JP2016162742A - ナトリウム二次電池、ナトリウム二次電池の充放電システムおよびナトリウム二次電池の充放電方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】正極活物質としてナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を用いながらも、高容量であるナトリウム二次電池およびその充放電方法を提供する。【解決手段】ナトリウム二次電池は、正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、前記電解質は、イオン液体を20質量%以上含み、前記イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、前記カチオンは、ナトリウムイオンを含み、前記正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質を含むナトリウム二次電池に関し、特にナトリウム二次電池の正極活物質の改良に関する。
近年、太陽光または風力などの自然エネルギーを電気エネルギーに変換する技術が注目を集めている。また、多くの電気エネルギーを蓄えることができる蓄電デバイスとして、リチウム二次電池、リチウムイオンキャパシタなどの需要が拡大している。しかし、これらの蓄電デバイスの市場の拡大に伴い、リチウム資源の価格も上昇しつつある。
リチウム資源に比べると、ナトリウム資源は安価である。そこで、ナトリウムイオンを用いたナトリウム二次電池が検討されている。ナトリウム二次電池は、正極、負極、およびナトリウムイオン伝導性の非水電解質を含む。正極の活物質としては、ナトリウムイオンを吸蔵および放出する材料(遷移金属酸化物など)が用いられている。非特許文献1では、NaVOPO4をナトリウム二次電池の正極に用いることが検討されている。
J.Song,外3名、Chem. Commun., 2013年, 49, 5280
しかし、NaVOPO4のようなナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を正極活物質として用いるナトリウム二次電池は、高容量化が困難である。
そこで、本発明の目的は、正極活物質としてナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を用いながらも、高容量であるナトリウム二次電池およびその充放電方法を提供することである。
そこで、本発明の目的は、正極活物質としてナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を用いながらも、高容量であるナトリウム二次電池およびその充放電方法を提供することである。
本発明の一局面は、正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、前記電解質は、イオン液体を20質量%以上含み、前記イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、前記カチオンは、ナトリウムイオンを含み、前記正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池に関する。
本発明の他の一局面は、ナトリウム二次電池と、前記ナトリウム二次電池の充放電を制御する充放電制御ユニットと、前記ナトリウム二次電池の温度を40℃以上に制御する温度制御ユニットと、を含み、前記ナトリウム二次電池は、正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、前記正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池の充放電システムに関する。
本発明のさらに他の一局面は、正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、前記正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池の充放電方法であって、前記ナトリウム二次電池を、40℃以上の温度で充電する工程と、前記ナトリウム二次電池を、40℃以上の温度で放電する工程と、前記ナトリウム二次電池の温度が40℃未満のときには、40℃以上になるまで前記ナトリウム二次電池を加熱する工程と、を含む、ナトリウム二次電池の充放電方法に関する。
本発明によれば、正極活物質としてナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含むナトリウム二次電池を、高容量が得られる条件で作動させることができる。よって、ナトリウム二次電池から大きな容量を取り出すことができる。
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態は、(1)正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、電解質は、イオン液体を20質量%以上含み、イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、カチオンは、ナトリウムイオンを含み、正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池に関する。(2)好ましい実施形態では、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、式(1):NaxV1-yMyOPO4(元素Mは、Fe、Co、Ti、Cr、Mn、Ni、AlおよびMgからなる群より選択される少なくとも1種であり、0.2≦x≦1であり、0≦y≦0.5である)で表される化合物である。
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態は、(1)正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、電解質は、イオン液体を20質量%以上含み、イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、カチオンは、ナトリウムイオンを含み、正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池に関する。(2)好ましい実施形態では、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、式(1):NaxV1-yMyOPO4(元素Mは、Fe、Co、Ti、Cr、Mn、Ni、AlおよびMgからなる群より選択される少なくとも1種であり、0.2≦x≦1であり、0≦y≦0.5である)で表される化合物である。
イオン液体を20質量%以上含む電解質を用いることで、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含むナトリウム二次電池から、大きな容量を取り出すことができる。
(3)ナトリウム二次電池は、40℃以上の温度で充放電させることが好ましい。この場合、ナトリウム二次電池から大きな容量がより得られ易い。
(4)正極は、さらに導電助剤を含むことが好ましい。この場合、正極の導電性が高まり、正極の利用率が高まるため、高容量化の上で有利である。
