JP2004130193A - 炭化水素接触分解用触媒組成物およびそれを用いた接触分解法 - Google Patents

炭化水素接触分解用触媒組成物およびそれを用いた接触分解法 Download PDF

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Mitsunori Watabe
渡部 光徳
Katsuhide Tejima
手嶋 勝英
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Abstract

【課題】鉄化合物含有重質炭化水素の接触分解に使用して原料油中の鉄が触媒組成物表面に高濃度で沈着しても、分解活性および残油分解能の低下が少なく、水素、コークの生成量の増加などの悪影響が軽減され耐鉄被毒性に優れた炭化水素接触分解用触媒組成物およびそれを用いた接触分解法の提供。
【解決手段】結晶性アルミノシリケートゼオライト、メタル捕捉剤および無機酸化物マトリックスからなる炭化水素接触分解用触媒組成物であって、該触媒組成物は細孔直径5.5〜100nmの細孔容積が0.17ml/g以上で、かつ、細孔直径5.5nm以上の細孔容積が0.25ml/g以上であることを特徴とする鉄化合物含有炭化水素接触分解用触媒組成物およびそれを用いた接触分解法。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素接触分解用触媒組成物およびそれを用いた接触分解法に関し、さらに詳しくは残渣油などの鉄化合物含有重質炭化水素の接触分解に使用して鉄被毒の影響が少なく、分解活性が高く、残油分解能に優れ、水素、コークの生成が少ない鉄化合物含有炭化水素接触分解用触媒組成物およびそれを用いた接触分解法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年の石油供給事情より、残渣油などの重質炭化水素を接触分解の原料油として用いるケースが増加している。原料油の重質炭化水素中には、バナジウムやニッケルなどの金属化合物が含まれているため、これらの金属化合物は接触分解反応において種々の悪影響を及ぼすことが知られている。触媒組成物に沈着したバナジウムは活性成分である結晶性アルミノシリケートゼオライトを破壊して触媒活性の低下を起こし、また、ニッケルは脱水素反応を促進するため水素およびコークの生成が多くなる問題があった。
【0003】
これらの問題については、プロセス面からの改良や炭化水素接触分解用触媒組成物の開発によりある程度解決されて来ている。残渣油などの重質炭化水素の接触分解に使用して、バナジウムやニッケルに対する耐メタル性が高く、残油の分解能に優れ、水素、コークの生成量が少なく、ガソリンや灯軽油留分の収率の高い触媒組成物が、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3などに記載されている。
【0004】
しかし、ここ数年、新たに炭化水素接触分解用触媒組成物に対する鉄(Fe)の影響が注目されてきている。原料油中の鉄化合物は、有機鉄化合物や装置の定修時に発生するタンクや配管中の錆などの無機鉄化合物などである。流動接触分解(FCC)装置に供給される原料油に鉄化合物含有量の多い重質炭化水素が用いられることで触媒組成物上への鉄の沈着が生じ、沈着した鉄が再生塔条件下で触媒に溶融状態を生じさせて、触媒活性低下、残油(ボトム)分解能低下、コーク生成量の増加、触媒組成物の嵩比重低下、再生塔排ガス中の硫黄酸化物(SOx)増加などを生じる。この様な状況に対応するため、耐鉄被毒性を有する触媒組成物の開発が急務であった。
【0005】
特許文献4には、炭化水素に含有されてこの炭化水素の流動接触分解時に触媒がさらされる混入金属の不活性化に用いられる、アンチモン及び錫を含有する特定の化合物が提案されており、前記混入金属としてニッケル、バナジウム、鉄、銅、クロム、及びこれらの混合物が記載されている。
しかし、前述の耐鉄被毒性を有する触媒組成物はまだ知られていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−323229号公報
【特許文献2】
特開平10−128121号公報
【特許文献3】
特開平11―246868号公報
【特許文献4】
