JP6185756B2 - 流動接触分解触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、流動接触分解(FCC:Fluid Catalytic Cracking)触媒及びその製造方法に関し、詳しくは、ニッケルやバナジウムなどの金属汚染物と硫黄化合物が含有された重質炭化水素油に適用される流動接触分解触媒及びその製造方法に関する。
従来から、ニッケル、バナジウムなどの金属汚染物を含有する重質炭化水素油の流動接触分解においては、触媒上に沈着したバナジウムなどの金属汚染物が活性成分である結晶性アルミノシリケート(一般に、ゼオライトと称する場合もある)の結晶構造を破壊し、触媒の著しい活性低下をもたらすことが知られている。そこで、触媒上に沈着したバナジウムなどの金属汚染物を不活性化するために、種々の化合物(例えば、アルカリ土類金属化合物等)を金属捕捉剤(メタルトラップ剤)として含有させて耐メタル性を向上させた触媒が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、アルカリ土類金属化合物は金属汚染物を不活性化するという優れた効果を有しているが、アルカリ土類金属化合物を金属捕捉剤として無機酸化物マトリックス中に分散させた触媒では、このアルカリ土類金属が接触分解反応中に移動して、結晶性アルミノシリケートの熱安定性を低下させ、さらに、結晶構造を破壊して触媒活性を低下させてしまう。また、結晶性アルミノシリケートに前記アルカリ土類金属がイオン交換反応により組み込まれて、接触分解反応で得られるガソリン生成物のオクタン価(RON)が低下する。さらに、金属捕捉剤として用いるアルカリ土類金属の種類によっては、無機酸化物マトリックス前駆物質と混合する際に、該アルカリ土類金属が溶出して結晶性アルミノシリケートにイオン交換したり、無機酸化物マトリックス前駆物質と反応したりするなどして、得られる触媒組成物の性状に悪影響を及ぼす等の問題もある。
本出願人は、これらの問題点を解消するため、触媒内にアルミナをブロック状に存在させたり、触媒製造時に触媒をリン酸イオン含有水溶液で処理したりすることにより、金属捕捉剤としてのアルカリ土類金属のもつ長所を損なうことなく、アルカリ土類金属のもつ欠点を改良した炭化水素油の流動接触分解触媒の製造方法を提案している(例えば、特許文献3、4参照)。一方、硫黄化合物を含有した炭化水素を接触分解する場合には、流動接触分解(FCC)装置の再生塔からSOを含む燃焼ガスが排出されるため、燃焼ガス中のSO成分を減少させる方法(例えば、特許文献5参照)、低SO化が可能な触媒組成物(例えば、特許文献6参照)等が提案されている。特許文献5に記載の方法では、まず、重質炭化水素油中の硫黄化合物をコークと共に触媒に付着させて、流動接触分解(FCC)装置の再生塔で下記の反応によりSOに変化させた後、金属酸化物(MO)と反応させて硫酸塩とし、これを捕捉する方法が用いられている。なお、下記の式中において、Mは「金属(Metal)」を意味する。
4S+5O → 2SO+2SO
2SO+O →2SO
MO+SO → MSO
次に、金属硫酸塩(MSO)は、流動接触分解装置の反応塔で、以下の反応により硫化物(MS及びHS)に変化する。
2MSO+8H → MS+MO+HS+7H
また、この硫化物(MS)はストリッパーにおいて水蒸気と接触して、以下の反応により硫化水素に変化し、流動接触分解装置から系外に排出される。
MS+HO → MO+HS 系外に排出された硫化水素は、通常、反応生成ガスなどと共にアミン洗浄塔や硫黄回収装置などに送られて、元素状硫黄として回収される。その結果として再生塔の燃焼ガス中のSO成分が減少する。
ところで、マンガン酸化物は、硫黄酸化物捕捉性能を有することが知られており(例えば、特許文献5参照)、炭化水素油の流動接触分解触媒では、このようなマンガン酸化物を触媒中に担持させて使用することがある。しかしながら、マンガン成分を含む溶液と触媒とを接触(含浸あるいはイオン交換を含む)させる方法でマンガン酸化物を担持させた触媒組成物は、触媒組成物の調製時、あるいは炭化水素油との接触分解反応時に、マンガン成分が結晶性アルミノシリケート中にイオン交換反応により組み込まれ、接触分解反応で得られるガソリン生成物のオクタン価(RON)が低下してしまうなどの問題があった。
本出願人は、このような問題を解決するために、結晶性アルミノシリケート及び粒子状マンガン化合物を無機酸化物マトリックス中に分散させた炭化水素油の流動接触分解触媒を提案している(例えば、特許文献7参照)。また、結晶性アルミノシリケート及びマンガンと亜鉛とを含む化合物を無機酸化物マトリックス中に分散させた炭化水素油の流動接触分解触媒についても提案している(例えば、特許文献8参照)。しかしながら、このような炭化水素油の流動接触分解触媒は、耐メタル性、硫黄酸化物捕捉能などの点では優れた効果を示すものの、残渣油(ボトム油)の分解能や中間留分の収率などの点で更なる改良が望まれていた。
特許第1822798号公報 特許第1858309号公報 特許第1808580号公報 特許第2827168号公報 特許第1083263号公報 特許第1528510号公報 特許第3333047号公報 特許第4067171号公報
本発明は、炭化水素油、特にニッケルやバナジウムなどの金属汚染物質(触媒被毒物質)や硫黄化合物を含有する原油、常圧残渣油、減圧残渣油、水素化処理油、及び減圧軽油などの重質炭化水素油を流動接触分解する際に使用して、耐メタル性や硫黄酸化物捕捉能(脱SO能)に優れ、しかも高活性でガソリン及び中間留分への分解選択性や残渣油(ボトム油)の分解性等に優れ、さらにはガソリン生成物のオクタン価(RON)の低下を抑制することができる流動接触分解触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決することを目的として鋭意検討を行った結果、流動接触分解触媒中に少なくともマグネシウム及びマンガンを含む複合酸化物を含ませればよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の流動接触分解触媒は、結晶性アルミノシリケート及び無機酸化物マトリックスを含有する流動接触分解触媒であって、マグネシウム及びマンガンを含む複合酸化物Mを含有することを特徴としている。
