JP5430366B2 - 転写装置及び画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、中間転写体上の現像剤像を記録媒体へ転写する転写装置及び画像形成装置に関する。
従来、中間転写体が設けられた電子写真画像形成装置は、中間転写体上の現像剤像を記録媒体へ転写する転写装置を有している。ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて、記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、カラーレーザビームプリンタ、カラーLEDプリンタ等)、フアクシミリ装置、及びワードプロセッサがある。転写装置は、循環移動するベルト状の中間転写体の内側に配置された第一転写ローラと、中間転写体の外側に配置された第二転写ローラとを有する。第二転写ローラは、中間転写体を間に挟んで第一転写ローラに圧接されて、第一転写ローラと第二転写ローラとの間にニップを形成している。記録媒体は、中間転写体上に担持された現像剤像とタイミングを合わせてニップへ搬送される。記録媒体は、ニップで第二転写ローラと中間転写体との間に挟み込まれる。第一転写ローラに転写電圧を印加することにより、第一転写ローラと第二転写ローラとの間に転写電界を形成して、ニップにおいて中間転写体から記録媒体へ現像剤像を転写する。
この際に、第一転写ローラと第二転写ローラとの間のニップ状態が変化すると、ニップ圧が高い側の記録媒体が先行して搬送されるために記録媒体に転写される現像剤像に傾きが生じてしまう。この傾きを防止するために、特許文献1は、第一転写ローラと第二転写ローラとの間のニップ幅(接触幅)を調整する圧接調整手段を設けた。圧接調整手段は、第一転写ローラの両端部を支持する支持体にそれぞれ設けられた偏芯カムと、第二転写ローラの両端部を支持する支持体にそれぞれ設けられた偏芯カムとを有する。偏芯カムを回転させることにより、第一転写ローラと第二転写ローラとの間のニップ幅を調整してニップ部での画像の傾きを調整している。
特開2002−372871号公報
画像の平行性を調整するために第一転写部材と第二転写部材との間のニップ幅を調整することだけでは、以下のような問題があった。例えば、現像剤像における現像剤(トナー)の分布が変化するとニップ内の摩擦力が変化するため、中間転写体と記録媒体との間のスリップ量が微小に変化して、調整した画像の平行性が変化することがあるという問題がある。また、画像の平行性を調整するために第一転写部材と第二転写部材との間のニップ幅を調整すると、中間転写体の搬送方向にも影響を与えることがあるので、調整後も画像の傾きが補正されないという問題がある。
ここで、従来は、両面印刷における表裏画像の傾きによる位置ずれ量の許容範囲は、数ミリメートル(mm)であった。しかし、近年は、表裏画像位置ずれに対する精度向上の要求が高まり、許容範囲は、数百マイクロメートル(μm)である。この要求を満たすためには、さらなる精度向上の技術が求められている。
ここで、画像の平行性を乱す原因として、以下の要因がわかっている。
部品精度のばらつきに起因して、画像の平行性が崩れる。従来の技術では、部品精度のばらつきに起因する画像の平行性の乱れを補正することは、困難であった。
中間転写体上の現像剤画像は、記録媒体と等速で同方向に進行すると、記録媒体上に同じ倍率で歪み無く転写される。ところが、中間転写体の表面速度VITBと記録媒体の速度Vとの間に速度差が生じると画像倍率が変化する。VITB>Vの場合は、記録媒体上の画像は短くなり、逆に、VITB<Vの場合は、記録媒体上の画像は長くなる。以上の現象を鑑み、例えば、ローラ形状の第二転写部材の一端部側と他端部側とで外径寸法に差がある場合、記録媒体上の画像の一端部側と他端部側とで、中間転写体上の画像に対する画像倍率に差が生ずる。例えば、四角枠画像を形成したときに、図10(a)に示すような画像不良が発生するという問題がある。図10において、記録媒体Pに理想的に転写された画像を点線で表し、記録媒体Pに歪んで転写された画像を実線で表す。
また、一対のローラ形状の転写部材のニップ(接触部)で一方の転写部材の母線の向きと他方の転写部材の母線の向きがずれている(以下、「母線ずれ」という。)と、搬送力が大きい転写部材の搬送方向に記録媒体が搬送されることが知られている。一対の転写部材のうち搬送力が大きい転写部材の母線が、中間転写体の進行方向に対して垂直な方向に対してα度ずれているとすると、転写後の記録媒体の進行方向は、中間転写体の進行方向に対してα度ずれてしまう。このために、記録媒体上に斜めに画像が転写されることになる。記録媒体がレジストローラ対から真っ直ぐに一対の転写部材へ進入したとしても、ニップに「母線ずれ」がある場合には、記録媒体は、ニップの下流側で斜めに搬送される。このために、図10(b)に示すような画像不良が発生するという問題がある。図10(b)に示すような現象は、レジストローラ対と一対の転写部材との間の平行性が崩れている場合において、レジストローラ対と一対の転写部材とにより同時に記録媒体を搬送するときに起こりやすい。
本発明は、中間転写体の進行方向に対する記録媒体の進行方向の傾きを補正することができる転写装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明による転写装置は、中間転写体の裏面と接触するように配置された第一転写部材と、前記中間転写体の表面に圧接して前記第一転写部材との間に転写部を形成する第二転写部材と、前記中間転写体の前記表面上の現像剤像を記録媒体へ転写するために、前記転写部において前記第一転写部材と前記第二転写部材との間に転写電界を発生させる転写電界発生装置と、前記中間転写体の縁部を検出する中間転写体縁部検出装置と、前記記録媒体の搬送方向において前記第二転写部材の上流側に配置され、前記記録媒体の縁部を検出する第一記録媒体縁部検出装置と、前記記録媒体の前記搬送方向において前記第二転写部材の下流側に配置され、前記記録媒体の前記縁部を検出する第二記録媒体縁部検出装置と、前記中間転写体縁部検出装置の検出結果、前記第一記録媒体縁部検出装置の検出結果、及び前記第二記録媒体縁部検出装置の検出結果に基づいて、前記中間転写体の進行方向に対する前記記録媒体の進行方向の傾きを補正する補正装置とを設けた。
また、本発明による画像形成装置は、上記転写装置を設けた。
本発明によれば、中間転写体の進行方向に対する記録媒体の進行方向の傾きを補正することができる転写装置及び画像形成装置を提供することができる。
