JP6087186B2 - 高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム、高純度ネオジムからなるスパッタリングターゲット及び高純度ネオジムを成分とする希土類磁石 - Google Patents

高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム、高純度ネオジムからなるスパッタリングターゲット及び高純度ネオジムを成分とする希土類磁石 Download PDF

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Description

本発明は、高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム並びに高純度ネオジムからなるスパッタリングターゲット及び高純度ネオジムを成分とする希土類磁石に関する。
ネオジム(Nd)は希土類元素の中に含まれるものであるが、鉱物資源として混合複合酸化物として地殻に含有されている。希土類元素は比較的希(まれ)に存在する鉱物から分離されたので、このような名称がついたが、地殻全体からみると決して希少ではない。
ネオジムの原子番号は60、原子量144.2.9の銀白色の金属であり、常温で六方最密構造を備えている。融点は1020°C、沸点3100°C、密度6.80g/cmであり、空気中では表面が酸化され、水には徐々にとける。熱水、酸に可溶であり、延性、展性がある。抵抗率は64.0×10−6Ωcmである(理化学辞典参照)。
近年ネオジムを用いた希土類磁石の研究開発が活発に行われており(特許文献1〜3参照)、優れた磁気特性を有することから、自動車、家電、IT機器、産業機器、医療機器、エネルギー機器等幅広い分野への応用が期待されている。
ところで、次世代希土類磁石として、小型化、高性能化が要求されている。このような場合、ネオジム金属に含まれる不純物がその磁気特性に与える影響は小さくない。一般にネオジム金属は精製時に酸化し易いという問題があるため、高純度化が難しい材料であり、高純度製品は存在していなかった。また、ネオジム金属を空気中に放置した場合には短時間で酸化し変色するので、取り扱いが容易でないという問題があった。
希土類金属を精製する方法として、希土類金属のハロゲン化物をカルシウム又は水素化カルシウムにより還元するという技術が、20年ほど前に提案されている。この中に希土類の例示としてネオジムの記載があるが、スラグを分離する手段として、スラグ分離治具を使用するという程度の技術で、ネオジム金属元素の持つ問題点及び精製手段については殆ど開示がない(特許文献4参照)。
このようにネオジム金属については、まだ研究の段階にあると言える。このようなネオジム金属の特性を調べる場合において、ネオジム金属自体がスパッタリングターゲット材として存在すれば、基板上にネオジムの薄膜を形成することが可能であり、また、希土類磁石(Nd−Fe−B系磁石)の薄膜を形成して、高保磁力の希土類磁石の特性を調べることが容易となり、また製品としての自由度が増すという大きな利点を持つものである。
しかしながら、ネオジムスパッタリングターゲットを作製しても、上記の通り、空気中で短時間に(10分程度で)酸化してしまう。ターゲットに酸化膜が形成されると、磁気特性を劣化させるおそれがあり、また、スパッタリングの不良を招く。さらに、空気中に長時間放置しておくと、空気中の水分と反応して水酸化物の白い粉で覆われるという状態に至り、正常なスパッタリングができないという問題すら起こる。
このためターゲット作製後、すぐ真空パックするか又は油脂で覆い酸化防止策を講ずる必要があるが、これは著しく煩雑な作業である。このような問題から、ネオジム元素のターゲット材は、実用化に至っていないのが現状である。
また、ネオジムターゲットを用いてスパッタリングにより成膜する場合に問題となるのは、ターゲット表面上の突起物(ノジュール)の発生である。この突起物は異常放電を誘発し、突起物(ノジュール)の破裂等によるパーティクルの発生が生ずる。
パーティクル発生は、希土類磁石の磁気特性を劣化させる原因となる。ネオジムに含まれる炭素(グラファイト)が固形物であることから、特に問題であり、この炭素(グラファイト)は、導電性を有するため、検知が難しく、低減化が求められている。