前記複合酸化物Mは結晶性粒子であることが好ましく、たとえば、MgMnO、MgMn、MgMnO及びMgMnOから選ばれた少なくとも1種の一般式で表されるものであることが好ましい。
前記複合酸化物Mは、さらにケイ素を含むことが好ましく、たとえば、MgMnSiの一般式で表されるものが好ましい。
また、前記複合酸化物Mの平均粒径は、0.1〜60μmであることが好ましい。
本発明の流動接触分解触媒は、前記複合酸化物Mを、触媒全量基準で0.1〜50質量%含むことが好ましい。
本発明の流動接触分解触媒は、さらにカルシウム及びマンガンを含む複合酸化物Cを含有することが好ましい。
前記複合酸化物Cは、結晶性粒子であることが好ましく、たとえば、CaMn、CaMnO、CaMnO、CaMn、CaMn及びCaMnから選ばれた少なくとも1種の一般式で表されるものであることが好ましい。
前記複合酸化物Cはさらにケイ素を含むものであることが好ましく、たとえば、CaMnSi及びCaMnSi10から選ばれた少なくとも1種の一般式で表されるものであることが好ましい。
また、前記複合酸化物Cの平均粒径は、0.1〜60μmであることが好ましい。
本発明の流動接触分解触媒は、前記複合酸化物Cを、触媒全量基準で0.1〜35質量%含むことが好ましい。
本発明では、前記結晶性アルミノシリケートは、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト及びZSM型ゼオライトから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、当該流動接触分解触媒中に、前記結晶性アルミノシリケートを、触媒全量基準で5〜50質量%含むことが好ましい。
本発明では、前記無機酸化物マトリックスが、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、リン−アルミナ、シリカ−ジルコニア、及びシリカ−マグネシア−アルミナから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
本発明では、当該流動接触分解触媒中に、前記無機酸化物マトリックスを、触媒全量基準で15〜94.9質量%含むことが好ましい。
また、本発明では、当該流動接触分解触媒中に、さらに活性アルミナ及び活性シリカ−アルミナから選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明では、当該流動接触分解触媒中に、さらにランタン及びセリウムから選ばれた少なくとも1種の希土類元素を含むことが好ましい。
本発明では、当該流動接触分解触媒の平均粒径が40〜100μmであることが好ましい。
本発明の流動接触分解触媒の製造方法は、結晶性アルミノシリケートと、マグネシウム及びマンガンを含む複合酸化物Mとを、無機酸化物マトリックス成分又はその前駆物質を含む水溶液と混合する混合工程と、得られた混合水溶液を噴霧乾燥して球状乾燥粒子を得る噴霧乾燥工程とを備えることを特徴とする。
前記した製造方法では、さらに、カルシウム及びマンガンを含む複合酸化物Cを混合することが好ましい。
前記した製造方法では、前記噴霧乾燥工程から得られた球状乾燥粒子を、必要に応じて洗浄した後、ランタン及びセリウムから選ばれた少なくとも1種の希土類元素の塩化物又は無機酸塩の溶液で処理する溶液処理工程を備えることが好ましい。
本発明に係る流動接触分解触媒は、炭化水素油、特にニッケル、バナジウムなどの金属汚染物や硫黄化合物を含む重質炭化水素油の流動接触分解において好適に使用できるものであり、耐メタル性や硫黄酸化物捕捉能(脱SO能)に優れ、しかも高活性(High Conversion Activity)でガソリン及び中間留分への分解選択性や残渣油(ボトム油)の分解性等に優れ、さらにはガソリン生成物のオクタン価(RON)の低下を抑制することができるものである。
また、本触媒は、硫黄酸化物捕捉能を有するマンガン酸化物(Mn)などを用いた従来公知の流動接触分解触媒と比較しても、高活性で、副生物(Hやコーク)の収率減少、軽質油(ガソリンやLCO)の収率増加、ボトム油分解能の向上(HCOやCLOの収率減少)、耐メタル性の向上、耐水熱性の向上、硫黄酸化物捕捉能(脱SO能)の向上などにおいてより優れた効果を発揮することができる。なお、ここで、LCOは“Light Cycle Oil”、HCOは“Heavy Cycle Oil”、さらにCLOは“Clarified Oil”をそれぞれ意味する。
調製例1で調製されたマグネシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物M:主としてMgMnOを含む。)のX線回折図。 調製例2で調製されたカルシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物C:主としてCaMnO,CaMnO,CaMnを含む)のX線回折図。 調製例3で調製された三酸化二マンガン(主としてMnを含む)のX線回折図。 調製例4で調製された酸化マグネシウム(主としてMgOを含む)のX線回折図。
本発明に係る流動接触分解触媒(以下、「本触媒」ともいう。)は、結晶性アルミノシリケート、無機酸化物マトリックス、そしてマグネシウム及びマンガンを含む複合酸化物(以下、「複合酸化物M」ともいう。)を必須成分として含有するものである。以下にこれらの成分について具体的に説明する。
