JP6185466B2 - 認知機能検査法、及びそのキット - Google Patents

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Description

本発明は、生体分子を指標として認知症またはその前段階にある者を特定する検査方法、とその測定方法、該検査方法に用いるキット、該キットに含有させる酵素、及び該酵素の製造方法に関する。
1.認知症
認知症は後天的な脳の器質的障害により、正常に発達した知能が低下した状態をいう。記憶、判断力などの障害により社会生活が困難となる。近年では高齢化に伴い老人性認知症者が増加しており、その数は約200万人といわれ、さらに増加する傾向にある。

認知症は症状が進行すると回復が困難になり、介護には多くの労力と金銭的負担が必要となるが、比較的軽度の段階で発見してリハビリ訓練等の治療を施すことにより発症予防やある程度の症状の回復が可能である。また抗認知症薬は症状の進行を抑制するための薬剤であることから、その処方は早ければ早いほど有効である。従って、認知症においては早期に治療対象者を特定することが重要となる。

2.認知症検査
従来、認知症の判定には、ウェクスラー成人知能検査(WAIS−R)、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS−R)、ミニメンタルステート検査(MMS、MMSE)、クリニカルデメンチアレーティング検査(CDR)、モントリオールコグニティブアセスメント検査日本語版(MoCA−J)等の認知機能検査が利用されている。これらの検査は、専門の検査官が被験者と対面して行うため、大規模なスクリーニングには不向きである。また被験者の意識状態、気分、意欲などが成績に影響を及ぼすことや、うつ病やせん妄、あるいは難聴との識別も別途に必要となるなどの問題を有している。

そこで、より客観的かつ簡便な認知症の検査方法として、生体分子(バイオマーカー)を指標とする方法が注目を集めている。例えば、代表的な認知症の一つであるアルツハイマー病の神経病理学的特徴は、アミロイドβ(Aβ)の沈着により形成される老人班と、異常リン酸化タウ蛋白の出現に特徴付けられる神経原線維変化、そして大量の神経細胞脱落である。今日、アルツハイマー病の病態過程はAβの産生により惹起されるというアミロイド仮説が提唱されている。これは、Aβの産生に伴い神経細胞に酸化ストレスやカルシウム制御異常が誘導され、神経細胞死を引き起こす。また同時に、Aβはタウ蛋白のリン酸化を誘導し、細胞骨格蛋白異常とそれに伴う細胞内輸送の障害を引き起こし、神経細胞を死に至らしめるというものである。Aβはアミロイド前駆体蛋白から通常では作用しないβセクレターゼおよびγセクレターゼにより切断されて生成する。Aβには主に42個のアミノ酸から構成されるAβ42と40個のアミノ酸から成るAβ40があり、前者が凝集能や神経毒性が高い点から、アルツハイマー病の発症により重要であると考えられている。脳脊髄液中のAβ42の減少(脳内でAβ42の沈着に起因)は、現状では最も信頼のできるアルツハイマー病診断指標の一つとされている。また、アルツハイマー病では脳脊髄液中のリン酸化タウ蛋白の増加も確認されており、病態と密接に関連した診断指標として位置づけられている。しかし、脳脊髄液は一般的な健康診断で扱う血液や尿とは異なり、その採取には特殊な技術を要し、また患者への負担も大きいことから、高齢者等のスクリーニング検査としては不向きである。

その他にもさまざまな酸化ストレスマーカーや炎症マーカー、アポトーシス関連マーカーなどが認知症の検査指標として検討されている。酸化により糖化修飾されたglycated proteinや核酸が酸化された8−hydroxyguanosineはアルツハイマー病の脳脊髄液中で増加することが報告されており、不飽和脂肪酸の酸化生成物であるF2−isoprostaneは脳脊髄液、血液、尿中で増加すると報告されている。また、炎症マーカーではIL−1βやIL−6、TGF−β1などが脳脊髄液中で増加、アポトーシスに関連するTRAILも脳脊髄液中での増加が報告されている。しかし、酸化ストレスや炎症、アポトーシスは、いずれもアルツハイマー病を含む認知症の病理・病態に深く関係する現象ではあるが、必ずしも特異的であるとは言えないことから、認知症のバイオマーカーとして好ましいものではない。

3.エタノールアミン型プラスマローゲン(以下PlsEtnと略す。)
プラスマローゲン(以下Plsと略す。)はグリセロリン脂質のサブクラスの一つで、生体膜成分として人体を構成するリン脂質の約2割を占め、脳や心臓などに多く含まれている。このPlsは、生活習慣病(動脈硬化症、高脂血症、糖尿病、高血圧症、中心性肥満症)のバイオマーカーとして検討されている(特許文献1、2)。また、特に脳内のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)は、神経髄鞘を成すミエリン膜の主要構成成分であり、また神経細胞間でのシナプス形成などに関わるとされる。PlsEtnは膜モデュレーターとして機能し、細胞膜融合やエンドサイトーシス/エキソサイトーシスに関与するのに加え、膜結合酵素の活性調節などにも関わっている。また、Plsはその構造上の特徴を成すビニルエーテル結合にラジカル消去能があることから、生体内で抗酸化物質として作用すると考えられている。

PlsEtnはアルツハイマー病やダウン症候群、脊髄損傷、多発性硬化症などで脳内レベルの特異的な減少が報告されている(非特許文献1)。特に、アルツハイマー病では酸化ストレスがその発症の初期段階で重要であることを支持する生化学的・臨床的証拠が集積していることから、PlsEtnはアルツハイマー病の酸化ストレスマーカーとして注目されている(非特許文献2)。例えば、PlsEtnの一分子種であるPlsEtn22:6の血清または血漿中濃度の低下がアルツハイマー病の早期発見マーカーとなり得ることが報告されている(非特許文献3)。ただし、PlsEtn22:6の測定(定量)には液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS/MS)などの高価な分析機器が必要であり、また定量のための内部標準物質の調整等も煩雑であることから、通常の健康診断に付随させることのできる大規模スクリーニングには不向きである。一方、本発明者らは、特許文献1等に記載の簡便な方法で健康高齢者および認知障害者の血清または血漿中のPlsEtn量(以下、「血清/血漿PlsEtn量」と記載することがある)を測定(定量)し、認知機能検査(CDR)の結果別に比較したところ、PlsEtn量は認知機能の低下を良く反映することを見出している(非特許文献4)。

PlsEtnの測定方法としては、特許文献1に記載された放射性ヨウ素−高速液体クロマトグラフィー(125I−HPLC)法、LC−MS法(特許文献5)が公知である。

4.ミオイノシトール(以下MIと略す場合がある。)
MIは9種類あるイノシトールの異性体の一つで、人体を含む天然に最も豊富に存在する。生体中のMIは食餌からの摂取に加え、体内でグルコースからも生合成される。MIは細胞内情報伝達物質のソースとなるイノシトールリン脂質や、カルシウムイオンの恒常性維持に関わるイノシトールリン酸の合成材料として重要である。さらに、MI自身も脳内の有機性浸透圧調製物質として、また、おそらくミエリン形成への関与の可能性といった点から、中枢神経系の正常な機能維持に重要な役割をもつと考えられる。

脳内MI濃度は血中レベルの200倍程度もあり、うつ病などの感情障害やダウン症候群など様々な病態で脳内MIの増加が報告されている。またアルツハイマー病患者においても脳内MI量の増加が報告されている。(非特許文献6)。脳内MIの一部は、脳血液関門を通過して循環血液に入るが、ほとんどが腎臓で再吸収されるか分解され、尿に排泄されるMI量(以下、「尿MI量」と記載することがある)はごくわずかである。再吸収過程が血糖と拮抗することから、高血糖状態ではそのレベルを反映して尿MI量が増加するため、糖負荷試験による境界型糖尿病の検出の際に血糖値に代替できる測定項目として注目されており(非特許文献5)、糖尿病予備群の検査(特許文献3)あるは軽症耐糖能異常やインスリン分泌不全の検出(特許文献4)のためのバイオマーカーとして使用されている。

5.PlsとMIの関係
MIは体内(特に脳内)でのPls合成に於いて重要な役割を担うと考えられ、MIの体外ロス(長期の持続的な尿中排泄の増加)はPlsの体内(特に脳内)合成の低下を招くと推測される。MIの尿中排泄はグルコースと拮抗することから、高血糖状態はMIの尿中排泄量を増加させる一因と思われる。したがって、特に、糖尿病などの高血糖状態を有する者では、高血糖状態 → 尿MI排泄の増加 → 脳内PlsEtnの減少 → 認知症発症という仮説が提唱できる。また、高血糖に限らず、何らかの原因で尿MI排泄の増加がみられる場合も、脳内PlsEtnの減少 → 認知症発症に至るリスクが高いと考えられる。ただし、尿MI量に関しては高齢健常者と認知症患者とで有意差は認められず、また認知機能検査の結果と尿MI量にも有意な相関が得られないことが報告されている(非特許文献7)。
特開2007−33410号公報(特許第4176749号) 特開2011−257148号公報 特開2001−190299号公報(特許第3975279号) 国際公開WO2003/083133(特許第4466912号) 特開2011−136926号公報
Lebig J. et al.: Plasmalogens in biological systems: Their role in oxidative processes in biological membranes, their contribution to pathological processes and aging and plasmalogen analysis. Curr Med Chem 16: 2021−41, 2009 Han X. et al.: Plasmalogen deficiency in early Alzheimer's disease subjects and in animal models: molecular characterization using electrospray ionization mass spectrometry. J Neurochem 77:1168−80, 2001 Goodenowe DB. et al.: Peripheral ethanolamine plasmalogen deficiency: A logical causative factor in alzheimer’s disease and dementia. J Lipid Res 48: 2485−2498, 2007 前場良太他、血清プラスマローゲンの認知機能評価のバイオマーカーとしての有効性の検討 Dementia Japan Vol.24 No.(3), p144 47, 2011 Sarashina G. et al.: A study of urinary myo−inositol as a sensitive marker of glucose intolerance. Clinica Chimica Acta 344:181−8, 2004 Zhu X. et al.: Effects of Alzheimer disease on fronto−parietal brain N−acetyl aspartate and myo−inositol using magnetic resonance spectroscopic imaging. Alzheimer Dis Assoc Disord 20: 77−85, 2006 前場良太他、自然排泄尿ミオイノシトールの臨床的意義に関する検討 第58回日本臨床検査医学会学術集会抄録集 p95−О025
前記のとおり、認知症を予防し、あるいはその進行を抑制するためには早期の発見が重要であり、客観的な指標であるバイオマーカーを用いた大規模なスクリーニングの実施が有効である。そしてバイオマーカーに求められることは、認知症患者またはその前段階にある者を的確に(すなわち他の疾患患者と混同することなく)特定できることであり、また通常の健康診断の範囲内で実施できるような簡便な測定(定量)と判定が可能なことである。

このような観点から、血清及び/又は血漿PlsEtn量は認知症検査、特にその大規模スクリーニングのためのバイオマーカーとして有望視されている。しかしながら、血清/血漿PlsEtn量を単独指標とした場合の判定精度は必ずしも十分なものではない。たとえば後記の実施例に示したように、PlsEtn量がその平均的な値(58μM)を下回った被験者のうち、認知機能検査で認知症と判定された者の割合は60%未満である。

本発明は、血清及び/又は血漿PlsEtn量をバイオマーカーとする認知症検査の精度をさらに向上させる手段を提供することを課題としている。

また前記のとおり従来のPlsEtn測定法の125I−HPLC法は高額な装置や放射性ヨウ素を使用するので汎用性が劣る。LC−MS/MS法は高額な装置を使用するので汎用性が劣る。以上のような背景のもと本発明は、汎用自動分析機に応用でき、利便性高いPlsEtnの測定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、それ単独の定量では認知機能との関連性が存在しない尿MI量の定量値と血清及び/又は血漿PlsEtnの定量値を組み合わせることで、認知症検査の精度が向上することを見出し、PlsEtnに特異的に作用するリゾプラスマローゲナーゼ(Lysoplasmalogenase、lyPls aseと略す場合がある)とホスホリパーゼ(以下PLと略す場合がある。)を新規に見出し、被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量するためのlyPls aseとPLを含有する認知症検査試薬キットを創出して本発明を完成させた。

すなわち、本出願は前記の課題を解決する発明として以下を提供する。

[1]
被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類するための認知症検査方法であって、
被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)を定量する工程と、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程とを含み、
健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値と、血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値のそれぞれに対して、前記被験者のミオイノシトール(MI)の定量値とエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値を比較する工程を含む認知症検査方法。

[1−1]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程が、酵素を利用する反応により、最終的に過酸化水素が生成され、該エタノールアミン型プラスマローゲンの存在量に対応して発生する過酸化水素の量を検出して、血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程を含む[1]の方法。

[1−2]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、以下の(1)〜(3−4)の工程を含む[1]に記載の方法。
(1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
(2)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する工程:及び
(3−1)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにせしめる酵素にて、工程(2)で得られたグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにする工程:
(3−2)エタノールアミンを酸化する酵素により、エタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
(3−3)過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
(3−4)前記被験者の血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程:
または前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする方法。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

[1−3]
前記工程(2)の加水分解酵素が、下記(a)または(b)の酵素のいずれかである[1−2]に記載の方法。
(a)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列:
(b)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する。

[1−4]
前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素、が下記(c)または(d)のいずれかの酵素である[1−2]に記載の方法。
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
(d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する。

[1−5]
前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする[1−1]〜[1−4]に記載の方法。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

[1−6]
前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、または前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)〜(3−4)を実施する[1−5]に記載の方法。

[1−7]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、以下の(1)〜(3−3)´の工程を含む[1−1]に記載の方法。
(1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
(2)´エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解でき、かつリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解する工程:及び
(3−1)´エタノールアミンを酸化する酵素により、工程(2)´で得られたエタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
(3−2)´過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
(3−3)´前記被験者の血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程。

[1−8−1]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−3)´の工程に先立つか、少なくとも前記(2)´工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする[1−7]に記載の方法。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

[1−8−2]
前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、または前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)〜(3−3)´を実施する[1−8−1]に記載の方法。

[1−9]
自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値が、21.6〜63.3mg/gCrの範囲から選択される値であり、血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値が、50〜64μMの範囲から選択される値であって、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値が、前記MI閾値を越え、かつ被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値が、前記PlsEtn閾値を下回った場合に、認知症患者またはその前段階にある者と区分する[1]に記載の方法。

[1−10]
前記MI量の閾値が25mg/gCrである[1−9]に記載の方法。

[1−11]
前記MI量の閾値が33.2mg/gCrである[1−9]に記載の方法。

[1−12]
前記MI閾値が36.6mg/gCrである[1−9]に記載の方法。

[1−13]
前記MI量の閾値が44.8mg/gCrである[1−9]に記載の方法。

[1−14]
前記エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)閾値が、58μMである[1−9]に記載の方法。

[1−15]
前記エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)閾値が、61μMである[1−9]に記載の方法。

[1−16]
前記エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)閾値が、56μMである[1−9]に記載の方法。

[1−17]
前記被験者のMI量が21.6〜55.1mg/gCrの範囲から設定される閾値以上であり、PlsEtn量が50〜64μMの範囲から設定される閾値以下である[1−9]に記載の方法。

[1−18]
前記被験者のMI量が21.6〜55.1mg/gCrの範囲から設定される閾値以上であり、PlsEtn量が52〜61μMの範囲から設定される閾値以下である[1−9]に記載の方法。

[1−19]
前記被験者のMI量が29.8〜63.3mg/gCrの範囲から設定される閾値以上であり、PlsEtn量が50〜64μMの範囲から設定される閾値以下である[1―9]に記載の方法。

[1−20]
前記被験者のMI量が29.8〜63.3mg/gCrの範囲から設定される閾値以上であり、PlsEtn量が52〜61μMの範囲から設定される閾値以下である[1―9]に記載の方法。

[1−21]
前記MI量の閾値が36.6mg/gCrであり、PlsEtn量の閾値が58μMである[1−9]記載の方法。

[1−22]
前記MI量の閾値が36.6mg/gCrであり、PlsEtn量の閾値が56μM又は61μMである[1−9]に記載の方法。

[1−23]
前記MIを定量する尿が、特に被験者の空腹時随意尿である[1−9]に記載の方法。

[2]
健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値と、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値とを比較する工程と組み合わせることにより、被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類する認知症検査に用いるものであって、
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程を含み、該工程中に、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の、予め求められた閾値に対して、被験者のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値を比較する工程を含む、エタノールアミン型プラスマローゲンの定量方法。

