JP2022188609A - 金属捕捉剤および金属捕捉剤の製造方法、ならびに流動接触分解触媒 - Google Patents

金属捕捉剤および金属捕捉剤の製造方法、ならびに流動接触分解触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】バナジウムの捕捉特性に優れた流動接触分解触媒用金属捕捉剤を提供し、その製造方法を提案する。また、劣化を抑制した流動接触分解触媒を提供する。【解決手段】珪素酸化物バインダーと、金属捕捉成分とを含む金属捕捉剤であって、上記金属捕捉成分は第2族元素もしくは希土類元素の酸化物を含んでおり、上記酸化物の表面は、上記珪素酸化物バインダーに含まれる珪素酸化物によって被覆され、上記金属捕捉剤は平均粒子径が1.0~45.0μmであることを特徴する。【選択図】図1

Description

本発明は、接触分解反応過程において、流動接触分解触媒の被毒元素の一つであるバナジウムを捕捉固定化する技術分野に関する。
製油所での残油処理比率の増加を背景とし、残油処理用流動接触分解触媒(RFCC)に関する触媒開発や改良が急務となっている。RFCCでの問題点の一つは、原油(または残油)中に含まれる触媒被毒金属(Ni,V)の濃度が高く、触媒へのダメージが大きいことにある。この影響を緩和する対策として、この被毒金属と親和性の良い元素(被毒金属捕捉剤)を流動接触分解触媒(FCC)中に添加することや、親和性のよい元素を高濃度に含む助触媒(添加剤)を一定量FCC触媒にブレンドする方法がある。これらの対策は被毒金属をある一定の結晶相として捕捉し、触媒活性への悪影響を緩和するという考えのもとで採られている方法である。
例えば、原料油中に不純物として存するバナジウムは流動接触分解触媒を再生する再生塔内の雰囲気においてはバナジン酸を形成し、流動接触分解触媒中のゼオライトの結晶破壊や活性低下を引き起こすことが知られている。このため、流動接触分解触媒中にバナジウムの捕捉能を有する構成物を組み込む手法や、前記構成物を添加剤として母体触媒と混合する手法が採用されている。
特許文献1には、流動接触分解触媒に添加しバナジウムを不動態化する添加剤として、遊離酸化マグネシウム及びその場で生成したケイ酸マグネシウムセメントバインダーを含んでなる添加剤およびその製造方法が開示されている。この添加剤は、低い表面積を有し、最小の分解活性を有している。
また特許文献2には、流動接触分解の間の金属不動態化に使われる金属捕捉粒子として、カオリン、酸化マグネシウムまたはマグセシウム水酸化物およびカルシウム炭酸塩からなる乾燥粒子で、少なくとも10wt%の酸化マグネシウムを含む粒子が開示されている。
特表平08-504397号公報 特表2013-506548号公報
しかしながら、従来の技術では、流動接触分解触媒の劣化を十分に抑えることができないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、炭化水素油の接触分解反応過程にて用いられる流動接触分解触媒の被毒元素の一つであるバナジウム等を捕捉固定化し、流動接触分解触媒の劣化を抑えることができ、また高い触媒活性を維持できる金属捕捉剤およびその製造方法を提供することにある。更に本発明の他の目的は、その金属捕捉剤を含む流動接触分解触媒を提供することにある。
特に、流動接触分解触媒にバナジウム捕捉能を有する化合物を組み込むには、触媒製造工程において、pHの低い調合スラリーにバナジウム捕捉能を有する化合物を分散したり、金属捕捉剤を含む噴霧乾燥品を洗浄したりする工程で、有効な塩基性を有する元素が溶出するため、金属捕捉剤としての効果が得られないという課題があった。
このような技術的背景のもと、発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特に珪素酸化物バインダーを含む流動接触分解触媒の製造工程においても、バナジウム捕捉能を有する元素の溶出を抑制できる金属捕捉剤を見出し、流動接触分解触媒にこの金属捕捉剤を組み込むことで劣化を抑えることができることを知見し、本発明を開発するに至った。
前記課題を解決し、上記の目的を実現するため開発した本発明は、下記のとおりのものである。すなわち、本発明は、有効な金属捕捉剤および珪酸酸化物バインダーを含む流動接触分解触媒に組み込むことで劣化が抑制された流動接触分解触媒を提供する。
本発明にかかる上記金属捕捉剤は、珪素酸化物バインダーと、金属捕捉成分とを含む金属捕捉剤であって、上記金属捕捉成分は第2族元素もしくは希土類元素の酸化物を含んでおり、上記酸化物の表面は、上記珪素酸化物バインダーに含まれる珪素酸化物によって被覆され、上記金属捕捉剤は平均粒子径が1.0~45.0μmであることを特徴する。
なお、本発明にかかる上記金属捕捉剤は、
(1)比表面積が、0.1~50m/gであること、
(2)上記金属捕捉成分の含有量が上記金属捕捉剤に対して酸化物換算で30~80質量%であること、
(3)上記金属捕捉成分がカルシウム酸化物、マグネシウム酸化物及びランタン酸化物から選ばれる少なくとも一つの酸化物であること、
(4)金属捕捉成分がカルシウム、マグネシウムもしくはランタンの炭酸塩及びシュウ酸塩から選ばれる少なくとも一つの化合物を加熱して得られること、などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
また、本発明は、第二に、上記いずれかの金属捕捉剤の製造方法を提案する。すなわち、本発明にかかる金属捕捉剤の製造方法は、上記いずれかの金属捕捉剤の製造方法であって、珪酸アルカリ金属(M)塩の水溶液に金属捕捉成分として第2族元素もしくは希土類元素の酸化物を加え混合スラリーを得る第1工程と、上記混合スラリーを加熱して金属捕捉剤前駆体とした後、上記金属捕捉剤前駆体を噴霧乾燥して上記金属捕捉剤前駆体の噴霧乾燥粒子を得る第2工程と、前記噴霧乾燥粒子を焼成して金属捕捉剤を得る第3工程と、を含むことを特徴とする。
