JP2013247009A - 非水電解液二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解液二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナトリウム成分の集中による被膜量のバラツキを防止して、負極活物質の表面により好ましい態様の被膜を形成することによって、電荷担体に由来する物質の析出が抑制された非水電解液二次電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明によって提供される非水電解液二次電池の製造方法は、正極活物質を含む正極と負極活物質を含む負極とを備える電極体を準備する工程(S10)、ここで、上記電極体には不可避的な不純物としてナトリウム(Na)成分が含まれている;上記電極体を電池ケース内に収容する工程(S20);ホウ素(B)を構成元素として含有するオキサラト錯体化合物を含まない非水電解液を上記電池ケース内に注入する第1注入工程(S30);及び、上記第1注入工程の後に、上記オキサラト錯体化合物を含む非水電解液を上記電池ケース内に注入する第2注入工程(S50);を包含する。
【選択図】図3

Description

本発明は、非水電解液二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池その他の非水電解液二次電池は、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末等の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましい。
ところで、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池では、充電の際に非水電解液の一部が分解され、負極活物質(例えば天然黒鉛粒子)の表面にその分解物からなる被膜、即ちSEI(Solid Electrolyte Interface)膜が形成され得る。SEI膜は負極活物質を保護する役割を果たすが、非水電解液中の電荷担体(例えばリチウムイオン)を消費して形成されるため(即ち電荷担体がSEI膜中に固定されることによって、もはや電池容量に寄与できなくなる)、SEI膜の量が多いと容量維持率を低下(サイクル特性の低下)させる要因となる。
かかる問題に対応すべく、SEI膜に代えて負極活物質の表面に予め安定的な被膜を形成するために、非水電解液中に各種の添加剤を含有させることが行われている。例えば特許文献1には、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含有する二次電池用非水電解液が記載されている。
特開2005−259592号公報 特開2005−203120号公報
ところで、非水電解液二次電池の正極及び負極を備える電極体には不可避の不純物としてナトリウム成分(例えばナトリウム塩)が存在している。このため、非水電解液を該電極体に含浸させる際に、ナトリウム成分が非水電解液中に溶出する。上記特許文献1に記載のリチウム塩を含有する非水電解液を電極体に注入した場合、ナトリウム成分(例えばナトリウムイオン)はリチウム塩よりも速く拡散するため、溶出したナトリウム成分は電極体の長手方向に直交する幅方向の中央部に集まる傾向にある(即ち該中央部ではナトリウム成分の濃度が高くなる。)。このため、ナトリウム成分とリチウム塩との反応に基づく被膜は、電極体の上記幅方向の両端部よりも中央部に多量に形成されることとなり、被膜量にバラツキが生じる。このように、電極体の中央部の負極活物質の表面には多量の被膜が形成されるため、該中央部の抵抗は両端部と比較して大きくなる。従って、充放電を繰り返し行うと電極体の中央部に電荷担体に由来する物質(例えば金属リチウム等の金属)が析出してしまう虞がある。
本発明は、上述した従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、ナトリウム成分の集中による被膜量のバラツキを防止して、負極活物質の表面により好ましい態様の被膜を形成することによって、電荷担体に由来する物質の析出が抑制された非水電解液二次電池の製造方法を提供することである。
上記目的を実現すべく、本発明により、非水電解液二次電池を製造する方法が提供される。即ちここで開示される製造方法は、正極活物質を含む正極と負極活物質を含む負極とを備える電極体を準備する工程、ここで、上記電極体には不可避的な不純物としてナトリウム(Na)成分が含まれている;上記電極体を電池ケース内に収容する工程;ホウ素(B)を構成元素として含有するオキサラト錯体化合物を含まない非水電解液を上記電池ケース内に注入する第1注入工程;及び、上記第1注入工程の後に、上記オキサラト錯体化合物を含む非水電解液を上記電池ケース内に注入する第2注入工程;を包含する。
なお、本明細書において「非水電解液二次電池」とは、非水電解液(典型的には、非水溶媒(有機溶媒)中に支持塩(支持電解質)を含む電解液)を備えた電池をいう。
また、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な電池一般をいい、リチウムイオン二次電池等のいわゆる化学電池ならびに電気二重層キャパシタ等の物理電池を包含する用語である。