[2−1]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程が、酵素を利用する反応により、最終的に過酸化水素が生成され、該エタノールアミン型プラスマローゲンの存在量に対応して発生する過酸化水素の量を検出して、血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程を含む[2]の方法。

[2−2]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、以下の(1)〜(3−4)の工程を含む[2]に記載の方法。
(1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
(2)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する工程:及び
(3−1)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにせしめる酵素にて、工程(2)で得られたグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにする工程:
(3−2)エタノールアミンを酸化する酵素により、エタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
(3−3)過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
(3−4)前記被験者の血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程:
または前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする方法。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

[2−3]
前記工程(2)の加水分解酵素が、下記(a)または(b)の酵素のいずれかである[2−2]に記載の方法。
(a)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列:
(b)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する。

[2−4]
前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素が、下記(c)または(d)のいずれかの酵素である[2−2]に記載の方法。
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
(d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する。

[2−5]
前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする[2−2]〜[2−4]に記載の方法。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

[2−6]
前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、または前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)〜(3−4)を実施する[2−5]に記載の方法。

[2−7]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、以下の(1)〜(3−3)´の工程を含む[2−1]に記載の方法。
(1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
(2)´エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解でき、かつリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解する工程:及び
(3−1)´エタノールアミンを酸化する酵素により、工程(2)´で得られたエタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
(3−2)´過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
(3−3)´前記被験者の血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程。

[2−8]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−3)´の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする[2−7]に記載の方法。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

[2−9]
前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、または前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)〜(3−3)´を実施する[2−8]に記載の方法。

[3]
健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値と、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値とを比較する工程と組み合わせることにより、被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類する認知症検査に用いるものであって、
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程を含み、該工程中に、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の、予め求められた閾値に対して、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値を比較する工程を含む、ミオイノシトール(MI)の定量方法。

[3−1]
自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値が、21.6〜63.3mg/gCrの範囲から選択される値であり、血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値が、50〜64μMの範囲から選択される値であって、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値が、前記MI閾値を越え、かつ被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値が、前記PlsEtn閾値を下回った場合に、認知症患者またはその前段階にある者と区分する[3]に記載の方法。

[3−2]
前記MI量の閾値が25mg/gCrである[3−1]に記載の方法。

[3−3]
前記MI量の閾値が33.2mg/gCrである[3−1] に記載の方法。

[3−4]
前記MI閾値が36.6mg/gCrである[3−1] に記載の方法。

[3−5]
前記MI量の閾値が44.8mg/gCrである[3−1] に記載の方法。

[3−6]
前記エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)閾値が、58μMである[3−1] に記載の方法。

[3−7]
前記エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)閾値が、61μMである[3−1] に記載の方法。

[3−8]
前記エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)閾値が、56μMである[3−1] に記載の方法。

[3−9]
前記被験者のMI量が21.6〜55.1mg/gCrの範囲から設定される閾値以上であり、PlsEtn量が50〜64μMの範囲から設定される閾値以下である[3−1]に記載の方法。

[3−10]
前記被験者のMI量が21.6〜55.1mg/gCrの範囲から設定される閾値以上であり、PlsEtn量が52〜61μMの範囲から設定される閾値以下である[3−1]に記載の方法。

[3−11]
前記被験者のMI量が29.8〜63.3mg/gCrの範囲から設定される閾値以上であり、PlsEtn量が50〜64μMの範囲から設定される閾値以下である[3−1]に記載の方法。

[3−12]
前記被験者のMI量が29.8〜63.3mg/gCrの範囲から設定される閾値以上であり、PlsEtn量が52〜61μMの範囲から設定される閾値以下である[3−1]に記載の方法。

[3−13]
前記MI量の閾値が36.6mg/gCrであり、PlsEtn量の閾値が58μMである[3−1] 記載の方法。

[3−14]
前記MI量の閾値が36.6mg/gCrであり、PlsEtn量の閾値が56μM又は61μMである[3−1] に記載の方法。

[3−15]
前記MIを定量する尿が、特に被験者の空腹時随意尿である[3−1] に記載の方法。

[4]
被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類するための認知症検査方法に用いられる手段であって、
被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)を定量する手段と、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する手段とを含み、
健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値と、血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値のそれぞれに対して、前記被験者のミオイノシトール(MI)の定量値とエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値を比較して用いる認知症検査手段。

[4−1]
前記手段が試薬キットである[4]に記載の認知症検査手段。

[4−2]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する試薬キットが、以下の(1a)〜(3a)を含む[4−1]に記載の試薬キット。
(1a)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物。
(2a)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物。
(3a)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンをエタノールアミンとグリセロリン酸に変換する酵素、エタノールアミンをグリコールアルデヒド、アンモニア、及び過酸化水素に変換する酵素とその酵素反応を進めるにことのできる添加物、さらに必要により過酸化水素を定量するための過酸化水素定量手段。
または前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む[4−1]に記載の試薬キット。

[4−2−1]
前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む[4−2]に記載の試薬キット。

[4−3]
前記(2a)の加水分解酵素が、下記(a)または(b)の酵素のいずれかである[4−2]または[4−2−1]に記載の試薬キット。
(a)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列:
(b)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する。

[4−4]
前記(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素、が下記(c)または(d)のいずれかの酵素である[4−2]または[4−2−1]に記載の試薬キット。
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
(d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する。

[5]
健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値と、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値とを比較する工程と組み合わせることにより、被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類する認知症検査に用いるものであって、
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程を含み、該工程中に、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の、予め求められた閾値に対して、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値を比較して用いる、エタノールアミン型プラスマローゲンの定量手段。

[5−1]
前記手段が試薬キットである[5]に記載の定量手段。

[5−2]
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する試薬キットが、以下の(1a)〜(3a)を含む[5−1]に記載の試薬キット。
(1a)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物
(2a)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物
(3a)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンをエタノールアミンとグリセロリン酸に変換し、エタノールアミンをグリコールアルデヒド、アンモニア、及び過酸化水素に変換する酵素とその酵素反応を進めるにことのできる添加物、さらに必要により過酸化水素を定量するための過酸化水素定量手段。
または前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む[5−1]記載の試薬キット。

[5−2−1]
前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む[5−2]に記載の試薬キット。

[5−3]
前記(2a)の加水分解酵素が、下記(a)または(b)の酵素のいずれかである[5−2]または[5−2−1]に記載の試薬キット。
(a)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列:
(b)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する。

[5−4]
前記(1a)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素、が下記(c)または(d)のいずれかの酵素である[5−2]または[5−2−1]に記載の試薬キット。
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
(d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する。

[6]
健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値と、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値とを比較する工程と組み合わせることにより、被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類する認知症検査に用いるものであって、
同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程を含み、該工程中に、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の、予め求められた閾値に対して、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値を比較して用いる、ミオイノシトール(MI)の定量手段。

[6−1]
前記手段が試薬キットである[6]に記載の定量手段。

なお、本発明の実施の形態における認知症とは、知能、記憶、見当識含む認知の障害を指し、加齢に伴う現象は含まず、病的に能力が低下する障害を指す。「認知症患者」とは、記憶、判断力などの障害により社会生活が困難な者(特に高齢者)をいう。具体的には、認知機能検査によって認知障害を有するレベルと判定される者(例えば、CDRスコアが1.0以上)である。また「認知症の前段階にある者」とは、例えば日常生活において記憶、判断力に衰えが観察される者などであり、WAIS−R、HDS−R、MMS、MMSE、CDR、MoCA−J等の認知機能検査方法で検出できる最も軽度な段階を含み、例えばCDRスコアが0.5以上、1.0未満のような者が好ましい。認知症の原因となる疾患は、例えば脳血管障害、アルツハイマー病、正常圧水頭症、代謝障害、栄養障害、甲状腺機能低下、鬱病などがあるが、一例としてアルツハイマー病が挙げられる。

「手段」とは組成物、試薬、酵素あるいはそれらの組み合わせの総称を言う。組成物は組成物中の各成分を単一の組成物としてもよいが、2以上の組成物に分離する場合、このような2以上の組成物を合わせてキットという。
「定量」とは「測定」、「検出」等を含む概念をいう。
又本発明に関連する発明として以下が提示される。

[7]
被験者の試料のPlsEtnを定量する方法であって、以下の(1)〜(3−4)の工程を含む方法。
(1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
(2)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、エーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する工程:及び
(3−1)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにせしめる酵素にて、工程(2)で得られたグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにする工程:
(3−2)エタノールアミンを酸化する酵素により、エタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
(3−3)過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
(3−4)前記被験者の血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程:
または前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする方法。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

[8]
前記工程(2)の加水分解酵素が、下記(a)または(b)の酵素のいずれかである[7]に記載の方法。
(a)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列:
(b)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する。

[9]
前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素、が下記(c)または(d)のいずれかの酵素である[7]に記載の方法。
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
(d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する。

[10]
前記(2)に加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、被験者の試料のPlsEtnを定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする[7]に記載の方法。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

[11]
前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、または前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程を(2)〜(3−4)実施する[10]に記載の方法。

[12]
被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する試薬キットであって、以下の(1a)〜(3a)を含む試薬キット。
(1a)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物。
(2a)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物。
(3a)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンをエタノールアミンとグリセロリン酸に変換する酵素、エタノールアミンをグリコールアルデヒド、アンモニア、及び過酸化水素に変換する酵素とその酵素反応を進めるにことのできる添加物、さらに必要により過酸化水素を定量するための過酸化水素定量手段。
または前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む試薬キット。

[12−1]
前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む[12]に記載の試薬キット。

[13]
前記(2a)の加水分解酵素が、下記(a)または(b)の酵素のいずれかである[12]または[12−1]に記載の試薬キット。
(a)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列:
(b)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する。

[14]
前記(1a)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素が、下記(c)または(d)のいずれかの酵素である[12]または[12−1]に記載の試薬キット。
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
(d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する。

[15]
下記(A)または(B)の塩基配列を含む遺伝子。
(A)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列からなる酵素をコードする:
(B)配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する酵素をコードする。

[16]
[15]に記載の遺伝子を含む組換えベクター。

[17]
[16]に記載の組換えベクターを含む形質転換体。

[18]
前記酵素の製造方法であって:
[15]に記載の遺伝子をもつ微生物、または[17]に記載の形質転換体を培地で培養する工程:
培養物中に[13]に記載の酵素を生成蓄積させる工程:及び
該培養物から該蛋白質を採取する工程:
を含む方法。

[19]
前記PlsEtnを定量する試薬キットに含有させる下記(c)または(d)の酵素:
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
(d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する。
微生物の寄託
本発明に係る以下の微生物をブダペスト条約に基づき国際寄託している。
[NA297]
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8
寄託日:2010年12月7日
受託番号:NITE BP−1014
[Thermocrispum sp.]
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号
寄託日:2013年5月17日
受託番号:NITE BP−01628
検査の実施形態および被験者への負担を実施的に増大させることなく、血清及び/又は血漿中PlsEtn量の定量による認知検査の精度を向上させることが可能となる。

尿MI量の定量と血清及び/又は血漿PlsEtn量の定量を併用することで、認知機能の障害のレベルを高い確度で評価することもできる。従って、すでに認知症を発症している患者のみらならず、認知症の前段階にある者をも特定することが可能となる。

被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量するためのlyPls aseとPLを含有する認知症検査試薬キットを提供することが可能となる。
実施例において定量した全被験者を群別した場合の尿MI量である。実測値は表5に示した。 実施例において、健常者群と「もの忘れ」群のそれぞれについて尿MI量およびHbA1c量がPlsEtn量に及ぼす影響を検討した結果である。 実施例において、全高齢者(健常+「もの忘れ」群)を対象に血清PlsEtn(EP)量と尿MI量の全定量値の平均値を境に4群に分割して、各群での認知機能検査結果を比較した結果である。実測値は表6に示した。 血清PlsEtn量が58μM未満、尿MI量が25mg/gCr以上をそれぞれの基準とした場合の認知症患者(CDR≧0.5)の検出確度を検討した結果である。 全高齢者、尿MI量>25mg/gCr高齢者群および尿MI量>36.6mg/gCr高齢者群の3群について、血清PlsEtn量の認知機能正常(CDR値:0)と認知機能非正常(CDR値:0.5以上)を分別する精度について、Receiver Operating Characteristic(ROC)解析によるROC曲線下の面積(Area under the curve:AUC)を求めることによって調べた結果である。 血清PlsEtn量の認知機能評価能と既存の認知機能検査法との相関性を、対象者を全高齢者、尿MI量>25mg/gCr高齢者群および尿MI量>36.6mg/gCr高齢者群の3群について検討した結果である。実測値は表7に示した。 本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を、PL及び加水分解酵素を用いて定量する方法の一例を示す概略図。 本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を、PL及び加水分解酵素を用いて定量する方法の、図7と別異な一例を示す概略図。 ホスファチジルエタノールアミンを実質的に消去する工程を示す概略図。 被験の、3日分の随時尿中MI定量値と空腹時二番尿中MI定量値の平均値を比較した相関図。 プール血清中PlsEtn(図中白丸)と0.9%食塩水中PlsEtn(図中黒丸)を、酵素を利用して定量した検量線。 125I−HPLC法とPseudomonas putida由来lyPls aseを利用した血清または血漿中のPlsEtnの定量値を比較した相関図。 125I−HPLC法とThermocrispum sp.由来lyPls aseを利用した血清または血漿中のPlsEtnの定量値を比較した相関図。 125I−HPLC法とPLDを利用した血清または血漿中のPlsEtnの定量値を比較した相関図。 Thermocrispum sp.由来lyPls aseStreptomyces lividans組換体酵素を示す(図中矢印)SDS−PAGE。 粗蛋白質液中Thermocrispum sp.由来lyPls ase大腸菌組換体酵素を示す(図中矢印)SDS−PAGE。
本発明は、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)を定量する工程と、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程とを含み、被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類するための認知症検査方法である。該認知症検査方法は、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程を含むものであって、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、MIとPlsEtnとのそれぞれの、予め求められた閾値に対して、被験者のMIとPlsEtnの定量値を比較する工程を含む、前記の認知症検査方法に関する。

被験者とは採尿及び/又は採血の対象となる健常人や患者を指し、年齢、性別、人種、基礎疾患などは限定せず、ヒト以外の実験動物なども含む。ヒトの場合、治験及び臨床試験に参加し治験薬の投与を受けるか又はその対象となる個人、すなわち治験モニター、医薬モニター、医薬ボランティア、創薬ボランティアなどの場合でも良く、WAIS−R、HDS−R、MMS、MMSE、CDR、MoCA−J等の認知機能検査で認知症が疑われた患者又は健常人、認知症の自覚及び/又は他覚症状がある患者又は健常人でも良い。被験者には、食事制限などは設けなくても良いが、健康診断の場合は通常食事制限がある。

本発明の実施の形態における尿は、薬剤等により強制的に排泄されたものではない自然排泄尿である。この自然排泄尿は、尿意を感じた際に排泄された随時尿であってもよいが、好ましくは平均的な生活サイクルにおいて朝食時前に排泄される早朝空腹時尿、さらに好ましくは早朝空腹時尿の後の空腹時に排泄される空腹時二番尿である。これらの尿は、連日あるいは適当な隔日(1ヶ月以内)の3日分を定量対象とする。3日分の採尿が困難な場合は、2日分あるいは1日分でもよいが、その場合の尿は空腹時二番尿であることが好ましい。また空腹時二番尿の採取が困難な場合は、早朝空腹時尿でよいが、その場合は3日分以上の尿の採取が好ましい。

本発明は被験者の自然排泄尿中のMIを定量する工程を含む。本発明の実施の形態におけるMIは背景技術に記載した公知のMIを含む。MIはGC−MASSで定量する方法(Toshimitsu Niwa,J.Chromatography,227(1983),25−39)、免疫測定法(特開平8−21835号公報)、酵素法[Roswitha Dolhofer,O.H.Wieland.,J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,25,733−736(1987)]、液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)法やHPLC法等の公知の方法で定量すれば良く、好ましくはミオイノシトールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.18)を用いる方法(特許文献3、4)であり、さらに好ましくはミオイノシトール測定試薬ルシカMI(旭化成ファーマ株式会社)を用いて定量する。

本発明の実施の形態における尿は定量まで冷蔵保存することが好ましい(1年以上安定)。室温放置でも数日以内であれば問題はない。また、防腐剤として0.05%アジ化ナトリウムあるいは0.1%プロクリンを添加しても定量に影響しない。