さらに、ネオジムは上記のように、高純度化するのが難しい材料であるが、上記炭素(グラファイト)以外にも、Al、Fe、Cuの含有も磁気特性を厳密に制御するためには低減化が好ましい。また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、遷移金属元素、高融点金属元素、放射性元素も磁気特性に影響を与えるおそれがあるので低減化が望まれる。このようなことからネオジムの純度が4N5以上であることが望まれる。
しかし、ネオジム中に含有されるネオジム以外の希土類元素については除去するのが極めて難しいという問題がある。一般に、希土類元素については、その性質が類似していることから、多少の混入は問題とならないが、本発明においては、ネオジムを除く希土類元素も低減化できる方法を提供するものである。
また、ガス成分の多少の混入も大きな問題とならない。しかも、ガス成分は、一般に除去が難しいため、純度の表示には、このガス成分を除外するのが一般的である。
このように、ネオジムの特性、高純度ネオジムの製造、ネオジムターゲット中の不純物の挙動、等の問題は従来十分に知られていない。したがって、上記のような問題を早急に解決することが望まれている。
特開2000−331810号公報 特開平6−231921号公報 特開2005−51002号公報 特開昭63−11628号公報
本発明は、高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム、この高純度ネオジムを用いて作製したスパッタリングターゲット及び該スパッタリングターゲットを使用して成膜した希土類磁石薄膜を安定して提供できる技術を提供することを課題とする。
本願発明は、ガス成分を除く純度が4N以上であるフッ化ネオジムの原料を、蒸留カルシウムにより還元して純度4N以上のネオジムを作製し、このネオジムを、水冷銅ルツボを用いた誘導溶解(スカル溶解)を行ない、その後、室温まで徐冷することで、インゴットの内部に発生しやすい酸化物の偏析物をインゴットの底部に凝集させて、酸化物の偏析層をインゴットの上部から直胴部にかけて残留しないようにし、次に、このスカル溶解して得られたインゴットを切断してインゴット底部に存在する酸化物の偏析層を除去し、次に、このネオジムを電子ビーム溶解して揮発性物質を除去することにより、ガス成分を除き4N5以上の純度を有する高純度ネオジムの製造方法を提供する。
これによって、ガス成分を除いた純度が4N5以上であり、ネオジム中のアルミニウム(Al)及び鉄(Fe)が、それぞれ10wtppm以下であり、銅(Cu)が1wtppm以下であり、ネオジム以外の希土類元素の合計が100wtppm以下である高純度ネオジムを得ることができる。さらに、Cが100wtppm以下、Oが50wtppm以下である高純度ネオジムを提供する。
以上の高純度ネオジムは、新規な物質であり、本願発明はこれを包含するものである。希土類磁石として利用する場合、Nd−Fe−B系の膜とするが、このような膜を形成する場合には、膜形成の自由度を増すために純度の高いネオジム金属が必要となる。本願発明は、これに適合する材料を提供することができる。
ネオジムに含有される希土類元素には、ネオジム(Nd)以外に、Sc,Y,La,Ce,Pr,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luがあるが、特性が似ているために、Ndから分離精製することが難しい。特に、PrはNdと近似しているので、Prの低減化は容易ではない。
一般ある程度の希土類元素の含有は許容される。しかし、ネオジム元素の特性を活かすためには、ネオジム以外の希土類元素の含有量が100wtppm以下、さらには10wtppm以下であることが望ましいと言える。しかし、本願発明では、ガス成分を除いた純度を4N5以上とすることを中心的な課題とするものである。
本願発明のネオジムには、ガス成分として、C、N、O、S、Hが存在する。これらは単独の元素として存在する場合もあるが、化合物(CO、CO、SO等)又は構成元素との化合物の形態で存在することもある。これらのガス成分元素は原子量及び原子半径が小さいので、多量に含有されない限り、不純物として存在しても、材料の特性に大きく影響を与えることは少ない。したがって、純度表示をする場合には、ガス成分を除く純度とするのが普通である。この意味で、本願発明のネオジムの純度は、ガス成分を除くものとする。