また、本明細書において「ナトリウム(Na)成分」とは、ナトリウム単独(典型的にはイオンの状態)で存在する場合と、Naを構成元素として含む化合物として存在する場合とを包含する用語である。
本発明によって提供される非水電解液二次電池の製造方法では、不可避的な不純物としてナトリウム(Na)成分を含む電極体に対して、まずホウ素(B)を構成元素として含有するオキサラト錯体化合物(以下、「B元素含有オキサラト化合物」と略称する場合がある。)を含まない非水電解液を注入(第1注入工程)し、その後にB元素含有オキサラト化合物を含む非水電解液を注入する(第2注入工程)。
このように、まずB元素含有オキサラト化合物を含まない非水電解液を電池ケースに注入して電極体に該非水電解液を含浸させることによって、電極体内のNa成分は該非水電解液中に溶け出して、非水電解液中に良好に分散される。そして、Na成分が良好に分散している状態で、B元素含有オキサラト化合物を含む非水電解液を電池ケースに注入して電極体に含浸させるため、非水電解液中のNa成分とB元素含有オキサラト化合物との反応により生じる被膜が局所的(典型的には電極体の長手方向に直交する幅方向の中央部)に多量になることが抑制され、電極体(典型的には負極活物質の表面)の全体に亘ってB元素含有オキサラト化合物由来の被膜が良好に形成される。即ち、電極体の長手方向に直交する幅方向の被膜量のバラツキが抑制された状態(好ましくは該幅方向に被膜が均一な状態)となり得る。被膜量のバラツキが抑制された電極体を備える非水電解液二次電池では、充放電時に電流が局所的に集中することが防止されるため、電荷担体に由来する物質(例えば金属リチウム)の析出が抑制される。
なお、特許文献2には、電解液を複数回に分けて電池容器内に注入する技術が記載されているが、電解質濃度の異なる同じ組成の電解液を注入するものであって、上述した本発明とは構成の異なるものである。
ここで開示される製造方法の好適な一態様では、上記第1注入工程と上記第2注入工程との間に、少なくとも20分間放置する放置工程を更に包含する。
かかる構成によると、電極体内のNa成分は、B元素含有オキサラト化合物を含まない非水電解液の全体に亘り良好に分散され得るため、その後の第2注入工程でB元素含有オキサラト化合物を含む非水電解液を注入すると、Na成分とB元素含有オキサラト化合物との反応により生じる被膜がより好ましい状態(例えば均一な状態)で電極体(典型的には負極活物質の表面)に形成される。
ここで開示される製造方法の好適な他の一態様では、上記オキサラト錯体化合物として、下記式(I)で表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(以下、「LiBOB」と略称する場合がある。)を用いる。
かかる構成によると、電極体に好ましい性質を有する被膜を形成することができる。
上記正極活物質の好適例としては、リチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。ここで開示される技術は、例えば、正極活物質として層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物(例えば、構成金属元素として少なくともニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物)を用いた二次電池に好ましく適用され得る。上記負極活物質の好適例としては、少なくとも一部にグラファイト構造を有する炭素材料が挙げられる。
ここで開示される製造方法の好適な他の一態様では、上記電極体として、シート状に形成された正極とシート状に形成された負極とが重ね合わされた電極体であって該電極体の長手方向に捲回された捲回電極体を用いる。
かかる構成の捲回電極体では、捲回電極体の幅方向の両端部から中央部に向けて非水電解液が含浸する。このため捲回電極体の中央部ではナトリウム成分の濃度が高くなる傾向にある。従って、まずB元素含有オキサラト化合物を含まない非水電解液を電池ケースに注入して電極体に該非水電解液を含浸させることによって、電極体内のNa成分を該非水電解液中に良好に分散させるという本発明の構成を採用することによる効果が特に発揮され得る。
上述のように、ここで開示される製造方法により得られた非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)では、B元素含有オキサラト化合物由来の被膜が電極体(典型的には負極活物質)の表面に好ましい状態(被膜量のバラツキがない或いは少ない状態)で形成されているため、電荷担体に由来する物質(例えば金属リチウム)の析出が防止され電池性能に優れる非水電解液二次電池となり得る。このため、車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)の駆動電源として用いることができる。また、本発明の他の側面として、ここで開示されるいずれかの製造方法により得られた非水電解液二次電池(複数個(例えば40〜80個)の電池が典型的には直列に接続された組電池の形態であり得る。)を駆動電源として備える車両を提供する。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1中のII‐II線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法を説明するためのフローチャートである。 例1に係るリチウムイオン二次電池に対して、充放電を500サイクル繰り返した後のセパレータシートの状態を示す写真である。 例4に係るリチウムイオン二次電池に対して、充放電を500サイクル繰り返した後のセパレータシートの状態を示す写真である。 本発明に係る非水電解液二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される非水電解液二次電池を製造する方法の好適な実施形態の一つとして、リチウムイオン二次電池を製造する方法を例にして詳細に説明するが、本発明の適用対象をかかる種類の二次電池に限定することを意図したものではない。例えば、他の金属イオン(例えばマグネシウムイオン)を電荷担体とする非水電解液二次電池にも適用することができる。
