JP2018111867A - 高純度セリウム - Google Patents

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雅博 高畑
Masahiro Takahata
雅博 高畑
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Abstract

【課題】次世代のMOSFETにおけるゲート絶縁膜を製造するためのスパッタリングターゲット材に好適な高純度セリウム及び、前記高純度セリウムを安定に製造する技術の提供。
【解決手段】ガス成分を除く純度が4N以上であるフッ化セリウムの原料をCuが2ppm未満である蒸留カルシウムにより還元して純度4N以上のセリウムを作製し、この還元したセリウムを電子ビーム溶解して揮発性物質を除去することにより得られる、ガス成分を除いた純度が4N5以上である高純度セリウム。Al、Fe、Cuが夫々10wtppm以下であり、W、Mo、Taの総量が100wtppm以下であり、セリウム以外の希土類元素が総量で10wtppm以下であることが、好ましい、高純度セリウム。更に好ましくは、ガス成分が総量で1000wtppm以下であり、Cが200wtppm以下である、高純度セリウム。
【選択図】なし

Description

本発明は、高純度セリウムに関する。
次世代のMOSFETにおけるゲート絶縁膜として薄膜化が要求されている。そして、これまでゲート絶縁膜として使用されてきたSiO2では、トンネル効果によるリーク電流が増加し、正常動作が難しくなってきた。このため、SiO2に変わる材料として、高い誘電率、高い熱的安定性、シリコン中の正孔と電子に対して高いエネルギー障壁を有するHfO2、ZrO2、Al23、Ce23が提案されている。これらの材料の中でも、Ce23の評価が高い。
このような材料としての検討のために、高純度セリウム金属のスパッタリングターゲット材が求められるようになっている。高純度セリウム金属のスパッタリングターゲット材が使用できれば、基板上にセリウムの薄膜を形成することが可能である。また、シリコン基板との界面の挙動を検討し、さらにセリウム化合物を形成し、高誘電率ゲート絶縁膜等の特性を検討して、最適な製品を製造することができる。
セリウム金属は精製時に酸化し易いという問題があるため、高純度化が難しい材料であり、高純度セリウム金属そのものが検討の対象であると言える状態であり、高純度製品は存在していなかった。
希土類金属を精製する方法として、希土類金属のハロゲン化物をカルシウム又は水素化カルシウムにより還元するという技術が、20年ほど前に提案されている。この中に希土類の例示としてセリウムの記載もあるが、スラグを分離する手段として、スラグ分離治具を使用するという程度の技術で、セリウム金属元素の持つ問題点及び精製手段については殆ど開示がない(特許文献1参照)。
高純度セリウムにおいては、炭素(グラファイト)、Al、Fe、Cuの含有について、低減化が望まれる。また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、遷移金属元素、高融点金属元素、放射性元素も半導体の特性に影響を与えるので低減化が望まれる。このようなことから高純度のセリウムは、その純度が4N以上であることが望まれる。
なお、その後の処理を考慮すれば、ガス成分(C、N、O、S、H)の多少の混入は大きな問題とならない。加えて、ガス成分は、一般に除去が難しいため、純度の表示には、このガス成分を除外した純度として表記することが通常である。
特開昭63−11628号公報
このように、高純度セリウム、この高純度セリウムを用いて作製したスパッタリングターゲット及び該スパッタリングターゲットを使用して成膜したメタルゲート膜並びに該メタルゲート膜を備える半導体素子及びデバイスを、安定して提供できる技術が求められていた。
したがって、本発明の目的は、高純度セリウムを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、ガス成分を除く純度が4N以上であるフッ化セリウムの原料を、蒸留カルシウムにより還元して純度4N以上のセリウムを作製し、この還元したセリウムを電子ビーム溶解して揮発性物質を除去することにより、ガス成分を除き、4N5以上の純度を有する高純度セリウムを製造できることを見いだした。
したがって、本発明は、次の(1)以下を含む。
(1)
ガス成分を除いた純度が4N5以上である、高純度セリウム。
(2)
Al、Fe、Cuがそれぞれ10wtppm以下である、(1)に記載の高純度セリウム。
(3)
W、Mo、Taの総量が100wtppm以下である、(1)又は(2)に記載の高純度セリウム。
(4)