なお、本発明にかかる金属捕捉剤の製造方法については、
(5)上記金属捕捉成分は、カルシウム酸化物、マグネシウム酸化物もしくはランタン酸化物から選ばれる少なくとも一つの酸化物であること、
(6)上記金属捕捉成分は、カルシウム、マグネシウムもしくはランタンの炭酸塩及びシュウ酸塩から選ばれる少なくとも一つの化合物を加熱して得ること、
(7)上記珪酸アルカリ金属(M)塩に含まれる二酸化珪素SiOとアルカリ金属(M)の酸化物MOとのモル比が、SiO/MO=2.6~3.8であって、上記アルカリ金属(M)がナトリウム又はカリウムであること、などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
また、本発明は、第三に、上記いずれか1つの金属捕捉剤と、ゼオライト成分と、珪素酸化物バインダー成分と、粘土鉱物成分と、を含むことを特徴とする流動接触分解触媒を提供する。なお、本発明にかかる上記流動接触分解触媒については、
(8)上記金属捕捉剤の含有量は、上前記流動接触分解触媒に対して0.2~5.0質量%であること、
(9)更に活性マトリックス成分を有する添加物を含むこと、などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
本発明は、金属捕捉剤として、バナジウム捕捉機能を有する、例えばマグネシウム、カルシウムもしくはランタンなどの化合物に珪酸アルカリ金属塩を処理することで、触媒の製造工程でのバナジウム捕捉機能を有する化合物の溶出を抑制でき、当該金属捕捉剤を流動接触分解触媒に組み込むことで触媒中に分散させている。このため、流動接触分解触媒の劣化を抑えることができる。
本発明の金属捕捉剤の製造方法の各製造工程を示すフロー図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
[金属捕捉剤]
本発明にかかる金属捕捉剤は、珪素酸化物バインダーと、金属捕捉成分とを含む金属捕捉剤である。金属捕捉成分は第2族元素もしくは希土類元素の酸化物である。具体的に金属捕捉成分は、カルシウム、マグネシウムもしくはランタンの酸化物である。これらの酸化物の表面は、珪素酸化物バインダーに含まれる酸化珪素によって被覆されている。酸化物の表面を塩基性の珪素化合物で被覆することで、流動接触分解触媒調製時の調合スラリー中で酸化物が酸性溶液に曝されても、その表面で水酸化珪素を形成することで、金属捕捉成分が酸性溶液と接触する割合を低減し、その溶出を抑制できる。
<金属捕捉成分>
本発明の金属捕捉剤に含まれる金属捕捉成分は、第2族元素もしくは希土類元素の酸化物である。第2族元素もしくは希土類元素の酸化物は、カルシウム酸化物、マグネシウム酸化物もしくはランタン酸化物から選ばれる少なくとも一つの酸化物であってもよい。金属捕捉剤の製造工程においては、これらの酸化物を直接用いてもよいが、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ランタンを生成することができるカルシウム、マグネシウム、ランタンの炭酸塩もしくはシュウ酸塩を用いてもよい。
金属捕捉剤には、第2族元素もしくは希土類元素の酸化物、又は当該酸化物を生成することができる少なくとも1種以上の化合物が、酸化物換算で30~80質量%含まれる。さらには40~75質量%の含まれることが望ましい。この範囲よりも少ないと、流動接触分解触媒の調製が困難になったり、金属捕捉剤を流動接触分解触媒に組み込んでも金属捕捉能が十分に得られなかったりする。また、この範囲より多いと金属捕捉成分である酸化物に含まれるカルシウム、マグネシウム、ランタンが流動接触分解触媒を調製する際に溶出し、結果として金属捕捉剤としての金属捕捉能が十分に得られない。
金属捕捉剤に使用される金属捕捉成分である第2族元素もしくは希土類元素の酸化物(カルシウム、マグネシウム、ランタン酸化物、又は当該酸化物を生成する化合物)を水に懸濁した際の平均粒子径は、1~10μmの範囲にあることが好ましい。さらには、2~8μmの範囲にあることがより好ましい。この範囲より大きいと金属捕捉剤の平均粒子径が大きくなるため、当該金属捕捉剤を流動接触分解触媒に組み込んだときに、その触媒物性(嵩密度(ABD)、耐摩耗性)が悪化する場合があるため好ましくない。また、この範囲より小さいと、金属捕捉剤を用いて流動接触分解触媒を調製するときにカルシウム、マグネシウム、ランタン化合物が溶出し、結果として金属捕捉能が十分に得られないため好ましくない。
金属捕捉剤に含まれる珪素酸化物バインダーの含有量は、SiO換算で20~70質量%であることが好ましい。さらには25~60質量%含まれることが望ましい。この範囲より少ないと、金属捕捉成分である第2族元素もしくは希土類元素の酸化物に含まれるカルシウム、マグネシウム、ランタンが流動接触触媒を調製する際に溶出してしまい、結果として金属捕捉能が十分に得られないため好ましくない。また、この範囲より多いと流動接触分解触媒の調製が困難になったり、金属捕捉剤として流動接触分解触媒に組み込んでも金属捕捉能が十分に得られなかったりするため好ましくない。
<金属捕捉剤の物性>
本発明の金属捕捉剤は、X線回折分析において、金属成分の珪酸塩のピークが検出されない。金属成分の珪酸塩が形成されないことから、金属成分によるバナジウム等の重金属捕捉能が十分に発揮できると考えられる。
