JP6308393B2 - プラズマローゲンの定量方法 - Google Patents

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Description

この発明は、サンプル、特に血清又は血漿サンプル中のプラズマローゲンの量を測定する方法、すなわち、プラズマローゲンの定量方法に関するものである。
より詳しくは、蛍光光度計又は分光光度計を用いて、サンプル中のプラズマローゲンの量を高い精度で簡便に測定する方法、およびこの方法を使用する検査方法、疾患検出用バイオマーカーと、この疾患検出用バイオマーカーの使用方法ならびに検出用キットに関する。
ヒトなどの哺乳動物の生体内に存在するグリセロリン脂質には、
1)グリセロール骨格のsn−1位にエステル結合を有するリン脂質(ジアシルリン脂質)
と、
2)sn−1位にエーテル結合を有するリン脂質(エーテルリン脂質)
が存在する。
さらに、前記エーテルリン脂質には2つの型が存在し、
3)sn−1位にエーテル結合を有するもの(アルキルアシルリン脂質)
と、
4)ビニルエーテル結合を有するもの(アルケニルアシルリン脂質)
が存在する。
前記ビニルエーテル結合を有するもの(アルケニルアシルリン脂質)は、プラズマローゲンとも呼ばれている。
以下に、プラズマローゲンの一般式を示す。
前記式中、RおよびRは、脂肪族炭化水素基を示す。
は、通常、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基で、例えば、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコサニル基などが挙げられる。
は、通常、脂肪酸残基由来の脂肪族炭化水素基で、例えば、オクタデカジエノイル基、オクタデカトリエノイル基、イコサレトラエノイル基、イコサペンタエノイル基、ドコサテトラエノイル基、ドコサペンタエノイル基、ドコサヘキサエノイル基などが挙げられる。
なお、前記式中、Xは極性基を示す。
Xは、好ましくは、エタノールアミン、コリン、セリン、イノシトール又はグリセロールである。〕
ヒトなどの哺乳動物においては、エーテルリン脂質中、アルキルアシルリン脂質は僅かしか存在せず、その殆どは、アルケニルアシルリン脂質、すなわち、プラズマローゲンである。
しかも、このような哺乳動物においては、プラズマローゲンは、エタノールアミンを有するものと、コリンを有するものが殆どで、セリンやイノシトールを有するものは僅かである。
さらに、生体では、前記エーテルリン脂質は、他のリン脂質とともに生体膜(細胞膜)の構成成分である。
プラズマローゲンなどのエーテルリン脂質の量は、例えば、特許文献1に示すように、赤血球サンプルを用いて測定することが多い。
最近、認知症、アルツハイマー病などの重篤な疾患においては、血清中のプラズマローゲンの量が低いことを示唆する報告がなされた(例えば、非特許文献1参照)。
さらに、糖尿病や動脈硬化などの代謝症候群および他の慢性疾患において、血清中のプラズマローゲンの量が低下していることも示唆されている。
国際公開第2012/090625号(請求の範囲)
Goodenowe,D.B.ら,J.Lipid Res.,4 8巻,2007年,2485〜2498頁
ヒトの血清や血漿中のリン脂質は、リンの量から計算して、主としてコリンリン脂質が約68%、スフィンゴミエリンが約20%、およびリゾ型コリンリン脂質が約8%であって、エタノールアミンリン脂質は約2〜3%に過ぎない。
さらに、血清および血漿は細胞膜ではないため、赤血球や白血球と比べて、これらに含まれるプラズマローゲンは極めて少ない。
したがって、血清や血漿中のプラズマローゲン量を、測定することは困難であった。
最近では、血清や血漿中のエーテルリン脂質量の測定方法として、
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と、マススペクトロメトリーを組み合わせた測定法(LC/MC)が使用されている。
さらに、放射性ヨウ素を、ビニルエーテル結合部位に反応させてからHPLCで各エーテルリン脂質を分画し、ガンマーカウンター(γ−counter)で放射性活性を測定する方法がある。
しかしながら、前記マススペクトロメトリー機器およびガンマーカウンター機器は高価であるので、これらの機器を使用する測定方法は、一般の臨床検査などには向かないものである。
この発明はかかる現状に鑑み、サンプル、特に血清や血漿サンプル中のプラズマローゲン量を、簡便に、しかも安価に測定する方法を提供することを目的として鋭意検討を行なった。
その結果、特定の処理をしたサンプル、特に血清や血漿サンプルを用いた場合に、蛍光光度計又は分光光度計によって、サンプル中のプラズマローゲン量を高い精度で簡便に、しかも安価に測定することができることを見出して、この発明を完成させたものである。
すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、
サンプル中に含まれるプラズマローゲンの定量方法であって、
イ.前記サンプルを、ホスホリパーゼA1(PLA1)を用いて加水分解処理した後、脂質抽出処理して脂質サンプルを得る工程;
ロ.前記工程イ.で得られた脂質サンプルを、グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼD又はホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDによる処理をする工程;
並びに、
ハ.前記工程ロ.で得られた処理液を、チラミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼと、ペルオキシダーゼ及び蛍光試薬による処理をした後、蛍光光度計による測定に付すか、
又は
アミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼと、ペルオキシダーゼと、発色剤による処理をした後、分光光度計による測定に付す工程
を含むこと
を特徴とするプラズマローゲンの定量方法である。
この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のプラズマローゲンの定量方法において、
前記サンプルは、
血清又は血漿サンプルであること
を特徴とするものである。
この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のプラズマローゲンの定量方法において、
前記プラズマローゲンは、