[結晶性アルミノシリケート]
本触媒に含有される結晶性アルミノシリケートとは、いわゆるゼオライト(沸石)として知られている物質であり、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、ZSM型ゼオライト等の合成ゼオライトや天然ゼオライトが挙げられる。これらは通常の接触分解触媒の場合と同様、水素、アンモニウムイオン及び多価金属から選ばれるカチオンでイオン交換された形で使用される。また、この中でもY型ゼオライトはガソリン選択性が高く、特に超安定性Y型ゼオライト(USY)は耐水熱安定性にも優れているので好適である。
前記結晶性アルミノシリケートは、本触媒中に固形分として5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の範囲で含有されることが望ましい。ここで、結晶性アルミノシリケートの含有量が5質量%未満であると、得られる触媒は活性が必ずしも高くならず、ガソリン収率も低くなるおそれがある。一方、前記含有量が50質量%を超えると、活性が高くなり過ぎるおそれがあり、ガス(H)やコークの生成量が増加するために、ガソリン収率が低くなることがある。また、触媒のかさ密度(ABD)や耐摩耗強度(Attr.Res.)が低下するおそれもあり、製油所での装置運転上で問題となる場合がある。
[無機酸化物マトリックス]
本触媒に含有される無機酸化物マトリックスとしては、通常の接触分解触媒に使用され、かつ、結合剤(バインダー)としても作用することが可能な、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、リン−アルミナ、シリカ−ジルコニア、及びシリカ−マグネシア−アルミナなどを構成成分として挙げることができる。
さらに、この無機酸化物マトリックス中には、カオリン、ハロイサイト、モンモリロナイトなどの粘土鉱物が含まれていてもよい。
また、前記無機酸化物マトリックスは、発明の効果の観点より、本触媒中に15〜94.9質量%、好ましくは30〜90質量%の範囲で含むことが望ましい。
[複合酸化物M]
本触媒に含有される複合酸化物Mは、マグネシウム及びマンガンを含む複合酸化物であり、少なくともマンガン、マグネシウム及び酸素を構成元素として含む化合物である。
また、本触媒には、複合酸化物Mとともに、カルシウム及びマンガンを含む複合酸化物Cを含有することが発明の効果の観点より好ましい。複合酸化物Cは、少なくともマンガン、カルシウム及び酸素を構成元素として含む化合物である。
複合酸化物Mや複合酸化物Cには、それらの生成時(後述)に副生されるマンガン酸化物やマグネシウム酸化物あるいはカルシウム酸化物などが物理的に含まれていてもよい。
複合酸化物Mや複合酸化物Cは、結晶性であることが好ましい。すなわち、X線回折にて測定可能な結晶構造を有する複合酸化物粒子であることが好ましい。このような結晶構造を有する複合酸化物粒子であると、触媒調製中あるいは接触分解反応使用中にマンガン及びマグネシウムあるいはカルシウムの移動(即ち、複合酸化物粒子外への移動)が起きにくく、またマンガン及びマグネシウムあるいはカルシウムがイオン交換反応によりゼオライトに組込まれることがかなり少ないため、接触分解反応で得られるガソリン生成物のオクタン価(RON)の低下が少なくなるという利点がある。
また、複合酸化物Mは、二元系のマグネシウム・マンガン複合酸化物の場合、発明の効果の観点よりMgMnO、MgMn、MgMnO及びMgMnOから選ばれた少なくとも1種の一般式で表されるものであることが好ましい。この中でも、一般式がMgMnOで表されるものが発明の効果の観点より好ましい。
複合酸化物Cが二元系のカルシウム・マンガン複合酸化物の場合、発明の効果の観点よりCaMn、CaMnO、CaMnO、CaMn、CaMn及びCaMnから選ばれた少なくとも1種の一般式で表されるものであることが好ましい。この中でも、一般式がCaMn、CaMnO、CaMnO及びCaMnで表されるものがより好ましい。
複合酸化物Mや複合酸化物Cは、粒子状物質であることが好ましく、さらに、球状又は塊状の微粒子であることがより好ましい。複合酸化物Mが粒子状物質であると、複合酸化物Mを触媒粒子内にブロック状(粒子状/塊状)に存在させることができるため、結晶性アルミノシリケートに悪影響を及ぼすことなくメタル捕捉能や硫黄酸化物捕捉能(脱SO能)などを高めることができる。また、マグネシウムやカルシウムがイオン化して結晶性アルミノシリケート中(ゼオライトの網目構造内部)に拡散し、オクタン価を低下させる等の影響を抑制することができる。
複合酸化物Mや複合酸化物Cの微粒子は、平均粒径が0.1〜60μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。平均粒径が0.1μmよりも小さいと、捕捉されるバナジウム等の金属汚染物が触媒粒子内に分散するため、金属汚染物の不活性化が充分に行われないおそれがある。また、オクタン価の低下抑制が不充分となる場合がある。
また、複合酸化物Mや複合酸化物Cの平均粒径が60μmを超えると、最終的な触媒組成物の平均粒径との関係で、流動床用触媒(特に、流動接触分解触媒)としては必ずしも望ましくない。
さらに、複合酸化物Mや複合酸化物Cには、マグネシウム、カルシウム、マンガン以外の他の金属元素(例えば、ケイ素)が、複合酸化物Mや複合酸化物Cを構成する元素として含まれていてもよい。これらの中でも、複合酸化物Mの三元系としては、ケイ素を含むマグネシウム・マンガン・ケイ素複合酸化物が好ましく、複合酸化物Cの三元系としては、カルシウム・マンガン・ケイ素複合酸化物が好ましい。特に好ましい構造としては、MgMnSi6、CaMnSi、及びCaMnSi10などの一般式で表されるものが挙げられる。
