JP6179699B1 - DyとTbを含む合金から両者を分離する方法 - Google Patents

DyとTbを含む合金から両者を分離する方法 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、溶媒抽出法を用いることなく、構成金属としてDyとTbを含む合金から両者を分離する方法を提供することである。その解決手段としての本発明の方法は、合金におけるDyとTbの組成をDyxTby(原子組成比)、熱処理温度をtとした場合、温度tにおけるDy単独の蒸気圧をPtDy(Pa)、温度tにおけるTb単独の蒸気圧をPtTb(Pa)として、式1:PtTb<Pt<PtDy×(x/(x+y))を満たす圧力Pt(Pa)の雰囲気下で合金を熱処理することで、Dyを気化させることによることを特徴とする。

Description

本発明は、構成金属として重希土類元素であるDyとTbを含む合金から両者を分離する方法に関する。
R−Fe−B系永久磁石(Rは希土類元素)は、高い磁気特性を有していることから、今日様々な分野で使用されていることは周知の通りである。このような背景のもと、R−Fe−B系永久磁石の生産工場では、日々、大量の磁石が生産されているが、磁石の生産量の増大に伴い、製造工程中に加工不良物などとして排出される磁石スクラップや、切削屑や研削屑などとして排出される磁石加工屑などの量も増加している。とりわけ情報機器の軽量化や小型化によってそこで使用される磁石も小型化していることから、加工代比率が大きくなることで、製造歩留まりが年々低下する傾向にある。従って、製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などを廃棄せず、そこに含まれる金属元素、特に希土類元素をいかに回収して再利用するかが今後の重要な技術課題となっている。また、R−Fe−B系永久磁石を使用した電化製品などから循環資源として希土類元素をいかに回収して再利用するかについても同様である。そこで、R−Fe−B系永久磁石などの希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法として、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移し、1150℃以上の温度で熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法が、特許文献1において提案されている。
特許文献1において提案されている上記の方法は、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして優れたものであるが、処理対象物が例えば異なる組成のR−Fe−B系永久磁石に由来する磁石スクラップや磁石加工屑の混合物であって希土類元素として軽希土類元素と重希土類元素を含む場合、鉄族元素から分離して回収された希土類元素の酸化物は、通常、軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物である。軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物は、例えば特許文献2において提案されている溶媒抽出法に付することで、軽希土類元素イオンと重希土類元素イオンに分離した後、それぞれをそれぞれの酸化物やフッ化物に変換してから溶融塩電解法やCa還元法に付することで、軽希土類金属と重希土類金属を回収することができる。この際、処理対象物に重希土類元素としてDyとTbが含まれている場合、回収される重希土類金属は、構成金属としてDyとTbを含む合金である。DyとTbを含む合金から両者を分離することもまた、例えば溶媒抽出法に付することでできるが、原子番号が隣り合うDyとTbを溶媒抽出法によって分離するためには、大掛かりな設備と、大量の抽出剤や有機溶媒を必要とする。
国際公開第2013/018710号 特開平2−80530号公報
そこで本発明は、溶媒抽出法を用いることなく、構成金属としてDyとTbを含む合金から両者を分離する方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記の点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、DyとTbは原子番号が隣り合うが、Dyの蒸気圧はTbの蒸気圧に比較してとても高いという、それぞれの蒸気圧の差を利用して、両者を効果的に分離する方法を見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の構成金属としてDyとTbを含む合金から両者を分離する方法は、請求項1記載の通り、合金におけるDyとTbの組成をDyTb(原子組成比)、熱処理温度をt(℃、以下同じ)とした場合、温度tにおけるDy単独の蒸気圧をPtDy(Pa)、