ここで開示される非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)の製造方法は、図3に示すように、電極体準備工程(S10)と、電極体収容工程(S20)と、第1注入工程(S30)と、第2注入工程(S50)とを包含する。好適な一実施形態において、第1注入工程(S30)と第2注入工程(S50)との間に、更に放置工程(S40)を包含する。
≪電極体準備工程(S10)≫
まず、電極体準備工程(S10)について説明する。電極体準備工程には、正極活物質を含む正極と負極活物質を含む負極とを備える電極体を準備することが含まれている。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の電極体(例えば積層型の電極体或いは捲回型の電極体)は、正極と、負極と、正極及び負極の間に介在されたセパレータとを備えている。ここで開示される電極体には、不可避的な不純物としてナトリウム(Na)成分(例えばナトリウム塩)が含まれている。ここでは、捲回型の電極体(捲回電極体)を例にして説明するが、かかる形態に限定することを意図したものではない。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された少なくとも正極活物質を含む正極合材層と、を備えている。正極合材層は、正極活物質の他に、導電材、結着剤(バインダ)等の任意の成分を必要に応じて含有し得る。
上記正極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池の正極に用いられている正極集電体と同様、アルミニウム又はアルミニウムを主体とするアルミニウム合金が用いられる。正極集電体の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、箔状、シート状、棒状、板状等の種々の形態であり得る。
上記正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移金属複合酸化物)が挙げられる。例えば、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn)、或いは、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)のような三元系リチウム含有複合酸化物が挙げられる。
また、一般式がLiMPO或いはLiMVO或いはLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素)等で表記されるようなポリアニオン系化合物(例えばLiFePO、LiMnPO、LiFeVO、LiMnVO、LiFeSiO、LiMnSiO、LiCoSiO)を上記正極活物質として用いてもよい。
上記導電材としては、従来この種のリチウムイオン二次電池で用いられているものであればよく、特定の導電材に限定されない。例えば、カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料を用いることができる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等)、グラファイト粉末等のカーボン粉末を用いることができる。なかでも好ましいカーボン粉末としてアセチレンブラック(AB)が挙げられる。このような導電材は、一種を単独で、または二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記結着剤(バインダ)としては、一般的なリチウムイオン二次電池の正極に使用される結着剤と同様のものを適宜採用することができる。例えば、上記正極合材層を形成する組成物として溶剤系のペースト状組成物(ペースト状組成物には、スラリー状組成物及びインク状組成物が包含される。)を用いる場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の、有機溶媒(非水溶媒)に溶解するポリマー材料を用いることができる。あるいは、水系のペースト状組成物を用いる場合には、水溶性(水に溶解する)のポリマー材料又は水分散性(水に分散する)のポリマー材料を好ましく採用し得る。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着剤として用いられる他に、上記組成物の増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。