(5)正極活物質は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の粒子Pを含み、導電助剤は、粒子Pの表面に付着する炭素質材料Cを含むことが好ましい。導電助剤としての炭素質材料を、正極活物質としてのナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の粒子Pの表面に付着させることで、導電性をさらに高め易くなる。また、比較的高いレートで充放電する場合にも、高容量がより得られ易い。
(6)粒子Pの平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。この場合、粒子Pの表面積を十分に確保することができ、ナトリウムイオンの吸蔵および放出をよりスムーズに行うことができる。また、このような平均粒子径の粒子の表面に炭素質材料を付着させることで、正極における導電性をさらに高めることができる。
(7)本発明の他の実施形態は、ナトリウム二次電池と、ナトリウム二次電池の充放電を制御する充放電制御ユニットと、ナトリウム二次電池の温度を40℃以上に制御する温度制御ユニットと、を含むナトリウム二次電池の充放電システムに関する。ここで、ナトリウム二次電池は、正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む。
ナトリウム二次電池の温度を40℃以上に制御して充放電することで、正極の可逆容量を大きく向上できる。つまり、ナトリウム二次電池を、高い容量が得られる条件で作動させることができるため、ナトリウム二次電池から大きな容量を取り出すことができる。温度制御ユニットを備えることから、比較的低温の環境下であっても、40℃以上に制御することができる。
(8)本発明のさらに他の実施形態は、正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池の充放電方法に関する。この充放電方法は、ナトリウム二次電池を、40℃以上の温度で充電する工程と、ナトリウム二次電池を、40℃以上の温度で放電する工程と、ナトリウム二次電池の温度が40℃未満のときには、40℃以上になるまでナトリウム二次電池を加熱する工程と、を含む。このような実施形態では、ナトリウム二次電池から大きな容量を取り出すことができる。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るナトリウム二次電池、ナトリウム二次電池の充放電システムおよびナトリウム二次電池の充放電方法の具体例を、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施形態に係るナトリウム二次電池、ナトリウム二次電池の充放電システムおよびナトリウム二次電池の充放電方法の具体例を、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
(ナトリウム二次電池)
ナトリウム二次電池は、正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含む。
以下、ナトリウム二次電池の構成要素についてより詳細に説明する。
ナトリウム二次電池は、正極と、負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含む。
以下、ナトリウム二次電池の構成要素についてより詳細に説明する。
(正極)
(正極活物質)
正極に含まれる正極活物質は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物(通常、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の粒子)を含む。ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、ポリアニオン型の構造を有し、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出するファラデー反応により容量を発現する。ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、バナジウムの4価と5価の価数変化により、金属ナトリウムの酸化還元電位に対して3.6Vと高い平均電位を示す。
(正極活物質)
正極に含まれる正極活物質は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物(通常、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の粒子)を含む。ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、ポリアニオン型の構造を有し、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵および放出するファラデー反応により容量を発現する。ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、バナジウムの4価と5価の価数変化により、金属ナトリウムの酸化還元電位に対して3.6Vと高い平均電位を示す。
ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物としては、例えば、式(1):NaxV1-yMyOPO4(元素Mは、Fe、Co、Ti、Cr、Mn、Ni、AlおよびMgからなる群より選択される少なくとも1種であり、0.2≦x≦1であり、0≦y≦0.5である)で表される化合物が好ましい。
式(1)において、Naの比率xは、0.2≦x≦1であり、好ましくは0.4≦x≦1である。なお、x値は、ナトリウム二次電池の充放電により増減する。
式(1)において、Naの比率xは、0.2≦x≦1であり、好ましくは0.4≦x≦1である。なお、x値は、ナトリウム二次電池の充放電により増減する。
式(1)において、元素Mは、Vサイトに置換し得る元素であり、例えば、Fe、Co、Ti、Cr、Mn、Ni、Al、Mgなどの遷移金属元素が挙げられる。元素Mは、1種の元素であってもよく、2種以上の元素であってもよい。
元素Mの比率yは、例えば0≦y≦0.5であり、好ましくは0≦y≦0.3である。
元素Mの比率yは、例えば0≦y≦0.5であり、好ましくは0≦y≦0.3である。
ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物としては、例えば、NaVOPO4で表される化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、イオン液体を20質量%以上、好ましくは70質量%以上、80質量%以上または90質量%以上含む電解質と組み合わせることで、高い容量を取り出し易い。
ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の平均粒子径は、例えば、2〜20μm、好ましくは4〜10μmである。このような平均粒子径を有するナトリウム含有リン酸バナジウム化合物によれば、ナトリウムイオンの吸蔵および放出をスムーズに行い易くなる。
平均粒子径とは、レーザー回折式または動的光散乱式の粒度分布測定で得られる粒度分布における体積基準のメディアン径である。粒径が小さい粒子については、動的光散乱式の粒度分布測定を採用してもよい。
(ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の製造方法)
ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、例えば以下の方法で得ることができる。
まず、ナトリウム化合物と、バナジウム化合物と、リン酸化合物と、必要に応じて元素Mを含む化合物と、を含む原料を調製する。
ナトリウム化合物、バナジウム化合物、リン酸化合物および元素Mを含む化合物としては、例えば酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、カルボン酸塩、アンモニウム塩などを用いることができる。
ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、例えば以下の方法で得ることができる。
まず、ナトリウム化合物と、バナジウム化合物と、リン酸化合物と、必要に応じて元素Mを含む化合物と、を含む原料を調製する。
ナトリウム化合物、バナジウム化合物、リン酸化合物および元素Mを含む化合物としては、例えば酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、カルボン酸塩、アンモニウム塩などを用いることができる。
具体的には、ナトリウム化合物としては、Na(CH3COO)、Na2CO3、NaHCO3、Na2Oなどを用いることができる。なかでも、Na(CH3COO)が好ましい。
バナジウム化合物としては、NH4VO3、VO2、VOSO4などを用いることができる。なかでも、NH4VO3が好ましい。
リン酸化合物としては、(NH4)2HPO4、NH4H2PO4、H3PO4などを用いることができる。なかでも、(NH4)2HPO4が好ましい。
バナジウム化合物としては、NH4VO3、VO2、VOSO4などを用いることができる。なかでも、NH4VO3が好ましい。
リン酸化合物としては、(NH4)2HPO4、NH4H2PO4、H3PO4などを用いることができる。なかでも、(NH4)2HPO4が好ましい。
上記の原料、すなわち、ナトリウム化合物と、バナジウム化合物と、リン酸化合物と、必要に応じて元素Mを含む化合物と、を含む混合物は、ボールミル、攪拌機等を用いてこれらを混合することで得られる。
得られた混合物を、酸化雰囲気または不活性雰囲気中、400℃〜600℃で焼成することで、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物が得られる。焼成時間は、例えば5〜15時間である。なお、焼成は、複数回の段階に分けて行ってもよい。この場合、例えば200〜400℃で原料の混合物を仮焼成し、その後、400〜600℃で焼成を行えばよい。
酸化雰囲気で焼成する場合、空気中で焼成すればよい。または、より酸素濃度の高い雰囲気で焼成を行ってもよい。不活性雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどを含む雰囲気が挙げられる。酸化雰囲気および不活性雰囲気の圧力は、例えば、0.095〜0.105kPaである。
正極活物質は、必要により、上記のナトリウム含有リン酸バナジウム化合物以外の活物質(具体的には、ナトリウムイオンを吸蔵および放出する材料)を含んでもよい。正極活物質に占める上記のナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の比率は、例えば、80〜100質量%、好ましくは90〜100質量%である。正極活物質を、上記のナトリウム含有リン酸バナジウム化合物のみで構成してもよい。
正極は、正極集電体と、正極集電体に付着した正極活物質(または正極合剤)とを含んでもよい。正極は、例えば、正極集電体に正極活物質を含む正極合剤を塗布または充填し、厚み方向に圧縮(または圧延)し、乾燥することにより形成できる。必要に応じて、正極合剤を正極集電体に塗布または充填した後、圧縮に先立って、乾燥処理を行ってもよい。また、正極としては、正極集電体の表面に、蒸着、スパッタリングなどの気相法で正極活物質の堆積膜を形成することにより得られるものを用いてもよい。
正極集電体は、金属箔でもよく、金属多孔体(金属繊維の不織布、金属多孔体シートなど)であってもよい。金属多孔体としては、三次元網目状の骨格(特に、中空の骨格)を有する金属多孔体も使用できる。正極集電体の材質としては、正極電位での安定性の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金などが好ましい。金属箔の厚みは、例えば10〜50μmであり、金属多孔体の厚みは、例えば100〜2000μmである。
正極合剤は、正極活物質に加え、さらに導電助剤および/またはバインダを含むことができる。正極合剤は、通常、分散媒を含むスラリーの形態で使用される。分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−methyl−2−pyrrolidone)などの有機溶媒の他、水などが用いられる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゴム状重合体、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなど)、および/またはセルロースエーテルなどが挙げられる。バインダの量は、例えば、正極活物質(またはナトリウム含有リン酸バナジウム化合物)100質量部に対して、3〜15質量部または5〜10質量部であってもよい。
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、非晶質炭素、および/または炭素繊維(気相法炭素繊維など)、および/またはカーボンナノチューブなどの炭素質材料を用いることが好ましい。炭素質材料には、有機酸(クエン酸などの有機カルボン酸など)および/または糖などを焼成(例えば、500〜1000℃または500〜700℃の温度で加熱)することにより得られる材料(非晶質炭素など)も含まれる。
導電助剤は、正極合剤を調製する際に混合してもよく、予め正極活物質粒子(特に、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の粒子)の表面に付着した状態で用いてもよい。導電助剤を正極活物質粒子の表面に付着させるのは、導電助剤を正極活物質粒子の表面にまぶし付けることにより行ってもよく、メカノケミカル法(メカノフュージョン法も含む)などにより行ってもよい。また、導電助剤の原料または前駆体(例えば、上記の有機酸および/または糖など)を正極活物質粒子の表面に付着させ、焼成により炭素化することで導電助剤に変換してもよい。焼成は、例えば800℃以下(500〜600℃など)の温度で行うことが好ましい。
導電助剤(具体的には、炭素質材料C)が表面に付着したナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の粒子において、この粒子に対する炭素質材料Cの質量比(=炭素質材料C/ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物粒子P)は、例えば、0.05〜0.4であり、好ましくは0.1〜0.3である。質量比がこのような範囲である場合、導電性をさらに高めることができるとともに、ナトリウムイオンの吸蔵および放出が妨げられにくい。
高容量および高い導電性を確保し易い観点から、正極における導電助剤(炭素質材料Cを含む)の量は、正極活物質100質量部に対して、例えば、5〜40重量部であり、好ましくは5〜30質量部であり、さらに好ましくは7〜30質量部であってもよい。