温度tにおけるTb単独の蒸気圧をPtTb(Pa)として、式1:PtTb<Pt<PtDy×(x/(x+y))を満たす圧力Pt(Pa)の雰囲気下で合金を熱処理することで、Dyを気化させることによることを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、熱処理温度tを900℃〜1500℃とすることを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、x/(x+y)が0.1以下になるまで合金からDyを気化させることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1記載の方法において、気化したDyを冷却手段によって固化させることを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1記載の方法において、気化したDyをゲッターに捕捉させることを特徴とする。
また、請求項6記載の方法は、請求項5記載の方法において、ゲッターの材質がFeであることを特徴とする。
また、請求項7記載の方法は、請求項1記載の方法において、合金に含まれるDyとTbが、それぞれR−Fe−B系永久磁石に由来するものであることを特徴とする。
本発明によれば、溶媒抽出法を用いることなく、構成金属としてDyとTbを含む合金から両者を分離する方法を提供することができる。
Mg,Ca,Dy,Tbそれぞれの金属の蒸気圧曲線である。 実施例2における、熱処理時間と熱処理後の試料のDy濃度とTb濃度の関係を示すグラフである。 実施例3における、試料から気化したDyに対する、ゲッターとしたFe板の枚数や熱処理時間の違いによるゲッターとしての有効性の違いを示すグラフである。 実施例5における、試料とするDy,Tb含有合金を調製するための工程4で得たDyとTbのフッ化物のXRDピークパターンである。
本発明の構成金属としてDyとTbを含む合金から両者を分離する方法は、合金におけるDyとTbの組成をDyTb(原子組成比)、熱処理温度をtとした場合、温度tにおけるDy単独の蒸気圧をPtDy(Pa)、温度tにおけるTb単独の蒸気圧をPtTb(Pa)として、式1:PtTb<Pt<PtDy×(x/(x+y))を満たす圧力Pt(Pa)の雰囲気下で合金を熱処理することで、Dyを気化させることによることを特徴とするものである。
本発明の方法を適用することができる構成金属としてDyとTbを含む合金(以下、「Dy,Tb含有合金」と略称する)は、重希土類元素であるDyとTbを含む合金であれば特段の制限はなく、その他の元素としてNd,Prなどの軽希土類元素、Fe,Co,Niなどの鉄族元素、ホウ素などを含んでいてもよい。しかしながら、Dy,Tb含有合金のDyの含量とTbの含量の合計は、90質量%以上が望ましく、95質量%以上がより望ましい。軽希土類元素や鉄族元素やホウ素などの含量は、合計で5.0質量%以下が望ましく、2.5質量%以下がより望ましい。
Dy,Tb含有合金の具体例としては、軽希土類元素としてNdやPrと重希土類元素としてDyを含むR−Fe−B系永久磁石と、軽希土類元素としてNdやPrと重希土類元素としてTbを含むR−Fe−B系永久磁石の混合物に由来するものが挙げられる。こうした磁石の混合物に由来するDy,Tb含有合金は、例えば、特許文献1において提案されている方法によって、磁石の混合物から軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を得た後、得られた軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を、特許文献2において提案されている溶媒抽出法に付することで軽希土類元素イオンと重希土類元素イオンに分離し、軽希土類元素イオンから分離された重希土類元素イオンを、重希土類元素の酸化物やフッ化物に変換してから溶融塩電解法やCa還元法に付することで得ることができる。
上記の通り、DyイオンとTbイオンを含む重希土類元素イオン(以下、「Dy,Tb含有イオン」と略称する)を、DyとTbの酸化物やフッ化物に変換してから溶融塩電解法やCa還元法に付することで、Dy,Tb含有合金を得ることができるが、中でも、Dy,Tb含有イオンをDyとTbのフッ化物に変換してからCa還元法に付する方法を採用することが好適である。Dy,Tb含有イオンをDyとTbの酸化物に変換してから溶融塩電解法に付する方法を採用した場合は、Dyの酸化物は還元され易いが、Tbの酸化物は還元され難く、また、Dy,Tb含有イオンをDyとTbのフッ化物に変換してから溶融塩電解法に付する方法を採用した場合は、電解反応によってフッ素ガスが発生する問題への対処が必要であることに加え、溶融塩としてDyやTbのフッ化物を多量に仕込まなければならず、コストが嵩む。