特許第2695121号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鉄化合物含有重質炭化水素の接触分解に使用して原料油中の鉄が触媒組成物表面に高濃度で沈着しても、分解活性および残油分解能の低下が少なく、水素、コークの生成量の増加などの悪影響が軽減され耐鉄被毒性に優れた炭化水素接触分解用触媒組成物およびそれを用いた接触分解方法を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、触媒組成物表面上に沈着した鉄化合物の挙動について検討した結果、鉄は触媒組成物粒子の表面に局在していて、FCC装置における触媒の再生塔条件下で鉄が溶融状態を生じさせ、触媒組成物表面の細孔を閉塞するため、原料油中の高分子炭化水素の触媒内部への拡散を妨げ、その結果分解活性および残油分解能が低下することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の第1は、結晶性アルミノシリケートゼオライト、メタル捕捉剤および無機酸化物マトリックスからなる炭化水素接触分解用触媒組成物であって、該触媒組成物は細孔直径5.5〜100nmの細孔容積が0.17ml/g以上で、かつ、細孔直径5.5nm以上の細孔容積が0.25ml/g以上であることを特徴とする鉄化合物含有炭化水素接触分解用触媒組成物に関する。
本発明の第2は、鉄またはその化合物を鉄として4ppm以上含有する炭化水素を請求項1記載の接触分解用触媒組成物を用いて接触分解する方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳述する。
本発明の触媒組成物は、鉄化合物含有炭化水素をFCC装置で接触分解するのに好適な鉄化合物含有炭化水素接触分解用触媒組成物である。鉄化合物含有炭化水素としては、通常の残渣油などの重質炭化水素中にバナジウムやニッケルと共に有機鉄化合物や無機鉄化合物などの鉄分がFeとして4ppm以上、通常は5〜40ppm含有する炭化水素が対象である。鉄分が4ppmより少ない場合には、触媒組成物に対する鉄の悪影響が少ないので特に問題にならない。
【0011】
前述の本発明の触媒組成物は、結晶性アルミノシリケートゼオライト(以下ゼオライトという)と、メタル捕捉剤および無機酸化物マトリックスからなる炭化水素接触分解用触媒組成物である。該触媒組成物に含まれるゼオライト含有量は、10〜50wt%の範囲にあることが好ましい。ゼオライト含有量が10wt%より少ない場合には分解活性が低くなることがあり、また、ゼオライト含有量が50wt%より多くなると炭化水素の過分解が起きてガス分が多くなりガソリンや灯軽油留分の収率が少なくなることがある。ゼオライト含有量は、更に好ましくは15〜40wt%の範囲にあることが望ましい。
【0012】
本発明での結晶性アルミノシリケートゼオライトには、通常の炭化水素の接触分解用触媒組成物に使用されるゼオライトが使用可能であリ、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、ZSM型ゼオライトなどを例示することができ、ゼオライトは通常の接触分解用触媒組成物の場合と同様に水素、アンモニウムおよび多価金属よリなる群から選ぱれた少なくとも1種のカチオンでイオン交換された形で使用される。Y型ゼオライト、特に超安定性Y型ゼオライト(USY)は固体酸点が多く耐水熱性に優れているので好適である。
【0013】
本発明でのメタル捕捉剤としては、通常、炭化水素の接触分解用触媒組成物に使用されるメタル捕捉剤が使用可能であり、具体的には、粒子状マンガン化合物、粒子状アルミナやカルシウムアルミネート、カルシウムシリケートなどのカルシウム化合物、マグネシウム化合物などのアルカリ土類金属酸化物などが例示される。本発明の触媒組成物に含まれるメタル捕捉剤含有量は、0.5〜10wt%の範囲にあることが好ましい。メタル捕捉剤含有量が0.5wt%より少ない場合には、原料油中に含まれるバナジウムやニッケルの悪影響を抑制する効果が得られないことがあり、また、10wt%より多い場合には分解活性が低下することがある。メタル捕捉剤含有量は、更に好ましくは1〜5wt%の範囲にあることが望ましい。
【0014】
