JP2005041614A - 用紙カール矯正装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単かつコンパクトな構成でありながら、用紙のカールを効果的に矯正する。
【解決手段】複数個のローラ61,62,63により構成されるローラユニットにおけるローラ間のニップ部67,68に用紙を通過させることによって用紙のカールを矯正する。ローラユニットは、少なくとも周面部が所定の基準硬さを有する材質(例えばCRゴム)により構成された基準硬度ローラ61と、この基準硬度ローラ61の周面に圧接され少なくとも周面部が基準硬度ローラ61よりも軟らかい材質(例えば発泡ウレタン)により構成された軟ローラ62と、基準硬度ローラ61の周面に圧接され少なくとも周面部が基準硬度ローラ61よりも硬い材質(例えばポリアセタール)により構成された硬ローラ63とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】複数個のローラ61,62,63により構成されるローラユニットにおけるローラ間のニップ部67,68に用紙を通過させることによって用紙のカールを矯正する。ローラユニットは、少なくとも周面部が所定の基準硬さを有する材質(例えばCRゴム)により構成された基準硬度ローラ61と、この基準硬度ローラ61の周面に圧接され少なくとも周面部が基準硬度ローラ61よりも軟らかい材質(例えば発泡ウレタン)により構成された軟ローラ62と、基準硬度ローラ61の周面に圧接され少なくとも周面部が基準硬度ローラ61よりも硬い材質(例えばポリアセタール)により構成された硬ローラ63とを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、用紙を搬送通過させることにより用紙のカールを矯正する用紙カール矯正装置、及びこれを備えた電子複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機では、搬送路に沿って用紙を搬送し、順次所定のユニットを通過させることによって上記用紙上に画像を形成するのが一般的である。搬送路に沿って搬送される用紙は、画像形成過程で、熱や圧力等が加えられることに起因して或いは搬送路の形状等に起因して、搬送面と交差する方向に撓む(カールする)ことがある。
【0003】
例えば用紙上のトナー像を定着させるため加熱ローラと加圧ローラとからなる定着ローラ対により用紙が加熱、加圧されるが、この際に用紙がいずれか一方の搬送面側にカールすることがある。
【0004】
カールした状態で用紙が搬送、排出されると、紙詰まりや適正な排出ができない虞があり、このため従来、用紙のカールを矯正するカール矯正装置が提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示のカール矯正装置は、用紙の搬送路に沿って直列的に配設されたカール矯正ユニットを備える。各カール矯正ユニットは、搬送路の一面側に配設された駆動ローラと、搬送路の他面側に配設され駆動ローラに圧接されて従動回転する従動ローラとを有して構成されている。そして、上記駆動ローラはその周面部が弾性層として比較的軟らかい材質により構成されている一方、従動ローラはその周面部が剛体として比較的硬い材質により構成されている。
【0006】
駆動ローラは従動ローラよりも軟らかいものとすることで、各ローラのニップ部が従動ローラの円弧に略沿った形状とし、該ニップ部を通過する用紙に対して従動ローラの円弧形状に癖付けするようにしている。従って、従動ローラの円弧形状と反対側にカールした用紙を該ニップ部に通すことによりカールが矯正される。
【0007】
そして、用紙の搬送路に対する駆動ローラの位置関係が各カール矯正ユニットで逆の位置に配置され、用紙が何れの方向にカールしている場合にでもそのカールを効果的に矯正し得るものとなされている。
【0008】
【特許文献1】
特開平15−12215号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のカール矯正装置では、用紙のカールを効果的に矯正し得る点では有効であるものの、複数のカール矯正ユニットを用紙の搬送方向に沿って設置しなければならず、占有スペースが大きくなるという問題があった。
【0010】
しかも、各カール矯正ユニットについて駆動ローラをそれぞれ回転駆動させるため、部品点数が多くなり、構造が複雑となるばかりか、コスト高になるという問題もあった。
【0011】
この発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、簡単かつコンパクトな構成でありながら、用紙のカールを効果的に矯正することができる用紙カール矯正装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明に係る用紙カール矯正装置は、複数個のローラにより構成されるローラユニットにおけるローラ間のニップ部に用紙を通過させることによって用紙のカールを矯正する用紙カール矯正装置において、上記ローラユニットは、少なくとも周面部が所定の硬さを有する材質により構成された第1ローラと、この第1ローラの周面に圧接され少なくとも周面部が上記第1ローラよりも軟らかい材質により構成された第2ローラと、上記第1ローラの周面に圧接され少なくとも周面部が上記第1ローラよりも硬い材質により構成された第3ローラとを備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、第1ローラには少なくとも周面部が上記第1ローラよりも軟らかい材質により構成された第2ローラが圧接されているので、第1ローラが第2ローラに食い込んで第2ローラ側に凸の円弧状のニップ部が形成される。そして、この第1ローラと第2ローラとのニップ部に用紙を通過させることにより、第1ローラ側と反対側にカール(第1ローラ側に凸状のカール)した用紙を矯正することができる。また、上記第1ローラには少なくとも周面部が上記第1ローラよりも硬い材質により構成された第3ローラが圧接されているので、第3ローラが第1ローラに食い込んで第1ローラ側に凸の円弧状のニップ部が形成される。そして、この第1ローラと第3ローラとのニップ部に用紙を通過させることにより、第1ローラ側にカール(第1ローラ側と反対側に凸状のカール)した用紙を矯正することができる。
【0014】
すなわち、この装置によれば、用紙が何れの方向にカールしている場合でもそのカールを効果的に矯正することができる。
【0015】
しかも、第2ローラと第3ローラの何れのローラも単一の第1ローラに圧接されているので、例えば単一の駆動手段によりローラユニットを駆動させることができる等、部品点数を抑制し、簡単かつコンパクトに構成することができる。
【0016】
この発明において、第1ローラと、上記第2ローラ及び第3ローラとの間の軸間距離を一定に保持するものであってもよいが、上記第1ローラと、上記第2ローラ及び第3ローラとの間の軸間距離を変更する軸間距離調整手段を備え、各ローラの軸間距離を可変に構成するのが好ましい(請求項2)。このように構成すれば、用紙のカール方向を予め想定して、或いは所定枚数毎に確認して、第1ローラと硬軟両ローラとの軸間距離を変更することができ、これにより各ローラ間のニップ部長さ(ニップ量)を変更して用紙のカールに対応した矯正が可能となる。
【0017】
この場合に、例えば給紙部にセットされた用紙の種類等に基づいて用紙のカール方向を予め想定して軸間距離を手動等で変更するものであってもよいが、例えば上記ローラユニットの搬送方向上流側に設けられ用紙のカール方向を検出するカール検出部を備え、上記軸間距離調整手段は、該カール検出部の検出結果に基づいて軸間距離を変更するのが好ましい(請求項3)。このようにカール検出部の検出結果に基づいて軸間距離を変更するように構成すれば、搬送される用紙のカール方向を個別に検出し、該カール方向を矯正するローラ間のニップ部の長さを変更することができ、これにより一層効果的に用紙のカールを矯正することができる。
【0018】
また、上記各ローラの径の大きさは特に限定するものではないが、上記第1ローラは、第2及び第3ローラに比して大径に形成されているのが好ましい(請求項4)。すなわち、第1ローラは第2ローラだけでなく第3ローラにも圧接されるので、第1ローラを大径に形成することにより第2及び第3ローラの配置が容易になるだけでなく、用紙をスムーズに搬送することができる。
【0019】
また、この発明において、ローラユニットを構成するローラのうち、何れのローラを回転駆動させるかは特に限定するものではなく、例えば第1ローラを回転駆動させることもできるし(請求項5)、第2ローラと第3ローラのいずれか一方を回転駆動させることもできる(請求項6)。ただし、各ローラに適正にトルクを伝達し安定した回転を確保することができる観点から、第1ローラを回転駆動させるのが好ましい。
【0020】
一方、この発明に係る画像形成装置は、用紙上に形成されたトナー像を加熱により定着させる定着部を備え、この定着部の下流側に請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の用紙カール矯正装置を備えることを特徴とするものである。
【0021】
この発明によれば、上記用紙カール矯正装置を備えているので、用紙のカールを効果的に矯正することができ、例えば紙詰まり等、用紙がカールすることに起因する不都合を効果的に抑制することができる。しかも、用紙カール矯正装置をコンパクトに形成することができるので、ひいては画像形成装置もコンパクトに構成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る用紙カール矯正装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略構成図である。なお、本実施形態では、この用紙カール矯正装置を画像形成装置の一例であるプリンタ装置に適用した場合について説明するが、例えば複写装置、ファクシミリ装置、スキャナ装置、これらの機能を兼ね備えた複合機等に対しても適用可能である。
【0023】
この画像形成装置1は、この本体の下部に配設された給紙部10と、この給紙部10の側方及び上方に配設された用紙搬送部20,21と、給紙部10の上方に横並びに配設された複数個の作像部30B,30Y,30M,30Cと、この作像部30B,30Y,30M,30Cの下方に配設された転写ユニット40と、これら作像部30B,30Y,30M,30C及び転写ユニット40の側方に配設された定着部50と、この定着部50の側方に配設された用紙カール矯正装置60と、用紙搬送部21の下流側で作像部30B,30Y,30M,30Cの上方に配設された排紙部70とが備えられている。
【0024】
