以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図である。図1において、100はカラーレーザプリンタ、101は、カラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。そして、この画像形成装置の本体であるプリンタ本体101の内部には、画像を形成する画像形成部102、シート給送部103、定着部(定着手段)3等が設けられている。なお、上記したように、本実施の形態の画像形成装置はカラーレーザプリンタであるとして説明するが、この画像形成装置を、カラーレーザプリンタのみならず、モノクロ複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機などとしてもよい。従って、本発明の画像形成装置は、カラーレーザプリンタに限定されるものではない。
ここで、画像形成部102は、図1の正面視で左右幅方向に配置され、それぞれイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、及びブラック(Bk)の4色のトナー画像を担持する像担持体である感光ドラム(感光体)13を備えている。また、画像形成部102は、感光ドラム13の周囲に、感光ドラム13の表面を一様に帯電する帯電ローラ(不図示)、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光ドラム13上に静電潜像を形成する露光手段12を備えている。更に、画像形成部102は、感光ドラム13の周囲に、静電潜像にトナー(粉体トナー)を付着させてトナー像として顕像化するカラー現像器(不図示)を備えている。
なお、上記した、感光ドラム13や、帯電ローラ及びカラー現像器等は、一体的にカートリッジ化され、プロセスカートリッジを形成する。そして、このプロセスカートリッジは、プリンタ本体101に対して着脱自在に支持され、感光ドラム13等の寿命に合わせて容易に単独で交換できるように構成されている。また、本実施の形態において、感光ドラム13は、アルミシリンダの外側に有機光導電体層を塗布して構成され、上記プロセスカートリッジに回転自在に支持されている。また、感光ドラム13は、不図示の駆動モータにより、画像形成動作に応じて反時計回りに回転するようになっている。
さらに、画像形成部102は、プリンタ本体101内部の上下方向中間部で感光ドラム13の下方に、図中の矢印方向に走行する無端状の中間転写体である中間転写ベルト1等を備えている。
中間転写ベルト1は、その上方に直列状に配置された各感光ドラム13に接触すると共に、駆動ローラ19a、テンションローラ19b、及び2次転写対向ローラ19cにより張設されている。そして、中間転写ベルト1は、カラー画像形成時には駆動ローラ19aの時計周り方向への回転に伴って図中の矢印に示す方向に回転し、感光ドラム13に形成されている各色トナー像が転写される。
また、中間転写ベルト1の内側には感光ドラム13に対向して1次転写ローラ14が配置されている。そして、画像形成時には、この1次転写ローラ14を介して不図示のバイアス印加手段によって転写バイアスが印加されることにより、感光ドラム13に形成されている各色トナー像が中間転写ベルト1上に順次転写される。さらに、この中間転写ベルト1上に転写された各色トナー像は、2次転写対向ローラ19c及び2次転写ローラ19dにより構成される2次転写部TにてシートSが挟持搬送される際、シートSに転写される。
2次転写部Tの搬送方向下流には、定着部3が配置されている。定着部3は、2次転写部Tにおいて転写されたトナー像をシートSに定着させるものであり、シートSを加熱する定着ローラ3aとシートSを定着ローラ3aに圧接させるための加圧ローラ3bとを備えている。そして、転写されたトナー像を保持したシートSは定着ローラ3aと加圧ローラ3bとにより搬送されると共に、定着部3を通過する際に熱及び圧力が加えられることによってトナー像がその表面に定着される。
定着部3の搬送方向下流には、ガイド4、カール矯正装置(カール矯正手段)5、及びガイド6を通して排出部8へと続く、シートの搬送経路である搬送路(シート搬送路)Lが形成されている。ガイド4には、定着部3からのシートSを搬送する定着手段出口ローラ31と、定着手段出口ローラ31にて搬送されるシートSのカール量を検知するカール状態検知装置(カール方向検知手段、カール量検知手段)11とが同順に配置されている。ガイド4のカール状態検知装置11を経過したシートSは、本発明の特徴であるカール矯正を行うカール矯正装置5を通過してガイド6へと搬送される。なお、図中の符号200は、カール矯正装置5を備えたシート搬送装置である。
