JP2013159074A - ガスバリア積層体およびそれを用いた包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチック基材(I)に、アンカーコート層を介して、無機層状化合物(A)と樹脂(B)を含有するガスバリア層(II)、ラミネート接着剤層(V)、およびシーラント層(W)を順に積層してなるガスバリア積層体であって、ガスバリア層(II)中における無機層状化合物(A)と樹脂(B)の体積比が3/97〜5/95の範囲であり、ラミネート強力(X)が3.5N/cm以上であることを特徴とするガスバリア積層体。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は、プラスチック基材(I)に、アンカーコート層を介して、無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有するガスバリア層(II)、ラミネート接着剤層(V)、およびシーラント層(W)を順に積層してなるガスバリア積層体であって、ガスバリア層(II)中における無機層状化合物(A)と樹脂(B)の体積比が3/97〜5/95の範囲であることを特徴とするガスバリア積層体に関するものである。
本発明のガスバリア積層体は、プラスチック基材(I)に、アンカーコート層を介して、無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有するガスバリア層(II)が積層されたものである。
プラスチック基材(I)として用いられる樹脂は、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン一6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド等のアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のスチレンないしアクリロニトリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等のハロゲン含有樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂;プルラン、カードラン、キチン、キトサン、等の生分解性樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂等のエンジニアリングプラスチック系樹脂等が挙げられる。
本発明におけるアンカーコート層は、プラスチック基材(I)とガスバリア層(II)との間に位置し、ガスバリア層(II)の密着性向上の役割を主として担う。
アンカーコート層に使用されるコート剤としては、公知のものが特に制限されず使用できる。例えばイソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等のアンカーコート剤が挙げられる。これらの中で本発明の効果を勘案すると、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系のアンカーコート剤が好ましく、イソシアネート化合物、ポリウレタンおよびウレタンプレポリマーの1種または2種以上の混合物および反応生成物、ポリエステル、ポリオールおよびポリエーテルの1種または2種以上とイソシアネートとの混合物および反応生成物、またはこれらの溶液または分散液であることが好ましい。
本発明におけるガスバリア層(II)は、無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有し、(A)と(B)を含む塗料をプラスチック基材(I)の表面にアンカー層を介して基材上に塗布し、熱処理することによって形成される。上記無機層状化合物(A)と樹脂(B)の体積比(無機層状化合物/樹脂)は3/97〜5/95になるように含有することが必要であり、より好ましくは4/96〜5/95である。ガスバリア層(II)の無機層状化合物の体積比が上記より多ければ多いほど酸素バリア性は優れるものの、ガスバリア層が硬く脆くなることでフィルムの耐屈曲性が悪くなる。その結果、ガスバリア積層体を用いて包装体を作成しても、引き裂く時にカット不良(デラミネーション)が発生するために容易に引き裂くことができない。ガスバリア層(II)の無機層状化合物の体積比が上記より少ないと、コート層の厚塗りを施してもガスバリア層(II)の換算厚み1μm当たりにおいて、20℃・65%RH下で酸素透過度が2ml/m2・day・MPa以下にならないため本発明の特徴である高い酸素バリア性を得ることができない。
本発明において、無機層状化合物(A)とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している無機化合物をいう。換言すれば、「層状化合物」とは、層状構造を有する化合物ないし物質であり、「層状構造」とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって平行に積み重なった構造をいう。
本発明において用いられる樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類などが挙げられる。
ラミネート接着剤層(V)を形成する際に使用されるコート剤としては、公知のものが使用される。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等のコート剤が挙げられる。これらの中で密着性、耐熱性、耐水性などの効果を勘案すると、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系のコート剤が好ましく、イソシアネート化合物、ポリウレタンおよびウレタンプレポリマーの1種または2種以上の混合物および反応生成物、ポリエステル、ポリオールおよびポリエーテルの1種または2種以上とイソシアネートとの混合物および反応生成物、またはこれらの溶液または分散液であることが好ましい。