ケイ素を含む複合酸化物M、たとえば前記マグネシウム・マンガン・ケイ素複合酸化物(三元系複合酸化物)を使用すると、ケイ素を含まないマグネシウム・マンガン複合酸化物(二元系複合酸化物)を使用した場合に比べて、副生物(Hやコーク)の収率をより下げ、ガソリン収率をより上げるなどの点で優れている。
また、本触媒中にさらに複合酸化物Cが含まれると本発明の効果をより向上させることは述べたが、複合酸化物Cとしても、カルシウム・マンガン複合酸化物(二元系複合酸化物)より、カルシウム・マンガン・ケイ素複合酸化物(三元系複合酸化物)を使用したほうが、副生物(Hやコーク)の収率をより下げ、ガソリン収率をより上げるなどの点でさらに優れている。
複合酸化物Mは、本触媒中に固形分として0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは5〜20質量%の範囲で含有させて使用することが望ましい。ここで、複合酸化物Mの含有量が0.1質量%未満であると、メタル捕捉能、副生物(Hやコーク)の収率減少、ガソリンやLCOの収率増加、煙道ガス中のSO量低減などにおいて所望の効果が得られないおそれがあり、一方、この含有量が50質量%を超えると、触媒組成物の耐摩耗性(Attrition Resistance)が低下するおそれがある。
また、複合酸化物Cについても、複合酸化物Mと同様の理由で、本触媒中に固形分として0.1〜35質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%の範囲で含有させて使用することが望ましい。
ここで、複合酸化物Mと複合酸化物Cの合計含有量は、50質量%以下であることが好ましい。前記した合計含有量が50質量%を超えると、触媒組成物の耐摩耗性(Attrition Resistance)が低下するおそれがある。
また、本触媒の平均粒径は、40〜100μmであることが好ましく、さらに50〜80μmであることがより好ましい。
本触媒の平均粒径が40μm未満であったり、あるいは100μmを越えると、流動接触分解装置内での触媒の流動性が悪くなるおそれがある。
[その他の成分]
本発明に係る流動接触分解触媒中には、本発明の効果をより向上させる目的で、他の成分を含有させてもよい。
例えば、分解活性やメタル捕捉能を向上させる観点より、活性アルミナ及び活性シリカ−アルミナから選ばれた少なくとも1種を本触媒中に含むことが好ましい。活性アルミナや活性シリカ−アルミナを含有させると、分解活性、メタル捕捉能、硫黄酸化物捕捉能(脱SO能)、及び耐水熱性等の反応特性(触媒活性)を向上させることができる。
このような活性アルミナや活性シリカ−アルミナは、本触媒中に固形分として0.1〜50質量%含まれることが好ましく、2〜20質量%含まれることがより好ましい。活性アルミナや活性シリカ−アルミナの含有量が0.1質量%未満であると、上述した各種の反応特性向上効果がよく現れないおそれがある。また当該含有量が50質量%を超えると、活性アルミナや活性シリカアルミナとしての分解能が強く出すぎて、ガスやコーク生成が増加するおそれがある。
また、前記活性アルミナや活性シリカ−アルミナには、アルカリ土類金属及び希土類金属から選ばれた1種又は2種以上の金属成分やリンなどの非金属成分が含まれていてもよい。
また、本触媒においては、希土類元素(希土類元素類を総称して、単に「RE(Rare Earth,レアアース)」という場合がある。)が担持されていてもよい。
使用される希土類元素としては、ランタンを主成分とするもの、セリウムを主成分とするもの、ランタン及びセリウムを主成分とするものなどが挙げられる。このような希土類が含まれていると、本触媒の活性、ガソリン選択性、耐メタル性、耐水熱性等をより向上させることができる。
本触媒に含まれる希土類元素の量は、上記の結晶性アルミノシリケートゼオライト、無機酸化物マトリックス成分、本複合酸化物の合計質量を100質量%としたとき、希土類元素酸化物(RE)として、外割で0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の範囲にあることが望ましい。ただし、この含有量が20質量%を超えると、生成したガソリンのオクタン価が著しく低下するおそれがある。
なお、活性アルミナや活性シリカ−アルミナを含有する場合は、上述した結晶性アルミノシリケートゼオライト、無機酸化物マトリックス成分、本複合酸化物にさらにそれらを加えた量を100質量%として希土類元素酸化物(RE)の含有量を規定する。
[本触媒の製造方法]
本発明に係る流動接触分解触媒は、結晶性アルミノシリケートと、複合酸化物M(及び必要に応じて複合酸化物C)とを、必要に応じて活性アルミナや活性シリカ−アルミナとともに、無機酸化物マトリックス又はその前駆物質を含む懸濁液に混合した後、得られた混合懸濁液を噴霧乾燥することによって製造することができる。
具体的には、前述の無機酸化物マトリックスの前駆物質、例えばシリカヒドロゾル、シリカ−アルミナヒドロゲルなどを含む懸濁液に、前記結晶性アルミノシリケート、さらには前記複合酸化物、好ましくは粒子状物質である複合酸化物を加えて均一に混合し、得られた混合懸濁液を従来公知の方法を用いて噴霧乾燥することによって球状粒子(粒状乾燥粉体)として得られる。
また、噴霧乾燥された前記球状粒子は、その後、必要に応じて洗浄(たとえば水洗)した後、ランタン及びセリウムから選ばれた少なくとも1種の希土類元素の塩化物(RECl)等の水溶液で処理してもよい。また、得られた球状粒子は、必要に応じてさらに乾燥処理や焼成処理をしてもよいし、さらに希土類やアルカリ土類金属やリン等の元素を担持させてもよい。
さらに、噴霧乾燥された前記球状粒子は、その後、希土類元素の塩化物(RECl)等の水溶液で処理することなく、洗浄するだけで使用することもできる。ただし、洗浄後に、乾燥処理や焼成処理などを行ってもよいことは勿論である。
