本発明の実施形態に係るロボット装置(組立て装置)について、図1から図18を参照しながら説明する。本実施形態に係るロボット装置は、内周面の少なくとも一部に内側円弧面を有する部品(外側部品)及び外周面の少なくとも一部に外側円弧面を有する部品(内側部品)の一方を把持して、他方に組み付ける作業を行うロボットである。以下、第1実施形態から第3実施形態を用いて、具体的に説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るロボット装置100について、図1から図6を参照しながら説明する。第1実施形態に係るロボット装置100は、第1円弧面(内側円弧面)10を有する環状の円環部品(第1部品)104の外周面を把持して、第2円弧面(外側円弧面)11を有する柱状の円柱部品(第2部品)101の外周側に装着する作業を行う装置である。まず、ロボット装置100の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1の(a)は本発明の第1実施形態に係るロボット装置100を模式的に示す斜視図であり、(b)は円環部品104を把持したハンド123の断面図である。図2は、本実施形態に係るロボット装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ロボット装置100は、円環部品104を円柱部品101に装着する組立て作業を行う多関節ロボット120と、多関節ロボット120を制御する制御装置(制御部)126と、多関節ロボット120が配設される架台125とを備えている。なお、本実施形態においては、円環部品104は、外円の中心と内円の中心とが一致した、厚さがほぼ均一に形成された円環状の部品が用いられている。例えば、円環部品104は、内径が約φ50mm、外径が約φ52mm、高さが約5mmの金属若しくは樹脂で製作された円環形状である。また、円柱部品101は、外径が約50mm、円環部品104とのクリアランスは10μmの円柱形状である。そして、円環部品104及び円柱部品101の面取りを0.05mmとしたものを用いることができる。また、円環部品104は、架台(基台)125に設置された供給機128に積載されており、円柱部品101は、架台125に設置された固定機(規制手段)127に固定(移動が規制)されている。
多関節ロボット(把持手段)120は、6軸多関節のロボットアーム121と、ロボットアーム121の先端に接続されたハンド(エンドエフェクタ)123と、ハンド123に作用する力等を検出可能な検出装置153と、を備えている。
ロボットアーム121は、各関節を関節軸周りに駆動する複数のアクチュエータを備えており、複数のアクチュエータを選択的に駆動することで、ハンド123を傾斜及び任意の3次元位置に移動可能に構成されている。例えば、ロボットアーム121は、ユーザにより入力された教示点に基づいて、後述する動作データ生成部151(図2参照)により生成された軌道に沿ってハンド123を移動させる。なお、ロボットアーム121は、供給機128及び固定機127と同様に、架台125に固定されている。
ハンド123は、円環部品104を把持可能な複数の指部品124と、複数の指部品124を駆動する複数のアクチュエータ(不図示)と、を備えている。なお、複数の指部品には、ピンセットツールのような2つの部材で部品を掴むものも含んでいる。本実施形態においては、図1(b)に示すように、複数の指部品124は3本の指部品124a,124b,124cから構成されており、複数のアクチュエータは3本の指部品124a〜124cを駆動する3つのアクチュエータから構成されている。ハンド123は、3つの指部品124a〜124cのそれぞれを、中心軸123aに対して独立に接離駆動することで円環部品(ワーク)104を把持する。言い換えると、ハンド123は、指部品124a〜124cを開いたり(中心軸123aに離間)、閉じたり(中心軸123aから接近)することで円環部品104を把持する。
また、3つの指部品124a〜124cのそれぞれは、円環部品104の外周面に当接可能な当接面141と、円環部品104を装着方向に押圧可能な押圧面142と、を備えている。当接面141は、円環部品104の外周面に対して高摩擦に形成されており、円環部品104を把持した際に円環部品104が容易に落下しないようになっている。押圧面142は、当接面141と直交し、円環部品104の上面を円柱部品101に対する装着方向に押圧可能に形成されている。また、押圧面142は、円環部品104と円柱部品101の相対位置を調整する際には、円環部品104の装着方向の動きを規制可能になっている。
検出装置153は、ハンド123に作用する力やモーメントの情報を検出する力センサ122と、ロボットアーム121やハンド123の位置や姿勢、速度情報を検出するエンコーダ154と、を備えている。力センサ122は、ロボットアーム121とハンド123との間に設けられている。エンコーダ154は、ロボットアーム121やハンド123の各アクチュエータに設けられている。
制御装置126は、ロボットアーム121の軌道やハンド123の動作データを生成する動作データ生成部151と、生成された動作データに基づいて、ロボットアーム121やハンド123を駆動制御するロボット制御部152と、を備えている。動作データ生成部151は、入力された教示点等に基づいて動作データを生成する。また、動作データ生成部151は、力センサ122により検出された力やモーメントの情報及びエンコーダ154により検出されたロボットアーム121やハンド123の位置や姿勢、速度情報等をフィードバックして動作データを補正する。
ここで、内周面の少なくとも一部に円弧面を有する円環部品(第1部品)と、外周面の少なくとも一部に円弧面を有する円柱部品(第2部品)との相対位置を調整する相対位置調整方法の原理について、図3及び図4を参照しながら説明する。まず、円柱部品に対するクリアランスが大きな円環部品(外側部品)を用いて、円環部品と円柱部品との相対位置調整方法の原理について、図3を参照しながら説明する。図3の(a)は相対位置が調整される前の状態を示し、(b)は円環部品504と円柱部品101とが接触した状態を示し、(c)は円環部品504と円柱部品101の中心軸が法線116上にそろった状態を示している。