しかし、多量のガス成分の存在は好ましくないので、後述するように、必要に応じて炭素、酸素、窒素、硫黄、水素等のガス成分の総量を500wtppm以下とする。
さらに、W、Mo、Taの総量が10wtppm未満である高純度ネオジムを提供する。これらは、磁気特性を低下させる不純物となるので、できるだけ低減させることが望ましい元素である。本願発明の前提となるのは、4N5以上の高純度ネオジムを製造することである。
本願発明は、上記の高純度ネオジムを用いて製造したスパッタリングターゲット、該スパッタリングターゲットを用いて成膜した希土類磁石を提供できる。
希土類磁石として利用する場合には、Nd、Fe、Bを必須成分とし、必要に応じて、Dy、Pr、Tb、Ho、Smなどの希土類元素や、Co、Cu、Cr、Niなどの遷移金属元素、Alなどの典型金属元素など、希土類磁石の成分組成として公知のものを添加することができる。本願発明は、これに適合する材料を提供することができ、本願発明の高純度ネオジムは、ターゲットの作製時において、他の物質との任意の組み合わせを包含するものである。
上記により得た高純度ネオジムは、ガス成分を大きく低減することができ、炭素、酸素、窒素、硫黄、水素等のガス成分の総量を500wtppm以下とすることが可能である。さらに、このインゴットを、電子ビーム溶解することで、Ca還元の際に残留した数〜数十ppmのCaを除去することができる。
このようにして製造したインゴットは、さらに所定サイズに裁断し、研磨工程を経てスパッタリングターゲットにすることができる。これによって、ガス成分を除いた純度が4N5以上であり、残留不純物として、Cが100wtppm以下、Oが50wtppm以下、アルミニウム(Al)、及び鉄(Fe)がそれぞれ10wtppm以下であり、銅(Cu)が、1wtppm以下であり、ネオジム以外の希土類元素の合計が100wtppm以下である高純度ネオジムターゲットを製造することができる。
さらに、上記のターゲットを使用して、スパッタリングすることにより、希土類磁石(Nd−Fe−B系磁石)の薄膜を得ることができる。これらのスパッタリングターゲット、及び希土類磁石、さらにこれらを用いた磁気デバイスは、いずれも新規な物質であり、本願発明はこれを包含するものである。
本発明は、高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム、この高純度ネオジムを用いて作製したスパッタリングターゲット及び該スパッタリングターゲットを使用して成膜した希土類磁石膜並びに該希土類磁石膜を備える磁気デバイスを安定して提供できるという優れた効果を有する。
本発明は、高純度化用のネオジム原料として、ガス成分を除く純度で、純度4N以上のフッ化ネオジムの原料を使用することができる。これらの原料は、主な不純物として、Na、Ca、Mg、Al、Si、Fe、Cr、Mn、La、Ce、Pr、Sm、ガス成分(N、O、C、H)等が含有されている。
ネオジムに含まれるアルミニウム(Al)、鉄(Fe)及び銅(Cu)は、希土類磁石の成分として用いられることがあるため、これらの不純物を多く含有すると、磁気特性に影響する組成変動の原因となることもあり、所望の磁気特性が得られないことがある。また、ネオジムに含まれる鉄(Fe)は酸化しやすいためターゲットとして用いた場合のスパッタ不良の原因となる、さらに、ターゲット中で酸化していなくてもスパッタされた後に酸化すると、体積が膨張するため磁気特性劣化の原因となることがあるので、これを低減する必要がある。
また、ネオジム原料として、フッ化ネオジムを用いてカルシウム還元するが、この還元材となるカルシウムに、Fe、Al、Cuが不純物として混入しているので、カルシウム還元材からの不純物が混入する可能性がある。このため、Cuが1ppm未満(なお、この量は、通常の検出下限である。)である蒸留カルシウムを使用して還元することが望ましい。表1に、市販Caと蒸留Caの分析値の対比を示す。ここで、蒸留Caとは、市販Caを真空雰囲気中で1回以上、蒸留精製したものを意味する。この表1の市販Caでは、Cuが95wtppmと高く、この市販Caを使用した場合には、Cuの混入のリスクが高くなる。