ここで、洗浄に際しては、水のみでの洗浄でもよく。さらに硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩の水溶液や希アンモニア水等で洗浄を行ってもよい。
このようにして製造される本触媒は、ニッケル、バナジウムなどの金属汚染物と硫黄化合物とを少なからず含む重質炭化水素油を流動接触分解する際に使用することが特に好適であるが、これらの金属汚染物を含有しない炭化水素油の接触分解にも使用することができる。
また、本触媒を使用して炭化水素油の流動接触分解を行う際には、従来公知の一般的な接触分解条件を採用することができる。さらに、本触媒は、灯軽油から高沸点脱れき油にいたるまでの広範囲沸点域からなる石油留分の流動接触分解に利用することができる。
なお、本触媒の製造時に使用される、前記の結晶性アルミノシリケート、無機酸化物マトリックス又はその前駆物質、及び複合酸化物M(必要に応じて複合酸化物C)については、上記の物性を満たすものであるならば、市販のものあるいは従来公知の方法で製造したものから適宜選択して使用することができる。よって、これらの物質の製造方法については、特に詳しく記載すべきところはないが、本複合酸化物のうち、マグネシウム・マンガン複合酸化物(二元系)、及びカルシウム・マンガン複合酸化物(二元系)についてのみ、ここで簡単に述べておく。ただし、以下に示す複合酸化物の製造方法に限定されるものではない。
<マグネシウム・マンガン複合酸化物(二元系)の製造方法>
市販の炭酸マグネシウム粉体又は水酸化マグネシウム粉体及び市販の酸化マンガン粉体を必要に応じて乳棒・乳鉢等で粉砕処理を行い、所定の割合となるように混合して、ミキサー等の混合手段を用いて十分に混ぜ合わせる。ここで、「所定の割合」とは、使用される原料〈例えば、炭酸マグネシウム粉体又は水酸化マグネシウム粉体など〉や生成されるマグネシウム・マンガン複合酸化物の形態によって変化するものである。即ち、前記割合は、本発明で使用される前記複合酸化物、例えばMgMnO、MgMn、MgMnO及びMgMnOなどの複合酸化物の形態に応じて適宜選択して調製すべきものである。
次いで、このようにして得られた所定の混合粉体は、必要に応じて乳棒・乳鉢等で十分に磨り潰した後、磁性ルツボに移し、電気炉中で650〜1000℃の温度で焼成する。ここで、前記焼成温度が650℃未満であると、複合酸化物化が不十分となり、また該焼成温度が1000℃を超えると、混合粉体が焼結し、粒度が粗くまた容易に粉砕できない硬さとなる傾向がある。また、焼成時間は、その焼成温度などによっても異なるが、2〜24時間、好ましくは、5〜20時間の範囲にあることが望ましい。さらに、前記焼成時間が2時間未満であると、複合酸化物化が不十分となり、また該焼成時間が24時間を超えると、複合酸化物化に必要以上のエネルギーを浪費することとなる傾向がある。
<カルシウム・マンガン複合酸化物(二元系)の製造方法>
市販の炭酸カルシウム粉体又は水酸化カルシウム粉体及び市販の酸化マンガン粉体を必要に応じて乳棒・乳鉢等で粉砕処理を行い、所定の割合となるように混合して、ミキサー等の混合手段を用いて十分に混ぜ合わせる。ここで、「所定の割合」とは、使用される原料〈例えば、炭酸カルシウム粉体又は水酸化カルシウム粉体など〉や生成されるカルシウム・マンガン複合酸化物の形態によって変化するものである。即ち、前記割合は、本発明で使用される前記複合酸化物、例えばCaMn、CaMnO、CaMnO、CaMn、CaMn、CaMnなどの複合酸化物の形態に応じて適宜選択して調製すべきものである。
次いで、このようにして得られた所定の混合粉体は、必要に応じて乳棒・乳鉢等で十分に磨り潰した後、磁性ルツボに移し、電気炉中で650〜1000℃の温度で焼成する。ここで、前記焼成温度が650℃未満であると、複合酸化物化が不十分となり、また該焼成温度が1000℃を超えると、混合粉体が焼結し、粒度が粗くまた容易に粉砕できない硬さとなる傾向がある。また、焼成時間は、その焼成温度などによっても異なるが、2〜24時間、好ましくは、5〜20時間の範囲にあることが望ましい。さらに、前記焼成時間が2時間未満であると、複合酸化物化が不十分となり、また該焼成時間が24時間を超えると、複合酸化物化に必要以上のエネルギーを浪費することとなる傾向がある。
[各種パラメータの測定方法]
(各元素の質量分析方法)
各元素の質量分析は、誘導結合プラズマ分光分析装置にて化学分析を行った。具体的には、試料を濃塩酸に溶解して、水で濃度10〜100質量ppmに調整した溶液を島津製作所(株)製 SEQUENTIAL PLASMA SPECTROMETER(ICPS−8100)にて分析した。波長は、Mg:285.2nm,Ca:317.9nm,Mn:257.6nmである。
(X線回折の測定方法)
試料のX線回折による定性分析は、RIGAKU(株)製X−RAY DIFFRACT METER(RINT 1400)にて行った。具体的には、試料を粉砕・成形した後、装置にセットし、管電圧30.0kV、管電流130.0mA、対陰極Cu、測定範囲:開始角度〜終了角度(2θ)10.000°〜70.000°、スキャンスピード2.000°/min、発散スリット 1deg、散乱スリット 1deg、受光スリット 0.15mmにて測定した。
(平均粒径の測定方法)
試料の粒度分布の測定は、堀場製作所(株)製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA−300)にて行った。具体的には、光線透過率が70〜95%の範囲となるように試料を溶媒(水)に投入し、循環速度 2.8L/min,超音波 3min、反復回
数 30で測定した。なお、相対屈折率は、Mg:1.32、Ca:1.18、Mn:1.28、複合酸化物:組成比での加重平均値とした。測定値は、メジアン径にて表記した。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
