JP6177173B2 - 高純度ホウ素及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は単体ホウ素の製造方法に関する。
ホウ素(B)は周期律表で第III属に属する半導体元素で、ガラスの原料、防腐剤、研磨剤、医薬品、金属製錬における脱酸剤、合金添加剤、高融点金属ホウ化物の原料に用いられる。また、高純度のホウ素は特に半導体基板のドーピング剤やTMR(tunnel Magneto-Resistance)素子の強磁性層に用いられるCo−Fe−Bスパッタリングターゲットの材料等として重要である。
ホウ素は融点2080℃、沸点2550℃と高いため精製が難しい物質であるものの、1808年にJ.J.Gay Lussac等が無水ホウ酸を鉄製容器内でカリウムにより還元して以来、種々の精製方法が提案されている。単体ホウ素の製法は大別すると以下の四種類となる。
(1)ホウ砂(Na247)、無水ホウ酸(B23)を活性金属で還元する。
(2)ホウ素のハロゲン化物を活性金属で還元する。
(3)塩化ホウ素を水素で還元する。
(4)溶融塩電解により陰極に析離させる。
ホウ素は高温で酸素や窒素と反応し易いほか、各種の金属と容易にホウ化物を作るので、いずれの方法によっても高純度のものを得ることが困難であるとされている(非特許文献1)。
(1)に記載のホウ酸を活性金属で還元する方法については、「マグネシウム還元法」(非特許文献2)が知られている。当該方法は以下の通りである。ホウ素鉱物にHClを反応させ、ホウ素をホウ酸の形で抽出する。ホウ酸には正ホウ酸(H3BO3)、メタホウ酸(HBO2)、ピロホウ酸(H247)の3種類がある。正ホウ酸を373Kに加熱すると脱水反応でメタホウ酸が生成し、413Kに加熱すると脱水反応と共に縮合反応も起こりピロホウ酸が生成する。メタホウ酸、ピロホウ酸を413K以上に加熱すると無水ホウ酸(B23)が生成する。B23に対してMgを加え、約1273Kに加熱して還元すると、純度が90〜92%の褐色の無定形ホウ素が得られる。
得られたホウ素の化学的純度を更に上げる方法として、非特許文献2には「帯域精製法」が記載されている。これは、ホウ素原料棒を不活性ガス中で高周波を用いて加熱、あるいは真空中で電子ビームを用いて加熱して溶融して精製するという方法である。その他、「電解精製法」も採用できることが記載されている。
明石和夫、江上一郎、「溶融塩電解法による単体ボロンの製造」、東京大学生産技術研究所、生産研究 15(11), p427-435, 1963年 、宍戸統悦、岡田繁、「ホウ素・ホウ化物の製造方法」、"ホウ素・ホウ化物および関連物質の基礎と応用"、シーエムシー出版、p153-155、2008年
従来、ホウ砂(Na247)や無水ホウ酸(B23)を活性金属で還元する方法では高純度のホウ素を得ることは困難であり、高純度のホウ素を得るには帯域溶融法等の複雑な操作が必要であり、コスト高となっていた。また、純度にも改善の余地が見られる。そこで、本発明は高純度の単体ホウ素を簡素な手順で製造可能な方法を提供することを課題とする。また、本発明は従来の製法では達成されていない高純度のホウ素を提供することを別の課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、無水ホウ酸(B23)を活性金属で還元する際、予め低温度で焼結工程を行うことで無水ホウ酸(B23)と活性金属の密着性が向上し、その後の還元反応が促進することを見出した。
上記の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、無水ホウ酸(B23)を活性金属で還元することにより単体ホウ素を製造する方法であって、前記無水ホウ酸と活性金属を混合する工程1と、次いで、得られた混合物を200〜550℃の温度で1〜5時間焼結する工程2と、次いで、得られた焼結体を活性金属の融点から50℃以上高い温度に昇温して0.5〜2.0時間還元反応を行う工程3とを含む方法である。
本発明に係る方法の一実施形態においては、活性金属が単体カルシウム及び単体マグネシウムから選択される。
本発明に係る方法の別の一実施形態においては、活性金属が単体カルシウムであり、還元反応を889〜1039℃で行う。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、活性金属が単体マグネシウムであり、還元反応を699〜849℃で行う。
本発明に係る方法の更に別の一実施形態においては、工程2及び工程3をグラファイト製の坩堝内で実施する。