本発明の金属捕捉剤は、(a)平均粒子径が1.0~45.0μmの範囲にあることが好ましく、さらには2.0~30.0μmの範囲にあることがより好ましい。金属捕捉剤の平均粒子径が1.0μm以上であれば、流動接触分解触媒の調製時にカルシウム、マグネシウム、ランタン化合物が溶出することがなく、結果として金属捕捉能が十分に得られるため好ましい。また、金属捕捉剤の平均粒子径が45.0μm以下であれば、当該金属捕捉剤を流動接触分解触媒に組み込んだときに触媒物性(嵩密度(ABD)、耐耗性)が悪化する場合がないため好ましい。なお、金属捕捉剤の平均粒子径の測定は、乾式マイクロメッシュシーブ法により測定し、50質量%値をその平均粒子径とした。
さらに、本発明の金属捕捉剤は、(b)BET法で測定した比表面積(SA)が、0.1~50m/gの範囲にあることが好ましい。金属捕捉剤の比表面積(SA)が0.1m/g以上であれば、金属捕捉成分である第2族元素もしくは希土類元素の酸化物が凝集しやすくなることがなく、金属捕捉効率が低下しないため好ましい。一方、金属捕捉剤の比表面積が50m/g以下であれば、流動接触分解触媒に当該金属捕捉剤を組み込んでも、流動接触分解触媒の嵩密度(ABD)が低下することがなく、金属捕捉成分が溶出することがないため、十分な金属捕捉機能を発現することができるため好ましい。
前述したように、本発明の金属捕捉剤は、(c)金属捕捉成分の含有量が金属捕捉剤に対して酸化物換算で30~80質量%である。
[金属捕捉剤の製造方法]
図1は、本発明の金属捕捉剤の製造方法の各製造工程を示すフロー図である。以下、本発明の金属捕捉剤の製造方法の各工程について説明する。本発明にかかる金属捕捉剤の製造方法は、珪酸アルカリ金属(M)塩の水溶液に金属捕捉成分として第2族元素もしくは希土類元素の酸化物を加え混合スラリーを得る第1工程と、上記混合スラリーを加熱して金属捕捉剤前駆体とした後、上記金属捕捉剤前駆体を噴霧乾燥して上記金属捕捉剤前駆体の噴霧乾燥粒子を得る第2工程と、前記噴霧乾燥粒子を焼成して金属捕捉剤を得る第3工程と、を含む。また必要に応じて、上記工程に金属捕捉剤の粉砕工程を追加することができる。以下、各工程について説明する。
<第1工程:混合スラリーを得る工程>
本発明の金属捕捉剤の製造方法は、第1工程として、珪酸アルカリ金属(M)塩水溶液に金属捕捉成分として第2族元素もしくは希土類元素の酸化物を加え混合スラリーを得る工程を含む。珪酸アルカリ金属(M)塩水溶液に含まれる珪酸アルカリ金属(M)塩は、いわゆるシリカ系成分として機能し、金属捕捉成分であるカルシウム、マグネシウム、ランタン等の第2族元素もしくは希土類元素の酸化物の表面を珪素酸化物により被覆するために使用される。第2族元素もしくは希土類元素の酸化物の表面が珪素酸化物により被覆されることにより、流動接触分解触媒に上記金属捕捉剤を組み込む際に、金属捕捉成分である第2族元素もしくは希土類元素の酸化物に含まれるカルシウム、マグネシウム、ランタンの成分が溶出することを防ぐことができる。珪酸アルカリ金属(M)塩を構成しているアルカリ金属(M)としては、ナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
珪酸アルカリ金属(M)塩水溶液は、水ガラスやアルカリ金属化合物およびそれらを溶解した水溶液を添加した後、シリカゾルを添加して調製することができる。珪酸アルカリ金属(M)塩に含まれるSiOとMOとの比率(SiO/MO比)は、モル比で2.6~3.8であることが好ましく、さらには2.8~3.6の範囲がより好ましい。上記SiO/MO比が2.8以上であれば、酸性溶液中で金属捕捉成分の表面に水酸化珪素化合物を形成し、金属捕捉成分の溶出を抑制できるため好ましく、上記SiO/MO比が3.6以下であれば、流動接触分解触媒調製時に調合スラリーの急激な粘度上昇が起こらないため好ましい。
第1工程において、珪酸アルカリ金属(M)塩水溶液に加える金属捕捉成分は、第2族元素もしくは希土類元素の酸化物であって、例えば、カルシウム酸化物、マグネシウム酸化物もしくはランタン酸化物から選ばれる少なくとも一つの酸化物である。上記金属捕捉成分は、カルシウム、マグネシウムもしくはランタンの炭酸塩及びシュウ酸塩から選ばれる少なくとも一つの化合物であってもよい。カルシウム、マグネシウムもしくはランタンの炭酸塩及びシュウ酸塩は、金属捕捉剤の製造工程において、加熱によりカルシウム酸化物、マグネシウム酸化物もしくはランタン酸化物を生成する。
第1工程において、上記珪酸アルカリ金属(M)塩水溶液に金属捕捉成分であり、第2族元素もしくは希土類元素の酸化物である酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ランタン、又はこれらの酸化物を生成するカルシウム、マグネシウム、ランタン化合物から少なくとも1種類の以上添加し、撹拌混合する。
<第2工程:混合スラリーを乾燥し、金属捕捉剤前駆体を得る工程>
第1工程で得られた混合スラリー(金属捕捉剤前駆体)を、100~600℃、好ましくは110~600℃、さらに好ましくは400~600℃の温度で、0.5~10時間、好ましくは1~8時間の乾燥および/または焼成加熱処理することにより、本発明の金属捕捉剤の前駆体である金属捕捉剤前駆体を得る。
