金属酸化物と、導電助剤と、バインダと、分散媒とを混合して、正極合剤スラリーを調製する工程Bと、
前記正極合剤スラリーを正極集電体に塗布または充填し、乾燥して、厚み方向に圧縮することにより正極を作製する工程Cと、を含むナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法であって、
前記工程Aは、
前記元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、前記元素Meを含む化合物とを、前記元素Meに対するNaの原子比が前記xqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られる混合物を焼成して、前記ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む、ナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法に関する。
前記ナトリウム含有遷移金属酸化物と、導電助剤と、バインダと、分散媒とを混合して、正極合剤スラリーを調製する工程Bと、
前記正極合剤スラリーを正極集電体に塗布または充填し、乾燥して、厚み方向に圧縮することにより正極を作製する工程Cと、を含むナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法であって、
前記工程Aは、
前記元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、前記元素Meを含む化合物とを、前記元素Meに対するNaの原子比が前記xqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られる混合物を焼成して、前記ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む、ナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法に関する。
本発明によれば、正極合剤スラリーのゲル化を抑制でき、かつ高容量(または高エネルギー密度)のナトリウム含有遷移金属酸化物を製造することができる。また、ナトリウムイオン二次電池用正極を製造する際の正極合剤スラリーのゲル化を抑制することができる。
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係るナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法は、(1)層状P2型または層状O3型の結晶構造を有するナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法である。ナトリウム含有遷移金属酸化物は、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表される。上記の製造方法は、元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、元素Meを含む化合物とを、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、第1工程で得られる混合物を焼成して、ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む。
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係るナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法は、(1)層状P2型または層状O3型の結晶構造を有するナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法である。ナトリウム含有遷移金属酸化物は、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表される。上記の製造方法は、元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、元素Meを含む化合物とを、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、第1工程で得られる混合物を焼成して、ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む。
ナトリウム含有遷移金属酸化物は、ナトリウム含有化合物と、遷移金属元素Meを含む遷移金属化合物との混合物を焼成することにより製造される。このとき、元素Meに対するNaの原子比がナトリウム含有遷移金属酸化物における化学量論比となるように、原料である、ナトリウム含有化合物と遷移金属化合物とを混合することが一般的である。ナトリウム含有遷移金属酸化物が亜クロム酸ナトリウムである場合、このような一般的な製造方法で製造しても、導電助剤、バインダ、および分散媒などとともに混合して正極合剤スラリーを調製する際に、ゲル化がほとんど問題にならない。しかし、ナトリウム含有遷移金属酸化物がNiおよび/またはFeを含む場合、元素Meに対するNaの原子比が化学量論比となるように原料を混合すると、正極合剤スラリーを調製する際に、ゲル化が極めて顕著になる。正極合剤スラリーがゲル化すると、正極を作製する際に、正極集電体に均一に塗布(または充填)することができず、正極集電体に塗布(または充填)すること自体が困難な場合もある。
本発明の上記実施形態によれば、ナトリウム含有遷移金属酸化物の生成に先立って、原料である、ナトリウム含有化合物と、遷移金属元素Me(少なくともNiおよび/またはFeを含む)を含む化合物とを混合する際の元素Meに対するNaの原子比をコントロールする。具体的には、元素Meに対するNaの原子比が、ナトリウム含有遷移金属酸化物における元素Meに対するNaの化学量論比xqよりも3〜5原子%(つまり、0.03〜0.05)少なくなるような割合で、ナトリウム含有化合物と、元素Meを含む化合物とを混合する。このような割合で原料を混合し、混合物を焼成することにより、正極合剤スラリーを調製する際のゲル化を顕著に抑制することができる。
Niおよび/またはFeを含むナトリウム含有遷移金属酸化物は、予想外に、強アルカリ成分が混入した生成物となり易いと考えられる。本発明の上記実施形態において、原料を混合する際の元素Meに対するNaの原子比を、xqよりも3〜5原子%少なくすることで、ゲル化が抑制される理由は定かではない。しかし、上記実施形態では、生成物への強アルカリ成分の混入が抑制されることで、正極合剤スラリーのゲル化が抑制されるものと考えられる。
また、上記実施形態によれば、原料を混合する際の元素Meに対するNaの原子比が従来に比べて少ないにも拘わらず、生成物への不純物の混入を抑制することができる。よって、容量(またはエネルギー密度)の低下を抑制することができ、つまり、高容量(または高エネルギー密度)を確保することができる。上記実施形態で製造されるナトリウム含有遷移金属酸化物は、ナトリウムイオンを可逆的に吸蔵および放出(または、挿入および脱離)することができる。そのため、ナトリウム溶融塩電池などのナトリウムイオン二次電池の正極活物質として有用である。
式(1)で表されるナトリウム含有遷移金属酸化物において、元素Meに対するNaの化学量論比xqとは、結晶構造の種類に応じて決定される値である。ナトリウム含有遷移金属酸化物が、層状P2型結晶構造を有する場合、xqは2/3である。また、ナトリウム含有遷移金属酸化物が、層状O3型結晶構造を有する場合、xqは1である。
なお、溶融塩電池とは、溶融塩電解質を用いる電池である。溶融塩電解質とは、イオン液体を主体とする電解質である。イオン液体は、溶融状態の塩(溶融塩)と同義であり、アニオンとカチオンとで構成される液状イオン性物質である。ナトリウム溶融塩電池とは、ナトリウムイオン伝導性を示す溶融塩を電解質として含み、ナトリウムイオンが、充放電反応に関与する電荷のキャリアとなるものを言う。
(2)ナトリウム含有遷移金属酸化物は、層状P2型結晶構造を有し、元素MeがNi、Ti、およびMnの組み合わせであり、xqが2/3である、第1酸化物であるか、または、層状O3型結晶構造を有し、元素MeがFeおよびCoの組み合わせであり、xqが1である、第2酸化物であることが好ましい。また、(3)第1酸化物において、NiとTiとMnとの化学量論比は、1/3:1/6:1/2であり、第2酸化物において、FeとCoとの化学量論比は、1/2:1/2であることが好ましい。これらのナトリウム含有遷移金属酸化物は、従来の方法で製造し、正極合剤スラリーを調製しても、特に、ゲル化が顕著になり易い。このようなナトリウム含有遷移金属酸化物であっても、本発明の実施形態によれば、上記の第1工程を経ることにより、正極合剤スラリーを調製する際のゲル化を大幅に抑制することができる。
(4)ナトリウム含有化合物は、炭酸ナトリウムであり、元素Meを含む化合物は、酸化物、水酸化物、および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。詳細は定かではないが、炭酸ナトリウムと、元素MeとしてNiおよび/またはFeを少なくとも含む上記の化合物とを、原料として用いると、正極合剤スラリーのゲル化を招き易くなる。本発明の実施形態では、このような化合物を用いる場合であっても、上記の第1工程を経ることにより、正極合剤スラリーを調製する際のゲル化を抑制する効果を高めることができる。