(負極)
負極は、負極活物質を含む。負極は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極活物質(または負極合剤)とを含んでもよい。
負極集電体は、正極集電体について記載したような金属箔または金属多孔体であってもよい。負極集電体の材質としては、特に制限されないが、ナトリウムと合金化せず、負極電位で安定であることから、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、および/またはステンレス鋼などが好ましい。負極集電体の厚みは、正極集電体の場合について記載した範囲から適宜選択できる。
負極は、負極活物質を含む。負極は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極活物質(または負極合剤)とを含んでもよい。
負極集電体は、正極集電体について記載したような金属箔または金属多孔体であってもよい。負極集電体の材質としては、特に制限されないが、ナトリウムと合金化せず、負極電位で安定であることから、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、および/またはステンレス鋼などが好ましい。負極集電体の厚みは、正極集電体の場合について記載した範囲から適宜選択できる。
負極活物質としては、ナトリウム、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、ケイ素などの金属またはその合金、もしくはその化合物;および炭素質材料などが例示できる。なお、合金は、これらの金属以外に、さらに他のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属などを含んでもよい。金属化合物としては、チタン酸リチウム(Li2Ti3O7および/またはLi4Ti5O12など)などのリチウム含有チタン酸化物、およびチタン酸ナトリウム(Na2Ti3O7および/またはNa4Ti5O12など)などのナトリウム含有チタン酸化物が例示できる。リチウム含有チタン酸化物(またはナトリウム含有チタン酸化物)において、チタンの一部、および/またはリチウム(またはナトリウム)の一部を他元素で置換してもよい。炭素質材料としては、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、および/または難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)などが例示できる。負極活物質は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、ナトリウムイオンを吸蔵および放出(または、挿入および脱離)する材料(つまり、ファラデー反応により容量を発現する材料)、例えば、上記合金、化合物、および/または炭素質材料(特に、ハードカーボンなどの炭素質材料)などが好ましい。
負極は、正極の場合に準じて、例えば、負極集電体に、負極活物質を含む負極合剤を塗布または充填し、乾燥し、必要に応じて、乾燥物を厚み方向に圧縮(または圧延)することにより形成できる。また、負極としては、負極集電体の表面に、蒸着、またはスパッタリングなどの気相法で負極活物質の堆積膜を形成することにより得られるものを用いてもよい。負極活物質には、必要に応じて、ナトリウムイオンをプレドープしてもよい。
負極合剤は、負極活物質に加え、さらに導電助剤および/またはバインダを含むことができる。結着剤および導電助剤としては、それぞれ、負極について例示したものから適宜選択できる。負極活物質に対する結着剤および導電助剤の量も、正極について例示した範囲から適宜選択できる。負極合剤は、通常、分散媒を含むスラリー(またはペースト)の形態で使用される。分散媒としては、正極について例示したものから適宜選択できる。
(セパレータ)
セパレータとしては、例えば、樹脂製の微多孔膜、および/または不織布などが使用できる。セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択できる。微多孔膜または不織布を形成する繊維に含まれる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂など)、および/またはポリイミド樹脂などが例示できる。不織布を形成する繊維は、ガラス繊維などの無機繊維であってもよい。セパレータは、セラミックス粒子などの無機フィラーを含んでもよい。
セパレータの厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜300μm程度の範囲から選択できる。
セパレータとしては、例えば、樹脂製の微多孔膜、および/または不織布などが使用できる。セパレータの材質は、電池の使用温度を考慮して選択できる。微多孔膜または不織布を形成する繊維に含まれる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂など)、および/またはポリイミド樹脂などが例示できる。不織布を形成する繊維は、ガラス繊維などの無機繊維であってもよい。セパレータは、セラミックス粒子などの無機フィラーを含んでもよい。
セパレータの厚みは、特に限定されないが、例えば、10〜300μm程度の範囲から選択できる。
(電解質)
電解質としては、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質、具体的には、ナトリウムイオンとアニオンとを含む電解質(好ましくは非水電解質)が使用される。このような電解質としては、例えば、有機溶媒にナトリウムイオンとアニオンとの塩(ナトリウム塩)を溶解させた電解質(有機電解質)、およびナトリウムイオンを含むカチオンとアニオンとを含むイオン液体(溶融塩)を主体として含む溶融塩電解質などが用いられる。溶融塩電解質を用いる電池を、溶融塩電池という。イオン液体は、溶融状態の塩(溶融塩)と同義であり、アニオンとカチオンとで構成される液状イオン性物質である。
電解質としては、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質、具体的には、ナトリウムイオンとアニオンとを含む電解質(好ましくは非水電解質)が使用される。このような電解質としては、例えば、有機溶媒にナトリウムイオンとアニオンとの塩(ナトリウム塩)を溶解させた電解質(有機電解質)、およびナトリウムイオンを含むカチオンとアニオンとを含むイオン液体(溶融塩)を主体として含む溶融塩電解質などが用いられる。溶融塩電解質を用いる電池を、溶融塩電池という。イオン液体は、溶融状態の塩(溶融塩)と同義であり、アニオンとカチオンとで構成される液状イオン性物質である。
本実施形態では、ナトリウム二次電池を40℃以上の温度で充放電させることが好ましい。この場合、電解質の分解を抑制し易い観点から、耐熱性の高い有機電解質や、溶融塩電解質を用いることが好ましい。
電解質におけるナトリウム塩またはナトリウムイオンの濃度は、例えば、0.3〜10mol/Lの範囲から適宜選択できる。
電解質におけるナトリウム塩またはナトリウムイオンの濃度は、例えば、0.3〜10mol/Lの範囲から適宜選択できる。
(有機電解質)