本発明は別の一側面において、不純物であるNa、Mg、Al、Si、Ca及びFeの合計濃度が5質量ppm以下である単体ホウ素である。
本発明に係る単体ホウ素の一実施形態においては、Naの濃度が0.1質量ppm未満である。
本発明に係る単体ホウ素の別の一実施形態においては、Mgの濃度が0.1質量ppm未満である。
本発明に係る単体ホウ素の更に別の一実施形態においては、Alの濃度が0.5質量ppm以下である。
本発明に係る単体ホウ素の更に別の一実施形態においては、Siの濃度が1.0質量ppm以下である。
本発明に係る単体ホウ素の更に別の一実施形態においては、Caの濃度が0.5質量ppm未満である。
本発明に係る単体ホウ素の更に別の一実施形態においては、Li、Be、F、Na、Mg、P、Cl、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Br、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Th、Uの各濃度が検出限界未満である。
本発明に係る単体ホウ素の更に別の一実施形態においては、Cの濃度が200質量ppm以下である。
本発明に係る単体ホウ素の更に別の一実施形態においては、Oの濃度が300質量ppm以下である。
本発明によれば、無水ホウ酸(B23)を活性金属で還元する方法によって単体ホウ素を製造する際に、帯域溶融法等の複雑な操作を実施することなく、格段に純度の高い単体ホウ素が得られる。本発明にかかる単体ホウ素は、例えば、高純度が要求される電子デバイス材料として有用である。
本発明に係る単体ホウ素の製造方法のフロー図の一例を示す。 本発明に係る単体ホウ素の製造方法を実施する際の昇温プロファイルの一例を示す。
本発明は、一側面において、無水ホウ酸(B23)を活性金属で還元することにより単体ホウ素を製造する方法を提供する。本発明に係る単体ホウ素製造方法の一実施形態において、前記無水ホウ酸と活性金属を混合する工程1と、次いで、得られた混合物を200〜550℃の温度で1〜5時時間焼結する工程2と、次いで、得られた焼結体を活性金属の融点から50℃以上高い温度に昇温して0.5〜2時間還元反応を行う工程3とを含む。
原料となる無水ホウ酸は、高純度の単体ホウ素を得る観点からは、できる限り高純度のものを使用することが好ましい。そのため、ガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%(3N)以上のものを使用することが好ましく、99.99質量%(4N)以上のものを使用することがより好ましく、99.999質量%(5N)以上のものを使用することが更により好ましい。ここでいう純度は、GDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry)法により測定された不純物濃度から算出した値とする。
使用する無水ホウ酸の形状は特に制限はないが、粉末形状であることが好ましく、活性金属と均一に混合しやすくなる。例えば、D50(累積重量粒度分布で累積値が50%となる粒度)が100〜200μm程度の粉末を使用すればよい。
還元剤となる活性金属としては、上記無水ホウ酸に対して還元作用を有するものであれば特に制限は無いが、例えば、単体Ca、単体Mg、単体Ti、単体Li、単体Na、単体K、単体Rb、単体Be、単体Sr、単体Ba、単体Zr、単体Hf、単体希土類(単体Sc、単体Y、単体La、単体Ce、単体Pr、単体Nd、単体Pm、単体Sm、単体Eu、単体Gd、単体Tb、単体Dy、単体Ho、単体Er、単体Tm、単体Yb、単体Lu)、単体Zn、単体Alが挙げられる。これらの中でも、還元剤との分離が容易である点や経済性の観点からは、単体Ca、単Zn及び単体Mgが好ましい。これらは単独で使用することもでき、二種類以上を組み合わせて使用することもできる。
高純度の単体ホウ素を得る観点からは、活性金属もできる限り高純度のものを使用することが好ましい。そのため、ガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%(3N)以上のものを使用することが好ましく、99.99質量%(4N)以上のものを使用することがより好ましく、99.999質量%(5N)以上のものを使用することが更により好ましい。ここでいう純度は、GDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry)法により測定された不純物濃度から算出した値とする。
