JP6178951B1 - マット調ポリアミド系フィルム及びその製造方法 - Google Patents
マット調ポリアミド系フィルム及びその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
1. 無機粒子及びポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなるポリアミド系フィルムであって、下記(a)〜(c)の特性;
(a)光沢度が50%以下、
(b)空隙率が0.4〜5%、及び
(c)温度20℃の条件下で測定される衝撃強度が0.35J以上
を全て満たすマット調ポリアミド系フィルム。
2. さらに、下記(d)の特性;
(d)ヘイズが25%以上
を満たす、前記項1に記載のマット調ポリアミド系フィルム。
3. さらに、下記(e)の特性;
(e)無機粒子の含有量が0.5〜12質量%
を満たす、前記項1に記載のマット調ポリアミド系フィルム。
4. さらに、下記(f)の特性;
(f)フィルムの幅方向(TD)に対して45度の方向と135度の方向における熱水収縮率の差が2.5%以下
を満たす、前記項1に記載のマット調ポリアミド系フィルム。
5. 2層以上からなる積層体であって、少なくとも前記項1に記載のマット調ポリアミド系フィルムを含む積層体。
6. 少なくともバリア層を含む、前記項5に記載の積層体。
7. 前記バリア層が無機層状化合物(A)と樹脂成分(B)とを含有する、前記項6に記載の積層体。
8. 下記の物性(a)〜(c);
(a)積層体の少なくとも一方の表面における光沢度が50%以下、
(b)空隙率が0.4〜5%、及び
(c)温度20℃の条件下で測定される衝撃強度が0.35J以上
を全て満たす、前記項5に記載の積層体。
9. さらに、下記(d)の特性;
(d)ヘイズが25%以上
を満たす、前記項5に記載の積層体。
10. さらに、下記の物性(e);
(e)温度20℃及び湿度65%RHの条件下で測定される酸素透過度が20ml/m2・day・MPa以下
を満たす、前記項5に記載の積層体。
11. 下記の物性(f);
(f)フィルムの幅方向(幅方向(TD))に対して45度の方向と135度の方向における乾熱収縮率の差が2.5%以下
を満たす、前記項5に記載の積層体。
12. 前記項1に記載のマット調ポリアミド系フィルムを製造する方法であって、下記(a)〜(c)の工程;
(a)無機粒子及びポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなる未延伸フィルムの水分率が3〜9質量%になるように吸水させた後、予熱温度180〜250℃で予熱する工程
(b)予熱された未延伸フィルムを温度170〜230℃で延伸倍率2.0〜4.5倍で延伸する工程
(c)さらに温度180〜230℃で熱固定処理する工程
を含む製造方法。
1.マット調ポリアミド系フィルム及び積層体
(1)マット調ポリアミド系フィルム
本発明のマット調ポリアミド系フィルム(本発明フィルム)は、無機粒子及びポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなるポリアミド系フィルムであって、下記(a)〜(c)の特性;
(a)光沢度が50%以下、
(b)空隙率が0.4〜5%、及び
(c)温度20℃の条件下で測定される衝撃強度が0.35J以上
を全て満たすことを特徴とする。
ポリアミド樹脂
本発明フィルムで用いるポリアミド樹脂としては、その分子内にアミド結合(−CONH−)を有する溶融成形可能な熱可塑性樹脂であれば良く、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリアミノウンデカミド(ナイロン11)、ポリラウリルアミド(ナイロン12)のほか、これらの共重合体、混合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物の形態で使用することができる。本発明では、特にナイロン6がフィルム形状に成形しやすいという点で好ましい。すなわち、本発明フィルムにおけるポリアミド樹脂としてナイロン6を含むことが好ましい。
本発明で用いる無機粒子は、特に限定されず、公知の樹脂製品に添加されている無機フィラー、無機顔料等も用いることができる。特に、本発明では、本発明の効果という見地より、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム及びフッ化リチウムの少なくとも1種の無機粒子を配合することが好ましい。その中でも、フィルムにスリップ性を同時に付与することができるので、少なくともシリカを用いることがより好ましい。
本発明フィルム中には、本発明の効果を損なわない範囲内において、公知のフィルムに配合されている添加剤が含有されていても良い。例えばエチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸カルシウム等の滑剤のほか、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤等が挙げられる。なお、これらの添加剤が無機粒子である場合は、本発明の無機粒子の含有量に含めて計算するものとする。
光沢度