セリウム以外の希土類元素が、総量で10wtppm以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の高純度セリウム。
(5)
ガス成分が、総量で1000wtppm以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の高純度セリウム。
(6)
Cが、200wtppm以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の高純度セリウム。
(7)
(1)〜(6)のいずれかに記載の高純度セリウムからなるスパッタリングターゲット。
(8)
(7)のスパッタリングターゲットによって成膜されてなる膜。
(9)
(8)に記載の膜を備えた半導体素子及びデバイス。
本発明によれば、高純度セリウムを提供することができる。さらに、この高純度セリウムを用いて作製したスパッタリングターゲット及び該スパッタリングターゲットを使用して成膜したメタルゲート膜並びに該メタルゲート膜を備える半導体素子及びデバイスを、安定して提供できる。
[高純度セリウム]
本発明の高純度セリウムは、ガス成分を除いた純度が4N5以上であり、Al、Fe、Cuがそれぞれ10wtppm以下である。好適な実施の態様において、ガス成分であるCが200wtppm以下である。尚、ここでいう純度が4N5以上とは、表1−1及び表1−2(ただし、表1−2は表1−1の続きである)に示す各元素のうち、セリウム及び、ガス成分元素であるC、N、O、S、Hを除く72種をGDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry)法(V.G.Scientific社製 VG−9000)によって分析し、検出下限値であっても存在するものとして、合計した値を不純物の合計値とし、総量から差し引いて求めたセリウムの割合が99.995質量%以上ということである。ガス成分とは、後述する通りである。
[Al、Fe、Cu]
好適な実施の態様において、高純度セリウムにおいて、Al、Fe、Cuの元素の含有量をそれぞれ以下の値以下、あるいはそれぞれの値未満とすることができる:Al:10wtppm、好ましくは1wtppm、好ましくは0.3wtppm、好ましくは0.28wtppm;Fe:10wtppm、好ましくは5wtppm、好ましくは1wtppm、好ましくは0.6wtppm、好ましくは0.55wtppm;Cu:10wtppm、好ましくは1wtppm、好ましくは0.5wtppm、好ましくは0.1wtppm、好ましくは0.06wtppm、好ましくは0.05wtppm。
[W、Mo、Ta]
好適な実施の態様において、高純度セリウムは、W、Mo、Taの総量が100wtppm以下、好ましくは5〜100wtppmの範囲である。W、Mo、Taのメタルゲート膜への混入は、FETのゲートにおけるリーク電流の増加を引き起こし、耐圧低下の原因となる。すなわち、W、Mo、Taは、電子部品材料として使用する場合には、半導体特性を低下させる不純物となるので、低減させることが望ましく、例えばこれらの総量を100wtppm以下とすることが好ましい。好適な実施の態様において、それぞれの元素の含有量をそれぞれ以下の値以下、あるいはそれぞれの値未満とすることができる:W:0.5wtppm、好ましくは0.2wtppm、好ましくは0.1wtppm;Mo:0.1wtppm、好ましくは0.06wtppm、好ましくは0.05wtppm;Ta:10wtppm、好ましくは6wtppm、好ましくは5wtppm。
[セリウム以外の希土類元素]
好適な実施の態様において、高純度セリウムは、セリウム以外の希土類元素の含有量が、総量で10wtppm以下である。セリウムに含有される希土類元素には、セリウム(Ce)以外に、Sc、Y、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luがあるが、特性が似ているために、Ceから分離精製することが難しい。一般に、ある程度の希土類元素の含有は許容される。しかし、セリウム元素の特性を活かすためには、セリウム以外の希土類元素の含有量が100wtppm以下、好ましくは10wtppm以下であることが望ましい。