[調製例1]
《マグネシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物M)》
市販の水酸化マグネシウム粉体(宇部マテリアルズ(株)製 UD−650、以下同じ)と市販の酸化マンガン粉体(水島合金鉄(株)製 MOX−Pu、以下同じ)を100gずつ等量混合し、これをメノウ乳鉢に入れて十分に混ぜ合わせた。次いで、この混合物を石英製のルツボ(ニッカトー(株)製 ルツボ B1、以下同じ)に10gずつ入れて、電気炉((株)シリコニット製 SFB−3060、以下同じ)中にて空気雰囲気下750℃で15時間焼成し、粒子状のマグネシウム・マンガン複合酸化物を得た。
このようにして得られたマグネシウム・マンガン複合酸化物は、マンガンをMn換算基準で57.1質量%、マグネシウムをMgO換算基準で40.3質量%含有し、さらに鉄などの不純物を少量含むものであった。さらに、前記マグネシウム・マンガン複合酸化物粒子をX線回折装置(RIGAKU(株)製 RINT−1400、以下同じ)に供して測定・回折した結果、MgMnOからなる複合酸化物粒子(結晶物)と、未反応物(即ち、複合酸化物化していない。)であるMn及びMgOの結晶粒子を少量含んでいることが分かった。なお、得られたマグネシウム・マンガン複合酸化物のX線回折図を図1に示す。
また、前記マグネシウム・マンガン複合酸化物の平均粒径を測定したところ、5μmであった。
[調製例2]
《カルシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物C)》
市販の水酸化カルシウム粉体(古手川産業(株)製 消石灰 特号、以下同じ)と市販
の酸化マンガン粉体を100gずつ等量混合し、これをメノウ乳鉢に入れて十分に混ぜ合わせた。次いで、この混合物を石英製のルツボに10gずつ入れて、電気炉中にて空気雰囲気下750℃で15時間焼成し、粒子状のカルシウム・マンガン複合酸化物を得た。
このようにして得られたカルシウム・マンガン複合酸化物は、マンガンをMn換算基準で46.8質量%、カルシウムをCaO換算基準で50.7質量%含有し、さらに鉄などの不純物を少量含むものであった。さらに、前記カルシウム・マンガン複合酸化物粒子をX線回折装置に供して測定・回折した結果、CaMnO、CaMnO及びCaMnからなる各々の複合酸化物粒子(結晶物)と、未反応物(即ち、複合酸化物化していない。)であるMn及びCaOの結晶粒子を少量含んでいることが分かった。なお、得られたカルシウム・マンガン複合酸化物のX線回折図を図2に示す。また、前記カルシウム・マンガン複合酸化物の平均粒径を測定したところ、6μmであった。
[調製例3]
《三酸化二マンガン》
市販の酸化マンガン粉体を石英製のルツボに入れ、電気炉中にて空気雰囲気下750℃で15時間焼成し、粒子状の三酸化二マンガン(以下、単に「三酸化二マンガン」ともいう。)を得た。このようにして得られた三酸化二マンガンは、マンガンをMn換算の乾燥基準で91.8質量%含むものであり、またその平均粒径を測定したところ、3μmであった。なお、得られた三酸化二マンガンのX線回折図を図3に示す。
なお、この三酸化二マンガンは、硫黄酸化物捕捉能、耐メタル性などに優れ、しかも生成ガソリンのオクタン価(RON)の低下が少ないという理由から従来公知の流動接触分解触媒に添加して使用されているものである(特許文献8参照)。
[調製例4]
《酸化マグネシウム》
市販の酸化マグネシウム粉体を、何ら処理を施さずにそのまま使用した。この酸化マグネシウム粉体(以下、単に「酸化マグネシウム」ともいう。)は、マグネシウムをMgO換算の乾燥基準で99.5質量%含むものであり、またその平均粒径を測定したところ、3μmであった。なお、前記酸化カルシウムのX線回折図を図4に示す。
[実施例1]
《流動接触分解触媒(A)(複合酸化物M:0.1質量%)》
水ガラス(SiO換算で17.5質量%に調整した3号水ガラス、以下同じ)2857.1gを硫酸(濃度25質量%に調整したもの、以下同じ)1142.7gに加えて調製した12.5質量%のSiOを含むシリカヒドロゾル4000gに、カオリンクレー1372.5g(乾燥基準)、活性アルミナ125g(乾燥基準)、Y型結晶性アルミノシリケート(ケイバン比 即ちSiO/Alモル比が 5.1、NaO 4.5質量%のUSYゼオライト、以下同じ)500g(乾燥基準)及び調製例1で製造されたマグネシウム・マンガン複合酸化物2.5g(乾燥基準)を加えて混合懸濁液を調製し、この混合懸濁液をスプレイドライヤー( 大川原化工機(株)製 ODT−27、以下同じ)を用いて噴霧乾燥して粒状乾燥粉体(ここでは、「微小球状粒子」の代わりに「粒状乾燥粉体」の用語を使用した。以下同じ)を得た。次いで、この粒状乾燥粉体を温水で洗浄し、次いで硫酸アンモニウム水溶液でイオン交換及び温水洗浄を2回繰り返した後、これに希土類元素(具体的には関東化学(株)製の酸化ランタンの塩酸溶解液、以下同じ)をRE換算で1.0質量%(最終的に触媒を形成したときの無機酸化物マトリックス、活性アルミナ、上述のゼオライト、及び複合酸化物Mを100質量%としたときの外割%である。)となるように添加して、前記粒状乾燥粉体にRE(La)を担持させた。
次に、これを乾燥させて炭化水素の流動接触分解触媒(以下、「流動接触分解触媒(A)という。」を得た。このようにして得られた流動接触分解触媒(A)の物理性状を、表1に示す。
[実施例2]
《流動接触分解触媒(B)(複合酸化物M:1.5質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を1337.5g(乾燥基準)とし、調製例1のマグネシウム・マンガン複合酸化物の量を37.5g(乾燥基準)とした以外は、
実施例1と同様にして流動接触分解触媒(B)を調製した。物理性状を、表1に示す。
[実施例3]