(カルシウム還元)
還元の際に使用する溶解るつぼは、タンタル(Ta)製るつぼを使用する。このタンタル製るつぼ内に、粉状のNdFと塊状Caを混合して投入する。通常、還元材であるCaは、計算量よりも10%程度過剰に添加する。
還元装置内に配置したタンタル製るつぼ内の充填物を、ゆっくりと600°Cまで加熱し、この間還元装置内を真空に引き、充填物の脱ガスを行う。その後、精製したアルゴンガスを送入して0.5気圧とする。
さらに加熱を行うが、充填物は900°C〜1100°Cに加熱すると、反応が開始される。反応式は、2NdF+3Ca→2Nd+3CaFである。この反応は発熱反応なので、迅速に完了する。この精製した金属NdとCaFを主成分とするスラグの分離を良くするためには、Nd金属の融点よりも50°C程度高い温度に数分間保持することで良い。
金属Ndの収率は97%程度に達する。主な不純物は、未反応の還元材とスラグである。なお、るつぼ材であるTaが不純物として混入する可能性があるので、還元反応はできるだけ低い温度で実施するのが望ましい。このようにして金属Ndを得る。
(スカル溶解、徐冷、機械加工)
ところで、このように得られたネオジム金属は残留するCaの他、ガス成分である酸素含有量が高いという問題がある。酸素は、希土類磁石とした際に、磁気特性を低下させるだけでなく、スパッタリングの際においても、アーキング等のスパッタ異常を引き起こし、均一な膜の形成を阻害する要因となるため、極力低下することが望ましい。
本願発明は、特に、水冷銅ルツボを用いた誘導溶解(スカル溶解)において、これを徐冷するとネオジムの溶湯の中で浮遊する酸素のほとんどが酸化物として、次第に炉の底部に滞留するようになり、ネオジムインゴット内部の酸素濃度を著しく低下できるという点が重要である。
スカル溶解は、使用する炉のサイズに合わせて0.5〜10kg毎に原料となる金属Ndを充填し、1Pa以下の真空雰囲気中の条件で行う。炉に取り付けられた覗き窓から原料が解け落ちたことを確認し、一定時間保持した後、徐々に出力を下げ、徐冷を行う。
徐冷の時間は、スカル溶解炉の容量によって異なるので一義的に決定することはできないが、実際に溶解した徐冷の時間とネオジムインゴットの酸素濃度を測定することで、その相関関係が分かるので、経験的に決定することができる。上述の通り、本願発明においては、徐冷という概念を導入し、これが酸素濃度の低下につながるという知見が特に重要である。徐冷は例えば出力を30分かけて、段階的に落す方法で行うことができる。
そして、スカル溶解して得られたインゴットにおいて、酸化物が偏析しているインゴットの底部(酸化物偏析層)を切断によって除去することで、インゴットに含有する酸素濃度を著しく低減することができる。このとき、酸化されやすいYやSc、また、酸化物の比重が大きいErなどのネオジム以外の希土類元素を除去することができる。
なお、酸化物偏析層は、スカル溶解インゴットを切断し、切断面を目視で観察することで容易に確認することができる。
(電子ビーム溶解)
上記に得られたネオジムの電子ビーム溶解に際しては、電子ビームを炉中のネオジム溶解原料に広範囲に照射することにより行う。この電子ビーム溶解は、数回(2〜4)繰り返すことができる。このように電子ビーム溶解を溶解原料に広範囲に繰り返し行うことにより、Ca、Mg,Mn,Pb等の高蒸気圧成分元素の除去性がより向上する。
出力を増加させると、残留酸素がCと反応し、ネオジムに混入するカーボンをCO又はCOガスとして除去がより向上する効果がある。また、W、Mo、Taは、磁気特性を低下させる原因となるので、磁気デバイスとして使用する場合には、これらの総量を10wtppm未満とする。
上記の通り、一般に高純度ネオジムの純度から希土類元素を除外する、すなわち高純度ネオジムに希土類元素の含有が許容されるのは、高純度ネオジムの製造の際に、他の希土類自体がネオジムと化学的特性が似ているために、除去することが技術的に非常に難しいということがあり、さらにこの特性の近似性から不純物として混入しても、特性の大きな変異が確認されていないという事実に基づくものである。
このような事情から、ある程度、他の希土類の混入は黙認されるが、ネオジム自体の特性を向上させようとする場合は、少ないことが望ましいことは、言うまでもない。本願発明では、ネオジム以外の希土類元素の合計を100wtppm以下とすることが出来る。これは、本願発明の著しい特徴の一つである。