有機電解質は、有機溶媒およびナトリウム塩に加え、イオン液体および/または添加剤などを含むことができるが、電解質中の有機溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60質量%以上、好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。電解質中の有機溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、100質量%以下、または95質量%以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。電解質中の有機溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60〜100質量%、または75〜100質量%であってもよい。
有機電解質は、有機溶媒およびナトリウム塩に加え、イオン液体および/または添加剤などを含むことができるが、電解質中の有機溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60質量%以上、好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。電解質中の有機溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、100質量%以下、または95質量%以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。電解質中の有機溶媒およびナトリウム塩の含有量の合計は、例えば、60〜100質量%、または75〜100質量%であってもよい。
ナトリウム塩を構成するアニオン(第1アニオン)の種類は特に限定されず、例えば、フッ素含有酸のアニオン(ヘキサフルオロリン酸イオンなどのフッ素含有リン酸アニオン;テトラフルオロホウ酸イオンなどのフッ素含有ホウ酸アニオンなど)、塩素含有酸のアニオン(過塩素酸イオンなど)、オキサレート基を有する酸素酸のアニオン[ビス(オキサラト)ボレートイオン(B(C2O4)2 -)などのオキサラトボレートイオン;トリス(オキサラト)ホスフェートイオン(P(C2O4)3 -)などのオキサラトホスフェートイオンなど]、フルオロアルカンスルホン酸のアニオン[トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)など]、およびビススルホニルアミドアニオンなどが挙げられる。
ナトリウム塩は、一種を単独で用いてもよく、第1アニオンの種類が異なるナトリウム塩を二種以上組み合わせて用いてもよい。
ナトリウム塩は、一種を単独で用いてもよく、第1アニオンの種類が異なるナトリウム塩を二種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のビススルホニルアミドアニオンとしては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン(FSA:bis(fluorosulfonyl)amide anion))、(フルオロスルホニル)(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン[(FSO2)(CF3SO2)N-など]、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミドアニオン[ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(TFSA:bis(trifluoromethylsulfonyl)amide anion(N(SO2CF3)2 -))、N(SO2C2F5)2 -など]などが挙げられる。これらのうち、特に、FSAおよび/またはTFSAが好ましい。
有機溶媒は、特に限定されず、ナトリウム二次電池に使用される公知の有機溶媒が使用できる。有機溶媒は、イオン伝導度の観点から、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびブチレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;ならびに、γ−ブチロラクトンなどの環状炭酸エステルなどを好ましく用いることができる。有機溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(溶融塩電解質)
溶融塩電解質は、イオン液体に加え、有機溶媒および/または添加剤などを含むことができる。ただし、電解質は、有機溶媒を含まないか、含む場合でも、電解質中の有機溶媒の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、30質量%以下、20質量%以下または10質量%以下であることがさらに好ましい。電解質中のイオン液体の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、70質量%、80質量%以上または90質量%以上であってもよい。電解質の全てがイオン液体(電解質中のイオン液体が100質量%)である場合も好ましい。
溶融塩電解質は、イオン液体に加え、有機溶媒および/または添加剤などを含むことができる。ただし、電解質は、有機溶媒を含まないか、含む場合でも、電解質中の有機溶媒の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、30質量%以下、20質量%以下または10質量%以下であることがさらに好ましい。電解質中のイオン液体の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、70質量%、80質量%以上または90質量%以上であってもよい。電解質の全てがイオン液体(電解質中のイオン液体が100質量%)である場合も好ましい。
イオン液体(またはそのカチオン)は、ナトリウムイオン(第1カチオン)に加え、ナトリウムイオン以外のカチオン(第2カチオン)を含むことができる。第2カチオンとしては、有機カチオンが好ましい。イオン液体(またはそのカチオン)は、第2カチオンを、一種含んでもよく、二種以上組合せて含んでもよい。
有機カチオンとしては、窒素含有オニウムカチオン;イオウ含有オニウムカチオン;および/またはリン含有オニウムカチオンなどが例示できる。窒素含有有機オニウムカチオンのうち、特に、第4級アンモニウムカチオン、および窒素含有ヘテロ環骨格として、ピロリジン、ピリジン、またはイミダゾール骨格を有するカチオンが好ましい。
窒素含有有機オニウムカチオンの具体例としては、テトラエチルアンモニウムカチオン(TEA:tetraethylammonium cation)、メチルトリエチルアンモニウムカチオン(TEMA:methyltriethylammonium cation)などのテトラアルキルアンモニウムカチオン;1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン(MPPYまたはPy13:1−methyl−1−propylpyrrolidinium cation)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン(MBPYまたはPy14:1−butyl−1−methylpyrrolidinium cation);1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(EMI: 1−ethyl−3−methylimidazolium cation)、および/または1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン(BMI:1−buthyl−3−methylimidazolium cation)などが挙げられる。