ここで、「溶剤系のペースト状組成物」とは、正極活物質の分散媒が主として有機溶媒(非水溶媒)である組成物を指す概念である。有機溶媒としては、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)等を用いることができる。「水系のペースト状組成物」とは、正極活物質の分散媒として水または水を主体とする混合溶媒を用いた組成物を指す概念である。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。
ここで開示される正極は、例えば概ね以下の手順で好適に製造することができる。上述した正極活物質、導電材、および有機溶媒に対して可溶性である結着剤等を有機溶媒に分散させてなるペースト状の正極合材層形成用組成物を調製する。調製した組成物を正極集電体に塗布し、乾燥させた後、圧縮(プレス)することによって、正極集電体と該正極集電体上に形成された正極合材層とを備える正極を作製することができる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の負極は、負極集電体と、該負極集電体上に形成された少なくとも負極活物質を含む負極合材層と、を備えている。負極合材層は、負極活物質の他に、結着剤、増粘剤等の任意成分を必要に応じて含有し得る。
上記負極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池の負極に用いられている集電体と同様、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅やニッケル或いはそれらを主体とする合金を用いることができる。負極集電体の形状は、正極集電体の形状と同様であり得る。
上記負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料、リチウム遷移金属複合酸化物((例えば、LiTi12等のリチウムチタン複合酸化物)、リチウム遷移金属複合窒化物等が挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛(人工黒鉛)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)等が挙げられる。
負極活物質の平均粒径(メジアン径d50)は、例えば凡そ1μm〜50μm(通常は5μm〜30μm)の範囲内である。なお、平均粒径は、市販されている種々のレーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定装置によって容易に測定することができる。
また、上記負極活物質の表面を非晶質炭素膜で被覆してもよい。例えば、負極活物質にピッチを混ぜて焼くことによって、少なくとも一部が非晶質炭素膜で被覆された負極活物質を得ることができる。
上記結着剤としては、一般的なリチウムイオン二次電池の負極に使用される結着剤と同様のものを適宜採用することができる。例えば、負極合材層を形成するために水系のペースト状の組成物を用いる場合には、水溶性のポリマー材料または水分散性のポリマー材料を好ましく採用し得る。水分散性のポリマーとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類;ポリエチレンオキサイド(PEO)、酢酸ビニル共重合体等が例示される。
上記増粘材としては、例えば、水溶性又は水分散性のポリマーを採用し得る。水溶性のポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);等が挙げられる。また、上記結着剤として挙げられる材料と同様のものを適宜採用することができる。
ここで開示される負極は、例えば概ね以下の手順で好適に製造することができる。上述した負極活物質と、他の任意の成分(結着剤、増粘剤等)とを適当な溶媒(例えば水)に分散させてなるペースト状の負極合材層形成用組成物を調製する。調製した組成物を負極集電体に塗布し、乾燥させた後、圧縮(プレス)することによって、負極集電体と該負極集電体上に形成された負極合材層とを備える負極を作製することができる。
上記セパレータとしては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の多孔質ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。
図2は、本実施形態に係る捲回電極体50である。図2に示すように、捲回電極体50は、シート状の正極64とシート状の負極84とを計二枚の長尺なセパレータ90を介在して積層させた状態で捲回して、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製された扁平形状の捲回電極体50である。