《流動接触分解触媒(C)(複合酸化物M:5質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を1250g(乾燥基準)とし、調製例1のマグネシウム・マンガン複合酸化物の量を125g(乾燥基準)とした以外は、実施例
1と同様にして流動接触分解触媒(C)を調製した。物理性状を、表1に示す。
[実施例4]
《流動接触分解触媒(D)(複合酸化物M:20質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を875g(乾燥基準)とし、調製例1のマグネシウム・マンガン複合酸化物の量を500g(乾燥基準)とした以外は実施例1と
同様にして流動接触分解触媒(D)を調製した。物理性状を、表1に示す。
[実施例5]
《流動接触分解触媒(E)(複合酸化物M:50質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を125g(乾燥基準)とし、調製例1のマグネシウム・マンガン複合酸化物の量を1250g(乾燥基準)とした以外は実施例1と同様にして流動接触分解触媒(E)を調製した。物理性状を、表1に示す。
[実施例6]
《流動接触分解触媒(F)(複合酸化物M:2.5質量%、複合酸化物C:2.5質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を1250g(乾燥基準)とし、調製例1のマグネシウム・マンガン複合酸化物の量を62.5g(乾燥基準)及び調製例2のカルシウム・マンガン複合酸化物62.5g(乾燥基準)を用いた以外は実施例1と同様にして流動接触分解触媒(F)を調製した。物理性状を、表1に示す。
[実施例7]
《流動接触分解触媒(G)(複合酸化物M:10質量%、複合酸化物C:10質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を875g(乾燥基準)とし、調製例1のマグネシウム・マンガン複合酸化物の量を250g(乾燥基準)及び調製例2のカルシウム・マンガン複合酸化物250g(乾燥基準)を用いた以外は実施例1と同様にして流動接触分解触媒(G)を調製した。物理性状を、表1に示す。
[実施例8]
《流動接触分解触媒(H)(複合酸化物M:14質量%、複合酸化物C:6質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を875g(乾燥基準)とし、調製例1のマグネシウム・マンガン複合酸化物の量を350g(乾燥基準)及び調製例2のカルシウム・マンガン複合酸化物150g(乾燥基準)を用いた以外は実施例1と同様にして流動接触分解触媒(H)を調製した。物理性状を、表1に示す。
[実施例9]
《流動接触分解触媒(I)(複合酸化物M:6質量%、複合酸化物C:14質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を875g(乾燥基準)とし、調製例1のマグネシウム・マンガン複合酸化物の量を150g(乾燥基準)及び調製例2のカルシウム・マンガン複合酸化物350g(乾燥基準)を用いた以外は実施例1と同様にして流動接触分解触媒(I)を調製した。物理性状を、表1に示す。
[比較例1]
《流動接触分解触媒(a)(メタルトラップ材なし)》
実施例1において、カオリンクレーの量を1375g(乾燥基準)とし、マグネシウム・マンガン複合酸化物を添加しない以外は、実施例1と同様にして流動接触分解触媒(a)を調製した。物理性状を、表2に示す。
[比較例2]
《流動接触分解触媒(b)(Mn:1.5質量%)》
実施例1において、カオリンクレーの量を1337.5g(乾燥基準)とし、マグネシウム・マンガン複合酸化物の代わりに、調製例3の三酸化二マンガンを用いて、その量を37.5g(乾燥基準)とした以外は、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(b)を調製した。物理性状を、表2に示す。
[比較例3]
《流動接触分解触媒(c)(Mn:5質量%)》
比較例1において、カオリンクレーの量を1250g(乾燥基準)とし、マグネシウム・マンガン複合酸化物の代わりに、調製例3の三酸化二マンガンの量を125g(乾燥基準)とした以外は、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(c)を調製した。物理性状を、表2に示す。
[比較例4]
《流動接触分解触媒(d)(Mn:20質量%)》
比較例1において、カオリンクレーの量を875g(乾燥基準)とし、マグネシウム・マンガン複合酸化物の代わりに、調製例3の三酸化二マンガンを用いてその量を500g(乾燥基準)とした以外は、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(d)を調製した。物理性状を、表2に示す。
[比較例5]
《流動接触分解触媒(e)(Mn:2.9質量%、MgO:2.0質量%)》
比較例1において、カオリンクレーの量を1252.5g(乾燥基準)とし、マグネシウム・マンガン複合酸化物の代わりに、調製例3の三酸化二マンガンを用いてその量を72.5g(乾燥基準)とし、さらに調製例4の酸化マグネシウムを用いてその量を50g(乾燥基準)とした以外は、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(e)を調製した。物理性状を、表2に示す。
Figure 0006185756
Figure 0006185756
1)転化率:100−(LCO+HCO+CLO)
2)ガソリン沸点範囲:30〜204℃
3)LCO沸点範囲:204〜343℃
4)HCO+CLO沸点範囲:343℃+
5)K(二次反応速度定数):転化率/(100−転化率)
6)H/K:水素選択性
7)コーク/K:コーク選択性
[性能評価試験]