エタノールアミンプラズマローゲン又はコリンプラズマローゲンであること
を特徴とするものである。
この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法において、
前記加水分解処理は、
ホスホリパーゼA1(PLA1)による処理で、
前記蛍光試薬は、
アンプレックスレッドであって、
前記発色剤は、
4−アミノアンチピリン及びN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−トルイジン(TOOS)であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法において、
前記脂質抽出処理は、
ヘキサン・イソプロパノール(3:2)又はクロロホルム・メタノール(1:2)による処理であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法において、
前記工程イ.の後、かつ前記工程ロ.前に、アルコール類、硫酸ナトリウム、水又はこれらの組み合わせを用いて、不要な水溶性物質を除くこと
を特徴とするものである。
この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法において、
前記加水分解処理した後、前記脂質抽出処理する前に、強い水溶性を有するリゾ型リン脂質を除くこと
を特徴とするものである。
この発明の請求項8に記載の発明は、
プラズマローゲン量の変化と密接に関連する、疾患の発症リスクを判定するための検査方法であって、
ニ.請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法により、被験体由来のサンプル中に含まれるプラズマローゲンの定量をする工程
並びに
ホ.前記工程ニ.で測定したサンプル中のプラズマローゲン量と、健常な被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量とを比較する工程
を含むこと
を特徴とする検査方法である。
この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項に記載の検査方法において、
ヘ.前記工程ホ.における比較の結果、前記工程ニ.で測定した被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量が、健常な被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量よりも少ないか又は多い場合に、プラズマローゲン量の変化と密接に関連する疾患の発症リスクが高いと判定する工程
を含むこと
を特徴とするものである。
この発明の請求項10に記載の発明は、
請求項又はに記載の検査方法において、
前記疾患は、
認知症、うつ病、脳疲労、不眠症、パーキンソン病、メタボリック症候群、糖尿病又は動脈硬化であること
を特徴とするものである。
この発明の請求項11に記載の発明は、
サンプルの加水分解処理に使用するホスホリパーゼA1(PLA1)と、脂質抽出用有機溶媒と、チラミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼ及び蛍光試薬、あるいはアミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼ及び発色剤と、グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼDもしくはホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDを含むこと
を特徴とする、プラズマローゲン量の変化と密接に関連する疾患の発症リスクを検査するための検査用キットである。
この発明のプラズマローゲンの定量方法は、サンプル、特に血清や血漿サンプル中に含まれているプラズマローゲン、特に、エタノールアミンプラズマローゲン又はコリンプラズマローゲンの量を、その量が微量であっても、蛍光光度計又は分光光度計を用いて、高い精度で簡便に、しかも安価に測定することができる。
しかも、この測定に際しては、プレートリーダーや、自動分析装置を用いることで、前記プラズマローゲンの量を、比較的短時間で、同時かつ大量に測定することができる。
さらに、このような定量方法を用いて、認知症、うつ病、脳疲労、不眠症、パーキンソン病、メタボリック症候群、糖尿病又は動脈硬化などのプラズマローゲン量の変化(増減)と密接に関連する疾患の、発症リスクを判定ないし予測するための検査方法を提供することができる。
さらにまた、この発明の前記疾患検出用バイオマーカーによって、前記疾患の検査や判定を簡便、安全かつ低コストに行うことができる。
標準リン脂質としてのホスファチジルエタノールアミン(PE)の標準曲線 (検量線)である。 HPLCチャートで、(a)は、ヒト血漿の総リン脂質、(b)は、ホスホ リパーゼA1処理後のヒト血漿の総リン脂質を示すものである。 ヒト血漿中のエタノールアミンプラズマローゲン(pl−PE)の蛍光分析 計による測定結果である。 標準リン脂質としてのホスファチジルコリン(PC)の標準曲線(検量線) である。 ヒト血漿中のコリンプラズマローゲン(pl−PC)の蛍光分析計による測 定結果である。 ヒト血漿中のエタノールアミンプラズマローゲン(pl−PE)の分光分析 計による測定結果である。 ヒト血漿中のコリンプラズマローゲン(pl−PC)の分光分析計による測 定結果である。 ヒト血漿中のエタノールアミンプラズマローゲン(pl−PE)の蛍光分析 計による測定結果である。 HPLCチャートで、(a)は、ヒト赤血球膜の総リン脂質、(b)は、ホ スホリパーゼA1処理後のヒト赤血球膜の総リン脂質を示すものである。 ヒト赤血球膜中のエタノールアミンプラズマローゲン(pl−PE)の蛍 光分析計による測定結果である。 HPLCチャートで、(a)は、鶏胸肉の総リン脂質、(b)は、ホスホ リパーゼA1処理後の鶏胸肉の総リン脂質を示すものである。 鶏胸肉中のコリンプラズマローゲン(pl−PC)の蛍光分析計による測 定結果である。 脂質抽出処理を行わないこと以外、この発明と同様の方法により、ヒト血 漿中のプラズマローゲンを、蛍光分析計を用いて測定した結果で、(a)は、エタノ ールアミンプラズマローゲン(pl−PE)、(b)は、コリンプラズマローゲンの 測定結果である。
以下、この発明の実施の形態について説明する。
なお、この発明について、好ましい代表的な例を中心に説明するが、この発明はこのような代表例に限定されるものではない。