MIは定性反応によりMIの存在を検出する方法により行ってもよいが、定量することが好ましい。MIを定量するとは、MIが含まれている可能性のある被験者の尿と、MIを既知の濃度で含む校正用の試料を、それぞれ単独にMIを公知の方法で検出し、MIが含まれている可能性のある被験者の尿中のMIの濃度は、MIが含まれている可能性のある被験者の尿についての検出量と、MIを既知の濃度で含む校正用の試料についての検出量とを比較することにより算出することである。尿MI量は、同時に測定するクレアチニン1g(gCr)値で標準化した値(mg)として表示し、通常、複数検体の平均値として算出することが好ましく、3検体以上の定量値の中で他の定量値と大きく異なる値を示す検体がある場合は、これを除外することが好ましい。また、2検体しか定量されていない場合で、両者の定量値が大きく異なる場合は、再定量すれば良い。

本発明はMIを定量する同一被験者の血清又は血漿中(血清及び/又は血漿)のPlsEtnを定量する工程を含む。MIを定量する同一被験者にはMIを定量された被験者を含み、MIとPlsEtnの定量の順序は任意である。被験者から血液を通常通り採血し、できるだけ早期に遠心分離し、採取した血清または血漿は速やかに冷蔵(4℃)あるいは凍結保存(−20℃〜−80℃)する。血液の状態で一時保管する場合は冷蔵保存し、少なくとも採血日当日に血清あるいは血漿分離までの処理を施すことが好ましい。血漿を取得する場合には、分離剤や抗プラスミン剤等の使用の有無は特に限定されず、EDTA、フッ化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヘパリンナトリウム、モノヨード酢酸等の抗凝固剤や解糖阻止剤の使用の有無も特に限定されない。

本発明の実施の形態における「検体」または「試料」はPlsEtnを含むと予想される試料であり、上記の被験者の尿、血清及び血漿を含み、PlsEtnを添加した溶液、血清及び血漿でもよい。本発明の実施の形態における「検体」または「試料」はPlsEtnを含むと予想される試料であれば限定されないが、被験者の尿、血清、及び/または血漿であれば好ましい。その他の試料の例としては、実験動物由来の尿、血清、血漿や植物組織、海水、天然水、果汁、飲料、廃液等が挙げられる。

本発明の実施の形態におけるPlsEtnは、グリセロリン脂質のC1(sn−1)位に脂肪酸がビニルエーテル結合したアルケニルアシル型グリセロリン脂質(アルケニルアシル型エーテルリン脂質)で塩基がエタノールアミンである、Jouranal of atherosclerosis and thrombosis、14巻、1号、2007年、12−18頁やJ.Psychiatry Neurosci.、2010年、35巻、1号、59−62頁等で開示された公知のPlsEtnであり、以下の式のPlsEtnである。:
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、低級若しくは高級アルキル基又はアルケニル基である)

本発明の実施の形態におけるPlsEtnには以下の式のPlsEtnのリゾ体(lyPlsEtn)を含む場合もある。
(式中、Rは、低級若しくは高級アルキル基又はアルケニル基である)

本発明は、被験者の自然排泄尿中のMIを定量する工程と、同一被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する工程とを含む、該被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類するための認知症検査方法であって、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、MIとPlsEtnとのそれぞれの、予め求められた閾値に対して、被験者のMIとPlsEtnの定量値を比較する工程を含む、前記の認知症検査方法も含む。

本発明の実施の形態において被験者を認知症またはその前段階にある者と分類する尿MI量の基準は、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、MIとPlsEtnとのそれぞれの、予め求められた閾値に対して、被験者のMIとPlsEtnの定量値を比較する。尿MIの閾値は、健常成人の平均値±標準偏差の上限値から、健常高齢者の平均値±標準偏差の上限値までの範囲から設定すれば良い。

一例として、尿MIの閾値は、健常成人の平均値±標準偏差(13.1±8.5mg/gCr、n=444、平均年齢39.6±10.6歳)の上限値である21.6mg/gCrから、健常高齢者の平均値±標準偏差(33.0±22.1mg/gCr、n=76、平均年齢72.7±5.6歳)の上限値である55.1mg/gCrまでの範囲から設定できる。

従って、本発明の実施の形態において被験者を認知症またはその前段階にある者と分類する尿MI量の基準は、空腹時二番尿の場合、21.6〜55.1mg/gCrの範囲から設定される閾値以上としても良い。また、下記の実施例に示したとおり、25mg/gCrを尿MI量の閾値とすることにより、血清及び/又は血漿PlsEtn量の定量との併用による認知症の検出確度が向上することから、尿MI量の閾値として25mg/gCrを採用することも好ましい。さらに、下記の実施例に示したとおり、36.6mg/gCrを尿MI量の閾値とすることにより、血清及び/又は血漿PlsEtn量の定量との併用による認知症の検出確度が向上することから、尿MI量の閾値として36.6mg/gCrを採用することも好ましい。下記の実施例に示したとおり、随時尿MI量は平均的に空腹時二番尿より8.2mg/gCr増加していることから、29.8〜63.3mg/gCrの範囲から設定される閾値以上としても良く、随時尿の場合33.2又は44.8mg/gCrを閾値として採用することも好ましい。

被験者の血清または血漿中のPlsEtnの閾値の下限値は、健常成人の平均値±標準偏差の下限値および健常高齢者の平均値±標準偏差の下限値より1〜2μM低く設定すれば良い。被験者の血清または血漿中のPlsEtnの閾値の上限値は、全高齢者(健常+認知障害)における尿MI量の平均値以上の高齢者を対象に作出されたCDRとPlsEtnの相関近似曲線式に、y=0.5(CDR、認知障害疑い)を代入して得られるxとすれば良い。

一例として、被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する工程が、後述する血清及び/又は血漿PlsEtn量を125I−HPLC法を利用して定量したる場合の血清及び/又は血漿PlsEtn量の閾値の下限値は、健常成人の平均値±標準偏差(73.0±19.5μM、n=439)の下限値は53.5であり、健常高齢者の平均値±標準偏差(73.3±20.5μM、n=97)の下限値は52.8μMなので、52μMとすることもできる。また、被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する工程が、後述する血清及び/又は血漿PlsEtn量を125I−HPLC法を利用して定量したる場合の血清及び/又は血漿PlsEtn量の閾値の上限値は、全高齢者(健常+認知障害)における尿MI量の平均値である36.6 mg/gCr以上の高齢者を対象に作出されたCDRとPlsEtnの相関近似曲線式(y=−0.0197x+1.690)に、y=0.5(CDR、認知障害疑い)を代入して得られるx(PlsEtn)の値60.4μMと概算することもできる。

従って、本発明の実施の形態において、被験者を認知症またはその前段階にある者と分類する血清及び/又は血漿PlsEtn量の基準は、被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する工程が、後述する血清及び/又は血漿PlsEtn量を125I−HPLC法を利用した定量である場合、血清及び/又は血漿PlsEtn量が52〜61μMの範囲から設定される閾値以下としても良い。

被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する工程が、後述する酵素を利用した定量である場合、測定値の平均値は、125I−HPLC法を利用した定量である場合の平均値−2μMから+3μMの範囲である。したがって、本発明の実施の形態において、被験者を認知症またはその前段階にある者と分類する血清及び/又は血漿PlsEtn量の基準は、被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する工程が、後述する酵素を利用した定量である場合、血清及び/又は血漿PlsEtn量が50〜64μMの範囲から設定される閾値以下としても良い。

さらに、下記の実施例に示したとおり、空腹時二番尿MI量の閾値が36.6mg/gCr、随時尿中のであり、血清及び/又は血漿PlsEtn量を125I−HPLC法により定量する場合、血清及び/又は血漿PlsEtn量の閾値が後述するように約58μMである場合に認知症検出の確度が最適となっており、これらの閾値を採用することが特に好ましい。また、被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する工程が、後述する酵素を利用した定量である場合、血漿PlsEtn量の閾値が約56または61μMの閾値を採用することが特に好ましい。

なお、実際の検査においては、尿MI量と血清及び/又は血漿PlsEtn量は全ての被験者について定量し、前記の基準に基づいて分類判定を行うことができる。あるいは、血清及び/又は血漿PlsEtn量が閾値以下の被験者について尿MI量を定量するか、または尿MI量が閾値以上の被験者について血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量してもよい。好ましくは、定量の手順がより簡便である尿MI量を全被験者について定量し、その結果に基づいて血清及び/又は血漿PlsEtn量の定量を行うことができるがこれに限定されない。

本発明の実施の形態において血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量するとは、PlsEtnが含まれている可能性のある被験者の血清又は血漿と、PlsEtnを既知の濃度で含む校正用の試料を、それぞれ単独にPlsEtnを公知の方法及び/または本発明の方法で検出し、PlsEtnが含まれている可能性のある被験者の血清又は血漿のPlsEtnの濃度は、PlsEtnが含まれている可能性のある被験者の血清又は血漿についての検出量と、PlsEtnを既知の濃度で含む校正用の試料についての検出量とを比較することにより算出することである。本発明の実施の形態においては、通常1モルのPlsEtnから1モルのグリセロ−3−ホスフォエタノールアミン又はエタノールアミンが生成物として得られるのでグリセロ−3−ホスフォエタノールアミン又はエタノールアミンを定量すればPlsEtn量を算出できる。本発明の実施の形態においては、通常1モルのPlsEtnから1モルの過酸化水素が生成物として得られるので過酸化水素を定量すればPlsEtn量を算出できる。

本発明の実施の形態において血清及び/又は血漿PlsEtn量は、例えば特許文献1に記載された放射性ヨウ素−高速液体クロマトグラフィー(125I−HPLC)法により、定量できる。PlsEtnを125I−HPLC法で定量する場合、血清及び/又は血漿は冷蔵保存あるいは速やかに凍結融解した血清及び/又は血漿を一定量(通常、200μL)使用し、脂質成分を規定の方法で抽出する。測定用試料(抽出脂質成分)は速やかにPlsEtnの定量に供することが好ましいが、測定まで一時的に保管する場合はメタノールやジエチルエーテル中は避け、クロロホルム中で冷凍保存(−20℃〜−80℃)することが好ましい。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程は、酵素を利用した定量であっても良い。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程は、以下の(1)〜(3−4)の工程のいずれかまたは複数を含んでもよく、また、さらに(1)〜(3−4)の全てを含んでもよい。
(1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
(2)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、エーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する工程:及び
(3−1)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにせしめる酵素にて、工程(2)で得られたグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにする工程:
(3−2)エタノールアミンを酸化する酵素により、エタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
(3−3)過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
(3−4)前記被験者の血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程:
または前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする方法。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法の一例を概略して図7に示した。工程(1)はPLの作用で、PlsEtnをlyPlsEtnに加水分解する工程である。さらに必要によりリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素、好ましくはリゾホスフォリパーゼ(lysophospholipase、LYPLと略す場合がある)を用いてリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する工程を含む場合があるがこれに限定されない。工程(2)は加水分解酵素の作用で、lyPlsEtnを加水分解する工程である。工程(3−1)は工程(2)で得られた生成物をGlycerophosphocholine phosphodiesterase(GPCP)とエタノールアミンオキシダーゼ(EAO)の作用で過酸化水素(H)とする工程である。工程(3−2)の過酸化水素は後述する公知の方法で定量すれば良い。

図7に示した上記工程(1)の好適な例は、PLの作用により、PlsEtnをlyPlsEtnと脂肪酸に加水分解する工程である。図7に示した上記工程(2)の好適な例は、lyPls aseの作用により、lyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミン(glycero−3−phosphoethanolamine)と対応するアルデヒド(aldehyde)に加水分解する工程である。図7に示した上記工程(3−1)の好適な例は、工程(2)で得られたグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンをGlycerophosphocholine phosphodiesterase(GPCP)の作用により、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンをエタノールアミン(ethanolamine)とグリセロリン酸(sn−glycerol 3−phosphate)に加水分解し、エタノールアミンオキシダーゼの作用でエタノールアミンを過酸化水素(H)、アンモニア(NH、アンモニウム塩も含む)とグリコールアルデヒド(glycolaldehyde)に酸化する工程である。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、被験者の血清及び/又は血漿中にPlsEtnのみ、又はPlsEtnとlyPlsEtnが混在する場合は、後述する本発明のlyPls ase及びPLの作用を利用して血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量することが好ましいがこれに限定されない。被験者の血清及び/又は血漿中にlyPlsEtnのみが存在する場合は本発明のlyPls aseの作用を利用して血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量することが好ましいがこれに限定されない。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(1)で用いるPLは、PlsEtnをlyPlsEtnに加水分解する作用を触媒する酵素であれば限定されない。この様な酵素の好ましい例として配列番号5のアミノ酸配列を有するPLが挙げられる。また、配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、PlsをlyPlsに加水分解する作用を触媒する酵素も挙げられ、その例は後述する本発明のlyPls aseの場合と同様である。該PLはStreptomyces albidoflavusに分類されるNA297(NITE BP−1014として寄託済み)を用いて国際公開番号:WO2012/105565 A1に記載の製造方法で製造できる新規なホスホリパーゼAである。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(1)で用いるその他のPLとしてはホスホリパーゼA(phospholipase A、PLAと略す場合がある)、ホスホリパーゼA(phospholipase A、PLAと略す場合がある)、及びホスホリパーゼB(PLB)が挙げられる。

PLAは、EC 3.1.1.4と分類される酵素を含む。PLAの好適な例としては、Streptomyces violaceoruber由来PLA2(PLA(旭化成ファーマ株式会社(T−31))及びPLAナガセ(ナガセケムテックス(株)))、Aspergillus niger由来PLA(マキサパールA及びケーキザイム(ともにディー・エス・エム ジャパン(株)))、豚の膵臓由来PLA(リポモッド699L(ジェネンコア協和(株)))、Aspergillus由来ホスホリパーゼ(レシターゼ(ノボザイムズ ジャパン(株))、porcine pancreas由来PLA(SIGMA(P223))が挙げられる。

PLAは、EC 3.1.1.32と分類される酵素を含む。PLAの好適な例としてはAspergillus oryzae由来(三菱化学フーズ(株))が挙げられる。

PLBはPLA及びPLAの作用を均等に又は不均等に併せ持つ。PLBの好適な例としては、特許第5060666号で開示された酵素、WO2007−010892で開示された酵素、LPBP(旭化成ファーマ株式会社(T−63))及びCEBP(旭化成ファーマ株式会社(T−66))が挙げられる。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(2)でlyPlsEtnを加水分解する酵素を用いる場合、該加水分解酵素はlyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンと対応するアルデヒド(単にアルデヒドと記載する場合がある)に加水分解する酵素を含む酵素であれば良いがこれに限定されない。


また、工程(2)でlyPlsEtnを加水分解する酵素を用いる場合、該加水分解酵素は、少なくともエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解しない酵素であればさらに好ましい。後述のPseudomonas putida由来、ラット由来、及びThermocrispum sp.由来のlyPlsEtnのlyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する酵素はエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解しない。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(2)で用いる加水分解酵素には、EC 3.3.2.2またはEC 3.3.2.5と分類されるlyPls aseを含む。この様な酵素の例としてはTHE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL.286,NO.28,pp.24916−24930で開示されたラット由来のlyPls aseが挙げられ、好ましくは後述する本発明のlyPls aseである。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(3−1)では、グリセロホスホコリンホスホジエステラーゼ(glycerophosphorylcholine phosphodiesterase、GPCPと略す場合がある)を利用することができる。該GPCPはEC 3.1.4.2と分類される酵素を含み、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンをエタノールアミンとグリセロリン酸加水分解する作用を触媒する酵素であれば限定されない。GPCPの好適な例としてはGlicladium roseum由来GPCP(旭化成ファーマ株式会社(T−33))が挙げられる。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(3−2)ではエタノールアミンオキシダーゼを利用することができる。該エタノールアミンオキシダーゼは、モノエタノールアミンオキシダーゼ(EC 1.4.3.8)、モノアミンオキシダーゼ(EC 1.4.3.4)、及び一級アミンオキシダーゼ(EC 1.4.3.21)と分類される酵素を含み、エタノールアミンをH、NHとグリコールアルデヒドに酸化する作用を触媒する酵素であれば限定されない。エタノールアミンオキシダーゼの好適な例としてはArthrobacter属由来の酵素(Narrod S.A.及びJakoby W.B.、J.Biol.Chem.、239巻、2189−2193頁、1964年)、Phormia regina由来の酵素(Kulkarni A.P.及びHodgson E.、Comp.Biochem.Physiol.、B44巻、407−422頁、1973年)、Arthrobacter sp.(FERM P−06240及びBP−0421)由来の一級アミンオキシダーゼ(Ota H.ら、Biosci.Biotechnol.Biochem.、72巻、2732−2738頁、2008年)が挙げられ、エタノールアミンに対する基質特異性が高いという観点からは特開2005−52034号公報で開示された分析方法に用いられるモノアミンオキシダーゼ(チラミンオキシダーゼ)が特に好ましい。
上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法は、前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、上記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行う方法であれば好ましいがこれに限定されない。工程(4)及び(5)は図9に概略して示した。
(4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清または血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
(5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する工程。