(5)焼成の温度は、850〜1100℃であってもよい。このような温度で焼成することにより、ナトリウム含有遷移金属酸化物において、不純物の混入を低減し易くなる。
本発明の他の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法は、(6)層状P2型または層状O3型の結晶構造を有し、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表されるナトリウム含有遷移金属酸化物を製造する工程Aと、ナトリウム含有遷移金属酸化物と、導電助剤と、バインダと、分散媒とを混合して、正極合剤スラリーを調製する工程Bと、正極合剤スラリーを正極集電体に塗布または充填し、乾燥して、厚み方向に圧縮することにより正極を作製する工程Cと、を含む。そして、工程Aは、元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、元素Meを含む化合物とを、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、第1工程で得られる混合物を焼成して、ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む。
ナトリウム含有遷移金属酸化物を第1工程および第2工程を経て製造することで、上述のように、正極合剤スラリーを調製する際のゲル化が顕著に抑制される。正極合剤スラリーのゲル化が抑制されることで、正極合剤スラリーを正極集電体に均一に塗布(または充填)することができる。そのため、正極集電体に正極合剤が均一に付着した(または正極合剤層が均一に形成された)正極を得ることができ、正極活物質の特性を十分に活用することができるため、優れた充放電特性を得ることができる。また、ナトリウム含有遷移金属酸化物への不純物の混入が抑制されるため、電池を高容量化(または高エネルギー密度化)できる。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法、および正極の製造方法の具体例を以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施形態に係るナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法、および正極の製造方法の具体例を以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(ナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法)
本発明の一実施形態に係るナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法は、ナトリウム含有化合物(以下、Na化合物とも言う)と、元素Meを含む化合物(以下、Me化合物とも言う)とを、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、第1工程で得られる混合物を焼成して、ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む。
本発明の一実施形態に係るナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法は、ナトリウム含有化合物(以下、Na化合物とも言う)と、元素Meを含む化合物(以下、Me化合物とも言う)とを、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、第1工程で得られる混合物を焼成して、ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む。
(ナトリウム含有遷移金属酸化物)
生成物であるナトリウム含有遷移金属酸化物は、層状P2型または層状O3型の結晶構造を有し、式(1):NaxMeO2で表される。元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む。式(1)において、元素Meに対するNaの比率はxであるが、Naと元素Meとの比率には多少の幅があってもよい。例えば、式(1)で表されるナトリウム含有遷移金属酸化物には、式(1a):Nax-αMe1+αO2(αは、−0.03≦α≦0.03を充足する)で表されるものも含まれるものとする。
生成物であるナトリウム含有遷移金属酸化物は、層状P2型または層状O3型の結晶構造を有し、式(1):NaxMeO2で表される。元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む。式(1)において、元素Meに対するNaの比率はxであるが、Naと元素Meとの比率には多少の幅があってもよい。例えば、式(1)で表されるナトリウム含有遷移金属酸化物には、式(1a):Nax-αMe1+αO2(αは、−0.03≦α≦0.03を充足する)で表されるものも含まれるものとする。
また、式(1)(および式(1a))で表されるナトリウム含有遷移金属酸化物において、Naおよび/または元素Meの一部は、他元素(Na以外のアルカリ金属元素、上記以外の遷移金属元素、および/または典型元素など)で置換されていてもよい。なお、添加元素の比率は、Naサイトの20原子%以下(または0〜20原子%)であることが好ましい。また、元素Meの80原子%以上(例えば、80〜100原子%)を、Ni、Ti、Mn、Fe、および/またはCoで構成することが望ましい。
ナトリウム含有遷移金属化合物は、酸素配列を持つMeO2層の積層構造を含む。P2型結晶構造では、ナトリウムは、MeO2層間の三角柱サイトを占有する。O3型結晶構造では、ナトリウムは、MeO2層間の六配位八面体サイトを占有する。ナトリウム含有遷移金属酸化物は、このような積層構造を有することで、ナトリウムイオンを可逆的に吸蔵および放出することができる。そのため、ナトリウム含有遷移金属酸化物は、ナトリウムイオン二次電池などの正極活物質として利用することができる。ナトリウムイオン二次電池などの正極活物質としてナトリウム含有遷移金属酸化物を用いた場合、放電時には、MeO2層の層間にナトリウムイオンが吸蔵され、充電時には、MeO2層の層間からナトリウムイオンが放出される。
式(1)において、xは、例えば、0.97xq≦x≦1.03xqであり、0.98xq≦x≦1.02xqであってもよい。このようなx値を有するナトリウム含有遷移金属酸化物は、ナトリウムイオンを可逆的に安定に吸蔵および放出することができるため、正極活物質として使用するのに適している。なお、ナトリウムイオン二次電池において、ナトリウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用いる場合、x(およびx−α)は、充放電により変化する値である。
元素Meとしては、Niと、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせが例示でき、中でも、Ni、TiおよびMnの組み合わせが好ましい。元素Meがこのような組み合わせである場合、ナトリウム含有遷移金属酸化物の結晶構造は、好ましくは層状P2型である(つまり、xqは2/3である)。元素Meが、Ni、Ti、およびMnの組み合わせであり、層状P2型結晶構造を有するナトリウム含有遷移金属酸化物を第1酸化物と称する場合がある。第1酸化物において、NiとTiとMnとの化学量論比は、1/3:1/6:1/2であることが好ましい。
また、元素Meとしては、Feと、Ti、Mn、およびCoからなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせが例示でき、中でも、FeとCoとの組み合わせが好ましい。元素Meがこのような組み合わせである場合、ナトリウム含有遷移金属酸化物の結晶構造は、好ましくは層状O3型である(つまり、xqは1である)。元素Meが、FeおよびCoの組み合わせであり、層状O3型結晶構造を有するナトリウム含有遷移金属酸化物を、第2酸化物と称する場合がある。第2酸化物において、FeとCoとの化学量論比は、1/2:1/2であることが好ましい。
(第1工程)
第1工程では、ナトリウム含有遷移金属酸化物の原料(具体的には、Na化合物とMe化合物と)を混合する。ここで、Na化合物と、Me化合物との混合比を、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも3〜5原子%(つまり、0.03〜0.05)少なくなるような割合とすることが重要である。このような割合とすることで、Me化合物が、元素Meとして、Niおよび/またはFeを必須とするにもかかわらず、上述のように正極合剤スラリーを調製する際のゲル化を抑制することができる。このように、原料を混合する際には、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも少ないが、本発明の実施形態に係る製造方法によれば、不純物の混入を抑制することもできるため、得られるナトリウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用いた場合、容量の低下を抑制できる。