実施例1の電子写真画像形成装置の断面図。 中間転写ベルトの斜視図。 中間転写ベルトの走行状態を示す図。 実施例1の記録媒体の進行方向の傾きを補正する補正装置を示す図。 実施例1の斜送ローラユニット、レジスライドユニット、及び二次転写装置の平面図。 実施例1の中間転写体縁部検出装置と記録媒体縁部検出装置とを示す図。 実施例1の進行方向測定装置のブロック図。 実施例1の記録媒体の進行方向を補正する手順を示すフローチャート。 実施例2の記録媒体の進行方向を補正する手順を示すフローチャート。 画像不良を示す説明図。
[実施例1]
(電子写真画像形成装置)
図1は、本発明の実施例1による電子写真画像形成装置の断面図である。
電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という。)100は、中間転写体を用いたカラー画像形成装置である。中間転写体を用いた画像形成装置は、近年の出力生産性の向上の要求からカラー画像形成装置においては主たる方式になってきている。特に、中間転写体としてベルトを用いる中間転写ベルト方式は、中間転写体としてドラムを用いるよりも断面配置の設計自由度が広がることから広く用いられている。
画像形成装置100は、一列に並んだ4つの画像形成部U(Uy、Um、Uc、及びUk)を有する。4つの画像形成部Uy、Um、Uc、及びUkは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの現像剤(以下、トナーという。)により現像剤像(以下、トナー像という。)を形成する。4つの画像形成部Uは、同様の構成を有しているので、イエローの画像形成部Uyについて説明し、マゼンタ、シアン、及びブラックの画像形成部Um、Uc、及びUkの説明を省略する。
画像形成部Uyは、像担持体としての感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1は、駆動装置(不図示)によって矢印Rで示す方向に回転させられる。感光体ドラム1の周囲には、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、ドラムクリーニング装置5が配置されている。感光体ドラム1の回転方向Rにおいて、現像装置4の下流に、一次転写装置としての一次転写ローラ7が配置されている。一次転写ローラ7は、感光体ドラム1との間に、中間転写体としての中間転写ベルト6を挟んで一次転写部T1を形成している。
感光体ドラム1の表面は、帯電装置2により一様に帯電させられる。一様に帯電させられた感光体ドラム1の表面には、画像情報に応じて露光装置3によりレーザー光が照射されて、感光体ドラム1の表面上に静電潜像が形成される。画像形成部Uyの現像装置4は、イエロートナーを収容している。現像装置4は、静電潜像にイエロートナーを付着させて、感光体ドラム1の表面上にイエロートナー像を形成する。感光体ドラム1の表面上のイエロートナー像は、一次転写部T1で、中間転写ベルト6上に転写される。ドラムクリーニング装置5は、一次転写部T1で中間転写ベルト6上に転写されずに感光体ドラム1上に残った転写残トナーを除去する。
中間転写ベルト6は、矢印Kで示す方向に回転している。中間転写ベルト6上のイエロートナー像は、画像形成部Umへ搬送される。画像形成部Umは、同様に、感光体ドラム1上にマゼンタトナー像を形成する。感光体ドラム1上のマゼンタトナー像は、一次転写部T1で、中間転写ベルト6上のイエロートナー像の上に重ね合わせて転写される。同様にして、画像形成部Ucにより、シアントナー像がマゼンタトナー像の上に重ね合わせて転写される。画像形成部Ukにより、ブラックトナー像がシアントナー像の上に重ね合わせて転写される。このようにして、四色のトナー像が中間転写ベルト6上に重ね合わせて転写される。
重ね合わせられたトナー像は、二次転写装置50の二次転写部T2へ搬送される。二次転写装置50において、二次転写外ローラ12(第二転写部材)は、二次転写内ローラ10(第一転写部材)との間に、中間転写ベルト6を挟んで二次転写部T2を形成している。記録媒体Pは、中間転写ベルト6上のトナー像とタイミングを合わせて給紙トレイ15から二次転写部T2へ給送される。ここで、記録媒体Pとは、電子写真画像形成装置によって画像が形成される転写材であって、例えば、紙、OHPシート、布等である。給紙トレイ15内に収納された記録媒体Pは、ピックアップローラ104により一枚ずつ分離されて給送される。記録媒体Pは、搬送ローラ106により、給送路108を通って斜送ローラユニット30へ搬送される。記録媒体Pは、斜送ローラユニット30に設けられた三対の斜送ローラ16(16a、16b、16c)と基準ガイド31(図5)とにより姿勢が矯正される。矯正された記録媒体Pは、斜送ローラユニット30の下流に配置されたレジストレーションスライドユニット(以下、レジスライドユニットという。)40へ送られる。レジスライドユニット40は、レジストローラ対17を回転させながら記録媒体Pをスライド(摺動)移動させて、記録媒体Pの中心を画像の中心に整合させる。そして、記録媒体Pは、レジストローラ対17により二次転写装置50の二次転写部T2へ搬送される。
レジストローラ対17と二次転写部T2との間には、記録媒体Pの搬送を案内する二次転写入口下ガイド18と二次転写入口上ガイド19が配置されている。二次転写入口下ガイド18の延長線は、二次転写部T2に向けられているので、レジストローラ対17を抜けた記録媒体Pの先端は、二次転写部T2へ案内される。二次転写入口上ガイド19は、先端がカールした記録媒体Pが二次転写部T2の上流で中間転写ベルト6に接触して画像不良が発生することを防止している。
記録媒体Pは、一旦、レジストローラ対17と二次転写ローラ対(二次転写内ローラ10と二次転写外ローラ12)との両方により所定期間搬送される。その後、記録媒体Pを挟持するレジストローラ対17のニップ圧力が解除されて、二次転写ローラ対(10、12)により記録媒体Pを搬送する。レジストローラ対17の圧力解除動作は、次に搬送される記録媒体Pをスライドさせるタイミングに間に合うタイミングに合わせて解除される。従って、二次転写部T2でトナー像を記録媒体Pへ転写している間のある時点で、レジストローラ対17のニップ圧力が解除される。
二次転写部T2において、中間転写ベルト6上の四色のトナー像は、一括して記録媒体P上へ転写される。記録媒体Pは、定着装置14へ搬送される。ベルトクリーニング装置13は、二次転写部T2において記録媒体P上に転写されずに中間転写ベルト6上に残った転写残トナーを除去する。
定着装置14は、加熱ローラ14aと加圧ローラ14bを有する。定着装置14は、記録媒体Pを加熱及び加圧してトナー像を記録媒体Pに定着する。片面印刷モードにおいて、画像が形成された記録媒体Pは、排紙ローラ102により排紙トレイ20へ排出される。