ここで「前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合」とは本実施の形態のPlsEtnの定量値において、被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類する目的に影響を与える程度にリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解することを意味する。例えば、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する程度がlyPlsEtnに対して15%以下、更には12%以下であり、10%以下の場合があるがこれに限定しない。

例えば、後述のPseudomonas putida由来とラット由来のlyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する酵素はリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解しない酵素である。また、後述のThermocrispum sp.由来のlyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する酵素は、リゾホスファチジルエタノールアミンをlyPlsEtnに対して12%加水分解するので、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素である。

上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法は、前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてPLを使用し、該PLは、前記工程(1)のPlsEtnをlyPlsEtnに加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、または前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)〜(3−4)を実施する方法でも良い。

上記工程(4)及び(5)は、被験者の血清または血漿中にホスファチジルエタノールアミン及び/又はリゾホスファチジルエタノールアミンが含まれない、または、前記工程(2)のlyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解しない場合には、実施しなくても良い場合があるが、被験者の血清または血漿中にホスファチジルエタノールアミン及び/又はリゾホスファチジルエタノールアミンが含まれ、かつ、前記工程(2)のlyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する作用を有する場合には、実施することが好ましい。

「実質的に消去する」の「消去する」とは消去対象を(例えば酵素の作用により)本実施の形態のPlsEtnの定量に関与しない物質へ分解(変換)することをいう。定量に関与しない物質は、用いる酵素の反応性や試薬等によっても異なるが、例えば上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法の場合、測定に関与しない物質の例としては、グリセロホスファチジン酸、グリコールアルデヒド、アンモニア、水、酸素などが挙げられる。例えば比色分析を用いた定量によって本実施の形態のPlsEtnの定量を行う場合には、消去対象を無色の物質に変換し、検出の対象外とすることも上記の「消去する」に含まれる。

「実質的に消去する」とは、消去対象を、本実施の形態のPlsEtnの定量値において、被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類する目的に影響を与えない程度に消去することを意味する。例えば、本実施の形態の測定方法を、後述する認知症検査方法として用いる場合、消去対象が、検査方法の正確性に影響を与えない程度まで消去されることを意味する。より具体的には、疾患によっても変動し得るが、消去対象が例えばホスファチジルエタノールアミン及び/又はリゾホスファチジルエタノールアミンの場合、これらを消去する工程を行った後のホスファチジルエタノールアミンの総量が、消去する工程を行う前の10%以下となることが好ましく、更に好ましくは9%以下であり、最も好ましくは8%以下である。なお、上記の工程(4)及び(5)ではPlsEtnを含むエーテル型のエタノールアミン型リン脂質は消去しない。

上記工程(4)で用いるPLは、上述の工程(1)の場合と同様であるが、上記の工程(4)及び(5)の「実質的に消去する」という観点からはPLAが好ましく、反応性が早いという観点からStreptomyces violaceoruber由来PLAがさらに好ましい。

上記工程(5)で用いる酵素はリゾホスファチジルエタノールアミンをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンと脂肪酸に加水分解する作用があれば限定されないが、リゾホスフォリパーゼ(lysophospholipase、LYPLと略す場合がある)、及び/又はモノグリセリドリパーゼ(monoglyceride lpase、MGLPと略す場合がある)が好ましい。該LYPLはEC 3.1.1.5と分類される酵素を含み、好適な例としてはVibrio属由来LYPL(旭化成ファーマ株式会社(T−32))が挙げられる。該MGLPはEC 3.1.1.23と分類される酵素を含み、好適な例としてはBacillus属由来MGLP(旭化成ファーマ株式会社(T−59))が挙げられる。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、過酸化水素の定量は、ペルオキシダーゼ(peroxidase、EC 1.11.1.7)の作用を利用して、例えばトリンダー試薬等の色原体とカップラーとの酸化縮合により色素を生成させて比色分析により行うことができる。トリンダー型試薬の色原体としては、フェノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体等が使用可能であり、具体例としてN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、2,4−ジクロロフェノール、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン(ADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(TOPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−m−アニシジン(ADOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−スルホプロピル−アニリン(HALPS)、N,N−ビス−(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン(TODB)、N−エチル−N−(2−サクシニルアミノエチル)−m−トルイジン(ESET)等(以上株式会社同人化学研究所)が挙げられる。なかでもTOOSとTODBは吸光係数が大きいため好ましい。また過酸化水素はPODの存在下、ロイコ型試薬を用いても発色させることができる。この試薬の具体例としては、O−ジアニシジン、O−トリジン、3,3−ジアミノベンジジン、3,3,5,5−テトラメチルベンジジン(以上株式会社同人化学研究所)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67)等が挙げられる。DA−64やDA−67など、不安定な試薬を用いる場合、公知の方法により、亜硫酸チオ硫酸を添加したり、紫外線や可視光線を吸収する効果のある色素を共存させたりすることで安定化させることができる。カップラーの例としては、4−アミノアンチピリン(4−AA)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)が挙げられる。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、過酸化水素の定量は、上記の方法のほか、吸光法、KMnO等を利用する酸化還元法、蛍光法、発光法又は電極法等の公知の方法を用いて行うことができる。蛍光法には、酸化によって蛍光を発する化合物、例えばホモバニリン酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、チラミン、パラクレゾール、ジアセチルフルオレスシン誘導体等を用いることができる。発光法には、触媒としてルミノール、ルシゲニン、イソルミノール、ピロガロール等を用いることが出来る。電極法に用いる電極は、過酸化水素との間で電子を授受することの出来る材料である限り特に制限されないが、例えば白金、金、銀等が挙げられ、電極測定方法としては、アンペロメトリー、ポテンショメトリー、クーロメトリー等の公知の方法を用いることが出来る。更にオキシダーゼ又は基質と電極との間の反応に電子伝達体を介在させ、得られる酸化、還元電流又はその電気量を測定してもよい。電子伝達体としては、電子伝達機能を有する任意の物質が使用可能であり、例えばフェロセン誘導体、キノン誘導体等の物質が挙げられる。またオキシダーゼ反応により生成する過酸化水素と電極の間に電子伝達体を介在させ、得られる酸化、還元電流又はその電気量を測定してもよい。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程は、以下の(1)〜(3−3)´の工程のいずれかまたは複数を含んでもよく、さらに(1)〜(3−3)´の全てを含んでもよい。
(1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解でき、かつリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
(2)´エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解する工程:
(3−1)´エタノールアミンを酸化する酵素により、工程(2)´で得られたエタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
(3−2)´過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
(3−3)´前記被験者の血清または血漿中のPlsEtn量を算出する工程。

上記工程(1)〜(3−3)´を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法の別異な一例を概略して図8に示した。工程(1)はPLの作用で、PlsEtnをlyPlsEtnに加水分解する工程である。工程(2)´は加水分解酵素の作用で、lyPlsEtnを加水分解する工程である。工程(3−1)´は工程(2)´で得られた生成物であるエタノールアミンをEAOの作用で過酸化水素とする工程である。過酸化水素は後述する公知の方法で定量すれば良い。

上記工程(1)〜(3−3)´を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(1)で用いるPLは、上述の工程(1)の場合と同様である。

上記工程(1)〜(3−3)´を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(2)´でlyPlsEtnを加水分解する酵素を用いる場合、該加水分解酵素はlyPlsEtnをプラズメニルホスファチジン酸とエタノールアミンに加水分解する酵素を含み、ホスホリパーゼD(phospholipase D、PLDと略す場合がある)が好ましい。そのようなPLDの例としてはStreptomyces属由来(旭化成ファーマ株式会社(T−07))、Streptomyces chromofuscus由来(旭化成ファーマ株式会社(T−39))、キャベツ由来(SIGMA(P8398))、Actinomadura属由来(名糖産業(株))PLDが挙げられる。lyPlsEtnに対する基質特異性が高いという観点からは、Streptomyces chromofuscus由来PLDが好ましい。

上記工程(1)〜(3−3)´
を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、工程(3−1)´で用いるEAOは、上述の工程(3−2)の場合と同様である。

上記工程(1)〜(3−3)´を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法は、上記(1)〜(3−3)´の工程に先立つか、少なくとも前記(2)´工程の前までに、上記の(4)及び(5)を含む工程を行う方法であれば好ましいがこれに限定されない。

上記工程(1)〜(3−3)´を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法は、前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてPLを使用し、該PLは、前記工程(1)のPlsEtnをlyPlsEtnに加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、または前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)´〜(3−3)´を実施する方法でも良い。

上記工程(4)及び(5)は、被験者の血清または血漿中にホスファチジルエタノールアミン及び/又はリゾホスファチジルエタノールアミンが含まれない、または、前記工程(2)´のlyPlsEtnをエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解できる加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解しない場合には、実施しなくても良い場合があるが、被験者の血清または血漿中にホスファチジルエタノールアミン及び/又はリゾホスファチジルエタノールアミンが含まれ、かつ、前記工程(2)´のlyPlsEtnをエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解できる加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する作用を有する場合には、実施することが好ましい。

ここで、「実質的に消去する」の「消去する」とは上述と同様であり、定量に関与しない物質は、用いる酵素の反応性や試薬等によっても異なるが、例えば本実施の形態のPlsEtnの測定を、PLDで分解し、得られたエタノールアミンをさらに酸化して得られる過酸化水素を用いて定量する方法により行う場合、測定に関与しない物質の例としては、グリセロホスホエタノールアミン(ただし、用いるPLDがグリセロホスホエタノールアミンに作用しない場合)、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、ホスホリルエタノールアミン、脂肪酸、セラミド、グリセロール−3−リン酸、アンモニア、グリコールアルデヒド、水、酸素などが挙げられる。例えば比色分析を用いた定量によって本実施の形態のPlsEtnの定量を行う場合には、消去対象を無色の物質に変換し、検出の対象外とすることも上記の「消去する」に含まれる。

「実質的に消去する」とは、上述と同様であり、より具体的には、疾患によっても変動し得るが、消去対象が例えばホスファチジルエタノールアミン及び/又はリゾホスファチジルエタノールアミンの場合である場合、これらを消去する工程を行った後のホスファチジルエタノールアミン及び/又はリゾホスファチジルエタノールアミンの場合の総量が、消去する工程を行う前の10%以下となることが好ましく、更に好ましくは9%以下であり、最も好ましくは8%以下である。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量の酵素を利用した定量する工程は、特開2012−210179号に記載の方法でも良い。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量で使用し得るいずれの酵素についても、所望の活性が維持される限り、その変異体も同様に各酵素の範囲に含まれる。例えば、各酵素のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有する酵素であっても、所望の活性が維持される限り、各酵素の範囲に含まれる。また、各酵素を塩基配列の翻訳によって得る場合にも、用いる塩基配列は、得られる酵素が所望の活性を有する限り特に限定されない。各酵素の二次構造、三次構造及び四次構造、性質、純度、由来、商品名並びに価格についても特に限定されない。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、一態様において、試料中に含まれるアスコルビン酸を消去するためにアスコルビン酸オキシダーゼ(ascorbate oxidase、ASOMと略す場合がある)を使用することができる。ASOMは、アスコルビン酸を実質的に消去する作用を有するものが好ましく、EC 1.10.3.3と分類される酵素がより好ましい。例えば、ウリ科植物由来のASOMを使用することができる。好適な例としては、酵素の安定性が高いという観点からはAcremonium属由来のアスコルビン酸オキシダーゼ(旭化成ファーマ株式会社(T−53))、アジ化ナトリウムによる阻害を受けないという観点からは天野エンザイム(株)社のアスコルビン酸オキシダーゼ(商品名ASO−3)が挙げられる。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、その量は下記のカタラーゼの量を除き、例えば、被験者の血清または血漿中のPlsEtnの濃度が300μM以下で、検体試薬比(試料の量:試薬の全量)が1:10の場合、下限値が0.1U/mL以上、好ましくは1U/mL以上、更に好ましくは5U/mL以上であり、上限は特に設けないが、100U/mL以下、好ましくは50U/mL以下、更に好ましくは30U/mL以下である。使用する酵素の量は、試薬の安定性という観点からは高い方が好ましく、経済性の観点からは低い方が好ましい。特にレートアッセイを行う場合には使用する酵素の量は低い方が好ましく、下限は0.01U/mLである。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、一態様において、過酸化水素を消去するためにカタラーゼ(catalase)を使用する場合がある。カタラーゼは、過酸化水素を実質的に消去する作用を有するものが好ましく、EC 1.11.1.6と分類される酵素がより好ましいがこれに限定されない。カタラーゼの使用量は限定されないが、通常10〜5000U/mLの範囲で使用する。カタラーゼの好適な例としては、純度が高いという観点からはArthrobacter属由来(旭化成ファーマ株式会社)、安価で入手が容易である観点からは動物由来(SIGMA(C1345等))のカタラーゼが挙げられる。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、使用する酵素の反応性及び/又は安定性を維持及び/又は高めるという観点から、適宜pH緩衝剤を用いることが好ましい。pH緩衝剤は、目的のpHを保つことができれば限定されないが、グッドのpH緩衝液(MES、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHES、CAPS等)、Tris緩衝液、ジエタノールアミン緩衝液、炭酸緩衝液、グリシン緩衝液、硼酸緩衝液、リン酸緩衝液、グリシルグリシン緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、マレイン酸緩衝液、トリスエタノールアミン緩衝液、イミダゾール緩衝液等が例示できる。これらの緩衝液は、塩酸等の強酸やNaOH等の強アルカリを用いて、緩衝剤として使用可能なpH範囲に調整して使用することができる。

pHは、用いる酵素によっても異なるが、弱アルカリ性のpHであることが好ましく、下限値としてpH7.0以上、好ましくはpH7.3以上、更に好ましくはpH7.5以上が例示され、上限値としてはpH9.0以下、好ましくはpH8.4以下、更に好ましくはpH8.0以下が例示される。例えば、lyPls ase、PL、LYPL、GPCPを安定化及び/又は活性化するという観点からは、そのpHは、下限値としてpH7.0以上が例示され、上限値としてはpH9.5以下、好ましくはpH9以下、更に好ましくはpH8.5以下が例示される。

pH緩衝剤の濃度は目的のpHを保つことができる限り特に限定されないが、下限値として3mM以上、好ましくは5mM以上、更に好ましくは10mM以上が例示され、上限値としては500mM以下、好ましくは200mM以下、更に好ましくは100mM以下が例示される。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、該工程には界面活性剤を存在させられる。界面活性剤の種類は限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンラノリン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、Nアシルアミノ酸塩類、アルキルエーテルカルボン酸塩類、アルキルリン酸塩、Nアシルタウリン酸塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、レシチン誘導体、ポリエチレングリコール類、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールイソオクチルフェニルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール等が例示される。好ましくは、非イオン性界面活性剤のエーテル型又はエステル型が挙げられ、更に好ましい例としては、HLB値が13以上15以下のポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルアミンからなる群から選択される非イオン界面活性剤が挙げられ、更に好ましくは、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(12−14)エーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが挙げられる。界面活性剤の溶解性の観点からは、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系非イオン性界面活性剤が好ましい。商品名としてはトリトンX−100(TX−100)、Tween20、エマール20C(花王株式会社)、NIKKOL BT−9(日光ケミカルズ株式会社)、ノニオンHS−208、HS−210、HS−208、HS−208.5、NS210(日油株式会社)等が例示される。また、膜酵素安定化の観点からはn−Dodecyl−β−D−maltoside(DDM)、n−Octyl−β−D−glucoside、n−Nonyl−β−D−thiomaltoside、n−Octyl−β−D−thioglucoside、3−Oxatridecyl−α−D−mannosideのような親水部に糖鎖を持った非イオン性界面活性剤を使用する事もできる。界面活性剤は複数種混合して使用してもよい。