前記した各実施例・比較例の触媒について、従来から知られている触媒循環再生方式のパイロットプラント(日揮触媒化成(株)製 Midget−2、以下同じ)を用いて性能評価試験を行った。ただし、これらの性能評価試験を行う前に、各触媒の表面に、予めニッケル及びバナジウムをそれぞれ2000質量ppm及び4000質量ppm沈着させ、次いでスチーミングして擬平衡化処理を行った。具体的には、各触媒を予め600℃で2時間焼成した後、所定量のナフテン酸ニッケル、及びナフテン酸バナジウムのトルエン溶液を吸収させ、次いで110℃で乾燥後、600℃で1.5時間焼成し、次いで810℃で6時間スチーム処理を行った。
性能評価試験における運転条件は以下の通りであった。
原料油 :原油の脱硫常圧残渣油
原料油中の硫黄分 :0.22質量%
触媒循環量/通油量の質量比:7
反応温度(反応塔中間部) :520℃
触媒再生温度 :680℃
ストリッピング温度 :520℃
再生触媒上のコーク量 :0.05質量%以下
[試験結果]
上記の性能試験から得られた結果を表1、2に示す。また、運転が定常状態に達した後に触媒再生装置の煙道ガス排出口から放出されたガス中に含まれるSOの分析結果についても表1、2に示す。
表1から明らかなように、各実施例の触媒は、予め触媒をニッケル及びバナジウムを高濃度で含有する溶液で処理し、さらに、高温で水熱処理して擬平衡化処理を行ったにもかかわらず、高い転化率(触媒活性)を示した。これにより、本発明の流動接触分解触媒が、従来公知の触媒に比べて耐メタル性と耐水熱性に優れていることが分かる。これに対し、表2に示す各比較例の触媒では、その転化率が低かった。
また、各実施例の触媒においては、転化率が高いにもかかわらず、水素収率及びコーク収率は低く、さらにはガソリン収率に加えてガソリンとライトサイクルオイル(LCO)を含めた液収率が高く、オクタン価も高いという結果が得られた。
特に、マグネシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物M)の含有量、あるいはこの複合酸化物Mとカルシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物C)の含有量(合計値)が5〜20質量%である実施例3、4、6、7、8、9では、転化率が高くガソリン収率が高い一方で、水素収率やコーク収率が低く、触媒として非常に優れていることがわかる。
各実施例では、触媒再生装置の煙道ガス中に含まれるSOの含有量もかなり低いことが分かった。これは、実施例触媒中に含まれるマグネシウム・マンガン複合酸化物及びカルシウム・マンガン複合酸化物が、金属汚染物を効果的に捕捉して不動態化し、引いては金属汚染物による悪影響、すなわちゼオライト構造の一部破壊による触媒活性の低下を抑制し、さらには触媒の脱水素活性が弱められて水素及びコークの生成を抑えることができたことによるものと推定される。
実施例6〜9は、マグネシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物M)とカルシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物C)を組み合わせて使用したもので、同添加量である実施例3、4のマグネシウム・マンガン複合酸化物使用触媒に比べて、各収率を損ねることなく、ガソリン収率に加えてガソリンとライトサイクルオイル(LCO)を含めた液収率が高く、煙道ガス排出口から放出されたガス中に含まれるSOの量が減少していることがわかる。
ここで、比較例2〜4の触媒は、実施例のマグネシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物M)及びカルシウム・マンガン複合酸化物(複合酸化物C)の代わりに三酸化ニマンガンを用いて調製したものである。しかしながら、転化率やガソリン収率があまり高くない割に、水素収率やコーク収率は高く、流動接触分解触媒として劣っている。さらに、比較例5は、実施例3の触媒Cと同じマグネシウム含有量とマンガン含有量になるように調製したものであるが、前記した転化率は高くならず、ガソリン収率やライトサイクルオイル(LCO)の収率も高くはならなかった。その一方で、水素収率やコーク収率は高かった。
なお、さらに本発明を理解するために付言すると、転化率が高くなるとガス、コーク生成量が増加し、ガソリン、LCO収率は増加するが、転化率が高くなりすぎると減少に転じ、また、オクタン価については転化率に比例して高くなることが一般に知られている。これに対して、本発明の流動接触分解触媒では、転化率が高いにもかかわらず、ガスやコークの生成が抑えられ、さらにはガソリンやLCOの液収率が高いばかりでなく、オクタン価(RON)も高い状態に維持できるという、極めて優れた効果を発揮することができる。
本発明の流動接触分解触媒は、従来の炭化水素流動接触分解法に使用でき、しかもその分解条件も従来公知のものから適宜選択して採用することができる。また、本発明の流動接触分解触媒は、特に、ニッケルやバナジウムなどの金属汚染物や硫黄化合物を含有する重質炭化水素油の流動接触分解(FCC)において好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 結晶性アルミノシリケート及び無機酸化物マトリックスを含有する流動接触分解触媒であって、マグネシウム及びマンガンを含む複合酸化物Mを含有し、前記複合酸化物Mがさらにケイ素を含むことを特徴とする流動接触分解触媒。
  2. 結晶性アルミノシリケート及び無機酸化物マトリックスを含有する流動接触分解触媒であって、マグネシウム及びマンガンを含む複合酸化物Mを含有し、さらにカルシウム及びマンガンを含む複合酸化物Cを含有することを特徴とする流動接触分解触媒。
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