本発明フィルムの光沢度が50%以下となるものである。特に光沢度は40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。表面光沢度が50%を超えると、表面が艶消し状態であるマット調とすることができず、目的とする高級感又は和紙風合いが得られない。なお、光沢度の下限値は限定的ではないが、一般的には5%程度とすれば良い。
本発明フィルムは、無機粒子による適度な空隙がフィルム内部に形成されていることにより、光沢を低減させるとともにフィルムの透明感を効果的に低下させ、マット調を得ることができる。本発明フィルムの空隙率は0.4〜5%であり、好ましくは0.5〜5%であり、より好ましくは0.6〜4.8%である。前記空隙率が0.4%未満の場合、フィルム内部の空隙が少なく、透明なフィルムとなり、また所望のマット調を得ることができない。一方、空隙率が5%を超えると、衝撃強度等の物理的特性が低下し、さらには二次加工工程でフィルムの破断が生じやすくなる。
空隙率(%)=(空隙面積の総和(μm2)/フィルム全体の断面積(μm2))×100
本発明フィルムの透明感の程度を示すヘイズは、25%以上であることが好ましく、特に30%以上であることがより好ましく、さらには45%以上であることが最も好ましい。ヘイズが25%未満であると、フィルムが透明なものとなり、また所望のマット調を得ることができなくなるおそれがある。なお、ヘイズの上限値は、特に制限されないが、通常は95%程度とすれば良い。
ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100
本発明フィルムは、上記のようにフィルム表面に無機粒子の突起が形成されており、かつ、フィルム内部に無機粒子に起因する空隙を有する。このようなフィルムは、空隙率が特定の範囲に制御されているため、機械的特性に優れているものである。機械的特性に優れていることを示す指標の一つとして衝撃強度がある。
本発明において、機械的特性に優れていることを示す別の指標として引張強度がある。本発明フィルムの引張強度は、フィルムの長さ方向(MD)と幅方向(TD)ともに150MPa以上であることが好ましく、中でも170MPa以上であることがより好ましく、さらには、200MPa以上であることが最も好ましい。フィルムの引張強度が150MPa未満であると、例えば食品、医療品、医薬品等の包装材として求められる強度に満たなくなるおそれがある。なお、引張強度は、上記範囲内において、MD及びTDで互いに同じであっても良いし、MD及びTDで互いに異なっていても良い。
本発明において、機械的特性に優れていることを示す別の指標として引張伸度がある。本発明フィルムの引張伸度については、フィルムの長さ方向(MD)と幅方向(TD)ともに60%以上であることが好ましく、中でも65%以上であることがより好ましく、さらには70%以上であることが最も好ましい。フィルムの引張伸度が60%未満であると、引張強度と同様に、例えば食品、医療品、薬品等の包装用として十分な強度が得られなくなるおそれがある。なお、引張伸度は、上記範囲内において、MD及びTDで互いに同じであっても良いし、MD及びTDで互いに異なっていても良い。
本発明フィルムは、フィルムの幅方向(TD)に対して45度の方向と135度の方向における熱水収縮率の差(以下、単に「熱水収縮率の斜め差」と略することがある。)が2.5%以下であることが好ましく、中でも2.2%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることが最も好ましい。
式B:135度方向の熱水収縮率(%)=[{原長(L0135)−処理後長(L135)}/原長(L0135)]×100
式C:熱水収縮率の斜め差(%)=|(45度方向の熱水収縮率)−(135度方向の熱水収縮率)|
なお、上記式において、L045は熱水処理前の45度方向の試験片の長さ(すなわち100mm)を示し、L45は熱水処理後の45度方向の試験片の長さを示し、L0135は熱水処理前の135度方向の試験片の長さ(すなわち100mm)を示し、L135は熱水処理後の135度方向の試験片の長さを示す。
本発明フィルムの厚みは、所望の物理的特性及び寸法安定性が両立できれば特に限定されないが、通常は10〜30μmの範囲内とすれば良く、特に12〜25μmとすることがより好ましい。厚みが10μm未満であると衝撃強度等の物理的特性が低くなるおそれがある。一方、厚みが30μmを超えるとコスト高となるおそれがある。
本発明は、2層以上からなる積層体であって、少なくとも請求項1に記載のマット調ポリアミド系フィルムを含む積層体を包含する。すなわち、本発明は、本発明フィルムの両面又は片面に少なくとも1層が積層された積層体を包含する。
本発明フィルム又はそれを含む積層体は、各種の用途に用いることができるが、特に包装材として好適に用いることができる。すなわち、内容物を包装するための包装材として利用することができる。内容物は限定的でなく、例えば飲食品、果物、ジュ−ス、飲料水、酒、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、肉製品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、その他の各種の飲食料品のほか、医療品(医療機器)、液体洗剤、化粧品、化成品、機械部品、電子部品等の各種の内容物を包装することができる。
(1)マット調ポリアミド系フィルムの製造方法
本発明の製造方法は、本発明フィルムを製造する方法であって、下記(a)〜(c)の工程;
