以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電子写真方式のプリンターにおいて本発明を具体化したものである。
[第1の形態]
図1に,第1の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す。画像形成装置1は,画像形成部2,定着処理部3,矯正部4を有している。画像形成部2は,トナー像を形成し,形成したトナー像を用紙Pに転写するものである。定着処理部3は,トナー像を担持している用紙Pを加熱しつつ加圧することにより,トナー像を用紙Pに定着させるものである。矯正部4は,定着処理後の用紙Pのカールや波打ちを除去するものである。
まず,画像形成部2について説明する。画像形成装置1は,画像形成部2に中間転写ベルト30を有する,いわゆるタンデム方式のカラープリンターである。中間転写ベルト30は導電性を有する無端状のベルト部材であり,その図中両端部がローラー31,32によって支持されている。画像形成時には,図1中右側のローラー31が反時計回りに回転駆動される。これにより,中間転写ベルト30および図1中左側のローラー32が従動回転する。
中間転写ベルト30のうち,図1中右側のローラー31に支持されている部分の外周面には,2次転写ローラー40が設けられている。2次転写ローラー40と中間転写ベルト30の外周面とは接触しており,その接触している転写ニップN1により,2次転写領域が形成されている。
また,中間転写ベルト30のうち,図1中左側のローラー32に支持されている部分の外周面には,ベルトクリーナー41が設けられている。ベルトクリーナー41は中間転写ベルト30の外周面に圧接されており,その接触している部分により,転写残トナーを回収する回収領域42が形成されている。
中間転写ベルト30の図1中下部には左から右に向かって順に,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kが配置されている。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kはいずれも,各色のトナー像を中間転写ベルト30上に転写するためのものである。また,画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kはいずれも,その構成は同じである。このため,図1では,画像形成ユニット10Yによって代表して符号をつけている。
すなわち,画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは,円筒状の静電潜像担持体である感光体11,および,その周囲に配置された帯電器12,現像ユニット14,および感光体クリーナー16を有している。また,感光体11と中間転写ベルト30を挟んで対向する位置には,1次転写ローラー15が配置されている。さらに,各色の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの図1中下方には,露光装置13が配置されている。
帯電器12は,感光体11の表面を均一に帯電させるためのものである。露光装置13は,画像データに基づいたレーザー光を感光体11の表面に照射させ、静電潜像を形成するためのものである。現像ユニット14は,現像ローラー17により,感光体11の表面にトナーを付与するためのものである。
中間転写ベルト30の図1中上方には,ホッパー18Y,18M,18C,18Kが配置されている。また,これらホッパー18Y,18M,18C,18Kにはそれぞれ,該当色のトナーを収容しているトナーボトル19Y,19M,19C,19Kが装着されている。各ホッパー18はそれぞれ,該当色の画像形成ユニット10の現像ユニット14に接続されている。ホッパー18は,トナーボトル19に収容されているトナーを適宜,対応する現像ユニット14へと補給するためのものである。
中間転写ベルト30の回転方向における画像形成ユニット10Kの下流側であって転写ニップN1の上流側の位置には,中間転写ベルト30上に転写されたトナー像の像濃度を検出するための濃度センサー20が設けられている。濃度センサー20は,中間転写ベルト30の外周面を検出位置としている。濃度センサー20は,例えば画像濃度の調整に用いられる,検出位置に向かって光を照射する投光部とその反射光を受光する受光部とを有するものである。
また図1では,帯電器12としてローラー形状をしたローラー帯電方式のものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。コロナ放電方式の帯電チャージャー,ブレード状の帯電部材,またはブラシ状の帯電部材等を用いても良い。また,感光体クリーナー16として,板状でその一端部が感光体11の外周面に接触しているものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。その他のクリーニング部材,例えば固定ブラシ,回転ブラシ,ローラーまたはそれらのうちの複数の部材を組み合わせたものを使用することができる。あるいは,感光体11上の未転写トナーを現像ユニット14により回収するクリーナーレス方式を採用すれば,感光体クリーナー16はなくてもよい。
また,画像形成装置1の下部には,着脱可能な給紙カセット51が装着されている。給紙カセット51の図1中右側より上方に向かっては,搬送経路50が設けられている。そして,給紙カセット51に積載により収容された用紙Pは,その最上部のものより1枚ずつ給紙ローラー52によって搬送経路50に送り出されるようになっている。
給紙ローラー52により送り出された画像形成部2内の用紙Pの搬送経路50には,1対のレジストローラー53,転写ニップN1がこの順で配置されている。レジストローラー53は,用紙Pを転写ニップN1へ送り出すタイミングを調整するためのものである。また,用紙Pには,転写ニップN1において,中間転写ベルト30上のトナー像の転写がなされる。搬送経路50の転写ニップN1のさらに下流には,定着処理部3が設けられている。
