以下に、本発明に係る歩行型耕耘機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る歩行型耕耘機の側面図である。なお、以下の説明では、本実施形態に係る歩行型耕耘機1の通常の使用態様時における前後方向、左右方向、上下方向を、各部位においてもそれぞれ機体前後方向、機体左右方向、機体上下方向として説明する。この歩行型耕耘機1は、駆動源からの動力で耕耘部の耕耘爪11を回転駆動させて耕耘作業を行い、歩行型耕耘機1を運搬するときには遊転する車輪70を接地させると共に、耕耘部を地面から離間して車輪70で移動する、いわゆる車軸管理機である。
歩行型耕耘機1は、機体前後方向に延びる機体フレーム2を備えており、機体フレーム2の前側上部には、駆動源であるエンジン5が搭載されている。また、機体フレーム2は、耕耘部を構成する耕耘ロータリ10を支持しており、耕耘ロータリ10は、機体前後方向においてエンジン5が配設されている付近の機体フレーム2の下方に配設されている。この耕耘ロータリ10は、機体左右方向に延びる耕耘軸18を中心として回転可能に配設されており、円周上に多数の耕耘爪11を有している。このように構成される耕耘ロータリ10は、機体左右方向の両側2箇所に配設されている。
さらに、機体左右方向における耕耘ロータリ10の外側には、円盤状の形状で形成されて、耕耘ロータリ10と同軸で回転をするサイドディスク15が配設されている。このサイドディスク15の半径、即ち、回転中心から外周端までの距離は、耕耘ロータリ10の回転中心から耕耘爪11の外周端までの距離よりも小さくなっている。これらのように、耕耘ロータリ10とサイドディスク15との回転時の軸である耕耘軸18には、エンジン5で発生した動力が伝達可能になっており、耕耘ロータリ10とサイドディスク15とは、エンジン5で発生した動力によって回転可能になっている。
また、機体フレーム2の後方には、作業者が歩行型耕耘機1を運転させるときに操作をする操作ハンドル25が設けられている。この操作ハンドル25は、機体フレーム2から機体前後方向における後ろ斜め上方に向けて配設されている。この操作ハンドル25は、作業者が左右それぞれの手で保持しながら歩行型耕耘機1を運転させることができるように、機体フレーム2の後方で上方における機体左右方向の両側の位置に、作業者が手で保持する握り部分が設けられている。また、機体フレーム2における耕耘ロータリ10の上方には、耕耘ロータリ10の上方から覆う耕耘カバー20が取り付けられている。
さらに、機体フレーム2の後方には、耕耘作業時に土中に挿入する抵抗棒60と、機体移動時に接地させる車輪70とが配設されており、これらの抵抗棒60と車輪70とは、機体フレーム2の後端部に配設される保持筒30に連結されている。即ち、抵抗棒60と車輪70とは、機体フレーム2における操作ハンドル25が取り付けられている部分よりも後方に配設されている保持筒30に連結されている。
詳しくは、抵抗棒60と車輪70は、共通の回転軸40に連結されて回転軸40に支持されており、この回転軸40が保持筒30に保持されることにより、保持筒30に連結されている。保持筒30に連結されている状態の回転軸40は、保持筒30の後端から後方に延在しており、回転軸40に連結される抵抗棒60と車輪70は、回転軸40における保持筒30の後方側に位置する部分に連結されている。
図2は、図1のA−A矢視図である。回転軸40に支持される抵抗棒60と車輪70とのうち、車輪70は、車輪支持部材71によって回転軸40に連結されている。車輪70は、機体左右方向における機体中心の両側2箇所に配設されており、2箇所の車輪70は、機体左右方向に延存する車輪軸72を中心として回転可能になっている。
回転軸40は、機体左右方向おける機体中心付近に配設されており、車輪支持部材71は、機体中心付近に位置する回転軸40から、左右両側に位置する2箇所の車輪70に向けて延びており、2箇所の車輪70の近傍で、車輪軸72を支持している。即ち、車輪支持部材71は、機体前後方向に見た場合に、頂部側が回転軸40に連結され、端部側が左右2箇所の車輪70の近傍で車輪軸72に連結されるV字状に形成されている。