記録媒体Pの両面に画像を形成する場合は、反転ユニット110により記録媒体Pをスイッチバックして記録媒体Pの先端と後端を入れ替えて搬送する。記録媒体Pの搬送方向PDにおいて排紙ローラ102の上流にフラッパー112が配置されている。両面印刷モードにおいては、フラッパー112を切り替えて、定着装置14から搬送された記録媒体Pを反転ユニット110の反転搬送路114へ搬送する。記録媒体Pの後端がフラッパー116を通り過ぎると、フラッパー116を切り替える。反転ローラ118を反転させ、記録媒体Pの後端を先端にして再搬送路120へ記録媒体Pを搬送する。記録媒体Pは、再度、給送路108を通って二次転写部T2へ搬送される。記録媒体Pは、裏面を上に向けて二次転写部T2を通り、裏面にトナー像が転写される。記録媒体Pは、再度、定着装置14により加熱及び加圧されて裏面にトナー像が定着される。両面に画像が形成された記録媒体Pは、排紙トレイ20へ排出される。
(中間転写ベルト)
中間転写ベルト6は、図2(a)に示すように、駆動ローラ8、テンションローラ9、及び第一転写部材としての二次転写内ローラ10の周りに略三角形状に掛けまわされている。中間転写ベルト6は、駆動モータ22により駆動ローラ8を介して矢印Kで示す方向に回転される。中間転写ベルト6の内側には、一次転写ローラ7及びアイドラローラ23が配置されている。一次転写ローラ7及びアイドラローラ23は、中間転写ベルト6の裏面に接触して回転可能である。
(ステアリング装置)
中間転写ベルト6の片寄り(蛇行)を補正するために、テンションローラ9の一端部にステアリング装置90が設けられている。テンションローラ9の両端部は、それぞれ軸受ホルダ94により回転可能に支持されている。テンションローラ9の一端部の軸受ホルダ94は、ステアリング装置90のステアリングアーム95によりスライド移動可能に支持されている。また、テンションローラ9の他端部の軸受ホルダ94は、画像形成装置100の枠体(不図示)によりスライド移動可能に支持されている。軸受ホルダ94は、バネ部材(付勢部材)93により矢印Gで示す方向に付勢されているので、テンションローラ9が矢印Gで示す方向に付勢されて中間転写ベルト6にテンションを与えている。ステアリングアーム95は、軸96により揺動可能に支持されている。ステアリングアーム95の一端部は、駆動モータ91に連結された偏芯カム92と係合している。駆動モータ91により偏芯カム92が回転すると、アーム95の一端部は、矢印Eで示す方向に揺動する。アーム95の揺動により、テンションローラ9の一端部は、矢印Fで示す方向に揺動する。これにより、テンションローラ9の一端部を揺動させて、中間転写ベルト6の片寄りを補正する。
中間転写ベルト6の片寄りは、ベルトエッジセンサ25の検出結果に基づいて補正される。図2(b)に示すように、中間転写ベルト6の縁部の近傍に、中間転写ベルト6の縁部の位置を検出するベルトエッジセンサ25が設けられている。ベルトエッジセンサ25は、中間転写ベルト6の縁部に接触するように構成された検出フラグ26と、検出フラグ26に連動して移動するフラグ検出面27と、センサ面28とを有する。中間転写ベルト6が片寄ると、中間転写ベルト6の縁部に接触する検出フラグ26が中間転写ベルト6の片寄りに応じて移動する。検出フラグ26の移動に連動してフラグ検出面27が移動し、フラグ検出面27とセンサ面28との間の距離が変化する。ベルトエッジセンサ25は、フラグ検出面27とセンサ面28との間の距離を検出し、検出信号を画像形成装置100のCPU(不図示)へ送る。中間転写ベルト6の裏面の近傍に、ホームポジションセンサ29が設けられている。ホームポジションセンサ29は、中間転写ベルト6の裏面に設けられた基準シール(不図示)を読み取り、読み取り信号を画像形成装置100のCPU(不図示)へ送る。CPU(不図示)は、中間転写ベルト6が安定して回転しているときに、ベルトエッジセンサ25からの検出信号と、ホームポジションセンサ29からの読み取り信号とに基づいて、時間を基準に中間転写ベルト6の一周分のエッジプロファイルを作成し予め記憶する。中間転写ベルト6の片寄りを補正するときは、ベルトエッジセンサ25からの検出信号と、予め記憶されたエッジプロファイルとを比較して、ステアリング装置90の駆動モータ91をフィードフォワード制御する。
本実施例において、中間転写ベルト6の周長は、約2100mmである。中間転写ベルト6の周速は、毎秒約300ミリメートル(約300mm/s)である。中間転写ベルト6の一周回転時間は、約7秒である。中間転写ベルト6の走行むらは、図3に示すように、フラグ検出面27とセンサ面28との間の距離が50μm程度に抑えられている。したがって、中間転写ベルト6の進行方向は安定しており、中間転写ベルト6のいずれの縁部を追跡してもほぼ真っ直ぐに進行していることがわかる。
(二次転写装置)
二次転写装置50は、二次転写ローラ対(10,12)を有する。二次転写ローラ対は、ゴム硬度の高い二次転写内ローラ(第一転写部材)10と、ゴム硬度の低い二次転写外ローラ(第二転写部材)12とからなる。二次転写内ローラ10は、中間転写ベルト6の裏面に接触して配置されている。二次転写外ローラ12は、中間転写ベルト6の表面に圧接している。転写電界発生装置35は、二次転写内ローラ10にトナーの帯電極性と同極性の転写電圧を印加して、二次転写内ローラ10と二次転写外ローラ12との間に転写電界を発生させる。この転写電界の作用により、中間転写ベルト6の表面上のトナー像は、二次転写部T2において記録媒体Pへ転写される。
中間転写ベルト6上には、記録媒体Pと記録媒体Pとの間において制御用トナー像が形成される。制御用トナー像は、記録媒体Pと記録媒体Pとの間において二次転写外ローラ12上に転写されるので、二次転写装置50は、二次転写外ローラ12からトナーを除去するためのローラクリーニング装置21を有する。ローラクリーニング装置21は、トナーを除去するために二次転写外ローラ12に当接するクリーニング部材21aを有する。クリーニング部材21aが二次転写外ローラ12に当接しているので、クリーニング部材21aが二次転写外ローラ12に与える負荷が変動する。この負荷変動は、二次転写部T2において、中間転写ベルト6から記録媒体Pへ転写されるトナー像に影響を及ぼすおそれがある。負荷変動による影響を防止するために、二次転写外ローラ12には、駆動モータ(駆動装置)51(図2)により回転駆動力が与えられる。