また、シート給送部103は、シートSを収納する給紙カセット16と、給紙カセット16に収納されたシートSを送り出す給紙ローラ9とを備えている。
ここで、前述したように構成されたカラーレーザプリンタ(画像形成装置)100にあって、シートSにカラー画像を形成する場合には、不図示の帯電ローラによって所定の負極性の電位に感光ドラム13を帯電させる。その後、例えばパソコン等の外部入力機器から受信した画像形成に係る画像データを、各色成分の画像信号に基づいて露光手段12により感光ドラム13に対して露光を行い、感光ドラム13表面に静電潜像を形成する。
次に、この静電潜像をカラー現像器(不図示)によってマゼンダ、イエロー、シアン、ブラックの各色トナーによって現像して感光ドラム13上にトナー像を形成する。この後、トナー像が感光ドラム13の回転に伴って感光ドラム13と中間転写ベルト1とが当接する転写部位に到来すると、1次転写ローラ14によって正極性の1次転写バイアスを印加する。
これにより、感光ドラム13上のトナー像が時計周り方向に回転している中間転写ベルト1へ1次転写される。なお、感光ドラム13上のトナー像は、中間転写ベルト1の回転に伴いマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの順で順次中間転写ベルト1上に転写され、これにより中間転写ベルト1上にカラー可視画像が形成される。
また、このようなカラー可視画像形成動作に伴い、給紙ローラ9により給紙カセット16からシートSが送り出され、不図示の斜行補正用シャッタで斜行補正されながらレジストローラ17に搬送される。
そして、この後、レジストローラ17は、所定距離だけシートSを搬送した後、一旦停止すると共に中間転写ベルト1上に形成されたカラー画像の画像に合わせて回転を始める。これにより、一旦停止したシートSは2次転写部Tに達し、2次転写ローラ19dに印加される正極性の転写バイアスによってカラー可視画像が2次転写される。
シートSは、カラー可視画像が2次転写された後、2次転写部Tから定着部3へと搬送され、この定着部3で加熱及び加圧されることによってカラー可視画像が定着される。更に、トナー像が定着されたシートSは、この後、搬送路Lに沿ってカール状態検知装置11及びカール矯正装置5を通過し、排紙ローラ20に搬送されて排出部8に排紙される。また、片面印刷が設定されたシートは上記したように排出部8へと排紙されるが、両面印刷が設定された場合には、不図示のシート反転位置で反転され、両面部7を通過して再給紙部81から再度2次転写部Tへと導かれる。
なお、トナー像転写後に、感光ドラム13表面に残ったトナーは、ドラムクリーニングブレード(不図示)によって除去される。また、シートSへの2次転写後に中間転写ベルト1上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置(不図示)によって除去され、除去されたトナーは、不図示の廃トナー搬送路を通って廃トナー回収容器に回収される。
次いで、本発明の特徴となるカール矯正装置5及びカール状態検知装置11について、前述した図1に加えて図3〜5を参照して説明する。なお、図3はカール矯正装置5を斜め上方から視認した斜視図、図4は第1ローラユニット60とガイド4,6とを取り出して斜め上方から視認した斜視図、図5は図4に第2ローラユニット70を付加した斜視図である。
図1に示したカール状態検知装置11は、発光部が1個で受光部に複数の検知部をアレイ状に配置した態様のセンサが好ましく、発光部から発せらた光が搬送されるシートSによって反射され、受光部のいずれかに入ることによって距離を検知する。これにより、カール状態検知装置11は、搬送路L上を搬送されるシートSのカール方向及びカール量を所定の区間内で検知する。
カール矯正装置5は、図3に示すように、第1ローラユニット(第1搬送ローラユニット)60と、第2ローラユニット(第2搬送ローラユニット)70と、移動機構(移動手段)50とを有している。
第1ローラユニット60は、第1駆動ローラ(第1搬送ローラ)61と、第2駆動ローラ(第2搬送ローラ)71に従動させる第1従動ローラ62と、第1従動ローラ62を支持する第1従動ローラ支持部63とを有している。第1駆動ローラ61は、円柱形状の部材で、駆動入力部(駆動源)66からユニバーサルジョイント67を介して伝達される回転により回転駆動される。