混合スラリーの乾燥は、乾燥機または噴霧乾燥機による噴霧乾燥であってもよい。混合スラリーの乾燥方法としては、例えばコーティングドライヤーを例示することができる。具体的には、炭酸カルシウム等の粉末をロータリードライヤー的な設備、もしくは流動乾燥設備を用いて加熱しながら、珪酸ナトリウム水溶液等の溶液を噴霧し、乾燥させる方法を例示することができる。また、混合スラリーの乾燥方法としては、炭酸カルシウム等の粉末に珪酸ナトリウム水溶液等の溶液を一旦含浸処理した後、加熱し乾燥-焼成する方法を例示することができる。これらの混合スラリーの乾燥方法の中でも噴霧乾燥の方がより実用的である。噴霧乾燥の条件は、下記条件内で行うことが好ましい。詳細には、第1工程で得られた混合スラリーを噴霧乾燥機のスラリー貯槽に充填し、120~450℃の範囲の例えば230℃に調整された気流(例えば空気)が流れる乾燥チャンバー内に混合スラリーを噴霧乾燥機から噴霧することにより、金属捕捉剤前駆体の噴霧乾燥粒子が得られる。混合スラリーの噴霧乾燥の条件によって、上記気流の温度は低下するが、乾燥チャンバーの出口の温度は、ヒーターなどを用いて50~300℃の範囲の例えば120℃に維持される。
<第3工程:噴霧乾燥粒子を焼成し、金属捕捉剤を得る工程>
本発明にかかる金属捕捉剤の製造方法は、第3工程として、上記噴霧乾燥粒子を焼成して、金属捕捉剤を得る工程を含む。該噴霧乾燥粒子の焼成は、150~550℃の範囲で、より好ましくは200~450℃の温度範囲で行う。この範囲より低いと流動接触分解触媒の調製時に金属捕捉成分であり、第2族元素もしくは希土類元素の酸化物である酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ランタンが溶出しやすくなる。また、この範囲より高いと流動接触分解触媒調製が困難になる。
<その他の工程(粉砕工程)>
本発明の金属捕捉剤の粒度を調整するために、第3工程で得られた金属捕捉剤の乾燥後もしくは焼成後に適度に粉砕処理を施しても良い。
[流動接触分解触媒]
本発明の流動接触分解触媒(以下、本触媒ともいう。)は、上記金属捕捉剤と、珪素酸化物バインダー成分と、ゼオライト成分と、粘土鉱物成分とを含む。該触媒を使用した接触分解処理は、固定床反応装置に触媒を充填して水素雰囲気下、高温高圧条件で行なわれる。
<金属捕捉剤>
本触媒には、上記金属捕捉剤が0.2~5.0質量%の範囲で含まれる。金属捕捉剤の含有量が、0.2質量%以上であれば、バナジウム等の金属を捕捉して触媒の被毒を抑える効果が十分となるため好ましい。一方、金属捕捉剤の含有量が5.0質量%以下であれば、流動接触分解触媒の物性(嵩密度(ABD)、耐摩耗性)が悪化することなく、触媒使用中に金属捕捉剤成分のみが飛散する場合がなく、十分な金属捕捉能を示さなくなる場合がないため好ましくない。
<バインダー成分>
本触媒には、珪素酸化物バインダー成分が5~30質量%範囲で含まれる。珪素酸化物バインダー成分に含まれる珪素酸化物の含有量が5質量%よりも少ないと、流動接触分解触媒の嵩密度が低くなりすぎたり、耐摩耗性が不十分となったりするおそれがある。一方、珪素酸化物バインダー成分に含まれる珪素酸化物の含有量が30質量%よりも多いと、余剰の珪素酸化物が細孔閉塞等を引き起こし、流動接触分解触媒の活性が不十分となるおそれがある。なお、珪素酸化物バインダー成分の含有量は、5~25質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは10~20質量%の範囲である。本触媒に用いられる珪素酸化物バインダー成分としては、シリカバインダーを想定している。すなわち、本触媒は、珪素酸化物バインダー成分としてシリカバインダーを用い、流動接触分解触媒に当該シリカバインダーを組み込むことに特化した材料である。
(シリカバインダー)
本発明の流動接触分解触媒に使用するシリカバインダーの例としては、水ガラスを酸性溶液で中和して調製した酸性シリカゾル、シリカゾルに酸性溶液を添加して調製した溶液、シリカゾルのアルカリを陽イオン交換樹脂などで除去したもの、水ガラスのアルカリを陽イオン交換樹脂で除去した珪酸溶液等を用いることが出来る。これらの溶液のpHは、7よりも低い方が好ましい。pHが7未満であれば、シリカバインダーのバインダーとしての機能が十分に発揮されず、流動接触分解触媒の嵩密度(ABD)が低下したり、耐摩耗性が悪化したりする場合がないため好ましい。
<ゼオライト>
本発明の流動接触分解触媒にはゼオライト成分(結晶性アルミナシリケート)が含まれる。ゼオライトは、接触分解プロセス、特に流動接触分解プロセスにて炭化水素供給原料油に対する接触分解活性を持つゼオライトであれば、特段の限定はない。例えば、フォージャサイトゼオライトやZSMゼオライト、βゼオライト、モルデナイトゼオライト、天然ゼオライトから選択された1種、または2種以上のゼオライトを含むことができる。好適には本触媒は、合成フォージャサイトゼオライトであるUSY型(Ultra-Stable Y-Type)を含むことが望ましい。
本発明の流動接触分解触媒には、ゼオライト成分が10~50質量%の範囲で含まれる。ゼオライト成分の含有量が10質量%よりも少ないと、ゼオライトが少ないために活性が不十分となるおそれがある。一方、ゼオライトの含有量が50質量%よりも多いと、活性が高すぎて過分解となり、選択性が低下する場合があり、また、ゼオライト以外のマトリックス成分の含有量が少なくなるために嵩密度が低くなり過ぎたり、耐摩耗性が不十分となったり、流動接触分解触媒として使用した場合、容易に粉化して触媒が飛散する要因ともなるおそれがある。なお、ゼオライト成分の含有量は15~45質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは20~40質量%の範囲である。
<粘土鉱物成分>
粘土鉱物成分としては、カオリンやハロイサイトなどが使用され、好適にはカオリンが選択される。本触媒には、粘土鉱物成分が10~40質量%の範囲で含まれる。粘土鉱物の含有量が10質量%よりも少ないと、細孔構造の維持や触媒形状の悪化を引き起こすとともに。耐摩耗性や流動性が不十分となる。一方、粘土鉱物の含有量が40質量%よりも多いと、主要な活性成分であるゼオライトの含有量が低くなり、分解活性が不十分となる場合がある。なお、粘土鉱物成分の含有量は、15~40質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは20~35質量%の範囲である。