二次転写部T2における記録媒体Pのジャム処理を容易にするために、二次転写内ローラ10に対する二次転写外ローラ12の圧力を解除することができる。二次転写部T2の二次転写内ローラ10と二次転写外ローラ12との間に圧力(ニップ圧力)を付与する構成に関して、二つの方法が実用化されている。一つは、二次転写内ローラ10に対する二次転写外ローラ12の加圧力を管理する方法である。もう一つは、二次転写内ローラ10と二次転写外ローラ12との間の軸間距離を管理する方法である。本実施例は、後者の方法による構成を採用しているが、前者の方法による構成を採用することもできる。軸間距離を調整する機構は、従来の構成を使用することができるので、本明細書では、説明を省略する。
二次転写外ローラ12は、ローラクリーニング装置21による負荷変動を防止するために駆動モータ51により回転させられて、二次転写ローラ対(10,12)により記録媒体Pを搬送する。二次転写外ローラ12の回転速度は、中間転写ベルト6の移動に外乱が与えられることを防止するために中間転写ベルト6の表面速度よりも二次転写外ローラ12の表面速度が若干速くなるように設定されている。さらに、記録媒体Pに接触する二次転写外ローラ12の表面の摩擦係数は、中間転写ベルト6の表面の摩擦係数より大きく設定されている。したがって、二次転写中の記録媒体Pの搬送は、二次転写外ローラ12によって支配される。
(補正装置)
図4は、記録媒体Pの進行方向の傾きを補正する補正装置70を示す図である。補正装置70は、軸受76を回転可能に保持する保持部材71aと、軸受77を摺動移動可能に保持する保持部材71bとを有する。
図2(a)に示すように、二次転写内ローラ10の両端部は、それぞれ保持部材61a及び61bにより回転可能に保持されている。保持部材61a及び61bは、それぞれ位置決め凹部61c(不図示)及び61d(図4)を有する。二次転写外ローラ12の一端部は、保持部材71aに設けられた軸受76により回転可能に保持されている。二次転写外ローラ12の他端部は、保持部材71bに設けられた軸受77により回転可能に保持されている。保持部材71a及び71bは、それぞれ位置決めピン71c及び71d(図5)を有する。位置決めピン71c及び71dを、それぞれ位置決め凹部61c及び61dに嵌合することにより、二次転写外ローラ12は、二次転写内ローラ10に対して位置決めされる。このとき、位置決めピン71cと71dとを結ぶ線L(図5)は、基準線RL(図6)としての二次転写内ローラ10の軸線と平行である。保持部材71aは、二次転写外ローラ12の一端部を回転可能に保持する軸受76を、図4に示すように旋回軸線78を中心に回転可能に保持している。したがって、二次転写外ローラ12は、旋回軸線78を中心に矢印Hで示す方向に回転可能である。旋回軸線78は、二次転写外ローラ12の軸線に対して垂直に延在している。保持部材71bは、二次転写外ローラ12の他端部を回転可能に保持する軸受77を、両頭矢印Mで示す方向(旋回軸線78に対して垂直な両方向)に摺動移動可能に保持している。バネ部材(付勢部材)72は、軸受77の一側面に係合している。軸受77は、バネ部材72の付勢力により矢印Jで示す方向(旋回軸線78に対して垂直な一方向)に付勢されている。軸受77の一側面と反対の他側面には、押圧部材73が係合している。押圧部材73は、偏芯カム74と係合して両頭矢印Mで示す方向に移動可能である。偏芯カム74は、二次転写外ローラ旋回モータ75に連結されている。モータ75により偏芯カム74を回転させて、偏芯カム74により押圧部材73を両頭矢印Mで示す方向に移動させる。軸受77は、押圧部材73に対してバネ部材72の付勢力により矢印Jで示す方向に付勢されているので、軸受77は、押圧部材73の移動に連動して両頭矢印Mで示す方向に移動する。これによって、二次転写外ローラ12は、基準線RLに平行な面内で旋回軸線78を中心に回転し、二次転写外ローラ12の軸線を二次転写内ローラ10の軸線すなわち基準線RLに対して傾けることができる。つまり、二次転写部T2において、二次転写内ローラ10と二次転写外ローラ12との間に形成されるニップ線を回転させて、中間転写ベルト6の進行方向に対する記録媒体Pの進行方向の傾きを補正することができる。なお、ここで、ニップ線(接触部線)とは、二次転写内ローラ10と二次転写外ローラ12との間に形成されるニップ幅(接触幅)の略中心を通る線である。
ホームポシジョンセンサ(不図示)は、軸受77の位置を検出する。通常は、ホームポジションセンサからの信号に基づいて、二次転写外ローラ12の軸線が二次転写内ローラ10の軸線と平行になる原点位置に、軸受77は保持されている。
前記したように、二次転写中の記録媒体Pの搬送は、二次転写外ローラ12によって支配される。したがって、補正装置70が、二次転写内ローラ10の軸線すなわち基準線RLに対する二次転写外ローラ12の軸線の傾きを変更することにより、記録媒体Pの進行方向を変更することができる。
なお、本実施例において、二次転写外ローラ12の旋回軸線78を、軸受76保持する保持部材71aに設定したが、これに限定するものではない。二次転写外ローラ12の軸線を基準線RLに平行な面内で基準線RLに対して傾かせることができれば、いずれの位置に旋回軸線を設定してもよい。また、本実施例において、二次転写外ローラ12の回転位置を制御するために偏芯カム74を用いて押圧部材73を移動させているが、これに限定するものではない。駆動ギアを用いて押圧部材73を移動させてもよい。また、ラックとピニオンの機構を用いて軸受77を移動させてもよい。
(記録媒体の進行方向のずれ)
駆動モータ51により二次転写外ローラ12に駆動力が入力されると、記録媒体Pの搬送力に対し影響力を与え、二次転写外ローラに起因する記録媒体Pの搬送速度ムラが発生するおそれがある。特に、二次転写外ローラ12の一端部の外径と他端部の外径に差があると、記録媒体Pの一端部と他端部との間に搬送速度差が生じる。搬送速度差により記録媒体Pが旋回するので、画像の平行性が崩れる画像不良が発生するおそれがある。特に、本実施例のように二次転写部T2における圧力を調整するために二次転写ローラ対(10、12)の軸線方向に沿って軸間距離を一定に保つように調整する構造においては、二次転写外ローラ12の外径差に起因する画像不良が顕著に発生するおそれがある。たとえば、外径24mmの二次転写外ローラ12を使用した場合に、一端部側の外径が24.000mmであり、他端部側の外径が24.096mmであったとする。この外径差は、一般にゴムローラを生産するときの許容範囲内にある。このときに、A3(長さ420mm)サイズの記録媒体Pを先端から後端まで搬送するために、二次転写外ローラ12は、5.57回転する必要がある。しかし、二次転写外ローラ12が5.57回転したときに、一端部側の搬送距離が420mmになるのに対して、他端部側の搬送距離は421.68mmとなる。この搬送距離の差に起因して、画像の一端部側よりも画像の他端部側が伸びて、図10(a)に示すように、画像は、傾くことになる。