好適な実施の態様において、セリウム以外の希土類元素について、それぞれの元素の含有量をそれぞれ以下の値以下、あるいはそれぞれの値未満とすることができる:Sc:0.05wtppm、好ましくは0.01wtppm、好ましくは0.005wtppm;Y:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;La:10wtppm、好ましくは5wtppm、好ましくは2wtppm、好ましくは1.8wtppm;Pr:1wtppm、好ましくは0.1wtppm;Nd:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Sm:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Eu:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Gd:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Tb:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Dy:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Ho:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Er:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Tm:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Yb:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm;Lu:0.1wtppm、好ましくは0.05wtppm。
[ガス成分]
好適な実施の態様において、高純度セリウムは、ガス成分が、総量で1000wtppm以下、好ましくは500wtppm以下、好ましくは200wtppm以下、好ましくは134wtppm以下とすることができる。ガス成分として、C、N、O、S、Hが存在する。これらは単独の元素として存在する場合もあるが、化合物(CO、CO2、SO2等)又は構成元素との化合物の形態で存在することもある。これらのガス成分元素は原子量及び原子半径が小さいので、多量に含有されない限り、不純物として存在しても、材料の特性に大きく影響を与えることは少ない。したがって、純度表示をする場合には、ガス成分を除く純度とするのが普通である。この意味で、本願発明のセリウムの純度は、特に記載のない限り、ガス成分を除くものである。ただし、多量のガス成分の存在は好ましくないので、後述するように、必要に応じて炭素、酸素、窒素、硫黄、水素等の、ガス成分の総量を1000wtppm以下とする。
[高純度セリウムの純度表記]
本発明の高純度セリウムは、ガス成分を除いた純度が4N5以上であり、これは上述した算出によるセリウムの割合が99.995質量%以上ということである。市販の高純度セリウムの純度の表記は、この本願の表記とは異なっていることが通常である。例えば、ある市販品において、メーカーの純度表示が3N5と記載されているものであっても、これはガス成分を除いた純度が3N5であることを意味するものではなく、ガス成分を除いていることは変わらないが、すべての希土類元素の合計、すなわちSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの合計(Total Rare Earth、TREと略す)のうちのCeの割合を指して3N5と称しており、AlやFeなどの希土類以外の金属元素の混入量は、総重量中のTREの重量割合で表されている。この市販品の場合は、Ceが3N5(99.95%)と表記されていても、全重量中のTREが99.6%であることから、ガス成分を除いた純度として表記した場合、すなわち、本発明と同様に表記した場合には、2N6の純度となる(99.6%×99.95%)。本発明においては、このような従来の慣行とは異なり、セリウム以外の希土類の含有量を除くことなく、ガス成分を除いた純度として表記している。
特に好適な実施の態様において、本発明に係る高純度セリウムは、セリウム以外の各元素の含有量(wtppm)として、表1−1及び表1−2に「金属CeEB後」として表示した各元素の含有量の数値以下の含有量(wtppm)である、高純度セリウムとすることができる。表1−1及び表1−2に「金属CeEB後」として表示した各元素の含有量の数値が、測定下限未満として示されている元素については、その元素の含有量(wtppm)がその数値未満の値である、高純度セリウムとすることができる。
[スパッタリングターゲット材]
本発明による高純度セリウムを用いて、不純物の低減されたスパッタリングターゲットを製造することができる。このスパッタリングターゲットを用いて成膜した膜、特にメタルゲート膜は、半導体素子及びデバイスにおいて、好適に使用できる。メタルゲート膜としての使用は、上記高純度セリウムの組成そのものとして使用することができるが、他のゲート材と混合又は合金若しくは化合物としても形成可能である。この場合は、他のゲート材のターゲットとの同時スパッタ又はモザイクターゲットを使用してスパッタしてもよい。MOSFETにおけるゲート絶縁膜として利用する場合には、主としてCeOx膜が好適である。本発明による高純度セリウムは、このような膜を形成する場合において、任意の膜を形成するという、膜形成の自由度を増すものである。