この発明のプラズマローゲンの定量方法は、サンプル中に含まれるプラズマローゲンを定量するものであって、以下の工程を含むものである。
イ.前記サンプルを加水分解処理した後、脂質抽出処理して脂質サンプルを得る工程;
ロ.前記工程イ.で得られた脂質サンプルを、グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼD又はホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDによる処理をする工程;
ならびに、
ハ.前記工程ロ.で得られた処理液を、チラミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼと、ペルオキシダーゼ及び蛍光試薬による処理をした後、蛍光光度計による測定に付すか、
又は
アミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼと、ペルオキシダーゼ及び発色剤による処理をした後、分光光度計による測定に付す工程。
前記工程イ.は、前記サンプルを、加水分解処理することを含む。
前記加水分解処理によって、サンプル中のジアシル型リン脂質は全て除去されるので、その後に、後述の脂質抽出処理をすれば、蛍光光度計又は分光光度計によって、サンプル中に含まれているプラズマローゲンを、少量であっても、高い精度で簡便に、しかも安価に定量することが可能となる。
この発明において、前記サンプルは、プラズマローゲンを含むサンプル又はプラズマローゲンを含むと予想されるサンプルであればよい。
前記サンプルとしては、好ましくは、被験体由来の生体サンプルが選択される。
前記被験体由来の生体サンプルとしては、被験体由来の組織、細胞、体液(例えば、血液(全血、血漿、血清、血球、赤血球膜などを含む)、髄液、尿、リンパ液、唾液、汗など)及びそれらの抽出物や、標品などを挙げることができる。
これらのサンプルは、被験体から採取したサンプルそのものであってもよく、該サンプルに何らかの処理が施されたものであってもよい。
この発明によれば、サンプル中に微量しか含まれていないプラズマローゲンの量を測定することもできるので、前記サンプルとして血清又は血漿を好ましく選択することができる。
前記サンプルの取得方法や調製方法にとしては、公知の方法を用いることができる。
例えば、全血及び血清又は血漿を採取する場合には、分離剤や抗プラスミン剤などの使用の有無は特に限定されず、EDTA、フッ化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヘパリンナトリウム、モノヨード酢酸などの抗凝固剤や解糖阻止剤の使用の有無も特に限定されない。
具体的には、血清および血漿は、被験体から通常の採血方法(例えば、シリンジ採血又は真空採血)で得られる血液を、公知の方法により処理することによって得ることができる。
例えば、血液サンプルを、遠心(例えば、1000×g,5分間)して、上清を回収することによって得られる。
前記被験体としては、哺乳動物、すなわち、ヒトおよび非ヒト哺乳動物を挙げることができる。
前記非ヒト哺乳動物としては、例えば、ペット、実験動物、家畜等が挙げられる。
具体的には、イヌ、ネコ、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、ラット、ハムスター、ウサギなどが例示できる。
なお、前記被験体としては、哺乳動物以外のプラズマローゲンを含むと予想される生物系素材(例えば、貝など)であってもよい。
さらに、プラズマローゲンを含むと予想されるものであれば、植物組織、海水、天然水、果汁、飲料、廃液などであってもよい。
前記加水分解処理としては、プラズマローゲンのsn−1のアシル結合を、特異的に加水分解する処理、例えば、ホスホリパーゼA1(PLA1)による処理が挙げられ、この発明においては、特にPLA1処理が選択される。
前記PLA1は、サンプル中のプラズマローゲンにおいてsn−1位のアシル結合のみに作用し、エーテル結合には作用しない。
したがって、前記PLA1処理によって、ジアシル型のリン脂質は分解されるが、エーテル型のリン脂質は分解されない。
前記PLA1については、前記効果が得られるものであれば、その由来などは特に制限されない。
前記PLA1として、例えば、Aspergillus orizae由来のPLA1が挙げられる。
かかるPLA1は、例えば、シグマ(Sigma)社、あるいは三菱化学フーズ株式会社などから購入可能である。
シグマ社製のものは液体のPLA1で、三菱化学フーズ(株)社製のものは、PLA1を25%含有した粉末のものである
前記PLA1の使用量については、サンプルの量に応じて適宜選択され得る。
例えば、シグマ社製の液体PLA1を用いて血清ないし血漿を処理する場合には、血清ないし血漿10μLに対して、好ましくは0.01〜0.50μL、より好ましくは0.04〜0.20μLである。
前記PLA1による加水分解反応を適当な溶媒、特にバッファー中で行うことができるが、このような溶媒は、使用するPLA1に応じて適宜選択され得る。
例えば、0.1Mクエン酸緩衝溶液(クエン酸−HClバッファー;pH4.5)を用いることができる。
この場合、前記PLA1を前記溶液に加えて溶解させ、適当な濃度(例えば、三菱化学フーズ(株)社製の粉末のものの場合には、10〜300mg/mL)のPLA1溶液を調製してから、30〜50μLの血清ないし血漿にPLA1溶液を加えればよい。
前記溶媒の使用量については、加水分解反応が進行するものであればよく、特に制限はないが、例えば、血清ないし血漿10μL当たり、好ましくは1〜200μL、より好ましくは5〜200μLである。
前記反応条件については、適宜選択できる。
好ましくは温度30〜70℃、より好ましくは温度45〜55℃、さらに好ましくは温度50℃で撹拌しながら、好ましくは1〜5h(時間)、より好ましくは1〜2h反応させる。
その際のpHは、好ましくはpH3.5〜5.5、より好ましくはpH4〜5である。
なお、前記加水分解反応を、冷却により止めてもよい。
前記サンプルは、前記加水分解処理後、脂質抽出処理される。
この処理によって、サンプル中に遊離しているエタノールアミンやコリンを除くことができる。
したがって、エタノールアミンプラズマローゲンとコリンプラズマローゲンのみを定量することができる。
なお、図13に示すように、この脂質抽出処理をしない場合には、プラズマローゲンの定量をすることが困難となる。