シーラント層(W)としては、熱シール、高周波シールなどが可能な材料が使用される。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アクリレート共重合体などが挙げられる。厚みは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmである。
本発明のガスバリア積層体のラミネート強力(X)は3.5N/cm以上が必要であり、好ましくは4.0N/cm以上である。ラミネート強力が小さいと、包装袋を形成し内容物を充填、密封した際に破袋や開封不良などが起こりやすいため好ましくない。
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)により測定した。一方、0.5μm未満の厚みは、重量分析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面積で除し、更に組成物の比重で除した)または、本発明の組成物と基材の積層体の場合などは、元素分析法(積層体の特定無機元素分析値( 組成物層由来) と無機層状化合物単独の特定元素分率の比から本発明の樹脂組成物層と基材との比を求める方法)によった。
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA910)を使用し、ポリビニルアルコール中に存在する無機層状化合物とみられる粒子の体積基準のメジアン径を粒径として測定した。なお、ポリビニルアルコールと無機層状化合物とを含む分散液原液の場合は、ペーストセルにて、光路長50μmで測定した。この分散液の希釈液の場合は、フローセル法にて光路長4mmで測定した。
X線回折装置(島津製作所社製、XD−5A)を用い、無機層状化合物単独と、ポリビニルアルコールおよび無機層状化合物を含む塗工液を乾燥したものとについて、粉末法による回折測定により求めた。これにより無機層状化合物の単位厚さaを求めた。さらに、ガスバリア層を形成する塗工液を乾燥したものについての回折測定から、無機層状化合物の面間隔が広がっている部分があることを確認した。上述の方法で求めた粒径Lを用いて、アスペクト比Zを、Z=L/aの式により算出した。
モコン社製酸素バリア測定器(OX−TRAN 2/20)を用いて、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下におけるガスバリア積層体の酸素バリアを測定した。
得られたガスバリア積層体から、長さ100mm×幅15mmの大きさの試験片を作成し、T型剥離試験法により、温度23℃、相対湿度50%において、剥離速度300mm/minで、プラスチック基材(I)上に積層したガスバリア層(II)とシーラント層(W)との間のラミネート強力を測定した。
本発明のガスバリア積層体を用いて包装体を作成した後、包装体に5mmほど切込みを入れて、親指と人差指で、左右の親指と左右の人差指同士が接するようにして持ち、その後、フィルムを横手方向に力を加え手切れ性を評価した。このテストでカット不良(デラミネーション)が生じることなく易開封性が得られたものを○とし、カット不良が生じたものを×とした。
[アンカーコート]
東洋モートン(株)(EL―510−1−17K/CAT−87RT=5/1(重量比)をトルエン/MEK/MIBK=5/4/1の溶剤で4wt%となるよう調整した。これをアンカー剤Aとした。
[塗工液A]
[工程1]
分散釜に、イオン交換水(0.7μS/cm以下)とポリビニルアルコール(PVA−117H;(株) クラレ製,ケン化度:99.6%,重合度1700)とを混合し、低速攪拌(800rpm、周速度2m/分)下で95℃に昇温した。その混合液を同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液に、イオン交換水および2−プロパノールを混合したアルコール水溶液(イオン交換水/2−プロパノール=を10分間かけて添加し、高速攪拌(1600rpm,周速度4m/分)に切り替え20分間攪拌し、6質量%ポリビニルアルコール水溶液を得た。
工程1で得たポリビニルアルコール水溶液に、無機層状化合物(クニミネ工業社製:商品名:クニピアRG)を徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間高速攪拌(1600rpm、周速度4m/分)を続けた。その後、さらに2−プロパノールを10分間かけて添加し、その混合液を室温まで冷却し、ガスバリア層形成用塗料準備液(III)を得た。この(III)に対して、非イオン性界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製:SH3746)0.1質量部(準備液(III)100質量を基準として)を添加し、さらにこれを高圧分散装置(マイクロフルイダイザー社製:超高圧ホモジナイザー)を用いて、1000kgf/cm2の条件で処理した後に、最終固形分濃度が5.8質量%になるように希釈液としてイオン交換水と2−プロパノールを混合したアルコール水溶液を10分かけて添加し、高速攪拌(1600rpm、周速度4m/分)を20分間した後に、塗工液Aを得た。また、この時の塗工液A中の体積比(無機層状化合物/樹脂)は5/95である。このとき劈開したモンモリロナイトの平均粒径は560nm、粉末X線回折から得られる単位長さすなわちa値は1.2156nmであり、アスペクト比は460であった。
工程2の無機層状化合物の添加量を調整して、塗工液中の体積比(無機層状化合物/樹脂)を3/97になるよう配合比を調整し、最終固形分濃を6質量%になるよう希釈液の添加量を調整した以外は、塗工液Aの作液方法と同様にして塗工液Bを作成した。
