JP6351287B2 - ポリアミド積層体 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1) ポリアミド基材(I)は、延伸されており、金属化合物を0.1〜70質量%含有する金属含有層を含み、
金属含有層は、金属化合物を混合したポリアミド樹脂の溶融物が押出されたものであり、
ポリアミド基材(I)を構成するポリアミド樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂とポリメタキシレンアジパミド(MXD6)からなり、脂肪族ポリアミド樹脂/MXD6=95/5〜80/20(質量比)であり、
ガスバリア層(II)がポリカルボン酸を含有し、
ガスバリア層と金属含有層とが接触しており、
95℃、30分の熱水処理後において、20℃、相対湿度65%の雰囲気下の酸素透過度が0.01〜15ml/(m 2 ・day・MPa)である、
ことを特徴とするポリアミド積層体。
(2)ガスバリア層(II)がポリアルコールを含有することを特徴とする(1)に記載のポリアミド積層体。
(3)金属化合物を構成する金属が、マグネシウム、カルシウム、亜鉛から選ばれる1種であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリアミド積層体。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド積層体を含有することを特徴とする包装用袋。
また、本発明における、金属化合物を含有するポリアミド基材(I)は、ポリアミド基材(I)の原料に金属化合物を添加するだけで製造することができ、従来行われていた、金属化合物を含む層を基材に積層する工程を省略することができる。したがって、従来よりも少ない工程数でポリアミド積層体が得られ、そのため、生産性やコストの観点から、工業的なメリットは極めて大きい。
本発明のポリアミド積層体は、ポリアミド基材(I)にガスバリア層(II)が積層されたものであり、ポリアミド基材(I)は、金属化合物を含有する。
(1)平均粒径
レーザー式粒度分析計「マイクロトラック HRA」(日機装社製)にて測定した粒径分布(体積分布)カーブにおける50%の累積パーセントの値を求めた。平均粒径測定用の試料は、金属化合物0.5gに対して50gのイソプロパノールを加え、超音波分散処理を3分間行なって調製した。
得られたガスバリア性積層体を23℃、50%RHの環境下に2時間以上放置してから、走査型電子顕微鏡(SEM)によりフィルム断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
得られたガスバリア性積層体を95℃、30分の条件で熱水処理した後、23℃、50%RHの環境下に2時間以上放置してから、モコン社製酸素バリア測定器(OX−TRAN 2/20)を用いて、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下における酸素透過度を測定した。単位はmL/(m2・day・MPa)である。
ポリアミド積層体から、長手方向に200mm、横方向に300mm、シール幅が10mmの横取り三方袋を作製した。側部シール部に5mmの切り込みノッチを設け、ポリアミド積層体の長手方向に右手前、左手前方向にそれぞれ100mm引裂き、切り込みノッチ部から長手方向に引いた直線から引裂伝播端がずれた幅を測定した。この操作を5回繰り返した。引裂伝播端のずれた幅の平均値が10mm未満の場合「〇」と判断し、10mm以上の場合「×」と判断した。
20℃×65%RHの条件下で調湿した200mm×300mmのポリアミド積層体をテスター産業社製ゲルボフレックステスターに装着し、89mm直進中に440°回転し、さらに64mm直進し、その後、逆の工程で元の位置に戻るまでの動きを1回と数えて、10000回の屈曲テストを実施した。屈曲テスト後のポリアミド積層体の片面に、着色液(三菱ガス化学社製 エージレスチェッカー)を塗布し、液が反対面に浸透した個数をピンホール数とした。
下記の実施例・比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
(1)ポリアミド基材(I)構成用の樹脂
・PA6:ポリアミド6樹脂(ユニチカ社製 A1030BRF、相対粘度3.0)
・MXD6:ポリアミドMXD6(三菱エンジニアリングプラスチック社製)
・ポリアミド樹脂混合物A〜D
表1に記載の配合比になるように、PA6とMXD6をチップブレンドして作製した。
・MgO:酸化マグネシウム(タテホ化学工業社製 PUREMAG FNM−G 平均粒径0.4μm)
・MgCO3:炭酸マグネシウム(神島化学工業社製 MSS 平均粒径1.2μm)
・CaCO3:炭酸カルシウム(白石工業社製 Vigot15 平均粒径0.5μm)
・ZnO:酸化亜鉛(堺化学工業社製 FINEX−50 平均粒径0.02μm)
実施例、比較例に応じて、表1に記載の金属含有層(M)に用いる金属化合物15質量部とポリアミド樹脂混合物85質量部を混練して金属化合物マスターチップを作製した。
なお、比較例2に用いる金属化合物マスターチップについては、MgO75質量部とポリアミド樹脂混合物C25質量部の配合比とした。
・EMA水溶液:
EMA(重量平均分子量60000)と水酸化ナトリウムとを水に加え、加熱溶解後、室温に冷却して調製した、EMAのカルボキシル基の10モル%が水酸化ナトリウムにより中和された、固形分15質量%のEMA水溶液。
・PAA水溶液:
ポリアクリル酸(東亞合成社製 A10H、数平均分子量200000、25重量%水溶液)と、水酸化ナトリウムとを用いて調製した、ポリアクリル酸のカルボキシル基の10モル%が水酸化ナトリウムにより中和された、固形分15質量%のポリアクリル酸(PAA)水溶液。
・PVA水溶液:
ポリビニルアルコール(クラレ社製 ポバール105、ケン化度98〜99%、平均重合度約500)を水に加え、加熱溶解後、室温に冷却することにより調製した、固形分15質量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液。
・PAM:
ポリアクリルアミド(キシダ化学社製、試薬、重量平均分子量900万〜1000万、重合度12.7万〜14.1万)。