前記脂質抽出法としては、サンプル中に遊離しているエタノールアミンやコリンを除くことができる方法(例えば、クロロホルム・メタノール混合溶媒やヘキサン・イソプロパノール混合溶媒を用いる方法)を、選択することが好ましい。
なお、前記加水分解処理によって生成したリゾ型エタノールアミンリン脂質(LPE)およびリゾ型コリンリン脂質などの、強い水溶性を有するリゾ型リン脂質を予め除いておくことが望ましい。
このような観点から、クロロホルム・メタノール(1:2)混合溶媒を用いるBligh&Dyer法や、ヘキサン・イソプロパノール(3:2)混合溶媒を用いる方法(HIP法)を選択することが、より好ましい。
さらに好ましくは、水溶性の強いリゾ型リン脂質を殆ど全て除くことができる、ヘキサン・イソプロパノール(3:2)混合溶媒を用いる方法を選択する。
なお、前記脂質抽出後に、さらにアルコール類、硫酸ナトリウム、水又はこれらの組み合わせを用いて、前記血清又は血漿の脂質サンプル中に存在している、金属(電解質)、タンパク質、糖類などの水溶性物質を除いてもよい。
前記工程ロ.は、前記工程イ.で得られた脂質サンプルを、グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼD、又はホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDで処理することを含む。
前記サンプル(被験体由来のサンプルなど)を加水分解処理、好ましくはPLA1で処理すると、サンプル中のエーテルリン脂質(プラズマローゲン)とスフィンゴミエリン、リゾリン脂質は残り、これら以外のリン脂質は分解される。
この処理液を脂質抽出処理に付した後、さらにグリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼD(glycerophospholipid specific phospholipase D(PLD))又はホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼD(phosphatidylcholine specific phospholipase D)で処理すると、これらのPLDは処理液中のリゾリン脂質とスフィンゴミエリンには作用しないが、エーテルリン脂質(ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルコリン)には作用するので、エタノールアミン及びコリンが放出される。
そこで、前記工程ロ.で得られた処理液に対して、エタノールアミンプラズマローゲンを定量する場合にはチラミンオキシダーゼを、コリンプラズマローゲンを定量する場合にはコリンオキシダーゼを処理すると、過酸化水素(H)が産生する。
さらに、ペルオキシダーゼで処理すると、産生した過酸化水素と蛍光試薬がペルオキシダーゼによってレゾルフィン(resorufin)に変化するので、蛍光光度計での定量が可能となる。
したがって、プラズマローゲン(エタノールアミンプラズマローゲン又はコリンプラズマローゲン)の定量が可能となる。
なお、前記蛍光試薬としては、例えば、アンプレックスレッド(Amplex Red)を用いることができる。
さらにまた、前記蛍光光度計に代えて、分光光度計を用いてプラズマローゲン(エタノールアミンプラズマローゲン又はコリンプラズマローゲン)の定量をすることができる。
この場合には、前記工程ロ.において生成したエタノールアミンについては、アミンオキシダーゼを用いて、コリンについては、コリンオキシダーゼを用いて処理を行った後、ペルオキシダーゼと発色剤で処理すると発色(4−アミノアンチピリンおよびN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−トルイジン(TOOS)の組み合わせを用いた場合には青紫色)が得られる。
なお、前記発色剤としては、公知の発色剤を選択することができる。
例えば、フェノールもしくはその誘導体又はアニリン誘導体と4−アミノアンチピリンとの組み合わせ、ロイコ色素、ジフェニルアミン誘導体、トリアリルイミダゾール誘導体などが挙げられる。
好ましくは、4−アミノアンチピリンとN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−トルイジン(TOOS)との組み合わせが選択される。
前記蛍光光度計又は分光光度計による測定に際して、プレートリーダーや、自動分析装置を用いることで、微量のプラズマローゲンを、比較的短時間で、同時かつ大量に定量することができる。
前記蛍光光度計又は分光光度計による測定の際の波長については、一定の波長であればよいが、例えば、450〜600nmの範囲が選択される。
これにより得られる一定の波長における発色度が、脂質成分の量を表す。
なお、蛍光光度計を用いた場合は、分光光度計よりも高い感度で、安定した定量が可能となる。
精製されたプラズマローゲンは、入手困難であることが多い。
したがって、精製されたコリンリン脂質およびエタノールアミンリン脂質を用いて、それぞれの検量線を作成して、エタノールアミンプラズマローゲンおよびコリンプラズマローゲンの定量ができる。
前記グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼD、又はホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDによる処理、チラミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼと蛍光試薬による処理、ならびに前記アミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼと発色剤による処理を、適当な界面活性剤の存在下で行うことができる。
前記界面活性剤としては、好ましくは非イオン系界面活性剤、より好ましくはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが選択される。
例えば、トリトンX−100(TritonX−100)を使用することができる。
前記界面活性剤の使用量については、例えば、0.01〜10質量%である。
なお、前記グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼD、又はホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDによる処理、チラミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼと蛍光試薬による処理、ならびに前記アミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼと発色剤による処理を、適当なバッファーで調整して行うことができる。