<添加物>
本発明の流動接触分解触媒は、前述の金属捕捉剤、珪素酸化物バインダー成分、ゼオライト成分、粘土鉱物成分に加え、他の添加物を加えてもよい。添加物としては、活性マトリックス成分、オクタン価向上や低級オレフィン成分を増加させる成分等を例示することができる。
活性マトリックス成分としては、活性アルミナやシリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、アルミナ-マグネシア、シリカ-マグネシア-アルミナなどの固体酸を有する物質が挙げられる。本発明の流動接触分解触媒には、活性マトリックス成分が1~30質量%、好ましくは5~25質量%、さらに好ましくは5~20質量%の範囲で含んでもよい。活性マトリックス成分の含有量が1質量%よりも少ないと、マトリックスでの粗分解能が十分得られず、活性面で悪影響を与えるとともに、嵩密度の低下や耐摩耗性や流動性の悪化を引き起こすことが懸念される。一方、活性マトリックス成分の含有量が30質量%よりも多いと、主要な活性成分であるゼオライトの含有量が低くなり、分解活性が不十分となる場合がある。
<平均粒子径>
本発明の流動接触分解触媒は、触媒試料の粒度分布の測定を、堀場製作所(株)製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA-950V2)にて行うことができる。具体的には、光線透過率が70~95%の範囲となるように試料を溶媒(水)に投入し、循環速度 2.8L/min,超音波 3min、反復回数30で測定した。メディアン径(D50)を平均粒子径として採用した。本発明の流動接触分解触媒の平均粒子径は、40~90μmが好適であり、50~80μmがより一層好ましい。
<比表面積(SA)>
本発明の流動接触分解触媒は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した比表面積が、180~320m/gの範囲であることが好ましい。比表面積が、180m/gよりも小さいと、流動接触分解プロセスなどにおいて短い接触時間で接触分解反応を十分に進行させることができないおそれがある。一方、320m/gより大きいと流動接触分解触媒として、十分な強度が得られないおそれがある。
<細孔容積(PV)>
本発明の流動接触分解触媒は、水のポアフィリング法により測定した全細孔径範囲の細孔容積(PV)が0.25~0.45ml/g、好適には0.26~0.35ml/gの範囲内にあることが好ましい。細孔容積が0.25ml/gを下回ると、十分な接触分解活性が得られないおそれがある。一方で、細孔容積が0.45ml/gを超えるものは触媒強度が低下するおそれがある。
<嵩密度(ABD)>
本触媒の嵩密度(ABD)の測定方法は、25mlのシリンダーを用いて、流動接触分解触媒の重量を測定し、単位体積当たりの重量から嵩密度を計算した。嵩密度は0.67g/mlを下限とすることが好ましい。嵩密度が0.67g/ml未満である場合は、流動接触分解装置で当該流動接触分解触媒を流動したときにサイクロン等で捕集されずに触媒成分が飛散したり、当該流動接触分解触媒の耐摩耗性が不十分となり、容易に粉化して触媒成分が飛散したりするおそれがある。
[流動接触分解触媒の製造方法]
本発明の流動接触分解触媒は、以下のように製造される。例えばゼオライト(結晶性アルミナシリケート)と、シリカバインダーと、粘土鉱物成分と、既述の添加物と、本発明の金属捕捉剤と、を含むスラリーを調製する。スラリーの噴霧乾燥を行い、噴霧乾燥して得られた粉体をイオン交換水に懸濁し、懸濁状態を10分から1時間程度保持した後、濾別する。濾別して得られた粉体の掛水洗浄を行い、さらに、ケーキを回収し、硫安にてpHを4.5に調製しながら懸濁する。懸濁状態を10分から1時間程度保持した後、濾別し、掛水洗浄を行う。最終的に、洗浄ケーキを懸濁し、塩化レアース溶液を所定量添加し、REをイオン交換した後、濾別し、掛水洗浄したケーキを回収し、箱型乾燥機で150℃にて一晩保持することで得られる。
[MTR-1]金属捕捉剤MTR-1の調製
水ガラス(SiO濃度:21.5質量%、SiO/NaO比:3.2)244gにイオン交換水30gを加え、撹拌した後、平均粒子径5.0μmの炭酸カルシウム(酸化カルシウム濃度:43質量%)粉末226gを加え混合して原料スラリーを得た。原料スラリーを液滴として入口温度が200℃、出口温度が120℃の噴霧乾燥機で噴霧乾燥させ、平均粒子径が28μmの乾燥粒子を得た。この乾燥粉末を焼成炉にて320℃にて2時間焼成することで金属捕捉剤MTR-1を得た。
[MTR-2]金属捕捉剤MTR-2の調製
水ガラス(SiO濃度:21.5質量%、SiO/NaO比:3.2)349gに平均粒子径5.0μmの炭酸カルシウム(酸化カルシウム濃度:43質量%)粉末174gを加えて混合して原料スラリーを得た以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径26μmの金属捕捉剤MTR-2を得た。
[MTR-3]金属捕捉剤MTR-3の調製
水ガラス(SiO濃度:21.5質量%、SiO/NaO比:3.2)174gにイオン交換水65gを加え、撹拌した後、平均粒子径5.0μmの炭酸カルシウム(酸化カルシウム濃度:43質量%)粉末261gを加えて混合して原料スラリーを得た以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が30μmの金属捕捉剤MTR-3を得た。