第1工程では、ナトリウム含有遷移金属酸化物の原料(具体的には、Na化合物とMe化合物と)を混合する。ここで、Na化合物と、Me化合物との混合比を、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも3〜5原子%(つまり、0.03〜0.05)少なくなるような割合とすることが重要である。このような割合とすることで、Me化合物が、元素Meとして、Niおよび/またはFeを必須とするにもかかわらず、上述のように正極合剤スラリーを調製する際のゲル化を抑制することができる。このように、原料を混合する際には、元素Meに対するNaの原子比がxqよりも少ないが、本発明の実施形態に係る製造方法によれば、不純物の混入を抑制することもできるため、得られるナトリウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用いた場合、容量の低下を抑制できる。
Na化合物としては、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムなどが例示できる。Na化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのNa化合物のうち、炭酸ナトリウムが好ましい。
Me化合物は、元素Meを含む限り特に制限されず、一種の元素Meを含む化合物であってもよく、複数の元素Meを含む化合物であってもよい。生成物が所望の組成となるように、複数のMe化合物を用いてもよい。Me化合物としては、例えば、酸化物、水酸化物、塩(炭酸塩などの無機酸塩など)などが挙げられる。酸化物には、複数の元素Meを含む複合酸化物が含まれ、水酸化物には、複数の元素Meを含む複合水酸化物が含まれる。また、塩には、複数の元素Meを含む複塩も含まれる。Me化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。Me化合物としては、酸化物、水酸化物、および/または炭酸塩などが好ましい。
例えば、第1酸化物の原料であるMe化合物としては、Niを含む化合物(例えば、水酸化物)、Tiを含む化合物(例えば、酸化物)、およびMnを含む化合物(例えば、炭酸塩)を用いてもよい。また、Me化合物として、Ni、Ti、およびMnのうち、二種を含む化合物(例えば、複合酸化物または複合水酸化物)と、残りの一種を含む化合物とを用いてもよく、Ni、TiおよびMnを含む化合物(例えば、複合酸化物または複合水酸化物)を用いてもよい。
また、第2酸化物の原料であるMe化合物としては、Feを含む化合物(例えば、酸化物)およびCoを含む化合物(例えば、水酸化物)を用いてもよく、FeおよびCoを含む化合物(例えば、複合酸化物または複合水酸化物)を用いてもよい。
また、第2酸化物の原料であるMe化合物としては、Feを含む化合物(例えば、酸化物)およびCoを含む化合物(例えば、水酸化物)を用いてもよく、FeおよびCoを含む化合物(例えば、複合酸化物または複合水酸化物)を用いてもよい。
原料を混合する際の元素Meに対するNaの原子比とxqとの差は、3原子%以上(つまり、0.03以上)であり、3.5原子%以上(つまり、0.035以上)または4原子%以上(つまり、0.04以上)であってもよい。元素Meに対するNaの原子比とxqとの差は、5原子%以下(つまり、0.05以下)である。元素Meに対するNaの原子比とxqとの差が3原子%未満である場合、正極合剤スラリーを調製する際に、ゲル化が著しくなり、集電体に塗布することが困難となる場合がある。元素Meに対するNaの原子比とxqとの差が5原子%を超えると、不純物の混入が顕著になり易い。不純物が混入すると、正極活物質としての性能(容量など)が損なわれる。
元素Meは、二種以上の遷移金属元素を含むが、原料を混合する際の各元素の原子比は、できるだけ化学量論比に近いことが好ましい。複数の元素Meの合計を1とするとき、各遷移金属元素の原子比と、各遷移金属元素の化学量論比との差Δrは、0.05以下であることが好ましく、0.03以下または0.02以下であってもよい。
例えば、ナトリウム含有遷移金属酸化物が第1酸化物である場合、原料を混合する際のNiの比率は、1/3(1−Δr)〜1/3(1+Δr)の範囲であり、Tiの比率は、1/6(1−Δr)〜1/6(1+Δr)の範囲であり、Mnの比率は、1/2(1−Δr)〜1/2(1+Δr)の範囲であってもよい(ただし、Ni、TiおよびMnの比率の合計を1とする)。ナトリウム含有遷移金属酸化物が第2酸化物である場合、原料を混合する際のFeの比率は、1/2(1−Δr)〜1/2(1+Δr)の範囲であり、Coの比率は、1/2(1−Δr)〜1/2(1+Δr)の範囲であってもよい(ただし、FeおよびCoの比率の合計を1とする)。
Na化合物と、Me化合物との混合は、乾式混合により行ってもよく、溶媒(水、および/または有機溶媒など)などを用いる湿式混合により行ってもよい。
第1工程は、空気中で行ってもよく、必要に応じて、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気下で行ってもよい。
第1工程は、空気中で行ってもよく、必要に応じて、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気下で行ってもよい。
(第2工程)
第2工程では、第1工程で得られる混合物を焼成することにより、目的とするナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる。
焼成は、空気中または酸素雰囲気下で行ってもよく、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気下で行ってもよい。焼成は、大気圧下で行ってもよく、必要に応じて、減圧下または加圧下で行ってもよい。第2工程の圧力は、例えば、0.08〜1MPaまたは0.09〜0.5MPaであってもよい。
第2工程では、第1工程で得られる混合物を焼成することにより、目的とするナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる。
焼成は、空気中または酸素雰囲気下で行ってもよく、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガスなど)雰囲気下で行ってもよい。焼成は、大気圧下で行ってもよく、必要に応じて、減圧下または加圧下で行ってもよい。第2工程の圧力は、例えば、0.08〜1MPaまたは0.09〜0.5MPaであってもよい。
焼成の温度は、例えば、850〜1000℃であり、900〜1050℃であってもよい。加熱時間は3時間〜20時間が好ましく、6時間〜16時間がより好ましい。
第2工程で得られるナトリウム含有遷移金属酸化物は、ナトリウムイオン二次電池における正極活物質として使用でき、ナトリウムイオン二次電池用正極を製造するのに有用である。
(ナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法)
以下に、ナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法について、より詳細に説明する。
ナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法は、上記のナトリウム含有遷移金属酸化物を製造する工程Aと、ナトリウム含有遷移金属酸化物と、導電助剤と、バインダと、分散媒とを混合して、正極合剤スラリーを調製する工程Bと、正極合剤スラリーを正極集電体に塗布または充填し、乾燥して、厚み方向に圧縮することにより正極を作製する工程Cと、を含む。工程Aは、上記の第1工程および第2工程を含む。第1工程および第2工程については、既述の通りである。なお、工程Aで得られるナトリウム含有遷移金属酸化物は、そのまま工程Bに使用してもよく、適宜精製処理を行った後、工程Bに供してもよい。
以下に、ナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法について、より詳細に説明する。
ナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法は、上記のナトリウム含有遷移金属酸化物を製造する工程Aと、ナトリウム含有遷移金属酸化物と、導電助剤と、バインダと、分散媒とを混合して、正極合剤スラリーを調製する工程Bと、正極合剤スラリーを正極集電体に塗布または充填し、乾燥して、厚み方向に圧縮することにより正極を作製する工程Cと、を含む。工程Aは、上記の第1工程および第2工程を含む。第1工程および第2工程については、既述の通りである。なお、工程Aで得られるナトリウム含有遷移金属酸化物は、そのまま工程Bに使用してもよく、適宜精製処理を行った後、工程Bに供してもよい。
(工程B)
工程Bでは、工程Aで得られたナトリウム含有遷移金属酸化物(式(1)のナトリウム含有遷移金属酸化物)を用いて、正極合剤スラリーを調製する。ナトリウム含有遷移金属酸化物、導電助剤、バインダおよび分散媒の混合順序は特に制限されない。全ての成分を一度に混合してもよく、一部の成分を予め混合し、得られる混合物に残りの成分を添加、混合してもよい。本発明の実施形態によれば、ナトリウム含有遷移金属酸化物を工程Aにより製造するため、Na化合物の残存量を低減することができ、工程Bで、正極合剤スラリーがゲル化することを抑制できる。混合は、公知の方法により(例えば、ミキサーなどを用いて)、行うことができる。
工程Bでは、工程Aで得られたナトリウム含有遷移金属酸化物(式(1)のナトリウム含有遷移金属酸化物)を用いて、正極合剤スラリーを調製する。ナトリウム含有遷移金属酸化物、導電助剤、バインダおよび分散媒の混合順序は特に制限されない。全ての成分を一度に混合してもよく、一部の成分を予め混合し、得られる混合物に残りの成分を添加、混合してもよい。本発明の実施形態によれば、ナトリウム含有遷移金属酸化物を工程Aにより製造するため、Na化合物の残存量を低減することができ、工程Bで、正極合剤スラリーがゲル化することを抑制できる。混合は、公知の方法により(例えば、ミキサーなどを用いて)、行うことができる。