まず、円柱部品101は不図示の固定機に固定(xy平面上の移動が規制)され、円柱部品101の外周面を覆うように配置された円環部品504はxy平面上を移動可能な状態になっている。このとき、図3(a)に示すように、両部品間にはクリアランス107があり、両部品は接触していないので、円柱部品101の中心軸102と円環部品504の中心軸505とは合致していない。
この状態で、略直方体形状の押圧部材108を円柱部品101に向かって矢印109方向に移動させると、図3(b)に示すように、押圧部材108が接触部110で円環部品504と当接し、接触部110に矢印方向の押圧力111が作用する。更に押圧部材108を矢印109方向に移動させると、次に、円環部品504が接触部112で円柱部品101と当接し、接触部112に矢印方向の押圧力113が作用する。そして、更に押圧部材108を矢印109方向に移動させると、押圧力111と押圧力113の合力により、円環部品504に回転トルクが発生する。
円環部品504に回転トルクが発生すると、円環部品504が回転し、図3(c)に示すように、押圧部材108と円環部品504の接触部110が接触部114の位置に移り、円環部品504と円柱部品101の接触部112は、接触部115に移動する。このように、押圧部材108が矢印109方向に円環部品504を押圧すると、円環部品504が回転することで接触部が移動し、円柱部品101の中心軸102と円環部品504の中心軸505とが接触部114における円弧の法線116上に揃うことになる。
次に、上述した相対位置調整方法を3次元的な装着に使用する際の応用について、図4を参照しながら説明する。図4の(a)は相対位置が調整される前の状態を示し、(b)は円環部品104と円柱部品101とが接触した状態を示し、(c)は円環部品104と円柱部品101の中心軸が法線上にそろった状態を示し、(d)は(b)に示す破線枠を拡大したものである。
円環部品104を円柱部品101に装着する場合、クリアランスが小さいと円環部品104の内周面と円柱部品101の外周面とを接触させることが困難となる。そのため、円環部品104を所定角度傾斜させ、傾斜した円環部品104の内周面を円柱部品101の外周面に押圧させながら相対位置の調整を行うことでクリアランスが小さい場合でも円環部品104を円柱部品101に装着可能となる。以下、具体的に説明する。
円柱部品101は、中心軸102が鉛直方向(z軸方向)となるように不図示の固定機により固定されている。一方、円環部品104は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向に移動可能に不図示の支持部材により支持されている。押圧部材108は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向に移動可能で円柱部品101から離れた位置に置かれるとともに、y軸方向に移動することで円環部品104の外周面を押圧可能になっている。図4(a)に示すように、この状態においては、円柱部品101と円環部品104とは接触しておらず、円柱部品101の中心軸102と、円環部品104の中心軸105とは合致していない。
また、図4(a)及び(d)に示すように、円柱部品101の外径はDs、円環部品104の内径はDriとし、円柱部品101には外周部の上面に、円環部品104には内周部の上部及び下部に、大きさがdchamの面取りが施されているものとする。更に、図4(b)に示すように、円柱部品101の中心軸102に対する円環部品104の中心軸105の傾斜角度をθrとし、円柱部品101の上面から円環部品104の下面の下方変位量(距離)をZdとする。
円環部品104を所定の傾斜角度θr傾斜させた状態で、押圧部材108を図4(b)に示す矢印109方向に移動させると、押圧部材108が接触部110で円環部品104と当接し、接触部110に矢印方向の押圧力111が作用する。更に押圧部材108を矢印109方向に移動させると、次に、円環部品104が接触部112で円柱部品101と当接し、接触部112に矢印方向の押圧力113が作用する。そして、更に押圧部材108を矢印109方向に移動させると、押圧力111と押圧力113の合力により、円環部品104に回転トルクが発生する。
円環部品104に回転トルクが発生すると、円環部品104が回転し、図4(c)に示すように、押圧部材108と円環部品104の接触部110が接触部114の位置に移り、円環部品104と円柱部品101の接触部112は、接触部115に移動する。このように、押圧部材108が矢印109方向に円環部品104を押圧すると、円環部品104が回転することで接触部が移動し、円柱部品101の中心軸102と円環部品104の中心軸105とが接触部114における円弧の法線116上に揃うことになる。
円柱部品101の中心軸102と円環部品104の中心軸105とが法線116上に揃うと、接触部115で円環部品104と円柱部品101とを接触させた状態のまま、円環部品104の傾斜角度を水平に戻す。これにより、円柱部品101への円環部品104の装着が可能になる。
なお、円環部品104の傾斜角度θrと、円環部品104の下端面の円柱部品101の上面からの下方変位Zdは、組み付け可能な幾何学的条件から、以下の式で示す範囲に制限される。
円環部品104の傾斜角度を増加させていくと、円環部品104の内径の余弦成分が円柱部品101の外径よりも小さくなってしまい、組み付けられないため、傾斜角度θrは、
また、円環部品104を円柱部品101の上面からZdだけ下げた状態で、円柱部品101の外周部と円環部品104の内周部を接触させるためには、
でなければ、円環部品104の他端部と円柱部品101とが接触してしまう(θ
rの下限)。
また、下方変位Zdは、円環部品104を最大限傾けた際の円環部品104の内周部の最も高い箇所と最低箇所との差より小さくなければ、円環部品104の内周部の最も高い箇所が円柱部品101の上面に接触してしまう。そのため、
また、面取り部は加工精度が出ていないため、接触させると、予想しない方向に接触力が生じてしまう。そのため、円柱部品101の外周部と円環部品104の内周部とを面取り部を避けて接触させるためには、2dcham<Zdでなければならない(Zdの下限)。