給紙部10は、給紙カセットに積層載置された用紙の束を、給紙ローラ11の回転動作によって最上位の用紙から1枚ずつ用紙搬送部20に給紙するものである。用紙搬送部20は給紙部10から給紙された用紙を各種ローラ対22によって作像部30B,30Y,30M,30Cに搬送するものであり、用紙搬送部21は作像部30B,30Y,30M,30C及び定着部50において画像形成がなされた用紙を搬送ローラ対23によって排紙部70に排出するものである。
【0025】
作像部30B,30Y,30M,30Cは、給紙部10から搬送されてきた用紙に転写すべきトナー像を形成するものであり、黒トナーを有する第1作像部30B、イエロートナーを有する第2作像部30Y、マゼンタトナーを有する第3作像部30M、シアントナーを有する第4作像部30Cとから構成されている。第1ないし第4作像部30B,30Y,30M,30Cは、それぞれ矢印方向に回転可能に軸支された光導電性を有する感光体ドラム31と、この感光体ドラム31の周囲にその回転方向に沿って、帯電部32、露光部33、現像部34、及びクリーニング部35を備えている。
【0026】
転写ユニット40は、作像部30B,30Y,30M,30Cで形成されたトナー像を用紙に転写しつつ、該用紙を下流側に搬送するものであり、フッ素系樹脂材料の無端状転写ベルト41と、この転写ベルト41を駆動する駆動ローラ42及びテンションローラ43と、各感光体ドラム31と対向する位置にそれぞれ配置された転写ローラ44a,44b,44c,44dとを有している。転写ベルト41は転写ローラ44a,44b,44c,44dと各感光体ドラム31とで挟持された状態とされている。転写ベルト41内周側の適所にはガイドローラ45が適宜配設されている。なお、転写ユニット40は、白黒画像のみを形成する場合、黒の転写ローラ44aのみ使用して、他のマゼンタ、シアン、イエローの各転写ローラ44b,44c,44dは感光体ドラム31から離間される。
【0027】
定着部50は、作像部30B,30Y,30M,30C及び転写ユニット40によりトナー像が転写された用紙を、加熱ローラ51と加圧ローラ52とからなる一対の定着ローラによって挟んで加熱し、用紙上にトナー像を定着させるものである。
【0028】
この定着部50の下流側の用紙搬送部21には、本発明の特徴部分である用紙カール矯正装置60が設けられている。すなわち、定着部50では、用紙を加熱、加圧するため、熱や圧力の影響で用紙にカールが発生することがある。用紙搬送部21を通してこのカールした用紙をそのまま搬送させると、紙詰まりが発生することがあり、しかも排紙部70に用紙が排出される際にこの用紙が既に排出されている用紙の下に潜り込む等、適正な排紙が確保できない場合がある。従って、この用紙カール矯正装置60では、用紙に発生するカールを矯正するように構成されている。なお、この用紙カール矯正装置60については、後に詳しく説明する。
【0029】
この画像形成装置1の基本的な作動状態を簡単に説明すると、帯電部32により図1で時計方向に回転する感光体ドラム31が一様に帯電され、外部から送信された画像情報等に基づいて露光部33(レーザー操作ユニット等)からのレーザービームにより感光体ドラム31上に静電潜像が形成され、現像部34により静電潜像に現像剤(トナー)が付着されてトナー像が形成される。
【0030】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム31に向けて、給紙部10から用紙搬送部20を通って用紙が作像部30B,30Y,30M,30C及び転写ユニット40に搬送され、これらの作像部30B,30Y,30M,30C及び転写ユニット40により感光体ドラム31の表面における各色のトナー像が順次用紙に転写される。そして、全色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像が転写された用紙は転写ベルト41により定着部50に搬送されてトナー像が定着される。定着部50を通過した用紙は、用紙カール矯正装置60によりカールが矯正、緩和された後、搬送ローラを経て排紙部70に排出される。
【0031】
そして、転写ユニット40による転写後に各色の感光体ドラム31はクリーニング部35及び図示しない除電部で残留トナー、残留電荷を除去して、必要に応じて再び帯電部32で帯電される。
【0032】
ここで、本発明の特徴部分である用紙カール矯正装置60について説明する。図2は用紙カール矯正装置を示す側面図であり、図3は用紙カール矯正装置の各ローラを示す斜視図である。
【0033】
この用紙カール矯正装置60は、定着部50の下流側における用紙搬送路83の下方から該用紙搬送路83内に突出して設けられた基準硬度ローラ61(第1ローラ)と、上記用紙搬送路83の上方から該基準硬度ローラ61に圧接され用紙搬送方向に沿って配設された硬ローラ63(第3ローラ)及び軟ローラ62(第2ローラ)と、これら基準硬度ローラ61及び硬軟両ローラ63,62を含むローラユニットの上流側の用紙搬送路83に設けられたカールセンサ84,85(カール検出部)及び用紙センサ86と、上記カールセンサ84,85の検出結果に応じて硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を変更する軸間距離調整機構64,65と、上記各種センサ84〜86の検出結果に応じて軸間距離調整機構64,65を制御する制御部90とを備える。なお、ローラユニットは、上記基準硬度ローラ61及び硬軟両ローラ63,62を含む概念である。
【0034】
基準硬度ローラ61は、上記駆動手段としての図略の駆動モータからギヤ列を介して回転駆動される駆動軸61aにより回転駆動される所定径の回転ローラであり、駆動軸61aの両端部が軸の平行移動が拘束された状態で図略の装置ハウジングに軸支されている。なお、この基準硬度ローラ61は、本実施形態では、用紙搬送方向に直交する幅方向に沿って細長い円柱状に形成されているが、駆動軸61aに沿って短柱状ローラが複数個取り付けられているものであってもよい。
【0035】
この基準硬度ローラ61は、少なくともその周面部が所定硬度の材質により構成されている。本実施形態では、この基準硬度ローラ61が、所定の硬さを有するクロロプレンゴム(CRゴム)製の円柱状体に駆動軸61aが固定されて構成されている。
【0036】
一方、硬ローラ63は、上記基準硬度ローラ61よりも小径の円柱状ローラから構成され、該基準硬度ローラ61に圧接されて従動回転するものとなされている。この硬ローラ63は、その回転軸63aの軸方向に沿って1個以上(本実施態では4個)設けられている。回転軸63aは、後述するように揺動可能な軸受けアーム92に軸支され、この軸受けアーム92が揺動することにより、この硬ローラ63が基準硬度ローラ61に対して接離方向に移動可能になっている。
【0037】
また、この硬ローラ63は、少なくともその周面部が上記基準硬度ローラ61の周面部よりも硬い材質により構成され、上記基準硬度ローラ61に圧接された状態ではその周面部が上記基準硬度ローラ61の周面部に食い込んだ状態となっている。具体的には、硬ローラ63は、比較的硬質な合成樹脂であるポリアセタール(POM樹脂)製の円柱状体に回転軸63aが固定されて構成されている。従って、硬ローラ63と基準硬度ローラ61との接触面である第1ニップ部67は、搬送方向に対して上向きにカールする円弧状に形成され、この第1ニップ部67を通過する用紙には正方向の曲げモーメントが作用するものとなされている。
【0038】
また、軟ローラ62は、上記硬ローラ63と同径の円柱状ローラから構成され、上記基準硬度ローラ61に圧接されて従動回転するものとなされている。この軟ローラ62は、その回転軸62aの軸方向に沿って1個以上(本実施形態では4個)設けられている。回転軸62aは、後述するように揺動可能な軸受けアーム92に軸支され、この軸受けアーム92が揺動することにより、この軟ローラ62が基準硬度ローラ61に対して接離方向に移動可能になっている。
【0039】
また、軟ローラ62は、少なくともその周面部が上記基準硬度ローラ61の周面部よりも軟らかい材質により構成され、上記基準硬度ローラ61に圧接された状態ではその周面部が上記基準硬度ローラ61の周面部に食い込まれた状態となっている。具体的にはこの軟ローラ62は、発泡合成樹脂である発泡ポリウレタン製の円柱状体に回転軸62aが固定されて構成されている。従って、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との接触面である第2ニップ部68は、搬送方向に対して下向きにカールする円弧状に形成され、この第2ニップ部68を通過する用紙には負方向の曲げモーメントが作用するものとなされている。
【0040】
なお、本実施形態では、上記硬軟両ローラ63,62が用紙搬送路83を挟んで基準硬度ローラ61の上方に配置されているが、硬軟両ローラ63,62が用紙搬送路83の下方に配設される一方、基準硬度ローラ61が用紙搬送路83の上方に配設されるものであってもよい。
【0041】
カールセンサ84,85は、上向きにカールする用紙の先端部を検出することにより用紙が上向きにカールしていることを検出する上カールセンサ84と、下向きにカールする用紙の先端部を検出することにより用紙が下向きにカールしていることを検出する下カールセンサ85とを備える。これらのカールセンサ84,85は、定着部50から搬送される、上向き或いは下向きにカールする用紙の先端部が略接触し得る位置に設定され、用紙搬送路83中の上面部或いは下面部であって、定着部50とローラ61との間に設けられる。本実施形態では、これらのカールセンサ84,85が定着部50と上記基準硬度ローラ61との略中間部に設けられている。このカールセンサ84,85としては、フォトセンサ等の非接触型センサやリミットスイッチ等の接触型センサが採用されるが、ここではリミットスイッチからなる接触型センサが採用されている。
【0042】
用紙センサ86は、用紙搬送路83中の上記カールセンサ84,85の近傍に設けられ、これらのカールセンサ84,85と協働して用紙のカール方向の判定を可能にするものである。すなわち、カールセンサ84,85だけでは、例えば下向きにカールする用紙が該カールセンサ84,85が設けられた部位を通過する際に用紙の先端部が下カールセンサ85に接触するとともに、用紙の搬送方向中間部や後端部が上カールセンサ84にも接触する場合等があるため、用紙のカール方向を正確に検出することができない虞がある。従って、用紙センサ86により用紙の先端部が検出された時点を基準にして所定時間前或いは後に検出されたカールセンサ84,85による検出結果で用紙のカール方向を正確に特定している。そして、後述する制御部90は、センサ84〜86の検出結果に基づく上記したカール方向の特定を行う。
【0043】