また、保持筒30から機体後方に延びる回転軸40は、機体前後方向における後ろ斜め下がりに傾斜しており、車輪支持部材71は、機体側面視において、回転軸40に対して垂直に連結されている。一方、車輪70は、当該車輪70を接地させない状態のときは、回転軸40の上方側に位置する状態となって配設される。このため、回転軸40に連結し、車輪70を支持する車輪支持部材71は、車輪70の非接地時は、回転軸40から車輪70に向けて後ろ上がりとなる姿勢で、後端側で車輪70を支持する状態になる。
これにより、車輪支持部材71は、車輪70の非接地状態時には、当該車輪支持部材71において車輪軸72を介して車輪70を支持する部分が、回転軸40への車輪支持部材71の連結部分よりも後方に位置する状態になる。従って、非接地状態時における車輪70は、機体側面視での前端部が、保持筒30より機体前後方向における後ろ側に位置する状態になる。また、このため車輪70は、保持筒30の前方側の位置から後ろ斜め上方に向けて配設されている操作ハンドル25よりも機体前後方向における後方に位置し、操作ハンドル25から後方に離間した状態になる。
このように設けられる車輪70に対して、抵抗棒60は、回転軸40の後端に設けられる抵抗棒ホルダ61を介して、回転軸40に連結されている。抵抗棒60は、丸棒を屈曲させた形状で形成されており、車輪70が回転軸40の上方側に位置する状態では、抵抗棒60は、大部分が回転軸40の下方側に位置する。つまり、抵抗棒60は、回転軸40の軸心に直交する方向において、抵抗棒60は、回転軸40に対して車輪70が配設されている側の反対側に配設されている。
詳しくは、屈曲している抵抗棒60は、車輪70が回転軸40の上方側に位置する状態では、回転軸40の後端から略鉛直方向における下方に向かい、所定の位置で、後ろ下がりになる方向に屈曲している。つまり、回転軸40の後端の抵抗棒ホルダ61は、車輪70が回転軸40の上方側に位置する状態では、抵抗棒60が略鉛直方向下方に向かう向きで抵抗棒60を保持している。
この抵抗棒ホルダ61に保持される抵抗棒60は、抵抗棒ホルダ61で保持されている部分から下方に向かった所定の位置で屈曲して、下方に向かうに従って後方に向かう方向に傾斜している。このように形成される抵抗棒ホルダ61の下端は、機体上下方向における位置が、耕耘ロータリ10の下端部分の上下方向における位置と同程度の位置になっている。
図3は、図1のB部詳細図である。保持筒30は、内径が回転軸40の外径よりも若干大きい略円筒形の形状の部材からなり、機体左右方向における中心付近の位置で、円筒軸心が、機体前後方向における後ろ斜め下がりに傾斜する向きで、機体フレーム2の後端に設けられている。回転軸40は、この保持筒30の後端から保持筒30に挿入され、回転軸40における抵抗棒ホルダ61や車輪支持部材71が連結されている部分よりも前方側が保持筒30に保持されることにより、保持筒30に保持されている。つまり、保持筒30は、回転軸40を後ろ斜め下がりに傾斜する姿勢で機体フレーム2の後端に連結できるように、機体フレーム2の後端に配設されている。
図4は、図3に示す回転軸の説明図である。回転軸40は、回転軸40において保持筒30で保持した際の保持筒30の後端付近の位置に、回転軸40の軸心に対して直交する向きで回転軸40から突出する係合ピン42が配設されている。詳しくは、係合ピン42は、回転軸40の軸心に対して直交する方向のうち、回転軸40の軸心に対して直交し、且つ、回転軸40の軸心に直交する方向において抵抗棒60が配設されている方向と車輪70が配設されている方向とに向かう方向とに突出する向きで設けられている。係合ピン42は、この向きで回転軸40を貫通し、回転軸40と共に回転するように回転軸40に一体に設けられている。
また、回転軸40には、当該回転軸40の前端と、係合ピン42が設けられている位置との間に、回転軸40を貫通する孔である貫通孔43が形成されている。この貫通孔43は、係合ピン42の形成方向に直交する向きで、回転軸40を貫通している。
さらに、回転軸40の前端には、回転軸40の外径よりも細く、軸心が回転軸40の軸心と一致する向きで形成されるネジ部41が設けられている。ネジ部41は、外周面にネジ山が形成される、いわゆる雄ねじになっている。