(a)無機粒子及びポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなる未延伸フィルムの水分率が3〜9質量%になるように吸水させた後、予熱温度180〜250℃で予熱する工程(吸水・予熱工程)
(b)予熱された未延伸フィルムを温度170〜230℃で延伸倍率2.0〜4.5倍で延伸する工程(延伸工程)
(c)さらに温度180〜230℃で熱固定処理する工程(熱固定工程)
を含むことを特徴とする。
吸水・予熱工程では、無機粒子及びポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなる未延伸フィルムの水分率が3〜9質量%になるように吸水させた後、予熱温度180〜250℃で予熱する。
延伸工程では、前記の予熱された未延伸フィルムを温度170〜230℃で延伸倍率2.0〜4.5倍で延伸する。
熱固定工程では、延伸工程で二軸延伸されたフィルムをさらに温度180〜230℃で熱固定処理する。熱固定処理では、延伸フィルムを一定の張力で長さ方向(MD)及び幅方向(TD)に固定しながら熱処理すれば良い。熱固定処理により、延伸フィルムの結晶化を促進し、分子配向を固定することができる。加えて、延伸フィルム中の空隙及び表面形状が固定され、さらには延伸フィルムの寸法安定性が向上し、延伸フィルムの熱水収縮率の斜め差を2.5%以下に制御することができる。
本発明のマット調ポリアミド系フィルムは、必要に応じて、コロナ放電処理等の表面処理を施しても良い。
本発明は、本発明フィルムの両面又は片面に少なくとも1つの層を積層する工程を含むことを特徴とする積層体の製造方法も包含する。
第2発明は、第1発明の積層体の一実施形態に係るものである。すなわち、第2発明は、第1発明のマット調ポリアミド系フィルム及びバリア層を含む積層体に係る。
図2に示す積層体Xは、本発明に係るマット調ポリアミド系フィルム11の片面に順にアンカーコート層22及びガスバリア層23が形成されている。すなわち、ガスバリア層23がアンカーコート層22を介してマット調ポリアミド系フィルム11に積層されている。アンカーコート層22を介することにより、ポリアミド系フィルム11とガスバリア層23との密着性の向上等を図ることができる。
ガスバリア層を構成する「無機層状化合物(A)」とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している無機化合物をいう。換言すれば、「層状化合物」とは、層状構造を有する化合物ないし物質である。前記「層状構造」とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって平行に積み重なった構造をいう。
ガスバリア層23を構成する樹脂成分は、特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、多糖類、ポリアクリル酸及びそのエステル類等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
光沢度
積層体Xは、少なくとも一方の表面の光沢度が、50%以下であることが必要であり、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることが最も好ましい。光沢度が50%を超えると、表面が艶消し状態であるマット調とすることができず、目的とする高級感や和紙風合いが得られない。
積層体Xの空隙率は0.4〜5%であり、好ましくは0.5〜5%であり、より好ましくは0.6〜4.8%である。空隙率が0.4%未満の場合は、本発明フィルム中の空隙が少なく、透明なフィルムとなり、所望のマット感が得られない。一方、空隙率が5%を超えると、積層体の衝撃強度等の物理的特性が低下し、さらには延伸工程及びその後の二次加工工程で破断が生じやすくなる。
空隙率(%)=[(空隙面積の総和(μm2)/ポリアミド系フィルム全体の断面積(μm2)]×100
本発明の積層体の透明感を示すヘイズは、25%以上であることが好ましく、中でも30%以上であることが好ましく、さらには45%以上であることがより好ましい。ヘイズが25%未満であると、積層体を構成するフィルムが透明なものとなり、マット調が得られなくなるおそれがある。なお、ヘイズの上限値は特に制限されないが、通常は95%程度とすれば良い。
ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100
積層体Xの衝撃強度は、20℃条件下で測定される衝撃強度が0.35J以上であることが必要であり、好ましくは0.4J以上であり、より好ましくは0.45J以上である。衝撃強度が0.35Jより小さいと、例えば積層体Xに対する印刷工程等の二次加工工程で破断が生じ易く、十分な実用性を兼ね備えていないため使用することが困難である。また、積層体を用いて成形された袋体が落下することで破損したり、積層体にクラックが生じたりして、内容物がこぼれる懸念がある。
積層体Xは、マット調ポリアミド系フィルム11の幅方向(TD)に対して45度の方向と135度の方向における乾熱収縮率の差(以下、単に「乾熱収縮率の斜め差」と略することがある。)が2.5%以下である必要があり、2.2%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましい。
式B)135度方向の乾熱収縮率(%)=[{原長(L0135)−処理後長(L135)}/原長(L0135)]×100