定着処理部3は,転写ニップN1において中間転写ベルト30から用紙Pに転写されたトナー像の,用紙Pへの定着処理を行うためのものである。定着処理部3には,加熱ローラー60と,加熱ローラー60と搬送経路50を挟んで対向する加圧ローラー61とが設けられている。加熱ローラー60は,内部にヒーター62を有している。加圧ローラー61は,加熱ローラー60へ向けて軸と垂直の方向に圧接されている。その圧接により,加熱ローラー60と加圧ローラー61との間には,用紙Pに定着処理を行う定着ニップN2が形成されている。
また,加熱ローラー60は,画像形成時には,反時計回りに回転駆動される。加熱ローラー60の回転により,加圧ローラー61は従動回転される。定着処理部3は,定着ニップN2において,通過する用紙Pを加熱しつつ加圧することにより,用紙Pが担持するトナー像の定着処理を行う。搬送経路50の定着ニップN2のさらに下流には,矯正部4が設けられている。矯正部4は,用紙Pに発生したカールや波打ちを矯正し,除去するためのものである。用紙Pのカールや波打ちは,例えば,用紙Pが定着処理時に加熱されることにより発生する。すなわち,加熱の際に用紙Pから水分が蒸発する程度が一様でないことにより,用紙Pにはカール等が発生する。
矯正部4には,搬送経路50に沿って,読取搬送装置100,デカール装置80,排紙ローラー54が設けられている。排紙ローラー54のさらに下流である矯正部4の下部には,排紙トレイ55が設けられている。また,読取搬送装置100の上方には,形状読取部70および照射部71が設けられている。形状読取部70および照射部71は,読取搬送装置100により搬送されている用紙Pの形状を,光切断法によって非接触で測定するためのものである。
形状読取部70は,CCDカメラであり,読取搬送装置100を搬送中の用紙Pの形状を,測定位置Mにおいて読み取るものである。照射部71は,図3に示されるように,測定位置M向かって,用紙Pの紙面に対して斜めの方向よりレーザー光Lを照射するものである。レーザー光Lは,用紙Pの搬送方向と直行する幅方向(図3において奥行き方向)のスリット状のものである。そして,レーザー光Lの照射により,測定位置Mにおける用紙Pの紙面上には,幅方向の線状の光の筋ができる。形状読取部70は,測定位置Mの直上に配置されており,レーザー光Lによって測定位置Mの用紙P上にできた線状の光の筋を撮像することによって用紙Pの形状を読み取ることができる。読取搬送装置100については,後に詳述する。
デカール装置80は,用紙Pにカールや波打ちが発生している場合,その発生している用紙Pのカール等を矯正するためのものである。デカール装置80は,搬送経路50に沿って配置されているローラー対であるデカールローラー81を複数有している。そして,各デカールローラー81の矯正ニップN3に用紙Pを通過させることにより,カール等の矯正を行うものである。
本形態のデカール装置80では,各デカールローラー81の矯正ニップN3における圧接力をそれぞれ調整することができる。その圧接力の調整により,用紙Pに発生しているカールや波打ちを矯正するための矯正量や矯正の方向を調整することができる。デカール装置80における矯正量や矯正の方向は,形状読取部70によって読み取られた用紙Pの形状に基づいて求められる。
次に,本形態の画像形成装置1による,通常の画像形成動作の一例について簡単に説明する。以下の説明は,給紙カセット51に収容されている用紙Pに,4色のトナーを用いてカラー画像を形成するプリントモードにおける画像形成動作の一例である。
通常の画像形成時には,中間転写ベルト30および各色の感光体11はそれぞれ,図1に矢印で示す向きに所定の周速度で回転される。感光体11の外周面は,まず,帯電器12によりほぼ一様に帯電される。次に,帯電された感光体11の外周面には,露光装置13によって画像データに応じた光が投射され,静電潜像が形成される。続いて,静電潜像は現像ユニット14の現像ローラー17の回転により供給されるトナーによって現像され,感光体11上にはトナー像が形成される。
感光体11上に形成された各色のトナー像は,1次転写ローラー15によって中間転写ベルト30上に転写(1次転写)される。すなわち,中間転写ベルト30上には,イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像がこの順で重ね合わされる。中間転写ベルト30に転写されず,1次転写ローラー15を過ぎた後も感光体11上に残留している転写残トナーは,感光体クリーナー16によって掻き取られ,感光体11上から除去される。そして,重ね合わされた4色のトナー像は,中間転写ベルト30によって転写ニップN1へと搬送される。
一方,給紙カセット51に収容されている用紙Pは,給紙ローラー52によって最上部のものから1枚ずつ搬送経路50に引き出される。引き出された用紙Pは,搬送経路50に沿って搬送され,レジストローラー53により,中間転写ベルト30に載置されたトナー像とタイミングを合わせて転写ニップN1に到達する。そして,転写ニップN1において,重ね合わされた4色のトナー像が用紙Pに転写(2次転写)される。なお,転写ニップN1を通過した後も中間転写ベルト30上に残留するトナー像は,回収領域42においてベルトクリーナー41によって掻き取られる。これにより,中間転写ベルト30上から除去される。
トナー像が転写された用紙Pは,さらに搬送経路50の下流側へと搬送される。すなわち,用紙Pは,定着処理部3においてトナー像の定着処理がなされた後,矯正部4へと搬送される。そして,矯正部4では,形状読取部70によって用紙Pの形状の読取りがなされ,その用紙Pの形状に基づいてデカール装置80による矯正がなされた後,排紙ローラー54によって排紙トレイ55に排出される。