使用する活性金属の形状は特に制限はないが、粉末形状であるのが無水ホウ酸と均一に混合しやすく、好ましい。例えば、D50(累積重量粒度分布で累積値が50%となる粒度)が10mm以下程度、典型的にはD50が5〜9mm程度の粒度の粉末を使用すればよい。
工程1では、前記無水ホウ酸と活性金属を混合する。混合方法に特段の制限はないが、コンタミネーション防止の観点から、Ar等の不活性雰囲気下で混合を行うことや、少なくとも混合物と接触する表面がpBN、Ta、グラファイト、表面が平滑な緻密質石英、表面が平滑な緻密質アルミナなど、原料と反応せず、コンタミの要因を発生しにくい耐熱性材料でできた容器内、典型的に全体がこれらの材料でできた容器内で混合することが好ましい。また、典型的には粉末状の酸化ホウ素と粉末状の活性金属を混合することで行うことができる。また、還元反応が促進されやすいので、撹拌などによって均一な混合物を作製することが好ましい。
また、両者の混合は反応当量に対して還元剤の量を若干過小にして行うことが純度の高い単体ホウ素を得る観点から好ましい。具体的には、CaまたはMgの物質量を反応当量に対して0.80倍〜0.98倍とすることが好ましく、0.9倍〜0.95倍とすることがより好ましい。
工程2では、工程1で得られた混合物を焼結する。焼結することによって、無水ホウ酸と活性金属の密着性が向上し、その後の還元反応が促進されるという効果が得られ、純度の高い単体ホウ素を高い収量で製造することを可能にする。また、歩留まりの向上にも寄与する。焼結温度が低すぎると進行しないことから、焼結は混合物を180℃以上に加熱して実施する必要がある。焼結温度は180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。一方、焼結温度が高すぎると活性金属の揮発が促進され、有効な焼結体が得られないことから、焼結は混合物を650℃以下として実施する必要があり、600℃以下とするのが好ましく、550℃以下とするのがより好ましい。
また、焼結時間は、短すぎると焼結が十分に進行しないことから、1時間以上とするべきであり、1.5時間以上とするのが好ましい。一方で、焼結時間が長すぎると活性金属が揮発してしまうことから、5時間以下とするべきであり、4時間以下とするのが好ましい。
ここで、焼結時間とは、混合物が200〜550℃の温度範囲に滞在する時間を指す。従って、保持温度に到達する前後で当該温度範囲に滞在している場合は、その時間も考慮する。例えば、図2に示す昇温プロファイルの例においては、「Ca」のラインは昇温を開始してから32分後に200℃に到達し、その後、550℃まで昇温し、550℃で1時間保持された後、昇温を開始してから2時間30分後に更に温度上昇を示す。この場合、200〜550℃の温度範囲には合計で1時間58分滞在することから、焼結時間は1時間58分と計算される。また、「Mg」のラインは昇温を開始してから30分後に200℃に到達し、その後、200℃で1時間30分保持された後、更に昇温し、550℃の温度を超えるのに2時間2分かかるので、200〜550℃の温度範囲には合計で約3.5時間滞在することから、焼結時間は3時間32分である。
また、焼結時に留意すべき事項としては、コンタミネーションを防止するために、Ar等の不活性雰囲気下で焼結を行うことや、少なくとも混合物と接触する表面がpBN、Ta、グラファイトなどのコンタミの要因を発生しにくい材料でできた焼結容器、典型的に全体がこれらの材料でできた焼結容器内で焼結することが好ましい。
工程3では、得られた焼結体を還元して単体ホウ素を生成する。このときの還元反応は、例えば、還元剤として単体Caを用いたときは、B23+3Ca→2B+3CaOと表すことができる。還元反応を実施する際の混合物の温度は活性金属の種類に応じて異なるが、活性金属の融点から50〜200℃高い温度とすることが好ましく、活性金属の融点から70〜160℃高い温度とすることがより好ましい。この範囲よりも低温だと還元反応が十分に進行せず、また、この範囲よりも高温だと活性金属の揮発量が多くなって還元反応が進行しにくくなる他、容器内圧の上昇につながり危険である。還元反応の促進や安全性の観点から還元反応時の容器内の圧力は300〜500torr(弱減圧雰囲気)とすることが好ましい。例えば、活性金属として単体Caを使用するときは、還元反応は889〜1039℃で行うのが好ましく、899〜999℃で行うのがより好ましい。また、活性金属として単体Mgを使用するときは、還元反応は699〜849℃で行うのが好ましく、719〜809℃で行うのがより好ましい。