式C)乾熱収縮率の斜め差(%)=|(45度方向の乾熱収縮率)−(135度方向の乾熱収縮率)|
なお、上記式において、L045は乾熱処理前の45度方向の試験片の長さ(すなわち100mm)を示し、L45は乾熱処理後の45度方向の試験片の長さを示し、L0135は乾熱処理前の135度方向の試験片の長さ(すなわち100mm)を示し、L135は乾熱処理後の135度方向の試験片の長さを示す。
積層体Xの酸素透過度は、温度20℃及び湿度65%RHの条件下で30ml/m2・day・MPa以下であることが好ましく、その中でも20ml/m2・day・MPa以下であることがより好ましい。さらには15ml/m2・day・MPa以下であることがより好ましく、最も好ましくは10ml/m2・day・MPa以下である。
また、積層体Xの引張強度については、フィルムの長さ方向(MD)と幅方向(TD)ともに150MPa以上であることが好ましく、中でも170MPa以上であることが好ましく、さらには、200MPa以上であることが好ましい。フィルムの引張強度が150MPa未満であると、食品、医療品、薬品等の包装材として求められる強度が不足するという不都合が生じやすくなる。
積層体Xの引張伸度については、フィルムの長さ方向(MD)と幅方向(TD)ともに60%以上であることが好ましく、中でも65%以上であることが好ましく、さらには、70%以上であることが好ましい。フィルムの引張伸度が60%未満であると、引張強度と同様に、食品、医療品、薬品等の包装材として求められる強度が不足するという不都合が生じやすくなる。
積層体Xの厚みは、衝撃強度等の物理的特性及び寸法安定性が両立できれば特に限定されないが、10〜30μmが好ましく、特に12〜28μmであることがより好ましい。厚みが10μm未満であると衝撃強度が低くなりやすい。一方、厚みが30μmを超えるとコスト高となるおそれがある。
積層体Xの製造方法としては、例えば上記のようにして得られたポリアミド系フィルムの少なくとも一方の面又はその面上に積層された他の層の面に、無機層状化合物(A)及び樹脂成分(B)を含有するガスバリア層形成用塗料を塗布し、熱処理する工程を含む方法を採用することができる。すなわち、本発明のポリアミド系フィルムに直接的又は間接的にガスバリア層を積層する工程を含む製造方法を採用することができる。
本発明の積層体は、各種の用途に用いることができるが、特に包装材として好適に用いることができる。例えば、飲食品、果物、ジュ−ス、飲料水、酒、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、肉製品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、その他の各種の飲食料品のほか、医療品(医療機器)、液体洗剤、化粧品、化成品、機械部品、電子部品等の各種の内容物を包装することができる。
表1〜表3に示すように、各実施例及び比較例の試料を作製した。その作製方法及び評価方法を以下に示す。
[シリカ含有マスターチップ(M1)]
容積30リットルのオートクレーブに、10kgのε−カプロラクタムと、1kgの水と、500gのシリカ(富士シリシア化学社製、製品名:サイリシア310P、平均粒径2.7μm)を投入した後、100℃に保持し、その温度で反応系内が均一になるまで撹拌した。引き続き、撹拌しながら260℃に加熱し、1.5MPaの圧力を1時間維持し、さらに1時間かけて常圧まで放圧し、さらに1時間重合した。重合が終了した時点で、上記反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断して、ポリアミド樹脂からなるペレットを得た。次いで、得られたペレットを95℃の熱水で8時間精錬し、未反応モノマー等を除去した後、乾燥した。得られたポリアミド樹脂は、相対粘度2.7であり、シリカ含有量5.2質量%であった。
容積30リットルのオートクレーブに、10kgのε−カプロラクタムと、1kgの水と、1.5kgのシリカ(富士シリシア化学社製、製品名:サイリシア310P、平均粒径2.7μm)を投入した後、100℃に保持して、その温度で反応系内が均一になるまで撹拌した。引き続き、撹拌しながら260℃に加熱し、1.5MPaの圧力を1時間維持し、さらに1時間かけて常圧まで放圧し、さらに1.5時間重合した。重合が終了した時点で、上記反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断して、ポリアミド樹脂からなるペレットを得た。次いで、このペレットを95℃の熱水で8時間精錬し、未反応モノマー等を除去した後、乾燥した。得られたポリアミド樹脂は、相対粘度2.6であり、シリカ含有量15.6質量%であった。
ナイロン66樹脂(ユニチカ社製、商品名:A226)94.8質量部と、シリカ(富士シリシア化学社製、製品名:サイリシア310P、平均粒径2.7μm)5.2質量部とを溶融混練してマスターチップ(M3)を作製した。
ナイロン6樹脂(ユニチカ社製、商品名:A1030BRF−BA)94.8質量部と、炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:PO−220B−10、平均粒径2.2μm)5.2質量部とを溶融混練してマスターチップ(M4)を作製した。