また、第2ローラユニット70は、第2駆動ローラ71と、第1駆動ローラ61に従動させる第2従動ローラ72と、第2従動ローラ72を支持する第2従動ローラ支持部73とを有している。第2駆動ローラ71は、円柱形状の部材で、駆動入力部(駆動源)76からユニバーサルジョイント77を介して伝達される回転により回転駆動される。このような第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70が、搬送路L(図1参照)を挟んで略々対称な構成で配置されることにより、第1駆動ローラ61と第2駆動ローラ71とが圧接可能となって搬送路Lを搬送されるシートSを挟持搬送する。
例えば、第2駆動ローラ71に対しては、図5に示すように、搬送路Lを挟み、第1ローラユニット60に配置された第1従動ローラ62が従動し得るように構成される。ここで、第1従動ローラ62は、第1ローラユニット60に対して以下のように配置される。すなわち、第1駆動ローラ61の駆動ローラ軸68両端には、第1従動ローラ支持部63が軸支される。軸支された第1従動ローラ支持部63は、駆動ローラ軸68の軸方向と直交する向きに長手形状をなすと共に、駆動ローラ軸68を中心に回転自在となっている。この長手形状の先端部には、第1従動ローラ62の軸受けが形成されており、第1従動ローラ62が回転自在となるように支持される。これにより、第1従動ローラ62は、自身が軸受けに対して回転自在であると共に、第1駆動ローラ61に対して平行に配置された状態で、第1駆動ローラ61の外周面に沿う方向に回動自在に配置される。これにより、第1従動ローラ62は、第1駆動ローラ61を中心とした同心状の一定範囲のスペース内で移動し得るものとなる。但し、本実施の形態では、第1駆動ローラ61の両端側に配置された側板54に、第1従動ローラ支持部63側に突出するような固定ピンPaが配置されるので(後述の図6参照)、第1従動ローラ支持部63の第1駆動ローラ61に対する回動範囲が規制される。これにより、第1従動ローラ62は、例えば約90°の回動範囲に規制されることとなる。そして、上記した第1従動ローラ62は、第1ローラユニット60に2つが配置され、これらが第1駆動ローラ61の外周に沿って逆方向に往復するように移動する(後述の図6の矢印N参照)。
上記した第1従動ローラ支持部63は、図4に示すように、加圧バネ69によって矢印M方向に付勢されることで回動圧がかけられている。また、第1従動ローラ支持部63には、夫々突起状の搬送ガイド65が形成されており(図5参照)、2つの第1従動ローラ支持部63が近接した際にはこれらが一体的となり、搬送するシートSを案内するガイドとなる。
なお、第1ローラユニット60と第2ローラユニット70とは、略々対称な構成となっているため、第1駆動ローラ61及び第2従動ローラ72の構成についても、上記した第2駆動ローラ71及び第1従動ローラ62に係る構成と同様となる。従って、繰り返しの説明の煩雑を回避すべく、上記した第2駆動ローラ71及び第1従動ローラ62に係る説明における、第2駆動ローラ71を第1駆動ローラ61に、第1従動ローラ62を第2従動ローラ72に読み替えることでその説明を援用して省略する。また、上記した説明における、第1従動ローラ支持部63は第2従動ローラ支持部73に、駆動ローラ軸68は駆動ローラ軸78に、夫々読み替えるものとする。更に、上記した説明における、固定ピンPaは固定ピンPbに(図7参照)、加圧バネ69は加圧バネ79に、搬送ガイド65は搬送ガイド75に夫々読み替えるものとする。
移動機構50は、図3に示したように、モータ51とウォームギア52と偏芯カム53とレバー55とつるしバネ58とを有している。モータ51は、パルス信号の入力数によって回転量を制御できるステッピングモータであり、回転を伝える回転軸の先端側にウォームギア52が取り付けられている。ウォームギア52は、両端に偏芯カム53が設けられた回転軸53bの略々中間に位置するウォームホイール53aと噛み合わされ、モータ51からの回転を偏芯カム53へと伝達する(偏芯カム53の回転方向は図3中の矢印参照)。
軸受け一体レバーであるレバー55は、図1の正面視方向で略々L字形状の部材からなり、その端部がカール矯正装置5の側板54にヒンジ54aを介して支持されることで回動自在(図3中の矢印参照)となっている。配置されたレバー55の略々水平をなす上面には、前述した偏芯カム53が摺動自在な状態で配置されている。そして、レバー55は、バネ57によって側板54に対して上方に付勢されていることから、常に偏芯カム53側に加圧されている。これにより、偏芯カム53が回転した際には、レバー55は図3中の矢印に示すように上下方向に移動(正確には回動)する。