[MTR-4]金属捕捉剤MTR-4の調製
水ガラス(SiO濃度:21.5質量%、SiO/NaO比:3.2)244gにイオン交換水119gを加え、撹拌した後、平均粒子径3.0μmの炭酸ランタン(酸化ランタン濃度:71質量%)粉末137gを加えて混合して原料スラリーを得た以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が27μmの金属捕捉剤MTR-4を得た。
[MTR-5]金属捕捉剤MTR-5の調製
水ガラス(SiO濃度:21.5質量%、SiO/NaO比:3.2)244gにイオン交換水45gを加え、撹拌した後、平均粒子径5.0μmの炭酸マグネシウム(酸化マグネシウム濃度:46質量%)粉末211gを加えて混合して原料スラリーを得た以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が34μmの金属捕捉剤MTR-5を得た。
[MTR-6]金属捕捉剤MTR-6の調製
金属捕捉剤MTR-1の調製条件において、乾燥粉末の焼成温度を200℃とした以外は同様に実施して、平均粒径が24μmの金属捕捉剤MTR-6を得た。
[MTR-7]金属捕捉剤MTR-7の調製
金属捕捉剤MTR-1の調製条件において、焼成温度を450℃とした以外は同様に実施して、平均粒径が32μmの金属捕捉剤MTR-7を得た。
[MTR-8]金属捕捉剤MTR-8の調製
水ガラス(SiO濃度:19.8質量%、SiO/NaO比:3.5)265gにイオン交換水12gを加え、撹拌した後、平均粒子径5.0μmの炭酸カルシウム(酸化カルシウム濃度:43質量%)粉末226gを加えて混合して原料スラリーを得た以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が32μmの金属捕捉剤MTR-8を得た。
[MTR-9]金属捕捉剤MTR-9の調製
水ガラス(SiO濃度:22.1%、SiO/NaO比:3.0)238gにイオン交換水36gを加え、撹拌した後、平均粒子径5.0μmの炭酸カルシウム(酸化カルシウム濃度:43%)粉末226gを加えて混合して原料スラリーを得た以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が28μmの金属捕捉剤MTR-9を得た。
[MTR-10]金属捕捉剤MTR-10の調製
水ガラス(SiO濃度:21.5質量%、SiO/NaO比:3.2)244gにイオン交換水26gを加え、撹拌した後、平均粒子径7.0μmのシュウ酸カルシウム(酸化カルシウム濃度:42質量%)粉末230gを加えて混合して原料スラリーを得た以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が31μmの金属捕捉剤MTR-10を得た。
比較例1
[MTR-R1]金属捕捉剤MTR-R1の調製
水ガラス(SiO濃度:21.5質量%、SiO/NaO比:3.2)70gにイオン交換水117gを加え、撹拌した後、平均粒子径5.0μmの炭酸カルシウム(酸化カルシウム濃度:43%)粉末313gを加えて混合して原料スラリーを得た以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が45μmの金属捕捉剤MTR-R1を得た。
[MTR-R2]金属捕捉剤MTR-R2の調製
金属捕捉剤MTR-1の調製条件において、焼成温度を600℃とした以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が55μmの金属捕捉剤MTR-R2を得た。
[MTR-R3]金属捕捉剤MTR-R3の調製
金属捕捉剤MTR-1の調製条件において、焼成を実施しなかった以外は金属捕捉剤MTR-1と同様に実施し、平均粒子径が22μmの金属捕捉剤MTR-R3を得た。
以上、実施例1で得られた金属捕捉剤MTR-1~MTR-10、及び比較例1で得られた金属捕捉剤MTR-R1~MTR-R3の性状を表1に示す。
[FCC触媒-1]
水ガラス(SiO濃度:17質量%)2941gと硫酸(硫酸濃度:25質量%)1059gを同時に連続的に加えて、SiO濃度が12.5質量%のシリカゾル(シリカ系バインダーの一例)4000gを調製した。このシリカゾルにカオリン(固形分濃度:84質量%)1146g、活性アルミナ粉末(固形分濃度:81質量%)309gを加え、さらに、硫酸にてpHを3.9に調整した超安定化Y型ゼオライトスラリー(UCS:24.43Å、固形分濃度:33質量%)を2273g加えて撹拌した後、金属捕捉剤MTR-1をCaOベースで1.0質量%となるように添加し混合スラリーを調製した。この混合スラリーを噴霧乾燥し、球状粒子を得た。得られた球状粒子を10倍量の温水(60℃)に懸濁し、脱水濾過を行い、さらに10倍量の温水(60℃)を掛水した後、さらに懸濁を行い、希土類金属(Rare Earth:RE)塩化物の水溶液(セリウム及びランタンの塩化物を含む。)と接触させてREとして、2.5質量%となるようにイオン交換した後、135℃の乾燥機で乾燥して、FCC触媒-1を得た。
[FCC触媒-2]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-2をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-2を得た。
[FCC触媒-3]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-3をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-3を得た。