図2に,画像形成装置1の制御構成の概略を示す。画像形成装置1は,各部の制御を行うために,コントローラー部90とエンジン制御部91とを有している。エンジン制御部91は,装置全体の制御処理を行うCPU92を中心に構成されている。
CPU92は,例えば,各種負荷94の制御を行い,画像形成を行う。すなわち,画像形成ユニット10におけるトナー像の形成や,定着処理部3におけるヒーター62の温度制御などを行う。また,画像形成時の矯正部4においては,読取搬送装置100を搬送中の用紙Pの形状の形状読取部70による読み取りの制御や,その読み取った用紙Pの形状に基づいてデカール装置80の矯正量および矯正の方向の算出を行う。さらに,算出した矯正量および矯正の方向となるようにデカール装置80の制御を行う。
また,エンジン制御部91は本体に付属されている不揮発性メモリ93と,各種ユニット付属の不揮発性メモリ95とを有している。CPU92は,本体に付属されている不揮発性メモリ93の書き込みや読み出しを行う。つまり,不揮発性メモリ93は,CPU92において演算したデータなどを記憶するものである。さらに,不揮発性メモリ93には,ローラー31の回転速度や各感光体11の回転速度,搬送経路50における用紙Pの搬送速度などのシステム速度なども記憶されている。
また,CPU92は,各種ユニット付属の不揮発性メモリ95の書き込みや読み出しを行う。各種ユニット付属の不揮発性メモリ95には,例えば,トナーボトル19に付属のメモリにはトナー残量など,イメージングユニットに付属のメモリには印刷枚数などが記憶されている。
また,コントローラー部90は,外部のパソコンなどに接続されて指示入力を受けるものである。さらに,エンジン制御部91とコントローラー部90とで,ドットカウンタ値などの各種の情報がやりとりされる。
図3は,本形態の読取搬送装置100の概略図である。読取搬送装置100は,図3に示すように,用紙Pを搬送するための構成として,搬送ベルト110,ベルト前搬送ローラー130,ベルト後搬送ローラー140を有する。搬送ベルト110は,無端状のベルト部材であり,その図中両端部がローラー120,121によって支持されている。図3中右側のローラー121が時計回りに回転駆動されることにより,搬送ベルト110および図3中左側のローラー120が従動回転する。これにより,搬送ベルト110の外周面のうちの上面である担持面に担持された用紙Pを,搬送経路50に沿って図3中右向きに搬送することができる。
なお,本形態の搬送ベルト110は,その外周面の移動方向と直行する幅方向(図3において奥行き方向)の長さが,用紙Pの幅方向の長さよりも長いものである。また,搬送ベルト110上には,用紙Pを上方より押さえることなどによって拘束するための構成は設けられていない。
ベルト前搬送ローラー130およびベルト後搬送ローラー140はともに搬送ローラー対であり,ニップにおいて用紙Pを挟み込みつつ回転することにより用紙Pを搬送することができる。ベルト前搬送ローラー130は,搬送ベルト110の上流に設けられており,読取搬送装置100へと移送されてきた用紙Pを搬送ベルト110上に送るためのものである。ベルト後搬送ローラー140は,搬送ベルト110の下流に設けられており,搬送ベルト110上の用紙Pを読取搬送装置100から搬出するためのものである。
本形態では,搬送経路50上におけるベルト前搬送ローラー130から測定位置Mまでの距離は,用紙Pの搬送方向の長さよりも長くされている。また,搬送経路50上における測定位置Mからベルト後搬送ローラー140までの距離についても,用紙Pの搬送方向の長さよりも長くされている。
また,読取搬送装置100は,搬送ベルト110を覆うカバーダクト150を有している。本形態では,ベルト前搬送ローラー130およびベルト後搬送ローラー140はともに,カバーダクト150の外側の構成である。また,図3に示すように,形状読取部70および照射部71はともに,カバーダクト150の外の上方に配置されている。
カバーダクト150には,図3中左側には吸気ファン160が,図3中右側には排気ファン170が接続されている。吸気ファン160は,カバーダクト150の外部の空気を内部へ吸入するためのファンである。排気ファン170は,カバーダクト150の内部の空気を外部へ排出するためのファンである。
さらに,ベルト前搬送ローラー130のすぐ下流におけるカバーダクト150の搬送経路50と交わる箇所には,開口151が形成されている。ベルト後搬送ローラー140のすぐ上流におけるカバーダクト150の搬送経路50と交わる箇所には,開口152が形成されている。開口151,152はともに,用紙Pの断面よりもわずかに大きいスリット形状をしている。開口151は,用紙Pをカバーダクト150の外部から内部へ入れるための開口部である。開口152は,用紙Pをカバーダクト150の内部から外部へ出すための開口部である。
また,開口152には,ガイド141が固定されている。ガイド141は,用紙Pの搬送方向の先端を開口152,さらにはベルト後搬送ローラー140のニップへと導くためのものである。このガイド141により,用紙Pの先端がカールしていた場合にも,その用紙Pの先端を確実にベルト後搬送ローラー140のニップへと通過させることができる。
そして,吸気ファン160および排気ファン170が駆動されることにより,カバーダクト150の内部には,図3中右向きの気流Aが発生する。つまり,気流Aの方向は,用紙Pの搬送方向と同じ方向である。また,本形態の吸気ファン160および排気ファン170は,カバーダクト150内部の気流Aの速さが,用紙Pの搬送速度と同じ速さとなるように空気の吸入および排出を行うことができる。