次に、上述したロボット装置100による円柱部品101への円環部品104の装着作業(制御装置による組立て制御プログラム)について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係るロボット装置100の動作シーケンスを示す要部断面図である。図6は、第1実施形態に係るロボット装置100の動作シーケンスを示すフローチャートである。
円環部品104は、供給機128に積載されており、多関節ロボット120のハンド123によって、上方(z軸)から1つずつ取り出し可能になっている(図5(a)参照)。まず、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を供給機128の上方に位置させると共に、ハンド123を駆動制御して指部品124a〜124cを開き、円環部品104の把持準備を行う(ステップS1)。次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、供給機128から円環部品104を取り出し可能な把持位置に、指部品124a〜124cを開いたハンド123を下降させる(ステップS2)。
ハンド123が把持位置まで下降すると、制御装置126は、ハンド123を駆動制御して指部品124a〜124cを閉じ、当接面141で円環部品104を把持させる(把持工程、ステップS3)。円環部品104を把持すると、制御装置126は、図5(a)に示すように、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を上昇させ、供給機128から円環部品104を取り出す(ステップS4)。
次に、制御装置126は、図5(b)に示すように、ロボットアーム121を駆動制御して、ハンド123を所定の角度傾斜させる。これにより、円環部品104が円柱部品101に対して所定の傾斜角度θrだけ傾斜した状態になる。このときの所定の傾斜角度θrは、この後の工程での移動方向(y軸方向)の移動先端を、x軸回りに回転して上げるものとし、傾斜角度θrは、
本実施形態においては、0.12<θr<1.00(deg)となるように設定する。また、円環部品104の下面の円柱部品101の上面からの下方変位Zdは、
本実施形態においては、100<Zd<872(μm)となるように設定する。円環部品104を上述の範囲で傾斜させると、制御装置126は、ハンド123を円柱部品101の近傍に移行させる(ステップS5)。次に、制御装置126は、図5(c)に示すように、ロボットアーム121を駆動制御して、傾斜した円環部品104を円柱部品101に向けてy軸方向に移動させ(ステップS6)、円環部品104と円柱部品101とを当接させる。このとき、指部品124aと円環部品104とは接触部110で接触し、円環部品104と円柱部品101とは接触部112で接触し、円柱部品101と円環部品104との接触力は力センサ122によって検知される(ステップS7、S8)。
次に、制御装置126は、図5(d)に示すように、ロボットアーム121を駆動制御して、傾斜した円環部品104をy軸方向にさらに移動させて、円環部品104を円柱部品101に押し当てつつ、指部品124bと指部品124cを離す(ステップS9)。言い換えると、指部品124aで円環部品104を円柱部品101に押し当てつつ、押し当てに用いられる指部品124a以外(把持手段以外)の指部品124b、124cを円環部品104の外周面から離す。指部品124b、124cを円環部品104の外周面から離すことで、円環部品104の外周面の拘束条件はなくなるため、円環部品104は自然長に戻り、組み付け可能なサイズとなる。
なお、このときの指部品124aによる円環部品104の円柱部品101への押し当てにかかる力は、力センサ122で検知され(ステップS10)、所望の押し当て力になるように制御される(ステップS11)。円環部品104を円柱部品101に押し当てることで回転トルクが発生し、指部品124b、124cを円環部品104の外周面から離すことで円環部品104が回転を開始する。このとき、指部品124aに設けられた押圧面142により円環部品104のx軸周りの動作が規制されることで、円環部品104の回転を容易にする。
回転トルクにより円環部品104が回転すると、図5(e)に示すように、指部品124aと円環部品104の接触部110は接触部114の位置に移り、円環部品104と円柱部品101の接触部112は接触部115に移る。これにより、接触部114における円弧の法線116上に、円環部品104の中心軸と円柱部品101の中心軸が並ぶ相対位置の調整が行われる(中心軸調整工程)。
次に、制御装置126は、図5(f)に示すように、指部品124aで円環部品104を円柱部品101に押し当てながら、接触部114近傍を中心として、x軸回りにハンド123を回転させ、ハンド123の傾斜を戻す(ステップS12)。言い換えると、円環部品104の中心軸と円柱部品101の中心軸とが平行に近づくようにハンド123の角度を調整する(角度調整工程)。ハンド123の傾斜を戻すことで、円環部品104の傾斜も戻り、円柱部品101に装着(嵌合)可能になる。
次に、制御装置126は、図5(g)に示すように、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を下降させ、指部品124a〜124cの押圧面142で円環部品104を円柱部品101に押し込む(押込み工程)。これにより、円環部品104が円柱部品101の所望の挿入位置まで押し込まれ、円柱部品101への装着が完了する(ステップS13)。円環部品104の円柱部品101への装着が完了すると、制御装置126は、ハンド123を駆動制御して指部品124a〜124cを開き、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を供給機128の上方に位置させる(ステップS14、S15)。
以上説明したように、第1実施形態に係るロボット装置100は、円環部品104を傾斜させて円柱部品101に押し当てることで中心軸を押し当て部における円弧の法線116上に一致させる(近づけさせる)。このとき、押し当て以外の指部品124b,124cを円環部品104から離して把持状態を解除する。そのため、把持により円環部品104が変形した場合においても、装着時には円環部品104を自然長に戻すことができる。これにより、低剛性で変形し易い部品でも、内径に対する外径のクリアラスが少ない部品に対して容易に装着させることができる。