前記バッファーとしては、例えばトリス−塩酸緩衝液、具体的には100mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.4)などが選択される。
さらに、前記チラミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼと蛍光試薬による処理、あるいは前記アミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼと発色剤による処理を、前記グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼD、又はホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDによる処理の前に行っても、同様の効果が得られる。
この発明においては、前記プラズマローゲンの定量方法を用いて測定した被験体由来のサンプル中のプラズマローゲンの量を、健常な被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量と比較することによって、プラズマローゲン量の変化(増減)と密接に関連する、疾患の発症リスクを判定することができる。
この発明の検査方法は、プラズマローゲン量の変化(増減)と密接に関連する、疾患の発症リスクを判定するための検査方法であって、下記工程を含む。
ニ.請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法により、被験体由来のサンプル中に含まれるプラズマローゲンの定量をする工程
並びに
ホ.前記工程ニ.で測定した被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量と、健常な被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量とを比較する工程。
前記プラズマローゲン量の変化と密接に関連する疾患としては、認知症、うつ病、脳疲労、不眠症、パーキンソン病、メタボリック症候群、糖尿病又は動脈硬化などが挙げられる。
好ましくは、認知症、うつ病、脳疲労、不眠症、パーキンソン病、メタボリック症候群、糖尿病又は動脈硬化である。
前記認知症としては、変性性認知症が挙げられる。
具体的には、パーキンソン病に伴う認知症、前頭側頭型認知症、ピック病、びまん性レビー小体病、アルツハイマー型認知症などが例示できる。
前記工程ニ.は、前記したプラズマローゲンの定量方法によって、被験体由来のサンプル中に含まれるプラズマローゲンの定量をする工程であって、その詳細については前記の通りである。
前記工程ホ.は、前記工程ニ.で測定した被験体由来のサンプルのプラズマローゲン量と、健常な被験体由来のサンプルのプラズマローゲン量とを比較する工程である。
すなわち、この工程では、
(a)被験体から採取したサンプル中に含まれるプラズマローゲン量
と、
(b)健常な被験体から採取したサンプル中に含まれるプラズマローゲン量
とを比較する。
なお、前記「健常な被験体由来のサンプルのプラズマローゲン量」は、通常、対象となる被験体(例えば、哺乳動物)と同一種であって、少なくとも前記疾患を患っていない、好ましくは健康な被験体から採取したサンプル(例えば、血液中の血漿)に含まれるプラズマローゲン量である。
前記比較については、
前記(a)被験体由来のサンプル中に存在するプラズマローゲン量
および
前記(b)健常な被験体由来のサンプル中に存在するプラズマローゲン量
が、ともに絶対量値(例えば、質量値又はモル値など)として得られている場合には、測定に用いるサンプルの量を、揃えることによって行うことができる。
このように、一定のサンプル中に存在する被験体由来のサンプルのプラズマローゲン量と、これと同量のサンプル中に存在する、健常な被験体由来のサンプルのプラズマローゲン量とを比較することにより、被験体由来のサンプルのプラズマローゲン量の、健常な被験体由来のサンプルのプラズマローゲン量に対する多少(増減)を決めることができる。
この発明の検査方法においては、
前記(a)被験体由来のサンプル中に存在するプラズマローゲン量
と、
前記(b)健常な被験体由来のサンプル中に存在するプラズマローゲン量
との比較結果を用いて、被験体の、プラズマローゲン量の変化(増減)と密接に関連する、疾患の発症リスクが高いか低いかを判定することができる。
この判定では、前記(a)が前記(b)より少ないか又は多い場合に、被験体は、前記疾患の発症リスクが高いと判定される。
すなわち、この発明の検査方法には、さらに下記工程を含めることができる。
ヘ.前記工程ホ.における比較の結果、前記工程ニ.で測定したサンプル中のプラズマローゲン量が、健常な被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量よりも少ないか、または多い場合に、プラズマローゲン量の変化と密接に関連する疾患の発症リスクが高いと判定する工程。
この発明は、血清又は血漿中に含まれるプラズマローゲンからなる、プラズマローゲン量の変化と密接に関連する、疾患の検出用バイオマーカーも包含する。
前記疾患の検出用バイオマーカーとは、前記疾患の発症を判定又は診断する指標となる生体分子をいう。
なお、生体中に存在するプラズマローゲンではなく、生体から単離された血清又は血漿に含有されるプラズマローゲンが、前記疾患検出用バイオマーカーとして使用される。
よって、この発明のバイオマーカーは、血清又は血漿から抽出されたプラズマローゲンからなる前記疾患の検出用バイオマーカーともいえる。
この発明のバイオマーカーは、前記疾患を患った被験体において、健常な被験体に比べプラズマローゲンの量が変化(減少又は増加)するという特徴を有する。
よって、被験体および健常な被験体から当該バイオマーカーをそれぞれ単離して、その量を測定し、比較して、被験体の方が少ないか又は多い場合には、被験体が前記疾患を患っていると診断することができる。
なお、前記疾患の検出用バイオマーカーとしては、プラズマローゲンの中でも、エタノールアミンプラズマローゲン又はコリンプラズマローゲンが好ましい。
したがって、この発明には、血清又は血漿に含有されるエタノールアミンプラズマローゲン又はコリンプラズマローゲンからなる、前記疾患の検出用バイオマーカーが好ましく包含される。