極性をもつ界面活性剤は酵素などのタンパク質の変性作用を有することが知られているため、脂質を基質とする酵素を用いる場合、脂質を溶解するために中性(非極性)の界面活性剤存在下で実施することが好ましいがこれに限定されない。本実施の形態において、界面活性剤を用いる場合、その濃度は用いる酵素の所望の作用が得られる限り特に限定されない。例えば本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量であり、さらに該酵素が本発明のlyPls ase及び/またはPLである場合の界面活性剤の濃度は、上限値としては0.25(w/v)%以下、好ましくは0.1(w/v)%以下、更に好ましくは0.05(w/v)%以下が例示され、酵素の所望の作用が得られる限り、界面活性剤を用いなくてもよい。界面活性剤により酵素を安定化及び/又は活性化する、基質を分散させる、再現性等の酵素の作用を向上するという観点からは、通常、界面活性剤の濃度は、下限値としては0.001(w/v)%以上、好ましくは0.005(w/v)%以上、更に好ましくは0.01(w/v)%以上が例示され、上限値としては1(w/v)%以下、好ましくは0.5(w/v)%以下が例示される。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、該工程にはNaCl、KCl、硫安やNHCl等の塩を存在させられ、その量は、下限値として0.1mM以上、好ましくは5mM以上、更に好ましくは50mM以上が例示され、上限値は特に制限されないが、好ましくは200mM以下、更に好ましくは150mM以下、特に好ましくは120mM以下が例示される。これらの塩は後述する認知症検査試薬キットの酵素の安定化剤として機能し得る。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、該工程には糖を存在させることができ、その濃度は溶解可能な範囲内であれば限定されない。例えばシュークロースを含有する場合、下限値は後述する認知症検査試薬キットの0.05(w/v)%以上、好ましくは0.1(w/v)%以上、更に好ましくは0.3(w/v)%以上であり、上限値は30(w/v)%以下、好ましくは10(w/v)%以下、更に好ましくは5(w/v)%以下である。例えばマンニトールを含有する場合、下限値は0.05(w/v)%以上、好ましくは0.1(w/v)%以上、更に好ましくは0.3(w/v)%以上であり、上限値は3(w/v)%以下、好ましくは2(w/v)%以下、更に好ましくは2(w/v)%以下である。その他の糖としてはトレハロースやシクロデキストリン等が挙げられる。これらの糖は、後述する認知症検査試薬キットの酵素やキット内容物自体の安定化剤として、また、キット内容物を凍結乾燥する場合は凍結乾燥賦型剤として機能し得る。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、該工程には防腐剤を存在させられ、その種類や濃度は限定されない。例えばアジ化ナトリウムの場合、下限値は後述する認知症検査試薬キットの0.005(w/v)%以上、好ましくは0.01(w/v)%以上、更に好ましくは0.03(w/v)%以上であり、上限値は1(w/v)%以下、好ましくは0.5(w/v)%以下、更に好ましくは0.1(w/v)%以下である。例えば抗生物質の場合、下限値は5μg/mL以上、好ましくは10μg/mL以上、更に好ましくは30μg/mL以上であり、上限値は100μg/mL以下、好ましくは75μg/mL以下、更に好ましくは60μg/mL以下である。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、該工程にはEDTA、EGTA、NAT等のキレート剤を含有させられ、その種類や濃度は限定されない。例えばEDTAを含有する場合、通常は0.05mM以上10mM以下の範囲である。キレート剤は、金属を活性発現に利用するプロテアーゼがキット内容物中に混在する場合、該活性を阻害する作用により、キット中の酵素の安定化剤として機能し得る。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、該工程には牛アルブミン、卵アルブミン、ヒトアルブミン、クリスタリン等の触媒作用をもたないタンパク質を存在させられ、その種類や濃度は限定されない。例えば牛アルブミンを含有する場合、通常その含有量は0.01(w/v)%以上5(w/v)%以下の範囲である。これらのタンパク質はプロテアーゼの基質となるため、酵素の安定化剤となる場合がある。また、凍結乾燥に際しては凍結乾燥賦型剤となり得る。

酵素反応を進めることのできる添加物とは、上記のような酵素の反応性及び/又は安定性を維持及び/又は高める目的の添加物を含み、その例としてはpH緩衝剤、界面活性剤、塩、糖、防腐剤、キレート剤、触媒作用をもたないタンパク質等が挙げられる。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、その反応時間は、血清及び/又は血漿中のPlsEtn量を特異的に測定することができる限り限定されないが、例えば後述する本発明の実施の形態の認知症検査試薬キット内容物の各成分を単一の容器のキットとして用いる場合、反応時間の下限値は15秒以上、好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上である。上限値は特に設けないが、好ましくは30分以下、更に好ましくは15分以下、特に好ましくは10分以下である。例えば例えば後述する本発明の実施の形態の認知症検査試薬キット内容物の各成分を2以上の容器に分離して用いる場合、それぞれの容器の内容物を使用する反応時間の下限値は15秒以上、好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上である。上限値は特に設けないが、好ましくは30分以下、更に好ましくは15分以下、特に好ましくは10分以下である。それぞれの容器の内容物を使用する反応時間は同一でなくてもよい。一態様において、本発明の実施の形態のlyPls ase及び/またはPLの作用を利用する血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法の反応時間は、好ましくは30分以内、更に好ましくは15分以内、特に好ましくは10分以内に完了する。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である場合、各工程を実施する温度は、血清及び/又は血漿中のPlsEtn量を特異的に測定することができる温度であれば限定されず、各工程の温度は同一でなくてもよい。各工程に酵素を用いる場合、用いる酵素の作用温度の範囲内で行うことが好ましい。例えば、下限値は15℃以上、好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上であり、上限値は70℃以下、好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下であり、好適には37℃付近である。

血清及び/又は血漿PlsEtn量は、例えば特許文献2に記載されたLC−MS/MS法によってPlsEtnを各分子種ごとに定量することもできる。

本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法において、125I−HPLC法は高額な装置や放射性ヨウ素を使用するので汎用性が劣るが、従来多くの測定実績があり比較対象データが多いので好ましい。本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量であり、さらに上記の(1)〜(3−4)の工程を含む酵素を利用する方法(図7)は、汎用自動分析機に応用でき、利便性が良いので好ましい。本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、さらに上記の(1)〜(3−3)´の工程を含む酵素を利用する方法(図8)は、(1)〜(3−4)の工程を含む酵素を利用する方法に比べて使用する酵素が多く経済性に劣るが、汎用自動分析機に応用でき、利便性が良いので好ましい。LC−MS/MS法は高額な装置を使用するので汎用性が劣るが、各分子種ごとに定量できるので好ましい。すなわち本発明の血清及び/又は血漿PlsEtn量の定量方法は、125I−HPLC法、LC−MS/MS法、酵素法等に限定されず、例えば、測定感度、特異度、再現性、経済的な理由、安全性目的、適用法令等に応じて当業者であれば適宜変更し得る。

本発明のlyPls aseとしては、Pseudomonas putida(KT2440)又はThermocrispum sp.(NITE BP−01628)由来の配列番号1または2のアミノ酸配列を有するlyPls aseが挙げられる。また、水の存在下でlyPlsEtnを加水分解し、対応するアルデヒドとグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを得る反応を触媒する本発明のlyPls aseも挙げられる。

本発明のlyPls aseが天然の微生物由来である場合、該微生物は、lyPlsEtnを加水分解し、対応するアルデヒドとグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを得る反応を触媒する酵素を生産する微生物であれば特に限定されないが、例えばPseudomonas属又はThermocrispum属に属する微生物であり、好ましくは、Pseudomonas putida又はThermocrispum sp.に属する微生物であり、最も好ましくはPseudomonas putida(KT2440)又はThermocrispum sp.(NITE BP−01628)である。Pseudomonas putida(KT2440)はDSM No.6125としてLeibniz−Institut DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)で購入できる。

土壌、湖沼、海、生物の表面や体腔内等から分離した菌株が、Pseudomonas属又はThermocrispum属に属する微生物であるかどうかは、例えば「Bergey’s Manual 第2版(2001年)」、「微生物の分類・同定実験法―分子遺伝学・分子生物学的手法を中心に(Springer Lab Manual)シュプリンガー・フェアラーク東京、2001年9月」等に記載の方法、市販の同定検査用製品(例えばBIOMERIEUX社)を使用する方法、「株式会社テクノスルガ・ラボ(静岡県静岡市)」等に委託する方法等により確認すればよい。さらにそれらの菌株が、Pseudomonas putida又はThermocrispum sp.であるかどうかは、「Stackebrandt E.、Ebers J.: Taxonomic parameters revisited: tarnished gold standards, Microbiology today, nov, 152−155頁、2006年」に記載の方法等により判断すればよい。すなわち、DNA−DNAハイブリダイゼーションで70%以上の相同性がある、又は16s rRNAが98.5%以上同一であれば同属同種と判断できる。好ましくはDNA−DNAハイブリダイゼーションで70%以上の相同性があれば同属同種と判断することができる。28S rDNA−D1/D2及び/又はITS−5.8S rDNA塩基配列によりPseudomonas putida又はThermocrispum sp.であるかどうかを判断する場合も同様である。

天然の微生物の分離は、当業者に公知の手法を用いて行うことができ、例えば、日本生物工学会編生物工学実験書(2002年改訂版、培風館)に記載の微生物分離方法を参考にして行うことができる。

本発明のlyPls aseとしては:配列番号1または2のアミノ酸配列を含み、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒するlyPls ase:配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応の触媒作用に関与しない一部のアミノ酸を変異させたアミノ酸配列からなるlyPls ase:及び配列番号1または2のアミノ酸配列に各種のアミノ酸残基が付加されたアミノ酸配列からなり、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒するlyPls aseが挙げられる。本発明のlyPls aseのN末端側及び/又はC末端側にチオレドキシン蛋白質等機能性蛋白質やその他のアミノ酸配列からなる部分を付加する等により融合lyPls aseとすることも好ましい。また、該付加する部分により精製や確認等をせしめることのできるタグと呼ばれる部分を融合させてもよく、場合によっては、融合後、そのタグ部分の全部又は一部を削除してよい。例えば、本発明のlyPls aseを菌体外やペリプラズムへ輸送する為の約20個のシグナルペプチドや、効率的な精製を行う為の5〜10個のHisを付加してもよく、それらを直列して付加してもよい。それらのアミノ酸配列の間等に数個のプロテアーゼ認識アミノ酸配列を配置して付加してもよい。上述の付加の例と同様に、欠失、又は置換を行うことができ、例えば、配列番号1または2のアミノ酸配列において、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する作用とは無関係の、数個のアミノ酸からなるドメインや、複数個のアミノ酸からなるギャップが存在する場合、それらの欠失を組み合わせることもできる。欠失、置換又は付加を適宜組み合わせてもよい。具体的には配列番号2のアミノ酸配列において配列番号6の27アミノ酸からなるシグナルペプチドを欠失しても本発明のlyPlsEtnである。配列番号5のアミノ酸配列において配列番号7の33アミノ酸からなるシグナルペプチドを欠失しても本発明のPLである。また、Botechnol Lett.2011年、33巻、727−731頁で開示された方法を参考に、Streptovertcllum cinnamoneum由来のphospholipase Dのプロモーター、シグナルペプチド、ターミネーター配列も使用できる。

本発明のlyPls aseは、配列番号3または4に記載の塩基配列に相補的な塩基配列と後述するストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列によりコードされる蛋白質であって、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒するlyPls aseであってもよい。

本発明は:配列番号1または2のアミノ酸配列からなるlyPls aseをコードする塩基配列を含む遺伝子:及び配列番号1または2に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する蛋白質をコードする塩基配列を含む遺伝子にも関する。

そのような遺伝子としては、特に限定されないが、例えば:配列番号3または4に記載の塩基配列を含む遺伝子:及び配列番号3または4に記載の塩基配列において1又は複数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する蛋白質をコードする塩基配列が挙げられ、具体的には:配列番号3または4の塩基配列を大腸菌や放線菌等宿主のコドン使用頻度に合わせて変更した塩基配列を含む遺伝子:及び配列番号1または2のアミノ酸配列において、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する作用に関与しない1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む遺伝子が例示される。

本発明の遺伝子は、配列番号3または4に記載の塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であって、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する蛋白質をコードする塩基配列を含む遺伝子であってもよい。

上記のストリンジェントな条件は、通常、完全ハイブリッドの融解温度(Tm)より約5℃〜約30℃、好ましくは約10℃〜約25℃低い温度であって、特異的なハイブリッドが形成される条件であり、例えばJ.Sambrookら,Molecular Cloning,ALaboratory Mannual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に記載されている条件が挙げられる。また、例えば、90%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件であってもよい。具体的には、例えば、完全ハイブリッドのTm〜(Tm−30)℃、好ましくはTm〜(Tm−20)℃の温度範囲で、かつ1×SSC(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)、好ましくは0.1×SSCに相当する塩濃度でハイブリダイズを行う条件が挙げられる。

本発明の遺伝子を組み込むベクターは特に限定されないが、宿主微生物体内で自律的に増殖しうるファージ又はプラスミドのうち遺伝子組換用として構築されたものが適しており、ファージベクターとしては、例えば、大腸菌に属する微生物を宿主とする場合にはλgt・λC、λgt・λB等が使用できる。プラスミドベクターとしては、例えば、大腸菌を宿主とする場合には、Novagen社のpETベクター、又はpBR322、pBR325、pACYC184、pUC12、pUC13、pUC18、pUC19、pUC118、pIN I、BluescriptKS+等、バチラス・サチリスを宿主とする場合にはpWH1520、pUB110、pKH300PLK等、放線菌を宿主とする場合にはpIJ680、pIJ702等、酵母、特にサッカロマイセス・セレビジアエを宿主とする場合にはYRp7、pYC1、YEp13等が使用できる。本発明の組換えベクターは、安全性が確認されているという観点から、遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令(平成十六年財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省令第一号)別表第一号の規定に基づき経済産業大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物の、別表第一に掲げられたベクターに、上記の本発明の遺伝子が挿入された組換えベクターが好ましい。プロモーターは宿主中で発現できるものであれば特に限定されない。本発明の組換えベクターは、例えば本発明の遺伝子及び上記のベクターを用いて、当業者に公知の手法で作成することができる。

本発明の上記の組換えベクターを含む形質転換体は、上記組換えベクターで形質転換された形質転換体であれば限定されず、宿主としては、大腸菌、バチラス・サチリス、ストレプトマイセス属やロドコッカス属に属する放線菌、サッカロマイセス・セレビジアエ、ピキア・パストリス、麹カビ等が挙げられる。本発明の形質転換体は、安全性が確認されているという観点から、遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令(平成十六年財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省令第一号)別表第一号の規定に基づき経済産業大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物の、別表第一に掲げられた宿主に形質転換したものが好ましい。本発明の形質転換体は、例えば本発明の組換えベクター及び上記の宿主を用いて、当業者に公知の手法で作成することができる。

本発明はまた、本発明のlyPls aseを生成する微生物を培地で培養し、培養物中に本発明のlyPls aseを生成蓄積させ、該培養物から本発明のlyPls aseを採取することを特徴とする、本発明のlyPls aseの製造方法にも関連する。

微生物の培養工程及び生成蓄積工程における培養条件はその栄養生理的性質を考慮して適宜選択すればよく、通常液体培養で行うが、工業的には深部通気撹拌培養を行うのが有利であり得る。培地の栄養源としては、LB、PDA、MA、OA又はLcA培地等微生物の培養に通常用いられるものが広く使用され得る。培養温度は本発明のlyPls aseが生成される範囲で適宜変更し得るが、天然の微生物の場合、下限が5℃以上、好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上、上限は、好熱性の古細菌やバクテリアの場合の約100℃となるが、通常は55℃以下、好ましくは45℃以下、更に好ましくは40℃以下である。特に真菌の場合は、下限が4℃以上、好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上、上限が50℃以下、好ましくは42℃以下、更に好ましくは37℃以下である。培養時間は、培養条件によって変動し得るが、本発明のlyPls aseの生成が最高量に達する時期を見計らって適当な時期に培養を終了すればよく、通常は下限が17時間以上、好ましくは20時間以上、更に好ましくは24時間以上、上限が80時間以下、好ましくは72時間以下、更に好ましくは48時間以下である。特に真菌の場合は、下限が1日以上、好ましくは2日以上、上限は約10日、好ましくは4日以下、更に好ましくは3日以下である。培地pHは微生物が発育し、本発明のlyPls aseを生成する範囲で適宜変更し得るが、下限が好ましくはpH4以上、更に好ましくはpH5以上、上限が好ましくはpH8.5以下、より好ましくはpH7.5以下である。特に真菌の場合は、低いpHが好ましい。

本発明はまた、上記の本発明の形質転換体を培地で培養し、培養物中に本発明のlyPls aseを生成蓄積させ、該培養物から該lyPls aseを採取することを特徴とする、本発明のlyPls aseの製造方法にも関連する。