ナイロン6樹脂(ユニチカ社製、商品名:A1030BRF、相対粘度3.1)に、表1で示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM1を混合し、シリンダ温度260℃に設定した単軸押出機に供給し、Tダイより押出し、設定温度20℃の冷却ロールに接触させ、厚さ150μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートの水分率が3.5質量%となるように水温を65℃に調整した温水槽に未延伸シートを浸漬した。次に、未延伸シートに230℃の熱風を1秒間吹き付けることにより予熱を行い、温度200℃に調整したテンター式の同時2軸延伸機で長さ方向(MD)に3倍、幅方向(TD)に3.3倍延伸した。続いて、この延伸フィルムに210℃の熱風を3秒間吹き付けながら熱固定処理(両方向とも弛緩率0%)を行い、続いて幅方向(TD)のみを弛緩率5%で弛緩しつつ210℃の熱風を3秒間吹き付けながら弛緩熱処理した。その後、冷却を行い、厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
未延伸シートの水分率、予熱温度、延伸温度又は熱固定温度を表1又は表3に示す値に変更したほかは、実施例1と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
表4又は表6で示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM1の混合量を変更した以外は、実施例2と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
シリカ含有マスターチップM2を用い、表4〜表6に示すシリカ含有量となるように、シリカ含有マスターチップM2の混合量を変更した以外は、実施例2と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
シリカ含有マスターチップM1を混合しなかった以外は、実施例2と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
未延伸シートの水分率又は予熱温度を表2又は表3に示すように変更したほかは、実施例13と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
未延伸シートの厚みを250μmとなるように変更した以外は、実施例2と同様に行い、厚さ25μmのポリアミド系フィルムを得た。
ナイロン66樹脂(ユニチカ社製、商品名:A226)に、表1〜3で示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM3を混合し、シリンダ温度290℃に設定した単軸押出機に供給し、Tダイより押出し、設定温度20℃の冷却ロールに接触させて、厚さ150μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートの予熱温度、延伸温度、熱固定温度、弛緩熱処理温度を表2に示す値に変更した以外は、実施例2と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
表5で示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM1の混合量を変更した以外は、実施例21と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
未延伸シートの厚み又は延伸倍率を表2又は表3の値となるように変更した以外は、実施例2と同様に行い、厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
弛緩率又は弛緩熱処理温度を表2に示す値に変更したほかは、実施例2と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
ナイロン6樹脂(ユニチカ社製、商品名:A1030BRF、相対粘度3.1)に、表5で示すシリカ含有量になるようにシリカ含有マスターチップM1を混合し、シリンダ温度260℃に設定した単軸押出機に供給し、Tダイより押出し、設定温度20℃の冷却ロールに接触させて、厚さ150μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートが水分率3.5質量%となるように水温を65℃に調整した温水槽に浸漬した。
次に、この未延伸シートを周速の異なる加熱ローラ群からなる縦延伸機により、温度55℃及び延伸倍率3.0で長さ方向(MD)に延伸した。次に、この縦延伸フィルムをテンターに導入し、予熱部にて60℃の熱風を1秒間吹き付けることにより予熱を行い、温度80℃に調整した延伸部にて延伸倍率3.3倍で幅方向(TD)に延伸した。続いて、この延伸フィルムに210℃の熱風を3秒間吹き付けながら熱固定処理(両方向とも弛緩率0%)を行い、続いて幅方向(TD)のみを弛緩率3%で弛緩しつつ210℃の熱風を3秒間吹き付けながら弛緩熱処理した。その後、冷却を行い、厚さ1.5μmのポリアミド系フィルムを得た。
表5で示す炭酸カルシウム含有量になるように、炭酸カルシウム含有マスターチップM4の混合量を変更した以外は、実施例2と同様にして厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
未延伸シートを温水槽に浸漬することなく、そのまま延伸を行った以外は、実施例1と同様に行い、厚さ15μmのポリアミド系フィルムを得た。