Dy,Tb含有イオンをDyとTbのフッ化物に変換してからCa還元法に付する方法を採用する場合、金属Dyや金属Tbは融点が高く、1300℃以下でCa還元を行うと融液を生成しないので、Ca還元によって生成するCaFスラグとの分離が困難であることから、DyやTbと合金化して合金の融点を低下させる金属を用いることが望ましい。しかしながら、Ca還元法において、合金の融点を低下させるために慣用されるFeを用いることは望ましくない。本発明の方法を適用するDy,Tb含有合金にFeが共存すると、Dyが気化し難くなるからである。そこで、Dy,Tb含有イオンをDyとTbのフッ化物に変換してからCa還元法に付する際、DyやTbと合金化して合金の融点を低下させる金属として、MgやZnを用いることが望ましい。MgやZnは、DyやTbと1000℃以下の融点を持つ金属間化合物を形成することに加え、蒸気圧が高いため、本発明の方法を適用するDy,Tb含有合金に共存していても、容易に蒸留除去することができるからである。Dy,Tb含有イオンをDyとTbのフッ化物に変換してからCa還元法に付するに際してMgを用いる具体的な方法は、例えば次の通りである。まず、Dy,Tb含有イオンを、DyとTbの酸化物を経由してDyとTbのフッ化物に変換するか、直接、DyとTbのフッ化物に変換する。得られたDyとTbのフッ化物に、CaとMgを添加し、1000℃〜1100℃で30分間〜24時間、アルゴン気流中で熱処理することでCa還元を行う。Mgの添加量は、DyおよびTbの合計量に対し、モル比として、(Mg/(Mg+DyおよびTb))×100の数式で算出される数値が30%〜70%であることが望ましい。この数値が30%未満であると、合金の融点が1100℃以上となり、Mgを合金から蒸留除去することが困難になる一方、この数値が70%を超えると、多量のMgを合金から蒸留除去する必要が生じる。Ca還元によって生成するCaFスラグの融点を低下させることで、Dy,Tb含有合金とCaFスラグの分離を効率よく行うことを目的として、例えばCaClを添加してもよい。CaClは、Ca還元に悪影響を与えることなくCaFスラグの融点を低下させることができるフラックスとして好適である。CaClの添加量は、計算上のCaFの生成量に対し、モル比として、(CaCl/(CaCl+CaF))×100の数式で算出される数値が40%〜80%であることが望ましい。この数値が40%未満であると、フラックスとして十分に機能しない恐れがある一方、この数値が80%を超えても、フラックスとしての機能は向上せずコストが嵩むだけである。こうした方法を採用し、得られたCaとMgを含むDy,Tb含有合金から、それぞれの金属の蒸気圧曲線(図1参照)に基づいて、MgとCaを蒸留除去する。加熱部と、MgとCaの蒸気を捕捉して回収する冷却部を備えた熱処理炉で、CaとMgを含むDy,Tb含有合金を、10−2Pa〜100Paの減圧下、800℃〜1000℃で1時間〜48時間熱処理することで、CaとMgを蒸留除去することにより、DyとTbのフッ化物に含まれるDyとTbは98%以上が還元され、Dy,Tb含有合金がスポンジ状で得られる。こうして得られたスポンジ状のDy,Tb含有合金は、そのまま本発明の方法を適用してもよいし、アーク溶解炉などで溶融し、インゴット、鋳片、箔などの形態に加工して本発明の方法を適用してもよい。Dy,Tb含有イオンをDyとTbのフッ化物に変換してからCa還元法に付するに際してZnを用いる方法は、Mgを用いる方法に準じればよい。
本発明の方法は、要すれば、Dy,Tb含有合金を、Dyは気化するけれどもTbは気化しない圧力の雰囲気下で熱処理することで、Dyだけを気化させることによるものである。DyとTbは全率固溶型で金属間化合物を形成せず、また、Dyの蒸気圧はTbの蒸気圧に比較してとても高いことから、Dy,Tb含有合金からDyだけを気化させるための、Dyは気化するけれどもTbは気化しない処理条件を本発明者は見出した。ここで、熱処理温度は900℃〜1500℃が望ましい。熱処理温度が900℃未満であると、Dyを気化させるための高真空な圧力環境を形成することが困難になるからである。一方、熱処理温度が1500℃を超えると、Tbが気化しやすくなってDyとTbを分離することが困難になるからである。熱処理温度は1000℃〜1300℃が望ましい。