具体的には、この用紙センサ86は、フォトセンサ等の非接触型センサにより構成され、カールセンサ84,85の下流側に配設されている。従って、後述する制御部90は、この用紙センサ86による先端検出信号の入力があった場合、この入力直前のカールセンサ84,85の検出信号に基づいて用紙のカール方向を判断する。
【0044】
軸間距離調整機構64,65は、軟ローラ62及び硬ローラ63の回転軸62a,63aの駆動軸61aに対する軸間距離を複数段階(本実施形態では2段階)に切換調整するものである。これらの軸間距離調整機構64,65は、硬軟両ローラ63,62で同様に形成されているため、ここでは硬ローラ63の軸間距離調整機構65について説明する。
【0045】
すなわち、軸間距離調整機構65は、図4に示すように、硬ローラ63の回転軸63aを回転自在に保持するとともに一点を中心に揺動する一対の軸受けアーム92と、これらの軸受けアーム92を揺動させるソレノイド91とを有する。
【0046】
軸受けアーム92は、ローラユニット上方に水平に延び、その一端部に設けられたピン93により駆動軸61a側に揺動自在に装置本体のハウジング等に軸支されている。この軸受けアーム92の中間部におけるピン93寄りに軸受けが設けられ、硬ローラ63の回転軸63aを回転自在に保持するものとなされている。また、軸受けアーム92の他端部には、回転軸63aと平行に延びるピン94が設けられ、該ピン94につる巻きバネ等の弾性部材96が係止され、硬ローラ63を基準硬度ローラ61側に付勢するものとなされている。
【0047】
上記弾性部材96はその下端縁がソレノイド91の出力軸に突設されたピン95に係止されている。そして、出力軸が進退することにより基準硬度ローラ61と硬ローラ63の軸間距離が遠近2段階に切り換えられ、これにより基準硬度ローラ61に対する硬ローラ63の押圧力が2段階に切り換えられるものとなされている。
【0048】
すなわち、ソレノイド91の出力軸が退入状態にあるときは、図5(b)に示すように、硬ローラ63と基準硬度ローラ61との軸間距離SK1が接近位置(後述する軸間距離SK0よりも短い位置)にあり、このとき基準硬度ローラ61と硬ローラ63とのニップ部である第1ニップ部67が比較的長寸法となるカール矯正位置に設定され、用紙に搬送力を付与しつつ、用紙の下カールを矯正するものとなされている。
【0049】
一方、ソレノイド91の出力軸が進出状態にあるときは、図5(a)、(c)に示すように、硬ローラ63と基準硬度ローラ61との軸間距離SK0が上記接近位置に比べて遠隔位置にあり、このとき基準硬度ローラ61と硬ローラ63との第1ニップ部67は、図5(b)に比して短寸法となる用紙搬送位置に設定され、用紙に搬送力を付与するものとなされている。なお、この用紙搬送位置においても、用紙に正方向の曲げモーメントが作用して用紙のカールが若干矯正されるが、第1ニップ部67が短寸法であるためその矯正力は上記カール矯正位置よりも弱い。
【0050】
ここで、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との関係では、ソレノイド91の出力軸が退入状態にあるときは、図5(a)に示すように、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との軸間距離SN1が接近位置(後述する軸間距離SN0よりも短い状態)にあり、このとき軟ローラ62はそのニップ部である第2ニップ部68が比較的長寸法となるカール矯正位置に設定され、用紙に搬送力を付与しつつ、用紙の上カールを矯正するものとなされている。
【0051】
一方、ソレノイド91の出力軸が進出状態にあるときは、図5(b)、(c)に示すように、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との軸間距離SN0が上記接近位置に比べて遠隔位置にあり、このとき軟ローラ62はその第2ニップ部68は、短寸法となる用紙搬送位置に設定され、用紙に搬送力を付与するものとなされている。なお、この用紙搬送位置においても、用紙に負方向の曲げモーメントが作用して用紙のカールが若干矯正されるが、第2ニップ部68が短いためその矯正力は上記カール矯正位置よりも弱い。
【0052】
このように、この軸間距離調整機構64,65は、初期設定では、図5(c)に示すように、硬軟両ローラ63,62とも用紙搬送位置に設定され、後述する制御部90からの出力に応じて、図5(a),(b)に示すように、硬ローラ63及び軟ローラ62を個別にカール矯正位置に移動させ、用紙のカールを矯正するものとなされている。
【0053】
一方、制御部90は、上記各種センサ84〜86の検出結果に基づいて、上記軸間距離調整機構65、特にソレノイド91を駆動させて、硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を調整制御するものである。この制御部90での処理について、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0054】
まず、制御部90の処理が開始されると、用紙センサ86からの入力があるまで待機され(ステップS10でNO)、用紙センサ86からの入力があった場合に(ステップS10でYES)、この入力直前(入力前所定時間内)に上カールセンサ84からの入力があったか否かを判定する(ステップS12)。
【0055】
上カールセンサ84からの入力がなかった場合には(ステップS12でNO)、用紙センサ86からの入力直前(入力前所定時間内)に下カールセンサ85からの入力があったか否かを判定する(ステップS14)。
【0056】
上記各カールセンサ84,85からの入力がなかった場合には、用紙は実質的に上カールも下カールもしていないことになり、用紙のカールを矯正する必要もないことから、硬軟両ローラ63,62はともに初期設定のまま、すなわち図5(c)に示す用紙搬送位置で維持され、リターンされる。
【0057】
一方、上記ステップS12に戻って、用紙センサ86からの入力直前に上カールセンサ84からの検出があった場合に(ステップS12でYES)、軸間距離調整機構64に作動信号を出力し、軟ローラ62を基準硬度ローラ61に近接する方向、すなわちカール矯正位置に移動させた後(ステップS16)、リターンする。
【0058】
また、ステップS14に戻って、用紙センサ86からの入力直前に下カールセンサ85からの検出があった場合に(ステップS14でYES)、軸間距離調整機構65に作動信号を出力し、硬ローラ63を基準硬度ローラ61に近接する方向、すなわちカール矯正位置に移動させた後(ステップS18)、リターンする。
【0059】
次に、この用紙カール矯正装置60の動作について説明する。図7は、各種センサの検出態様を示す説明図である。
【0060】
定着ローラ対51,52から搬送されてきた用紙Pが上カール(下向きに凸の円弧状にカール)していると、図7(a)に示すように、用紙Pの先端部が上カールセンサ84に接触してこの上カールセンサ84により制御部90に上カール検出信号が送られ、続いて用紙Pの先端部が用紙センサ86を通過すると該用紙センサにより制御部90に先端検出信号が送られる。
【0061】
そして、制御部90では、上記先端検出信号及び上カール検出信号に基づいて、用紙が上カールしていると判断し、該制御部90により軸間距離調整機構64を作動させて、図5(a)に示すように、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との軸間距離を近接する方向に該軟ローラ62を移動させる(軟ローラ62をカール矯正位置に設定する)。このように軟ローラ62と基準硬度ローラ61との軸間距離を縮めることにより第2ニップ部68の長さが長くなり、しかも軟ローラ62の周面部が基準硬度ローラ61の周面部よりも軟らかい材質により構成されているので、該第2ニップ部68は上向きに凸の円弧状に形成される。従って、上向きにカールする用紙を第2ニップ部68を通過させることにより該用紙の上向きカールを確実かつ効果的に矯正することができる。
【0062】
一方、定着ローラ対50,51から搬送されてきた用紙Pが下カール(上向きに凸の円弧状にカール)していると、図7(b)に示すように、用紙Pの先端部が下カールセンサ85に接触してこの下カールセンサ85により制御部90に下カール検出信号が送られ、続いて用紙Pの先端部が用紙センサ86を通過すると該用紙センサにより制御部90に先端検出信号が送られる。
【0063】
そして、制御部90では、上記先端検出信号及び下カール検出信号に基づいて、用紙が下カールしていると判断し、該制御部90により軸間距離調整機構64を作動させて、図5(b)に示すように、硬ローラ63と基準硬度ローラ61との軸間距離を近接する方向に該硬ローラ63を移動させる(硬ローラ63をカール矯正位置に設定する)。このように硬ローラ63と基準硬度ローラ61との軸間距離を縮めることにより第1ニップ部67の長さが長くなり、しかも硬ローラ63の周面部が基準硬度ローラ61の周面部よりも硬い材質により構成されているので、該第1ニップ部67は下向きに凸の円弧状に形成される。従って、下向きにカールする用紙を第1ニップ部67を通過させることにより該用紙の下向きカールを確実かつ効果的に矯正することができる。
【0064】
また、定着ローラ対50,51から搬送されてきた用紙Pがほとんど上下カールしておらず、直線状である場合には、図7(c)に示すように、用紙Pの先端部が上下カールセンサ84,85の何れにも接触せず、続いて用紙Pの先端部が用紙センサ86を通過すると該用紙センサにより制御部90に先端検出信号が送られる。
【0065】
そして、制御部90では、上記先端検出信号前の所定時間内に上下カール検出信号が入力されなかったことが確認される。この場合には、何れの軸間距離調整機構64,65をも作動させることなく、図5(c)に示すように、硬軟両ローラ63,62は初期設定位置に維持される。従って、第1及び第2ニップ部67,68は、硬軟両ローラ63,62がカール矯正位置に位置する場合に比べて短くなる。この第1及び第2ニップ部67,68に用紙が通されると、若干用紙がカールしている場合でも用紙がしごかれてそのカールが一層緩和矯正される。
【0066】
このようにこの用紙カール矯正装置60によれば、用紙が何れの方向にカールしている場合でもそのカールを効果的に矯正することができる。しかも、硬軟両ローラ63,62の何れのローラも単一の基準硬度ローラ61に圧接されているので、単一の駆動手段により各ローラ61〜63を含むローラユニットを駆動させることができ、部品点数を可及的に少なくして簡単に構成することができるとともに、これらの画像形成装置1における占有容積を効果的に縮小することができる。
【0067】