形質転換体の培養工程及び生成蓄積工程における培養条件は、上記微生物の場合と同様であり、形質転換体の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、形質転換体が大腸菌の場合、培養温度は、下限が10℃以上、好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上、上限が45℃以下、好ましくは42℃以下、更に好ましくは37℃以下である。形質転換体が放線菌の場合、下限が4℃以上、好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上、上限が50℃以下、好ましくは42℃以下、更に好ましくは37℃以下である。培養時間は、条件によって変動し得るが、本発明のlyPls aseの生成が最高量に達する時期を見計らって適当な時期に培養を終了すればよく、形質転換体が大腸菌の場合、通常は下限が10時間以上、好ましくは12時間以上、更に好ましくは17時間以上、上限が60時間以下、好ましくは48時間以下、更に好ましくは30時間以下である。形質転換体が放線菌の場合、通常は下限が17時間以上、好ましくは20時間以上、更に好ましくは24時間以上、上限が80時間以下、好ましくは72時間以下、更に好ましくは48時間以下である。培地pHは、形質転換体が発育し、本発明のlyPls aseを生成する範囲で適宜変更し得るが、大腸菌や放線菌の場合、下限が好ましくはpH5.8以上、更に好ましくはpH6.2以上、上限が好ましくはpH8.5以下、更に好ましくはpH7.5以下である。

上記の培養物中に生成蓄積された本発明のlyPls aseを採取する方法は特に限定されないが、簡便には殺菌、非殺菌を問わず菌体を含む細胞等のまま本発明のlyPls aseを採取してもよい。培養不純物や細胞破砕物等を軽く除き、不純物が残存したまま、本発明のlyPls aseを採取することも好ましい。目的や用途等によっては実質的に不純物を包含しない本発明のlyPls aseを採取することも好ましい。例えば50%以上、70%以上又は95%以上の純度で本発明のlyPls aseを採取することが例示される。純度はSDS−PAGEやHPLC等の公知の方法を用いて確認することができる。

本発明のlyPls aseを精製する方法を以下に説明する。本発明のlyPls aseが、菌体内に形成される場合には、培養終了後、得られた培養物から、濾過又は遠心分離等の手段により菌体を採集する。次いで、この菌体を機械的方法又はリゾチーム等の酵素的方法で破壊し、必要に応じてEDTA、及び/又は適当な界面活性剤等を添加して該lyPls aseを濃縮し、アセトン、メタノール、エタノール等の有機溶媒による分別沈殿法、硫酸アンモニウム、食塩等による塩析法等を適用して本発明のlyPls aseを沈殿させ回収することができる。この沈殿物について、必要に応じて透析、等電点沈殿を行った後、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーや疎水的クロマトグラフィーにより処理して、精製された本発明のlyPls aseを得ることができる。上記の方法は適宜組み合わせて行うことができる。また、本発明のlyPls aseが培養液中に形成される場合には、培養物から濾過又は遠心分離等の手段により菌体を除去して培養液を得て、前記菌体内に形成される場合と同様の処理を行うことにより、精製された本発明のlyPls aseを得ることができる。

上記の本発明のlyPls aseの製造方法によって得られるlyPls aseは、必要に応じて安定化剤として、各種の塩類、糖類、蛋白質、脂質、界面活性剤等を加え、限外濾過濃縮、凍結乾燥等の方法により、液状又は固形とすることができる。凍結乾燥を行う場合、安定化剤としてサッカロース、マンニトール、食塩、アルブミン、硫安等を0.5〜10%程度添加してもよい。

本発明のlyPls aseは、従来公知のlyPls aseとはアミノ酸配列において区別できる。例えば、配列番号1に記載のアミノ酸配列と相同性を有する公知のアミノ酸配列を、NCBI BLAST(Basic Local Alignment Search Tool(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi))でProtein BLAST検索すると、平成25年6月29日時点で、Pseudomonas putida KT2440株由来のアミノ酸配列が検索できるものの、その定義(Definition)はhypothetical proteinであり、機能未知の蛋白質ででる。同様に配列番号2に記載のアミノ酸配列と相同性を有する公知のアミノ酸配列をNCBI BLASTでProtein BLAST検索すると、平成25年6月29日時点で、Stackebrandtia nassauensis由来のアミノ酸配列が検索できるものの、その定義(Definition)はglycerophosphoryl diester phosphodiesteraseであり、全く異なることが明らかである。さらに従来公知のラット由来のlyPls aseを開示したTHE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL.286,NO.28,の24923頁右3行目には「Tmem86b (発明者註:lyPls ase遺伝子) has only been identified in vertebrates,including humans,mice,rats,cows,dogs,and zebrafish.」と記載されている。すなわち、従来、ヒト、マウス、ラット、ウシ、イヌ、及びゼブラフィッシュを含む脊椎動物のlyPls aseが公知であった。本発明のlyPls aseは、上記のように微生物由来であり、本発明者らにより新規に発見された微生物由来のlyPls aseである。

この様なlyPls aseは、本本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量であり、さらに該酵素が本発明のlyPls ase及び/またはPLである場合、lyPlsEtnを加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する酵素として利用できる。

本発明はまた被験者の自然排泄尿中のMIの定量手段と、同一被験者の血清または血漿中のPlsEtnの定量手段とを含む、該被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類するための認知症検査手段であって、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、MIとPlsEtnとのそれぞれの、予め求められた閾値に対して、被験者のMIとPlsEtnの定量値を比較して用いる、前記の認知症検査手段に関わる。前記手段としては、組成物、検査試薬、酵素キット等が挙げられるがこれに限定されない。

本発明はまた、被験者の自然排泄尿中のMIを定量する為の酵素と、同一被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する為の酵素とを含む、該被験者を認知症患者またはその前段階にある者か否かを分類するための認知症検査試薬キットであって、健常者と、認知症患者またはその前段階にある者とを区別することができる、MIとPlsEtnとのそれぞれの、予め求められた閾値に対して、被験者のMIとPlsEtnの定量値を比較して用いる、前記の検査試薬キットに関わる。

PlsEtnを定量する試薬キットは、PlsEtnを125I−HPLC法で定量する方法、上記工程(1)〜(3−4)を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法、LC−MS/MS法により定量する方法などを実施するための試薬キットであり、本発明のlyPls ase及び/またはPLの作用を利用して定量するための試薬キットが好ましい。

本実施の形態の認知症検査試薬キット(本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量であり、さらに該酵素が本発明のlyPls ase及び/またはPLである認知症検査試薬キット及び本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、さらに上記工程(1)〜(3−4)又は(1)〜(3−3)´を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法を利用した定量である認知症検査試薬キット)は、本明細書に記載の各種酵素、PL、lyPls ase、GPCP、エタノールアミンオキシダーゼ、PLA、PLA、PLB、LYPL、MGLP、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、ASOM等を、上述の認知症検査方法の記載を参照して、適宜組み合わせて1以上含むことができる。それらの好ましい例は上述の本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である方法の場合と同様である。

本実施の形態の認知症検査試薬キットは、測定の感度、正確性、再現性、キットの安定性等の品質を向上する目的等で、塩、糖、防腐剤、キレート剤、タンパク質、界面活性剤等他の成分を含有してもよい。含有される成分の種類及び量は、認知症検査試薬キットの使用目的や測定用途に応じて適宜変更することができ、例えば、測定感度、特異度、再現性、経済的な理由、安全性目的、適用法令等に応じて当業者であれば適宜変更し得る。それらの好ましい例は上述の本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程が、酵素を利用した定量である方法の場合と同様である。

本発明は、被験者の自然排泄尿中のMIを定量する酵素と、同一被験者の血清または血漿中のPlsEtnを定量する酵素とを含む酵素試薬キットであって、被験者を認知症患者またはその前段階にある者として分類することを特徴とする認知症検査試薬キットにも関する。被験者の自然排泄尿中のMIを定量する酵素を含む酵素試薬キットには少なくともミオイノシトールデヒドロゲナーゼを含むことが好ましい。

本発明の実施の形態の認知症検査試薬キットは、自然排泄尿中のMIと血清及び/又は血漿中のPlsEtn、それぞれの定量値に閾値を設定することによって被験者を認知症患者またはその前段階にある者として分類することも好ましく、そのような閾値は上述と同様である。また、本発明の実施の形態の認知症検査試薬キットで定量する被験者の自然排泄尿、血清及び/又は血漿中については上述と同様である。

本発明の実施の形態の認知症検査試薬キットが、本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する工程を利用し、さらに上記工程(1)〜(3−4)又は(1)〜(3−3)´を含む本発明の実施の形態の血清及び/又は血漿PlsEtn量を定量する方法を利用したキットの場合、内容物の各成分を単一の容器のキットとしてもよいが、通常は2以上の容器に分離することが好ましい。一態様において、本実施の形態の認知症検査試薬キットは、被験者の血清または血漿中のPlsEtn以外の物質を消去するための消去用容器1と、PlsEtnを測定するための容器2とに分けられる。

本発明の実施の形態の認知症検査試薬キットは、以下の(1a)〜(3a)を含み、(1a)〜(3a)は被験者の血清または血漿中のPlsEtn以外の物質を消去するための消去用容器1と、PlsEtnを測定するための容器2とに分けることができる。

(1a)PlsEtnをlyPlsEtnに加水分解できる酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物。
(2a)lyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物。
(3a)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンをエタノールアミンとグリセロリン酸に変換する酵素、エタノールアミンをグリコールアルデヒド、アンモニア、及び過酸化水素に変換する酵素とその酵素反応を進めるにことのできる添加物、さらに必要により過酸化水素を定量するための過酸化水素定量手段。
または前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む試薬キット。

そのような試薬キットの好ましい例は、少なくとも上記(1a)及び(3a)を含有する容器1:並びに少なくとも(2a)を含有する容器2を含む、認知症検査試薬キットである。

被験者の血清及び/又は血漿中にホスファチジルエタノールアミンが含まれ、かつ、lyPlsEtnをグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する作用を触媒する酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する作用を有する場合は、容器1にさらにリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する作用を有する酵素を内容物として含有する容器1とすれば良い。

本発明の実施の形態の認知症検査試薬キットは、以下の(1a)〜(3a)´を含み、(1a)〜(3a)´は被験者の血清または血漿中のPlsEtn以外の物質を消去するための消去用容器1と、PlsEtnを測定するための容器2とに分けることができる。

(1a)PlsEtnをlyPlsEtnに加水分解できる酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物。
(2a)´lyPlsEtnをプラズメニルホスファチジン酸とエタノールアミンに分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解でき、かつリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる加水分解酵素およびその酵素反応を進めることのできる添加物。
(3a)´エタノールアミンをグリコールアルデヒド、アンモニア、及び過酸化水素に変換する酵素とその酵素反応を進めるにことのできる添加物、さらに必要により過酸化水素を定量するための過酸化水素定量手段。

そのような試薬キットの好ましい例は、少なくとも上記(1a)及び(3a)´を含有する容器1:並びに少なくとも(2a)´を含有する容器2を含む、認知症検査試薬キットである。

被験者の血清及び/又は血漿中にホスファチジルエタノールアミンが含まれ、かつ、lyPlsEtnをプラズメニルホスファチジン酸とエタノールアミンに加水分解する作用を触媒する酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する作用を有する場合は、容器1にさらにリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、実質的に消去する作用を有する酵素を内容物として含有する容器1とすれば良い。

本実施の形態の認知症検査試薬キットは、少なくとも既知量のPlsEtnを含むキャリブレーション試薬とともに用いてもよい。上記のキャリブレーション試薬は、例えば、少なくとも既知量のPlsEtn及び/又はlyPlsを含む試薬であり、好ましくはpH緩衝剤、アジ化ナトリウムや抗生物質等の防腐剤、糖等の安定化剤を含む。これらの種類や濃度等の条件等は上記認知症検査試薬キットに関して記載した条件を参照して当業者であれば適宜決定することができる。キャリブレーション方法は、一点検量の他、多点検量(折れ線やスプライン)や多点検量の直線回帰などが選択できる。

キャリブレーション試薬中のPlsEtnの既知量は特に限定されず、被験者の血清または血漿中のPlsEtnを正確に測定することができるよう、適宜選択すればよい。

また、本実施の形態の認知症検査試薬キットのキャリブレーション試薬の場合、PlsEtnの既知量の下限値は10μM以上、好ましくは50μM以上、更に好ましくは80μM以上、上限値は500μM以下、好ましくは300μM以下、更に好ましくは250μM以下とすることができる。

本実施の形態の認知症検査試薬キット及び上述のキャリブレーション試薬は、液状品、液状品の凍結物、液状品の凍結乾燥品又は液状品の乾燥品(加熱乾燥及び/又は風乾及び/又は減圧乾燥等による)等の形態で提供することができる。また、例えば、ポイントオブケア装置のキャピラリーへの使用又は酵素センサーとしての使用の場合、各成分の濃度は通常よりも高い濃度が好ましく、例えば、固定化したり、紙や膜に染み込ませたり、ゲル・ゾル状認知症検査試薬キットとしたりして使用することが好ましい。

以下、本発明を参考例及び実施例(実施例等)に基づいて説明するが、本発明の範囲は以下の実施例等に限定して解釈されるものではない。

本実施例等において、被験者は、東京都健康長寿医療センター「もの忘れ」外来来院者および高齢健常者「脳画像診断」ボランティアの中で、同センター倫理委員会の承認下、インフォームドコンセントが得て血液および尿を採取した。

血清プラスマローゲン(コリン型プラスマローゲン:PlsCho、エタノールアミン型プラスマローゲン:PlsEtn)以外の他のバイオマーカー(WBC、RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、PLT、TP、Alb、T−Bil、Cre、UA、β2−ub、AMY、GOT、GPT、LDH、Na、Cl、K、TSH、FreeT3、FreeT4、Glu、HbA1c、CRP、TNF−α、IL−6、TG、TC、HDL−C、LDL−C、PL、VB9、VB12、α−Toc、β−Toc、γ−Toc、Aβ1−40およびAβ1−42)は、株式会社エスアールエル(東京都新宿区西新宿2−1−1)にて測定した。

自然排泄尿MI(尿MI)はミオイノシトール測定試薬(ルシカMI、旭化成ファーマ株式会社、東京都千代田区神田神保町1丁目105)で測定し、1日あるいは3日分の平均値をCreで標準化した値(mg/gCr)で示した。

認知機能検査はCDR、HDS−R、MMSEおよびMoCA−Jを行ない、うつ状態の検査として「老年期うつ病評価尺度(GDS)」による検査を実施した。

本実施例等で用いた試薬類としては、特に断らない限り、和光純薬工業株式会社、シグマアルドリッチ社等市販され容易に入手することができる任意のものを使用し、試薬メーカー、純度、価格等は特に限定されず、必要に応じて当業者であれば適宜選択して用いることができる。ヒトプール血清は、有限会社山久化成(東京都稲城市向陽台4−2−C−1007)から購入したものを使用した。本実施例等に使用した技術は、例えば本明細書に記載の先行技術文献、マニアティスらの方法(Maniatis,T.ら、Molecular Cloning、Cold Spring Harbor Laboratory、1982年及び1989年)、蛋白質・酵素の基礎実験法(改訂第2版、堀尾武一、1994年南光堂参照)及び市販の各種酵素又はキット類に添付された手順に従って、当業者であれば実施することができるものである。

lyPls aseの酵素活性は以下の様にして測定した。

石英製の1.0cmキュベットに反応試薬混合液を1mLとり、37℃で5分間予備加温する。120mM マンニトール及び70mMシュークロースを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH7.5)で適当な濃度に希釈した本発明のlyPls ase 20μLを反応試薬混合液に混和して反応を開始する。546nmにおける吸光度を10分間測定し、求められた吸光変化をAs/min、本発明の蛋白質溶液の代わりに精製水を用いた盲検をAb/minとして、1分間に1μmolのPlsEtnを酸化する酵素量を1Uとし、酵素活性(U/mL)を下記[式]により算出する。
酵素活性(U/mL)
={(As/min−Ab/min)/18}×1.02/0.02×希釈倍数・・[式]

[反応試薬混合液]
50mM BES/NaOH緩衝液 pH7.5
5U/mL GPCP(旭化成ファーマ株式会社(T−33)
5U/mL POD (SIGMA(P8250)
0.02% TODB(同仁化学研究所(OC22))
0.03% 4−AA(012−14471)
8mM lyPlsEtn
(Avanti Polar Lipids,Inc.(850095))

本実施例等で用いた下記の[日立7080形自動分析機パラメーター]は、日立7080形自動分析機の取扱説明書等を参考にして、当業者であれば容易に設定し、該分析機を使用することができる。[日立7080形自動分析機パラメーター1]を例に、以下に簡単に分析機の使用方法を説明する。分析法(比色分析)は、10分反応の2ポイントエンド法で、反応開始後約10分後と5分後の吸光度の差を出力する(セルブランク、水ブランク、試薬量等の補正後に出力される)。測定波長は、主波長が660nmであり、副波長は750nmである。サンプル量(血清及び/又は血漿の量)は12μL、最初の工程のための検査試薬キット1はR1として160μL使用し、次の工程のための検査試薬キット2はR3として40μL使用する。なお、パラメーター中の空欄([ ])は、空欄にしておくという意味である。