この発明のバイオマーカーは、前記説明に基づいて容易に実施することができる。
この発明は、プラズマローゲン量の変化と密接に関連する、疾患の発症リスクを検査するための検査用キットも包含する。
この発明のキットには、サンプル中に含まれるプラズマローゲンの定量をするために有用な試薬と、脂質抽出用有機溶媒(サンプルを加水分解処理した後、脂質を抽出するために有用な有機溶媒)が備えられる。
前記試薬としては、サンプルの加水分解処理に使用する試薬、具体的には、サンプル中に含まれる脂質の加水分解のための試薬や、サンプルを加水分解処理した後、エタノールアミン又はコリンを生成するために有用な試薬が例示される。
より具体的には、ホスホリパーゼA1(PLA1)や、その溶媒(例えば0.1Mクエン酸緩衝溶液)、グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼDもしくはホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDなどが挙げられる。
前記脂質抽出用有機溶媒としては、メタノール、クロロホルム、クロロホルム/メタノール(好ましくは1:2)混合液、ヘキサン、イソプロパノール、ヘキサン/イソプロパノール(好ましくは3:2)混合液などが例示される。
前記キットには、採血用シリンジや採血用チューブなどの採血用器具、さらに、チラミンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、アミンオキシダーゼ及びペルオキシダーゼなどの蛍光光度計又は分光光度計による分析のための試薬並びにそのための発色用の試薬(蛍光試薬および発色剤など)が備えられていてもよい。
なお、この発明のキットは、前記説明に基づいて容易に実施することができる。
以下に、実施例を挙げてこの発明を詳細に説明する。
なお、この発明は、これら実施例により制限されることはない。
実施例1;血漿中のエタノールアミンプラズマローゲンの定量
1)血液採取
ヘパリン入り採血管(テルモ(株)製)を用いて、静脈血を採取した。
この静脈血を、ヒト血液サンプルとした。
2)血漿の調製
得られた血液サンプルを1000×g,5分間遠心して、上清(すなわち血漿)を回収した。
3)血漿サンプルの調製
a.血漿20〜50μLを、エッペンドルフチューブに入れた。
b.0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.5)で2倍希釈したホスホリパーゼA1(PLA1)(Aspergillus orizae由来,シグマ社製)10μLを、血漿に加えて、よく混和し、温度45℃で60分間反応させた。
c.さらに、ヘキサン/イソプロパノール(3:2)800μLを加えて、混和した後、超音波浴中に5分間置いた。
d.得られた混合液に、硫酸ナトリウム水溶液(NaSO 1gを水15mLに溶解させたもの)400μLを加えて、30秒間混和した。
e.得られた混合液を、1000×g,5分間遠心した。
f.上層(ヘキサン層)を、400μL採取した。
g.残った下層(水層)にヘキサン/イソプロパノール(7:2)400μLを加えて、10〜20秒間混和した。
h.得られたものを、1000×g,5分間遠心し、ヘキサン層を300μL採取した。
i.合わせた上層(ヘキサン層)を、窒素ガスで乾燥して血漿サンプルとし、これを温度−30℃に保存した。
4)各反応液の調製
4−1)反応液1の調製
下記表1に示される成分を混合し、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で調整して、反応液1を得た。
4−2)反応液2の調製
下記表2に示される成分を混合し、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で調整して、反応液2を得た。
5)血漿サンプルの蛍光光度計(プレートリーダー)による分析
a.保存しておいた血漿サンプル(脂質サンプル)又は標準リン脂質(ホスファチジルエタノールアミン)を、1% トリトンX−100 200μLに加え、溶解させた。
b.血漿サンプル10,20,30,40,又は50μLをマイクロプレートリーダーのウェル(well)に分注した。
c.反応液1を50μL加えて、混和し、温度37℃で30分間置いた。
d.さらに、反応液2を50μL加えて、温度37℃で30分間置いた。
e.波長Ex 540nm,波長Em 590nmで測定した。
6)血漿サンプル中のエタノールアミンプラズマローゲン量の算出
前記ホスファチジルエタノールアミンの測定値から、検量線を作成した(図1)。
この検量線を用いて、前記血漿サンプルの測定値から、血漿サンプル中のエタノールアミンプラズマローゲン量を算出した。
その結果を、図3に示す。
図2から、ヒト血漿をホスホリパーゼA1で直接処理すると、ジアシル型エタノールアミンリン脂質(PE)が完全に分解されることが分かる。
したがって、図3に示すように、ヒト血漿について、ホスホリパーゼA1処理後に、脂質抽出処理および所定の酵素による処理をして蛍光光度分析すると、エタノールアミンプラズマローゲン(pl−PE)のみが測定される。
よって、この発明によれば、血清や血漿中に微量に含まれているエタノールアミンプラズマローゲンを、高い精度で簡便に、しかも同時かつ大量に定量をすることができることは明らかである。
なお、図3から、ホスホリパーゼA1による処理を行わない場合には、エタノールアミンプラズマローゲンとジアシル型エタノールアミンリン脂質が合わせて測定されることが分かる。
実施例2;血漿中のコリンプラズマローゲンの定量
反応液1として、下記表3に示される成分を混合し、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で調整して得られた反応液1を用いること以外、実施例1と同様の方法によって、血漿中のプラズマローゲンの定量を行った。
血漿サンプルの測定値から、ホスファチジルコリンの測定値から作成した検量線(図4)を用いて、血漿サンプル中のエタノールアミンプラズマローゲン量を算出した。
その結果を、図5に示す。
図5に示すように、ヒト血漿について、ホスホリパーゼA1処理後に、脂質抽出処理および所定の酵素による処理をして蛍光光度分析すると、コリンプラズマローゲン(pl−PC)のみが測定される。
よって、この発明によれば、血清や血漿中に微量に含まれているコリンプラズマローゲンを、高い精度で簡便に、しかも同時かつ大量に定量をすることができることは、明らかである。