上記レバー55は、軸受け部を介して第1駆動ローラ61の駆動ローラ軸68を支持していることから、レバー55が上下方向に移動することによって、第1ローラユニット60も上下方向に移動する。また、レバー55は、第2駆動ローラ71の駆動ローラ軸78の軸受け部を有していることから、第2ローラユニット70もレバー55に装着される。この駆動ローラ軸78の軸受け部は、つるしバネ58によって第1ローラユニット60側に付勢されている。これにより、レバー55が上下方向に移動した際には、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70、つまり第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71は、搬送路Lと交差する方向にレバー55と一体的に移動することとなる。
なお、前述したように、本実施の形態では、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70が上下方向に移動することから、駆動ローラ軸68,78と駆動入力部66,76との夫々の連結にユニバーサルジョイント67,77を用いた構成としている。また、上記した本実施の形態の構成は一つの例であり、駆動入力部66,76のような駆動源を、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70と共に上下方向に移動させるようにし、ユニバーサルジョイント等の部材を用いないようにしてもよい。
次に、カール矯正装置5に係る制御系について図2を参照して説明する。図2は、制御装置110の構成を示すブロック図である。
本カラーレーザプリンタ100の制御系は、マイクロコンピュータシステムである制御装置110で構成されている。制御装置110は、不図示のCPU、ROM、及びRAMを有し、ROM内には、演算テーブル111等のデータテーブルや、カール矯正量演算手段112等のプログラムが予め格納されている。CPUは、各プログラムを実行し、RAMとの間で適宜データのやり取りをしながら入力データ処理を行うことにより、所定の制御信号の授受により各部を制御するようになっている。RAMは、制御データ等を一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
制御装置110には、入力インターフェースを介してカール状態検知装置11からの検知信号が入力データとして受信される。制御装置110は、カール状態検知装置11から受信した上記入力データに基づき、演算テーブル111を参照して、カール矯正量演算手段112によってカールの矯正量(カール矯正方向及びカール矯正量)を演算する。そして、制御装置110は、上記演算したカールの矯正量に応じて、出力インターフェースを介してドライバ113へ制御信号を送り、モータ51の制御を行う。
上記したような構成とすることにより、本カラーレーザプリンタ100以外の画像形成装置であっても、各シート搬送路の形状に応じた各種演算テーブルを予め用意することによって、カール矯正量を演算して決定することができるようになる。ここで、上記演算テーブル111は、具体的には、カール状態検知装置11が検知したシートのカール半径が30mmであった場合に、これと逆側に40mm程度のカール矯正をし得るような矯正量を取得するデータテーブルである。
次いで、前述したカール矯正装置5の動作について以下に説明する。
図3に示したように、移動機構50のモータ51から回転が伝達され、ウォームギア52が回転すると、ウォームギア52に噛み合わされたウォームホイール53a及び回転軸53bが回転駆動され、偏芯カム53が回転制御される。この偏芯カム53の回転角度に応じ、バネ57によって上方に付勢されたレバー55がヒンジ54aを中心として回動して上下方向に移動する。そして、これに伴い、レバー55に軸受け支持された第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70が、上下方向に移動することとなる。
カール矯正装置5では、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70が、搬送路Lを挟んで対称となった位置を初期位置としている(後述の図7参照)。そして、この初期位置から、上記したモータ51を回転して偏芯カム53の回転角度を制御することによって、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70をカール矯正し得る位置(以下カール矯正位置ともいう)へと移動する(後述の図8,9参照)。