ポリアミド樹脂混合物Aと、金属化合物マスターチップとを、酸化マグネシウムの含有量が0.1質量%となるように混合した。この混合物とMXD6を80/20の質量比で押出機に投入し、270℃のシリンダー内で溶融混錬した。溶融物をTダイオリフィスよりシート状に押出し、10℃に冷却した回転ドラムに密着させて急冷することで、厚さ150μmの未延伸ポリアミド基材フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを50℃の温水槽に送り、2分間の浸水処理を施した。
次に、PVAとEMAの質量比(固形分)が50/50になるように、PVA水溶液とのEMA水溶液とを混合して、固形分10質量%のガスバリア層(II)形成用塗工液を得た。この塗工液を、浸水処理を施した未延伸フィルムの片面に塗布した後、乾燥した。
フィルムの端部を、テンター式同時二軸延伸機のクリップに保持させ、180℃で、長手方向、横方向にそれぞれ3.3倍に延伸した。その後、横方向の弛緩率を5%として、210℃で4秒間の熱処理を施し、室温まで徐冷して、厚みが15μmのポリアミド基材(I)に、厚みが0.3μmのガスバリア層(II)を積層したポリアミド積層体を得た。
表1に記載の金属含有層の構成になるように、ポリアミド樹脂混合物と金属化合物マスターチップとを混合し、また、延伸後の厚みが表1に記載の厚みになるようにした以外は、実施例1と同様にして、未延伸ポリアミド基材フィルムを得て、浸水処理を施した。
次に、PVA等の他の樹脂やポリカルボン酸について、種類や質量比(固形分)が表1に記載のものになるようにした以外は、実施例1と同様にして、ガスバリア層(II)形成用塗工液を調製した。
得られた塗工液を用いて、延伸後の厚みが表1記載の厚みになるようにした以外は、実施例1と同様にして、未延伸フィルムに塗布、乾燥後、同時二軸延伸してポリアミド積層体を得た。
ガスバリア層(II)形成用塗工液を、次にようにして調製した。
すなわち、数平均分子量200000のポリアクリル酸(PAA)を蒸留水で溶解し、水溶液中の固形分濃度が13質量%であるPAA水溶液を得た。続いて、このPAA水溶液に、13質量%アンモニア水溶液を加え、PAAのカルボキシル基の1モル%を中和して、PAAの部分中和物水溶液を得た。
また、数平均分子量40000のポリアクリル酸(PAA)100質量部をメタノール1064質量部に溶解し、続いて、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMOS)166質量部を攪拌しながら加えた。このようにして、APTMOSメタノール溶液(10−1)を得た。APTMOSメタノール溶液(10−1)では、APTMOSのアミノ基の少なくとも一部がPAAのカルボキシル基によって中和されている。
次に、テトラメトキシシラン(TMOS)34.5質量部をメタノール34.5質量部に溶解することによって、TMOSメタノール溶液を調製した。このTMOSメタノール溶液の温度を10℃以下に維持しながら、蒸留水2.3質量部と0.1Mの塩酸5.7質量部とを加え、攪拌しながら10℃で60分間、加水分解および縮合反応を行うことによって、溶液(10−2)を得た。
続いて、溶液(10−2)を、メタノール214.7質量部および蒸留水436.1質量部で希釈した後、攪拌しながら上記PAAの部分中和物水溶液235.9質量部を添加し、溶液(10−3)を得た。
続いて、溶液(10−3)を攪拌しながらAPTMOSメタノール溶液(10−1)36.2質量部を加え、さらに30分間攪拌することによって、溶液(10−4)を得た。
上記方法で調製した溶液(10−4)を、ガスバリア層(II)形成用塗工液として使用した以外は実施例8と同様にして、ポリアミド積層体を得た。
使用するポリアミド樹脂混合物を変更する以外は、実施例10と同様にして、ポリアミド積層体を得た。
表1に記載の金属含有層の構成になるように、ポリアミド樹脂混合物と金属化合物マスターチップとを混合した以外は、実施例1と同様にして、未延伸ポリアミド基材フィルムを得て、浸水処理を施した。
次に、実施例1で得られたガスバリア層(II)形成用塗工液を用いて、実施例1と同様にして、未延伸フィルムに塗布、乾燥後、同時二軸延伸しようとしたが、延伸途中でフィルムが破断し、ポリアミド積層体を得ることができなかった。
比較例3のポリアミド積層体は、ガスバリア層(II)にポリカルボン酸を含有していなかったため、ガスバリア性が低かった。
比較例4のポリアミド積層体は、ポリアミド樹脂中のMXD6の含有量が5質量%未満であったため、直線カット性が不良であった。
比較例5のポリアミド積層体は、ポリアミド樹脂中のMXD6の含有量が20質量%を超えていたため、ピンホール数が多かった。
Claims (4)
- ポリアミド基材(I)にガスバリア層(II)が積層されてなる積層体であって、
ポリアミド基材(I)は、延伸されており、金属化合物を0.1〜70質量%含有する金属含有層を含み、
金属含有層は、金属化合物を混合したポリアミド樹脂の溶融物が押出されたものであり、
ポリアミド基材(I)を構成するポリアミド樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂とポリメタキシレンアジパミド(MXD6)からなり、脂肪族ポリアミド樹脂/MXD6=95/5〜80/20(質量比)であり、
ガスバリア層(II)がポリカルボン酸を含有し、
ガスバリア層と金属含有層とが接触しており、
95℃、30分の熱水処理後において、20℃、相対湿度65%の雰囲気下の酸素透過度が0.01〜15ml/(m 2 ・day・MPa)である、
ことを特徴とするポリアミド積層体。 - ガスバリア層(II)がポリアルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド積層体。
- 金属化合物を構成する金属が、マグネシウム、カルシウム、亜鉛から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド積層体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド積層体を含有することを特徴とする包装用袋。
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