本発明での無機酸化物マトリックスには、通常、ゼオライト以外の炭化水素の接触分解用触媒組成物に使用される無機酸化物マトリックスが使用可能であリ、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−ボリア、チタニア、ジルコニア、シリカ−ジルコニアなどの結合剤としての作用を有する耐火性酸化物を挙げることができる。さらに、無機酸化物マトリックスにはカオリン、ベントナイト、ハロイサイトなどの粘土鉱物などを含有させることができる。
【0015】
本発明での無機酸化物マトリックスは、特に、シリカ、活性アルミナ、多孔性珪酸アルミナ水和物粉末に由来するシリカ−アルミナおよび、カオリンからなる無機酸化物マトリックスが好ましく、マトリックスの組成は、結合作用を有するシリカ含有量が10〜60wt%、活性アルミナ含有量が1〜30wt%、多孔性珪酸アルミナ水和物粉末由来するシリカ−アルミナ含有量が1〜40wt%、カオリン含有量が残量(バランス)の範囲にあるのが望ましい。
【0016】
鉄化合物含有炭化水素接触分解用触媒組成物においては、触媒表面上に沈着した鉄が溶融状態を生じさせ触媒表面を覆っても、原料油が触媒内部へ拡散するのに十分な細孔直径を有する細孔が必要であり、この様な細孔は本発明者らの研究によれば細孔直径が約5.5nm以上のものであることが判った。しかし、細孔直径が100nmよりも大きい細孔は原料油の触媒内部へ拡散は良くなるが、必要以上に細孔直径が大きい細孔が多くなると触媒組成物の耐摩耗性が悪くなり、また、有効な外部表面積が少ないので耐鉄被毒性効果が十分に得られないので好ましくない。
前述の本発明の接触分解用触媒組成物は、細孔直径5.5〜100nmの細孔容積が0.17ml/g以上で、かつ、細孔直径5.5nm以上の細孔容積が0.25ml/g以上であることを特徴とする。細孔直径5.5〜100nmの細孔(メソポア)容積が0.17ml/gより小さい場合には、十分な耐鉄被毒性効果が得られず、所望の活性が得られない。メソポア容積は、好ましくは0.18〜0.30ml/gの範囲が望ましい。また、細孔直径5.5nm以上の細孔容積が0.25ml/gより小さい場合には、ボトム分解能が低下するので好ましくない。該細孔容積は、好ましくは0.27〜0.40ml/gの範囲が望ましい。
なお、本発明での細孔容積、細孔分布は、前述の触媒組成物を600℃で1時間前処理した試料を水銀圧入法で水銀の接触角130°、表面張力480dyn/cmの値を用いて細孔直径3.6nm以上の細孔について測定した値である。
【0017】
前述の特定の細孔構造を有する鉄化合物含有炭化水素接触分解用触媒組成物は、例えば、次の方法で製造することが出来る。即ち、水硝子に25wt%硫酸を加えてシリカゾルを調製し、これに、所定量のカオリン、多孔性珪酸アルミナ水和物粉末、活性アルミナを加え、さらに結晶性アルミノシリケートゼオライト、メタル捕捉剤を加えて均一に混合して得られた混合物スラリーを噴霧乾燥して微小球状粒子を得る。該微小球状粒子を洗浄した後、必要に応じて希土類金属成分をイオン交換で導入して、乾燥し、焼成して該触媒組成物を得る。なお、焼成は触媒の使用時に反応装置の再生塔にて600〜800℃で焼成することも出来る。
触媒製造で、特に多孔性珪酸アルミナ水和物粉末は、触媒組成物の細孔分布を制御するのに重要であリ、多孔性珪酸アルミナ水和物粉末の含有量を調節することで触媒組成物の細孔直径や細孔容積の制御が可能である。
【0018】
本発明の鉄化合物含有炭化水素接触分解用触媒組成物は、通常の炭化水素の接触分解条件(FCC条件)が採用され、例えば、反応温度460〜540℃、WHSV4〜20hr−1、触媒/油比4〜12、再生温度600〜800℃などの条件が例示される。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによリ限定されるものではない。
【0020】
比較例1
SiO濃度17wt%の水ガラスに、濃度25wt%の硫酸を連続的に加えて、SiO濃度12.5wt%のシリカヒドロゾルを調製した。このシリカヒドロゾルに、カオリン、活性アルミナを加えて、最終触媒組成物の重量基準で、シリカヒドロゾルのSiOを20wt%、カオリンを55.5wt%、活性アルミナを3wt%含有する無機酸化物マトリックス前駆体を調製した。さらに、該無機酸化物マトリックス前躯体に結晶性アルミノシリケートゼオライトの含有量が最終触媒組成物の重量基準で20wt%になるようにアンモニウムイオンで交換された格子定数24.57Åの超安定性Y型ゼオライトを濃度33wt%に調整した水性スラリーを加えて混合した。最後に酸化マンガンをメタル捕捉剤として最終触媒組成物の重量基準で1.5wt%になるように加え、混合スラリーを得た。