還元反応時間は短すぎると還元が十分に進行しない一方で、長すぎると生成したBと還元材が反応して出来た酸化物からの汚染が増す可能性があることから、0.5〜2.0時間が好ましく、1.0〜1.5時間がより好ましい。ここで、本発明における還元反応時間とは混合物の温度が活性金属の融点から50℃以上高い温度領域に滞在している時間を指す。
例えば、図2に示す昇温プロファイルの例においては、「Ca」のラインは昇温を開始してからCaの融点である839℃から50℃高い889℃に到達するのが昇温開始してから3時間28分後であり、その後、900℃まで昇温したのちに1時間保持されて、炉冷され、再び889℃に戻るのが昇温開始してから4時間32分後である。この場合、上述した還元反応時間の定義から、還元反応時間は1時間4分と計算される。「Mg」のラインは昇温を開始してからMgの融点である649℃から50℃高い699℃に到達するのが昇温開始してから4時間54分後であり、その後、800℃まで昇温したのちに1時間保持されて、炉冷され、再び699℃に戻るのが昇温開始してから6時間49分後である。この場合、上述した還元反応時間の定義から、還元反応時間は1時間55分と計算される。
また、還元反応もコンタミネーション防止の観点から焼結反応と同様の材質をもつ容器で実施することが望ましい。
焼結工程から還元工程への移行は温度を低下させることなく、連続的に実施することが好ましい。焼結工程の後、いったん室温まで低下させたり、反応容器から取り出したりすると、生産効率が落ちる他、予期せぬ副反応やコンタミネーションが起きる可能性があるからである。移行時の昇温速度は遅すぎると還元反応進行前に還元材の揮発が起きてしまい歩留まりの低下を招くことがある一方で、早すぎると原料やルツボが充分に加熱されずに反応が進行しない可能性があることから、1〜30℃/minとするのが好ましく、5〜30℃/minとするのがより好ましい。
本発明によれば、上述した製造方法を採用することで、帯域溶融法等の複雑な操作を実施することなく、高純度の単体ホウ素を得ることができ、原料純度、熱処理条件、コンタミネーション防止を厳密に制御した好ましい製造条件によれば、不純物であるNa、Mg、Al、Si、Ca及びFeの合計濃度が5質量ppm以下である単体ホウ素を得ることができ、好ましくは当該合計濃度が3質量ppm以下である単体ホウ素を得ることができ、より好ましくは当該合計濃度が2質量ppm以下である単体ホウ素を得ることができる。
本発明により製造された単体ホウ素の一実施形態によれば、Naの濃度が0.1質量ppm未満である。
本発明により製造された単体ホウ素の一実施形態によれば、Mgの濃度が0.1質量ppm未満である。
本発明により製造された単体ホウ素の一実施形態によれば、Alの濃度が0.5質量ppm以下である。
本発明により製造された単体ホウ素の一実施形態によれば、Siの濃度が1.0質量ppm以下である。
本発明により製造された単体ホウ素の一実施形態によれば、Caの濃度が0.5質量ppm未満である。
本発明により製造された単体ホウ素の一実施形態によれば、Li、Be、F、Na、Mg、P、Cl、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Br、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Th、Uの各濃度が検出限界未満である。各元素の検出限界値は実施例に記載の表5中に示す。
また、本発明に係る単体ホウ素は一実施形態において、Cの濃度を200質量ppm以下とすることができ、好ましくは150質量ppm以下とすることができ、より好ましくは100質量ppm以下とすることができ、例えば50〜200質量ppmとすることができ、典型的には90〜150質量ppmとすることができる。
また、本発明に係る単体ホウ素は一実施形態において、Oの濃度を300質量ppm以下とすることができ、好ましくは200質量ppm以下とすることができ、より好ましくは100質量ppm以下とすることができ、例えば50〜300質量ppmとすることができ、典型的には80〜200質量ppmとすることができる。
本発明においては、ガス成分(C、N、O、S、H)以外の不純物濃度はGDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry)法により測定することとする。酸素(O)、窒素(N)及び水素(H)の濃度は、不活性ガス融解―赤外線吸収法(実施例ではLECO社製のTCH−600を用いた。)よって測定する。炭素(C)及び硫黄(S)の濃度は、燃焼-赤外線吸収法(実施例ではLECO社製CS−444を用いた。)によって測定する。