また、ガス成分を除いた純度を4N5以上とするのは、ガス成分は除去が難しく、これをカウントすると、純度の向上の目安とならないからである。また、一般に他の不純物元素に比べ多少の存在は無害である場合が多いからである。
希土類磁石の薄膜を形成する場合、スパッタリング法は、薄膜の形成手段として優れた方法である。したがって、上記のネオジムインゴットを用いて、高純度ネオジムスパッタリングターゲットを製造することは有効である。
ターゲットの製造は、鍛造・圧延・切削・仕上げ加工(研磨)等の通常の加工により製造することができる。特に、その製造工程に制限はなく、任意に選択することができる。
以上から、ガス成分を除いた純度が4N5以上であり、Cが100wtppm以下、Oが50wtppm以下、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)がそれぞれ10wtppm以下であり、銅(Cu)が1wtppm以下であり、およびネオジム以外の希土類元素の合計が100wtppm以下、さらにW,Mo,Ta(ルツボ材)についても総量が10wtppmより少ない含有量である高純度ネオジムを得ることができる。
ターゲットの製作に際しては、上記高純度ネオジムインゴットを所定サイズに切断し、これを切削及び研磨して作製する。
さらに、この高純度ターゲットを用いてスパッタリングすることにより高純度ネオジム
を基板上に成膜することができる。これによって、ガス成分を除いた純度が4N5以上であり、Cが100wtppm以下、Oが50wtppm以下、アルミニウム(Al)、及び鉄(Fe)がそれぞれ10wtppm以下であり、銅(Cu)が1wtppm以下であり、およびネオジム以外の希土類元素の合計を100wtppm以下である高純度ネオジムを成分とするネオジム薄膜を基板上に形成できる。基板上の膜はターゲットの組成が反映され、高純度のネオジム膜を形成できる。
希土類磁石としての使用は、上記高純度ネオジムそのものとして使用することができるが、他の磁石材料との混合物又は合金若しくは化合物としても形成可能である。
この場合には、本発明によって製造されたネオジムターゲット材と他の磁石材料ターゲットとの同時スパッタ、又は、本発明のネオジムと他の磁石材料からなるモザイクターゲットを使用してスパッタすることにより達成できる。本願発明はこれらを包含するものである。不純物の含有量は、原材料に含まれる不純物量によって変動するが、上記の方法を採用することにより、それぞれの不純物を上記数値の範囲に調節が可能である。
本願発明は、上記によって得られた高純度ネオジム、高純度ネオジムからなるスパッタリングターゲット及び高純度ネオジムを主成分とする希土類磁石用薄膜を効率的かつ安定して提供できる技術を提供するものである。
次に、実施例について説明する。なお、この実施例は理解を容易にするためのものであり、本発明を制限するものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内における、他の実施例及び変形は、本発明に含まれるものである。
(実施例1)
処理するネオジムの原料として、純度4Nのフッ化ネオジムの原料を用いた。金属ネオジムは、最近注目されている材料であるが、金属ネオジムの市販品は純度が低く、かつ品位が一定しないという問題がある。
一方、フッ化ネオジムについては、市販品でも高純度の材料を得ることが可能である。しかし、このフッ化ネオジムそのままでは使用できないので、この純度4Nのフッ化ネオジム原料を使用し、効率的にかつ安定して高純度の金属ネオジムを製造することが、必要かつ重要となる。
フッ化ネオジム原料の分析値を表2に示す。この中で、多く含まれる不純物としては、次の元素が挙げることができる。Na:2.2wtppm、Al:2.5wtppm、Si:7.5wtppm、Cl:100wtppm、Cu:<1wtppm、Zn:<0.5wtppm、C:160wtppm、N:440wtppm、O:9.1wt%、H:1.1wt%であり、多くのガス成分を含有する。
一方、希土類元素については、Ce:8.6wtppm、Pr:40wtppm、Sm:5.5wtppmなどであり、これらの不純物も比較的少ない。このように希土類元素が比較的低い原料を用いることが、希土類(但しネオジムを除く)を含めて、純度4N5とすることに有効である。