この混合スラリーを噴霧乾燥して微小球状粒子を調製した後、NaO含有量が0.5wt%以下になるまで洗浄し、次いで、該微小球状粒子を塩化希土類水溶液に60℃で浸漬した後、洗浄、乾燥してREとして1.9wt%の希土類成分を含有する触媒組成物Aを調製した。触媒組成物Aの性状を表1に示す。
なお、細孔分布はQUANTACHROME製のPM−33GT1LPで測定した。
【0021】
比較例2
濃度25wt%の硫酸溶液に、濃度8.5wt%の水ガラスを60分で添加して、SiO濃度7.2wt%のシリカヒドロゲルを調製した。シリカ−アルミナ酸化物の重量基準でSiO含有量が92wt%となるように、そのシリカヒドロゲルを秤量し、45℃で1時間熟成した。熟成後のシリカヒドロゲルに、濃度24wt%の硫酸アルミニウムをシリカ−アルミナ酸化物の重量基準でAl含有量が2.7wt%となるように加え、さらに濃度22wt%のアルミン酸ソーダをシリカ−アルミナ酸化物の重量基準でAl含有量が5.3wt%となるように加えて(これによりAlは2.7+5.3=8wt%)シリカ−アルミナ水和物スラリーを調製した。該スラリーを45℃で1時間熟成し、温水洗浄を行った後、SiO−Alとして濃度8.5wt%のスラリーを得た。該スラリーを、15wt%アンモニア溶液でpH10.5に調整し、95℃で24時間熟成した後、噴霧乾燥機で、微小球状粒子を調製し、乾式粉砕を行い、平均粒子径12μmの酸化物として92wt%SiO−8wt%Alの多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を得た。
次いで、SiO濃度17wt%の水ガラスに、濃度25wt%の硫酸を連続的に加えて、SiO濃度12.5wt%のシリカヒドロゾルを調製した。このシリカヒドロゾルに、カオリン、活性アルミナおよび多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を加えて、最終触媒組成物の重量基準で、シリカヒドロゾルのSiOを20wt%、カオリンを45.5wt%、活性アルミナを3wt%、多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を酸化物として10wt%含有する無機酸化物マトリックス前駆体を調製した。さらに、該無機酸化物マトリックス前躯体に結晶性アルミノシリケートゼオライトの含有量が最終触媒組成物の重量基準で20wt%になるようにアンモニウムイオンで交換された格子定数24.57Åの超安定性Y型ゼオライトを濃度33wt%に調整した水性スラリーを加えて混合した。最後に酸化マンガンをメタル捕捉剤として最終触媒組成物の重量基準で1.5wt%になるように加え、混合スラリーを得た。この混合スラリーを噴霧乾燥して微小球状粒子を調製した後、NaO含有量が0.5wt%以下になるまで洗浄し、次いで、該微小球状粒子を塩化希土類水溶液に60℃で浸漬した後、洗浄、乾燥してREとして1.9wt%の希土類成分を含有する触媒組成物Bを調製した。触媒組成物Bの性状を表1に示す。
【0022】
実施例1
SiO濃度17wt%の水ガラスに、濃度25wt%の硫酸を連続的に加えて、SiO濃度12.5wt%のシリカヒドロゾルを調製した。このシリカヒドロゾルに、カオリン、活性アルミナおよび比較例2と同様にして調製した多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を加えて、最終触媒組成物の重量基準で、シリカヒドロゾルのSiOを20wt%、カオリンを35.5wt%、活性アルミナを3wt%、多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を酸化物として20wt%含有する無機酸化物マトリックス前駆体を調製した。さらに、該無機酸化物マトリックス前躯体に結晶性アルミノシリケートゼオライトの含有量が最終触媒組成物の重量基準で20wt%になるようにアンモニウムイオンで交換された格子定数24.57Åの超安定性Y型ゼオライトを濃度33wt%に調整した水性スラリーを加えて混合した。最後に酸化マンガンをメタル捕捉剤として最終触媒組成物の重量基準で1.5wt%になるように加え、混合スラリーを得た。この混合スラリーを噴霧乾燥して微小球状粒子を調製した後、NaO含有量が0.5wt%以下になるまで洗浄し、次いで、該微小球状粒子を塩化希土類水溶液に60℃で浸漬した後、洗浄、乾燥してREとして1.9wt%の希土類成分を含有する触媒組成物Cを調製した。触媒組成物Cの性状を表1に示す。