画像の平行性が崩れると、例えば、記録媒体Pの両面に同じ大きさの四角枠画像を形成したときに、表裏の画像位置にずれが発生する。従来の画像形成装置における表裏の画像位置のずれは、数ミリメートル程度であった。しかし、近年、記録媒体Pの表裏画像の位置のずれに対する精度向上の要求が高まり、記録媒体Pへのトナー画像の転写に際して画像の平行性劣化を軽減することが強く望まれている。
また、前述の通り、レジストローラ対17と二次転写ローラ対(10,12)との両方で記録媒体Pを搬送するタイミングがあるので、レジストローラ対17の圧力解除の前後で記録媒体Pの搬送力に変化が生じる。このときに、中間転写ベルト6の進行方向と記録媒体Pの進行方向との間に差が生じるおそれがある。記録媒体Pの進行方向が中間転写ベルト6の進行方向に対して傾くと、転写されるトナー画像も徐々に傾いていく。
(進行方向の測定)
中間転写ベルト6の進行方向に対する記録媒体Pの進行方向の傾きを防止するためには、中間転写ベルト6の進行方向と、記録媒体Pの進行方向を実時間で一致(リアルタイム一致)させるように制御できるとよい。それぞれの進行方向を検出する方法として、同じ基準線RLに対してそれぞれの進行方向がどのくらい傾いているかを測定すれば良い。この場合に、同じ基準線RLとして二次転写内ローラ10の軸線を使用すると、中間転写ベルト6の進行方向と記録媒体Pの進行方向とを同じ基準線RLに対して測定することが可能となる。同じ基準線RLを使用することにより、進行方向の計算誤差を小さくすることが可能となる。進行方向は、基準線RLに対して垂直な線に対する傾きで表す。
(中間転写ベルトの進行方向の測定)
まず、図6を用いて中間転写ベルト6の進行方向の測定について説明する。図6(a)に示すように、基準線RLとしての二次転写内ローラ10の軸線に対して垂直な同一線上に二つの基準位置57aを設定する。基準位置57aは、中間転写ベルト6の縁部63までの距離を測定するための原点としての位置である。この基準位置57aと中間転写ベルト6の縁部63とを検出できるように中間転写体縁部検出装置62が配置されている。中間転写体縁部検出装置62は、エリアセンサを用いた画像センサを有する。中間転写体縁部検出装置62は、予め設定された画像倍率で基準位置57a及び縁部63を検出できるように、ピントを調整して固定されている。図7は、進行方向測定装置60のブロック図である。中間転写体縁部検出装置62の画像センサから得られた画像データは、A/D変換器64を介して制御装置(CPU)65に伝送される(図7)。CPU65は、画像データを処理して、図6(b)に示す測定点A及びBの2点について、基準位置57aと中間転写ベルト6の縁部63との間の距離NA及びNBを測定する。なお、基準位置57aは、同一線上に測定点A用の基準位置と測定点B用の基準位置が設定されている。そして、CPU65は、基準線RLとなる二次転写内ローラ10の軸線に対して垂直な線と中間転写ベルト6の縁部63との間の角度を算出する。角度の算出は、基準位置57aと中間転写ベルト6の縁部63との間の距離NA,NBに基づいて行われる。図6(b)に示す測定点AとBとの間の距離XABは、予め設定されている。例えば、本実施例においては、測定点AとBとの間の距離XABは、30mmに設定されている。測定点A及びBにおいて測定された距離NA及びNBが、それぞれ5.10mm及び5.11mmであったとする。CPU65は、基準線RLに対して垂直な線と中間転写ベルト6の縁部63との間の角度βを、次式により算出する。
Figure 0005430366
角度βは、0.0191°と算出される。角度βは、中間転写ベルト6の進行方向を表す。
本実施例において、中間転写体縁部検出装置62は、エリアセンサを用いた画像センサを有する。しかし、エリアセンサに限定されるものではなく、距離を測定できれば他のセンサを使用してもよい。また、中間転写ベルト6の速度VINT(mm/s)がわかっている条件では、測定点を2点にする必要はなく、ある1点で定点測定してもよい。一つの測定点で、設定した測定時間間隔TINT(s)で2度にわたり基準位置57aと中間転写ベルト6の縁部63との間の距離N1(mm)と距離N2(mm)を測定し、次式により、角度βを求めることができる。
Figure 0005430366
なお、本実施例において、CPU65は、二次転写装置50に設けられているが、画像形成装置100の本体に設けられていてもよい。
(記録媒体の進行方向の測定)
次に、図6を用いて記録媒体Pの進行方向の測定について説明する。
特に、記録媒体Pの進行方向を測定する際は、二次転写動作中に記録媒体Pの搬送力に変化点があることを考慮する必要がある。この搬送力の変化は、二次転写動作中にレジストローラ対17の圧力が解除されることにより生じる。搬送力の変化により、記録媒体Pの搬送方向PDにおける二次転写ローラ対(10,12)の上流側と下流側とで記録媒体Pの姿勢が変化するおそれがある。そこで、記録媒体Pの搬送方向PDにおける二次転写ローラ対(10、12)の上流側と下流側とにおける記録媒体Pの姿勢の変化を考慮して、記録媒体Pの縁部PEを検出する記録媒体縁部検出装置54(54a、54b)を配置する。
二次転写外ローラ12の両端部を保持する保持部材71aと71bに設けられた位置決めピン71cと71dとを結ぶ線L(図5)は、基準線RL(図6)としての二次転写内ローラ10の軸線と平行である。従って、この基準線RLに対して垂直な同一線上に基準位置57b、57cを設ける。基準位置57b、57cは、記録媒体Pの縁部PEまでの距離を測定するための原点としての位置である。この基準位置57b、57cと記録媒体Pの縁部PEとを測定できるように記録媒体縁部検出装置54(54a、54b)を配置する。前述の通り、記録媒体Pの姿勢は二次転写動作中に旋回させられるおそれがある。このため、図6(b)に示すように、記録媒体Pの搬送方向PDにおける二次転写外ローラ12の上流側と下流側とに、それぞれ第一記録媒体縁部検出装置54aと第二記録媒体縁部検出装置54bとが設けられている。中間転写体縁部検出装置62は、記録媒体Pの搬送方向PDにおいて第一記録媒体縁部検出装置54aと第二記録媒体縁部検出装置54bとの間に設けられている。第一記録媒体縁部検出装置54aは、記録媒体Pの搬送方向PDにおける二次転写外ローラ12の上流側において、基準位置57bと記録媒体Pの縁部PEとを測定できるように配置されている。第二記録媒体縁部検出装置54bは、記録媒体Pの搬送方向PDにおける二次転写外ローラ12の下流側において、基準位置57cと記録媒体Pの縁部PEとを測定できるように配置されている。様々な記録媒体Pのサイズに対応するために、記録媒体縁部検出装置54(54a、54b)は、駆動装置(不図示)により記録媒体Pの搬送方向PDに対して垂直な方向Q(図6(a))に移動可能に構成されている。方向Qは、基準線RLと平行である。記録媒体縁部検出装置54の移動範囲は、基準位置57b、57cを測定できる位置と、搬送可能な最小サイズの記録媒体Pの縁部PEを測定できる位置とを含んでいる。