上記積層の際には、図2に示すように、正極64の正極合材層非形成部分(即ち正極合材層66が形成されずに正極集電体62が露出した部分)63と、負極84の負極合材層非形成部分(即ち負極合材層86が形成されずに負極集電体82が露出した部分)83と、がセパレータ90の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極64と負極84とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体50の捲回方向に対する横方向において、正極64および負極84の電極合材層非形成部分63,83がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極64の正極合材層形成部分63と負極84の負極合材層形成部分83と二枚のセパレータ90とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極合材層非形成部分63に正極端子60を接合して、上記扁平形状に形成された捲回電極体50の正極64と正極端子60とを電気的に接続する。同様に負極合材層非形成部83に負極端子80を接合して、負極84と負極端子80とを電気的に接続する。なお、正負極端子60,80と正負極集電体62,82とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
本実施形態の捲回電極体50(例えば正極64)には、不可避的な不純物としてナトリウム(Na)成分(例えばナトリウムイオンや各種のナトリウム塩)が含まれている。ナトリウム成分は、例えば、正極合材層中、負極合材層中に含まれている。
≪電極体収容工程(S20)≫
次に、電極体収容工程(S20)について説明する。電極体収容工程には、上記電極体準備工程で準備した電極体を電池ケース内に収容することが含まれている。本実施形態では、図2に示すように、捲回電極体50を電池ケース15内に収容することを含む。
図1及び図2に示すように、本実施形態の電池ケース15は、金属製(例えばアルミニウム製。また、樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)の電池ケースであって、上端が開放された有底の扁平な箱型形状(典型的には直方体形状)のケース本体(外装ケース)30と、該ケース本体30の開口部20を塞ぐ蓋体25とを備えている。電池ケース15の上面(すなわち蓋体25)には、上記捲回電極体50の正極64と電気的に接続する正極端子60および該捲回電極体50の負極84と電気的に接続する負極端子80が設けられている。また、蓋体25には、ケース本体30(電池ケース15)内に収容された捲回電極体50に後述する非水電解液を注入するための注入口45が形成されている。注入口45は、第1注入工程(S30)の後に非水電解液の揮発防止のために封止栓48によって仮封止してもよい。また、注入口45は、第2注入工程(S50)の後に完全に封止栓48によって封止される。さらに、蓋体25には、従来のリチウムイオン二次電池のケースと同様に、電池異常の際に電池ケース15内部で発生したガスを電池ケース15の外部に排出するための安全弁40が設けられている。捲回電極体50をケース本体30内に収容した後、ケース本体30の開口部20は溶接等によって蓋体25に封止される。
≪第1注入工程(S30)≫
次に、第1注入工程(S30)について説明する。本実施形態においては、第1注入工程として、ホウ素(B)を構成元素として含有するオキサラト錯体化合物(B元素含有オキサラト化合物)を含まない非水電解液を電池ケース内に注入する。
上記非水電解液としては、適当な有機溶媒(非水溶媒)に支持塩(典型的にはリチウム塩)を溶解させた非水電解液を用いることができる。有機溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類が例示される。かかる有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記支持塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiBF、LiCFSO等のリチウム塩が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特にLiPFが好ましい。支持塩の濃度は特に制限されないが、極端に低すぎると非水電解液に含まれる電荷担体(典型的にはリチウムイオン)の量が不足し、イオン伝導性が低下する傾向がある。またかかる濃度が極端に高すぎると、室温以下の温度域(例えば0℃〜30℃)において非水電解液の粘度が高くなり、イオン伝導性が低下する傾向がある。このため、該支持塩の濃度は例えば、0.1mol/L以上(例えば0.8mol/L以上)であって、2mol/L以下(例えば1.5mol/L以下)とすることが好ましい。
第1注入工程における上記非水電解液の注入量[g]は、第1注入工程及び第2注入工程における電池ケース内に注入する非水電解液の全量[g]を100質量%としたときに、40質量%〜70質量%(例えば50質量%〜60質量%)となるように決定することが好ましい。特に限定するものではないが、第1注入工程における上記非水電解液の注入量[g]は、後述する第2注入工程における非水電解液の注入量[g]とほぼ同等か、或いは第2注入工程における非水電解液の注入量[g]よりも多いことが好ましい。
上記B元素含有オキサラト化合物を含まない非水電解液を注入した後に、電池ケース15内の圧力を低下させる。このとき、注入口45を封止栓48によって仮封止を行ってもよい。そして、例えば−70KPa〜−90KPaの減圧下において、捲回電極体50に上記B元素含有オキサラト化合物を含まない非水電解液を含浸させる。
≪放置工程(S40)≫