【0023】
実施例2
Al濃度11.5wt%の繊維状擬ベーマイトアルミナ水和物に、撹拌しながらP/Al原子比が0.353となるように濃度85%のオルト燐酸を加えて、35℃で1時間撹拌して、燐酸処理擬ベーマイトアルミナ水和物を調製した。
次いで、SiO濃度17wt%の水ガラスに、濃度25wt%の硫酸を連続的に加えて、SiO濃度12.5wt%のシリカヒドロゾルを調製した。このシリカヒドロゾルに、前述の燐酸処理擬ベーマイトアルミナ水和物を混合し、さらにカオリンおよび比較例2と同様にして調製した多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を加えて、最終触媒組成物の重量基準で、シリカヒドロゾルのSiOを20wt%、燐酸処理擬ベーマイトアルミナ水和物を酸化物として3wt%、カオリンを45.5wt%、多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を酸化物として10wt%含有する無機酸化物マトリックス前駆体を調製した。さらに、該無機酸化物マトリックス前躯体に結晶性アルミノシリケートゼオライトの含有量が最終触媒組成物の重量基準で20wt%になるようにアンモニウムイオンで交換された格子定数24.57Åの超安定性Y型ゼオライトを濃度33wt%に調整した水性スラリーを加えて混合した。最後に酸化マンガンをメタル捕捉剤として最終触媒組成物の重量基準で1.5wt%になるように加え、混合スラリーを得た。この混合スラリーを噴霧乾燥して微小球状粒子を調製した後、NaO含有量が0.5wt%以下になるまで洗浄し、次いで、該微小球状粒子を塩化希土類水溶液に60℃で浸漬した後、洗浄、乾燥してREとして1.9wt%の希土類成分を含有する触媒組成物Dを調製した。触媒組成物Dの性状を表1に示す。
【0024】
実施例3
SiO濃度17wt%の水ガラスに、濃度25wt%の硫酸を連続的に加えて、SiO濃度12.5wt%のシリカヒドロゾルを調製した。このシリカヒドロゾルに、カオリン、活性アルミナ、結晶性ベーマイト形アルミナ水和物および比較例2と同様にして調製した多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を加えて、最終触媒組成物の重量基準で、シリカヒドロゾルのSiOを20wt%、カオリンを35.5wt%、活性アルミナを3wt%、結晶性ベーマイト形アルミナ水和物由来のアルミナを10wt%および多孔性珪酸アルミナ水和物粉末(X)を酸化物として10wt%含有する無機酸化物マトリックス前駆体を調製した。さらに、該無機酸化物マトリックス前躯体に結晶性アルミノシリケートゼオライトの含有量が最終触媒組成物の重量基準で20wt%になるようにアンモニウムイオンで交換された格子定数24.57Åの超安定性Y型ゼオライトを濃度33wt%に調整した水性スラリーを加えて混合した。最後に酸化マンガンをメタル捕捉剤として最終触媒組成物の重量基準で1.5wt%になるように加え、混合スラリーを得た。この混合スラリーを噴霧乾燥して微小球状粒子を調製した後、NaO含有量が0.5wt%以下になるまで洗浄し、次いで、該微小球状粒子を塩化希土類水溶液に60℃で浸漬した後、洗浄、乾燥してREとして1.9wt%の希土類成分を含有する触媒組成物Eを調製した。触媒組成物Eの性状を表1に示す。
【0025】
実施例4
(触媒組成物の活性評価)
比較例1、2および実施例1〜3の触媒組成物A〜Eについて活性評価を行った。活性評価を行う前に触媒組成物の擬平衡化処理を行った。擬平衡化処理は、750℃−13時間100%スティーム雰囲気で処理した後に、反応−再生を連続的に繰返しながらメタルを沈着させるCMD(Cyclic Metals Deposition)法にてバナジウム、ニッケルおよび鉄を沈着させた。これらメタルの沈着量は、最終組成物の重量基準で、ナフテン酸バナジウムをVとして3000ppm(以下、ppmはすべて重量単位のものとして使用)、ナフテン酸ニッケルをNiOとして1500ppm、ナフテン酸鉄をFeとして6000ppmとした。一方、比較のためFeを沈着させないケースとして、最終組成物の重量基準で、ナフテン酸バナジウムをVとして3000ppm、ナフテン酸ニッケルをNiOとして1500ppmを沈着させた。そして、Feを沈着させたケースとFeを沈着させないケースとを比較した。