また、この画像形成装置1によれば、上記用紙カール矯正装置60が設けられているので、コンパクトに構成することができ、しかもこの用紙カール矯正装置60が定着部50の下流側に設けられているので、定着部50で加熱した用紙を冷却しつつ、用紙のカールを効果的に矯正することができる。
【0068】
なお、以上に本実施形態に係る用紙カール矯正装置について説明したが、この発明に係る用紙カール矯正装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下のような変更が可能である。
【0069】
(1)基準硬度ローラ61、軟ローラ62、硬ローラ63の材質は、硬ローラ63、基準硬度ローラ61、軟ローラ62の順で軟らかい材質を採用するものであれば、上記実施形態のものに限定されない。例えば、これらのローラについて全て硬度の異なるCRゴム(クロロプレンゴム)を採用するものであってもよい。特に、硬ローラについて、鉄鋼等の金属製のローラを採用することもできる。
【0070】
(2)上記実施形態では、各ローラ61〜63について円柱状体を採用したが、これらのローラの具体的構成は特に限定するものではなく、例えばホイール状部材とこのホイール状部材の周面に固定状態に外嵌された円筒状体とにより構成されるものであってもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、基準硬度ローラに圧接されている硬軟両ローラの配置態様について、用紙搬送方向の上流側に硬ローラ63が配設され、この下流側に軟ローラ62が配設されているが、これに限定するものではなく、用紙搬送方向の上流側に軟ローラが配設され、この軟ローラの下流側に硬ローラが配設されるものであってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、用紙搬送路83の下方に基準硬度ローラが配設され、この基準硬度ローラ61の上方に硬軟両ローラ63,62が配設されているが、用紙搬送路83の上方に基準硬度ローラ61が配設され、この基準硬度ローラ61の下方に硬軟両ローラ63,62が配設されているものであってもよい。
【0073】
ただし、これらの硬軟両ローラは、硬軟両ローラと基準硬度ローラとの両ニップ部に適正に用紙を搬送させる観点から適宜配置する必要がある。
【0074】
(4)基準硬度ローラ61及び硬軟両ローラ63,62の径は上記実施形態のものに限定されない。これらのローラの径により各ローラ間のニップ部形状の曲率が変化することから、これらのニップ部形状を考慮して適宜設定される。
【0075】
(5)上記実施形態では、軸間距離調整機構64,65が設けられ、この軸間距離調整機構65,64により硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を調整するものとなされているが、この軸間距離調整機構は適宜省略することができる。この場合には、硬軟両ローラ63,62をともにカール矯正位置に配置する。このようにしても、上下いずれか一方側にカールしている用紙は、用紙カール矯正装置60において、第1ニップ部67を通過する際に下カールが矯正され、第2ニップ部68を通過する際に上カールが矯正され、用紙のカールを緩和して矯正することができる。ここで、例えば上カールしている用紙が第1ニップ部67を通過する場合には第1ニップ部67により用紙の上カールが助長されるが、第2ニップ部68を通過する場合に用紙の上カールが矯正され、しかもこの各ニップ部で用紙が冷まされつつ、しごかれるので、上カールを効果的に矯正することができる。
【0076】
(6)上記実施形態では、各種センサ84〜86の検出結果に基づいて制御部90により軸間距離調整機構64,65を駆動させて自動的に硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を変更するものとなされているが、この軸間距離の変更は自動的に実行するものに限らず、例えば硬軟両ローラを用紙搬送位置とカール矯正位置とに手動により切り換えるものであってもよい。
【0077】
(7)また、軸間距離調整機構64,65は、上記実施形態における場合に限らずその他の構成を採用するものであってもよい。図8は、他の軸間距離調整機構を示す側面図である。
【0078】
この軸間距離調整機構は、基準硬度ローラ61の駆動軸と同心の軸を中心に揺動し、硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を規制する左右一対の扇状の揺動板100と、この揺動板100の円弧部に形成されたラック部103と噛合するピニオン110とを備える。
【0079】
揺動板100は、上記したように基準硬度ローラ61の駆動軸と同心軸上に軸支された扇状の板状体であり、その周方向に沿って並設された状態で軸間調整孔101,102が板厚方向に貫通して形成されている。この軸間調整孔101,102は、その外縁部が駆動軸を中心とする円弧状に形成され、周方向内側に向かうに連れ段階的(本実施形態では3段階)に拡径するものとなされている。この軸間調整孔101,102の外縁部を径が小さい順に近接規制部101a,102a、中間規制部101b,102b、遠隔規制部101c,102cと呼ぶと、上記ピニオン110の回転に伴って揺動板100が回動し、これらの規制部101a〜c,102a〜cの間で切り換えられるものとなされている。なお、各規制部間はテーパー部で連結され、その切換の円滑化が図られている。また、軸間調整孔101,102は、その外縁部が周方向に順次段階的に拡径するものでなくてもよく、例えば最大径となる外縁部を周方向中間部に位置させるものであってもよい。
【0080】
すなわち、軸間調整孔101,102は、軟ローラ62,硬ローラ63の回転軸62a,63aが基準硬度ローラ61の駆動軸から離反する方向に移動するのを規制するものであり、その規制位置を3段階に亘って切換可能に構成されている。
【0081】
具体的には、図8に示す硬軟両ローラ63,62の回転軸63a,62aは、軸間調整孔102,101の中間規制部102b,101bで支持されている。この状態を中間規制状態と呼ぶと、この中間規制状態から上記ピニオン110を反時計方向に回転させると、このピニオン110が揺動板100のラック103と噛み合いして揺動板100が時計方向に回動し、硬ローラ63の回転軸63aが中間規制部102bから離反規制部102cに段を下降させて駆動軸と回転軸63aの軸間距離が長くなるように切り換えられるとともに、軟ローラ62の回転軸62aが中間規制部101bから近接規制部101aに段を上昇させて駆動軸と回転軸62aの軸間距離が短くなるように切り換えられる。すなわち、この状態は、用紙の上カールを矯正するのに好適な状態であり、例えば上記実施形態における各種センサ84〜86の検出結果に基づいて制御部90により適宜切り換えられる。
【0082】
また、上記中間規制状態から上記ピニオン110を時計方向に回転すると、このピニオン110の揺動板100のラック103と噛み合いして揺動板100が反時計方向に回動し、硬ローラ63の回転軸63aが中間規制部102bから近接規制部102aに段を上昇させて駆動軸と回転軸63aの軸間距離が短くなるように切り換えられるとともに、軟ローラ62の回転軸62aが中間規制部101bから近接規制部101cに段を下降させて駆動軸と回転軸62aの軸間距離が短くなるように切り換えられる。すなわち、この状態は、用紙の下カールを矯正するのに好適な状態であり、例えば上記実施形態における各種センサ84〜86の検出結果に基づいて制御部90により適宜切り換えられる。
【0083】
(8)上記実施形態では、基準硬度ローラを駆動ローラとして採用しているが、駆動ローラは軟ローラまたは硬ローラであってもよい。ただし、駆動ローラとして基準硬度ローラを採用すると、各ローラに的確にトルクを伝達することができる点で好ましい。
【0084】
(9)上記軸間距離調整手段は、硬軟両ローラ63,62を移動させるように構成されているが、基準硬度ローラ61を例えば硬軟両ローラ63,62の回転軸を結ぶ線に対して平行移動させるものであってもよい。
【0085】
(10)上記各種センサ84〜86に換えて上カールセンサ84または下カールセンサ85のいずれか一方のみを備えるように構成してもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる用紙カール矯正装置によれば、基準硬度ローラに少なくとも周面部が上記基準硬度ローラよりも軟らかい材質により構成された軟ローラと、硬い材質により構成された硬ローラとが圧接されているので、ローラ間の食い込みを利用してニップ形状を上下いずれかの方向に凸の円弧状に形成することができる。そして、これらのニップ部に用紙を通過させることにより、上下いずれの方向にカールした用紙も効果的に矯正することができる。
【0087】
しかも、基準硬度ローラに硬軟両ローラが圧接されているので、部品点数を抑制し、簡単かつコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る用紙カール矯正装置の一実施形態を示す側面図である。
【図3】同用紙カール矯正装置におけるローラユニットを示す斜視図である。
【図4】同用紙カール矯正装置における軸間調整機構を示す側面図である。
【図5】基準硬度ローラと硬軟両ローラの配置態様を示す説明図である。
【図6】同用紙カール矯正装置における制御部の処理を示すフローチャートである。
【図7】同用紙カール矯正装置における各種センサの検出状態を示す説明図である。
【図8】同用紙カール矯正装置における軸間距離調整機構の他の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
50 定着部
60 用紙カール矯正装置
61 基準硬度ローラ
61a 駆動軸
62 軟ローラ
62a 回転軸
63 硬ローラ
63a 回転軸
64,65 軸間距離調整機構
67,68 ニップ部
84,85 カールセンサ
86 用紙センサ
90 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、用紙を搬送通過させることにより用紙のカールを矯正する用紙カール矯正装置、及びこれを備えた電子複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機では、搬送路に沿って用紙を搬送し、順次所定のユニットを通過させることによって上記用紙上に画像を形成するのが一般的である。搬送路に沿って搬送される用紙は、画像形成過程で、熱や圧力等が加えられることに起因して或いは搬送路の形状等に起因して、搬送面と交差する方向に撓む(カールする)ことがある。
【0003】
例えば用紙上のトナー像を定着させるため加熱ローラと加圧ローラとからなる定着ローラ対により用紙が加熱、加圧されるが、この際に用紙がいずれか一方の搬送面側にカールすることがある。