また、傾斜させた状態で押し当てることで相対位置を調整するため、例えば、動作方向を探る等の作業が不要になる。そのため、作業時間を短くすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るロボット装置100Aについて、図7から図10を参照しながら説明する。ロボット装置100Aは、第3円弧面(内側円弧面)11を有する柱状の円柱部品(第3部品)101の外周面を把持して、第4円弧面(外側円弧面)10を有する環状の円環部品(第4部品)104の内周側に挿着する装置である。
なお、図7に示すように、ロボット装置100Aの構成については、基本的に第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いてその説明を省略する。また、第2実施形態においては、円環部品104は、架台125に設けられた組立台203上に設けられた略直方体形状のストッパ(規制手段)201によりy軸方向(少なくとも一方向)への移動が規制されている。
まず、外周面の少なくとも一部に円弧面を有する円柱部品(第3部品)と、内周面の少なくとも一部に円弧面を有する円環部品(第4部品)との相対位置を調整する相対位置調整方法の原理について、図8及び図9を参照しながら説明する。まず、円柱部品101に対するクリアランスが大きな円環部品504を用いて、円環部品504と円柱部品101との相対位置調整方法の原理について、図8を参照しながら説明する。図8の(a)は相対位置が調整される前の状態を示し、(b)は円環部品504と円柱部品101とが接触した状態を示し、(c)は円環部品504と円柱部品101の中心軸が法線116上にそろった状態を示している。
図8(a)に示すように、円環部品504はxy平面上を移動可能であると共に、ストッパ201により、所定以上y軸方向に移動しないようになっている。一方、円柱部品101は、円環部品504の内部に配置されている。このとき、両部品間にはクリアランス107があり、両部品は接触していないので、円柱部品101の中心軸102と円環部品504の中心軸505とは合致していない。
この状態で、円柱部品101を円環部品504に向かって矢印202方向に移動させると、図8(b)に示すように、円柱部品101が接触部112で円環部品504と当接し、接触部112に矢印方向の押圧力113が作用する。更に円柱部品101を矢印202方向に移動させると、次に、円環部品504が接触部110でストッパ201と当接し、接触部110に矢印方向の押圧力111が作用する。そして、更に円柱部品101を矢印202方向に移動させると、押圧力111と押圧力113の合力により、円環部品504に回転トルクが発生する。
円環部品504に回転トルクが発生すると、円環部品504が回転し、図8(c)に示すように、円環部品504と円柱部品101の接触部112は接触部115に移動し、ストッパ201と円環部品504の接触部110が接触部114の位置に移動する。このように、円柱部品101が矢印202方向に円環部品504を押圧すると、円環部品504が回転することで接触部が移動し、円柱部品101の中心軸102と円環部品504の中心軸505とが接触部114における円弧の法線116上に揃うことになる。
次に、上述した相対位置調整方法を3次元的な挿着に使用する際の応用について、図9を参照しながら説明する。図9の(a)は相対位置が調整される前の状態を示し、(b)は円柱部品101と円環部品104とが接触した状態を示し、(c)は(b)に示す破線枠を拡大したものである。
円柱部品101を円環部品104に挿着する場合、クリアランスが小さいと円柱部品101の外周面と円環部品104の内周面とを接触させることが困難となる。そのため、円柱部品101を所定角度傾斜させ、傾斜した円柱部品101の外周面を円環部品104の内周面に押圧させながら相対位置の調整を行うことでクリアランスが小さい場合でも円柱部品101を円環部品104に挿着可能となる。以下、具体的に説明する。
ストッパ201は、組立台203に固定されており、円環部品104は、組立台203上に置かれ、x軸方向及びy軸方向に移動可能となっている。一方、円柱部品101は、ハンド123の指部品124によって把持され、ロボットアーム121によってx軸方向、y軸方向及びz軸方向に移動可能で、y軸方向に移動することで円環部品104の内周面を押圧可能になっている。図9(a)に示すように、この状態においては、円柱部品101と円環部品104とは接触しておらず、円柱部品101の中心軸102と、円環部品104の中心軸105とは合致していない。
また、図9(a)及び(c)に示すように、円柱部品101の外径はDs、円環部品104の内径はDriとし、円柱部品101には外周部の上面に、円環部品104には内周部の上部及び下部に、大きさがdchamの面取りが施されているものとする。更に、図9(b)に示すように、円柱部品101の中心軸102に対する円環部品104の中心軸105の傾斜角度をθrとし、円柱部品101の下面から円環部品104の上面の円柱部品101の中心軸方向の変位をZdとする。
円柱部品101を所定の傾斜角度θr傾斜させた状態で、円柱部品101を図9(b)に示す矢印202方向に移動させると、円柱部品101が接触部112で円環部品104と当接し、接触部112に矢印方向の押圧力113が作用する。更に円柱部品101を矢印202方向に移動させると、次に、円環部品104が接触部110でストッパ201と当接し、接触部110に矢印方向の押圧力111が作用する。そして、更に押圧部材108を矢印202方向に移動させると、押圧力111と押圧力113の合力により、円環部品104に回転トルクが発生する。
円環部品104に回転トルクが発生すると、円環部品104が回転し、ストッパ201と円環部品104の接触部110が接触部114の位置に移り、円環部品104と円柱部品101の接触部112は、接触部115に移動する。このように、円柱部品101が矢印202方向に円環部品104を押圧すると、円環部品104が回転することで接触部が移動し、円柱部品101の中心軸102と円環部品104の中心軸105とが接触部114における円弧の法線116上に揃うことになる。