工程2の無機層状化合物の添加量を調整して、塗工液中の体積比(無機層状化合物/樹脂)を10/90になるよう配合比を変更し、最終固形分濃度を5.4質量%になるよう希釈液の添加量を調整した以外は、塗工液Aの作液方法と同様にして塗工液Cを作成した。
工程2の無機層状化合物の添加量を調整して、塗工液中の体積比(無機層状化合物/樹脂)を20/80になるよう配合比を変更し、最終固形分濃度が5質量%になるよう希釈液の添加量を調整した以外は、塗工液Aの作液方法と同様にして塗工液Dを作成した。
プラスチック基材(I)として厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ社製、エンブレムON―U)を両面コロナ処理したものを用い、この一方の面上に、上記アンカーコート剤AをバーコーターNo3を用いて塗布し、熱風乾燥機で80℃、30秒間の乾燥を行い、アンカーコート層を形成した。このアンカーコート層の乾燥厚みは0.07μmであった。
上記アンカーコート層を積層したナイロンフィルムの上に、ガスバリア層形成用塗料(塗工液A)をグラビア塗工(テストコーター:(株)ヒラノテクシード 製:マイクログラビア塗工法、塗工速度5m/分、乾燥温度80℃)し、ガスバリア層を形成した。ガスバリア層の膜厚(乾燥厚み)は0.3μmであった。上記ガスバリア層(II)の上にラミネート接着剤層(V)を、乾燥膜厚2g/m2になるようにドライラミネーターにより塗布して形成した後、ヒートシール層(W)(東セロ社製LLDPE−40μm:TUX−FCS)を貼り合わせ、40℃2日間養生しラミネート接着剤層(V)を硬化させ、(I)(II)(V)(W)の順に積層されたガスバリア積層体を得た。このガスバリア積層体の酸素バリア値・ラミネート強力の測定結果を表1に示す。
次に、上記ガスバリア積層体をヒートシーラー(FUJI IMPULSE T230:FUJI IMPULSE CO.LTD)(シール条件:温度205℃、時間1秒、ヒートシール幅10mm)を用いて、縦150mm×横200mmの包装体を作成した。この包装体の易開封性の評価結果を表1に示す。
実施例1のガスバリア層の塗布厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア積層体や包装体を得た。ガスバリア積層体の酸素バリア値・ラミネート強力と、包装体の易開封性の評価結果を表1に示す。
塗工液をBに変更し、ガスバリア層の塗布厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア積層体や包装体を得た。ガスバリア積層体の酸素バリア値・ラミネート強力と、包装体の易開封性の評価結果を表1に示す。
実施例1の接着剤層の乾燥塗布厚みを3.5g/m2になるよう調整した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア積層体や包装体を得た。ガスバリア積層体の酸素バリア値・ラミネート強力と、包装体の易開封性の評価結果を表1に示す。
塗工液をCに変更し、ガスバリア層の塗布厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア積層体や包装体を得た。ガスバリア積層体の酸素バリア値・ラミネート強力と、包装体の易開封性の評価結果を表1に示す。
塗工液をDに変更し、ガスバリア層の塗布厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア積層体や包装体を得た。ガスバリア積層体の酸素バリア値・ラミネート強力と、包装体の易開封性の評価結果を表1に示す。
Claims (7)
- プラスチック基材(I)に、アンカーコート層を介して、無機層状化合物(A)と樹脂(B)を含有するガスバリア層(II)、ラミネート接着剤層(V)、およびシーラント層(W)を順に積層してなるガスバリア積層体であって、ガスバリア層(II)中における無機層状化合物(A)と樹脂(B)の体積比が3/97〜5/95の範囲であり、ラミネート強力(X)が3.5N/cm以上であることを特徴とするガスバリア積層体。
- ガスバリア層(II)の換算厚み1μm当たりにおける、20℃・65%RH下で酸素透過度が2ml/m2・day・MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア積層体。
- ガスバリア層(II)の厚みが0.1μm〜1μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア積層体。
- 無機層状化合物(A)が、粒径5μm以下、アスペクト比50以上5000以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載のガスバリア積層体。
- 樹脂(B)が、高水素結合性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア積層体。
- 高水素結合性樹脂が、ポリビニルアルコールまたは多糖類であることを特徴とする請求項5に記載のガスバリア積層体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア積層体を用いてなる包装体。
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JPH07251874A (ja) * | 1994-01-25 | 1995-10-03 | Sumitomo Chem Co Ltd | レトルト用包装袋 |
JP2011218805A (ja) * | 2010-03-26 | 2011-11-04 | Toyobo Co Ltd | ガスバリア性積層フィルム |
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