次に、本実施形態において採用される放置工程(S40)について説明する。放置工程を設ける場合、B元素含有オキサラト化合物を含まない非水電解液を電池ケース内に注入した後に、該電池ケースを放置する。放置時間は、20分未満であってもよいが、例えば、少なくとも20分間(例えば20分〜5時間程度、通常は20分〜150分程度)が好ましい。このように、放置工程を設けることによって、捲回電極体50内のNa成分は、B元素含有オキサラト化合物を含まない非水電解液の全体に亘り良好に分散され得る。
なお、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)の製造方法では、放置工程を設けているがかかる形態に限定されない。即ち、第1注入工程の後に放置工程を設けることなく第2注入工程を実行してもよい。
≪第2注入工程(S50)≫
次に、第2注入工程について説明する。本実施形態においては、第2注入工程として、ホウ素(B)を構成元素として含有するオキサラト錯体化合物(B元素含有オキサラト化合物)を含む非水電解液を電池ケース内に注入する。
上記ホウ素(B)を構成元素として含有するオキサラト錯体化合物(B元素含有オキサラト化合物)としては、公知の方法により作製したもの、あるいは市販品の購入等により入手したものを特に限定せず一種または二種以上用いることができる。かかる化合物は、少なくとも一つのシュウ酸イオン(C 2−)がホウ素(B)に配位した構造部分を有しており、典型例としては、下記式(II)または(III)で表されるような化合物が挙げられる。
ここで、式(II)中のRおよびRは、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br。好ましくはF)および炭素原子数1〜10(好ましくは1〜3)のパーフルオロアルキル基から、それぞれ独立して選択される。式(II)、(III)中のAは、無機カチオンおよび有機カチオンのいずれでもよい。無機カチオンの具体例としては、Li、Na、K等のアルカリ金属のカチオン;Be、Mg、Ca等のアルカリ土類金属のカチオン;その他、Ag、Zn、Cu、Co、Fe、Ni、Mn、Ti、Pb、Cr、V、Ru、Y、ランタノイド、アクチノイド等の金属のカチオン;プロトン;等が挙げられる。有機カチオンの具体例としては、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウイオン;トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン等のトリアルキルアンモニウムイオン;その他、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン;等が挙げられる。好ましいカチオンの例として、リチウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオンおよびプロトンが挙げられる。
B元素含有オキサラト化合物の好適な添加量は、例えば、非水電解液に対して0.005mol/L以上(例えば0.01mol/L以上)であって、0.2mol/L以下(例えば0.1mol/L以下、好ましくは0.05mol/L以下)とすることが好ましい。添加量が上記範囲にある場合、本願発明の効果をより発揮することができ、より高い電池性能を実現し得る。
ホウ素(B)を構成元素として含有するオキサラト錯体化合物としては、式(III)で表される化合物が好ましく用いられる。なかでも、式(I)で表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)が好ましく用いられる。
第2注入工程で用いられる非水電解液としては、適当な有機溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液であって第1注入工程で用いられるものと同様のものが挙げられる。第1注入工程で用いたものと同様のものを適宜採用することが好ましい。
第2注入工程における上記非水電解液の注入量[g]は、第1注入工程及び第2注入工程における電池ケース内に注入する非水電解液の全量[g]を100質量%としたときに、30質量%〜60質量%(例えば40質量%〜50質量%)となるように決定することが好ましい。
かかる第2注入工程の前に上記仮封止をしていた場合はこれを解除して上記B元素含有オキサラト化合物を含む非水電解液を電池ケース15内に注入する。そして、B元素含有オキサラト化合物を含む非水電解液を注入した後に、電池ケース15内の圧力を低下させて、注入口45を封止栓48によって封止する。そして、例えば−70KPa〜−90KPaの減圧下において、捲回電極体50に上記B元素含有オキサラト化合物を含む非水電解液を含浸させる。
上記第2注入工程の後に、上記捲回電極体50に対して所定の充電電圧まで充電を行った後、所定の放電電圧まで放電を行う。例えば、捲回電極体50に対して凡そC/10〜1C(例えばC/3)の充電レートで所定の電圧(即ち上限電圧。例えば4.1V〜4.2V。即ちSOC100%に相当。)まで充電を行う。その後、捲回電極体50に対して凡そC/10〜1C(例えばC/3)の放電レートで所定の電圧(即ち下限電圧。例えば3V。即ちSOC0%に相当。)まで放電を行う。上記充放電を複数回(例えば2回〜5回)繰り返すことが好ましい。このように捲回電極体50に対して充放電処理を行うことによってリチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)10が作製される。