円柱部品101の中心軸102と円環部品104の中心軸105とが法線116上に揃うと、接触部115で円環部品104と円柱部品101とを接触させた状態のまま、円柱部品101の傾斜角度を水平に戻す。これにより、円環部品104への円柱部品101の挿着が可能になる。
次に、上述したロボット装置100Aによる円柱部品101の円環部品104への挿着作業(制御装置による組立て制御プログラム)について、図7に加え、図10を参照しながら説明する。図10は、第2実施形態に係るロボット装置100Aの動作シーケンスを示すフローチャートである。
図7に示すように、円柱部品101は、不図示の供給機に収納されており、多関節ロボット120のハンド123によって、上方から1つずつ取り出し可能になっている。一方、円環部品104は、架台125に設けられた組立台203上に配置されている。まず、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を供給機の上方に位置させると共に、ハンド123を駆動制御して指部品124a〜124cを開き、円柱部品101の把持準備を行う(ステップS101)。次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、供給機から円柱部品101を取り出し可能な把持位置に、指部品124a〜124cを開いたハンド123を下降させる(ステップS102)。
ハンド123が把持位置まで下降すると、制御装置126は、ハンド123を駆動制御して指部品124a〜124cを閉じ、当接面141で円柱部品101を把持させる(把持工程、ステップS103)。円柱部品101を把持すると、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を上昇させ、供給機から円柱部品101を取り出す(ステップS104)。
次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、ハンド123を所定角度傾斜させる。これにより、円柱部品101が円環部品104に対して所定の傾斜角度だけ傾斜した状態になる。円柱部品101を傾斜させると、制御装置126は、ハンド123を円環部品104の内周面の近傍に移行させる(ステップS105)。次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、傾斜した円柱部品101を円環部品104に向けてy軸方向に移動させ(ステップS106)、円環部品104と円柱部品101とを当接させる。このとき、円柱部品101と円環部品104とは接触部112で接触し、ストッパ201と円環部品104とは接触部110で接触し、円柱部品101と円環部品104との接触力は力センサ122によって検知される(ステップS107、S108)。
次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、傾斜した円柱部品101をy軸方向にさらに移動させて、円柱部品101を円環部品104に押し当てる(ステップS109)。なお、このときの指部品124aによる円柱部品101の円環部品104への押し当てにかかる力は、力センサ122で検知され(ステップS110)、所望の押し当て力になるように制御される(ステップS111)。円柱部品101を円環部品104に押し当てることで回転トルクが発生し、円環部品104が回転を開始する。
回転トルクにより円環部品104が回転すると、円柱部品101と円環部品104の接触部112は接触部115に移り、ストッパ201と円環部品104の接触部110は接触部114の位置に移る。これにより、接触部114における法線116上に、円環部品104の中心軸105と円柱部品101の中心軸102が並ぶ相対位置の調整が行われる(中心軸調整工程)。
次に、制御装置126は、円柱部品101で円環部品104の内周面を押し当てながら、接触部114近傍を中心として、x軸回りにハンド123を回転させ、ハンド123の傾斜を戻す(ステップS112)。言い換えると、円環部品104の中心軸と円柱部品101の中心軸とが平行に近づくようにハンド123の角度を調整する(角度調整工程)。ハンド123の傾斜を戻すことで、円柱部品101の傾斜も戻り、円環部品104に挿着(嵌合)可能になる。
次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を下降させ、指部品124a〜124cの押圧面142で円柱部品101を円環部品104に向かって挿着方向に押し込む(押込み工程)。これにより、円柱部品101が円環部品104の所望の挿入位置まで押し込まれ、円柱部品101の挿着が完了する(ステップS113)。円柱部品101の円環部品104への装着が完了すると、制御装置126は、ハンド123を駆動制御して指部品124a〜124cを開き、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を供給機の上方に位置させる(ステップS114、S115)。
以上説明したように、第2実施形態に係るロボット装置100Aは、円柱部品101を傾斜させて円環部品104に押し当てることで中心軸を押し当て部における法線116上に一致させる(近づけさせる)。このとき、円環部品104はストッパ201によりy軸方向への移動が規制されている。これにより、低剛性で変形し易い部品でも、内径に対する外径のクリアランスが少ない部品に対して容易に挿着させることができる。また、傾斜させた状態で押し当てることで相対位置を調整するため、例えば、動作方向を探る等の作業が不要になる。そのため、作業時間を短くすることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るロボット装置100Bについて、図11から図14を参照しながら説明する。ロボット装置100Bは、第5円弧面(外側円弧面)10を有する環状の第1円環部品(第5部品)104aの内周面を把持して、第6円弧面(内側円弧面)11を有する環状の第2円環部品(第6部品)104bの内周側に挿着する装置である。
なお、図11に示すように、ロボット装置100Bの構成については、基本的に第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いてその説明を省略する。また、第3実施形態においては、第2円環部品104bは、架台125上に設けられた略直方体形状のストッパ(規制手段)301によりy軸方向への移動が規制され、第1円環部品104aは、架台125に設置された供給機128に積載されている。