なお,気流Aは,カバーダクト150の開口151,152を通過する空気の影響を受けることがある。しかし,開口151,152は用紙Pよりもわずかに大きい程度のスリットであるため,開口151,152が設けられていることによって気流Aが受ける影響はほとんど問題がない程度である。しかし,開口151,152を通過する空気によって気流Aが受ける影響が大きい場合には,用紙Pがそれぞれの位置を通過しているときには開状態をとり,それ以外のときに閉状態をとる開閉部を設けてもよい。
また,カバーダクト150の上面部分であるダクト上面部153は,透明な材質のものにより構成されている。これにより,照射部71が照射するレーザー光Lは,カバーダクト150のダクト上面部153に遮られることなく,測定位置Mを通過する用紙P上に光の筋を形成することができる。また,形状読取部70は,測定位置Mにおいて,レーザー光Lによって用紙P上にできた光の筋を撮像することができる。
そして,読取搬送装置100に搬送されてきた用紙Pは,ベルト前搬送ローラー130によって搬送ベルト110上へと送られる。搬送ベルト110上の用紙Pは,搬送ベルト110の回転によって,レーザー光Lが照射されている測定位置Mを通過する。よって,用紙P上には,測定位置Mにおいて,レーザー光Lによる光の筋ができる。そして形状読取部70は,測定位置Mにおける用紙P上の光の筋を連続的に撮像し,その撮像したデータをCPU92へと出力する。
用紙Pにカールや波打ちが発生していない場合,形状読取部70によって撮像される測定位置Mにおける用紙P上の光の筋は,真っ直ぐである。一方,用紙Pにカールや波打ちが発生している場合,形状読取部70によって撮像される測定位置Mにおける用紙P上の光の筋は,そのカールや波打ちの程度によって歪んでいる。
すなわち,CPU92は,形状読取部70によって撮像された光の筋の形状より,測定位置Mにおける用紙Pの形状を演算によって求めることができる。さらに,CPU92は,形状読取部70が測定位置Mを通過する用紙Pの搬送方向の先端から後端まで連続的に複数回撮像したデータより,その用紙Pの全体の形状を演算によって求めることができる。これにより,用紙Pの形状を測定することができる。
そして,本形態の読取搬送装置100では,用紙Pの形状を正確に測定することができる。カバーダクト150内に気流Aを発生させているからである。例えば,測定位置Mにおける空気が停止している場合,測定位置Mを通過する用紙Pはその停止している空気の抵抗を受けて実際の形状とは異なる形状に変形してしまうことがある。これに対し,読取搬送装置100では,測定位置Mにおいて,用紙Pの周囲の空気が用紙Pの搬送速度と同じ速さで動いていることにより,用紙Pは,搬送による空気抵抗を受けることがない。このため,空気抵抗を受けて変形していない状態の,用紙Pの実際の形状を測定することができるからである。
さらに,本形態では,ベルト前搬送ローラー130から測定位置Mまでの距離,および,測定位置Mからベルト後搬送ローラー140までの距離がともに,用紙Pの搬送方向の長さよりも長いことにより,用紙Pの形状を正確に測定することができる。例えば,カールが発生している用紙Pの搬送方向の後端がベルト前搬送ローラー130のニップに挟まれて拘束されているとき,用紙Pの先端側は,搬送ベルト110の担持面から浮いてしまうことがある。そして,用紙Pの先端側の箇所が浮いてしまった状態で測定位置Mを通過した場合,先端側の形状を正確に測定することはできない。これに対し,本形態では,用紙Pの一部が測定位置Mを通過しているとき,用紙Pはベルト前搬送ローラー130およびベルト後搬送ローラー140のいずれにも拘束されることがない。これにより,搬送ベルト110上において,拘束により変形をしていない用紙Pの実際の形状を測定することができるからである。
また,読取搬送装置100により,用紙Pの形状の測定を,用紙Pを搬送しつつ行うことができる。よって,画像形成の生産性を低下させることはない。さらに,形状読取部70および照射部71はともに,カバーダクト150の外に配置されている。形状読取部70および照射部71をカバーダクト150内に配置した場合,これらの存在によって気流Aが乱れるおそれがある。よって,形状読取部70および照射部71をカバーダクトの外に配置することにより,気流Aを安定して流すことができる。
CPU92は,用紙Pが測定位置Mを通過後,デカール装置80に到達する前に,測定した用紙Pのカール等の程度に基づいて,デカール装置80におけるカール等の矯正量や矯正の方向を調整する。具体的には,各デカールローラー81の矯正ニップN3における圧接力の調整を行う。よって,用紙Pは,カール等の矯正量や矯正の方向が調整されたデカール装置80通過し,そのカール等が矯正された後,排紙ローラー54によって排紙トレイ55に排出される。
このように排出された各用紙Pはいずれも,排紙トレイ55における集積において支障がない。デカール装置80における用紙Pのカール等の矯正量や矯正の方向が,測定した用紙Pの実際の形状に基づいて定められたものだからである。すなわち,デカール装置80により,カールや波打ちが適切に除去されているからである。これにより,排出された用紙Pを複数綴じて製本する場合にも,その製本品質は高いものである。
以上詳細に説明したように,本形態の画像形成装置1は,矯正部4に,読取搬送装置100を有する。読取搬送装置100は,用紙Pを担持して測定位置Mに通過させる搬送ベルト110を有する。測定位置Mでは,形状読取部70により,用紙Pの形状が測定される。そして,測定位置Mを含む搬送ベルト110を覆うカバーダクト150内には,用紙Pの搬送方向と同じ方向の気流Aを発生させている。また,その気流Aの速さは,用紙Pの搬送速度と同じ速さである。このため,形状読取部70により,画像形成の生産性を低下させることなく,用紙Pの正確な形状を測定することができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,上記の形態では,カバーダクト内に気流Aを発生させるため,吸気ファンおよび排気ファンをともに設けているが,これに限られるものではない。つまり,吸気ファンおよび排気ファンは,いずれか一方のみとしてもよい。また例えば,気流Aの方向および速さは,用紙Pの搬送方向および搬送速度と完全に一致していなくてもよい。すなわち,気流Aの方向および速さは用紙Pが空気抵抗によって変形しない程度の範囲内であればよく,例えば用紙Pがコシの強い厚紙である場合,気流Aの速さは用紙Pの搬送速度と多少異なっていてもよい。厚紙は,ある程度の空気抵抗を受けてもほとんど変形しないからである。