[日立7080形自動分析機パラメーター1]
分析法: [2ポイントエンド][10][16][31][0][0]
波長(副波長/主波長):[750]/[660]
検体量: 種別1
標準: [12.0][0.0][0]
試薬分注量
R1: [160][0][ ][99]
R2: [0][0][ ][99]
R3: [40][0][ ][99]
R4: [0][0][ ][99]

[日立7080形自動分析機パラメーター2]
分析法: [2ポイントエンド][10][16][31][0][0]
波長(副波長/主波長):[750]/[660]
検体量: 種別1
標準: [6.0][0.0][0]
試薬分注量
R1: [160][0][ ][99]
R2: [0][0][ ][99]
R3: [40][0][ ][99]
R4: [0][0][ ][99]

以下に示した測定値等は、様々な条件、例えば、試薬の純度、測定の条件、使用機器の精度等、使用機器の置かれた温度や気圧等の雰囲気により変化し得るが、同条件で測定した場合には以下の実施例等で得られたものと同じ傾向を示す結果が得られることは当業者であれば理解できるであろう。
[実施例1:尿MI定量値と血清及び/又は血漿PlsEtn定量値による認知症検査]
本実施例では、血清及び/又は血漿PlsEtn量は特許文献1に記載された放射性ヨウ素−高速液体クロマトグラフィー法(125I−HPLC法)で測定した。本実施例では、空腹時二番尿中のMIを測定した。

1.血清PlsEtn量
全測定データ(表1−1、1−2)を基に、認知機能と相関性を示す項目を検索したところ、年齢、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、遊離トリヨードサイロニン(FreeT3)、アルブミン(Alb)、グルコース(Glu)、インターロイキン6(IL−6)に加えプラスマローゲン関連(PlsEtn、PlsCho/PlsEtn比、全リン脂質中のPlsEtn:PlsEtn/PL)項目で有意な相関を示すことが確認された(表2)。これらの項目についてCDR別に有意差検定を行なったところ、CDR3群(0、0.5、1≦)すべてで有意差がみられた項目は認知機能検査(HDS−R、MMSE、MoCA−J)を除いてはPlsEtnとPlsEtn/PLのみであった(表3)。以上の解析から、血清PlsEtnは認知症を分類するバイオマーカーとして機能することが確認された。

2.尿MI量
尿MI量の世代別・性別測定データを基に、群間での有意差検定を行なったところ、男女とも高齢者群で尿MI量が有意に増加することが確認された。高齢者群の尿MI量は、若年および中年者群と比べて個人差がきわめて大きかった。また、高齢者の中の健常者と認知症患者の間では尿MI量に有意差を認めなかった(図1、表4)。

全測定データ(表1)を基に、尿MI量と相関性を示す項目を検索したところ、「もの忘れ」群のみでプラスマローゲン関連(PlsEtn、PlsCho+PlsEtn、PlsCho/PlsEtn比)項目とヘモグロビンA1c(HbA1c)および腫瘍壊死因子α(TNF−α)で尿MIと有意な相関を示すことが確認された(表5−1、5−2)。

PlsEtn量、尿MI量およびHbA1c量の3者の関係に注目して、尿MI量およびHbA1c量がPlsEtn量に及ぼす影響を検討した。健常者群と「もの忘れ」群ごとに、尿MI量およびHbA1c量を全測定値の平均値を境に4群に分割して、各群でのPlsEtn量を比較した。健常高齢者ではPlsEtn量に4群間で有意差を認めなかった。一方、「もの忘れ」群では、高HbA1c者(>5.5 %)において高尿MI者(>36.6mg/gCr)と低尿MI者間でPlsEtn量に有意差を認めた。また、高尿MI者では健常者と「もの忘れ」群間でPlsEtn量に有意差を認めた(図2)。以上の解析により、尿MI量を考慮する(高MI者を選択する)ことで、血清及び/又は血漿PlsEtn量の定量による認知症患者の検出確度(そして認知機能の評価能)が高まることが推測された。

3.尿MI量+血清及び/又は血漿PlsEtn量
全高齢者(健常+「もの忘れ」群)を対象に、血清PlsEtn(EP)量と尿MI量の全測定値の平均値を境に4群に分割して、各群での認知機能検査結果を比較した。認知機能検査(CDR、HDS−R、MMSE)の結果に対応させた場合、血清PlsEtn(EP)量(低レベル)かつ尿MI量(高レベル)群は他の3群と比較していずれも有意な認知機能低下を示した(図3、表6)。以上の解析から、血清PlsEtn量と尿MI量の測定を組み合わせることで、高精度で認知症患者を分類できることが確認された。

さらに、血清PlsEtn量が58μM未満、尿MI量が25mg/gCr以上をそれぞれの基準とした場合の検出確度を調べたところ、72.2%(83/115)の確度で認知症患者を検出することができた(図4)。

また、全高齢者、尿MI量>25mg/gCr高齢者群および尿MI量>36.6mg/gCr高齢者群の3群について、血清PlsEtnの認知機能正常(CDR値:0)と認知機能非正常(CDR値:0.5以上)を分別する精度について、Receiver Operating Characteristic(ROC)解析によるROC曲線下の面積(Area under the curve:AUC)を求めることによって調べた。その結果、尿MI量が高レベルの高齢者を対象にするほど血清PlsEtnの分別能が高くなることが示された。すなわち、尿MI量>36.6mg/gCrの高齢者を対象とした場合の血清PlsEtn量の分別能(AUC)は0.838と、対面式認知機能検査(HDS−R、MMSE、MoCA−J)のAUC(0.876〜0.894)に匹敵した(図5)。

さらに、血清PlsEtn量の認知機能評価能と対面式認知機能検査法との相関性を、対象者を全高齢者、尿MI量>25mg/gCr高齢者群および尿MI量>36.6mg/gCr高齢者群の3群について検討したところ、尿MI量が高レベルの高齢者を対象にするほど血清PlsEtn量と認知機能検査結果との相関性が高くなることが示された(図6、表7)。以上の結果から、血清PlsEtn量の測定と尿MI量の測定を組み合わせることで、高確度で認知症患者を分類できるようになり、さらには血清PlsEtn量を指標とした認知機能評価能が高まることが確認された。

[実施例2:随時尿中と空腹時二番尿中のMI定量値の比較]
本実施例では、随時尿中と空腹時二番尿中のMI定量値を比較し、本発明の実施の形態の認知症検査方法において随時尿が空腹時二番尿に代替できることを確認した。

50人の被験者から、連日あるいは適当な隔日(1ヶ月以内)の3日分の随時尿を採尿してMIを定量し平均値を随時尿中のMI定量値(y軸)とした。被験者から、連日あるいは適当な隔日(1ヶ月以内)の3日分の空腹時二番尿を採尿してMIを定量し平均値を空腹時二番尿のMI定量値(x軸)とした。それぞれの定量値の相関図を図10に示した。相関式はy =1.05x+6.64、相関係数r=0.845と高い相関があったので、随時尿が空腹時二番尿に代替できることが確認できた。

また、本実施例に用いた50人の被験者の随時尿中MI量と空腹時二番尿中MI量の平均はそれぞれ32.3mg/gCrと40.5mg/gCrであり、空腹時二番尿中MI量+7.8=随時尿中MI量の関係になる場合があることが分かった。

[実施例3:酵素を利用した血清、血漿等中のPlsEtnの定量]
[組成物1−1a]
20mM BES/NaOH緩衝液 pH7.5
0.05mM ALPS(同仁化学研究所(OC04))
2mM CaCl
70mM Sucrose
120mM Mannitol
5U/mL GPCP(旭化成ファーマ株式会社(T−33))
40U/mL 特開2005−52034号公報のTOD
5U/mL 国際公開番号:WO2012/105565 A1のPL
10U/mL POD (SIGMA(P8250))
5U/mL ASOM(旭化成ファーマ株式会社(T−53))

[組成物2−1a]
20mM BES/NaOH緩衝液 pH7.5
1mM NaSO
0.12mM DA−67(和光純薬工業株式会社(046−22341))
70mM Sucrose
120mM Mannitol
5U/mL Pseudomonas putida由来lyPls ase
2% β−cyclodextrin
0.1% DDM(同仁化学研究所(D382))

上記の[組成物1−1a]と[組成物2−1a]を調製し、それぞれR1、R2として、[日立7080形自動分析機パラメーター1]で日立7080形自動分析機を用いて、0、25、50、・・・、125、150μMの各濃度になるように、PlsEtn(Avanti Polar Lipids,Inc.Alabama、USA、852804C)をプール血清と0.9%食塩水に添加した検体を測定した。

結果を図11に示した。図中白丸はPlsEtnをプール血清に添加した検体の定量値の検量線であり、y=2.10x+164、相関係数r=0.997で酵素を利用した血清、血漿中のPlsEtnの定量ができた。黒丸はPlsEtnを0.9%食塩水に添加した検体の定量値の検量線であり、y=2.28x−54、相関係数r=0.998で試料のPlsEtnの定量ができた。血清中PlsEtnと0.9%食塩水中PlsEtnの定量値の検量線の傾きが同じでかつ相関係数が1に近かった。

なお、血清中PlsEtnの検量線の定量値の、切片は元々血清に含まれていたPlsEtnの影響であり、0.9%食塩水中PlsEtnの定量値の検量線の切片は試薬ブランクの影響である。また、Pseudomonas putida由来lyPls aseの製造方法は後述する。

[組成物1−1b]
50mM BES−NaOH pH7.5
10U/mL Peroxidase
50U/mL Ethanolamine oxidase
5U/mL GPCP
1U/mL 国際公開番号:WO2012/105565 A1のPL

[組成物1−1b]
50mM BES−NaOH pH7.5
4.2U/mL ラット由来のlyPls ase
12μM DA67

ここで、ラット由来のlyPls aseはThe journal of biological chemistry、2011年、286巻、24916〜24930頁に記載の方法でラット由来のlyPls aseを大腸菌組換体として製造した。

10% DDMにPlsEtnを0〜200μMになるように添加して検体とした。検量線は相関式y=2.27x−53で表され、相関係数r=0.998であった。なお、切片が−53となった理由は、上記と同様である。

本実施例により酵素を利用した血清、血漿等中のPlsEtnが正確に定量できることが示された。

[実施例4:125I−HPLC法と酵素を利用した血清または血漿中のPlsEtnの定量値の比較1]
47の血清検体を、次の2種類の方法で測定した:
(i)125I−HPLC法、
(ii)Pseudomonas putida由来lyPls aseを使用した酵素法([組成物1−1a]と[組成物2−1a])。

それぞれの検査試薬キットをR1、R2として、[日立7080形自動分析機パラメーター2]で日立7080形自動分析機を使用して測定した。

それぞれの定量値の相関図を図12に示した。相関式はy =0.55x+26.9、相関係数r=0.880と高い相関があり、Pseudomonas puti1da由来lyPls aseを使用した酵素法で検体中のPlsEtnが測定できた。

[実施例5:125I−HPLC法と酵素を利用した血清または血漿中のPlsEtnの定量値の比較2]
47の血清検体を、次の2種類の方法で測定した:
(i)125I−HPLC法、
(iii)Thermocrispum sp.を使用した酵素法([組成物1−2c]と[組成物2−2c])。

それぞれの検査試薬キットをR1、R2として、[日立7080形自動分析機パラメーター2]で日立7080形自動分析機を使用して測定した。

[組成物1−2c]
20mM BES/NaOH緩衝液 pH7.5
0.05mM ALPS(同仁化学研究所(OC04))
2mM CaCl
70mM Sucrose
120mM Mannitol
5U/mL GPCP(旭化成ファーマ株式会社(T−33))
40U/mL 特開2005−52034号公報のTOD
5U/mL 国際公開番号:WO2012/105565 A1のPL
10U/mL POD (SIGMA(P8250))
5U/mL ASOM(旭化成ファーマ株式会社(T−53))
5U/mL LYPL(旭化成ファーマ株式会社(T−59))

[組成物2−2c]
20mM BES/NaOH緩衝液 pH7.5
1mM NaSO
0.12mM DA−67(和光純薬工業株式会社(046−22341))
70mM Sucrose
120mM Mannitol
5U/mL Thermocrispum sp.由来lyPls ase
2% β−cyclodextrin

それぞれの定量値の相関図を図13に示した。相関式はy =0.78x+16.8、相関係数r=0.858と高い相関があり、Thermocrispum sp.由来lyPls aseを使用した酵素法で検体中のPlsEtnが測定できた。

[実施例6:125I−HPLC法と酵素を利用した血清または血漿中のPlsEtnの定量値の比較3]
47の血清検体を、次の2種類の方法で測定した:
(i)125I−HPLC法、
(iv)PLDを使用した酵素法([組成物1−3]と[組成物キ2−3])。

それぞれの検査試薬キットをR1、R2として、[日立7080形自動分析機パラメーター2]で日立7080形自動分析機を使用して測定した。

[組成物1−3]
20mM Tris/HCl緩衝液 pH8.5
0.05mM ALPS(同仁化学研究所(OC04))
2mM CaCl
2mM MgCl
2U/mL GPCP(旭化成ファーマ株式会社(T−33))
40U/mL TOD(旭化成ファーマ株式会社(T−25))
5U/mL PLA(旭化成ファーマ株式会社(T−31))
30U/mL LYPL(旭化成ファーマ株式会社(T−59))
10U/mL POD (SIGMA(P8250))
5U/mL ASOM(旭化成ファーマ株式会社(T−53))
0.1% TX−100

[組成物2−3]
20mM HEPES/NaOH緩衝液 pH7.5
10mM CaCl
0.12mM DA−67(和光純薬工業株式会社(046−22341))
10U/mL PLD(旭化成ファーマ株式会社(T−39))
2% β−cyclodextrin
1% TX−100

それぞれの定量値の相関図を図14に示した。相関式はy=0.74x+19.8、相関係数r=0.825と高い相関があり、PLDを使用した酵素法で検体中のPlsEtnが測定できた。
[実施例7:125I−HPLC法と酵素を利用した血清または血漿中のPlsEtnの定量値の比較4]

47の血清検体を、次の4種類の方法で測定した:
(i)125I−HPLC法、
(ii)Pseudomonas putida由来lyPls aseを使用した酵素法([組成物1−1a]と[組成物2−1a])、
(iii)Thermocrispum sp.を使用した酵素法([組成物1−2c]と[組成物2−2c])、
(iv)PLDを使用した酵素法([組成物1−3]と[組成物キ2−3])。

それぞれの検査試薬キットをR1、R2として、[日立7080形自動分析機パラメーター2]で日立7080形自動分析機を使用して測定した。

各方法による測定値の平均値を表8に示した。

125I−HPLC法によるPlsEtn定量値に比べて、(ii)Pseudomonas putida由来lyPls aseを使用した酵素法は約2μM低くなり、(iii)Thermocrispum sp.を使用した酵素法と(iv)PLDを使用した酵素法は約3μM平均値が高くなる場合があることが分かった。

[実施例8:Pseudomonas putida由来lyPls ase組換体酵素の製造方法]
Pseudomonas putida(KT2440)の染色体DNAを、フェノール・クロロホルム法にて抽出した。染色体DNAをテンプレートにし、配列番号8に記載の塩基配列をセンスプライマー、配列番号9に記載の塩基配列をアンチセンスプライマーとして、KOD FX(東洋紡績株式会社、Code No.KFX−101)を用いてPCRし、PCR産物1を得た。得られたPCR産物1をZero Blunt PCR Cloning Kit(Invitrogen、製品番号K2700−20)を用いてpCR−Bluntにクローニングして、本発明の蛋白質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む組換えベクターPP_lyPla ase/pCR−Bluntを得た。pET−21a(+)ベクター(Novagen、Cat.No 69740−3)をNdeIとEcoR Iで切断して約5.4kbpのDNAを精製した。PP_lyPla ase/pCR−Bluntを制限酵素NdeIとEcoR Iで切断し、約0.7kbpのDNAを精製した。得られたそれぞれの精製DNAを、DNA Ligation Kit Ver.2.1(タカラバイオ株式会社、製品コード6022)でライゲーションして本発明の蛋白質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む組換えベクターPP_lyPla ase/pET−21a(+)を得た。PP_lyPla ase/pET−21a(+)を、One Shot BL21(DE3)Chemically Competent E.coli(Invitrogen、製品番号C6000−03)に形質転換して本発明の蛋白質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む組換えベクターを有する形質転換体PP_lyPla ase/pET−21a(+)/BL21(DE3)を得た。PP_lyPla ase/pET−21a(+)/BL21(DE3)を、50μg/mlのアンピシリンを含む、1.6L(2Lジャー)のOvernight Express Instant TB Medium(メルク、注文番号71757−5)に植菌した。34℃、pH6.8で30時間培養して培養液を遠心分離して集菌し、70mM Sucrose、120mM Mannitol、及び1.2% DDMを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH7.5)で4℃1時間懸濁した。懸濁液を遠心分離し、上清の粗Pseudomonas putida由来lyPls aseを約170Uを得た。本実施例で得たPseudomonas putida由来lyPls aseは、適宜濃縮して実施例3、4、7、12で使用した。