まず、第1円環部品104aと、第2円環部品104bとの相対位置を調整する相対位置調整方法の原理について、図12及び図13を参照しながら説明する。まず、第1円環部品104aに対するクリアランスが大きな第2円環部品504bを用いて、第1円環部品104aと第2円環部品504bとの相対位置調整方法の原理について、図12を参照しながら説明する。図12の(a)は相対位置が調整される前の状態を示し、(b)は第1円環部品104aと第2円環部品504bとが接触した状態を示し、(c)は第1円環部品104aと第2円環部品504bの中心軸が法線116上にそろった状態を示している。
図12(a)に示すように、第2円環部品504bはxy平面上を移動可能であると共に、ストッパ301により、所定以上y軸方向に移動しないようになっている。一方、第1円環部品104aは、第2円環部品504bの内部に配置されている。このとき、両部品間にはクリアランス107があり、両部品は接触していないので、第1円環部品104aの中心軸105aと第2円環部品504bの中心軸505bとは合致していない。
さらに、押圧部品901は、第1円環部品104aの内部に配置されている。このとき、両部品にはクリアランスがあり、両部品は接触していないので、押圧部品901の中心軸901bと第1円環部品104aの中心軸105a、および第2円環部品504bの中心軸505bとは合致していない。
この状態で、押圧部品901をストッパ301に向かって矢印302方向に移動させると、図12(b)に示すように、押圧部品901が接触部912で第1円環部品104aと当接し、接触部912に矢印方向の押圧力913が作用する。更に押圧部品901を矢印302方向に移動させると、第1円環部品104aが接触部112で第2円環部品504bと当接し、接触部112に矢印方向の押圧力911が作用する。また、第2円環部品504bは接触部112で矢印方向の押圧力113が作用するとともに、接触部110でストッパ301と当接し、接触部110に矢印方向の押圧力111が作用する。そして、更に押圧部品901を矢印302方向に移動させると、押圧力911と押圧力913の合力により、第1円環部品に回転トルクが発生するとともに、押圧力111と押圧力113の合力により、第2円環部品504bに回転トルクが発生する。
これにより、第1円環部品104aと第2円環部品504bが回転し、図12(c)に示すように、押圧部品901と第1円環部品104aとの接触部912は接触部914に移動する。そして、第1円環部品104aと第2円環部品504bとの接触部112は接触部115に移動し、ストッパ301と第2円環部品504bの接触部110が接触部114の位置に移動する。このように、押圧部品901が第1円環部品104aと第2円環部品504bを押圧すると、第1円環部品104aと第2円環部品504bが回転することで接触部が移動する。そして、第1円環部品104aの中心軸105aと第2円環部品504bの中心軸505bとが法線116上に揃うことになる。
次に、上述した相対位置調整方法を3次元的な装着に使用する際の応用について、図13を参照しながら説明する。図13の(a)は相対位置が調整される前の状態を示し、(b)は第1円環部品104aと第2円環部品104bとが接触した状態を示し、(c)は(b)に示す破線枠を拡大したものである。
第1円環部品104aを第2円環部品104bに挿着する場合、クリアランスが小さいと第1円環部品104aの外周面と第2円環部品104bの内周面とを接触させることが困難となる。そのため、第1円環部品104aを所定角度傾斜させ、傾斜した第1円環部品104aの外周面を第2円環部品104bの内周面に押圧させながら相対位置の調整を行う。これにより、クリアランスが小さい場合でも第1円環部品104aを第2円環部品104bに挿着可能となる。以下、具体的に説明する。
ストッパ301は、架台125に固定されており、第2円環部品104bは、架台125上に置かれ、x軸方向及びy軸方向に移動可能となっている。一方、第1円環部品104aは、x軸方向、y軸方向及びz軸方向に移動可能に不図示の支持部材により支持され、y軸方向に移動することで第2円環部品104bの内周面を押圧可能になっている。押圧部材124は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向に移動可能で第1円環部品104aから離れた位置に置かれるとともに、y軸方向に移動することで第1円環部品104aの内周面を押圧可能になっている。図13(a)に示すように、この状態においては、第1円環部品104aと第2円環部品104bとは接触しておらず、第1円環部品104aの中心軸105aと、第2円環部品104bの中心軸105bとは合致していない。
また、図13(a)及び(c)に示すように、第1円環部品104aの外径はDs、第1円環部品104bの内径はDriとする。そして、第1円環部品104aには外周部の上面及び下部に、第2円環部品104bには内周部の上部及び下部に、大きさがdchamの面取りが施されているものとする。更に、図13(b)に示すように、第1円環部品104aの中心軸105aに対する第2円環部品104bの中心軸105bの傾斜角度をθrとする。第1円環部品104aの下面から第2円環部品104bの上面の第1円環部品104aの中心軸方向の変位をZdとする。
第1円環部品104aを傾斜角度θr傾斜させた状態で押圧部材124を図13(b)に示す矢印302方向に移動させると、押圧部材124が接触部912で第1円環部品104aと当接し、接触部912に矢印方向の押圧力913が作用する。更に押圧部材108aを矢印302方向に移動させると、第1円環部品104aが接触部112で第2円環部品104bと当接し、接触部112に矢印方向の押圧力113が作用し、第1円環部品104aには矢印方向の押圧力911が作用する。また、第2円環部品104bが接触部110でストッパ301と当接し、接触部110に矢印方向の押圧力111が作用する。そして、更に押圧部材108aを矢印302方向に移動させると、押圧力911と押圧力913の合力により、第1円環部品104aに回転トルクが発生し、押圧力111と押圧力113の合力により、第2円環部品104bに回転トルクが発生する。