式(1)のナトリウム含有遷移金属酸化物は、正極活物質として使用される。正極活物質は、式(1)のナトリウム含有遷移金属酸化物以外の活物質(ナトリウムイオンを可逆的に吸蔵および放出する材料)を含んでもよいが、正極活物質に占める式(1)のナトリウム含有遷移金属酸化物の割合は、例えば、80〜100質量%または90〜100質量%であることが好ましい。
導電助剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維(気相法炭素繊維など)、および/またはカーボンナノチューブなどが挙げられる。導電性を高める観点から、導電助剤は、正極活物質粒子の表面に被覆されていてもよい。なお、導電助剤による被覆は、導電助剤を、正極活物質粒子の表面にまぶし付けることにより行ってもよく、メカノケミカル処理(メカノフュージョン処理も含む)などにより行ってもよい。
導電助剤の量は、正極活物質(またはナトリウム含有遷移金属酸化物)100質量部当たり、例えば、1〜25質量部の範囲から適宜選択でき、5〜20質量部であってもよい。
導電助剤の量は、正極活物質(またはナトリウム含有遷移金属酸化物)100質量部当たり、例えば、1〜25質量部の範囲から適宜選択でき、5〜20質量部であってもよい。
バインダとしては、特に制限されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ポリオレフィン樹脂;スチレンブタジエンゴムなどのゴム状重合体;ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミドなど);ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド樹脂;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;および/またはセルロースエーテル(カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩などのカルボキシアルキルセルロースおよびその塩など)などが挙げられる。
ポリフッ化ビニリデンなどを含むバインダを用いる場合、ナトリウム含有遷移金属酸化物中のナトリウム化合物(原料)の残存量が多いと、バインダが変質して、正極合剤スラリーのゲル化が顕著になり易い。本発明の実施形態によれば、このようなゲル化しやすいバインダを用いる場合であっても、ゲル化を抑制することができる。
バインダの量は、特に制限されないが、高い結着性および容量を確保し易い観点から、正極活物質(またはナトリウム含有遷移金属酸化物)100質量部当たり、例えば、0.5〜15質量部程度の範囲から選択でき、好ましくは1〜12質量部であってもよい。
分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−methyl−2−pyrrolidone)などの有機溶媒、および/または水などが用いられる。
(工程C)
工程Cでは、まず、工程Bで得られた正極合剤スラリーを正極集電体に塗布または充填する。正極合剤スラリーの塗布または充填は、公知の塗布法(例えば、各種コーターを用いる方法)などにより行うことができる。
工程Cでは、まず、工程Bで得られた正極合剤スラリーを正極集電体に塗布または充填する。正極合剤スラリーの塗布または充填は、公知の塗布法(例えば、各種コーターを用いる方法)などにより行うことができる。
正極集電体は、金属箔でもよく、金属多孔体(金属繊維の不織布、および/または金属多孔体シートなど)であってもよい。金属多孔体としては、三次元網目状の骨格(特に、中空の骨格)を有する金属多孔体も使用できる。正極集電体の材質としては、特に限定されないが、正極電位での安定性の観点から、アルミニウム、および/またはアルミニウム合金などが好ましい。金属箔の厚みは、例えば10〜50μmであり、金属多孔体の厚みは、例えば100〜2000μmである。
正極集電体が金属箔である場合、正極合剤スラリーは金属箔の表面に塗布される。正極集電体が金属多孔体である場合、正極合剤スラリーは金属多孔体の表面に塗布してもよく、金属多孔体の内部に充填してもよい。正極合剤スラリーのゲル化が抑制されることで、正極合剤スラリーを正極集電体に容易に塗布または充填することができ、均一な塗膜を形成することができる。
次いで、正極合剤スラリーを塗布または充填した正極集電体を乾燥することにより、正極合剤スラリーに含まれる分散媒を除去する。乾燥は、熱風乾燥により行ってもよく、減圧下で行ってもよい。乾燥温度は、分散媒の種類に応じて適宜設定でき、例えば、80〜150℃であってもよい。
乾燥により得られる乾燥物を、さらに厚み方向(正極集電体の厚み方向)に圧縮することにより正極を得ることができる。圧縮は、例えば、一対のロール間に乾燥物を供給し、ロールで圧延することにより行ってもよい。
このようにして得られる正極は、式(1)のナトリウム含有遷移金属酸化物を含むため、ナトリウムイオンを可逆的に吸蔵および放出することができる。よって、ナトリウムイオン二次電池の正極として利用することができる。
このようにして得られる正極は、式(1)のナトリウム含有遷移金属酸化物を含むため、ナトリウムイオンを可逆的に吸蔵および放出することができる。よって、ナトリウムイオン二次電池の正極として利用することができる。
(ナトリウムイオン二次電池)
本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる正極は、負極、セパレータおよびナトリウムイオンを含む電解質などと組み合わせて、ナトリウムイオン二次電池を構成することができる。
以下、正極以外のナトリウムイオン二次電池の構成要素についてより詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる正極は、負極、セパレータおよびナトリウムイオンを含む電解質などと組み合わせて、ナトリウムイオン二次電池を構成することができる。
以下、正極以外のナトリウムイオン二次電池の構成要素についてより詳細に説明する。
(負極)
負極は、負極活物質を含む。負極は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極活物質(または負極合剤)とを含んでもよい。
負極集電体は、正極集電体について記載したような金属箔または金属多孔体であってもよい。負極集電体の材質としては、特に制限されないが、ナトリウムと合金化せず、負極電位で安定であることから、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、および/またはステンレス鋼などが好ましい。負極集電体の厚みは、正極集電体の場合について記載した範囲から適宜選択できる。
負極は、負極活物質を含む。負極は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極活物質(または負極合剤)とを含んでもよい。
負極集電体は、正極集電体について記載したような金属箔または金属多孔体であってもよい。負極集電体の材質としては、特に制限されないが、ナトリウムと合金化せず、負極電位で安定であることから、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、および/またはステンレス鋼などが好ましい。負極集電体の厚みは、正極集電体の場合について記載した範囲から適宜選択できる。
負極活物質としては、例えば、ナトリウムイオンを可逆的に吸蔵および放出(もしくは挿入および脱離)する材料、ナトリウムと合金化する材料などが挙げられる。いずれの材料も、ファラデー反応により容量を発現する材料である。
このような負極活物質としては、ナトリウム、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、ケイ素などの金属またはその合金、もしくはその化合物;および炭素質材料などが例示できる。なお、合金は、これらの金属以外に、さらに他のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属などを含んでもよい。
金属化合物としては、チタン酸リチウム(Li2Ti3O7および/またはLi4Ti5O12など)などのリチウム含有チタン酸化物、およびチタン酸ナトリウム(Na2Ti3O7および/またはNa4Ti5O12など)などのナトリウム含有チタン酸化物が例示できる。リチウム含有チタン酸化物(またはナトリウム含有チタン酸化物)において、チタンの一部、および/またはリチウム(またはナトリウム)の一部を他元素で置換してもよい。
炭素質材料としては、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、および/または難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)などが例示できる。
負極活物質は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
これらの材料のうち、上記化合物(ナトリウム含有チタン酸化物など)、および/または炭素質材料(ハードカーボンなど)などが好ましい。
負極活物質は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
これらの材料のうち、上記化合物(ナトリウム含有チタン酸化物など)、および/または炭素質材料(ハードカーボンなど)などが好ましい。