[高純度セリウムの製造]
本発明の高純度セリウムは、実施例に開示の方法によって製造することができる。すなわち、出発材料として、ガス成分を除く純度が4N以上である市販のフッ化セリウムの原料を用いて、これを蒸留カルシウムにより還元して純度4N以上のセリウムを作製し、この還元したセリウムを電子ビーム溶解し、残存した還元材のカルシウム分を主とする揮発性物質を除去することによって、4N5以上の純度を有する高純度セリウムを得ることができる。電子ビーム溶解は、蒸気圧が高い元素について含有量を低減する手段とされるが、全ての元素を一律にどのような条件下でも低減できるわけではない。本願では高純度フッ化セリウム+高純度カルシウムで比較的に高純度の金属セリウムを作成して、残存したカルシウムとカルシウム起因で混入する可能性の高いNa、Mg、Mn等の蒸気圧の高い元素の含有量を電子ビーム溶解で下げるという着想に基づいて、4N5以上の高純度セリウムを実現した。
[原料フッ化セリウム]
出発材料としては、ガス成分を除く純度が4N以上のフッ化セリウムを使用する。このフッ化セリウムをカルシウム還元する。単体金属の高純度セリウムは、市販されていないが、フッ化セリウムについては、高純度の材料が市販されている。しかし、このフッ化セリウムは、セリウムの単体金属ではないので単体金属でなければ使用できない用途には使用できない。そして、従来の技術では、このフッ化セリウムを出発材料として、単体金属である高純度セリウムを、製造することができなかった。
[蒸留カルシウム]
還元材となるカルシウムには、一般にFe、Al、Cuが不純物として混入している。そこで、カルシウム還元材からの不純物の混入を回避するために、好適にはCuが2ppm未満(なお、この量は、通常の検出下限である。)である蒸留カルシウムを使用して還元する。表1−1及び表1−2に、市販Caと蒸留Caの分析値の対比を示す。この表1−1及び表1−2の市販Caでは、Cuが210wtppmと高く、この市販Caを使用した場合には、Cuの混入のリスクが高い。なお、ガス成分元素である炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、水素(H)及び硫黄(S)を除き、表1−1及び表1−2に記載の各元素濃度の分析値はGDMS(Glow Discharge Mass Spectrometry)法(V.G.Scientific社製 VG−9000)によって分析し、また、ガス成分元素の分析には酸素(O)、窒素(N)及び水素(H)についてLECO社製の酸素窒素分析装置(型式TCH−600)を、炭素(C)及び硫黄(S)についてLECO社製の炭素硫黄分析装置(型式CS−444)を使用した。
[カルシウム還元]
カルシウム還元において、溶解るつぼとして、好適にはタンタル(Ta)製るつぼを使用する。このタンタル製るつぼ内に、粉状のCeF3と塊状Caを混合して投入する。通常、還元材であるCaは、計算量よりも10%程度過剰に添加する。
還元装置内に配置したタンタル製るつぼ内の充填物を、常温からゆっくりと、例えば約2時間をかけて、600℃まで加熱し、この間還元装置内を真空に引き、充填物の脱ガスを行う。その後、精製したアルゴンガスを送入して0.5気圧とする。
さらに加熱を行うが、充填物は700℃〜900℃に加熱すると、反応が開始される。反応式は、CeF3+Ca→Ce+CaFである。この反応は発熱反応なので、迅速に完了する。精製金属とスラグの分離を良くするためには、Ce金属の融点よりも50℃程度高い温度に数分間保持することで良い。
この還元の操作において、金属Ceの収率は97%程度に達する。主な不純物は、未反応の還元材とスラグである。なお、るつぼ材であるTaが不純物として混入する可能性があるので、還元反応はできるだけ低い温度で実施するのが望ましい。このようにして、カルシウム還元によって、金属Ceを得る。
[電子ビーム溶解]
カルシウム還元によって得られた金属Ceを電子ビーム溶解する。通常、電子ビームの溶解出力を9kW〜32kWで行う。この電子ビーム溶解は、数回(例えば2〜4回)繰り返すことができる。電子ビーム溶解は、出力80kWのEB溶解炉を用い、真空度1.0×10-5〜1.0×10-3mbar程度の範囲、溶解出力25kWで溶解し、鋳造速度13kg/hでインゴットを作製する。EB溶解時に、揮発性の高い物質は揮散除去される。電子ビーム溶解の回数を増やすと、Ca、Mg、Mn、Pb等の高蒸気圧元素の除去がより向上する。さらに炭素、酸素、窒素、硫黄、水素等のガス成分も低減でき、総量で1000wtppm以下とすることができる。