【0004】
カールした状態で用紙が搬送、排出されると、紙詰まりや適正な排出ができない虞があり、このため従来、用紙のカールを矯正するカール矯正装置が提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示のカール矯正装置は、用紙の搬送路に沿って直列的に配設されたカール矯正ユニットを備える。各カール矯正ユニットは、搬送路の一面側に配設された駆動ローラと、搬送路の他面側に配設され駆動ローラに圧接されて従動回転する従動ローラとを有して構成されている。そして、上記駆動ローラはその周面部が弾性層として比較的軟らかい材質により構成されている一方、従動ローラはその周面部が剛体として比較的硬い材質により構成されている。
【0006】
駆動ローラは従動ローラよりも軟らかいものとすることで、各ローラのニップ部が従動ローラの円弧に略沿った形状とし、該ニップ部を通過する用紙に対して従動ローラの円弧形状に癖付けするようにしている。従って、従動ローラの円弧形状と反対側にカールした用紙を該ニップ部に通すことによりカールが矯正される。
【0007】
そして、用紙の搬送路に対する駆動ローラの位置関係が各カール矯正ユニットで逆の位置に配置され、用紙が何れの方向にカールしている場合にでもそのカールを効果的に矯正し得るものとなされている。
【0008】
【特許文献1】
特開平15−12215号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のカール矯正装置では、用紙のカールを効果的に矯正し得る点では有効であるものの、複数のカール矯正ユニットを用紙の搬送方向に沿って設置しなければならず、占有スペースが大きくなるという問題があった。
【0010】
しかも、各カール矯正ユニットについて駆動ローラをそれぞれ回転駆動させるため、部品点数が多くなり、構造が複雑となるばかりか、コスト高になるという問題もあった。
【0011】
この発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、簡単かつコンパクトな構成でありながら、用紙のカールを効果的に矯正することができる用紙カール矯正装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明に係る用紙カール矯正装置は、複数個のローラにより構成されるローラユニットにおけるローラ間のニップ部に用紙を通過させることによって用紙のカールを矯正する用紙カール矯正装置において、上記ローラユニットは、少なくとも周面部が所定の硬さを有する材質により構成された第1ローラと、この第1ローラの周面に圧接され少なくとも周面部が上記第1ローラよりも軟らかい材質により構成された第2ローラと、上記第1ローラの周面に圧接され少なくとも周面部が上記第1ローラよりも硬い材質により構成された第3ローラとを備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、第1ローラには少なくとも周面部が上記第1ローラよりも軟らかい材質により構成された第2ローラが圧接されているので、第1ローラが第2ローラに食い込んで第2ローラ側に凸の円弧状のニップ部が形成される。そして、この第1ローラと第2ローラとのニップ部に用紙を通過させることにより、第1ローラ側と反対側にカール(第1ローラ側に凸状のカール)した用紙を矯正することができる。また、上記第1ローラには少なくとも周面部が上記第1ローラよりも硬い材質により構成された第3ローラが圧接されているので、第3ローラが第1ローラに食い込んで第1ローラ側に凸の円弧状のニップ部が形成される。そして、この第1ローラと第3ローラとのニップ部に用紙を通過させることにより、第1ローラ側にカール(第1ローラ側と反対側に凸状のカール)した用紙を矯正することができる。
【0014】
すなわち、この装置によれば、用紙が何れの方向にカールしている場合でもそのカールを効果的に矯正することができる。
【0015】
しかも、第2ローラと第3ローラの何れのローラも単一の第1ローラに圧接されているので、例えば単一の駆動手段によりローラユニットを駆動させることができる等、部品点数を抑制し、簡単かつコンパクトに構成することができる。
【0016】
この発明において、第1ローラと、上記第2ローラ及び第3ローラとの間の軸間距離を一定に保持するものであってもよいが、上記第1ローラと、上記第2ローラ及び第3ローラとの間の軸間距離を変更する軸間距離調整手段を備え、各ローラの軸間距離を可変に構成するのが好ましい(請求項2)。このように構成すれば、用紙のカール方向を予め想定して、或いは所定枚数毎に確認して、第1ローラと硬軟両ローラとの軸間距離を変更することができ、これにより各ローラ間のニップ部長さ(ニップ量)を変更して用紙のカールに対応した矯正が可能となる。
【0017】
この場合に、例えば給紙部にセットされた用紙の種類等に基づいて用紙のカール方向を予め想定して軸間距離を手動等で変更するものであってもよいが、例えば上記ローラユニットの搬送方向上流側に設けられ用紙のカール方向を検出するカール検出部を備え、上記軸間距離調整手段は、該カール検出部の検出結果に基づいて軸間距離を変更するのが好ましい(請求項3)。このようにカール検出部の検出結果に基づいて軸間距離を変更するように構成すれば、搬送される用紙のカール方向を個別に検出し、該カール方向を矯正するローラ間のニップ部の長さを変更することができ、これにより一層効果的に用紙のカールを矯正することができる。
【0018】
また、上記各ローラの径の大きさは特に限定するものではないが、上記第1ローラは、第2及び第3ローラに比して大径に形成されているのが好ましい(請求項4)。すなわち、第1ローラは第2ローラだけでなく第3ローラにも圧接されるので、第1ローラを大径に形成することにより第2及び第3ローラの配置が容易になるだけでなく、用紙をスムーズに搬送することができる。
【0019】
また、この発明において、ローラユニットを構成するローラのうち、何れのローラを回転駆動させるかは特に限定するものではなく、例えば第1ローラを回転駆動させることもできるし(請求項5)、第2ローラと第3ローラのいずれか一方を回転駆動させることもできる(請求項6)。ただし、各ローラに適正にトルクを伝達し安定した回転を確保することができる観点から、第1ローラを回転駆動させるのが好ましい。
【0020】
一方、この発明に係る画像形成装置は、用紙上に形成されたトナー像を加熱により定着させる定着部を備え、この定着部の下流側に請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の用紙カール矯正装置を備えることを特徴とするものである。
【0021】
この発明によれば、上記用紙カール矯正装置を備えているので、用紙のカールを効果的に矯正することができ、例えば紙詰まり等、用紙がカールすることに起因する不都合を効果的に抑制することができる。しかも、用紙カール矯正装置をコンパクトに形成することができるので、ひいては画像形成装置もコンパクトに構成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る用紙カール矯正装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の一例であるカラープリンタの概略構成図である。なお、本実施形態では、この用紙カール矯正装置を画像形成装置の一例であるプリンタ装置に適用した場合について説明するが、例えば複写装置、ファクシミリ装置、スキャナ装置、これらの機能を兼ね備えた複合機等に対しても適用可能である。
【0023】
この画像形成装置1は、この本体の下部に配設された給紙部10と、この給紙部10の側方及び上方に配設された用紙搬送部20,21と、給紙部10の上方に横並びに配設された複数個の作像部30B,30Y,30M,30Cと、この作像部30B,30Y,30M,30Cの下方に配設された転写ユニット40と、これら作像部30B,30Y,30M,30C及び転写ユニット40の側方に配設された定着部50と、この定着部50の側方に配設された用紙カール矯正装置60と、用紙搬送部21の下流側で作像部30B,30Y,30M,30Cの上方に配設された排紙部70とが備えられている。
【0024】
給紙部10は、給紙カセットに積層載置された用紙の束を、給紙ローラ11の回転動作によって最上位の用紙から1枚ずつ用紙搬送部20に給紙するものである。用紙搬送部20は給紙部10から給紙された用紙を各種ローラ対22によって作像部30B,30Y,30M,30Cに搬送するものであり、用紙搬送部21は作像部30B,30Y,30M,30C及び定着部50において画像形成がなされた用紙を搬送ローラ対23によって排紙部70に排出するものである。
【0025】
作像部30B,30Y,30M,30Cは、給紙部10から搬送されてきた用紙に転写すべきトナー像を形成するものであり、黒トナーを有する第1作像部30B、イエロートナーを有する第2作像部30Y、マゼンタトナーを有する第3作像部30M、シアントナーを有する第4作像部30Cとから構成されている。第1ないし第4作像部30B,30Y,30M,30Cは、それぞれ矢印方向に回転可能に軸支された光導電性を有する感光体ドラム31と、この感光体ドラム31の周囲にその回転方向に沿って、帯電部32、露光部33、現像部34、及びクリーニング部35を備えている。
【0026】
転写ユニット40は、作像部30B,30Y,30M,30Cで形成されたトナー像を用紙に転写しつつ、該用紙を下流側に搬送するものであり、フッ素系樹脂材料の無端状転写ベルト41と、この転写ベルト41を駆動する駆動ローラ42及びテンションローラ43と、各感光体ドラム31と対向する位置にそれぞれ配置された転写ローラ44a,44b,44c,44dとを有している。転写ベルト41は転写ローラ44a,44b,44c,44dと各感光体ドラム31とで挟持された状態とされている。転写ベルト41内周側の適所にはガイドローラ45が適宜配設されている。なお、転写ユニット40は、白黒画像のみを形成する場合、黒の転写ローラ44aのみ使用して、他のマゼンタ、シアン、イエローの各転写ローラ44b,44c,44dは感光体ドラム31から離間される。
【0027】
定着部50は、作像部30B,30Y,30M,30C及び転写ユニット40によりトナー像が転写された用紙を、加熱ローラ51と加圧ローラ52とからなる一対の定着ローラによって挟んで加熱し、用紙上にトナー像を定着させるものである。
【0028】