有機カチオンは、一種で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。
有機カチオンは、一種で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。
イオン液体に含まれるアニオンとしては、ビススルホニルアミドアニオンが好ましい。ビススルホニルアミドアニオンとしては、有機電解質について例示したものから適宜選択できる。ビススルホニルアミドアニオンのうち、特に、FSAおよび/またはTFSAが好ましい。
第2カチオンが有機カチオンである場合、第1カチオン(ナトリウムイオン)のカチオン全体に占める比率は、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上または25モル%以上であることが好ましく、30モル%以上または40モル%以上であることがさらに好ましい。また、第1カチオンの比率は、65モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがさらに好ましい。このような溶融塩電解質は、比較的低粘度であり、高容量が得られ易い。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせて好ましい範囲を設定することができる。例えば、第1塩の比率は、10〜65モル%、15〜55モル%、または25〜55モル%であってもよい。
(作動温度)
ナトリウム二次電池の作動温度(具体的には、充放電させる温度)は、例えば、40℃以上であり、好ましくは60℃以上、70℃以上または90℃以上である。ナトリウム二次電池の作動温度は、120℃以下または100℃以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。作動温度は、例えば、50〜120℃、60〜120℃、70〜120℃、90〜120℃、70〜100℃または90〜100℃であってもよい。
ナトリウム二次電池の作動温度(具体的には、充放電させる温度)は、例えば、40℃以上であり、好ましくは60℃以上、70℃以上または90℃以上である。ナトリウム二次電池の作動温度は、120℃以下または100℃以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。作動温度は、例えば、50〜120℃、60〜120℃、70〜120℃、90〜120℃、70〜100℃または90〜100℃であってもよい。
図1は、本実施形態に係るナトリウム二次電池を概略的に示す縦断面図である。ナトリウム二次電池は、積層型の電極群、電解質(図示せず)およびこれらを収容する角型のアルミニウム製の電池ケース10を具備する。電池ケース10は、上部が開口した有底の容器本体12と、上部開口を塞ぐ蓋体13とで構成されている。
ナトリウム二次電池を組み立てる際には、まず、正極2と負極3とをこれらの間にセパレータ1を介在させた状態で積層することにより電極群が構成され、構成された電極群が電池ケース10の容器本体12に挿入される。その後、容器本体12に電解質を注液し、電極群を構成するセパレータ1、正極2および負極3の空隙に電解質を含浸させる工程が行われる。
蓋体13の中央には、電池ケース10の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。安全弁16を中央にして、蓋体13の一方側寄りには、蓋体13を貫通する外部負極端子14が設けられ、蓋体13の他方側寄りの位置には、蓋体13を貫通する外部正極端子(図示せず)が設けられる。
積層型の電極群は、いずれも矩形のシート状である、複数の正極2と複数の負極3およびこれらの間に介在する複数のセパレータ1により構成されている。図1では、セパレータ1は、正極2を包囲するように袋状に形成されているが、セパレータの形態は特に限定されない。複数の正極2と複数の負極3は、電極群内で積層方向に交互に配置される。
各正極2の一端部には、正極リード片2aを形成してもよい。同様に、各負極3の一端部には、負極リード片3aを形成してもよい。正極リード片2aの束と負極リード片3aの束は、互いの接触を避けるように、電極群の一端面の左右に、間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子および外部負極端子14は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット7が嵌められている。各端子の電池ケース10内部に収容される部分には、鍔部8が設けられており、ナット7の回転により、鍔部8が、蓋体13の内面に、O−リング状のガスケット9を介して固定される。
(ナトリウム二次電池の充放電システムおよび充放電方法)
本実施形態に係る充放電システムは、上記のナトリウム二次電池と、充放電制御ユニットと、温度制御ユニットとを含む。
充放電制御ユニットは、ナトリウム二次電池と接続して、充放電を制御する。充放電制御ユニットは、ナトリウム二次電池の充電を制御するユニットと、放電を制御するユニットとを備えていることが好ましい。
本実施形態に係る充放電システムは、上記のナトリウム二次電池と、充放電制御ユニットと、温度制御ユニットとを含む。
充放電制御ユニットは、ナトリウム二次電池と接続して、充放電を制御する。充放電制御ユニットは、ナトリウム二次電池の充電を制御するユニットと、放電を制御するユニットとを備えていることが好ましい。
充電制御ユニットは、例えば、電池の充電を制御するための回路などを備えている。充電制御ユニットは、少なくとも充電時には外部電源と接続して、ナトリウム二次電池の電圧および/または充電電流の積算値などが所定の値となるまで、外部電源から電流を供給することができる。充電制御ユニットは、外部電源からナトリウム二次電池への充電電流および/または電圧を制御してもよい。
放電制御ユニットは、例えば、電池の放電を制御するための回路などを備えている。放電制御ユニットは、ナトリウム二次電池と接続しており、ナトリウム二次電池の電圧および/または放電電流の積算値などが所定の値となるまで、ナトリウム二次電池からこれに接続した負荷機器への放電(具体的には、放電電流および/または電圧)を制御することができる。
温度制御ユニットは、ナトリウム二次電池の温度を制御できる限り、その構成は特に制限されない。温度制御ユニットは、例えば、ナトリウム二次電池の温度を検知するための温度測定部(温度センサ)と、ナトリウム二次電池を加熱するためのヒータとを備えていてもよい。
ヒータは、温度センサで検知される電池の温度が、所定値(例えば、40℃など)に満たない場合に作動して、電池の温度が所定値以上となるように電池を加熱することができる。電池温度が必要以上に上昇しないように、温度センサで検知される電池温度が所定値(例えば、120℃など)になったときには、ヒータを停止させてもよい。温度センサは、電池温度を連続的に測定してもよく、断続的に測定してもよい。また、電池の充放電のいずれもが停止している間は、温度制御ユニット(または温度センサ)を停止させてもよい。必要に応じて、ヒータおよび温度センサの作動を温度制御装置(温度制御回路など)などで集約して制御してもよい。また、温度制御装置では、必要に応じて、温度センサで検知される電池温度と目標とする所定の電池温度とから、加熱に必要な熱量を算出し、算出した熱量をヒータから電池に供給するように制御してもよい。電池温度を、例えば、40℃以上の所定値付近で保持するように、温度センサから検知される電池温度または算出される必要な熱量などに応じて、ヒータによる加熱を断続的に行ってもよい。