負極は、正極の場合に準じて、例えば、負極集電体に、負極活物質を含む負極合剤を塗布または充填し、乾燥し、必要に応じて、乾燥物を厚み方向に圧縮(または圧延)することにより形成できる。また、負極としては、負極集電体の表面に、蒸着、またはスパッタリングなどの気相法で負極活物質の堆積膜を形成することにより得られるものを用いてもよい。また、シート状の金属または合金を、そのまま負極として用いてもよく、集電体に圧着したものを負極として用いてもよい。負極活物質には、必要に応じて、ナトリウムイオンをプレドープしてもよい。
負極合剤は、負極活物質に加え、さらに導電助剤および/またはバインダを含むことができる。結着剤および導電助剤としては、それぞれ、正極について例示したものから適宜選択できる。負極活物質に対する結着剤および導電助剤の量も、正極について例示した範囲から適宜選択できる。負極合剤は、通常、分散媒を含むスラリー(またはペースト)の形態で使用される。分散媒としては、正極について例示したものから適宜選択できる。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極との間に介在させる。セパレータとしては、例えば、樹脂製の微多孔膜、および/または不織布などが使用できる。セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択できる。微多孔膜または不織布を形成する繊維に含まれる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂など)、および/またはポリイミド樹脂などが例示できる。不織布を形成する繊維は、ガラス繊維などの無機繊維であってもよい。セパレータは、セラミックス粒子などの無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーは、セパレータにコーティングされた状態であってもよい。
セパレータの厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜300μm程度の範囲から選択できる。
セパレータは、正極と負極との間に介在させる。セパレータとしては、例えば、樹脂製の微多孔膜、および/または不織布などが使用できる。セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択できる。微多孔膜または不織布を形成する繊維に含まれる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂など)、および/またはポリイミド樹脂などが例示できる。不織布を形成する繊維は、ガラス繊維などの無機繊維であってもよい。セパレータは、セラミックス粒子などの無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーは、セパレータにコーティングされた状態であってもよい。
セパレータの厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜300μm程度の範囲から選択できる。
(電解質)
電解質としては、ナトリウムイオンを含む非水電解質が使用される。非水電解質としては、例えば、非水溶媒(または有機溶媒)にナトリウムイオンとアニオンとの塩(ナトリウム塩)を溶解させた電解質(有機電解質)、およびカチオン(ナトリウムイオンを含むカチオン)とアニオンとを含むイオン液体(溶融塩電解質)などが用いられる。
電解質としては、ナトリウムイオンを含む非水電解質が使用される。非水電解質としては、例えば、非水溶媒(または有機溶媒)にナトリウムイオンとアニオンとの塩(ナトリウム塩)を溶解させた電解質(有機電解質)、およびカチオン(ナトリウムイオンを含むカチオン)とアニオンとを含むイオン液体(溶融塩電解質)などが用いられる。
低温特性などの観点からは、非水溶媒(有機溶媒)を含む電解質を用いることが好ましい。電解質の分解をできるだけ抑制する観点からは、イオン液体を含む電解質を用いることが好ましく、イオン液体および非水溶媒を含む電解質を用いてもよい。
電解質におけるナトリウム塩またはナトリウムイオンの濃度は、例えば、0.3〜10mol/Lの範囲から適宜選択できる。
電解質におけるナトリウム塩またはナトリウムイオンの濃度は、例えば、0.3〜10mol/Lの範囲から適宜選択できる。
(有機電解質)
有機電解質は、非水溶媒(有機溶媒)およびナトリウム塩に加え、イオン液体および/または添加剤などを含むことができるが、電解質中の非水溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60質量%以上、好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。電解質中の非水溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、100質量%以下、または95質量%以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。電解質中の非水溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60〜100質量%、または75〜95質量%であってもよい。
有機電解質は、非水溶媒(有機溶媒)およびナトリウム塩に加え、イオン液体および/または添加剤などを含むことができるが、電解質中の非水溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60質量%以上、好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。電解質中の非水溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、100質量%以下、または95質量%以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。電解質中の非水溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60〜100質量%、または75〜95質量%であってもよい。
ナトリウム塩を構成するアニオン(第1アニオン)の種類は特に限定されず、例えば、フッ素含有酸のアニオン[ヘキサフルオロリン酸イオンなどのフッ素含有リン酸アニオン;テトラフルオロホウ酸イオンなどのフッ素含有ホウ酸アニオンなど]、塩素含有酸のアニオン[過塩素酸イオンなど]、オキサレート基を有する酸素酸のアニオン[ビス(オキサラト)ボレートイオン(B(C2O4)2 -)などのオキサラトボレートイオン;トリス(オキサラト)ホスフェートイオン(P(C2O4)3 -)などのオキサラトホスフェートイオンなど]、フルオロアルカンスルホン酸のアニオン[トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)など]、およびビススルホニルアミドアニオンなどが挙げられる。
ナトリウム塩は、一種を単独で用いてもよく、第1アニオンの種類が異なるナトリウム塩を二種以上組み合わせて用いてもよい。
ナトリウム塩は、一種を単独で用いてもよく、第1アニオンの種類が異なるナトリウム塩を二種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のビススルホニルアミドアニオンとしては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(FSA:bis(fluorosulfonyl)amide anion))、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(TFSA:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion)、(フルオロスルホニル)(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン[(FSO2)(CF3SO2)N-など]、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン[N(SO2CF3)2 -、N(SO2C2F5)2 -など]などが挙げられる。これらのうち、特に、FSAおよび/またはTFSAが好ましい。
非水溶媒は、特に限定されず、ナトリウムイオン二次電池に使用される公知の非水溶媒が使用できる。非水溶媒は、イオン伝導度の観点から、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびブチレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;ならびに、γ−ブチロラクトンなどの環状炭酸エステルなどを好ましく用いることができる。非水溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(溶融塩電解質)
電解質として、イオン液体を含む溶融塩電解質を用いる場合、電解質は、カチオンとアニオンとを含むイオン液体に加え、非水溶媒および/または添加剤などを含むことができるが、電解質中のイオン液体の含有量は、70質量%以上であることが好ましい。電解質中のイオン液体の含有量は、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%または90〜100質量%であってもよい。