また例えば,カバーダクトは,少なくとも測定位置Mを覆う形状であればよい。測定位置Mにおける空気抵抗を抑制することができるからである。また例えば,カバーダクトがなくても測定位置Mに気流Aを適切に発生させることができる場合,カバーダクトはなくてもよい。
また例えば,上記の形態では光切断法により用紙Pの形状を測定しているが,その他の非接触の方法により用紙Pの形状を測定することとしてもよい。例えば,用紙Pの全面に格子状のレーザー光を照射し,そのレーザー光を照射中の用紙Pの全面をCCDカメラで撮影することにより,用紙Pの形状を測定することもできる。なおこの場合,測定位置Mは用紙Pの全面である。また例えば,測定した用紙Pの形状に基づいて,定着処理部における加熱温度を補正することとしてもよい。用紙Pのカールや波打ちは,主に,用紙Pが定着処理部において加熱しつつ加圧されることによって発生する。そして,測定した用紙Pの形状に基づいて定着処理部における加熱温度を補正することにより,その次の用紙Pについてのカールや波打ちを低減することができるからである。
[第2の形態]
第2の形態について説明する。本形態に係る画像形成装置は,第1の形態と読取搬送装置の構成が異なる。詳細には,本形態の読取搬送装置は,搬送ベルトと,搬送ベルトの前後の搬送ローラーとを覆うカバーダクトを有する。
図4に,第2の形態に係る読取搬送装置200の概略図を示す。また,図5は,読取搬送装置200の平面図である。なお,画像形成装置1の読取搬送装置200以外の構成については,第1の形態と同様である(図1,図2)。
図4に示すように,読取搬送装置200は,用紙Pを搬送するための構成として,第1の形態と同様の搬送ベルト110,ベルト前搬送ローラー130,ベルト後搬送ローラー140を有する。本形態の読取搬送装置200は,後述するように,第1の形態と異なるカバーダクト250を有する。また,本形態でも,カバーダクト250の外側の上方には,第1の形態と同様の形状読取部70および照射部71が配置されている。
本形態の読取搬送装置200のカバーダクト250は,第1の形態と異なり,搬送ベルト110と,搬送ベルト110の上流のベルト前搬送ローラー130と,搬送ベルト110の下流のベルト後搬送ローラー140とを覆うものである。なお,カバーダクト250上面部分であるダクト上面部253は,形状読取部70および照射部71によって用紙Pの形状測定を行うため,透明な材質のものにより構成されている。
また,カバーダクト250の図4中左側には吸気ファン260が,図4中右側には排気ファン270が接続されている。図5の平面図に示すように,カバーダクト250には,吸気ファン260および排気ファン270がそれぞれ2つずつ,用紙Pの通過領域の外側の位置に接続されている。
図5に示すように,本形態では,カバーダクト250のベルト前搬送ローラー130のすぐ上流の箇所に開口251が,カバーダクト250のベルト後搬送ローラー140のすぐ下流の箇所に開口252が,それぞれ形成されている。開口251,252はともに,搬送経路50と交わる位置に形成されており,用紙Pの断面よりもわずかに大きいスリット形状をしている。開口251は用紙Pをカバーダクト250の外部から内部へ入れるための開口部であり,開口252は用紙Pをカバーダクト250の内部から外部へ出すための開口部である。
そして,吸気ファン260および排気ファン270が駆動されることにより,カバーダクト250の内部には,用紙Pの搬送方向と同じ方向の気流Aが発生する。また,本形態の吸気ファン260および排気ファン270についても,気流Aの速さが,用紙Pの搬送速度と同じ速さとなるように空気の吸入および排出を行うことができる。
本形態の読取搬送装置200においても,用紙Pは,ベルト前搬送ローラー130によって搬送ベルト110上へと送られる。搬送ベルト110上の用紙Pは,搬送ベルト110の回転によって,測定位置Mを通過する。よって,用紙Pは,測定位置Mにおいて,その形状が測定される。
そして,本形態の読取搬送装置200においても,用紙Pの形状を正確に測定することができる。カバーダクト250内に気流Aを発生させているため,測定位置Mにおいて,用紙Pが空気抵抗により変形しないからである。また,用紙Pの一部が測定位置Mを通過しているとき,用紙Pはベルト前搬送ローラー130およびベルト後搬送ローラー140のいずれにも拘束されることがなく,用紙Pは拘束によって変形することがないからである。
また,デカール装置80は,測定位置Mにおいて正確に測定された用紙Pの形状に基づき,カール等の矯正量や矯正の方向を調整する。これにより,読取搬送装置200を通過した用紙Pは,デカール装置80でカール等が適切に矯正された後,排紙ローラー54によって排紙トレイ55に排出される。よって,各用紙Pの排紙トレイ55における集積において支障がない。加えて,排出された用紙Pを複数綴じて製本する場合にも,その製本品質は高いものである。
さらに,本形態の読取搬送装置200のカバーダクト250は,搬送ベルト110と,搬送ベルト110の上流のベルト前搬送ローラー130と,搬送ベルト110の下流のベルト後搬送ローラー140とを覆っている。これにより,カバーダクト250を,第1の形態のカバーダクト150と比較して,簡素な形状のものとすることができる。