図5は、図3に示す保持筒の説明図である。図6は、図5に示す保持筒の斜視図である。保持筒30は、回転軸40においてネジ部41が形成される部分、即ち、ネジ部41の後端部分と、係合ピン42が形成される部分との距離よりも、短い長さの略円筒形の形状で形成されており、回転軸40を摺動可能に挿入することが可能になっている。
この保持筒30には、保持筒30での回転軸40の保持時において、回転軸40に設けられる係合ピン42が位置する部分に、係合ピン42が係合する切欠き部31が形成されている。つまり、切欠き部31は、保持筒30の後端付近の位置で、機体上下方向における上端側と下端側との2箇所に形成されている。この切欠き部31は、係合ピン42の外径より若干広い溝幅で保持筒30の壁面を貫通して保持筒30の軸心に沿って形成され、保持筒30の後端部に対して開口した溝状の形状で形成されている。
また、保持筒30には、回転軸40を保持筒30で保持して切欠き部31に係合ピン42が入り込んだ状態において、回転軸40の貫通孔43が形成されている部分に、保持筒30を貫通する孔である固定孔32が形成されている。この固定孔32は、貫通孔43の径と同程度の径で形成されており、保持筒30の円周上において、切欠き部31が形成されている位置に対して直交する位置に形成されている。即ち、固定孔32は、切欠き部31との位置関係が、回転軸40における係合ピン42と貫通孔43との位置関係と同様な位置関係で形成されている。
これらのように、保持筒30には切欠き部31と固定孔32とが形成され、切欠き部31は機体上下方向に位置し、固定孔32は機体左右方向に位置する向きで、機体フレーム2の後端部分に配設されている。
図7は、図3のC−C矢視図である。保持筒30に回転軸40を挿入して保持する際には、回転軸40のネジ部41側を、保持筒30の後端から挿入して回転軸40を保持筒30に差し込み、ネジ部41側を保持筒30の前端側から露出させる。回転軸40における保持筒30の前端から露出している部分には、保持筒30に係止する係止部材45を、ナット47とばね座金46とを用いて取り付ける。
この係止部材45は、内径が回転軸40の外径より小さく、ネジ部41の外径よりも大きく形成され、外径が保持筒30の内径よりも大きく形成された、座金状の形状で形成されている。回転軸40における保持筒30から露出している部分には、係止部材45の内側部分にネジ部41を通し、係止部材45とナット47との間にばね座金46を介在させた状態でナット47をネジ部41に螺合させることにより、係止部材45を回転軸40のネジ部41側に取り付ける。
回転軸40を保持筒30に挿入した状態で、係合ピン42を保持筒30の切欠き部31に入り込ませて双方を係合させると、保持筒30の固定孔32と回転軸40の貫通孔43とが連通する状態になる。回転軸40を保持筒30で保持する際には、この状態で固定孔32と貫通孔43とに、固定部材50を挿入する。
この固定部材50は、保持筒30に対して摺動可能に保持筒30に挿入される回転軸40の摺動を固定する部材になっており、丸棒状の軸部51と、円盤状の形状で軸部51の一端に設けられる係止部52とを有している。このうち係止部52は、外径が、保持筒30の固定孔32の内径よりも大きくなって形成されている。
一方、軸部51は、外径が保持筒30の固定孔32や回転軸40の貫通孔43の内径よりも若干小さくなっている。さらに、軸部51には、係止部52が設けられている側の端部の反対側の端部付近に、軸部51を貫通する孔であるピン孔53が形成されている。このピン孔53の位置は、係止部52からピン孔53までの距離が、保持筒30の外径よりも大きくなる位置に形成されている。
固定孔32と貫通孔43とに固定部材50を挿入する際には、ピン孔53側から軸部51を挿入する。保持筒30における、固定部材50を挿入した側の反対側に位置する固定孔32から軸部51の先端が露出し、ピン孔53が露出したら、ピン孔53にスナップピン55を通してスナップピン55を固定部材50に取り付ける。これにより、固定部材50は、スナップピン55と係止部52とが保持筒30に当接する状態になるため、固定孔32や貫通孔43からは抜けなくなる。