Dy,Tb含有合金からDyは気化するけれどもTbは気化しない圧力として、本発明の方法では、合金におけるDyとTbの組成をDyTb(原子組成比)、熱処理温度をtとした場合、温度tにおけるDy単独の蒸気圧をPtDy(Pa)、温度tにおけるTb単独の蒸気圧をPtTb(Pa)として、式1:PtTb<Pt<PtDy×(x/(x+y))を満たす圧力Pt(Pa)を採用する。圧力Ptを、Tb単独の蒸気圧PtTbよりも大きく、かつ、DyTbのDy蒸気圧PtDy×(x/(x+y))よりも小さく設定することで、合金からDyだけを気化させることができる。例えば、処理対象とする合金におけるDyとTbの組成がDyTb(x=1,y=2)の場合、処理開始時における圧力Ptは、900℃で熱処理するとすれば8.0×10−6Pa〜0.05Paの範囲、1500℃で熱処理するとすれば1.1Pa〜200Paの範囲である。合金からDyだけが気化すると、xが次第に小さくなるので、PtDy×(x/(x+y))も次第に小さくなり、採用できる圧力Ptの範囲が狭まる。従って、時間の経過に伴って、圧力Ptを徐々に小さく変化させてもよいが、合金からDyだけを気化させる程度、例えばx/(x+y)≦0.1といった程度を目標とし、目標を達成できるに足る圧力Ptを処理開始時から目標が達成されるまで変化させずに維持してもよい。例えば、処理対象とする合金におけるDyとTbの組成がDyTbであって、x/(x+y)≦0.1を目標とし、処理開始時から目標が達成されるまで圧力Ptを変化させずに維持する場合、圧力Ptは、900℃で熱処理するとすれば8.0×10−6Pa〜0.005Paの範囲、1500℃で熱処理するとすれば1.1Pa〜20Paの範囲である。PtDyはPtTbよりもオーダーとして2桁以上高いので、優れた排気能力を備える真空装置を用いれば、x/(x+y)≦0.01を目標とすることも十分に可能である。なお、Dy,Tb含有合金を、式1を満たす圧力の雰囲気下で熱処理すると、理論的にはTbは気化しないが、現実には多少のTbが気化することがある。そうした場合でも、Dy,Tb含有合金を、式1を満たす圧力の雰囲気下で熱処理する限り、実質的にTbは気化しないとして、本発明の範疇に包含される。
Dy,Tb含有合金は、例えば、耐熱性や腐食性に優れるるつぼに収容したり、皿の上に載置したりし(るつぼや皿の材質としてはMoが例示される)、炉の処理室内で所定の温度と圧力の雰囲気下で熱処理すればよい(処理時間は目標とする合金からDyだけを気化させる程度による)。Dy,Tb含有合金の形状は、スポンジ状や箔状、粒径が1mm以下の粒状ないし粉末状などであることが、表面積が大きいことで合金からDyだけを効果的に気化させることができる点において望ましい。Dy,Tb含有合金を収容した坩堝を、さらに耐熱性や腐食性に優れる容器(Moパックなど)に収容して熱処理してもよい。容器の開口を完全に開放するか一部だけ開放するか、あるいは外部との連通を図った上で閉鎖するかなどすることで、炉の処理室内への気化したDyの拡散の速度を制御することができる。
Dy,Tb含有合金から気化したDyは、冷却手段によって固化させることで回収することができる。合金からDyだけが気化すれば、合金におけるTbの純度は高くなる。合金から気化したDyを回収することは、合金に含まれていたDyを再利用するために重要であることはもちろんのことであるが、炉の処理室内の圧力を圧力Ptに維持するためにも重要である。合金から気化したDyを回収しないと、気化したDyが処理室内に滞留する結果、処理室内が、圧力Ptに気化したDyの蒸気圧が加算された圧力となり、Dyが気化することを妨げる方向に働く。例えば管状炉の処理室内の一方の端部の近傍でDy,Tb含有合金を熱処理し、他方の端部にロータリーポンプなどの排気手段を設けるとともに、その近傍が外部からの水冷などによって冷却されるようにしておくことで、合金から気化したDyを固化させることで回収することができる(必要であれば例えば特開2001−303149号公報を参照のこと)。この場合、Dy,Tb含有合金を熱処理するために採用する温度と圧力は、合金の周辺(即ち均熱帯)の温度と圧力を意味する(処理室内の温度と圧力は場所によって異なるため)。こうして回収されたDyは、必要に応じて精製するなどしてから所望の方法で再利用することができる。
また、Dy,Tb含有合金から気化したDyは、ゲッターに捕捉させることで回収してもよい。ゲッターの材質は、気化したDyを効果的に捕捉することができる点においてFeが望ましい。合金から気化したDyを材質がFeのゲッターに捕捉させた場合、DyはFeとの合金として回収される。ゲッターの形状は、板状などであってもよいが、粒径が1mm以下の粒状ないし粉末状であることが、表面積が大きいことでDyを効果的に捕捉することができる点において望ましい。炉の処理室内のどの場所にどのような形状のゲッターをどのように配置するかなどにより、ゲッターによるDyの捕捉効率や合金におけるDyとFeの組成を変化させることができる。DyとFeの合金は、R−Fe−B系永久磁石を製造するための原料などとしてそのまま再利用してもよいし、例えば溶媒抽出法に付することによって両者を分離し、Feから分離したDyは、必要に応じて精製するなどしてから所望の方法で再利用することができる。
Dy,Tb含有合金からDyだけが気化した後の合金は、Tbの純度が高くなった合金としてそのまま再利用してもよいが、本発明の方法によってさらにDyだけを気化させてTbの純度をより高めてもよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:
単ロール液体急冷法により作製した、幅が2mm〜3mmで厚さが20μm〜100μmのDyTb合金箔体(原子組成比(Tb/Dy)はEDX分析によれば1.8〜1.9であってICP分析によれば1.93。EDX分析によるDy濃度は30.7質量%であってTb濃度は56.3質量%)を、長さ15mm以下に裁断し、2.05g量りとって、縦:30mm×横:30mmのMo製の皿の上に試料として載置した。この合金を載置した皿を、縦:200mm×横:75mm×高さ:40mmのMoパックに収容し、外部との連通を図りつつもできるだけ密閉するためにニオブ箔を間にかませて蓋をしてから、管状炉(光洋サーモシステム社製)の処理室内で、1100℃において、5.0×10−3Pa以下の圧力(式1における圧力Pt(t=1100℃))下で2時間熱処理した(熱処理温度が1100℃の場合の処理開始時における圧力Ptの上限は0.3Paであって下限は1.2×10−3Pa)。熱処理の環境は、処理室内の圧力が5.0×10−3Pa以下になるまで排気した後、10℃/minで600℃まで昇温し、600℃で1時間保持した後、さらに5℃/minで1100℃まで昇温することで形成した。2時間後、処理室内を真空下で室温まで炉冷し、常圧に復圧した後、管状炉から試料を載置した皿を取り出した。熱処理後の試料を載置した皿の質量を測定したところ、熱処理前から0.14g減少していた。皿の上の残留試料のDy濃度とTb濃度をEDX分析によって測定したところ、Dy濃度は25.1質量%であってTb濃度は65.1質量%であり、試料からDyが気化したことで、Dy濃度が減少し、Tb濃度は増加した。以上の結果から、本発明の方法によれば、Dy,Tb含有合金から両者を熱処理によって分離することができることがわかった。
実施例2:
Moパック内に気化したDyが滞留することを回避するため、ニオブ箔をかませることなく、かつ、パックの開口を完全に蓋をせずに一部を開放すること以外は実施例1と同様の方法で熱処理したところ、熱処理時間が長くなるにつれて熱処理後の試料の質量は減少した。熱処理時間が10分間、30分間、2時間、4時間のそれぞれの場合における坩堝内の残留試料のDy濃度とTb濃度をEDX分析によって測定した結果(質量%)を図2に示す。図2から明らかなように、熱処理時間が長くなるにつれて試料からのDyの気化量が増加することで、Dy濃度が減少し、Tb濃度は増加した。
実施例3:
ゲッターとして、縦:50mm×横:35mm×厚さ:0.2mmのFe板、または、縦:50mm×横:50mm×厚さ:0.2mmのFe板を、Moパック内に、1枚または複数枚収容する(複数枚収容する場合は重ねて収容しない)こと以外は実施例1と同様の方法で熱処理し、各種の条件のもとでの、試料からのDy蒸発量(熱処理後の試料の質量の減少量)、Fe板へのDy付着量(熱処理後のFe板の質量の増加量。Fe板を複数枚収容した場合には個々の増加量の合計量)、(Fe板へのDy付着量/試料からのDy蒸発量)×100の数式で算出されるDy吸着率(%)を調べた(試料からの気化はDyのみと仮定)。結果を図3に示す。図3から明らかなように、Moパック内に収容したFe板の枚数が多いほど、また、熱処理時間が長いほど、試料からのDy蒸発量とFe板へのDy付着量が増加し、70%以上のDy吸着率を達成することができた(Fe板の表面組成をEDX分析すると、Dyは25atm%〜30atm%であるのに対し、Tbは1atm%〜2atm%であることから、試料から気化しているのはほぼDyのみである。上記の仮定に従えば、(試料からのDy蒸発量/試料に含まれるDy量)×100の数式で算出されるDy蒸発率(%)は90%に達する)。なお、図3ではFe板の大きさの違いによる結果の違いは示していないが、Fe板の大きさが大きいほど、試料からのDy蒸発量、Fe板へのDy付着量、Dy吸着率のすべてにおいて数値が大きいことが別の実験からわかった。
実施例4:
ゲッターとして、かさ密度:約2.0g/cm、比表面積:0.5m/g〜1.0m/g、粒径:53μm以下の電解鉄粉A、または、かさ密度:約2.5g/cm、比表面積:0.094m/g、粒径:150μm以下の電解鉄粉Bを、2gまたは3g量りとり、縦:30mm×横:30mmのMo製の皿の上、または、縦:40mm×横:40mmのMo製の皿の上に載置して用いたことと、Moパック内に、電解鉄粉を載置した皿を1枚または複数枚収容して、1100℃で8時間熱処理すること以外は実施例1と同様の方法で熱処理した。試料からのDy蒸発量(熱処理後の試料の質量の減少量)、電解鉄粉へのDy付着量(熱処理後の電解鉄粉の質量の増加量。電解鉄粉を載置した皿を複数枚収容した場合には個々の増加量の合計量)、(電解鉄粉へのDy付着量/試料からのDy蒸発量)×100の数式で算出されるDy吸着率(%)、(試料からのDy蒸発量/試料に含まれるDy量)×100の数式で算出されるDy蒸発率(%)を調べた(試料からの気化はDyのみと仮定)。Dy吸着率とDy蒸発率の結果を表1に示す。表1から明らかなように、Moパック内に収容した電解鉄粉の量が多いほど、即ち、ゲッターの表面積が大きいほど、Dy吸着率もDy蒸発率も増加し、いずれも90%以上を達成することができた。このことは、熱処理後の試料のDy濃度とTb濃度が、熱処理前の試料のそれぞれと比較して、Dy濃度が減少し、Tb濃度が増加したことからも裏付けられた(表1参照)。