電解質として、イオン液体を含む溶融塩電解質を用いる場合、電解質は、カチオンとアニオンとを含むイオン液体に加え、非水溶媒および/または添加剤などを含むことができるが、電解質中のイオン液体の含有量は、70質量%以上であることが好ましい。電解質中のイオン液体の含有量は、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%または90〜100質量%であってもよい。
溶融塩電解質(またはそのカチオン)は、ナトリウムイオン(第2カチオン)に加え、ナトリウムイオン以外のカチオン(第3カチオン)を含むことができる。第3カチオンとしては、有機カチオン、およびナトリウムイオン以外の無機カチオンなどが例示できる。溶融塩電解質(またはそのカチオン)は、第3カチオンを、一種含んでもよく、二種以上組合せて含んでもよい。
有機カチオンとしては、脂肪族アミン、脂環族アミンまたは芳香族アミンに由来するカチオン(例えば、第4級アンモニウムカチオンなど)、および窒素含有へテロ環を有するカチオン(つまり、環状アミンに由来するカチオン)などの窒素含有オニウムカチオン;イオウ含有オニウムカチオン;および/またはリン含有オニウムカチオンなどが例示できる。
窒素含有有機オニウムカチオンのうち、特に、第4級アンモニウムカチオン、および窒素含有ヘテロ環骨格として、ピロリジン、ピリジン、またはイミダゾール骨格を有するカチオンが好ましい。
窒素含有有機オニウムカチオンのうち、特に、第4級アンモニウムカチオン、および窒素含有ヘテロ環骨格として、ピロリジン、ピリジン、またはイミダゾール骨格を有するカチオンが好ましい。
窒素含有有機オニウムカチオンの具体例としては、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA:tetraethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン;1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(MPPYまたはPy13:1−methyl−1−propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(MBPYまたはPy14:1−butyl−1−methylpyrrolidinium cation);1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI: 1−ethyl−3−methylimidazolium cation)、および/または1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI:1−buthyl−3−methylimidazolium cation)などが挙げられる。
無機カチオンとしては、例えば、ナトリウムイオン以外のアルカリ金属イオン(カリウムイオンなど)、および/またはアルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
溶融塩電解質(またはそのカチオン)は、有機カチオンを含むことが好ましい。有機カチオンを含むイオン液体を用いることで、溶融塩電解質の融点および/または粘度を低下させることができるため、ナトリウムイオン伝導性を高め易く、高容量を確保し易くなる。なお、溶融塩電解質(またはそのカチオン)は、第3カチオンとして、有機カチオンと無機カチオンとを含んでもよい。
アニオンとしては、ビススルホニルアミドアニオンを用いることが好ましい。ビススルホニルアミドアニオンとしては、有機電解質について例示したものから適宜選択できる。ビススルホニルアミドアニオンのうち、特に、FSAおよび/またはTFSAが好ましい。
イオン液体は、ナトリウムイオン(第2カチオン)とアニオン(第2アニオン)との塩(第1塩)を含み、必要に応じて、第3カチオンとアニオン(第3アニオン)との塩(第2塩)を含むことができる。第1塩は、一種であってもよく、第2アニオンの種類が異なる二種類以上の塩であってもよい。第2塩は、一種であってもよく、第3カチオンおよび/または第3アニオンの種類が異なる二種以上の塩であってもよい。第2および第3アニオンは、上記アニオンから適宜選択できる。
第1塩の中では、ナトリウムイオンとFSAとの塩(Na・FSA)、および/またはナトリウムイオンとTFSAとの塩(Na・TFSA)などが特に好ましい。
第2塩の具体例としては、Py13とFSAとの塩(Py13・FSA)、PY13とTFSAとの塩(Py13・TFSA)、Py14とFSAとの塩(Py14・FSA)、PY14とTFSAとの塩(Py14・TFSA)、BMIとFSAとの塩(BMI・FSA)、BMIとTFSAとの塩(BMI・TFSA)、EMIとFSAとの塩(EMI・FSA)、EMIとTFSAとの塩(EMI・TFSA)、TEMAとFSAとの塩(TEMA・FSA)、TEMAとTFSAとの塩(TEMA・FSA)、TEAとFSAとの塩(TEA・FSA)、およびTEAとTFSAとの塩(TEA・FSA)などが挙げられる。これらの第2塩は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
第2塩の具体例としては、Py13とFSAとの塩(Py13・FSA)、PY13とTFSAとの塩(Py13・TFSA)、Py14とFSAとの塩(Py14・FSA)、PY14とTFSAとの塩(Py14・TFSA)、BMIとFSAとの塩(BMI・FSA)、BMIとTFSAとの塩(BMI・TFSA)、EMIとFSAとの塩(EMI・FSA)、EMIとTFSAとの塩(EMI・TFSA)、TEMAとFSAとの塩(TEMA・FSA)、TEMAとTFSAとの塩(TEMA・FSA)、TEAとFSAとの塩(TEA・FSA)、およびTEAとTFSAとの塩(TEA・FSA)などが挙げられる。これらの第2塩は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
第1塩と第2塩との合計に占める第1塩の比率(つまり、ナトリウムイオンと第3カチオンとの合計に占めるナトリウムイオンの比率)は、各塩の種類に応じて、例えば、5〜95モル%の範囲から適宜選択することができる。
第3カチオンが有機カチオンである場合、第1塩の比率は、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上または25モル%以上であることが好ましく、30モル%以上または40モル%以上であることがさらに好ましい。また、第1塩の比率は、65モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがさらに好ましい。このような溶融塩電解質は、比較的低粘度であり、高容量が得られ易い。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせて好ましい範囲を設定することができる。例えば、第1塩の比率は、10〜65モル%、15〜55モル%、または25〜55モル%であってもよい。
ナトリウム溶融塩電池の作動温度は、溶融塩電解質の組成によって調節することができる。ナトリウム溶融塩電池は、例えば、−20℃から、90℃を超える高温域までの広い温度範囲で作動させることができる。
ナトリウムイオン二次電池は、例えば、(a)正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータとで電極群を形成する工程、ならびに(b)電極群および電解質を電池ケース内に収容する工程を経ることにより製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るナトリウムイオン二次電池を概略的に示す縦断面図である。ナトリウムイオン二次電池は、積層型の電極群、電解質(図示せず)およびこれらを収容する角型のアルミニウム製の電池ケース10を具備する。電池ケース10は、上部が開口した有底の容器本体12と、上部開口を塞ぐ蓋体13とで構成されている。
ナトリウムイオン二次電池を組み立てる際には、まず、正極2と負極3とをこれらの間にセパレータ1を介在させた状態で積層することにより電極群が構成され、構成された電極群が電池ケース10の容器本体12に挿入される。その後、容器本体12に電解質を注液し、電極群を構成するセパレータ1、正極2および負極3の空隙に電解質を含浸させる工程が行われる。あるいは、電解質が溶融塩電解質である場合、溶融塩電解質に電極群を含浸し、その後、溶融塩電解質を含んだ状態の電極群を容器本体12に収容してもよい。
蓋体13の中央には、電池ケース10の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。安全弁16を中央にして、蓋体13の一方側寄りには、蓋体13を貫通する外部正極端子14が設けられ、蓋体13の他方側寄りの位置には、蓋体13を貫通する外部負極端子が設けられる。
積層型の電極群は、いずれも矩形のシート状である、複数の正極2と複数の負極3およびこれらの間に介在する複数のセパレータ1により構成されている。図1では、セパレータ1は、正極2を包囲するように袋状に形成されているが、セパレータの形態は特に限定されない。複数の正極2と複数の負極3は、電極群内で積層方向に交互に配置される。