電子ビームの溶解出力を増加させると、残留酸素がCと反応し、セリウムに混入するカーボンをCO又はCO2ガスとして除去がより向上する効果がある。ただし、出力を上げすぎると、炉中のCeと触れる部分が水冷Cu製であるため、Cuの汚染の可能性があるので、一定レベルに留める。
[ターゲット材の作製]
本発明の高純度セリウムのインゴットを、鍛造・圧延・切削・仕上げ加工(研磨)等の、通常の加工を行うことによって、ターゲット材を作製することができる。高純度Ceをそのままターゲット材とすることもでき、あるいは、所望により、他の成分(元素、化合物)との組み合わせを行ってもよい。
以下に、実施例を用いて本発明を説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明の技術思想の範囲内における、他の実施例及び変形は、本発明に含まれる。
[実施例1]
処理するセリウムの原料として、市販の純度4Nのフッ化セリウムの原料を用いた。
フッ化セリウム原料の分析値(CeF3)を「CeF3」として表1−1及び表1−2に示す。この中で、多く含まれる不純物としては、次の元素が挙げることができる。Na:13wtppm、Al:0.48wtppm、Si:0.85wtppm、Cl:4.5wtppm、K:3.2wtppm、Ca:2.6wtppm、C:900wtppm、N:49wtppm、O:1900wtppm、H:400wtppmであり、多くのガス成分を含有する。
一方、希土類元素については、La:1.1wtppm、Pr:0.4wtppm、Nd:<0.1wtppm、Sm:<0.1wtppmなどであり、不純物は多くない。このように希土類元素が低い原料を用いた場合には、希土類(但しセリウムを除く)を含めて純度4N5とすることができる。
[原料のカルシウム還元]
還元の際に使用する溶解るつぼは、φ250mm×H400mmのタンタル(Ta)製るつぼを使用した。このタンタル製るつぼ内に、粉状のCeF3:17.7kgと塊状Ca:6kgを混合して投入した。還元材であるCaは、表1−1及び表1−2に「蒸留Ca」として示す分析値の蒸留Caを使用し、計算量よりも10%程度、過剰に添加した。
還元装置内に配置したタンタル製るつぼ内の充填物を、常温から約2時間かけて600℃まで加熱し、この間還元装置内を真空に引き、充填物の脱ガスを行った。その後、精製したアルゴンガスを送入して0.5気圧とした。
さらに加熱温度を上昇させた。充填物は700℃〜900℃に加熱すると、反応を開始した。反応式は、2CeF3+3Ca→2Ce+3CaF2である。この反応は発熱反応であり迅速に完了した。精製金属とスラグの分離を良くするためには、Ce金属の融点よりも50℃程度高い温度に保持した。なお、Ceの融点は799℃とされているので、+50℃、すなわち849℃になるように加熱温度を調節した。このようにして金属Ceを得る。
得られた金属Ceの分析値を表1−1及び表1−2に「金属Ce」として示す。この表1−1及び表1−2に示すように、Al:0.41wtppm、Si:0.75wtppm、Ca:14wtppm、Fe:0.54wtppm、Cu<0.05wtppm、Mo<0.05wtppm、Ta<5wtppm、W<0.1wtppm、C:90wtppm、N:24wtppm、O:560wtppm、S<10wtppm、H:20wtppmとなった。
Ca還元による結果ではあるが、Caが多く、また酸素(O)含有量も高かった。
[電子ビーム溶解]
次に、上記に得られた金属Ceを電子ビーム溶解した。電子ビーム溶解は、出力80kWのEB溶解炉を用い、真空度5.0×10-5〜6.5×10-4mbar、溶解出力25kWで溶解し、鋳造速度13kg/hでインゴットを作製した。EB溶解時に、揮発性の高い物質は揮散除去される。この電子ビーム溶解は、2回繰り返した。それぞれのEB溶解時間は、30分である。
以上によって、高純度セリウムを製造することができた。この電子ビーム溶解後の高純度セリウムの分析値を表1−1及び表1−2に「金属CeEB後」として示す。この表1−1及び表1−2に示すように、Na<0.05wtppm、Al:0.28wtppm、Si:0.62wtppm、Ca<0.01wtppm、Fe:0.55wtppm、Cu<0.05wtppm、Mo<0.05wtppm、Ta<5wtppm、W<0.1wtppm、C:50wtppm、N:18wtppm、O:46wtppm、S<10wtppm、H:10wtppmであった。
また、カルシウム還元した際に低減ができなかった酸素及びCaも、大きく低減が可能となった。電子ビーム溶解後のセリウムは、セリウム以外の希土類元素が10wtppm以下の高純度金属セリウムとなっていた。