この定着部50の下流側の用紙搬送部21には、本発明の特徴部分である用紙カール矯正装置60が設けられている。すなわち、定着部50では、用紙を加熱、加圧するため、熱や圧力の影響で用紙にカールが発生することがある。用紙搬送部21を通してこのカールした用紙をそのまま搬送させると、紙詰まりが発生することがあり、しかも排紙部70に用紙が排出される際にこの用紙が既に排出されている用紙の下に潜り込む等、適正な排紙が確保できない場合がある。従って、この用紙カール矯正装置60では、用紙に発生するカールを矯正するように構成されている。なお、この用紙カール矯正装置60については、後に詳しく説明する。
【0029】
この画像形成装置1の基本的な作動状態を簡単に説明すると、帯電部32により図1で時計方向に回転する感光体ドラム31が一様に帯電され、外部から送信された画像情報等に基づいて露光部33(レーザー操作ユニット等)からのレーザービームにより感光体ドラム31上に静電潜像が形成され、現像部34により静電潜像に現像剤(トナー)が付着されてトナー像が形成される。
【0030】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム31に向けて、給紙部10から用紙搬送部20を通って用紙が作像部30B,30Y,30M,30C及び転写ユニット40に搬送され、これらの作像部30B,30Y,30M,30C及び転写ユニット40により感光体ドラム31の表面における各色のトナー像が順次用紙に転写される。そして、全色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像が転写された用紙は転写ベルト41により定着部50に搬送されてトナー像が定着される。定着部50を通過した用紙は、用紙カール矯正装置60によりカールが矯正、緩和された後、搬送ローラを経て排紙部70に排出される。
【0031】
そして、転写ユニット40による転写後に各色の感光体ドラム31はクリーニング部35及び図示しない除電部で残留トナー、残留電荷を除去して、必要に応じて再び帯電部32で帯電される。
【0032】
ここで、本発明の特徴部分である用紙カール矯正装置60について説明する。図2は用紙カール矯正装置を示す側面図であり、図3は用紙カール矯正装置の各ローラを示す斜視図である。
【0033】
この用紙カール矯正装置60は、定着部50の下流側における用紙搬送路83の下方から該用紙搬送路83内に突出して設けられた基準硬度ローラ61(第1ローラ)と、上記用紙搬送路83の上方から該基準硬度ローラ61に圧接され用紙搬送方向に沿って配設された硬ローラ63(第3ローラ)及び軟ローラ62(第2ローラ)と、これら基準硬度ローラ61及び硬軟両ローラ63,62を含むローラユニットの上流側の用紙搬送路83に設けられたカールセンサ84,85(カール検出部)及び用紙センサ86と、上記カールセンサ84,85の検出結果に応じて硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を変更する軸間距離調整機構64,65と、上記各種センサ84〜86の検出結果に応じて軸間距離調整機構64,65を制御する制御部90とを備える。なお、ローラユニットは、上記基準硬度ローラ61及び硬軟両ローラ63,62を含む概念である。
【0034】
基準硬度ローラ61は、上記駆動手段としての図略の駆動モータからギヤ列を介して回転駆動される駆動軸61aにより回転駆動される所定径の回転ローラであり、駆動軸61aの両端部が軸の平行移動が拘束された状態で図略の装置ハウジングに軸支されている。なお、この基準硬度ローラ61は、本実施形態では、用紙搬送方向に直交する幅方向に沿って細長い円柱状に形成されているが、駆動軸61aに沿って短柱状ローラが複数個取り付けられているものであってもよい。
【0035】
この基準硬度ローラ61は、少なくともその周面部が所定硬度の材質により構成されている。本実施形態では、この基準硬度ローラ61が、所定の硬さを有するクロロプレンゴム(CRゴム)製の円柱状体に駆動軸61aが固定されて構成されている。
【0036】
一方、硬ローラ63は、上記基準硬度ローラ61よりも小径の円柱状ローラから構成され、該基準硬度ローラ61に圧接されて従動回転するものとなされている。この硬ローラ63は、その回転軸63aの軸方向に沿って1個以上(本実施態では4個)設けられている。回転軸63aは、後述するように揺動可能な軸受けアーム92に軸支され、この軸受けアーム92が揺動することにより、この硬ローラ63が基準硬度ローラ61に対して接離方向に移動可能になっている。
【0037】
また、この硬ローラ63は、少なくともその周面部が上記基準硬度ローラ61の周面部よりも硬い材質により構成され、上記基準硬度ローラ61に圧接された状態ではその周面部が上記基準硬度ローラ61の周面部に食い込んだ状態となっている。具体的には、硬ローラ63は、比較的硬質な合成樹脂であるポリアセタール(POM樹脂)製の円柱状体に回転軸63aが固定されて構成されている。従って、硬ローラ63と基準硬度ローラ61との接触面である第1ニップ部67は、搬送方向に対して上向きにカールする円弧状に形成され、この第1ニップ部67を通過する用紙には正方向の曲げモーメントが作用するものとなされている。
【0038】
また、軟ローラ62は、上記硬ローラ63と同径の円柱状ローラから構成され、上記基準硬度ローラ61に圧接されて従動回転するものとなされている。この軟ローラ62は、その回転軸62aの軸方向に沿って1個以上(本実施形態では4個)設けられている。回転軸62aは、後述するように揺動可能な軸受けアーム92に軸支され、この軸受けアーム92が揺動することにより、この軟ローラ62が基準硬度ローラ61に対して接離方向に移動可能になっている。
【0039】
また、軟ローラ62は、少なくともその周面部が上記基準硬度ローラ61の周面部よりも軟らかい材質により構成され、上記基準硬度ローラ61に圧接された状態ではその周面部が上記基準硬度ローラ61の周面部に食い込まれた状態となっている。具体的にはこの軟ローラ62は、発泡合成樹脂である発泡ポリウレタン製の円柱状体に回転軸62aが固定されて構成されている。従って、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との接触面である第2ニップ部68は、搬送方向に対して下向きにカールする円弧状に形成され、この第2ニップ部68を通過する用紙には負方向の曲げモーメントが作用するものとなされている。
【0040】
なお、本実施形態では、上記硬軟両ローラ63,62が用紙搬送路83を挟んで基準硬度ローラ61の上方に配置されているが、硬軟両ローラ63,62が用紙搬送路83の下方に配設される一方、基準硬度ローラ61が用紙搬送路83の上方に配設されるものであってもよい。
【0041】
カールセンサ84,85は、上向きにカールする用紙の先端部を検出することにより用紙が上向きにカールしていることを検出する上カールセンサ84と、下向きにカールする用紙の先端部を検出することにより用紙が下向きにカールしていることを検出する下カールセンサ85とを備える。これらのカールセンサ84,85は、定着部50から搬送される、上向き或いは下向きにカールする用紙の先端部が略接触し得る位置に設定され、用紙搬送路83中の上面部或いは下面部であって、定着部50とローラ61との間に設けられる。本実施形態では、これらのカールセンサ84,85が定着部50と上記基準硬度ローラ61との略中間部に設けられている。このカールセンサ84,85としては、フォトセンサ等の非接触型センサやリミットスイッチ等の接触型センサが採用されるが、ここではリミットスイッチからなる接触型センサが採用されている。
【0042】
用紙センサ86は、用紙搬送路83中の上記カールセンサ84,85の近傍に設けられ、これらのカールセンサ84,85と協働して用紙のカール方向の判定を可能にするものである。すなわち、カールセンサ84,85だけでは、例えば下向きにカールする用紙が該カールセンサ84,85が設けられた部位を通過する際に用紙の先端部が下カールセンサ85に接触するとともに、用紙の搬送方向中間部や後端部が上カールセンサ84にも接触する場合等があるため、用紙のカール方向を正確に検出することができない虞がある。従って、用紙センサ86により用紙の先端部が検出された時点を基準にして所定時間前或いは後に検出されたカールセンサ84,85による検出結果で用紙のカール方向を正確に特定している。そして、後述する制御部90は、センサ84〜86の検出結果に基づく上記したカール方向の特定を行う。
【0043】
具体的には、この用紙センサ86は、フォトセンサ等の非接触型センサにより構成され、カールセンサ84,85の下流側に配設されている。従って、後述する制御部90は、この用紙センサ86による先端検出信号の入力があった場合、この入力直前のカールセンサ84,85の検出信号に基づいて用紙のカール方向を判断する。
【0044】
軸間距離調整機構64,65は、軟ローラ62及び硬ローラ63の回転軸62a,63aの駆動軸61aに対する軸間距離を複数段階(本実施形態では2段階)に切換調整するものである。これらの軸間距離調整機構64,65は、硬軟両ローラ63,62で同様に形成されているため、ここでは硬ローラ63の軸間距離調整機構65について説明する。
【0045】
すなわち、軸間距離調整機構65は、図4に示すように、硬ローラ63の回転軸63aを回転自在に保持するとともに一点を中心に揺動する一対の軸受けアーム92と、これらの軸受けアーム92を揺動させるソレノイド91とを有する。
【0046】
軸受けアーム92は、ローラユニット上方に水平に延び、その一端部に設けられたピン93により駆動軸61a側に揺動自在に装置本体のハウジング等に軸支されている。この軸受けアーム92の中間部におけるピン93寄りに軸受けが設けられ、硬ローラ63の回転軸63aを回転自在に保持するものとなされている。また、軸受けアーム92の他端部には、回転軸63aと平行に延びるピン94が設けられ、該ピン94につる巻きバネ等の弾性部材96が係止され、硬ローラ63を基準硬度ローラ61側に付勢するものとなされている。
【0047】
上記弾性部材96はその下端縁がソレノイド91の出力軸に突設されたピン95に係止されている。そして、出力軸が進退することにより基準硬度ローラ61と硬ローラ63の軸間距離が遠近2段階に切り換えられ、これにより基準硬度ローラ61に対する硬ローラ63の押圧力が2段階に切り換えられるものとなされている。
【0048】
すなわち、ソレノイド91の出力軸が退入状態にあるときは、図5(b)に示すように、硬ローラ63と基準硬度ローラ61との軸間距離SK1が接近位置(後述する軸間距離SK0よりも短い位置)にあり、このとき基準硬度ローラ61と硬ローラ63とのニップ部である第1ニップ部67が比較的長寸法となるカール矯正位置に設定され、用紙に搬送力を付与しつつ、用紙の下カールを矯正するものとなされている。
【0049】