各正極2の一端部には、正極リード片2aを形成してもよい。複数の正極2の正極リード片2aを束ねるとともに、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部正極端子14に接続することにより、複数の正極2が並列に接続される。同様に、各負極3の一端部には、負極リード片3aを形成してもよい。複数の負極3の負極リード片3aを束ねるとともに、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部負極端子に接続することにより、複数の負極3が並列に接続される。正極リード片2aの束と負極リード片3aの束は、互いの接触を避けるように、電極群の一端面の左右に、間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子14および外部負極端子は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット7が嵌められ、ナット7を回転することにより蓋体13に対してナット7が固定される。各端子の電池ケース10内部に収容される部分には、鍔部8が設けられており、ナット7の回転により、鍔部8が、蓋体13の内面に、O−リング状のガスケット9を介して固定される。
電極群は、積層タイプに限らず、正極と負極とをセパレータを介して捲回することにより形成したものであってもよい。負極に金属ナトリウムが析出するのを防止する観点から、正極よりも負極の寸法を大きくしてもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)ナトリウム含有遷移金属酸化物の合成(工程A)
まず、炭酸ナトリウム、水酸化ニッケル、酸化チタンおよび炭酸マンガンを混合した(第1工程)。このとき、水酸化ニッケルと、酸化チタンと、炭酸マンガンとは、Ni:Ti:Mnの原子比が1/3:1/6:1/2(化学量論比)となるような混合比で混合した。炭酸ナトリウムは、Ni、TiおよびMnの合計に対して、Naの原子比がxq(=2/3)よりも0.03(3原子%)少なくなるような混合比で混合した。
得られた混合物を、大気雰囲気中、950℃で12時間焼成することにより、ナトリウム含有遷移金属酸化物a1を合成した(第2工程)。
(1)ナトリウム含有遷移金属酸化物の合成(工程A)
まず、炭酸ナトリウム、水酸化ニッケル、酸化チタンおよび炭酸マンガンを混合した(第1工程)。このとき、水酸化ニッケルと、酸化チタンと、炭酸マンガンとは、Ni:Ti:Mnの原子比が1/3:1/6:1/2(化学量論比)となるような混合比で混合した。炭酸ナトリウムは、Ni、TiおよびMnの合計に対して、Naの原子比がxq(=2/3)よりも0.03(3原子%)少なくなるような混合比で混合した。
得られた混合物を、大気雰囲気中、950℃で12時間焼成することにより、ナトリウム含有遷移金属酸化物a1を合成した(第2工程)。
(2)ナトリウムイオン二次電池の作製
上記(1)で得られたナトリウム含有遷移金属酸化物a1(正極活物質)と、アセチレンブラック(導電助剤)と、ポリフッ化ビニリデン(バインダ)のNMP溶液とを混合することにより、正極合剤ペーストを調製した(工程B)。このとき、正極活物質と、導電助剤と、バインダとの質量比を92:5:3とした。正極合剤ペーストを、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、十分に乾燥させ、圧縮して、厚さ80μmの正極を作製した(工程C)。正極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
金属ナトリウムディスク(アルドリッチ社製、厚さ200μm)をアルミニウム集電体に圧着して、総厚220μmの負極を作製した。負極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
上記(1)で得られたナトリウム含有遷移金属酸化物a1(正極活物質)と、アセチレンブラック(導電助剤)と、ポリフッ化ビニリデン(バインダ)のNMP溶液とを混合することにより、正極合剤ペーストを調製した(工程B)。このとき、正極活物質と、導電助剤と、バインダとの質量比を92:5:3とした。正極合剤ペーストを、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、十分に乾燥させ、圧縮して、厚さ80μmの正極を作製した(工程C)。正極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
金属ナトリウムディスク(アルドリッチ社製、厚さ200μm)をアルミニウム集電体に圧着して、総厚220μmの負極を作製した。負極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
コイン型の正極、負極およびセパレータを、0.3Paの減圧下で、90℃以上で加熱して十分に乾燥させた。その後、浅底の円筒型のAl/SUSクラッド製容器に、コイン型の負極を載置し、その上にコイン型のセパレータを介してコイン型の正極を載置し、所定量の電解質を容器内に注液した。その後、周縁に絶縁ガスケットを具備する浅底の円筒型のAl/SUSクラッド製封口板で、容器の開口を封口した。これにより、容器底面と封口板との間で、負極、セパレータおよび正極からなる電極群に圧力を印加し、部材間の接触を確保した。こうして、設計容量1.5mAhのコイン型のナトリウムイオン二次電池を作製した。なお、セパレータとしては、シリカコーティングされたポリオレフィン不織布(日本板硝子製、NPS、厚さ50μm)を用いた。電解質としては、Na・FSAとPy13・FSAとを、40:60のモル比で含むイオン液体(電解質中のイオン液体の含有量:100質量%)を用いた。
(3)評価
(a)正極合剤スラリーのゲル化
上記(2)の工程Bと同様の手順で正極合剤スラリーを調製し、ポリプロピレン製の容器に速やかに移した。容器内の正極合剤を、スラリーの調製から5分ごとにスパチュラでかき混ぜて、ゲル化の程度を確認した
(b)ナトリウム含有遷移金属酸化物の組成
ナトリウム含有遷移金属酸化物を、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively coupled plasma)分析により、含有される元素を定量分析した。分析結果から、含有される元素の原子比を求め、遷移金属元素の合計を1として、Naの原子比を算出した。
(a)正極合剤スラリーのゲル化
上記(2)の工程Bと同様の手順で正極合剤スラリーを調製し、ポリプロピレン製の容器に速やかに移した。容器内の正極合剤を、スラリーの調製から5分ごとにスパチュラでかき混ぜて、ゲル化の程度を確認した
(b)ナトリウム含有遷移金属酸化物の組成
ナトリウム含有遷移金属酸化物を、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively coupled plasma)分析により、含有される元素を定量分析した。分析結果から、含有される元素の原子比を求め、遷移金属元素の合計を1として、Naの原子比を算出した。
(c)放電容量
ナトリウムイオン二次電池を、60℃になるまで加熱し、(i)および(ii)の条件を充放電の1サイクルとして5サイクル充放電を行った。5サイクル目の放電容量を求め、正極活物質の単位質量当たりの放電容量(mAh/g)に換算した。
(i)電流密度20mA/g(0.2C相当の電流値)、上限電圧(充電終止電圧)4.4Vまで充電
(ii)電流密度20mA/g(0.2C相当の電流値)、下限電圧(放電終止電圧)2.65Vまで放電
ナトリウムイオン二次電池を、60℃になるまで加熱し、(i)および(ii)の条件を充放電の1サイクルとして5サイクル充放電を行った。5サイクル目の放電容量を求め、正極活物質の単位質量当たりの放電容量(mAh/g)に換算した。
(i)電流密度20mA/g(0.2C相当の電流値)、上限電圧(充電終止電圧)4.4Vまで充電
(ii)電流密度20mA/g(0.2C相当の電流値)、下限電圧(放電終止電圧)2.65Vまで放電
実施例2および比較例1〜2
実施例1の(1)の第1工程において、元素Me(Ni、TiおよびMnの合計)に対するNaの原子比を、表1に示すような値となるように変更する以外は実施例1と同様にして、ナトリウム含有遷移金属酸化物a2、b1およびb2を合成した。得られたナトリウム含有遷移金属酸化物を用いる以外は、実施例1と同様にして、正極およびナトリウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
実施例1〜2および比較例1〜2の結果を表1に示す。
実施例1の(1)の第1工程において、元素Me(Ni、TiおよびMnの合計)に対するNaの原子比を、表1に示すような値となるように変更する以外は実施例1と同様にして、ナトリウム含有遷移金属酸化物a2、b1およびb2を合成した。得られたナトリウム含有遷移金属酸化物を用いる以外は、実施例1と同様にして、正極およびナトリウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
実施例1〜2および比較例1〜2の結果を表1に示す。
実施例のナトリウム含有遷移金属酸化物を用いた場合、正極合剤スラリーは、調製から60分経過した後も、ゲル化を起こさなかった。実施例では、正極合剤は、スラリーの調製から60分経過後も、スラリーの形態を保持しており、かき混ぜた際にも、容器の壁面にべったりと付着した状態であった。それに対して、比較例のb1のナトリウム含有遷移金属酸化物を用いた場合、スラリーの調製から5分未満でゲル化を生じた。ゲル化した正極合剤は、容器の壁面からきれいに剥がれて、ゼリー状に一塊にまとまり、スラリーの粘着性が低下していた。