【0026】
触媒組成物A〜Eそれぞれについて、活性測定装置(ケイザー社製:ACE MAT装置)を用い、同一原料油、同一反応条件下で接触分解反応を行った。接触分解条件は、以下の通りであった。
反応温度:520℃
原料油 :脱硫常圧蒸留残渣油50wt%と脱硫減圧軽油50wt%の混合油
WHSV:8hr−1
Cat/Oil比:3.75,5.0,6.0wt%/wt%
【0027】
表2に反応結果を示す。なお、表2には転化率72wt%の同一転化率での生成油の収率を示す。また、表2中の項目は以下の表示を意味する。
(1) 転化率(wt%)=(a−b)/a×100
a:原料油の重量
b:生成油中の沸点204℃以上の留分の重量
表2中にはCat/Oil比5の転化率を示す
(2)ボトム転化率(wt%)=(a−c)/a×100
c:生成油中の沸点343℃よりも高沸点の留分の重量
表2中にはCat/Oil比5のボトム転化率を示す
(3) Δボトム転化率(wt%)=d−e
d:ボトム転化率(Ni/V/=1,500/3,000ppm)(Feが含まれていない場合)
e:ボトム転化率(Ni/V/Fe=1,500/3,000/
6,000ppm) (Feが含まれている場合)
(4) ガソリン収率(wt%)=f/a×100
f:生成油中のガソリン(沸点範囲:C〜204℃)の重量
表2中には転化率72wt%のガソリン収率を示す
(5) LCO収率(wt%)=g/a×100
g:生成油中のLCO(沸点範囲:204℃よりも高く343℃以下)の重量
表2中には転化率72wt%のLCO収率を示す
(6) HCO収率(wt%)=h/a×100
h:生成油中のHCO(沸点範囲:343℃よりも高い)の重量
表2中には転化率72wt%のHCO収率を示す
(7) コーク収率(wt%)=i/a×100
i:触媒混合物上に析出したコーク重量
表2中には転化率72wt%のコーク収率を示す
【0028】
触媒組成物A、BではFeを6000ppm沈着させると、ボトム転化率は低下し、Δボトム転化率は大きくなっている。一方、メソポア容積の大きい触媒C、D、Eでは、Feを6000ppm沈着させても、ボトム転化率の低下は小さい。また、ストリッピング性が改良されるために、Fe沈着させてもコーク収率の増加が抑制されている。
【0029】
図1にメソポア容積とボトム転化率の関係を示した。メソポア容積が大きいほど、ボトム転化率が向上している。これは、触媒内部のメソポア容積が増加したために、原料油の触媒内部への拡散性が向上したためである。また、メソポア容積が0.17ml/g以上の触媒はNi/VとNi/V/Feのボトム分解率の差が小さくなっている。これは、Feが高濃度で沈着しても、ボトム分解率が低下しないことを意味している。
【0030】
【表1】
Figure 2004130193
【0031】
【表2】
Figure 2004130193
【0032】
【発明の効果】
接触分解しようとする炭化水素に鉄分が含有されていても触媒性能を低下させることのない、耐鉄被毒性を有する触媒組成物を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】触媒のメソポア容積とボトム転化率の関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 結晶性アルミノシリケートゼオライト、メタル捕捉剤および無機酸化物マトリックスからなる炭化水素接触分解用触媒組成物であって、該触媒組成物は細孔直径5.5〜100nmの細孔容積が0.17ml/g以上で、かつ、細孔直径5.5nm以上の細孔容積が0.25ml/g以上であることを特徴とする鉄化合物含有炭化水素接触分解用触媒組成物。
  2. 鉄またはその化合物を鉄として4ppm以上含有する炭化水素を請求項1記載の接触分解用触媒組成物を用いて接触分解する方法。
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