高純度のホウ素は例えばケイ素半導体のドーピング剤やTMR素子の強磁性層に用いられるCo−Fe−Bスパッタリングターゲットの材料等として利用することができる。
以下、本発明及びその利点をよく理解するための実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、ガス成分元素である炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、水素(O)及び硫黄(S)を除き、各元素濃度の分析値はGDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry)法(V.G.Scientific社製 VG−9000)によって分析し、また、ガス成分元素の分析には酸素(O)、窒素(N)及び水素(H)についてLECO社製の酸素窒素分析装置(型式TCH−600)を、炭素(C)及び硫黄(S)についてLECO社製の炭素硫黄分析装置(型式CS−444)を使用した。
(比較例1:焼結工程無し)
市販品でガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%の無水ホウ酸の粉末(粒径:D50=150μm)を1000gと、反応当量の0.95倍となる1641gの社内で精製したガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%の単体カルシウムの粉末(粒径:D50=5〜9mm)とをAr置換したグローブボックス内で均一となるように撹拌して混合した後、得られた混合物をグラファイト製の坩堝に装入した。坩堝内はAr雰囲気下として、昇温速度7.5℃/minで900℃まで加熱し、当該温度を1.0時間維持し、還元反応を行った。還元反応後は、Ar雰囲気を保持しながら炉冷した。この際の焼結時間は、先述した定義によれば約47分であった。この際の還元反応時間は先述した定義によれば1時間4分であった。不純物を塩酸に溶解した後、濾過及び純水により洗浄することで得られた単体ホウ素は244gであり、後述する発明例と比べ歩留まりが低かった。表1に、原料として使用した無水ホウ酸及び単体カルシウム、並びに製造された単体ホウ素の不純物元素の分析結果を示す。還元剤のCaが65質量ppmと多く残留し、B23との反応せずにルツボ材とCaが反応してしまうことにより、ルツボ材であるCによる汚染を受けていた。その結果、C濃度が540質量ppmとなった。また、焼結が不十分であることから、原料のB23の還元が不十分となり、Oが2500質量ppmと高くなっていた。
Figure 0006177173
(比較例2:還元剤Mg焼結工程無し)
市販品でガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%の無水ホウ酸の粉末(粒径:D50=150μm)を1000gと、反応当量の0.95倍となる995gの社内で精製したガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%の単体マグネシウムの粉末(粒径:D50=5〜9mm)とをAr置換したグローブボックス内で均一となるように撹拌して混合した後、得られた混合物をグラファイト製の坩堝に装入した。坩堝内はAr雰囲気下として、昇温速度7.5℃/minで800℃まで加熱し、当該温度を1.0時間維持し、還元反応を行った。還元反応後は、Ar雰囲気を保持しながら炉冷した。この際の焼結時間は、先述した定義によれば約47分であった。この際の還元反応時間は先述した定義によれば1時間33分であった。不純物を塩酸に溶解した後、濾過及び純水により洗浄することで得られた単体ホウ素は238gであり、後述する発明例と比べ歩留まりが低い。表2に、原料として使用した無水ホウ酸及び単体マグネシウム、並びに製造された単体ホウ素の不純物元素の分析結果を示す。還元剤のMgが74質量ppmと多く残留し、B23との反応せずにルツボ材とMgが反応してしまうことにより、ルツボ材であるCによる汚染を受けていた。その結果、C濃度が450質量ppmとなった。また、焼結が不十分であることから、原料のB23の還元が不十分となり、Oが3200質量ppmと高くなっていた。
Figure 0006177173
(発明例1)