二次転写入口下ガイド18(図1)は、クリーニングカバー部55と、搬送ガイド部52とを有する(図5)。第一記録媒体縁部検出装置54aは、二次転写入口下ガイド18のクリーニングカバー部55と搬送ガイド部52との間に配置されている。クリーニングカバー部55は、クリーニング装置21のカバーの役割を担う無穴の板部材を有する。搬送ガイド部52は、記録媒体Pの搬送を妨げないように第一記録媒体縁部検出装置54aの上部を橋渡しする形状を有しており、且つ、第一記録媒体縁部検出装置54aの上部を開放する開口部が設けられている。搬送ガイド部52の縁部を基準位置57bとする。
第二記録媒体縁部検出装置54bは、二次転写出口ガイド53の下に配置されている。二次転写出口ガイド53の縁部を基準位置57cとする。二次転写出口ガイド53は、記録媒体Pの搬送を妨げないように第二記録媒体縁部検出装置54bの上部を橋渡しする形状を有しており、且つ、第二記録媒体縁部検出装置54bの上部を開放する開口部が設けられている。
記録媒体の進行方向の測定精度を向上するために、第一記録媒体縁部検出装置54aの基準位置57bと第二記録媒体縁部検出装置54bの基準位置57cとを一致させている。二次転写装置50を組み立てるときに、二次転写入口下ガイド18の搬送ガイド部52の縁部(基準位置57b)と二次転写出口ガイド53の縁部(基準位置57c)とが一直線に整合するように、搬送ガイド部52と二次転写出口ガイド53との位置を調整する。基準位置57b、57cは、二次転写内ローラ10の軸線(基準線RL)に対して直角になるように調整されている。
第一記録媒体縁部検出装置54aは、図6(b)に示す測定点Cにおいて、基準位置57bと記録媒体Pの縁部PEとの距離NC(図6(a))を測定する。第一記録媒体縁部検出装置54aの検出信号は、A/D変換器66を介してCPU65へ送られる。第二記録媒体縁部検出装置54bは、図6(b)に示す測定点Dにおいて、基準位置57cと記録媒体Pの縁部PEとの距離ND(図6(a))を測定する。第二記録媒体縁部検出装置54bの検出信号は、A/D変換器67を介してCPU65へ送られる。そして、CPU65は、基準線RLに対して垂直な線と記録媒体Pの縁部PEとの間の角度θを算出する。図6(b)においては、角度θをわかりやすく図示するために、記録媒体Pの縁部PEに対して垂直な線PLと基準線RLとの間の角度として示している。記録媒体Pの縁部PEに対して垂直な線PLと基準線RLとの間の角度は、基準線RLに対して垂直な線と記録媒体Pの縁部PEとの間の角度θと同じである。
測定点CとDとの間の距離XCDは、予め設定されている。例えば、本実施例においては、測定点CとDとの間の距離XCDは、100mmに設定されている。測定点C及びDにおいて測定された距離NC及びNDが、それぞれ5.10mm及び5.50mmであったとする。CPU65は、基準線RLに対して垂直な線と記録媒体Pの縁部PEとの間の角度θを、次式により算出する。
Figure 0005430366
角度θは、0.2292°と算出される。角度θは、記録媒体Pの進行方向を表す。
中間転写ベルト6の進行方向βと記録媒体Pの進行方向θとに基づいて、中間転写ベルト6の進行方向に対する記録媒体Pの進行方向の傾き量(θ−β)は、0.2292°−0.0191°=0.2101°
と、計算される。この結果を受けて、図4に示す補正装置70により二次転写外ローラ12を記録媒体Pの傾きと逆方向に0.2101°傾けることにより、中間転写ベルト6の進行方向と記録媒体Pの進行方向を平行に合わせることが可能となる。CPU65は、駆動回路68を介して二次転写外ローラ旋回モータ75を駆動し、二次転写外ローラ12を旋回軸線78を中心に回転させる。これによって、記録媒体Pの進行方向を補正して、中間転写ベルト6の進行方向と記録媒体Pの進行方向とを一致させる。
(記録媒体の進行方向の補正)
図8は、記録媒体Pの進行方向を補正する手順を示すフローチャートである。中間転写ベルト6の進行方向に対する記録媒体Pの進行方向の傾き量(θ−β)に基づいて、補正装置70を制御する方法を説明する。
記録媒体Pの搬送が開始されると、中間転写ベルト6及び記録媒体Pの進行方向の検出を開始する(S1)。第一記録媒体縁部検出装置54aは、記録媒体Pの縁部PEの距離NCを測定する。距離NCが検出できない場合には(S2のNO)、記録媒体Pがまだ第一記録媒体縁部検出装置54aへ到達していないので、二次転写外ローラ12を原点位置に維持する(S3)。記録媒体の搬送が行われていれば(S4のYES)、ステップS2へ戻る。ステップS2で、第一記録媒体縁部検出装置54aにより記録媒体Pの縁部PEの距離NCが測定されると(S2のYES)、ステップS5へ進む。ステップS5で、第二記録媒体縁部検出装置54bが記録媒体Pの縁部PEの距離NDを検出できない場合には(S5のNO)、記録媒体Pがまだ第二記録媒体縁部検出装置54bへ到達していないので、二次転写外ローラ12を原点位置に維持する(S3)。ステップS5で、第二記録媒体縁部検出装置54bにより記録媒体Pの縁部PEの距離NDが測定されると(S5のYES)、ステップS6へ進む。ステップS6で、中間転写体縁部検出装置62は、測定点A及びBにおいて中間転写ベルト6の縁部63の距離NA及びNBをそれぞれ測定する。CPU65は、記録媒体Pの縁部PEの距離NC及びNDと、中間転写ベルト6の縁部63の距離NA及びNBとに基づいて、中間転写ベルト6の進行方向に対する記録媒体Pの進行方向の傾き量(θ−β)を算出する(S7)。CPU65は、傾き量に応じて二次転写外ローラ旋回モータ75を駆動するためのパルス数を算出して補正量とする。CPU65は、駆動回路68を介して二次転写外ローラ旋回モータ75を補正量に従ってパルス駆動する(S8)。モータ75は、偏芯カム74を回転させて、押圧部材73を両頭矢印Mで示す方向に移動させる。軸受77は、押圧部材73の移動に連動して両頭矢印Mで示す方向に移動し、二次転写外ローラ12を旋回軸線78の周りに旋回させる。これによって、記録媒体Pの進行方向を変更して、中間転写ベルト6に対する記録媒体Pの傾きを補正する。
ステップ8で補正量だけモータ75を駆動した後、ステップS2へ戻り、記録媒体Pが第一記録媒体縁部検出装置54aと第二記録媒体縁部検出装置54bとの間を搬送されている間、リアルタイムで、記録媒体Pの傾きの補正を繰り返す。