(原料のカルシウム還元)
還元の際に使用する溶解るつぼは、タンタル(Ta)製るつぼを使用した。このタンタル製るつぼ内に、粉状のNdF:14.0kgと塊状Ca:4.6kgを混合して投入した。還元材であるCaは、表1に示す分析値の蒸留Caを使用し、計算量よりも10%程度、過剰に添加した。
還元装置内に配置したタンタル製るつぼ内の充填物をゆっくりと600°Cまで加熱し、この間、還元装置内を真空に引きながら、充填物の脱ガスを行った。その後、精製したアルゴンガスを送入して0.5気圧とした。
さらに加熱温度を上昇させた。充填物は900℃〜1100℃に加熱すると、反応を開始した。反応式は、2NdF+3Ca→2Nd+3CaFである。この反応は発熱反応であり迅速に完了した。精製金属とスラグの分離を良くするためには、Nd金属の融点よりも50℃程度高い温度に保持した。なお、Ndの融点は1020℃なので、+50℃、すなわち1070℃になるように加熱温度を調節した。このようにして金属Ndを得る。
金属Ndの分析値を表3に示す。この表3に示すように、Al:2.7wtppm、Si:8.1wtppm、Ca:0.8wtppm、Fe:5.3wtppm、Cu:<0.05wtppm、Mo:<0.05wtppm、Ta:<5wtppm、W:<0.1wtppm、C:110wtppm、N:100wtppm、O:440wtppm、S:<10wtppm、H:10wtppmとなった。
Ca還元による結果ではあるが、Caが多く、また酸素(O)含有量も高かった。
(スカル溶解、徐冷、機械加工)
スカル溶解には、φ80mmの水冷銅製坩堝を使用した。そして、出力50kWで前述のカルシウム還元したネオジム金属を溶解した。次に、覗き窓からネオジムの全量が溶解したことを確認し、溶解後に30分保持した後、段階的に出力を落とし、最終的に出力をOFFとした。なお、この徐冷については、使用する装置の規模等によって、細かく調整することが可能である。これにより、インゴットの底部に酸化物を偏析させることができ、そして、この酸化物偏析層を機械加工(切断)により除去することにより、インゴットにおける酸素濃度を低減することができる。
(電子ビーム溶解)
次に、上記のスカル溶解した後のインゴット底部の酸化物偏析層を切断除去して得られたネオジムを電子ビーム溶解した。電子ビーム(EB)溶解は、低出力の電子ビームを炉中の該ネオジム原料に広範囲に照射することにより行う。EB溶解時間は、30分である。これによってEB溶解インゴットを作成した。EB溶解時に、揮発性の高い成分元素は揮散除去された。
以上によって、高純度ネオジムを製造することができた。この電子ビーム溶解後の高純度ネオジムの分析値を表4に示す。この表4に示すように、Al:2.2wtppm、Si:6.5wtppm、Ca:<0.01wtppm、Fe:4.5wtppm、Cu<0.05wtppm、Zn<0.05wtppm、Mo<0.05wtppm、Ta<5wtppm、W:<0.1wtppm、C:80wtppm、N:100wtppm、O:40wtppm、S<10wtppm、H:<10wtppmであり、高純度フッ化ネオジムを使用することにより、さらにこの純度を向上させ、いずれも本願発明の条件を満たしていた。
また、カルシウム還元した際に低減ができなかった残留したCaも、大きく低減が可能となった。本実施例においては、原料の選定において、ネオジム以外の希土類元素が100wtppm以下の高純度フッ化ネオジムを使用したので、電子ビーム溶解後のネオジムも、同様に100wtppm以下とすることが可能となった。
このようにして得たネオジムインゴットを必要に応じてホットプレスを行い、さらに機械加工(鍛造・圧延・切削)し、研磨してφ140mm×6mmtの円盤状ターゲットとした。このターゲットの重量は330gであった。これをさらにバッキングプレートに接合して、スパッタリング用ターゲットとする。これによって、上記成分組成の高純度ネオジムスパッタリング用ターゲットを得ることができた。なお、このターゲットは、酸化性が高いので、真空パックして保存又は運搬することが好ましいと言える。
(比較例1)