[FCC触媒-4]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-4をLaベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-4を得た。
[FCC触媒-5]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-5をMgOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-5を得た。
[FCC触媒-6]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-6をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-6を得た。
[FCC触媒-7]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-7をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-7を得た。
[FCC触媒-8]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-8をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-8を得た。
[FCC触媒-9]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-9をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-9を得た。
[FCC触媒-10]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-10をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-10を得た。
[FCC触媒-11]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-11をCaOベースで0.5質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-11を得た。
[FCC触媒-12]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-1をCaOベースで3.2質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-12を得た。
比較例2
[FCC触媒-R1]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤を添加しなかった以外は同様に実施してFCC触媒-R1を得た。
[FCC触媒-R2]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤として炭酸カルシウムをCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-R2を得た。
[FCC触媒-R3]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤としてシュウ酸カルシウムをCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-R3を得た。
[FCC触媒-R4]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-R1をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-R4を得た。
[FCC触媒-R5]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-R2をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-R5を得た。
[FCC触媒-R6]
FCC触媒-1において、金属捕捉剤MTR-R3をCaOベースで1.0質量%となるように添加した以外は同様に実施してFCC触媒-R6を得た。
Figure 2022188609000002
[触媒の性能評価試験]
上記のようにして得た流動接触分解触媒に各金属捕捉剤をブレンドした流動接触分解触媒である実施例2のFCC触媒-1~FCC触媒-12、比較例2のFCC触媒-R1~FCC触媒-R6を調製し、ACE-MAT(Advanced Cracking Evaluation-Micro Activity Test)を用い、同一原油、同一反応条件下で触媒の性能評価試験を行った。各触媒の性能評価試験の結果を表2~3に示す。転化率は触媒/通油量の質量比(C/O)が5.0の場合であり、各収率は、原料油の質量に対する生成油中の各成分の質量の百分率で表す。
ただし、これらの性能評価試験を行う前に、各触媒の表面に、予めニッケルおよびバナジウムをそれぞれ2000質量ppm(ニッケルの質量を触媒の質量で除算している)および4000質量ppm(バナジウムの質量を触媒の質量で除算している)沈着させ、次いでスチーミングして擬平衡化処理を行った。具体的には、各触媒を予め600℃で2時間焼成した後、所定量のナフテン酸ニッケル、およびナフテン酸バナジウムのトルエン溶液を吸収させ、次いで110℃で乾燥後、600℃で1.5時間焼成し、次いで780℃で13時間スチーム処理を行った。
性能評価試験における運転条件は以下の通りである。上記運転条件により、本発明の流動接触分解触媒の性能を評価した。性能評価試験の結果を表2~3に示す。