保持筒30の固定孔32と、回転軸40の貫通孔43とは、このように固定部材50が挿入されることにより相対移動ができなくなるので、保持筒30に挿入された回転軸40は、保持筒30に対して相対移動ができなくなり、保持筒30に対する回転軸40の摺動は固定される。また、この固定部材50での回転軸40の固定時には、回転軸40は、係合ピン42が切欠き部31に係合状態になることにより、保持筒30に対する回転が規制される。これらにより、抵抗棒60と車輪70とを支持する回転軸40は、機体フレーム2の後端に配設される保持筒30に連結される。
また、抵抗棒ホルダ61によって保持される抵抗棒60は、保持筒30で回転軸40を保持する際に用いる固定部材50及びスナップピン55と同様に、抵抗棒固定部材62とスナップピン63とを用いて固定される。
つまり、抵抗棒ホルダ61は、抵抗棒60を挿入することができる略円筒状の形状で形成されており、この抵抗棒ホルダ61には、機体左右方向に連通する向きで孔(図示省略)が形成されている。一方、抵抗棒60には、抵抗棒ホルダ61で抵抗棒60を保持する状態における、抵抗棒ホルダ61の孔に連通する位置に、貫通した孔(図示省略)が形成されている。
抵抗棒固定部材62は、固定部材50と同様の形状で形成されており、抵抗棒ホルダ61の孔と抵抗棒60の孔とに挿入し、双方を貫通する状態でスナップピン63を取り付ける。これにより、抵抗棒固定部材62を、抵抗棒ホルダ61や抵抗棒60から抜けないようにし、抵抗棒ホルダ61から抵抗棒60が抜けないようにする。抵抗棒60は、これにより抵抗棒ホルダ61に連結される。
なお、抵抗棒60に形成される抵抗棒固定部材62用の孔は、抵抗棒60の長さ方向における複数の位置に形成されるのが好ましい。これにより、抵抗棒ホルダ61で抵抗棒60を保持する際に、抵抗棒固定部材62を通す孔を、複数の孔の中から選択して通すことにより、抵抗棒ホルダ61に対する相対的な位置を変更して保持することができ、機体上下方向における抵抗棒60の高さを変更することができる。
本実施形態に係る歩行型耕耘機1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。歩行型耕耘機1のエンジン5を駆動させて耕耘作業を行う場合には、抵抗棒60が、機体上下方向における回転軸40の下方側に位置する状態で、作業者が歩行型耕耘機1の後方側から操作ハンドル25を保持して操作ハンドル25を操作しながら行う。
この耕耘作業は、エンジン5で発生した動力が耕耘軸18に伝達されることにより耕耘軸18が回転し、耕耘軸18の回転に伴って耕耘ロータリ10が回転することにより、耕耘ロータリ10の耕耘爪11が、接地土壌面を耕耘する。その際に、作業者は、操作ハンドル25を押し下げて、機体フレーム2の後方の抵抗棒60を土中に挿入することにより、機体の推進抵抗を機体に与える。
つまり、耕耘ロータリ10が回転した場合、耕耘爪11によって耕耘するのみでなく、機体には、耕耘爪11の回転接地抵抗により、前方への推進力が発生する。このため、抵抗棒60を土中に挿入し、推進力に対する抵抗力を発生させることにより、機体が必要以上の速度で前進することを抑制する。その際に、作業者は、土中への抵抗棒60の挿入長さを調節し、推進力に対する抵抗力を調節することにより、機体の推進を調節し、圃場に対する耕耘作用量を調節する。
このように、抵抗棒60を土中に挿入して行う耕耘作業を行う作業状態から、機体を移動させる状態に切り替えるときは、車輪70を接地させるために、抵抗棒60と車輪70の上下方向における位置関係を切り替える。抵抗棒60と車輪70の位置関係を切り替える際には、まず、固定部材50(図3、図7参照)に取り付けられているスナップピン55を固定部材50から取り外し、固定部材50を保持筒30の固定孔32、及び回転軸40の貫通孔43から引き抜く。これにより、回転軸40は、保持筒30に対して摺動可能な状態になる。
保持筒30での保持時における回転軸40は、保持筒30の前端から露出しており、回転軸40に取り付けられる係止部材45と保持筒30の前端との間の隙間G(図3参照)は、切欠き部31に係合されている係合ピン42の前端部分と、保持筒30の後端との距離よりも大きくなっている。このため、固定部材50を引き抜き、係止部材45が保持筒30に当接するまで回転軸40を後方に摺動させると、係合ピン42は切欠き部31から外れて保持筒30の後端よりも後方に位置する状態になる。これにより、回転軸40は、保持筒30に対して相対回転が可能になる。このように、固定部材50での回転軸40の固定の解除時は、回転軸40を摺動させて係合ピン42を切欠き部31から外すことにより、回転軸40は保持筒30に対して回転可能になる。