未延伸シートの厚みを250μmとなるように変更した以外は、比較例2と同様に行い、厚さ25μmのポリアミド系フィルムを得た。
実施例1〜32及び比較例1〜19で得られたフィルムについて、光沢度、空隙率、衝撃強度、ヘイズ、熱水収縮率の斜め差、引張強度、引張伸度及び延伸性を調べた。その結果を表4〜表6に示す。なお、各物性の測定のほか、フィルム中の無機粒子含有量及び水分量の測定は、それぞれ以下のとおりに実施した。
前記の方法で測定、算出した。
(2)空隙率(%)
前記の方法で測定、算出した。
(3)衝撃強度(J)
前記の方法で測定、算出した。
(4)ヘイズ
前記の方法で測定、算出した。
(5)熱水収縮率の斜め差
前記の方法で測定、算出した。
(6)引張強度及び引張伸度
前記の方法で測定、算出した。
(7)延伸性
各例で示す製造条件にて24時間連続して製造を行った際の生産性を評価した。その際の延伸時において生じたフィルムの破断回数が1回以下の場合は「○」、破断回数が2〜4回の場合を「△」、破断回数が5回以上の場合を「×」と評価した。評価「×」の条件については、操業性が非常に低く、製品を安定的に生産することは困難である。なお、製造開始1時間の間に破断回数が5回を超えた場合は、フィルムを巻き取ることが困難であるため、延伸を中止した。
(8)フィルム中の無機粒子(シリカ及び炭酸カルシウム)の含有量
得られたフィルムをルツボに精秤し、500℃に保持した電気炉で15時間焼却処理した後の残渣を無機粒子灰分として、次式に従って無機粒子の含有量を求めた。
無機粒子の含有量(質量%)=(無機粒子灰分質量(g)/焼却処理前のフィルムの全質量(g))×100
(9)製造方法における水分率(%)
吸水後の未延伸シートから切り出したサンプル片の質量Wと、それを減圧下80℃で24時間乾燥した後の質量Wdから次式により求めた。
水分率(%)={(W−Wd)/W}×100
表7〜表9に示すように、各実施例及び比較例の試料を作製した。その作製方法及び評価方法を以下に示す。
[シリカ含有マスターチップ(M1)]
容積30リットルのオートクレーブに、10kgのε−カプロラクタムと、1kgの水と、500gのシリカ(富士シリシア化学社製、製品名:サイリシア310P、平均粒径2.7μm)を投入し、100℃に保持して、その温度で反応系内が均一になるまで撹拌した。引き続き、撹拌しながら260℃に加熱し、1.5MPaの圧力を1時間維持し、さらに1時間かけて常圧まで放圧し、さらに1時間重合した。重合が終了した時点で、上記反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断し、ポリアミド樹脂からなるペレットを得た。次いで、このペレットを95℃の乾熱で8時間精錬し、未反応モノマー等を除去した後、乾燥した。得られたポリアミド樹脂の相対粘度は2.7であり、シリカ含有量は5.2質量%であった。
容積30リットルのオートクレーブに、10kgのε−カプロラクタムと、1kgの水と、1.5kgのシリカ(富士シリシア化学社製、製品名:サイリシア310P、平均粒径2.7μm)を投入し、100℃に保持して、その温度で反応系内が均一になるまで撹拌した。引き続き、撹拌しながら260℃に加熱し、1.5MPaの圧力を1時間維持し、さらに1時間かけて常圧まで放圧し、さらに1.5時間重合した。重合が終了した時点で、上記反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断し、ポリアミド樹脂からなるペレットを得た。次いで、このペレットを95℃の乾熱で8時間精錬し、未反応モノマー等を除去した後、乾燥した。得られたポリアミド樹脂の相対粘度は2.6であり、シリカ含有量は15.6質量%であった。
東洋モートン社製EL−510−1−17K、CAT−87RT(EL−510−1−17K/CAT−87RT=5/1(質量比))を、溶剤(トルエン/MEK/酢酸イソブチル=5/4/1(質量比))で、濃度が4質量%となるよう調整したアンカーコート剤を使用した。
[塗工液C−1]
分散釜に、イオン交換水(0.7μS/cm以下)と、樹脂成分(B)として、ビニルアルコール分率が97モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製エクセバールRS−2117、ケン化度97.5〜99.0%,重合度1700)とを投入し、低速攪拌(800rpm、周速度2m/分)下で95℃に昇温し、同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させた後、60℃に冷却し、9.0質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液に、イオン交換水及び2−プロパノールを混合したアルコール水溶液(イオン交換水/2−プロパノール=4/1(質量比))を10分間かけて添加し、高速攪拌(1600rpm,周速度4m/分)に切り替え20分間攪拌し、6.4質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。
得られたポリビニルアルコール水溶液に、無機層状化合物(モンモリロナイト、クニミネ工業社製クニピアRG)を徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間高速攪拌(1600rpm、周速度4m/分)を続けた。その後、さらに2−プロパノールを10分間かけて添加し、その混合液を室温まで冷却し、C−1準備液を得た。