続いて、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70によりカール矯正を行う際の動作例について図6〜図9を参照して具体的に説明する。なお、図6は第1ローラユニット60の動作例を示した概略側面図、図7はカール矯正装置5が初期位置にある場合を示した側面図である。また、図8はカール矯正装置5がカール矯正位置にある場合の第1例を示した側面図、図9はカール矯正装置5がカール矯正位置にある場合の第2例を示した側面図である。また、第1ローラユニット60と第2ローラユニット70とは、その形状、構成、及び動作態様が同様であるため、図6では第1ローラユニット60のみを図示し、その説明を援用することによって第2ローラユニット70の図示及び説明を省略するものとする。
図6では、初期位置にある状態の第1ローラユニット60の各符号に「´(ダッシュ)」を付加して図示している(例えば「62´」)。また、図中で上記したような「´」を付加していない符号は、第1ローラユニット60がカール矯正位置に移動した状態を示したものである。
第1ローラユニット60が、初期位置からカール矯正位置に移動すると、第1駆動ローラ61´が第1駆動ローラ61の位置へ、第1従動ローラ62´が第1従動ローラ62の位置へ、駆動ローラ軸68´が駆動ローラ軸68の位置へ、夫々移動する。第1駆動ローラ61´が第1駆動ローラ61の位置へ移動すると、これに伴って駆動ローラ軸68´が駆動ローラ軸68の位置へと上昇する。そして、駆動ローラ軸68´に軸支された第1従動ローラ支持部63´も上昇されるが、第1従動ローラ支持部63´は加圧バネ69´によって矢印M方向に付勢されているため、その先端側が矢印N方向に下降するように回動する。これにより、第1従動ローラ支持部63は、その先端が矢印N方向に回動し、側板54に固定された固定ピンPaの位置まで回動して規制される。
上記したように、第1従動ローラ62は、従動対象の第2駆動ローラ71(図6では図示を省略)がシート搬送路方向(搬送路L方向)へ移動していない初期位置では、第2駆動ローラ71から退避した状態となる(図中の第1従動ローラ62´の位置)。また、第1従動ローラ62は、第2駆動ローラ71が初期位置からカール矯正位置に移動する、つまり搬送路方向へ移動するに伴って、従動対象である第2駆動ローラ71に向って進出する(例えば、図中の第1従動ローラ62の位置)。従って、第1従動ローラ62は、従動対象である第2駆動ローラ71に対して進退自在に配置されると共に、進出した際には第2駆動ローラ71に従動するものとなる。
次いで、図7では、第1ローラユニット60と第2ローラユニット70とが、移動機構50により初期位置にある状態が示されている。つまり、初期位置では、第1ローラユニット60の第1駆動ローラ61と第2ローラユニット70の駆動ローラ71とが搬送路L上で圧接する圧接部93が形成される。
このような場合、第1駆動ローラ61と第2駆動ローラ71とで、夫々が互いの回転を阻害し合うことを防ぐため、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71のうちのいずれか一方にワンウェイクラッチの機構を取り入れる。そして、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71のうち、ワンウェイクラッチが入っていない側の外周周速をV1、ワンウェイクラッチが入っている側の外周周速をV2とした場合に、これらがV1>V2の関係となるように設定する。ここで、外周周速がV2側(低い速度)のローラは、外周周速がV1側(高い速度)のローラに伴ってV1の速度で連れ周りするので、自身の駆動速度よりローラが速く回転して駆動がかからないようにする。このように、共に回転駆動される第1駆動ローラ61と第2駆動ローラ71とが接触状態とされることで生じ得る問題に対しては、上記したワンウェイクラッチの機構を取り入れることで対処し、シートSの安定した搬送状態を確保することができるようになる。
なお、上記したように、本実施の形態のカール矯正装置5では、第1ローラユニット60と第2ローラユニット70とを図7に示したような初期位置に移動することにより、シートSに対するカール矯正を行わない状態にすることができる。言い換えると、本カール矯正装置5では、常にカール矯正状態にしておく必要がなく、逆に、常にカール矯正状態にしておく必要があるものの場合には、矯正する必要がないシートに対してまでも無駄なカール付けをしてしまうことが考えられる。仮に、無駄なカール付けがなされた場合には、転写不良や後処理での不具合を生じさせる原因となることは言うまでも無い。