すなわち,第1の形態においては,搬送ベルト110がカバーダクト150の内部に,ベルト前搬送ローラー130およびベルト後搬送ローラー140がカバーダクト150の外側に配置されている。このため,第1の形態におけるカバーダクト150は,ベルト前搬送ローラー130およびベルト後搬送ローラー140を避けるように湾曲している。(図3)。これに対し,本形態のカバーダクト250においては,搬送ベルト110,ベルト前搬送ローラー130,ベルト後搬送ローラー140がいずれも内部に配置されているため,第1の形態のような湾曲箇所は不要だからである。
以上詳細に説明したように,本形態の画像形成装置1は,矯正部4に,読取搬送装置200を有する。読取搬送装置200のカバーダクト250は,搬送ベルト110,ベルト前搬送ローラー130,ベルト後搬送ローラー140のいずれも覆っている。これにより,画像形成の生産性を低下させることなく用紙Pの正確な形状を測定することができるとともに,カバーダクト250の形状が簡素なものとされている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,上記の形態では,カバーダクト内に気流Aを発生させるため,吸気ファンおよび排気ファンをともに設けているが,これに限られるものではない。つまり,吸気ファンおよび排気ファンは,いずれか一方のみとしてもよい。また例えば,気流Aの方向および速さは,用紙Pの搬送方向および搬送速度と完全に一致していなくてもよい。すなわち,気流Aの方向および速さは用紙Pが空気抵抗によって変形しない程度の範囲内であればよく,例えば用紙Pがコシの強い厚紙である場合,気流Aの速さは用紙Pの搬送速度と多少異なっていてもよい。厚紙は,ある程度の空気抵抗を受けてもほとんど変形しないからである。
また例えば,上記の形態では光切断法により用紙Pの形状を測定しているが,その他の非接触の方法により用紙Pの形状を測定することとしてもよい。例えば,用紙Pの全面に格子状のレーザー光を照射し,そのレーザー光を照射中の用紙Pの全面をCCDカメラで撮影することにより,用紙Pの形状を測定することもできる。なおこの場合,測定位置Mは用紙Pの全面である。また例えば,測定した用紙Pの形状に基づいて,定着処理部における加熱温度を補正することとしてもよい。用紙Pのカールや波打ちは,主に,用紙Pが定着処理部において加熱しつつ加圧されることによって発生する。そして,測定した用紙Pの形状に基づいて定着処理部における加熱温度を補正することにより,その次の用紙Pについてのカールや波打ちを低減することができるからである。
[第3の形態]
第3の形態について説明する。本形態に係る画像形成装置は,上記の形態と読取搬送装置の構成が異なる。詳細には,本形態の読取搬送装置は,幅狭の複数の搬送ベルトを互いに間隔を設けつつ平行に配置してなる構成のものである。また,本形態の読取搬送装置は,搬送ベルトの内側に,間隔を設けて配置されている搬送ベルトの隙間に気流を発生させるためのベルト内ダクトを有するものである。
図6に,第3の形態に係る読取搬送装置300の概略図を示す。図6では,本形態の読取搬送装置300の構成のうち,上記の形態の読取搬送装置と同じ構成であるベルト前搬送ローラー130等については,同じ符号を付して示している。また,画像形成装置1の読取搬送装置300以外の構成については,第1の形態と同様である(図1,図2)。
本形態の読取搬送装置300は,上記の形態とは異なる搬送ベルト310を有する。図7は,本形態の搬送ベルト310の平面図である。図7に示すように,搬送ベルト310は用紙Pの幅よりも幅狭のベルトである。本形態では,4つの搬送ベルト310が,その幅方向に互いに間隔を設けつつ平行に配置されている。このため,各搬送ベルト310の外周面よりなる用紙Pの担持面は,搬送ベルト310の回転による外周面の移動方向に長い複数の列状の面である。また,図7に示すように,各搬送ベルト310の間には,隙間Cが存在する。つまり,各搬送ベルト310による用紙Pの列状の担持面には,隙間Cが存在している。
また,本形態の搬送ベルト310を両端で支持するローラー320,321はそれぞれ,図7に示すように,大径部322,324および小径部323,325からなるものである。搬送ベルト310はいずれも,ローラー320,321の小径部323,325に巻き掛けられている。そして,大径部322,324は,各搬送ベルト310の間に隙間Cを設けるとともに,小径部323,325に巻き掛けられている搬送ベルト310の回転駆動時における蛇行を防止するためのものである。
さらに,本形態の読取搬送装置300は,搬送ベルト310の内側を通過しているベルト内ダクト330を有している。図6に示すように,ベルト内ダクト330の左側は,搬送ベルト310の左下の吸気ファン340に接続されている。また,ベルト内ダクト330の右側は,搬送ベルト310の右下の排気ファン350に接続されている。
吸気ファン340は,ベルト内ダクト330の外部の空気を内部へ吸入するためのファンである。排気ファン350は,ベルト内ダクト330の内部の空気を外部へ排出するためのファンである。ベルト内ダクト330の搬送ベルト310の内側の部分と吸気ファン340および排気ファン350との接続部分はいずれも,各搬送ベルト310の間の隙間Cを通して設けられている。
そして,吸気ファン340および排気ファン350が駆動されることにより,ベルト内ダクト330の内部には,図6中右向きの気流Bが発生する。つまり,気流Bの方向は,用紙Pの搬送方向と同じ方向である。また,本形態の吸気ファン340および排気ファン350は,気流Bの速さが,用紙Pの搬送速度と同じ速さとなるように空気の吸入および排出を行うことができる。