なお、図2から、ヒト血漿には、ジアシル型コリンリン脂質(PC)が、コリンプラズマローゲンよりも遥かに多量に含まれていることが分かる。
したがって、この発明によらなければ、血清や血漿中に微量に含まれているコリンプラズマローゲンを、定量することはできないことが分かる。
実施例3;血漿中のエタノールアミンプラズマローゲンの定量
反応液1として、下記表4に示される成分を混合し、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で調整して得られた反応液1を使用し、反応液2として、下記表5に示される成分を混合し、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で調整して得られた反応液2を使用し、蛍光光度計に代えて分光光度計(プレートリーダー)を使用して波長540〜600nmで測定すること以外、実施例1と同様の方法により、血漿中のプラズマローゲンの定量を行った。
その結果を、図6に示す。
図6に示すように、分光光度計を用いて、血清や血漿中に微量に含まれているエタノールアミンプラズマローゲンを、同時かつ大量に定量できることは明らかである。
実施例4;血漿中のコリンプラズマローゲンの定量
反応液1として、下記表6に示される成分を混合し、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で調整して得られた反応液1を用いること以外、実施例3と同様の方法によって、血漿中のプラズマローゲンの定量を行った。
その結果を、図7に示す。
図7に示すように、上記実施例3と同様に、分光光度計を用いて、血清や血漿中に微量に含まれているコリンプラズマローゲンを、同時かつ大量に定量することができることは明らかである。
実施例5;血漿中のエタノールアミンプラズマローゲンの定量
1)血液採取および血漿の調製
実施例1と同様の方法によって、血液採取および血漿の調製を行った。
2)血漿サンプルの調製
a.血漿20〜50μLを、エッペンドルフチューブに入れた。
b.0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.5)で2倍希釈したホスホリパーゼA1(PLA1)(シグマ社製)10μLを、血漿に加えて、よく混和し、温度45℃で1時間反応させた。
c.得られた混合液に、生理食塩水50μLを加えて、混和した。
d.さらに、クロロホルム/メタノール(1:2)300μLを加えて、混和した後、超音波浴中に1分間置いた。
e.得られた混合液に、クロロホルム100μLを加えて、混和した。
f.さらに、水100μLを加えて、混和した。
g.得られた混合液を、1000×g,5分間遠心した。
h.下層を、160μL採取した。
i.この下層にクロロホルム100μLを加えて、30秒間混和した。
j.得られたものを、1000×g,5分間遠心した。
k.下層を、100μL採取し、上記h.で得られた下層と合わせた。
l.窒素ガスで乾燥して血漿サンプルとし、これを温度−30℃に保存した。
4)各反応液の調製
4−1)反応液1の調製
下記表7に示される成分を混合し、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で調整して、反応液1を得た。
4−2)反応液2の調製
下記表8に示される成分を混合し、100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で調整して、反応液2を得た。
5)血漿サンプルの蛍光光度計(プレートリーダー)による分析
a.保存しておいた血漿サンプル(脂質サンプル)又は標準リン脂質(ホスファチジルエタノールアミン)を、1% トリトンX−100 200μLに加え、溶解させた。
b.血漿サンプル20μL(10〜40μL)を、マイクロプレートリーダーのウェル(well)に分注した。
c.反応液1を50μL加えて、混和し、温度37℃で30分間置いた。
d.さらに、反応液2を50μL加えて、温度37℃で30分間置いた。
e.波長Ex 540nm,波長Em 590nmで測定した。
その結果を、図8に示す。
図8に示すように、ヘキサン・イソプロパノール(3:2)混合溶媒に代えてクロロホルム・メタノール(1:2)混合溶媒を用いた場合であっても、血清や血漿中に微量に含まれているエタノールアミンプラズマローゲンを、高い精度で簡便に、しかも同時かつ大量に定量をすることができることは明らかである。
実施例6;ヒト赤血球膜中のエタノールアミンプラズマローゲンの定量
1)ヒト赤血球膜の調製
a.ヒトの血液から洗浄赤血球を調製した。
b.得られた洗浄赤血球1mLを、10mM トリスーHCl緩衝液を用いて、溶血および洗浄して、赤血球膜を調製した。
2)ヒト赤血球膜の脂質サンプルの調製
a.赤血球膜100μLから、クロロホルム/メタノール(1:2)3000μLを用いて総脂質を抽出し、乾固した。
b.得られた総脂質に、ホスホリパーゼA1(PLA1)(シグマ社製)2倍希釈液10μLを加えて、よく混和し、温度45℃で1時間反応させた。
c.得られた混合液に、ヘキサン/イソプロパノール(3:2)800μLを加えて、混和して脂質を抽出し、窒素ガスで乾燥させて、脂質サンプルを得た。
3)赤血球膜サンプルの蛍光光度計(プレートリーダー)による分析
得られた脂質サンプルについて、実施例1と同様の方法により、プラズマローゲンの定量を行った。
その結果を図10に示す。
図9から、ヒト赤血球膜からの抽出液をホスホリパーゼA1で直接処理すると、ジアシル型エタノールアミンリン脂質(PE)が完全に分解されることが分かる。
したがって、図10に示すように、ヒト赤血球膜からの抽出液について、ホスホリパーゼA1処理後に、脂質抽出処理および所定の酵素による処理をして蛍光光度分析すると、エタノールアミンプラズマローゲン(pl−PE)のみが測定される。
よって、この発明によれば、赤血球膜中に含まれているエタノールアミンプラズマローゲンを、高い精度で簡便に、しかも同時かつ大量に定量をすることができることは明らかである。
なお、図10から、ホスホリパーゼA1による処理を行わない場合には、エタノールアミンプラズマローゲンとジアシル型エタノールアミンリン脂質が、合わせて測定されることが分かる。
実施例7;鶏胸肉中のコリンプラズマローゲンの定量
1)脂質サンプルの調製
a.鶏胸肉1gから、クロロホルム/メタノール(1:2)3000μLを用いて総脂質を抽出し、窒素ガスで乾固した。
b.得られた総脂質に、ホスホリパーゼA1(PLA1)(シグマ社製)2倍希釈液10μLを加えて、よく混和し、温度45℃で1時間反応させた。