実施例では、ナトリウム含有遷移金属酸化物における元素Meに対するNaの原子比はほぼ化学量論比となり、ナトリウムイオン二次電池の放電容量も130mAh/gを超える高い値が得られた。一方、比較例2では、放電容量が実施例に比較して大きく低下した。これは、比較例2では、生成物中への不純物の混入が顕著になったことによるものと考えられる。
実施例3
下記の手順で、ナトリウム含有遷移金属酸化物を合成した(工程A)。
まず、炭酸ナトリウム、酸化鉄および酸化コバルトを混合した(第1工程)。このとき酸化鉄と酸化コバルトとは、Fe:Coの原子比が1/2:1/2(化学量論比)となるような混合比で混合した。炭酸ナトリウムは、FeおよびCoの合計に対して、Naの原子比がxq(=1)よりも0.03(3原子%)少なくなるような混合比で混合した。得られた混合物を、大気雰囲気中、950℃で12時間焼成することにより、ナトリウム含有遷移金属酸化物a3を合成した(第2工程)。
ナトリウム含有遷移金属酸化物a1に代えて、ナトリウム含有遷移金属酸化物a3を用いる以外は、実施例1と同様に、正極およびナトリウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
下記の手順で、ナトリウム含有遷移金属酸化物を合成した(工程A)。
まず、炭酸ナトリウム、酸化鉄および酸化コバルトを混合した(第1工程)。このとき酸化鉄と酸化コバルトとは、Fe:Coの原子比が1/2:1/2(化学量論比)となるような混合比で混合した。炭酸ナトリウムは、FeおよびCoの合計に対して、Naの原子比がxq(=1)よりも0.03(3原子%)少なくなるような混合比で混合した。得られた混合物を、大気雰囲気中、950℃で12時間焼成することにより、ナトリウム含有遷移金属酸化物a3を合成した(第2工程)。
ナトリウム含有遷移金属酸化物a1に代えて、ナトリウム含有遷移金属酸化物a3を用いる以外は、実施例1と同様に、正極およびナトリウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
実施例4および比較例3
実施例3の第1工程において、元素Me(FeおよびCoの合計)に対するNaの原子比を、表2に示すような値となるように変更する以外は実施例3と同様にして、ナトリウム含有遷移金属酸化物a4およびb3を合成した。得られたナトリウム含有遷移金属酸化物を用いる以外は、実施例1と同様にして、正極およびナトリウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
実施例3〜4および比較例3の結果を表2に示す。
実施例3の第1工程において、元素Me(FeおよびCoの合計)に対するNaの原子比を、表2に示すような値となるように変更する以外は実施例3と同様にして、ナトリウム含有遷移金属酸化物a4およびb3を合成した。得られたナトリウム含有遷移金属酸化物を用いる以外は、実施例1と同様にして、正極およびナトリウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
実施例3〜4および比較例3の結果を表2に示す。
実施例3および4のナトリウム含有遷移金属酸化物を用いた場合、正極合剤スラリーは、調製から60分経過した後も、ゲル化を起こさなかった。60分経過後の正極合剤は、実施例1〜2と同様の状態であった。一方、比較例3のナトリウム含有遷移金属酸化物を用いた場合、スラリーの調製から5分未満でゲル化を生じた。ゲル化した正極合剤の状態は、比較例1と同様であった。
本発明の一実施形態に係る製造方法により得られるナトリウム含有遷移金属酸化物は、ナトリウム溶融塩電池などのナトリウムイオン二次電池の正極活物質として利用できる。ナトリウム含有遷移金属酸化物を用いて得られるナトリウムイオン二次電池は、例えば、家庭用または工業用の大型電力貯蔵装置、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電源として有用である。
1:セパレータ
2:正極
2a:正極リード片
3:負極
3a:負極リード片
7:ナット
8:鍔部
9:ガスケット
10:電池ケース
12:容器本体
13:蓋体
14:外部正極端子
16:安全弁
2:正極
2a:正極リード片
3:負極
3a:負極リード片
7:ナット
8:鍔部
9:ガスケット
10:電池ケース
12:容器本体
13:蓋体
14:外部正極端子
16:安全弁
Claims (6)
- 層状P2型または層状O3型の結晶構造を有するナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法であって、
前記ナトリウム含有遷移金属酸化物は、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表され、
前記元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、前記元素Meを含む化合物とを、前記元素Meに対するNaの原子比が前記xqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られる混合物を焼成して、前記ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む、ナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法。 - 前記ナトリウム含有遷移金属酸化物は、
層状P2型結晶構造を有し、前記元素MeがNi、Ti、およびMnの組み合わせであり、前記xqが2/3である、第1酸化物であるか、または、
層状O3型結晶構造を有し、前記元素MeがFeおよびCoの組み合わせであり、前記xqが1である、第2酸化物である、請求項1に記載のナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法。 - 前記第1酸化物において、NiとTiとMnとの化学量論比は、1/3:1/6:1/2であり、
前記第2酸化物において、FeとCoとの化学量論比は、1/2:1/2である、請求項2に記載のナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法。 - 前記ナトリウム含有化合物は、炭酸ナトリウムであり、
前記元素Meを含む化合物は、酸化物、水酸化物、および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法。 - 前記焼成の温度は、850〜1100℃である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のナトリウム含有遷移金属酸化物の製造方法。
- 層状P2型または層状O3型の結晶構造を有し、式(1):NaxMeO2(元素Meは、Ni、Ti、Mn、Fe、およびCoからなる群より選択される少なくとも2種の遷移金属元素であり、かつ少なくともNiおよび/またはFeを含む)で表されるナトリウム含有遷移金属酸化物を製造する工程Aと、
前記ナトリウム含有遷移金属酸化物と、導電助剤と、バインダと、分散媒とを混合して、正極合剤スラリーを調製する工程Bと、
前記正極合剤スラリーを正極集電体に塗布または充填し、乾燥して、厚み方向に圧縮することにより正極を作製する工程Cと、を含むナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法であって、
前記工程Aは、
前記元素Meに対するNaの化学量論比をxqとするとき、ナトリウム含有化合物と、前記元素Meを含む化合物とを、前記元素Meに対するNaの原子比が前記xqよりも3〜5原子%少なくなるような割合で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られる混合物を焼成して、前記ナトリウム含有遷移金属酸化物を生成させる第2工程と、を含む、ナトリウムイオン二次電池用正極の製造方法。
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---|---|---|---|---|
WO2017213462A1 (ko) * | 2016-06-09 | 2017-12-14 | 한양대학교 산학협력단 | 소듐 이차전지용 양극활물질, 및 이의 제조 방법 |
JP2019506707A (ja) * | 2016-01-15 | 2019-03-07 | ナノテク インストゥルメンツ, インコーポレイテッドNanotek Instruments, Inc. | 高体積および重量エネルギー密度を有するアルカリ金属またはアルカリイオン電池を製造する方法 |
CN110165206A (zh) * | 2019-05-24 | 2019-08-23 | 中国石油大学(华东) | 一种球状钠离子电池正极材料及其制备方法 |
CN115394994A (zh) * | 2022-09-20 | 2022-11-25 | 济南大学 | 一种改善钠离子电池首周效率及能量密度的方法 |
WO2023097984A1 (zh) * | 2021-11-30 | 2023-06-08 | 湖南钠方新能源科技有限责任公司 | 一种正极材料及其制备方法、正极片以及钠离子电池 |
WO2023097982A1 (zh) * | 2021-11-30 | 2023-06-08 | 湖南钠方新能源科技有限责任公司 | 一种复合正极材料及其制备方法、正极片以及钠离子电池 |
-
2014
- 2014-05-22 JP JP2014106017A patent/JP2015222628A/ja active Pending
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