[実施例9:Thermocrispum sp.由来lyPls aseの製造方法]
Thermocrispum sp.(NITE BP−01628として独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センターに寄託)を2.4LのIPS2培地(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、カタログ番号277010)へ常法に従い植菌し、45℃、180rpmで84h振とう培養した。培養上清のlyPls ase活性は約0.058U/mL(総量104U)であった。遠心分離にて除菌して得た培養上清を0.45μmのフィルターで濾過し、85%飽和量硫安でタンパク質を濃縮した。20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)に対して透析脱塩を行った濃縮液はTOYOPEARL GigaCup Q‐650M(TOSOH BIOSCIENCE)にて次の条件で部分精製した:1.0M NaClを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)と20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)を用いた20CV(column volume)のリニアグラジェントによるカラムクロマトグラフィー。活性画分に1.5Mとなるように硫酸アンモニウムを添加し、TOYOPEARL PPG‐600M(TOSOH BIOSCIENCE)にて次の条件で部分精製した:1.5M (NHSOを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)と20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)を用いた20CV(column volume)のリニアグラジェントによるカラムクロマトグラフィー。活性画分はResource Q(GEヘルスケアバイオサイエンス)にて次の条件で部分精製した:0.5M NaClを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)と20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)を用いた40CV(column volume)のリニアグラジェントによるカラムクロマトグラフィー。活性画分に0.15Mとなるように塩化ナトリウムを添加し、Superdex 200(GEヘルスケアバイオサイエンス)でさらに部分精製した:20 mM Tris/HCl緩衝液(pH 8.0)+0.15 M NaCl。活性画分は1.65 M となるように硫酸アンモニウムを添加し、Resource Iso(GEヘルスケアバイオサイエンス)にて次の条件でさらに部分精製した:1.65M (NHSOを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)と20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)を用いた40CV(column volume)のリニアグラジェントによるカラムクロマトグラフィー。活性画分はMono Q(GEヘルスケアバイオサイエンス)にて次の条件でさらに部分精製した:0.4M NaClを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)と20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)を用いた40CVのリニアグラジェントによるカラムクロマトグラフィー。活性画分は培養上清から約285倍精製した部分精製lyPls aseを1.55U(比活性50.6U mg-)得た。

[実施例10:Thermocrispum sp.由来lyPls ase組換体酵素の製造方法1(Streptomyces lividans組み換え体)]
Thermocrispum sp.の染色体DNAを、フェノール・クロロホルム法にて抽出した。配列番号10に記載の塩基配列をセンスプライマー、配列番号11に記載の塩基配列をアンチセンスプライマーとして、KOD FXを用いてPCRし、約900bpのPCR産物2を得た。PCR産物2をNheIとBglIIで消化し、発現ベクターである放線菌プラスミドのNheI−BglII部位に挿入して、組換えプラスミドlyPla ase/Exを得た。lyPla ase/Exを「PRACTICAL STREPTOMYCES GENETICS(Kieserら、John Innes Foundation、2000年)」に記載の方法に従い、プロトプラスト化された放線菌Streptomyces lividans)1326を形質転換し、組換え放線菌lyPla ase/Ex/S. lividansを得た。lyPla ase/Ex/S. lividansを、5μg/mLのチオストレプトン、1% グルコース及び1% トリプトンを含む0.8Lトリプチックソイ培地(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)で28℃、180回転で48時間培養した。培養後、遠心分離にて除菌して得た培養上清に、85%飽和量となるように硫酸アンモニウムを添加し、生じた沈殿を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)により回収した。この沈殿を可溶化し、20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)で透析し、粗酵素液を得た。粗酵素液は透析で20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)にbuffer交換し、TOYOPEARL GigaCap Q−650M(TOSOH BIOSCIENCE)にて次の条件で部分精製した:1M NaClを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)と20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)を用いた15CV(column volume)のリニアグラジェントによるカラムクロマトグラフィー。活性画分に1.5Mとなるように硫酸アンモニウムを添加し、TOYOPEARL PPG−600M(TOSOH BIOSCIENCE)にて次の条件で部分精製した:1.5M 硫酸アンモニウムを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)と20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0)を用いた10CV(column volume)のリニアグラジェントによるカラムクロマトグラフィー。活性画分は透析で20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)にbuffer交換し、Mono Q(GEヘルスケアバイオサイエンス)にて次の条件で精製した:0.5M NaClを含む20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)と20mM Tris/HCl緩衝液(pH9.0)を用いた40CV(column volume)のリニアグラジェントによるカラムクロマトグラフィー。活性画分は透析で25mM Bis‐Tris/NaOH緩衝液(pH6.3)にbuffer交換し、Mono P(GEヘルスケアバイオサイエンス)にて次の条件で精製した:開始buffer25mM Bis‐Tris/NaOH緩衝液(pH6.3)、溶出Buffer ポリバッファー74(10倍希釈、pH4.0)。本実施例による精製結果を表9に、精製酵素のSDS−PAGE(図中矢印)を図15に示した。本実施例で得たThermocrispum sp.由来lyPls aseは、適宜濃縮して実施例5、7、12で使用した。
[実施例11:Thermocrispum sp.由来lyPls ase組換体酵素の製造方法2(大腸菌組換え体)]
Thermocrispum sp.の染色体DNAを、フェノール・クロロホルム法にて抽出した。配列番号12に記載の塩基配列をセンスプライマー、配列番号13に記載の塩基配列をアンチセンスプライマーとして、KOD FXを用いてPCRし、約900bpのPCR産物3を得た。PCR産物3をNdeIとEcoRIで消化し、発現ベクターであるpET−21a(+)ベクターのNdeI−EcoRI部位に挿入して、T_lyPla ase/pET−21a(+)を得た。T_lyPla ase/pET−21a(+)を、One Shot BL21(DE3) Chemically Competent E.coliに形質転換して本発明の蛋白質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む組換えベクターを有する形質転換体T_lyPla ase/pET−21a(+)/BL21(DE3)を得た。T_lyPla ase/pET−21a(+)/BL21(DE3)を、50μg/mlのアンピシリンを含む、50mL(500mL三角フラスコ)のOvernight Express Instant TB Mediumに植菌した。37℃、pH6.8で24時間振とう培養して培養液を遠心分離して集菌し、20mM Tris/HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁し超音波破砕して、遠心分離し、得られた上清を粗蛋白質液とした。粗蛋白質液中のThermocrispum sp.由来lyPls ase組換体酵素は20Uで、粗蛋白質液のSDS−PAGEを図16に示した。lyPls aseは矢印で示した。

[実施例12:本発明のlyPls aseの基質特異性]
表10に、各種基質に対する本発明のlyPls aseの作用を、上記の活性測定法に準じて測定した結果を示す。

結果は、lyPlsEtnを基質とした場合の測定値を100として、相対活性で示した。
表2から、本発明の蛋白質は、L−α−lysophosphatidylethanolamine plasmalogen(lyPlsEtn)に対して高い活性を有することが明らかになった。
血清または血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)量をバイオマーカーとする、大規模スクリーニングに提起した認知症検査に利用できる。

Claims (25)

  1. 被験者を認知症患者又はその前段階にある者か否かを分類するための認知症検査方法であって、
    被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)を定量する工程と、
    同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程であって、酵素を利用する反応により、過酸化水素が生成され、該PlsEtnの存在量に対応して発生する過酸化水素の量を検出して、血清又は血漿中のPlsEtn量を算出する工程と
    健常者と、認知症患者又はその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値と、血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値のそれぞれに対して、前記被験者のミオイノシトール(MI)の定量値とエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値を比較する工程を含む認知症検査方法。
  2. 同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、以下の(1)〜(3−4)(枝番号を付したものも全て含む。以下同様)の工程を含む請求項に記載の方法。
    (1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
    (2)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する工程:及び
    (3−1)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにせしめる酵素にて、工程(2)で得られたグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにする工程:
    (3−2)エタノールアミンを酸化する酵素により、エタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
    (3−3)過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
    (3−4)前記被験者の血清又は血漿中のPlsEtn量を算出する工程:
    又は前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする方法。
    (4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清又は血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
    (5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、消去する工程:
  3. 前記工程(2)の加水分解酵素が、下記(a)又は(b)の酵素のいずれかである請求項に記載の方法。
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列:
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
    からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する:
  4. 前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素が、下記(c)又は(d)のいずれかの酵素である請求項に記載の方法。
    (c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
    (d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する:
  5. 前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする請求項に記載の方法。
    (4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清又は血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
    (5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、消去する工程:
  6. 前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、又は前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)〜(3−4)を実施する請求項に記載の方法。
  7. 同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、以下の(1)〜(5)(枝番を付したもの、´を付したものも全て含む。以下同様)の工程を含む請求項に記載の方法。
    (1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
    (2)´エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解でき、かつリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解する工程:
    (3−1)´エタノールアミンを酸化する酵素により、工程(2)´で得られたエタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
    (3−2)´過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
    (3−3)´前記被験者の血清又は血漿中のPlsEtn量を算出する工程:
  8. 同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−3)´の工程に先立つか、少なくとも前記(2)´工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする請求項に記載の方法。
    (4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清又は血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
    (5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、消去する工程:
  9. 前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、又は前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)〜(3−3)´を実施する請求項に記載の方法。
  10. 被験者を認知症患者又はその前段階にある者か否かを分類するための認知症検査方法であって、
    被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)を定量する工程と、
    同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程と、
    健常者と、認知症患者又はその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値と、血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値のそれぞれに対して、前記被験者のミオイノシトール(MI)の定量値とエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値を比較する工程を含み、
    自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値が、21.6〜63.3mg/gCrの範囲から選択される値であり、血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の予め求められた閾値が、50〜64μMの範囲から選択される値であって、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値が、前記MI閾値を越え、かつ被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値が、前記PlsEtn閾値を下回った場合に、認知症患者又はその前段階にある者と区分する、認知症検査方法。
  11. 前記MI閾値が36.6mg/gCrである請求項10に記載の方法。
  12. 前記エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)閾値が、58μMである請求項10に記載の方法。
  13. 健常者と、認知症患者又はその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値と、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値とを比較する工程と組み合わせることにより、被験者を認知症患者又はその前段階にある者か否かを分類する認知症検査に用いるものであって、
    同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程を含み、該工程中に、健常者と、認知症患者又はその前段階にある者とを区別するがことできる、血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の、予め求められた閾値に対して、被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値を比較する工程を含み、
    同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程が、酵素を利用する反応により、過酸化水素が生成され、該エタノールアミン型プラスマローゲンの存在量に対応して発生する過酸化水素の量を検出して、血清又は血漿中のPlsEtn量を算出する工程を含む、エタノールアミン型プラスマローゲンの定量方法。
  14. 同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、以下の(1)〜(3−4)の工程を含む請求項13に記載の方法。
    (1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
    (2)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解する工程:及び
    (3−1)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにせしめる酵素にて、工程(2)で得られたグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンを加水分解してエタノールアミンにする工程:
    (3−2)エタノールアミンを酸化する酵素により、エタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
    (3−3)過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
    (3−4)前記被験者の血清又は血漿中のPlsEtn量を算出する工程:
    又は前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする方法。
    (4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清又は血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
    (5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、消去する工程:
  15. 前記工程(2)の加水分解酵素が、下記(a)又は(b)の酵素のいずれかである請求項14に記載の方法。
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列:
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
    からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する:
  16. 前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素が、下記(c)又は(d)のいずれかの酵素である請求項14に記載の方法。
    (c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
    (d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する:
  17. 前記(2)の加水分解酵素が、リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−4)の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする請求項14に記載の方法。
    (4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清又は血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
    (5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、消去する工程:
  18. 前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、又は前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)、(3−4)を実施する請求項17に記載の方法。
  19. 同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、以下の(1)〜(3−3)´の工程を含む請求項13に記載の方法。
    (1)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素を用いて、被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する工程:
    (2)´エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解でき、かつリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる加水分解酵素を用いて、前記(1)にて生成されたエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をエタノールアミンとプラズメニルホスファチジン酸に加水分解する工程:及び
    (3−1)´エタノールアミンを酸化する酵素により、工程(2)´で得られたエタノールアミンから過酸化水素を発生せしめる工程:
    (3−2)´過酸化水素を過酸化水素定量手段により定量する工程:及び
    (3−3)´前記被験者の血清又は血漿中のPlsEtn量を算出する工程:
  20. 同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する方法が、前記(1)〜(3−3)´の工程に先立つか、少なくとも前記(2)工程の前までに、下記(4)及び(5)を含む工程を行うことを特徴とする請求項19に記載の方法。
    (4)ホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素を用いて、血清又は血漿中に混在するホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する工程:及び
    (5)リゾホスフォリパーゼ及び/又はモノグリセリドリパーゼを用いて、前記(4)工程により生成されるリゾホスファチジルエタノールアミンを分解し、消去する工程:
  21. 前記工程(4)のホスファチジルエタノールアミンをリゾホスファチジルエタノールアミンと脂肪酸に分解する酵素としてホスフォリパーゼ(PL)を使用し、該PLは、前記工程(1)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素としての作用を兼ねさせて新たな該PLを添加することなく前記工程(1)の工程を進行せしめ、前記工程(5)を実施と同時、又は前記工程(5)の実施後に、前記工程(1)が完了し、以後前記工程(2)〜(3−3)´を実施する請求項20に記載の方法。
  22. 健常者と、認知症患者又はその前段階にある者とを区別することができる、自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の予め求められた閾値と、被験者の自然排泄尿中のミオイノシトール(MI)の定量値とを比較する工程と組み合わせることにより、被験者を認知症患者又はその前段階にある者か否かを分類する認知症検査に用いる手段であって、
    同一被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)を定量する工程を含み、該工程中に、健常者と、認知症患者又はその前段階にある者とを区別するがことできる、血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の、予め求められた閾値に対して、被験者の血清又は血漿中のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)の定量値を比較して用いる、エタノールアミン型プラスマローゲンの定量手段を実施するための試薬キットであって、
    以下の(1a)〜(3a)を含む、試薬キット。
    (1a)エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素及びその酵素反応を進めることのできる添加物であって、pH緩衝剤、界面活性剤、塩、糖、防腐剤、キレート剤及び触媒作用をもたないタンパク質から選択される添加物。
    (2a)エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)をグリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドに加水分解でき、かつエーテル型リゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できない加水分解酵素及びその酵素反応を進めることのできる添加物であって、pH緩衝剤、界面活性剤、塩、糖、防腐剤、キレート剤及び触媒作用をもたないタンパク質から選択される添加物。
    (3a)グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンをエタノールアミンとグリセロリン酸に変換する酵素、エタノールアミンをグリコールアルデヒド、アンモニア、過酸化水素に変換する酵素とその酵素反応を進めるにことのできる添加物であって、pH緩衝剤、界面活性剤、塩、糖、防腐剤、キレート剤及び触媒作用をもたないタンパク質から選択される添加物、及び過酸化水素を定量するための過酸化水素定量手段。
    又は前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む試薬キット。
  23. 前記(2a)の加水分解酵素がリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解できる酵素である場合、前記(1a)に、さらにリゾホスファチジルエタノールアミンを加水分解する酵素を含む請求項22に記載の試薬キット。
  24. 前記(2a)の加水分解酵素が、下記(a)又は(b)の酵素のいずれかである請求項22に記載の試薬キット。
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列:
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列:
    からなる酵素であって、エタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)を加水分解し、グリセロ−3−ホスフォエタノールアミンとアルデヒドとを得る反応を触媒する:
  25. 前記(1a)のエタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解できる酵素、が下記(c)又は(d)のいずれかの酵素である請求項22に記載の試薬キット。
    (c)配列番号5に記載のアミノ酸配列:
    (d)配列番号5に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であり、エタノールアミン型プラスマローゲン(PlsEtn)をエタノールアミン型リゾプラスマローゲン(lyPlsEtn)に加水分解する作用を触媒する:
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