c.得られた混合液に、ヘキサン/イソプロパノール(3:2)800μLを加えて、混和して脂質を抽出し、窒素ガスで乾燥させて、脂質サンプルを得た。
2)鶏胸肉サンプルの蛍光光度計(プレートリーダー)による分析
得られた脂質サンプルについて、実施例2と同様の方法により、プラズマローゲンの定量を行った。
その結果を、図12に示す。
図12に示すように、鶏胸肉からの抽出液について、ホスホリパーゼA1処理後に、脂質抽出処理および所定の酵素による処理をして蛍光光度分析すると、コリンプラズマローゲン(pl−PC)のみが測定される。
したがって、 この発明によれば、鶏胸肉などの組織中に含まれているコリンプラズマローゲンを、高い精度で簡便に、しかも同時かつ大量に定量をすることができることは、明らかである。
なお、図12から、ホスホリパーゼA1による処理を行わない場合には、コリンプラズマローゲン(ePC)とヂアシルコリンリン脂質(PC)が合わせて測定されることが分かる。
さらに、図11から、鶏胸肉には、ジアシル型コリンリン脂質(PC)がコリンプラズマローゲンよりもはるかに多量に含まれていることが分かる。
この発明によれば、サンプル中に含まれているプラズマローゲンを、その量が少量であっても、高い精度で簡便に、しかも安価に定量することが可能となる。
さらに、このような定量方法を用いて、認知症、うつ病、脳疲労、不眠症、パーキンソン病、メタボリック症候群、糖尿病又は動脈硬化などの、プラズマローゲン量の変化と密接に関連する疾患の発症リスクを、判定ないし予測することが可能となるので、医薬業界において幅広く利用されるものである。

Claims (11)

  1. サンプル中に含まれるプラズマローゲンの定量方法であって、
    イ.前記サンプルを、ホスホリパーゼA1(PLA1)を用いて加水分解処理した後、脂質抽出処理して脂質サンプルを得る工程;
    ロ.前記工程イ.で得られた脂質サンプルを、グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼD又はホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDによる処理をする工程;
    並びに、
    ハ.前記工程ロ.で得られた処理液を、チラミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼと、ペルオキシダーゼ及び蛍光試薬による処理をした後、蛍光光度計による測定に付すか、
    又は
    アミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼと、ペルオキシダーゼと、発色剤による処理をした後、分光光度計による測定に付す工程
    を含むこと
    を特徴とするプラズマローゲンの定量方法。
  2. 前記サンプルは、
    血清又は血漿サンプルであること
    を特徴とする請求項1に記載のプラズマローゲンの定量方法。
  3. 前記プラズマローゲンは、
    エタノールアミンプラズマローゲン又はコリンプラズマローゲンであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマローゲンの定量方法。
  4. 前記蛍光試薬は、
    アンプレックスレッドであり、
    前記発色剤は、
    4−アミノアンチピリン及びN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−トルイジン(TOOS)であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法。
  5. 前記脂質抽出処理は、
    ヘキサン・イソプロパノール(3:2)又はクロロホルム・メタノール(1:2)による処理であること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法。
  6. 前記工程イ.の後、かつ前記工程ロ.前に、アルコール類、硫酸ナトリウム、水又はこれらの組み合わせを用いて、不要な水溶性物質を除くこと
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法。
  7. 前記加水分解処理した後、前記脂質抽出処理する前に、強い水溶性を有するリゾ型リン脂質を除くこと
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法
  8. プラズマローゲン量の変化と密接に関連する、疾患の発症リスクを判定するための検査方法であって、
    ニ.請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマローゲンの定量方法により、被験体由来のサンプル中に含まれるプラズマローゲンの定量をする工程
    並びに
    ホ.前記工程ニ.で測定したサンプル中のプラズマローゲン量と、健常な被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量とを比較する工程
    を含むこと
    を特徴とする検査方法。
  9. ヘ.前記工程ホ.における比較の結果、前記工程ニ.で測定した被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量が、健常な被験体由来のサンプル中のプラズマローゲン量よりも少ないか又は多い場合に、プラズマローゲン量の変化と密接に関連する疾患の発症リスクが高いと判定する工程
    を含むこと
    を特徴とする請求項に記載の検査方法。
  10. 前記疾患は、
    認知症、うつ病、脳疲労、不眠症、パーキンソン病、メタボリック症候群、糖尿病又は動脈硬化であること
    を含むこと
    を特徴とする請求項又はに記載の検査方法。
  11. サンプルの加水分解処理に使用するホスホリパーゼA1(PLA1)と、脂質抽出用有機溶媒と、チラミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼ及び蛍光試薬、あるいはアミンオキシダーゼもしくはコリンオキシダーゼとペルオキシダーゼ及び発色剤と、グリセロリン脂質特異性ホスホリパーゼDもしくはホスファチジルコリン特異性ホスホリパーゼDを含むこと
    を特徴とする、プラズマローゲン量の変化と密接に関連する疾患の発症リスクを検査するための検査用キット。
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