さらに,図6に示すように,ベルト内ダクト330の搬送ベルト310の内側の部分の上部には,開口部331が形成されている。開口部331は,図6および図7に示すように,測定位置Mの下部を含む領域に開口している。すなわち,ベルト内ダクト330は,搬送ベルト310に担持して搬送されている用紙Pの下側の隙間Cにおける箇所に気流Bを流すことができる。
そして,本形態の読取搬送装置300においても,用紙Pは,ベルト前搬送ローラー130によって搬送ベルト310上へと送られる。搬送ベルト310上の用紙Pは,搬送ベルト310の回転によって,レーザー光Lの測定位置Mを通過する。よって,用紙Pは,測定位置Mにおいて,その形状が測定される。
そして,本形態の読取搬送装置300においては,用紙Pの形状を,上記の形態と比較してより正確に測定することができる。すなわち,読取搬送装置300では,搬送ベルト310に担持されている用紙Pの上側に気流Aを,下側に気流Bを流している。これにより,用紙Pは,その上側の空気からも,下側の空気からも,抵抗を受けることがほとんどないからである。よって,測定位置Mにおける用紙Pの空気抵抗による変形が,上記の形態と比較してより低減されているからである。また,用紙Pの一部が測定位置Mを通過しているとき,用紙Pはベルト前搬送ローラー130およびベルト後搬送ローラー140のいずれにも拘束されることがなく,用紙Pは拘束によって変形することがないからである。
従って,用紙Pは,測定位置Mにおいて正確に測定された用紙Pの形状に基づいてカール等の矯正量や矯正の方向を調整されたデカール装置80により,カール等が適切に矯正された後,排紙ローラー54によって排紙トレイ55に排出される。このため,各用紙Pの排紙トレイ55における集積において支障がなく,また,排出された用紙Pを用いた製本においても製本品質は高いものである。
以上詳細に説明したように,本形態の画像形成装置1は,矯正部4に,読取搬送装置300を有する。読取搬送装置300の搬送ベルト310は,隙間Cを設けつつ配置されている。つまり,各搬送ベルト310による用紙Pの担持面には,隙間Cが存在している。また,担持面の隙間Cには,用紙Pの搬送方向と同じ方向の気流Bを発生させている。また,その気流Bの速さは,用紙Pの搬送速度と同じ速さである。このため,画像形成の生産性を低下させることなく,用紙Pの正確な形状を測定することができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,上記の形態では,カバーダクト内に気流Aを発生させるため,吸気ファンおよび排気ファンをともに設けているが,これに限られるものではない。つまり,吸気ファンおよび排気ファンは,いずれか一方のみとしてもよい。また例えば,気流Aの方向および速さは,用紙Pの搬送方向および搬送速度と完全に一致していなくてもよい。すなわち,気流Aの方向および速さは用紙Pが空気抵抗によって変形しない程度の範囲内であればよく,例えば用紙Pがコシの強い厚紙である場合,気流Aの速さは用紙Pの搬送速度と多少異なっていてもよい。厚紙は,ある程度の空気抵抗を受けてもほとんど変形しないからである。
また例えば,カバーダクトは,少なくとも測定位置Mを覆う形状であればよい。測定位置Mにおける空気抵抗を抑制することができるからである。また例えば,カバーダクトがなくても測定位置Mに気流Aを適切に発生させることができる場合,カバーダクトはなくてもよい。
また例えば,測定位置Mにおける用紙Pの下側に気流Bを適切に発生させることができれば,上記の形態の構成に限られない。例えば,ベルト内ダクトは,少なくとも,測定位置Mにおいて,搬送ベルトの隙間Cに開口する開口部が形成されているものであればよい。また,搬送ベルトは,気流Bに影響がない程度であれば,隙間Cにおいて,互いにその一部同士が繋がっているものであってもよい。隙間Cを適切に保ちつつ回転することができるからである。また例えば,搬送ベルトとして,用紙Pよりも幅広であり,その用紙Pの担持面となる外周面に,担持面の移動方向にのびる複数の列状の凹部が,担持面の幅方向に間隔を設けつつ形成されたものを用いてもよい。そして,その凹部に気流Bを発生させる構成としてもよい。
また例えば,上記の形態では光切断法により用紙Pの形状を測定しているが,その他の非接触の方法により用紙Pの形状を測定することとしてもよい。例えば,用紙Pの全面に格子状のレーザー光を照射し,そのレーザー光を照射中の用紙Pの全面をCCDカメラで撮影することにより,用紙Pの形状を測定することもできる。なおこの場合,測定位置Mは用紙Pの全面である。また例えば,測定した用紙Pの形状に基づいて,定着処理部における加熱温度を補正することとしてもよい。用紙Pのカールや波打ちは,主に,用紙Pが定着処理部において加熱しつつ加圧されることによって発生する。そして,測定した用紙Pの形状に基づいて定着処理部における加熱温度を補正することにより,その次の用紙Pについてのカールや波打ちを低減することができるからである。
[第4の形態]
第4の形態について説明する。本形態に係る画像形成装置は,上記の形態と読取搬送装置の構成が異なる。詳細には,本形態の読取搬送装置は,搬送ベルトと,搬送ベルトの前後の搬送ローラーとを覆うカバーダクトを有する。また,互いに間隔を設けて平行に配置した幅狭の複数の搬送ベルトと,搬送ベルトの内側に,複数の搬送ベルトの隙間に気流を発生させるためのベルト内ダクトを有する。
図8に,第4の形態に係る読取搬送装置400の概略図を示す。図8では,本形態の読取搬送装置400の構成のうち,上記の形態の読取搬送装置と同じ構成については,同じ符号を付して示している。なお,画像形成装置1の読取搬送装置400以外の構成については,第1の形態と同様である(図1,図2)。
図8に示すように,本形態の読取搬送装置400は,第3の形態と同様,両端がローラー320,321によって支持された搬送ベルト310を有している。本形態においても,搬送ベルト310は4つであり,その幅方向に互いに間隔を設けつつ平行に配置されている。よって,各搬送ベルト310の間には,隙間Cが存在する(図7)。