記録媒体Pの後端部が第一記録媒体縁部検出装置54aを通過すると、距離NCを検出できないので(S2のNO)、ステップS3で、二次転写外ローラ12を原点位置へ戻す。記録媒体Pの搬送が行われているので(S4のYES)、ステップS2へ戻る。記録媒体Pの後端部が第二記録媒体縁部検出装置54bを通過し(S5のNO)、二次転写装置50における記録媒体Pの搬送が完了すると(S4のNO)、記録媒体Pの進行方向の補正制御を終了する(S9)。
本実施例によれば、二次転写ローラ対の上流側と下流側とで記録媒体の端部を検出し、中間転写ベルトの進行方向と一致するように記録媒体の姿勢を制御することにより、転写される画像の歪みを小さくすることが可能となる。これにより、記録媒体Pの両面に画像を転写したときの画像位置ずれも極力小さく抑えることが可能となる。また、製造上ばらつきをなくすことが困難である部品精度のばらつきに起因する画像のゆがみに対しても本実施例は有効な手段となり、製造歩留まりの向上により製造環境負荷を低減させることが 可能となる。
また、本実施例によれば、例えば、従来の調整機構だけでは調整が困難であった画像の平行度の小さなずれをより小さくすることができる。
[実施例2]
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2の画像形成装置は、実施例1と同様であるので、同様の構成には同様の参照符号を付して説明を省略する。
前記したように、二次転写部T2のニップ圧力を、加圧力で管理する方法に比べて、二次転写内ローラ10と二次転写外ローラ12との間の軸間距離で管理する方法の方が、二次転写外ローラの外径差に起因する記録媒体Pの進行方向の傾きに与える影響が大きい。これは、二次転写内ローラ10と二次転写外ローラ12との間の軸間距離が固定されていると、二次転写部T2におけるニップ幅は、概ね二次転写外ローラ12の外径のみで決定されるためである。二次転写外ローラ12の一端部側と他端部側とで外径差が存在すると、一端部側と他端部側とでニップ幅が異なる。ニップ幅の大きい側で記録媒体は先行して搬送されるため、記録媒体Pの搬送量が一端部側と他端部側とで大きく差が付いてしまう。
二次転写外ローラの一端部と他端部との外径差は、二次転写外ローラの製造工程に起因することがある。例えば、発泡ゴムを用いた二次転写外ローラに関して、製造設備によっては、他端部側の外径が一端部側の外径よりも一定の寸法だけ大きくなる傾向がある。このような製造設備を改善することが困難な場合には、外径差の少ない二次転写外ローラを製造することは、困難である。このような二次転写外ローラを使用する場合は、記録媒体Pを安定して真っ直ぐ搬送させることが困難であるが、記録媒体Pの進行方向の傾き量及び傾き方向は、ある一定の傾向を有することがある。
二次転写ローラ対(10、12)によって記録媒体Pは搬送されるが、前述したように二次転写外ローラ12に駆動力が与えられている。二次転写外ローラ12の回転速度は、中間転写ベルト6の移動に外乱が入力されることを防止するために中間転写ベルト6の表面速度よりも二次転写外ローラ12の表面速度が若干速くなるように設定されている。さらに、記録媒体Pに接触する二次転写外ローラ12の表面の摩擦係数は、中間転写ベルト6の表面の摩擦係数より大きく設定されている。したがって、二次転写中の記録媒体Pの搬送は、二次転写外ローラ12によって支配される。このとき、二次転写外ローラ12による記録媒体Pの進行方向が中間転写ベルト6の進行方向に対してずれていると、転写される画像も徐々にずれていく。実施例1においては、中間転写ベルト6の進行方向と記録媒体Pの進行方向とをリアルタイムで一致させる制御をしていた。ところが、二次転写外ローラ12の外径差に起因するズレの影響が大きい場合には、記録媒体Pの進行方向の傾き量及び傾き方向は、ある一定の傾向を有する。このため、二次転写部T2における記録媒体Pの搬送姿勢は、ある一定の傾き量及び傾き方向で安定している。この場合は、特に、リアルタイムで記録媒体Pの傾き量を測定して二次転写外ローラ12の姿勢を制御する必要はなく、ある程度、傾き量及び傾き方向の癖を見抜いた後は、同じ姿勢制御を繰り返せばよい。
例えば、ジョブ開始前に、複数枚の記録媒体を搬送させて、二次転写部T2における搬送の癖を学習する。学習後、記録媒体を一枚通紙し、再び、記録媒体縁部検出装置54(54a、54b)から得られた検出結果から傾き量を計算する。計算結果が所定の規格内に収まっているかどうかの判断を行う。規格内に収まった後、ジョブをスタートさせ、既に学習した姿勢制御を繰り返すことにより、二次転写外ローラ12が既に持っている外径差の影響を低減させることが可能となる。規格内に収まっていない場合は、再度記録媒体を搬送させ規格内に収まるまで再計算をする。
図9は、実施例2による記録媒体の進行方向を補正する手順を示すフローチャートである。図9(a)は、二次転写外ローラ旋回モータ75を駆動させるための補正シーケンスを求めるフローチャートである。図9(b)は、補正シーケンスに従って二次転写外ローラ旋回モータ75を駆動して記録媒体Pの進行方向を補正するフローチャートである。
印刷ジョブの開始前に、CPU65は、二次転写外ローラ旋回モータ75を駆動させるための補正シーケンスを求めるためのプログラムを開始する(S11)。まず、画像形成を行わずに記録媒体Pの搬送が開始される(S12)。中間転写体縁部検出装置62、第一記録媒体縁部検出装置54a、及び第二記録媒体縁部検出装置54bにより、中間転写ベルト6の縁部63の距離NA及びNBと、記録媒体Pの縁部PEの距離NC及びNDを測定する(S13)。距離NA、NB、NC、及びNDに基づいて、中間転写ベルト6の進行方向に対する記録媒体Pの進行方向の傾き量(θ−β)を算出し、記憶装置(不図示)に記憶する(S14)。ステップS15で、所定数の記憶媒体Pを搬送したかどうかを判断し、所定数に到達していない場合には(S15のNO)、ステップS12へ戻り、記録媒体Pを搬送して、傾き量を求める(S14)。本実施例において、所定数は10枚であるが、これに限定されるものではない。ステップS15で、記録媒体Pが所定数に到達したと判断した場合には(S15のYES)、記憶装置に記憶した所定数分の傾き量を平均して平均傾き量を求める。この平均傾き量に基づいて、二次転写外ローラ旋回モータ75を駆動させるための補正シーケンスを作成する(S16)。補正シーケンスは、記録媒体Pが二次転写装置50を通して搬送されているときに、二次転写外ローラ旋回モータ75を一回だけ駆動させるものであってもよいし、複数回駆動させるものであってもよい。次に、記録媒体Pを一枚搬送する(S17)。ステップS16で作成した補正シーケンスに基づいて、二次転写外ローラ旋回モータ75を駆動して、記録媒体Pの傾きを補正する。中間転写体縁部検出装置62、第一記録媒体縁部検出装置54a、及び第二記録媒体縁部検出装置54bにより、中間転写ベルト6の縁部63の距離NA及びNBと、記録媒体Pの縁部PEの距離NC及びNDを測定する(S19)。距離NA、NB、NC、及びNDに基づいて、中間転写ベルト6の進行方向に対する記録媒体Pの進行方向の傾き量(θ−β)を算出する(S20)。CPU65は、傾き量が所定の規格内に収まっているかどうかを判断する(S21)。傾き量が所定の規格内に収まっていない場合は(S21のNO)、ステップS12へ戻り、再度、所定数の記録媒体Pを搬送して補正シーケンスを求める。傾き量が所定の規格内に収まっている場合は(S21のYES)、補正シーケンスを決定して(S22)、プログラムを終了する(S23)。