このようにして得たセリウムインゴットを、必要に応じてホットプレスを行い、さらに機械加工し、研磨してφ140mm×t12mmの円盤状ターゲットとした。このターゲットの重量は1.23kgであった。これをさらにバッキングプレートに接合して、スパッタリング用ターゲットとする。これによって、上記成分組成の高純度セリウムスパッタリング用ターゲットを得ることができた。このターゲットは、酸化性が高いので、真空パックして保存又は運搬することが好ましい。しかし、高純度であるために、酸化性は通常品より抑えられており、6ヶ月間保管した場合でも前処理無しで、表面はスパッタできる状態を保っていた。
[比較例1]
処理するセリウムの原料として、前記表1−1及び表1−2に示す純度が2N5〜3Nレベルの市販品(日本イットリウム社製)を用いた。この分析値を「市販Ce」として表1−1及び表1−2に示す。本比較例1で使用した市販品のセリウムは、120mm角×30mm厚の板状物からなる。1枚の重量は、2.4kg〜3.2kgであり、これを10枚、合計で26kgの原料を使用した。これらの板状のセリウム原料は非常に酸化され易い物質のため、アルミニウム蒸着フィルムの真空パックがされていた。
この表1−1及び表1−2に示す主な不純物を挙げると、Al:55wtppm、Si:55wtppm、Ti:1.5wtppm、Fe:140wtppm、Cu:0.61wtppm、Nb:35wtppm、C:210wtppm、N:93wtppm、O:1400wtppm、S:50wtppm、H:24wtppmであった。
次に、出力80kWの大型EB溶解炉を用い、真空度5.0×10-5〜6.5×10-4mbar、溶解出力25kWで溶解し、鋳造速度13kg/hでインゴットを作製した。EB溶解時に、揮発性の高い物質は揮散除去された。
このようにして得たセリウムの分析値を表1−1及び表1−2に「市販CeEB後」として示す。
表1−1及び表1−2に示すように、電子ビーム溶解後のセリウム中の不純物元素の主なものは、次の通りである。Al:42wtppm、Si:55wtppm、Ti:1.8wtppm、Fe:160wtppm、Cu:0.53wtppm、Nb:30wtppm、C:160wtppm、N:100wtppm、O:960wtppm、S:51wtppm、H:16wtppmであった。
以上から明らかなように、Al、Feの低減化はできず、またガス成分の低減化も十分でなかった。全体的に、前記実施例に比べて不純物量は多かった。ガス成分の低減化が、高純度品と比べ、十分でなかったのは、用いた金属セリウム中の金属不純物が酸化物や酸素吸着材として機能するためではないかと本発明者は推測している。つまり、典型的に低減されるはずのガス成分であっても、比較例1の条件下では十分に低減できないことがわかった。
このようにして得たセリウムインゴットを、必要に応じてホットプレスを行い、さらに機械加工し、研磨してφ140mm×t12mmの円盤状ターゲットとした。このターゲットの重量は1.23kgであった。これをさらにバッキングプレートに接合して、スパッタリング用ターゲットとする。これによって、上記成分組成の高純度セリウムスパッタリング用ターゲットを得ることができた。このターゲットは、酸化性が高いので、真空パックして保存又は運搬することが好ましい。しかし、真空パックをしていても、微量の空気、水分の侵入は避けられないため、6ヶ月間保管した場合では、表面の酸化膜を機械的に除去するなど、前処理すること無しにスパッタすることは不可能であった。
本発明は、スパッタリングターゲット材に適した高純度セリウムを提供する。本発明は、産業上有用な発明である。

Claims (9)

  1. ガス成分を除いた純度が4N5以上である、高純度セリウム。
  2. Al、Fe、Cuがそれぞれ10wtppm以下である、請求項1に記載の高純度セリウム。
  3. W、Mo、Taの総量が100wtppm以下である、請求項1又は請求項2に記載の高純度セリウム。
  4. セリウム以外の希土類元素が、総量で10wtppm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の高純度セリウム。
  5. ガス成分が、総量で1000wtppm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の高純度セリウム。
  6. Cが、200wtppm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の高純度セリウム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の高純度セリウムからなるスパッタリングターゲット。
  8. 請求項7のスパッタリングターゲットによって成膜されてなる膜。
  9. 請求項8に記載の膜を備えた半導体素子及びデバイス。
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