次に、図8では、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70が正面視で上方に移動した状態、つまり、第2駆動ローラ71が搬送路L方向に移動された状態が示されている。このとき、第1ローラユニット60における第1従動ローラ支持部63は、加圧バネ69(図6参照)によって正面視下方に付勢されて固定ピンPaの位置まで回動される。これにより、第1従動ローラ62は、圧接部93(図7参照)に対して、搬送路Lの搬送方向の上流側となる従動部91と下流側となる従動部92との一対の箇所で第2駆動ローラ71に従動する。つまり、第1従動ローラ62は、圧接部93が搬送路Lを越えて第1ローラユニット60の配置側に移動された際に第2駆動ローラ71に対して従動可能となる構成となっている。従って、第2駆動ローラ71と第1従動ローラ62との間に形成される湾曲した経路を搬送されるシートSは、搬送路Lに対して下方側に屈曲されるようにカール矯正(補正)される。なお、このとき、第1従動ローラ支持部63の一部は、シートSの搬送を安定してガイドする搬送ガイド65となっている。
また、図9では、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70が正面視で下方に移動した状態、つまり、第1駆動ローラ61が搬送路L方向に移動された状態が示されている。このとき、第2ローラユニット70における第2従動ローラ支持部73は、加圧バネ79(図5参照)によって正面視上方に付勢されて固定ピンPbの位置まで回動される。これにより、第2従動ローラ72は、圧接部93(図7参照)に対して、搬送路Lの搬送方向の上流側となる従動部91´と下流側となる従動部92´との一対の箇所で第2駆動ローラ71に従動する。つまり、第2従動ローラ72は、圧接部93が搬送路Lを越えて第2ローラユニット70の配置側に移動された際に第1駆動ローラ61に対して従動可能となる構成となっている。従って、第1駆動ローラ61と第2従動ローラ72との間に形成される湾曲した経路を搬送されるシートSは、搬送路Lに対して上方側に屈曲されるようにカール矯正(補正)される。なお、このとき、第2従動ローラ支持部73の一部は、シートSの搬送を安定してガイドする搬送ガイド75となっている。
このように、カール矯正装置5は、搬送路Lに対して略対称に配置された第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71を、シート搬送方向と交差する方向に一体的に移動させることにより、シートの表裏両面側の各カール矯正に対応し得る構成となっている。そして、これら第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71の移動制御は、本実施の形態で示す構成によって容易に実施することができるものとなる。
次いで、カラーレーザプリンタ100の画像形成に伴うカール矯正装置5の動作の流れを、図10を参照して説明する。図10は、カール矯正装置5の動作の流れを示すフローチャートである。
本カラーレーザプリンタ100にて画像形成に係るジョブが開始され、画像形成されたシートSが定着部3及び定着手段出口ローラ31からガイド4のカール状態検知装置11の検知位置に搬送されると、カール状態検知装置11が作動する(ステップS1)。ここで、カール状態検知装置11は、搬送されてきたシートSのカール量(カール方向及びカール量)を検知する(ステップS2)。
ステップS2にて検知されたカール量に基づき、カール矯正量演算手段112は、演算テーブル111を参照して当該シートSのカール矯正量(カール矯正方向及びカール矯正量)を決定する(ステップS3)。
次いで、制御装置110は、ステップS3にて決定されたカール矯正量に応じ、モータ51の回転方向や駆動パルス数(回転量)を設定する駆動信号をドライバ113へと送信する(ステップS4)。
これにより、ドライバ113が、ステップS4で送信された駆動信号に応じた回転方向及び回転量だけモータ51を駆動制御する(ステップS5)。このように、カール矯正装置5では、カール状態検知装置11からの検知信号に基づいて、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71をカール矯正する位置(上記したカール矯正量に応じた位置)に移動させるようにモータ51が制御される。