市販品でガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%の無水ホウ酸の粉末(粒径:D50=150μm)を1000gと、反応当量の0.95倍となる1641gの社内で精製したガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%の単体カルシウムの粉末(粒径:5〜9mmの範囲)とをAr置換したグローブボックス内で均一となるように撹拌して混合した後、得られた混合物をグラファイト製の坩堝に装入した。坩堝内はAr雰囲気下として、昇温速度6.1℃/minで550℃まで加熱し、当該温度を1時間維持して焼結した後、昇温速度5.83℃/minで900℃まで加熱し、1時間保持して還元反応を行った。このときの昇温プロファイルを図2(グラフ中、「Ca」の線を参照。)に示す。還元反応後は、Ar雰囲気を保持しながら炉のヒーター電源を切り炉冷した。この際の焼結時間は、先述した定義によれば1時間58分であった。この際の還元反応時間は、先述した定義によれば1時間4分であった。不純物を塩酸に溶解した後、濾過及び純水により洗浄することで得られた単体ホウ素は295gであった。表3に、原料として使用した無水ホウ酸及び単体カルシウム、並びに製造された単体ホウ素の不純物元素の分析結果を示す。得られた単体ホウ素は、比較例1に比べて純度が格段に高くなった。
Figure 0006177173
(発明例2)
市販品でガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%の無水ホウ酸の粉末(粒径:D50=150μm)を1000gと、反応当量の0.95倍となる995gの社内で精製したガス成分であるC、N、O、S及びHを除く純度が99.9質量%の単体マグネシウムの粉末(粒径:5〜9mmの範囲)とを、Ar置換したグローブボックス内で撹拌して均一となるように混合した後、得られた混合物をグラファイト製の坩堝に装入した。坩堝内はAr雰囲気下として、昇温速度400℃/hで200℃まで加熱し、当該温度で1時間30分維持して焼結した後、昇温速度171℃/h(2.85℃/min)で800℃まで加熱し、当該温度で1時間維持して還元反応を行った。このときの昇温プロファイルを図2(グラフ中、「Mg」の線を参照。)に示す。還元反応後は、Ar雰囲気を保持しながら炉のヒーター電源を切り、炉冷した。この際の焼結時間は、先述した定義によれば3時間32分であった。この際の還元反応時間は、先述した定義によれば1時間55分であった。不純物を塩酸に溶解した後、濾過及び純水により洗浄することで得られた単体ホウ素は295gであった。表4に、原料として使用した無水ホウ酸及び単体マグネシウム、並びに製造された単体ホウ素の不純物元素の分析結果を示す。得られた単体ホウ素は、比較例1に比べて純度が格段に上昇した。
Figure 0006177173
(検出限界)
各元素の検出限界を表5に示す。
Figure 0006177173

Claims (10)

  1. 無水ホウ酸(B23)を活性金属で還元することにより単体ホウ素を製造する方法であって、前記無水ホウ酸と活性金属を混合する工程1と、次いで、得られた混合物を200〜550℃の温度で1〜5時間焼結する工程2と、次いで、得られた焼結体を活性金属の融点から50℃以上高い温度に昇温して0.5〜2.0時間還元反応を行う工程3とを含む方法。
  2. 活性金属が単体カルシウム及び単体マグネシウムから選択される1種又は2種である請求項1に記載の方法。
  3. 活性金属が単体カルシウムであり、還元反応を889〜1039℃で行う請求項1に記載の方法。
  4. 活性金属が単体マグネシウムであり、還元反応を699〜849℃で行う請求項1に記載の方法。
  5. 工程2及び工程3をグラファイト製の坩堝内で実施する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. Naの濃度が0.1質量ppm未満である単体ホウ素。
  7. Mgの濃度が0.1質量ppm未満である請求項6に記載の単体ホウ素。
  8. Alの濃度が0.5質量ppm以下である請求項6又は7に記載の単体ホウ素。
  9. Caの濃度が0.5質量ppm未満である請求項6〜8の何れか一項に記載の単体ホウ素。
  10. Li、Be、F、Na、Mg、P、Cl、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Br、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Th、Uの各濃度が検出限界未満である請求項6〜の何れか一項に記載の単体ホウ素。
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