一方、ソレノイド91の出力軸が進出状態にあるときは、図5(a)、(c)に示すように、硬ローラ63と基準硬度ローラ61との軸間距離SK0が上記接近位置に比べて遠隔位置にあり、このとき基準硬度ローラ61と硬ローラ63との第1ニップ部67は、図5(b)に比して短寸法となる用紙搬送位置に設定され、用紙に搬送力を付与するものとなされている。なお、この用紙搬送位置においても、用紙に正方向の曲げモーメントが作用して用紙のカールが若干矯正されるが、第1ニップ部67が短寸法であるためその矯正力は上記カール矯正位置よりも弱い。
【0050】
ここで、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との関係では、ソレノイド91の出力軸が退入状態にあるときは、図5(a)に示すように、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との軸間距離SN1が接近位置(後述する軸間距離SN0よりも短い状態)にあり、このとき軟ローラ62はそのニップ部である第2ニップ部68が比較的長寸法となるカール矯正位置に設定され、用紙に搬送力を付与しつつ、用紙の上カールを矯正するものとなされている。
【0051】
一方、ソレノイド91の出力軸が進出状態にあるときは、図5(b)、(c)に示すように、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との軸間距離SN0が上記接近位置に比べて遠隔位置にあり、このとき軟ローラ62はその第2ニップ部68は、短寸法となる用紙搬送位置に設定され、用紙に搬送力を付与するものとなされている。なお、この用紙搬送位置においても、用紙に負方向の曲げモーメントが作用して用紙のカールが若干矯正されるが、第2ニップ部68が短いためその矯正力は上記カール矯正位置よりも弱い。
【0052】
このように、この軸間距離調整機構64,65は、初期設定では、図5(c)に示すように、硬軟両ローラ63,62とも用紙搬送位置に設定され、後述する制御部90からの出力に応じて、図5(a),(b)に示すように、硬ローラ63及び軟ローラ62を個別にカール矯正位置に移動させ、用紙のカールを矯正するものとなされている。
【0053】
一方、制御部90は、上記各種センサ84〜86の検出結果に基づいて、上記軸間距離調整機構65、特にソレノイド91を駆動させて、硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を調整制御するものである。この制御部90での処理について、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0054】
まず、制御部90の処理が開始されると、用紙センサ86からの入力があるまで待機され(ステップS10でNO)、用紙センサ86からの入力があった場合に(ステップS10でYES)、この入力直前(入力前所定時間内)に上カールセンサ84からの入力があったか否かを判定する(ステップS12)。
【0055】
上カールセンサ84からの入力がなかった場合には(ステップS12でNO)、用紙センサ86からの入力直前(入力前所定時間内)に下カールセンサ85からの入力があったか否かを判定する(ステップS14)。
【0056】
上記各カールセンサ84,85からの入力がなかった場合には、用紙は実質的に上カールも下カールもしていないことになり、用紙のカールを矯正する必要もないことから、硬軟両ローラ63,62はともに初期設定のまま、すなわち図5(c)に示す用紙搬送位置で維持され、リターンされる。
【0057】
一方、上記ステップS12に戻って、用紙センサ86からの入力直前に上カールセンサ84からの検出があった場合に(ステップS12でYES)、軸間距離調整機構64に作動信号を出力し、軟ローラ62を基準硬度ローラ61に近接する方向、すなわちカール矯正位置に移動させた後(ステップS16)、リターンする。
【0058】
また、ステップS14に戻って、用紙センサ86からの入力直前に下カールセンサ85からの検出があった場合に(ステップS14でYES)、軸間距離調整機構65に作動信号を出力し、硬ローラ63を基準硬度ローラ61に近接する方向、すなわちカール矯正位置に移動させた後(ステップS18)、リターンする。
【0059】
次に、この用紙カール矯正装置60の動作について説明する。図7は、各種センサの検出態様を示す説明図である。
【0060】
定着ローラ対51,52から搬送されてきた用紙Pが上カール(下向きに凸の円弧状にカール)していると、図7(a)に示すように、用紙Pの先端部が上カールセンサ84に接触してこの上カールセンサ84により制御部90に上カール検出信号が送られ、続いて用紙Pの先端部が用紙センサ86を通過すると該用紙センサにより制御部90に先端検出信号が送られる。
【0061】
そして、制御部90では、上記先端検出信号及び上カール検出信号に基づいて、用紙が上カールしていると判断し、該制御部90により軸間距離調整機構64を作動させて、図5(a)に示すように、軟ローラ62と基準硬度ローラ61との軸間距離を近接する方向に該軟ローラ62を移動させる(軟ローラ62をカール矯正位置に設定する)。このように軟ローラ62と基準硬度ローラ61との軸間距離を縮めることにより第2ニップ部68の長さが長くなり、しかも軟ローラ62の周面部が基準硬度ローラ61の周面部よりも軟らかい材質により構成されているので、該第2ニップ部68は上向きに凸の円弧状に形成される。従って、上向きにカールする用紙を第2ニップ部68を通過させることにより該用紙の上向きカールを確実かつ効果的に矯正することができる。
【0062】
一方、定着ローラ対50,51から搬送されてきた用紙Pが下カール(上向きに凸の円弧状にカール)していると、図7(b)に示すように、用紙Pの先端部が下カールセンサ85に接触してこの下カールセンサ85により制御部90に下カール検出信号が送られ、続いて用紙Pの先端部が用紙センサ86を通過すると該用紙センサにより制御部90に先端検出信号が送られる。
【0063】
そして、制御部90では、上記先端検出信号及び下カール検出信号に基づいて、用紙が下カールしていると判断し、該制御部90により軸間距離調整機構64を作動させて、図5(b)に示すように、硬ローラ63と基準硬度ローラ61との軸間距離を近接する方向に該硬ローラ63を移動させる(硬ローラ63をカール矯正位置に設定する)。このように硬ローラ63と基準硬度ローラ61との軸間距離を縮めることにより第1ニップ部67の長さが長くなり、しかも硬ローラ63の周面部が基準硬度ローラ61の周面部よりも硬い材質により構成されているので、該第1ニップ部67は下向きに凸の円弧状に形成される。従って、下向きにカールする用紙を第1ニップ部67を通過させることにより該用紙の下向きカールを確実かつ効果的に矯正することができる。
【0064】
また、定着ローラ対50,51から搬送されてきた用紙Pがほとんど上下カールしておらず、直線状である場合には、図7(c)に示すように、用紙Pの先端部が上下カールセンサ84,85の何れにも接触せず、続いて用紙Pの先端部が用紙センサ86を通過すると該用紙センサにより制御部90に先端検出信号が送られる。
【0065】
そして、制御部90では、上記先端検出信号前の所定時間内に上下カール検出信号が入力されなかったことが確認される。この場合には、何れの軸間距離調整機構64,65をも作動させることなく、図5(c)に示すように、硬軟両ローラ63,62は初期設定位置に維持される。従って、第1及び第2ニップ部67,68は、硬軟両ローラ63,62がカール矯正位置に位置する場合に比べて短くなる。この第1及び第2ニップ部67,68に用紙が通されると、若干用紙がカールしている場合でも用紙がしごかれてそのカールが一層緩和矯正される。
【0066】
このようにこの用紙カール矯正装置60によれば、用紙が何れの方向にカールしている場合でもそのカールを効果的に矯正することができる。しかも、硬軟両ローラ63,62の何れのローラも単一の基準硬度ローラ61に圧接されているので、単一の駆動手段により各ローラ61〜63を含むローラユニットを駆動させることができ、部品点数を可及的に少なくして簡単に構成することができるとともに、これらの画像形成装置1における占有容積を効果的に縮小することができる。
【0067】
また、この画像形成装置1によれば、上記用紙カール矯正装置60が設けられているので、コンパクトに構成することができ、しかもこの用紙カール矯正装置60が定着部50の下流側に設けられているので、定着部50で加熱した用紙を冷却しつつ、用紙のカールを効果的に矯正することができる。
【0068】
なお、以上に本実施形態に係る用紙カール矯正装置について説明したが、この発明に係る用紙カール矯正装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下のような変更が可能である。
【0069】
(1)基準硬度ローラ61、軟ローラ62、硬ローラ63の材質は、硬ローラ63、基準硬度ローラ61、軟ローラ62の順で軟らかい材質を採用するものであれば、上記実施形態のものに限定されない。例えば、これらのローラについて全て硬度の異なるCRゴム(クロロプレンゴム)を採用するものであってもよい。特に、硬ローラについて、鉄鋼等の金属製のローラを採用することもできる。
【0070】
(2)上記実施形態では、各ローラ61〜63について円柱状体を採用したが、これらのローラの具体的構成は特に限定するものではなく、例えばホイール状部材とこのホイール状部材の周面に固定状態に外嵌された円筒状体とにより構成されるものであってもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、基準硬度ローラに圧接されている硬軟両ローラの配置態様について、用紙搬送方向の上流側に硬ローラ63が配設され、この下流側に軟ローラ62が配設されているが、これに限定するものではなく、用紙搬送方向の上流側に軟ローラが配設され、この軟ローラの下流側に硬ローラが配設されるものであってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、用紙搬送路83の下方に基準硬度ローラが配設され、この基準硬度ローラ61の上方に硬軟両ローラ63,62が配設されているが、用紙搬送路83の上方に基準硬度ローラ61が配設され、この基準硬度ローラ61の下方に硬軟両ローラ63,62が配設されているものであってもよい。
【0073】
ただし、これらの硬軟両ローラは、硬軟両ローラと基準硬度ローラとの両ニップ部に適正に用紙を搬送させる観点から適宜配置する必要がある。
【0074】
(4)基準硬度ローラ61及び硬軟両ローラ63,62の径は上記実施形態のものに限定されない。これらのローラの径により各ローラ間のニップ部形状の曲率が変化することから、これらのニップ部形状を考慮して適宜設定される。