ネオジムの原料として、前記表5に示す純度が2N5〜3Nレベルの市販品を用いた。比較例1で使用した市販品のネオジムは、50mm角×30mmtの板状物からなる。1枚の重量は、500〜600gであり、これを3枚、合計で1.7kgの原料を使用した。
この表5に示す主な不純物を挙げると、Li:51wtppm、Na:1.5wtppm、Mg:5.9wtppm、Al:63wtppm、Si:92wtppm、Ti:29wtppm、Cr:32wtppm、Mn:11wtppm、Fe:0.25wt%、Cu:11wtppm、Zn:0.65wtppm、C:390wtppm、N:<10wtppm、O:74wtppm、S:24wtppm、H:<10wtppmであった。
次に、実施例と同様な条件でEB溶解した。EB溶解時に、揮発性の高い成分元素は揮散除去された。
以上によって、高純度ネオジムインゴット1.7kgを製造することができた。このようにして得た高純度ネオジムの分析値を表6に示す。
表6に示すように、電子ビーム溶解後のネオジム中の不純物元素の主なものは、次の通りである。Li:<0.005wtppm、Na:<0.05wtppm、Mg:<0.05wtppm、Al:82wtppm、Si:77wtppm、Ti:33wtppm、Cr:25wtppm、Mn:0.45wtppm、Fe:0.28wt%、Cu:31wtppm、Zn:<0.05wtppm、C:440wtppm、N:120wtppm、O:130wtppm、S:33wtppm、H:20wtppmであった。
以上から明らかなように、Al、Feの低減化はできず、またガス成分の低減化も十分でなかった。全体的に、前記実施例に比べて不純物量は多く、本願発明の目的を達成することができなかった。
本発明によって得られる高純度ネオジム、高純度ネオジムから作製されたスパッタリングターゲット及び高純度ネオジムを成分とする希土類磁石用薄膜は、特に磁性デバイスとして良好な磁気特性を示し、希土類磁石用薄膜等の材料として有用である。

Claims (11)

  1. ガス成分を除く純度が4N以上であるフッ化ネオジムの原料を蒸留カルシウムにより還元して純度4N以上のネオジムを作製し、この還元したネオジムをスカル溶解した後、徐冷してインゴットを作製し、次にこの得られたスカルインゴットを切断してインゴットの底部に存在する酸化物の偏析層を除去し、次にこれを電子ビーム溶解して揮発性物質を除去することを特徴とする、Cが200wtppm以下、Oが50wtppm以下、Al、Feがそれぞれ10wtppm以下、Cuが1wtppm以下、ガス成分を除き4N5以上の純度を有する高純度ネオジムの製造方法。
  2. 高純度ネオジムの製造方法であって、W、Mo、Taの総量を10wtppm未満とすることを特徴とする請求項1記載の高純度ネオジムの製造方法。
  3. 高純度ネオジムの製造方法であって、ネオジム以外の希土類元素を、総量で100wtppm以下とすることを特徴とする請求項1又は2記載の高純度ネオジムの製造方法。
  4. 高純度ネオジムの製造方法であって、ガス成分を、総量で500wtppm以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高純度ネオジムの製造方法。
  5. 高純度ネオジムであって、ガス成分を除いた純度が4N5以上であり、Cが100wtppm以下、Oが50wtppm以下、Al、Feがそれぞれ10wtppm以下、Cuが1wtppm以下であることを特徴とする高純度ネオジム。
  6. 高純度ネオジムであって、W、Mo、Taの総量が10wtppm未満であることを特徴とする請求項5記載の高純度ネオジム。
  7. 高純度ネオジムであって、ネオジム以外の希土類元素を、総量で100wtppm以下とすることを特徴とする請求項5又は6に記載の高純度ネオジム。
  8. 高純度ネオジムであって、ガス成分が、総量で500wtppm以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の高純度ネオジム。
  9. 請求項5〜8のいずれか一項に記載の高純度ネオジムを用いて作製したスパッタリングターゲット。
  10. 請求項9のスパッタリングターゲットを用いて成膜した希土類磁石薄膜。
  11. 請求項10記載の希土類磁石薄膜を備えた磁気デバイス。
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