原料油:原油の脱硫常圧残渣油(DSAR)+脱硫減圧軽油(DSVGO)(50+50)
触媒/通油量の質量比(C/O):5.0
反応温度:520℃
1)転化率=100-(LCO+HCO+CLO) (質量%)
2)触媒/油の質量比を5.0にて測定し、各収率を求めた。
3)ガソリンの沸点範囲:30~216℃ (Gasoline)
4)LCOの沸点範囲:216~343℃(LCO:Light Cycle Oil)
5)HCOおよびCLOの沸点範囲:343℃+(HCO:Heavy Cycle Oil、CLO:Clarified Oil)
6)LPG(液化石油ガス)
7)Dry Gas:メタン、エタンおよびエチレン
Figure 2022188609000003
Figure 2022188609000004
[触媒の活性評価結果]
触媒の活性評価結果(表2~3)によれば、実施例1にて調製した金属捕捉剤MTR-1~10を1.0質量%含む触媒(発明例)での性能評価結果(同一転化率(77%)での収率)は、金属捕捉剤を含まない母体触媒100%の場合(テストNo.1(比較例1):基準)、金属捕捉剤に換えて、炭酸カルシウム(テストNo.14(比較例))、シュウ酸カルシウム(テストNo.15(比較例))を用いた場合に比べて、H、Dry GasおよびCoke収率の低下並びにガソリン収率の増加が明らかである。また、金属捕捉剤MTR-1を3.2質量%添加した触媒(テストNo.13(比較例))は、金属捕捉剤MTR-1を1.0質量%添加した触媒(テストNo.2(実施例))より、特にH、Coke、Dry Gas収率の改善は高いものの、転化率が低下している。また、MTR-1を0.5質量%添加した場合(テストNo.12(比較例))は、いずれの収率に対しても明らかな改善は観られなかった。
以上説明したように、本発明にかかる金属捕捉剤は、金属捕捉能が高く、耐摩耗性も有するので、流動接触分解触媒に添加して、ニッケルやバナジウムを含有する炭化水素油の分解に使用して、触媒の機能を長期にわたり安定に維持でき、好適である。上記例では、アルミナバインダーを用いた流動接触分解触媒としたが、それ以外のバインダーや他の添加物とも好適に組み合わせることができる。このように、本発明は、残油処理用流動接触分解にきわめて有用であり、石油精製、石油化学工業等の産業上利用可能である。

Claims (12)

  1. 珪素酸化物バインダーと、金属捕捉成分とを含む金属捕捉剤であって、
    前記金属捕捉成分は第2族元素、もしくは希土類元素の酸化物を含んでおり、
    前記酸化物の表面は、前記珪素酸化物バインダーに含まれる珪素酸化物によって被覆され、
    前記金属捕捉剤は、平均粒子径が1.0~45.0μmであることを特徴する金属捕捉剤。
  2. 前記金属捕捉剤は、比表面積が0.1~50m/gであることを特徴する請求項1に記載の金属捕捉剤。
  3. 前記金属捕捉剤は、前記金属捕捉成分の含有量が前記金属捕捉剤に対して酸化物換算で30~80質量%であることを特徴する請求項1又は2に記載の金属捕捉剤。
  4. 前記金属捕捉成分は、カルシウム酸化物、マグネシウム酸化物及びランタン酸化物から選ばれる少なくとも一つの酸化物であることを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載の金属捕捉剤。
  5. 前記金属捕捉成分は、カルシウム、マグネシウムもしくはランタンの炭酸塩及びシュウ酸塩から選ばれる少なくとも一つの化合物を加熱して得られることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の金属捕捉剤。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の金属捕捉剤の製造方法であって、
    珪酸アルカリ金属(M)塩水溶液に金属捕捉成分として第2族元素の酸化物を加え混合スラリーを得る第1工程と、
    前記混合スラリーを加熱して金属捕捉剤前駆体とした後、前記金属捕捉剤前駆体を噴霧乾燥して前記金属捕捉剤前駆体の噴霧乾燥粒子を得る第2工程と、
    前記噴霧乾燥粒子を焼成して金属捕捉剤を得る第3工程と、を含む金属捕捉剤の製造方法。
  7. 前記金属捕捉成分は、カルシウム酸化物、マグネシウム酸化物もしくはランタン酸化物から選ばれる少なくとも一つの酸化物であることを特徴とする請求項6に記載の金属捕捉剤の製造方法。
  8. 前記金属捕捉成分は、カルシウム、マグネシウムもしくはランタンの炭酸塩及びシュウ酸塩から選ばれる少なくとも一つの化合物を加熱して得ることを特徴とする請求項6又は7に記載の金属捕捉剤の製造方法。
  9. 前記珪酸アルカリ金属(M)塩に含まれる二酸化珪素SiOとアルカリ金属(M)の酸化物MOとのモル比が、SiO/MO=2.6~3.8であって、
    前記アルカリ金属(M)がナトリウム又はカリウムであることを特徴とする請求項6~8いずれか一項に記載の金属捕捉剤の製造方法。
  10. 請求項1~5いずれか一項に記載の金属捕捉剤と、珪素酸化物バインダー成分と、ゼオライト成分と、粘土鉱物成分と、を含む流動接触分解触媒。
  11. 前記金属捕捉剤の含有量は、前記流動接触分解触媒に対して0.2~5.0質量%であることを特徴とする請求項10に記載の流動接触分解触媒。
  12. 更に活性マトリックス成分を有する添加物と、を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の流動接触分解触媒。
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