この準備液に、非イオン性界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製SH3746)0.01質量%を添加し、高圧分散装置(マイクロフルイダイザー社製 超高圧ホモジナイザー)を用いて、1000kgf/cm2の条件で処理した。次いで、最終固形分濃度が5.0質量%になるように、イオン交換水と2−プロパノールを混合したアルコール水溶液(イオン交換水/2−プロパノール=1/1.2(質量比))を10分かけて添加し、20分間高速攪拌(1600rpm、周速度4m/分)して塗工液C−1を得た。得られた塗工液C−1における、無機層状化合物と樹脂との体積比(無機層状化合物/樹脂)は、10/90である。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が3/97になるように調整した以外は、塗工液C−1の作液方法と同様にして塗工液C−2を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が8/92になるように調整した以外は、塗工液C−1の作液方法と同様にして塗工液C−3を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が25/75になるように調整した以外は、塗工液C−1の作液方法と同様にして塗工液C−4を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が50/50になるように調整した以外は、塗工液C−1の作液方法と同様にして塗工液C−5を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が2/98になるように調整した以外は、塗工液C−1の作液方法と同様にして塗工液C−5を作製した。
樹脂成分(B)として、エクセバールRS−2117に変えて、ビニルアルコール分率68モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製EVOH−F)を用いた以外は、塗工液C−1の作液方法と同様にして塗工液C−7を作製した。
無機層状化合物を添加せず、アルコール水溶液の添加量を変更して体積比(無機層状化合物/樹脂)が0/100になるように調整した以外は塗工液C−1の作液方法と同様にして、塗工液C−8を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更し、体積比(無機層状化合物/樹脂)が95/5になるように調整した以外は、塗工液C−1の作液方法と同様にして塗工液C−9を作製した。
ナイロン6樹脂(ユニチカ社製、商品名:A1030BRF、相対粘度3.1)に、表1で示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM1を混合し、シリンダ温度260℃に設定した単軸押出機に供給し、Tダイより押出し、設定温度20℃の冷却ロールに接触させて、厚さ150μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートが水分率3.5質量%となるように水温を65℃に調整した温水槽に浸漬した。次に、未延伸シートに230℃の熱風を1秒間吹き付けることにより予熱を行い、温度200℃に調整したテンター式の同時2軸延伸機で長さ方向(MD)に3倍、幅方向(TD)に3.3倍延伸した。続いて、この延伸フィルムに210℃の熱風を3秒間吹き付けながら熱固定処理(両方向とも弛緩率0%)を行い、続いて幅方向(TD)のみを弛緩率5%で弛緩しつつ210℃の熱風を3秒間吹き付けながら弛緩熱処理した。その後、冷却を行い、厚さ15μmのポリアミド系フィルム(X)を得た。
得られたポリアミド系フィルム(X)の表面上にアンカーコート剤を、バーコーターNo3を用いて塗布し、熱風乾燥機にて80℃で1分間乾燥し、アンカーコート層を形成した。このアンカーコート層の乾燥厚みは0.03μmであった。
上記アンカーコート層の上に、ガスバリア層形成用塗料(塗工液C−1)をグラビア塗工(ヒラノテクシード社製テストコーター、マイクログラビア塗工法、塗工速度5m/分、乾燥温度80℃)し、ガスバリア層(II)を形成し、積層体を得た。なお、ガスバリア層(II)の膜厚(乾燥厚み)は0.3μmであった。
未延伸シートの水分率、予熱温度、延伸温度又は熱固定温度を表7又は表9に示す値に変更した以外は、実施例33と同様にして積層体を作製した。
表10で示すシリカ含有量になるように、シリカ含有マスターチップM1の混合量を変更した以外は、実施例34と同様にして積層体を作製した。
シリカ含有マスターチップM2を用い、表10〜表12に示すシリカ含有量となるように、シリカ含有マスターチップM2の混合量を変更した以外は、実施例34と同様にして積層体を作製した。
未延伸シートの厚みを250μmとなるように変更した以外は、実施例34と同様に行い、厚さ25μmのポリアミド系フィルム(X)、膜厚0.03μmのアンカーコート層、膜厚0.3μmのガスバリア層(II)からなる積層体を作製した。
表8で示すガスバリア層形成用塗料及びガスバリア層(II)の膜厚(乾燥厚み)に変更した以外は、実施例34と同様にして積層体を作製した。
シリカ含有マスターチップM1を混合しなかった以外は、実施例34と同様にして積層体を作製した。