補正シーケンスが決定された後、ジョブをスタートする(S31)。記録媒体Pを搬送する(S32)。ステップS22で決定した補正シーケンスに基づいて、二次転写外ローラ旋回モータ75を駆動して、記録媒体Pの傾きを補正する。ジョブが終了したかどうかを判定する(S34)。ジョブが終了していなければ(S34のNO)、ステップS32へ戻り、次の記録媒体の傾きを補正する。ジョブが終了したら(S34のYES)、補正プログラムを終了する(S35)。
本実施例においては、ジョブを開始する前に、補正シーケンスを求めるプログラム(S11〜S23)を実行している。ジョブを開始するたびに、補正シーケンスを求めてもよい。しかし、ジョブのたびごとではなく所定の期間ごとに補正シーケンスを求めてもよい。また、所定の印刷枚数ごとに、補正シーケンスを求めてもよい。
本実施例によれば、二次転写外ローラの外径差に起因する画像不良を低減させることができる。本実施例は、製造上除去することが困難な部品精度のばらつきに起因する画像不良の低減に有効な手段となり、製造歩留まりの向上により製造環境負荷を低減させることが可能となる。
また、本実施例によれば、従来技術では調整できなかった部品精度に起因する画像平行度の歪みを軽減することができる。
6…中間転写ベルト(中間転写体)、10…二次転写内ローラ(第一転写部材)、12…二次転写外ローラ(第二転写部材)、35…転写電界発生装置、50…転写装置、54a…第一記録媒体縁部検出装置、54b…第二記録媒体縁部検出装置、62…中間転写体縁部検出装置、70…補正装置

Claims (8)

  1. 転写装置であって、
    中間転写体の裏面と接触するように配置された第一転写部材と、
    前記中間転写体の表面に圧接して前記第一転写部材との間に転写部を形成する第二転写部材と、
    前記中間転写体の前記表面の現像剤像を記録媒体へ転写するために、前記転写部において前記第一転写部材と前記第二転写部材との間に転写電界を発生させる転写電界発生装置と、
    前記中間転写体の縁部を検出する中間転写体縁部検出装置と、
    前記記録媒体の搬送方向において前記第二転写部材の上流側に配置され、前記記録媒体の縁部を検出する第一記録媒体縁部検出装置と、
    前記記録媒体の前記搬送方向において前記第二転写部材の下流側に配置され、前記記録媒体の前記縁部を検出する第二記録媒体縁部検出装置と、
    前記中間転写体縁部検出装置の検出結果と、前記第一記録媒体縁部検出装置の検出結果と、前記第二記録媒体縁部検出装置の検出結果とに基づいて、前記中間転写体の進行方向に対する前記記録媒体の進行方向の傾きを補正する補正装置とを有することを特徴とする転写装置。
  2. 前記中間転写体縁部検出装置の検出結果に基づいて前記中間転写体の前記進行方向を求め、前記第一記録媒体縁部検出装置の検出結果と前記第二記録媒体縁部検出装置の検出結果とに基づいて前記記録媒体の進行方向を求め、前記中間転写体の前記進行方向と前記記録媒体の前記進行方向とに基づいて前記中間転写体の前記進行方向に対する前記記録媒体の前記進行方向の前記傾きを求める制御装置を有することを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
  3. 前記中間転写体縁部検出装置は、前記記録媒体の前記搬送方向において前記第一記録媒体縁部検出装置と前記第二記録媒体縁部検出装置との間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の転写装置。
  4. さらに、前記第二転写部材に駆動力を与える駆動装置を有しており、前記第二転写部材の表面速度は前記中間転写体の表面速度よりも速く、前記第二転写部材の表面の摩擦係数は前記中間転写体の表面の摩擦係数よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の転写装置。
  5. 前記補正装置は、前記第二転写部材の軸線に垂直な旋回軸線を中心に前記第二転写部材を回転させることにより、前記記録媒体の前記進行方向の前記傾きを補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の転写装置。
  6. 前記補正装置は、前記第一転写部材の軸線に対する前記第二転写部材の軸線の傾きを変更することにより、前記記録媒体の前記進行方向の前記傾きを補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の転写装置。
  7. 所定数の記録媒体を搬送して、前記中間転写体縁部検出装置の検出結果と、前記第一記録媒体縁部検出装置の検出結果と、前記第二記録媒体縁部検出装置の検出結果とに基づいて、前記所定数の記録媒体のそれぞれの傾き量を求め、前記傾き量から前記所定数の記録媒体の平均傾き量を求め、前記平均傾き量に基づいて補正シーケンスを決定し、決定した補正シーケンスに基づいて前記補正装置を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
  8. 画像形成装置であって、
    画像情報に応じて像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
    前記静電潜像を現像剤により現像して現像剤像にする現像装置と、
    前記像担持体の現像剤像を中間転写体へ一次転写する一次転写装置と、
    前記中間転写体の現像剤像を記録媒体へ二次転写する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の転写装置と、
    記録媒体に二次転写された現像剤像を定着させる定着装置とを有することを特徴とする画像形成装置。
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