【0075】
(5)上記実施形態では、軸間距離調整機構64,65が設けられ、この軸間距離調整機構65,64により硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を調整するものとなされているが、この軸間距離調整機構は適宜省略することができる。この場合には、硬軟両ローラ63,62をともにカール矯正位置に配置する。このようにしても、上下いずれか一方側にカールしている用紙は、用紙カール矯正装置60において、第1ニップ部67を通過する際に下カールが矯正され、第2ニップ部68を通過する際に上カールが矯正され、用紙のカールを緩和して矯正することができる。ここで、例えば上カールしている用紙が第1ニップ部67を通過する場合には第1ニップ部67により用紙の上カールが助長されるが、第2ニップ部68を通過する場合に用紙の上カールが矯正され、しかもこの各ニップ部で用紙が冷まされつつ、しごかれるので、上カールを効果的に矯正することができる。
【0076】
(6)上記実施形態では、各種センサ84〜86の検出結果に基づいて制御部90により軸間距離調整機構64,65を駆動させて自動的に硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を変更するものとなされているが、この軸間距離の変更は自動的に実行するものに限らず、例えば硬軟両ローラを用紙搬送位置とカール矯正位置とに手動により切り換えるものであってもよい。
【0077】
(7)また、軸間距離調整機構64,65は、上記実施形態における場合に限らずその他の構成を採用するものであってもよい。図8は、他の軸間距離調整機構を示す側面図である。
【0078】
この軸間距離調整機構は、基準硬度ローラ61の駆動軸と同心の軸を中心に揺動し、硬軟両ローラ63,62と基準硬度ローラ61との軸間距離を規制する左右一対の扇状の揺動板100と、この揺動板100の円弧部に形成されたラック部103と噛合するピニオン110とを備える。
【0079】
揺動板100は、上記したように基準硬度ローラ61の駆動軸と同心軸上に軸支された扇状の板状体であり、その周方向に沿って並設された状態で軸間調整孔101,102が板厚方向に貫通して形成されている。この軸間調整孔101,102は、その外縁部が駆動軸を中心とする円弧状に形成され、周方向内側に向かうに連れ段階的(本実施形態では3段階)に拡径するものとなされている。この軸間調整孔101,102の外縁部を径が小さい順に近接規制部101a,102a、中間規制部101b,102b、遠隔規制部101c,102cと呼ぶと、上記ピニオン110の回転に伴って揺動板100が回動し、これらの規制部101a〜c,102a〜cの間で切り換えられるものとなされている。なお、各規制部間はテーパー部で連結され、その切換の円滑化が図られている。また、軸間調整孔101,102は、その外縁部が周方向に順次段階的に拡径するものでなくてもよく、例えば最大径となる外縁部を周方向中間部に位置させるものであってもよい。
【0080】
すなわち、軸間調整孔101,102は、軟ローラ62,硬ローラ63の回転軸62a,63aが基準硬度ローラ61の駆動軸から離反する方向に移動するのを規制するものであり、その規制位置を3段階に亘って切換可能に構成されている。
【0081】
具体的には、図8に示す硬軟両ローラ63,62の回転軸63a,62aは、軸間調整孔102,101の中間規制部102b,101bで支持されている。この状態を中間規制状態と呼ぶと、この中間規制状態から上記ピニオン110を反時計方向に回転させると、このピニオン110が揺動板100のラック103と噛み合いして揺動板100が時計方向に回動し、硬ローラ63の回転軸63aが中間規制部102bから離反規制部102cに段を下降させて駆動軸と回転軸63aの軸間距離が長くなるように切り換えられるとともに、軟ローラ62の回転軸62aが中間規制部101bから近接規制部101aに段を上昇させて駆動軸と回転軸62aの軸間距離が短くなるように切り換えられる。すなわち、この状態は、用紙の上カールを矯正するのに好適な状態であり、例えば上記実施形態における各種センサ84〜86の検出結果に基づいて制御部90により適宜切り換えられる。
【0082】
また、上記中間規制状態から上記ピニオン110を時計方向に回転すると、このピニオン110の揺動板100のラック103と噛み合いして揺動板100が反時計方向に回動し、硬ローラ63の回転軸63aが中間規制部102bから近接規制部102aに段を上昇させて駆動軸と回転軸63aの軸間距離が短くなるように切り換えられるとともに、軟ローラ62の回転軸62aが中間規制部101bから近接規制部101cに段を下降させて駆動軸と回転軸62aの軸間距離が短くなるように切り換えられる。すなわち、この状態は、用紙の下カールを矯正するのに好適な状態であり、例えば上記実施形態における各種センサ84〜86の検出結果に基づいて制御部90により適宜切り換えられる。
【0083】
(8)上記実施形態では、基準硬度ローラを駆動ローラとして採用しているが、駆動ローラは軟ローラまたは硬ローラであってもよい。ただし、駆動ローラとして基準硬度ローラを採用すると、各ローラに的確にトルクを伝達することができる点で好ましい。
【0084】
(9)上記軸間距離調整手段は、硬軟両ローラ63,62を移動させるように構成されているが、基準硬度ローラ61を例えば硬軟両ローラ63,62の回転軸を結ぶ線に対して平行移動させるものであってもよい。
【0085】
(10)上記各種センサ84〜86に換えて上カールセンサ84または下カールセンサ85のいずれか一方のみを備えるように構成してもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる用紙カール矯正装置によれば、基準硬度ローラに少なくとも周面部が上記基準硬度ローラよりも軟らかい材質により構成された軟ローラと、硬い材質により構成された硬ローラとが圧接されているので、ローラ間の食い込みを利用してニップ形状を上下いずれかの方向に凸の円弧状に形成することができる。そして、これらのニップ部に用紙を通過させることにより、上下いずれの方向にカールした用紙も効果的に矯正することができる。
【0087】
しかも、基準硬度ローラに硬軟両ローラが圧接されているので、部品点数を抑制し、簡単かつコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る用紙カール矯正装置の一実施形態を示す側面図である。
【図3】同用紙カール矯正装置におけるローラユニットを示す斜視図である。
【図4】同用紙カール矯正装置における軸間調整機構を示す側面図である。
【図5】基準硬度ローラと硬軟両ローラの配置態様を示す説明図である。
【図6】同用紙カール矯正装置における制御部の処理を示すフローチャートである。
【図7】同用紙カール矯正装置における各種センサの検出状態を示す説明図である。
【図8】同用紙カール矯正装置における軸間距離調整機構の他の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
50 定着部
60 用紙カール矯正装置
61 基準硬度ローラ
61a 駆動軸
62 軟ローラ
62a 回転軸
63 硬ローラ
63a 回転軸
64,65 軸間距離調整機構
67,68 ニップ部
84,85 カールセンサ
86 用紙センサ
90 制御部
Claims (7)
- 複数個のローラにより構成されるローラユニットにおけるローラ間のニップ部に用紙を通過させることによって用紙のカールを矯正する用紙カール矯正装置において、
上記ローラユニットは、少なくとも周面部が所定の基準硬さを有する材質により構成された第1ローラと、この第1ローラの周面に圧接され少なくとも周面部が上記第1ローラよりも軟らかい材質により構成された第2ローラと、上記第1ローラの周面に圧接され少なくとも周面部が上記第1ローラよりも硬い材質により構成された第3ローラとを備えることを特徴とする用紙カール矯正装置。 - 上記第1ローラと、上記第2ローラ及び第3ローラとの間の軸間距離を変更する軸間距離調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の用紙カール矯正装置。
- 上記ローラユニットの搬送方向上流側に設けられ用紙のカール方向を検出するカール検出部を備え、上記軸間距離調整手段は、該カール検出部の検出結果に基づいて軸間距離を変更することを特徴とする請求項2記載の用紙カール矯正装置。
- 上記第1ローラは、第2及び第3ローラに比して大径に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の用紙カール矯正装置。
- 上記第1ローラを回転駆動させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の用紙カール矯正装置。
- 上記第2ローラと第3ローラのいずれか一方を回転駆動させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の用紙カール矯正装置。
- 用紙上に形成されたトナー像を加熱により定着させる定着部を備え、この定着部の下流側に請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の用紙カール矯正装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003201052A JP2005041614A (ja) | 2003-07-24 | 2003-07-24 | 用紙カール矯正装置及び画像形成装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010215360A (ja) * | 2009-03-17 | 2010-09-30 | Fuji Xerox Co Ltd | カール矯正装置及び画像形成装置 |
CN103802510A (zh) * | 2012-11-12 | 2014-05-21 | 红石电脑(上海)有限公司 | 可防止传动轮的泡棉变形的打印机色带匣 |
JP2019119606A (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-22 | 株式会社リコー | シート矯正装置、印刷装置 |
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-
2003
- 2003-07-24 JP JP2003201052A patent/JP2005041614A/ja not_active Withdrawn
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