図8は、機体の移動状態時における抵抗棒と車輪との状態を示す説明図である。図9は、図8のD−D矢視図である。抵抗棒60と車輪70の位置関係を切り替える際には、回転軸40が回転可能になった状態で、軸心を中心として反転させる。これにより、抵抗棒60を回転軸40の上方側に位置させ、車輪70を回転軸40の下方側に位置させる。
回転軸40に設けられる係合ピン42は回転軸40を貫通しており、保持筒30に形成される切欠き部31は、機体上下方向における上端側と下端側との2箇所に形成されているため、回転軸40を反転させることにより、軸心を中心とする円周方向における係合ピン42の位置は、円周方向における切欠き部31の位置に合った状態になる。回転軸40は、この状態で係合ピン42を切欠き部31に入り込ませ、切欠き部31に係合させる。回転軸40は、固定部材50での回転軸40の固定時には、このように係合ピン42が切欠き部31に係合状態になることにより、保持筒30に対する回転が規制される。
さらに、係合ピン42と切欠き部31とにより、保持筒30に対する回転軸40の回転を規制したら、保持筒30の固定孔32と回転軸40の貫通孔43とに固定部材50を挿入して、固定部材50にスナップピン55を取り付ける。これにより、固定部材50を保持筒30に取り付け、この固定部材50により、保持筒30に対する回転軸40の摺動を固定する。このため、回転軸40は、抵抗棒60が回転軸40の上方側に位置し、車輪70が回転軸40の下方側に位置する状態で、保持筒30に対する摺動と回転が固定される。
回転軸40は、機体前後方向における後ろ斜め下がりに傾斜しているため、車輪70を回転軸40の下方側に位置させた場合、車輪支持部材71は、回転軸40から車輪70に向けて前下がりの状態になる。このように、車輪70の接地時は、車輪支持部材71は、回転軸40から車輪70に向けて前下がりとなる姿勢で、前端側で車輪70を支持する状態になる。
これにより、車輪支持部材71は、車輪70の接地状態時には、当該車輪支持部材71において車輪軸72を介して車輪70を支持する部分が、回転軸40への車輪支持部材71の連結部分よりも前方に位置する状態になる。従って、接地状態時における車輪70は、機体側面視での前端部が、保持筒30より機体前後方向における前側に位置し、機体前後方向における耕耘ロータリ10側で耕耘ロータリ10に接近した状態になる。
機体を移動させる際には、操作ハンドル25を押し下げて車輪70を接地させ、その状態で操作ハンドル25をさらに押し下げることにより、耕耘ロータリ10を地面から浮かせる。車輪70は耕耘ロータリ10に接近しているため、耕耘ロータリ10は、比較的小さな力で操作ハンドル25を押し下げることにより浮かせることができる。歩行型耕耘機1は、このように耕耘ロータリ10が浮いた状態で操作ハンドル25に対して任意の方向に力を加えることにより、車輪70を回転させながら所望の方向へ移動させることができる。
以上の実施形態に係る歩行型耕耘機1は、車輪70と抵抗棒60とを支持する回転軸40を、機体フレーム2の後端部に配設される保持筒30で保持し、車輪70の接地状態時には、車輪70の前端部が保持筒30より前側に位置するようになっている。このため、車輪70を接地させて機体を移動させる際には、車輪70を耕耘ロータリ10の後方側から極力耕耘ロータリ10に近付けることができる。また、車輪70の非接地状態時には、車輪70の前端部が保持筒30より後ろ側に位置するようになっているため、車輪70を回転軸40よりも上方側に位置させた状態において、車輪70を操作ハンドル25の後方に離間させて位置させることができる。この結果、機体移動時には車輪70を耕耘爪11に接近させ、耕耘作業時には車輪70を操作ハンドル25から離間させることができる。