第1円環部品104aに回転トルクが発生すると、第1円環部品104aが回転し、押圧部材108aと第1円環部品104aの接触部912が接触部914に移動する。一方、第2円環部品104bに回転トルクが発生すると、第2円環部品104bが回転し、第1円環部品104aと第2円環部品104bの接触部112が接触部115に移動し、ストッパ301と第2円環部品104bの接触部110が接触部114に移動する。このように、押圧部材108aが第1円環部品104aと第2円環部品104bを押圧すると、第1円環部品104aと第2円環部品104bが回転することで接触部が移動する。そして、第1円環部品104aの中心軸105aと第2円環部品104bの中心軸105bとが法線116上に揃うことになる。
第1円環部品104aの中心軸105aと第2円環部品104bの中心軸105bとが法線116上に揃うと、接触部115で第1円環部品104aと第2円環部品104bとを接触させた状態のまま、第1円環部品104aの傾斜角度を水平に戻す。これにより、第2円環部品104bへの第1円環部品104aの挿着が可能になる。
次に、上述したロボット装置100Bによる第1円環部品104aの第2円環部品104bへの挿着作業(制御装置による組立て制御プログラム)について、図11に加え、図14を参照しながら説明する。図14は、第3実施形態に係るロボット装置100Bの動作シーケンスを示すフローチャートである。
図11に示すように、第1円環部品104aは、供給機128に積載されており、多関節ロボット120のハンド123によって、上方(z軸)から1つずつ取り出し可能になっている。一方、第2円環部品104bは、架台125上に配置されている。まず、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を供給機128の上方に位置させると共に、ハンド123を駆動制御して指部品124Ba〜124Bcを閉じ、第1円環部品104aの把持準備を行う(ステップS201)。次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、供給機128から第1円環部品104aを取り出し可能な把持位置に、指部品124Ba〜124Bcを閉じたハンド123を下降させる(ステップS202)。
ハンド123が把持位置まで下降すると、制御装置126は、ハンド123を駆動制御して指部品124Ba〜124Bcを開き、当接面141Bで第1円環部品104aを把持させる(把持工程、ステップS203)。第1円環部品104aを把持すると、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を上昇させ、供給機128から第1円環部品104aを取り出す(ステップS204)。
次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、ハンド123を所定角度傾斜させる。これにより、第1円環部品104aが第2円環部品104bに対して所定の傾斜角度だけ傾斜した状態になる。第1円環部品104aを傾斜させると、制御装置126は、ハンド123を第2円環部品104bの内周面の近傍に移行させる(ステップS205)。次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、傾斜した第1円環部品104aを第2円環部品104bに向けてy軸方向に移動させ(ステップS206)、第1円環部品104aを第2円環部品104bに当接させる。このとき、第1円環部品104aと第2円環部品104bとは接触部112で接触し、ストッパ301と第2円環部品104bとは接触部110で接触する。また、第1円環部品104aと第2円環部品104bとの接触力は力センサ122によって検知される(ステップS207、S208)。
次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御して、傾斜した第1円環部品104aをy軸方向にさらに移動させて、第1円環部品104aを第2円環部品104bに押し当てつつ指部品124Bbと指部品124Bcを離す(ステップS209)。言い換えると、指部品124Baで第1円環部品104aを第2円環部品104bに押し当てつつ、押し当てに用いられる指部品124Ba以外の指部品124Bb、124Bcを第1円環部品104aの内周面から離す。指部品124Bb、124Bcを第1円環部品104aの内周面から離すことで、第1円環部品104aの内周側からの拘束条件はなくなるため、第1円環部品104aは自然長に戻り、組み付け可能なサイズとなる。
なお、このときの指部品124Baによる第1円環部品104aにかかる押し当てにかかる力は、力センサ122で検知され(ステップS210)、所望の押し当て力になるように制御される(ステップS211)。第1円環部品104aを第2円環部品104bに押し当てることで回転トルクが発生し、第2円環部品104bが回転を開始する。同様に、指部品124Baを第1円環部品104aに押し当て、第1円環部品104aを第2円環部品104bに押し当てることで回転トルクが発生する。そして、指部品124Bb、124Bcを第1円環部品104aの内周面から離すことで第1円環部品104aも回転を開始する。このとき、指部品124Baに設けられた押圧面142Bにより第1円環部品104aのx軸周りの動作が規制されることで、第1円環部品104aの回転を容易にする。
回転トルクにより第1円環部品104a及び第2円環部品104bが回転すると、押圧部材108aと第1円環部品104aの接触部912が接触部914に移り、第1円環部品104aと第2円環部品104bの接触部112は接触部115の位置に移る。そして、第2円環部品104bとストッパ301の接触部110は接触部114に移る。これにより、接触部114における法線116上に、第1円環部品104aの中心軸105aと第2円環部品104bの中心軸105bが並ぶ相対位置の調整が行われる(中心軸調整工程)。
次に、制御装置126は、指部品124Baで第1円環部品104aを第2円環部品104bに押し当てながら、接触部114近傍を中心として、x軸回りにハンド123を回転させ、ハンド123の傾斜を戻す(ステップS212)。言い換えると、第1円環部品104aの中心軸105aと第2円環部品104bの中心軸105bとが平行に近づくようにハンド123の角度を調整する(角度調整工程)。ハンド123の傾斜を戻すことで、第1円環部品104aの傾斜も戻り、第2円環部品104bに装着(嵌合)可能になる。