実施例5:
A:本発明の方法を適用する試料として用いるDy,Tb含有合金の調製
軽希土類元素としてNd,Prと重希土類元素としてDyを含むR−Fe−B系永久磁石と、軽希土類元素としてNd,Prと重希土類元素としてTbを含むR−Fe−B系永久磁石を用いて以下のようにして調製した。
(工程1)
特許文献1において提案されている方法に従って、それぞれの製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)に対し、吸引ろ過することで脱水してからロータリーキルンを用いて燃焼処理することで酸化処理を行った。次に、酸化処理を行った磁石加工屑の混合物を炭素るつぼ(黒鉛製)に収容した後、電気炉を用い、アルゴンガス気流中で1450℃で1時間熱処理した。その後、炉内の加熱を停止し、炉内のアルゴンガス雰囲気を維持したまま、炭素るつぼを室温まで炉冷することで、軽希土類元素(Nd,Pr)と重希土類元素(Dy,Tb)の複合酸化物ないし酸化物の混合物を、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物の一方として得た。
(工程2)
工程1で得た軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を、瑪瑙製の乳鉢と乳棒で粉砕し、ステンレス製の篩を用いて粒径が125μm未満の粉末を得た。得られた粉末を塩酸に溶解し、残渣をろ過することで、軽希土類元素と重希土類元素の塩酸溶液を得た。得られた軽希土類元素と重希土類元素の塩酸溶液を、特許文献2において提案されている溶媒抽出法に付することで、軽希土類元素イオンと重希土類元素イオンを分離した。得られた重希土類元素の塩酸溶液に、シュウ酸二水和物を加え、重希土類元素のシュウ酸塩を粉末として得た。
(工程3)
工程3で得た重希土類元素のシュウ酸塩を、アルミナるつぼに収容し、大気雰囲気中で焼成することで、重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を得た。得られた重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物は、DyとTbをDy:Tb=95.6:4.4(atm%)の割合で含んでいた(蛍光X線分析による)。
(工程4)
工程3で得たDyとTbの複合酸化物ないし酸化物の混合物を塩酸に溶解した後、フッ化水素酸を加えることで生成した沈殿物を、ろ取した後、乾燥し、DyとTbのフッ化物を粉末として得た。得られたDyとTbのフッ化物は、DyとTbをDy:Tb=95.7:4.3(atm%)の割合で含んでいた(蛍光X線分析による)。また、得られたDyとTbのフッ化物に含まれるCは0.01質量%、Nは0.03質量%、Oは1.20質量%であった(ガス分析による)。得られたDyとTbのフッ化物の相関係をXRD分析によって確認したところ,標準試料として用いたDyFおよびTbFと同様のピークパターンを有しており、a=6.45Å、b=6.92Å、c=4.01Åの斜方晶で、ほぼ単相であった(図4)。
(工程5)
工程4で得たDyとTbのフッ化物5.70gに、1.72gの顆粒の金属Ca、0.635gのワイヤーカットした金属Mg(DyおよびTbの合計量に対し、モル比として、(Mg/(Mg+DyおよびTb))×100の数式で算出される数値が50.0%の添加量に相当)、9.94gのCaCl(計算上のCaFの生成量に対し、モル比として、(CaCl/(CaCl+CaF))×100の数式で算出される数値が70.0%の添加量に相当)を、アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内で混合した後、チタンるつぼ(外径:31mm×内径:29mm×高さ:60mm)に収容した。アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内で、上記の混合物を収容したチタンるつぼを、鉄るつぼ(外径:39mm×内径:33mm×高さ:70mm、材質:SS400)に収容し、チタンるつぼを収容した鉄るつぼを、外径:45mm×内径:39mm×高さ:10mmの鉄ふたでねじ締めして密閉した。なお、チタンるつぼを鉄るつぼに収容する際、チタンるつぼの外面が鉄るつぼの内面に接触することによる両方または一方のるつぼの溶融や破損を防止するために、チタンるつぼの外周面と底面をニオブ箔で包んだ。