さらに,読取搬送装置400は,第3の形態と同様,搬送ベルト310の内側を通過しているベルト内ダクト330を有している。ベルト内ダクト330には,測定位置Mの下部を含む領域に開口している開口部331が形成されている(図7,図8)。このため,ベルト内ダクト330は,吸気ファン340および排気ファン350により,搬送ベルト310に担持して搬送されている用紙Pの下側の隙間Cにおける箇所に気流Bを流すことができる。本形態においても,気流Bの方向は,用紙Pの搬送方向と同じ方向である。また,吸気ファン340および排気ファン350は,気流Bの速さが,用紙Pの搬送速度と同じ速さとなるように空気の吸入および排出を行うことができる。
また,読取搬送装置400は,第2の形態と同様,搬送ベルト310と,搬送ベルト310の上流のベルト前搬送ローラー130と,搬送ベルト310の下流のベルト後搬送ローラー140とを覆うカバーダクト250を有する。カバーダクト250上面部分であるダクト上面部253は,透明な材質のものにより構成されている。このため,吸気ファン260および排気ファン270により,カバーダクト250の内部には,用紙Pの搬送方向と同じ方向の気流Aが発生する。また,本形態の吸気ファン260および排気ファン270についても,カバーダクト250内部の気流Aの速さが,用紙Pの搬送速度と同じ速さとなるように空気の吸入および排出を行うことができる。
よって,本形態の読取搬送装置400においても,用紙Pの形状を,測定位置Mにおいて正確に測定することができる。搬送ベルト310に担持されている用紙Pの上側に気流Aを,下側に気流Bを流していることにより,用紙Pは,その上側の空気からも,下側の空気からも,抵抗を受けることがほとんどないからである。よって,測定位置Mにおける用紙Pの空気抵抗による変形が低減されているからである。また,用紙Pの一部が測定位置Mを通過しているとき,用紙Pはベルト前搬送ローラー130およびベルト後搬送ローラー140のいずれにも拘束されることがなく,用紙Pは拘束によって変形することがないからである。
従って,用紙Pは,測定位置Mにおいて正確に測定された用紙Pの形状に基づいてカール等の矯正量や矯正の方向を調整されたデカール装置80により,カール等が適切に矯正された後,排紙ローラー54によって排紙トレイ55に排出される。このため,各用紙Pの排紙トレイ55における集積において支障がなく,また,排出された用紙Pを用いた製本においても製本品質は高いものである。
さらに,カバーダクト250は,搬送ベルト310と,搬送ベルト310の上流のベルト前搬送ローラー130と,搬送ベルト310の下流のベルト後搬送ローラー140とを覆っている。これにより,カバーダクト250を,湾曲箇所のない簡素な形状のものとすることができる。
以上詳細に説明したように,本形態の画像形成装置1は,矯正部4に,読取搬送装置400を有する。読取搬送装置400の搬送ベルト310は,隙間Cを設けつつ配置されている。つまり,各搬送ベルト310による用紙Pの担持面には,隙間Cが存在している。また,担持面の隙間Cには,用紙Pの搬送方向と同じ方向の気流Bを発生させている。また,その気流Bの速さは,用紙Pの搬送速度と同じ速さである。さらに,カバーダクト250は,搬送ベルト310,ベルト前搬送ローラー130,ベルト後搬送ローラー140のいずれも覆っている。これにより,画像形成の生産性を低下させることなく用紙Pの正確な形状を測定することができるとともに,カバーダクト250の形状が簡素なものとされている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,上記の形態では,カバーダクト内に気流Aを発生させるため,吸気ファンおよび排気ファンをともに設けているが,これに限られるものではない。つまり,吸気ファンおよび排気ファンは,いずれか一方のみとしてもよい。また例えば,気流Aの方向および速さは,用紙Pの搬送方向および搬送速度と完全に一致していなくてもよい。すなわち,気流Aの方向および速さは用紙Pが空気抵抗によって変形しない程度の範囲内であればよく,例えば用紙Pがコシの強い厚紙である場合,気流Aの速さは用紙Pの搬送速度と多少異なっていてもよい。厚紙は,ある程度の空気抵抗を受けてもほとんど変形しないからである。
また例えば,測定位置Mにおける用紙Pの下側に気流Bを適切に発生させることができれば,上記の形態の構成に限られない。例えば,ベルト内ダクトは,少なくとも,測定位置Mにおいて,搬送ベルトの隙間Cに開口する開口部が形成されているものであればよい。また,搬送ベルトは,気流Bに影響がない程度であれば,隙間Cにおいて,互いにその一部同士が繋がっているものであってもよい。隙間Cを適切に保ちつつ回転することができるからである。また例えば,搬送ベルトとして,用紙Pよりも幅広であり,その用紙Pの担持面となる外周面に,複数の列状の凹部が担持面の幅方向に間隔を設けつつ複数形成されたものを用いてもよい。そして,その凹部に気流Bを発生させる構成とすることもできる。
また例えば,上記の形態では光切断法により用紙Pの形状を測定しているが,その他の非接触の方法により用紙Pの形状を測定することとしてもよい。例えば,用紙Pの全面に格子状のレーザー光を照射し,そのレーザー光を照射中の用紙Pの全面をCCDカメラで撮影することにより,用紙Pの形状を測定することもできる。なおこの場合,測定位置Mは用紙Pの全面である。また例えば,測定した用紙Pの形状に基づいて,定着処理部における加熱温度を補正することとしてもよい。用紙Pのカールや波打ちは,主に,用紙Pが定着処理部において加熱しつつ加圧されることによって発生する。そして,測定した用紙Pの形状に基づいて定着処理部における加熱温度を補正することにより,その次の用紙Pについてのカールや波打ちを低減することができるからである。