温度制御ユニット(または温度センサ)と、充放電制御ユニット(具体的には、充電制御ユニットおよび/または放電制御ユニット)とは、必要に応じて接続していてもよい。例えば、温度センサから検知される電池温度が所定値となったときに、充放電制御ユニットにより、電池の充放電を開始したり、および/または停止したりしてもよい。
本実施形態では、温度制御ユニットにより、ナトリウム二次電池を上記のような温度で作動させることで、より高容量が得られ易い。
充放電システムは、必要に応じて、ナトリウム二次電池などの二次電池の充放電システムに含まれる公知のユニットを含むことができる。例えば、電池を冷却するための冷却装置などを充放電システムが備えていてもよい。
図2は、本実施形態に係る充放電システムを概略的に示す構成図である。
充放電システム100は、ナトリウム二次電池101と、電池101の充放電を制御する充放電制御ユニット102と、電池101の温度を制御する温度制御ユニット201とを備えている。充放電制御ユニット102は、電池101を充電する際の電流および/または電圧などを制御する充電制御ユニット102aと、電池101を放電する際の電流および/または電圧などを制御する放電制御ユニット102bとを含む。充電制御ユニット102aは、外部電源104および電池101と接続しており、放電制御ユニット102bは、電池101と接続している。電池101には、電池101から供給される電力を消費する負荷機器(例えば、電気自動車など)103が接続している。充電時には、負荷機器103と電池101との接続は通常切断されており、放電時には、外部電源104と充放電制御ユニット102(具体的には、充電制御ユニット102a)との接続は通常切断されている。
充放電システム100は、ナトリウム二次電池101と、電池101の充放電を制御する充放電制御ユニット102と、電池101の温度を制御する温度制御ユニット201とを備えている。充放電制御ユニット102は、電池101を充電する際の電流および/または電圧などを制御する充電制御ユニット102aと、電池101を放電する際の電流および/または電圧などを制御する放電制御ユニット102bとを含む。充電制御ユニット102aは、外部電源104および電池101と接続しており、放電制御ユニット102bは、電池101と接続している。電池101には、電池101から供給される電力を消費する負荷機器(例えば、電気自動車など)103が接続している。充電時には、負荷機器103と電池101との接続は通常切断されており、放電時には、外部電源104と充放電制御ユニット102(具体的には、充電制御ユニット102a)との接続は通常切断されている。
温度制御ユニット201は、電池101を加熱するためのヒータ201aと、電池101の温度を検知するための温度センサ102bと、温度制御装置201cとを備えている。温度制御装置201cは、ヒータ201aおよび温度センサ102bのそれぞれと接続している。温度制御装置201cは、温度センサ102bで検知される電池温度と、目標とする電池温度(40℃以上の温度)と、必要に応じてこれらの温度から求められる値などの情報に基づいて、ヒータ201aの動作(オンオフ、および/または電池に供給する熱量など)を制御する。
本実施形態には、ナトリウム二次電池を前述の温度(例えば、40℃以上の温度)で充放電するナトリウム二次電池の充放電方法も包含される。充放電方法は、具体的には、ナトリウム二次電池を40℃以上の温度で充電する工程と、ナトリウム二次電池を40℃以上の温度で放電する工程と、ナトリウム二次電池の温度が40℃未満のときには、40℃以上になるまでナトリウム二次電池を加熱する工程と、を含む。充放電を40℃以上の高い温度で行うことで、大きな容量を電池から取り出すことができる。電池を加熱する工程は、例えば、上記で温度制御ユニットについて説明したように、ヒータなどを利用して行うことができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)NaVOPO4の合成
Na(CH3COO)を24.8質量部、NH4VO3を35.3質量部、(NH4)2HPO4を39.9質量部およびクエン酸を0.5質量部、イオン交換水に溶解して水溶液を調製した。得られた水溶液を8時間攪拌した。混合物を80℃で乾燥させた後、大気圧下、空気中で300℃で4時間焼成し、その後500℃で4時間焼成した。焼成物のX線回折スペクトルを測定し、NaVOPO4のX線回折パターンと比較し、焼成物がNaVOPO4であることを確認した。焼成物のX線回折スペクトルを図3の(a)に示す。
(1)NaVOPO4の合成
Na(CH3COO)を24.8質量部、NH4VO3を35.3質量部、(NH4)2HPO4を39.9質量部およびクエン酸を0.5質量部、イオン交換水に溶解して水溶液を調製した。得られた水溶液を8時間攪拌した。混合物を80℃で乾燥させた後、大気圧下、空気中で300℃で4時間焼成し、その後500℃で4時間焼成した。焼成物のX線回折スペクトルを測定し、NaVOPO4のX線回折パターンと比較し、焼成物がNaVOPO4であることを確認した。焼成物のX線回折スペクトルを図3の(a)に示す。
(2)ナトリウム二次電池の作製
上記(1)で得られたNaVOPO4(正極活物質)およびアセチレンブラック(炭素質材料)を、ボールミル内で8時間混合することにより、正極活物質粒子の表面に、アセチレンブラックを付着させた。正極活物質とアセチレンブラックとの質量比を5:1とした。NaVOPO4の粒子PおよびアセチレンブラックCの質量比C/Pは、0.2である。得られた粒子のX線回折スペクトルを図3の(b)に示す。
上記(1)で得られたNaVOPO4(正極活物質)およびアセチレンブラック(炭素質材料)を、ボールミル内で8時間混合することにより、正極活物質粒子の表面に、アセチレンブラックを付着させた。正極活物質とアセチレンブラックとの質量比を5:1とした。NaVOPO4の粒子PおよびアセチレンブラックCの質量比C/Pは、0.2である。得られた粒子のX線回折スペクトルを図3の(b)に示す。
得られた粒子と、気相法炭素繊維と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、バインダ)とをめのう乳鉢で混合することにより、正極合剤を調製した。このとき、正極活物質と、導電助剤(アセチレンブラックおよび気相法炭素繊維の合計)と、バインダとの質量比を100:26.7:6.7とした。正極合剤ペーストを、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、十分に乾燥させ、圧延して、厚さ80μmの正極を作製した。正極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
金属ナトリウムディスク(アルドリッチ社製、厚さ200μm)をアルミニウム集電体に圧着して、総厚700μmの負極を作製した。負極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