なお、図10に示した演算テーブル111は、カール状態検知装置11によって検知されるカール量と、このカール量を矯正する際に要するカール矯正量とを対とした変換テーブルとなっている。カール矯正量演算手段112は、この演算テーブル111を参照することにより、シートのカール矯正量を決定する。そして、図10中の演算テーブル111内に記載した例1,2は、普通紙(100g/m2以下)や厚紙(100g/m2超え)等といった紙種の違いによって、カールの矯正度合(矯正量)を変える例を示したものである。具体的には、カール矯正量演算手段112は、シートのカール量が5mmと検知された場合であっても、紙種が普通紙の場合にはカール矯正量を7mmと決定し、紙種が厚紙の場合にはカール矯正量を5mmと決定するような場合分けをすることが可能となる。
また、本実施の形態では、カール状態検知装置11は、搬送されてきたシートのカール方向及びカール量の2つの検知量を検知して、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70を移動制御するものとして説明した。しかし、これらのうちのカール方向のみを検知するようにして、シートのカール方向のみを矯正する構成としてもよいことは勿論である。
また、本実施の形態では、カール状態検知装置11による検知に応じてカール矯正するとして説明したが、搬送されてくるシートの材質や画像形成時のトナーの載り量等を予め取得することにより、カールの方向やカール量を予測して矯正するようにしてもよい。これは、シートの材質の種類やトナーの載り量等から、シートに生じ易いカールの傾向を判定して対応させるもので、例えば、シート搬送路内の距離空間が狭く、センサ等によってシートの状態を明確に検知できないような小型機に対して有効な機能となる。
また、シートに生じるカールは、そのほとんどの場合、定着部3を通過することに起因すると考えられる。これにより、本実施の形態では、カール矯正装置5を定着部3の下流に配置するとして説明したが、画像形成装置によっては、両面部7等に配置して、シートの2面目の印刷時におけるカールに起因した転写不良等の問題を解決するようにしてよいのは勿論である。
以上説明した本実施の形態では、カール矯正装置5が、シートを挟持搬送する圧接可能な第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71をそれぞれ有し、搬送路Lを挟んで配置される第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70を有する。また、カール矯正装置5が、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71を、シート搬送方向と交差する方向に一体的に移動させる移動機構50を有する。また、カール矯正装置5が、第1ローラユニット60に配置され、第1駆動ローラ61と第2駆動ローラ71との圧接部93が搬送路Lを越えて第2ローラユニット70の配置側に移動される際に第2駆動ローラ71に従動可能となる第1従動ローラ62を有する。また、カール矯正装置5が、第2ローラユニット70に配置され、圧接部93が搬送路Lを越えて第1ローラユニット60の配置側に移動される際に第1駆動ローラ61に従動可能となる第2従動ローラ72を有する。そして、カール矯正装置5が、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70を移動させて、第1駆動ローラ61と第2従動ローラ72又は第2駆動ローラ71と第1従動ローラ62によりシートのカールを矯正するように移動機構50を制御する。これにより、シートSの一方の面方向だけでなく、他方の面方向に生じるカールをも矯正し得るものとなり、カール矯正を要するシートSの平坦化を図ることができるようになる。従って、定着部3にて定着処理した後のシートのカール状態(カール方向及びカール量)に応じたカール矯正を行うことが可能となり、両面印刷時の転写不良や、ステイプル及び製本等の後処理の際に生じるカールに係る不具合を防止することができるようになる。
また、カール矯正装置5は、搬送(挟持)中のシートであってもカール矯正量を変化させることが可能であり、1シート内でのカールの矯正度合を変化させ、シートの平坦化を一層高めることができる。従って、矯正対象となる1シート内の位置、例えば、シートの前半部と後半部とでカール方向が逆になっているようなシートに対しても対応することができるので、多様なカール状態のシートに対して柔軟に平坦化処理を行うことができるようになる。