未延伸シートを温水槽に浸漬することなく、延伸を行った以外は、実施例34と同様にして積層体を作製した。
未延伸シートの厚みを250μmとなるように変更した以外は、比較例2と同様にして積層体を作製した。
未延伸シートの厚み又は延伸倍率を表8〜9に示す値となるように変更した以外は、実施例34と同様して、積層体を作製した。
実施例33〜64及び比較例20〜34で得られた積層体について、光沢度、空隙率、衝撃強度、ヘイズ、乾熱収縮率の斜め差、引張強度、引張伸度及び延伸性を調べた。その結果を表10〜表12に示す。なお、各物性の測定のほか、フィルム中の無機粒子含有量及び水分量の測定は、それぞれ以下のとおりに実施した。
得られた積層体を用い、その積層体のガスバリア層側の表面を前記の方法で測定し、算出した。
(2)空隙率(%)
得られた積層体を用い、前記の方法で測定、算出した。
(3)衝撃強度(J)
得られた積層体を用い、前記の方法で測定、算出した。
(4)ヘイズ
得られた積層体を用い、前記の方法で測定、算出した。
(5)乾熱収縮率の斜め差
得られた積層体を用い、前記の方法で測定、算出した。
(6)酸素透過度
得られた積層体を用い、前記の方法で測定、算出した。
(7)引張強度及び引張伸度
得られた積層体を用い、前記の方法で測定、算出した。
(8)延伸性
マット調ポリアミド系フィルムを、各例で示す製造条件にて24時間連続して製造を行った際の生産性を評価した。その際の延伸時に生じたフィルムの破断回数が1回以下の場合は「○」、切断回数が2〜4回の場合を「△」、切断回数が5回以上の場合を「×」と評価した。評価「×」の条件については、操業性が非常に低く、製品の安定生産は困難である。なお、製造開始1時間の間に破断回数が5回を超えた場合は、フィルムを巻き取ることが困難であるため、延伸を中止した。
(9)フィルム中の無機粒子の含有量
得られたフィルムをルツボに精秤し、500℃に保持した電気炉で15時間焼却処理した後の残渣を無機粒子灰分として、次式に従って無機粒子の含有量を求めた。
無機粒子の含有量(質量%)=(無機粒子灰分質量(g)/焼却処理前のフィルムの全質量(g))×100
(10)製造方法における水分率(%)
吸水後の未延伸シートから切り出したサンプル片の質量Wと、それを減圧下80℃で24時間乾燥した後の質量Wdから次式により求めた。
水分率(%)=[(W−Wd)/W]×100
(11)厚み測定
得られた積層体を用い、0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)により測定した。一方、0.5μm未満の厚みは、重量分析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面積で除し、更に組成物の比重で除した)により測定した。
Claims (12)
- 無機粒子及びポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなるポリアミド系フィルムであって、下記(a)〜(c)の特性;
(a)光沢度が50%以下、
(b)空隙率が0.4〜5%、及び
(c)温度20℃の条件下で測定される衝撃強度が0.35J以上
を全て満たすマット調ポリアミド系フィルム。 - さらに、下記(d)の特性;
(d)ヘイズが25%以上
を満たす、請求項1に記載のマット調ポリアミド系フィルム。 - さらに、下記(e)の特性;
(e)無機粒子の含有量が0.5〜12質量%
を満たす、請求項1に記載のマット調ポリアミド系フィルム。 - さらに、下記(f)の特性;
(f)フィルムの幅方向(TD)に対して45度の方向と135度の方向における熱水収縮率の差が2.5%以下
を満たす、請求項1に記載のマット調ポリアミド系フィルム。 - 2層以上からなる積層体であって、少なくとも請求項1に記載のマット調ポリアミド系フィルムを含む積層体。
- 少なくともバリア層を含む、請求項5に記載の積層体。
- 前記バリア層が無機層状化合物(A)と樹脂成分(B)とを含有する、請求項6に記載の積層体。
- 下記の物性(a)〜(c);
(a)積層体の少なくとも一方の表面における光沢度が50%以下、
(b)空隙率が0.4〜5%、及び
(c)温度20℃の条件下で測定される衝撃強度が0.35J以上
を全て満たす、請求項5に記載の積層体。 - さらに、下記(d)の特性;
(d)ヘイズが25%以上
を満たす、請求項5に記載の積層体。 - さらに、下記の物性(e);
(e)温度20℃及び湿度65%RHの条件下で測定される酸素透過度が20ml/m2・day・MPa以下
を満たす、請求項5に記載の積層体。 - 下記の物性(f);
(f)フィルムの幅方向(幅方向(TD))に対して45度の方向と135度の方向における乾熱収縮率の差が2.5%以下
を満たす、請求項5に記載の積層体。 - 請求項1に記載のマット調ポリアミド系フィルムを製造する方法であって、下記(a)〜(c)の工程;
(a)無機粒子及びポリアミド樹脂を含む樹脂組成物からなる未延伸フィルムの水分率が3〜9質量%になるように吸水させた後、予熱温度180〜250℃で予熱する工程
(b)予熱された未延伸フィルムを温度170〜230℃で延伸倍率2.0〜4.5倍で延伸する工程
(c)さらに温度180〜230℃で熱固定処理する工程
を含む製造方法。
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