金属ナトリウムディスク(アルドリッチ社製、厚さ200μm)をアルミニウム集電体に圧着して、総厚700μmの負極を作製した。負極は、直径12mmのコイン型に打ち抜いた。
コイン型の正極、負極およびセパレータを、0.3Paの減圧下で、90℃以上で加熱して十分に乾燥させた。その後、浅底の円筒型のAl/SUSクラッド製容器に、コイン型の負極を載置し、その上にコイン型のセパレータを介してコイン型の正極を載置し、所定量の電解質を容器内に注液した。その後、周縁に絶縁ガスケットを具備する浅底の円筒型のAl/SUSクラッド製封口板で、容器の開口を封口した。これにより、容器底面と封口板との間で、負極、セパレータおよび正極からなる電極群に圧力を印加し、部材間の接触を確保した。こうして、設計容量1.5mAhのコイン型のナトリウム二次電池A(ハーフセル)を作製した。なお、セパレータとしては、ガラスマイクロファイバー(ワットマン社製、グレードGF/A、厚さ260μm)製のセパレータを用いた。電解質としては、Na・FSAとPy13・FSAとを、20:80のモル比で含むイオン液体(電解質中のイオン液体の含有量:100質量%)を用いた。
(3)評価
ナトリウム二次電池の温度が90℃の状態で、以下の(a)および(b)の条件を充放電の1サイクルとして充放電を行い、2サイクル目の放電容量を求めた。
ナトリウム二次電池の温度が90℃の状態で、以下の(a)および(b)の条件を充放電の1サイクルとして充放電を行い、2サイクル目の放電容量を求めた。
(a)電流密度5mA/g(0.05C相当の電流値)、上限電圧(充電終止電圧)4.4Vまで充電
(b)電流密度5mA/g(0.05C相当の電流値)、下限電圧(放電終止電圧)2.5Vまで放電
(b)電流密度5mA/g(0.05C相当の電流値)、下限電圧(放電終止電圧)2.5Vまで放電
上記の充放電サイクルにおける2回目の充放電曲線を図4に示す。
比較例1
電解質として、有機電解液を用いる以外は、実施例1と同様にして、コイン型の電池Bを作製した。有機電解液としては、NaClO4を1mol/Lの濃度で含むプロピレンカーボネート溶液を用いた。
得られた電池Bを用いて、電池温度を25℃としたこと以外、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1および比較例1の結果を表1に示す。
電解質として、有機電解液を用いる以外は、実施例1と同様にして、コイン型の電池Bを作製した。有機電解液としては、NaClO4を1mol/Lの濃度で含むプロピレンカーボネート溶液を用いた。
得られた電池Bを用いて、電池温度を25℃としたこと以外、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1および比較例1の結果を表1に示す。
表1より、電池Aは優れた放電容量を示すことがわかる。一方、電池Bでは、特に90℃においては有機電解液が分解し、放電を行うことができない。
本発明の一実施形態によれば、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を正極活物質として用いたナトリウム二次電池において、大きな容量を得ることができる。そのため、このようなナトリウム二次電池は、例えば、家庭用または工業用の大型電力貯蔵装置や、電気自動車やハイブリッド自動車の電源として有用である。また、本発明の実施形態に係る充放電制御システムおよび充放電方法は、これらの用途に適用されるナトリウム二次電池の充放電制御に適している。
1:セパレータ
2:正極
2a:正極リード片
3:負極
3a:負極リード片
7:ナット
8:鍔部
9:ガスケット
10:電池ケース
12:容器本体
13:蓋体
14:外部負極端子
16:安全弁
2:正極
2a:正極リード片
3:負極
3a:負極リード片
7:ナット
8:鍔部
9:ガスケット
10:電池ケース
12:容器本体
13:蓋体
14:外部負極端子
16:安全弁
100:充放電システム
101:ナトリウム二次電池
102:充放電制御ユニット
102a:充電制御ユニット
102b:放電制御ユニット
103:負荷機器
104:外部電源
201:温度制御ユニット
201a:ヒータ
201b:温度センサ
201c:温度制御装置
101:ナトリウム二次電池
102:充放電制御ユニット
102a:充電制御ユニット
102b:放電制御ユニット
103:負荷機器
104:外部電源
201:温度制御ユニット
201a:ヒータ
201b:温度センサ
201c:温度制御装置
Claims (8)
- 正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、
前記電解質は、イオン液体を20質量%以上含み、
前記イオン液体は、アニオンとカチオンとを含み、
前記カチオンは、ナトリウムイオンを含み、
前記正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池。 - 前記ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物は、式(1):NaxV1-yMyOPO4(元素Mは、Fe、Co、Ti、Cr、Mn、Ni、AlおよびMgからなる群より選択される少なくとも1種であり、0.2≦x≦1であり、0≦y≦0.5である)で表される化合物である請求項1に記載のナトリウム二次電池。
- 40℃以上の温度で充放電させる、請求項1または請求項2に記載のナトリウム二次電池。
- 前記正極は、さらに導電助剤を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
- 前記正極活物質は、前記ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物の粒子Pを含み、
前記導電助剤は、前記粒子Pの表面に付着する炭素質材料Cを含む、請求項4に記載のナトリウム二次電池。 - 前記粒子Pの平均粒子径は、2〜20μmである請求項5に記載のナトリウム二次電池。
- ナトリウム二次電池と、
前記ナトリウム二次電池の充放電を制御する充放電制御ユニットと、
前記ナトリウム二次電池の温度を40℃以上に制御する温度制御ユニットと、を含み、
前記ナトリウム二次電池は、正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、
前記正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池の充放電システム。 - 正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、ナトリウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、
前記正極は、ナトリウム含有リン酸バナジウム化合物を含む正極活物質を含む、ナトリウム二次電池の充放電方法であって、
前記ナトリウム二次電池を、40℃以上の温度で充電する工程と、
前記ナトリウム二次電池を、40℃以上の温度で放電する工程と、
前記ナトリウム二次電池の温度が40℃未満のときには、40℃以上になるまで前記ナトリウム二次電池を加熱する工程と、を含む、ナトリウム二次電池の充放電方法。
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