内部を密閉した鉄るつぼを、アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内から取り出し、本体と蓋を溶接した後、電気炉を用い、アルゴンガス気流中で1100℃で1時間熱処理した。その後、炉内の加熱を停止し、炉内のアルゴンガス雰囲気を維持したまま、鉄るつぼを室温まで炉冷してから、鉄るつぼを取り出した。鉄るつぼを切断してチタンるつぼを取り出し、その内容物を回収した。回収されたチタンるつぼの内容物は、上部にCaFスラグ、下部にCa還元された金属であり、両者は互いに独立かつ密接して存在していた。上部のCaFスラグは、物理的な衝撃を加えることで容易に下部のCa還元された金属から剥離した。CaFスラグからはDyとTbは検出されなかった(蛍光X線分析による)。Ca還元された金属は、Dyを29.9atm%、Tbを2.1atm%、Caを2.1atm%、Mgを55.1atm%、Oを6.6atm%を含んでいた(EDX分析による)。Ca還元された金属を、加熱部と、MgとCaの蒸気を捕捉して回収する冷却部を備えた熱処理炉で、0.1Paの減圧下、1000℃で24時間熱処理し、CaとMgを蒸留除去することにより、本発明の方法を適用する試料として用いるDy,Tb含有合金を得た。得られたDy,Tb含有合金は、DyとTbをDy:Tb=93.3:6.7(atm%)の割合で含んでいた(EDX分析による)。
B:Dy,Tb含有合金に対して本発明の方法を適用することによる両者の分離
上記の方法で得たDy,Tb含有合金10gを本発明の方法を適用する試料とし、実施例4の実験4の条件に準じて熱処理したところ、(電解鉄粉へのDy付着量/試料からのDy蒸発量)×100の数式で算出されるDy吸着率は90%以上であり(試料からの気化はDyのみと仮定)、熱処理後の試料のTb濃度は90質量%以上であった(EDX分析による)。以上の結果から、本発明の方法によって、Dy,Tb含有合金から両者を効果的に分離することができたことがわかった。
実施例6:
実施例5の、Dy,Tb含有合金を調製するための工程5における、金属Caの使用量を3.13gにすること以外は実施例5と同様の方法でCa還元された金属を得た。得られたCa還元された金属は、Dyを30.2atm%、Tbを2.4atm%、Caを16.4atm%、Mgを41.5atm%、Oを9.1atm%を含んでいた(EDX分析による)。次に、Ca還元された金属から、実施例5と同様の方法でCaとMgを蒸留除去することにより、本発明の方法を適用する試料として用いるDy,Tb含有合金を得た。得られたDy,Tb含有合金は、DyとTbをDy:Tb=92.6:7.4(atm%)の割合で含んでいた(EDX分析による)。このDy,Tb含有合金10gを本発明の方法を適用する試料とし、実施例5と同様の方法で熱処理したところ、(電解鉄粉へのDy付着量/試料からのDy蒸発量)×100の数式で算出されるDy吸着率は90%以上であり(試料からの気化はDyのみと仮定)、熱処理後の試料のTb濃度は90質量%以上であった(EDX分析による)。以上の結果から、本発明の方法によって、Dy,Tb含有合金から両者を効果的に分離することができたことがわかった。
実施例7:
実施例5の、Dy,Tb含有合金を調製するための工程5における、金属Caの使用量を2.04g、金属Mgの使用量を0.270g(DyおよびTbの合計量に対し、モル比として、(Mg/(Mg+DyおよびTb))×100の数式で算出される数値が30.0%の添加量に相当)にすること以外は実施例5と同様の方法でCa還元された金属を得た。得られたCa還元された金属は、Dyを44.4atm%、Tbを3.2atm%、Caを3.5atm%、Mgを28.6atm%、Oを10.0atm%を含んでいた(EDX分析による)。次に、Ca還元された金属から、実施例5と同様の方法でCaとMgを蒸留除去することにより、本発明の方法を適用する試料として用いるDy,Tb含有合金を得た。得られたDy,Tb含有合金は、DyとTbをDy:Tb=93.3:6.7(atm%)の割合で含んでいた(EDX分析による)。このDy,Tb含有合金10gを本発明の方法を適用する試料とし、実施例5と同様の方法で熱処理したところ、(電解鉄粉へのDy付着量/試料からのDy蒸発量)×100の数式で算出されるDy吸着率は90%以上であり(試料からの気化はDyのみと仮定)、熱処理後の試料のTb濃度は90質量%以上であった(EDX分析による)。以上の結果から、本発明の方法によって、Dy,Tb含有合金から両者を効果的に分離することができたことがわかった。
実施例8:
実施例5の、Dy,Tb含有合金を調製するための工程5における、金属Mgの使用量を0.940g(DyおよびTbの合計量に対し、モル比として、(Mg/(Mg+DyおよびTb))×100の数式で算出される数値が60.0%の添加量に相当)にすること以外は実施例5と同様の方法でCa還元された金属を得た。得られたCa還元された金属は、Dyを29.1atm%、Tbを1.8atm%、Caを10.0atm%、Mgを52.0atm%、Oを7.1atm%を含んでいた(EDX分析による)。次に、Ca還元された金属から、実施例5と同様の方法でCaとMgを蒸留除去することにより、本発明の方法を適用する試料として用いるDy,Tb含有合金を得た。得られたDy,Tb含有合金は、DyとTbをDy:Tb=94.2:5.8(atm%)の割合で含んでいた(EDX分析による)。このDy,Tb含有合金10gを本発明の方法を適用する試料とし、実施例5と同様の方法で熱処理したところ、(電解鉄粉へのDy付着量/試料からのDy蒸発量)×100の数式で算出されるDy吸着率は90%以上であり(試料からの気化はDyのみと仮定)、熱処理後の試料のTb濃度は90質量%以上であった(EDX分析による)。以上の結果から、本発明の方法によって、Dy,Tb含有合金から両者を効果的に分離することができたことがわかった。
実施例9:
実施例5の、Dy,Tb含有合金を調製するための工程5における、金属Caの使用量を2.04g、金属Mgの使用量を0.660g(DyおよびTbの合計量に対し、モル比として、(Mg/(Mg+DyおよびTb))×100の数式で算出される数値が51.0%の添加量に相当)、CaClの使用量を2.90g(計算上のCaFの生成量に対し、モル比として、(CaCl/(CaCl+CaF))×100の数式で算出される数値が40.0%の添加量に相当)にすること以外は実施例5と同様の方法でCa還元された金属を得た。得られたCa還元された金属は、Dyを28.9atm%、Tbを2.0atm%、Caを10.5atm%、Mgを49.4atm%、Oを9.0atm%、Fを0.1atm%を含んでいた(EDX分析による)。次に、Ca還元された金属から、実施例5と同様の方法でCaとMgを蒸留除去することにより、本発明の方法を適用する試料として用いるDy,Tb含有合金を得た。得られたDy,Tb含有合金は、DyとTbをDy:Tb=93.5:6.5(atm%)の割合で含んでいた(EDX分析による)。このDy,Tb含有合金10gを本発明の方法を適用する試料とし、実施例5と同様の方法で熱処理したところ、(電解鉄粉へのDy付着量/試料からのDy蒸発量)×100の数式で算出されるDy吸着率は90%以上であり(試料からの気化はDyのみと仮定)、熱処理後の試料のTb濃度は90質量%以上であった(EDX分析による)。以上の結果から、本発明の方法によって、Dy,Tb含有合金から両者を効果的に分離することができたことがわかった。
参考例1:
DyTb合金箔体のかわりにDyFe合金鋳片を処理対象物として実施例1と同様の方法で熱処理を2時間行い、熱処理後の試料の質量を測定したところ、熱処理前から0.01gしか減少していなかった。この結果は、構成金属としてDyとFeを含む合金から両者を熱処理によって分離することは困難であることを意味するとともに、気化したDyに対するゲッターの材質としてFeが優れていることを意味する。
本発明は、溶媒抽出法を用いることなく、Dy,Tb含有合金から両者を分離する方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 構成金属としてDyとTbを含む合金から両者を分離する方法であって、合金におけるDyとTbの組成をDyTb(原子組成比)、熱処理温度をt(℃、以下同じ)とした場合、温度tにおけるDy単独の蒸気圧をPtDy(Pa)、温度tにおけるTb単独の蒸気圧をPtTb(Pa)として、式1:PtTb<Pt<PtDy×(x/(x+y))を満たす圧力Pt(Pa)の雰囲気下で合金を熱処理することで、Dyを気化させることによることを特徴とする方法。
  2. 熱処理温度tを900℃〜1500℃とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. x/(x+y)が0.1以下になるまで合金からDyを気化させることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 気化したDyを冷却手段によって固化させることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 気化したDyをゲッターに捕捉させることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. ゲッターの材質がFeであることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 合金に含まれるDyとTbが、それぞれR−Fe−B系永久磁石に由来するものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
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