このように、第1注入工程(S30)において、B元素含有オキサラト化合物を含まない非水電解液を電池ケース15に注入して捲回電極体50に該非水電解液を含浸させることによって、捲回電極体50内のNa成分は該非水電解液中に溶け出して、非水電解液中に良好に分散される。そして、Na成分が良好に分散している状態で、第2注入工程(S50)において、B元素含有オキサラト化合物を含む非水電解液を電池ケース15に注入して捲回電極体50に含浸させる。これにより、非水電解液中のNa成分とB元素含有オキサラト化合物との反応により生じる被膜が局所的に多量になることが抑制される。即ち、捲回電極体50(典型的には負極活物質の表面)の全体に亘ってB元素含有オキサラト化合物由来の被膜が良好に形成される。このように、被膜量のバラツキが抑制された捲回電極体50を備えるリチウムイオン二次電池10では、充放電時に電流が局所的に集中することが防止されるため、金属リチウムの析出が抑制される。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[リチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)の作製]
<例1>
正極活物質としてのLiNi1/3Mn1/3Co1/3と、導電材としてのABと、結着剤としてのPVDFとの質量比が90:8:2となるように秤量し、これら材料をNMPに分散させてペースト状の正極合材層形成用組成物を調製した。かかる組成物を厚さ15μmの正極集電体(アルミニウム箔)の両面に片面当たり塗布量6g/cm(固形分基準)となるように塗布した。その後、該組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって正極集電体上に正極合材層が形成された正極シートを作製した。
一方、負極活物質としての天然黒鉛粒子と、バインダとしてのSBRと、増粘材としてのCMCとの質量比が98:1:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させてペースト状の負極合材層形成用組成物を調製した。かかる組成物を厚さ10μmの負極集電体(銅箔)の両面に片面当たり4g/cm(固形分基準)となるように塗布した。その後、該組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって負極集電体上に負極合材層が形成された負極シートを作製した。
そして、上記作製した正極シート及び負極シートを、厚さ20μmの2枚のセパレータシート(ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの三層構造)を介して捲回し捲回電極体を作製した。該電極体を角型のケースに収容して例1に係る組立体を作製した(組立体準備工程)。次いで、例1に係る組立体の角型のケース内にオキサラトボレート型化合物を含まない非水電解液20gを注入して(第1注入工程)、減圧下(ここでは−90KPa)で該非水電解液を捲回電極体内に含浸させた。次いで、上記角型のケース内にオキサラトボレート型化合物としてのリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB、Li[B(C])0.05mol/Lを含む非水電解液20gを注入して(第2注入工程)、減圧下(ここでは−90KPa)で該非水電解液を捲回電極体内に含浸させた。このようにして、例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との体積比3:4:3の混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させたものを使用した。
<例2>
第1注入工程の後に、20分間放置した他は例1と同様にして、例2に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<例3>
第1注入工程の後に、120分間放置した他は例1と同様にして、例3に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<例4>
例1に係る組立体の角型のケース内にオキサラトボレート型化合物としてのリチウムビス(オキサラト)ボレート0.025mol/Lを含む非水電解液40gを注入して、減圧下(ここでは−90KPa)で該非水電解液を捲回電極体内に含浸させた。このようにして、例4に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
[容量維持率測定]
上記作製した例1〜例4に係るリチウムイオン二次電池に適当なコンディショニング処理(例えば、正極理論容量の1/10Cの充電レートで3時間の定電流(CC)充電を行い、さらに1/3Cの充電レートで4.1Vまで定電流で充電する操作と、1/3Cの放電レートで3.0Vまで定電流放電させる操作とを2〜3回繰り返す初期充放電処理)を行った後、SOC60%の充電状態に調整した。ここで1Cとは、正極の理論容量より予測した電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流量を意味する。
次いで、上記コンディショニング処理を施した各二次電池に適当なエージング処理を施した。即ち、各二次電池を60℃の温度下で20時間放置した。