次に、制御装置126は、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を下降させ、指部品124Ba〜124Bcの押圧面142Bで第1円環部品104aを第2円環部品104bに押し込む(押込み工程)。これにより、第1円環部品104aが第2円環部品104bの所望の挿入位置まで押し込まれ、第1円環部品104aへの装着が完了する(ステップS213)。第1円環部品104aの第2円環部品104bへの装着が完了すると、制御装置126は、ハンド123を駆動制御して指部品124Ba〜124Bcを閉じる。そして、ロボットアーム121を駆動制御してハンド123を供給機128の上方に位置させる(ステップS214、S215)。
以上説明したように、第3実施形態に係るロボット装置100Bは、第1円環部品104aを傾斜させて第2円環部品104bに押し当てることで中心軸を押し当て部における法線116上に一致させる(近づけさせる)。このとき、押し当て以外の指部品124Bb,124Bcを第1円環部品104aから離して把持状態を解除する。そのため、把持により第1円環部品104aが変形した場合においても、装着時には第1円環部品104aを自然長に戻すことができる。これにより、低剛性で変形し易い部品でも、内径に対する外径のクリアランスが少ない部品に対して容易に装着させることができる。また、傾斜させた状態で押し当てることで相対位置を調整するため、例えば、動作方向を探る等の作業が不要になる。そのため、作業時間を短くすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
例えば、本実施形態においては、ハンド123の指部品124a〜124c(124Ba〜124Bc)に設けた押圧面142(142B)で部品を押し込むように構成したが本発明はこれに限定されない。例えば、図15に示すように、ハンド123の略中央に矢印402方向に移動自在の押込み装置401を設け、押込み装置401で部品(例えば、円環部品104)を押し込むように構成してもよい。
また、本実施形態においては、複数の指部品を駆動するために複数のアクチュエータを使用したが、1つのアクチュエータで複数の指部品を駆動してもよい。この場合、押し当てに使用する指部品以外の指部品を離す工程では、指部品を離す際にロボットアームを押し当て方向に移動させることで押し当てに使用する指部品から離れず、押し当てに使用する指部品以外の指部品を把持している部品から離すことができる。
また、本実施形態においては、ロボットアーム121とハンド123との間に力センサ122を配置したが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、図16に示すように、ハンド123の指部品124に力センサ311を配置してもよい。
また、本実施形態においては、部材を把持する指部品124として、関節の無い指部品を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、図17(a)に示すように、多関節指部品を用いてもよく、この場合、図17(b)に示すように、指部品の多関節で部品を傾斜させることができる。また、複数の把持手段として、複数のロボットアームを用いて、複数のロボットアームの先端で部品を把持する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、第1部品として円環部品を用い、第2部品として円柱部品を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。第1部品は、例えば、図18(b)に示すように、内周面の少なくとも一部に円弧部11を有する部品であればよい。また、第2部品は、図18(a)に示すように、外周面の少なくとも一部に円弧部10を有する部品であればよい。
また、本実施形態においては、多関節ロボット120が、垂直多関節ロボットである場合について説明したが、水平多関節ロボット(スカラロボット)、パラレルリンクロボットなどであってもよい。
また、本実施形態の各処理動作は具体的には制御装置126のロボット制御部(CPU)152により実行されるものである。従って上述した機能を実現するプログラムを記録した記録媒体をロボット制御部152に供給し、ロボット制御部152のコンピュータ(CPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによって達成されるようにしてもよい。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラム自体及びそのプログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
また、本実施形態では、コンピュータ読み取り可能な記録媒体が不図示のハードディスクであり、ハードディスクにプログラムが格納される場合について説明したが、これに限定するものではない。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であれば、いかなる記録媒体に記録されていてもよい。例えば、プログラムを供給するための記録媒体としては、ROM、外部記憶装置、記録ディスク等を用いてもよい。具体例を挙げて説明すると、記録媒体として、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。また、本実施形態におけるプログラムを、ネットワークを介してダウンロードしてコンピュータにより実行するようにしてもよい。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、本実施形態の機能が実現されるだけに限定するものではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれてもよい。そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって本実施形態の機能が実現される場合も含まれる。