また、カール矯正装置5は、搬送路Lを搬送するシートのカール方向を検知するカール状態検知装置11を有する。そして、このカール状態検知装置11からの検知信号に基づき、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71をカール矯正する方向に移動させるように、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70の移動方向を変更するように移動機構50を制御する。これにより、搬送路Lを搬送されてくるシートのカール方向に応じたカール矯正を、柔軟かつ正確に行うことができるようになるので、例えばヒートカールやトナーカールに起因する多様な方向のカールに対処することができるようになる。
また、カール矯正装置5は、搬送路Lを搬送するシートのカール量を検知するカール状態検知装置11を有する。そして、カール状態検知装置11からの検知信号に基づき、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71をカール矯正する位置に移動させるように、第1ローラユニット60及び第2ローラユニット70の移動量を変更するように移動機構50を制御する。これにより、搬送路Lを搬送されてくるシートのカール量に応じ、柔軟かつ正確な矯正度合でカール矯正することができるようになる。
また、第2従動ローラ72は、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71がカール矯正時にシートを圧接する圧接部93に対して、シート搬送方向の上流側の従動部91´及び下流側の従動部92´で従動する。また、第1従動ローラ62は、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71がカール矯正時にシートを圧接する圧接部93に対して、シート搬送方向の上流側の従動部91及び下流側の従動部92で従動する。これにより、例えば、第1駆動ローラ61にてカール矯正を行う場合、第2従動ローラ72が従動部91´と従動部92´とで従動するので、カール矯正するシートを第1駆動ローラ61に対して有効に圧接させることができるようになる。従って、シートのカールを一層効果的に除くことができるようになる。
また、第2従動ローラ72及び第1従動ローラ62は、各従動対象である第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71に対して進退自在に配置される。更に、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71の圧接部93が搬送路Lに位置している場合には共に各従動対象から退避されると共に、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71が搬送路L方向へ移動するに伴って従動対象に向けて進出するように移動される。これにより、例えば、第1駆動ローラ61にてカール矯正をする場合に、第2従動ローラ72を、第1駆動ローラ61に従動しない退避した位置から、第1駆動ローラ61に従動し且つその従動時の押圧力を変化させるように進退移動させることができるようになる。従って、矯正対象のシートを第1駆動ローラ61に対して巻き付ける際の押圧力を変えることができるので、第1駆動ローラ61にてカール矯正をする際の矯正度合の強弱を柔軟に変えることができるようになる。
また、本実施の形態では、第1駆動ローラ61と、これに駆動力を伝達する駆動入力部66とを、ユニバーサルジョイント67で接続しているので、第1駆動ローラ61が上下移動している状態であっても回転を有効に伝達することができるようになる。また、同様に、第2駆動ローラ71と、これに駆動力を伝達する駆動入力部76とを、ユニバーサルジョイント77で接続しているので、第2駆動ローラ71が上下移動している状態であっても回転を有効に伝達することができるようになる。従って、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71を、前述のカール状態検知装置11の検知結果に応じた位置に移動してシートを搬送中であっても、途中から異なるカール矯正状態に変化させることができる。例えば、図8のようなカールの矯正中に、図7のようなカール矯正なしの初期位置に移動し、カールの矯正処理を解除することができる。また、例えば、図8の下側へのカール矯正中に、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71を下方に移動(図7の初期位置の方向に移動)し、カール矯正量を微妙に軽減することなども可能となる。このように、ユニバーサルジョイント67,77を介して回転を伝達させることにより、第1駆動ローラ61及び第2駆動ローラ71の位置をシートの搬送状態の有無に拘らずに変化させることができるものとなる。