そして、エージング処理後の例1〜例4に係るリチウムイオン二次電池について、充放電を500サイクル繰り返し500サイクル後の容量維持率[%]を求めた。即ち、25℃の温度条件下、100A(20C)の充電レートで4.1Vまで定電流定電圧で充電する(CC−CV充電)操作と、100A(20C)の放電レートで3.0Vまで定電流定電圧で放電する(CC−CV放電)操作を500回繰り返した。1サイクル後の放電容量(初期容量)に対する、500サイクル後の放電容量の割合((500サイクル後の放電容量/初期容量)×100(%))を容量維持率(%)として算出した。以上の測定結果を表1に示す。
上記容量維持率測定後の例1〜例4に係るリチウムイオン二次電池を解体して各例に係るセパレータシートを取り出した。このときのセパレータシートの幅方向の中央部における金属リチウムの析出の有無を調べた。測定結果を表1に示す。図4及び図5は、それぞれ上記容量維持率測定後の例1及び例4に係るリチウムイオン二次電池のセパレータシートの状態を示す写真である。
表1の例1〜例3に係るリチウムイオン二次電池が示すように、第1注入工程においてLiBOBを含まない非水電解液を注入し、その後の第2注入工程においてLiBOBを含む非水電解液を注入してリチウムイオン二次電池を作製した場合、捲回電極体(セパレータシート)の幅方向の被膜量のバラツキが抑制されているため、高電流(ハイレート)で充放電を繰り返し行っても、セパレータシートの幅方向の中央部分には金属リチウムが析出していないことが確認された(図4参照)。一方、表1の例4に係るリチウムイオン二次電池が示すように、LiBOBを含む非水電解液を初めに注入してリチウムイオン二次電池を作製した場合、捲回電極体(セパレータシート)の中央部分に被膜が多く形成されるため、高電流(ハイレート)で充放電を繰り返すと、セパレータシートの幅方向の中央部分には金属リチウムが析出していることが確認された(図5参照)。
また、例1〜例3に係るリチウムイオン二次電池は、金属リチウムの析出が抑制されているため、例4に係るリチウムイオン二次電池と比べて容量維持率が高いことが確認された。さらに、例1〜例3に係るリチウムイオン二次電池が示すように、第1注入工程の後に放置する時間を長くすることによって、容量維持率が向上することが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、上記実施形態及び実施例は例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本発明に係る製造方法によって得られる非水電解液二次電池は、電荷担体に由来する物質の析出が抑制され容量維持率に優れることから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。従って本発明は、図6に模式的に示すように、かかるリチウムイオン二次電池10(典型的には当該電池10を複数個直列接続してなる組電池200)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料自動車のような電動機を備える自動車)100を提供する。
10 リチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)
15 電池ケース
20 開口部
25 蓋体
30 ケース本体
40 安全弁
45 注入口
48 封止栓
50 捲回電極体
60 正極端子
62 正極集電体
63 正極合材層非形成部分
64 正極
66 正極合材層
80 負極端子
82 負極集電体
83 負極合材層非形成部分
84 負極
88 負極合材層
90 セパレータ
100 車両(自動車)
200 組電池

Claims (5)

  1. 非水電解液二次電池を製造する方法であって、
    正極活物質を含む正極と負極活物質を含む負極とを備える電極体を準備する工程、ここで、前記電極体には不可避的な不純物としてナトリウム(Na)成分が含まれている;
    前記電極体を電池ケース内に収容する工程;
    ホウ素(B)を構成元素として含有するオキサラト錯体化合物を含まない非水電解液を前記電池ケース内に注入する第1注入工程;及び、
    前記第1注入工程の後に、前記オキサラト錯体化合物を含む非水電解液を前記電池ケース内に注入する第2注入工程;
    を包含する、非水電解液二次電池の製造方法。
  2. 前記第1注入工程と前記第2注入工程との間に、少なくとも20分間放置する放置工程を更に包含する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記オキサラト錯体化合物として、リチウムビス(オキサラト)ボレートを用いる、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記正極活物質として、リチウム遷移金属複合酸化物を用い、前記負極活物質として、少なくとも一部にグラファイト構造を有する炭素材料を用いる、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記電極体として、シート状に形成された正極とシート状に形成された負極とが重ね合わされた電極体であって該電極体の長手方向に捲回された捲回電極体を用いる、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
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