また、これらのため、歩行型耕耘機1の移動時には、操作ハンドル25を押し下げ、耕耘爪11に接近した車輪70を支点として耕耘爪11を持ち上げるため、比較的小さな力で持ち上げることができ、耕耘爪11を持ち上げ易くすることができる。また、耕耘作業時は、車輪70が操作ハンドル25に接近しないため、操作ハンドル25の操作性を向上させることができる。これらの結果、機体移動時と耕耘作業時のいずれにおいても、作業性を向上させることができる。
また、回転軸40は後ろ斜め下がりに傾斜しており、車輪70の接地時は、車輪支持部材71は回転軸40から車輪70に向けて前下がりとなる姿勢で前端側で車輪70を支持しているため、車輪70をより確実に耕耘ロータリ10に接近させることができる。また、車輪70の非接地時は、車輪支持部材71は回転軸40から車輪70に向けて後ろ上がりとなる姿勢で後端側で車輪70を支持しているため、車輪70をより確実に操作ハンドル25から離間させることができる。これらの結果、簡易な構成で、且つ、確実に、機体移動時には車輪70を耕耘爪11に接近させ、耕耘作業時には車輪70を操作ハンドル25から離間させることができる。また、部品点数を少なくして簡易な構成にすることにより、製造コストの低減を図ることができる。
また、機体フレーム2の後端に保持筒30を取り付け、回転軸40は、この保持筒30を中心として回転可能に構成するため、抵抗棒60と車輪70とを支持する回転軸40を、回転可能に機体フレーム2に連結する場合における部品点数を削減することができる。この結果、製造コストを低減することができる。
また、回転軸40は、固定部材50の固定時は、係合ピン42が切欠き部31に係合状態になることにより保持筒30に対する回転が規制されるため、回転軸40を保持筒30に固定部材50で固定する際に、容易に固定することができる。また、固定部材50での固定の解除時は、回転軸40を摺動させて係合ピン42を切欠き部31から外すことにより保持筒30に対して回転可能になるため、固定部材50を解除したときに、不意に回転軸40が回転するのを防止することができる。これらの結果、回転軸40を回転させて抵抗棒60と車輪70の位置を切り替える際の作業性を向上させることができる。
また、抵抗棒60は、抵抗棒ホルダ61に着脱自在に構成されているため、抵抗棒ホルダ61から抵抗棒60を取り外すことにより、他の作業機を取り付けることができる。例えば、抵抗棒ホルダ61には、抵抗棒60の代わりに培土機を取り付けて作業を行うことができる。この結果、歩行型耕耘機1を用いて作業を行う際の汎用性を向上させることができる。
また、抵抗棒ホルダ61は、抵抗棒60を回転軸40の下方に位置させる状態においては、略鉛直方向に形成されているため、抵抗棒60を抵抗棒ホルダ61に取り付ける際に、容易に取り付けることができる。この結果、抵抗棒60の取り外しの容易性を向上させることができる。
〔変形例〕
なお、上述した歩行型耕耘機1では、保持筒30に挿入された回転軸40は、固定部材50が外されたときは、保持筒30に対して回転軸40が摺動することにより、係合ピン42が切欠き部31からすぐに外れるように構成されているが、係合ピン42が切欠き部31から外れ難いように構成してもよい。図10は、実施形態に係る歩行型耕耘機の変形例であり、保持筒と回転軸の連結部分の説明図である。図11は、図10のE−E矢視図である。係合ピン42が切欠き部31から外れ難いようにする際には、例えば、図10、図11に示すように、保持筒30に後端側に、スプリング80を配設してもよい。
具体的には、保持筒30に後端部分に、スプリング80からの付勢力を受ける保持筒側受け部81を設け、回転軸40には、保持筒側受け部81よりも後方側の位置に、保持筒側受け部81に対向する回転軸側受け部82を設ける。スプリング80は圧縮ばねによって構成し、この保持筒側受け部81と回転軸側受け部82との間に配設する。これにより、保持筒側受け部81と回転軸側受け部82とには、双方が離れる方向の付勢力が付与される。また、この構成では、係合ピン42は回転軸40におけるネジ部41の近傍に設け、切欠き部31は、保持筒30における前端側に形成して前方に開口させる。
この構成において、係合ピン42と切欠き部31とを係合させて回転軸40を保持筒30で保持する際には、保持筒側受け部81と回転軸側受け部82とは離れた状態になり、固定部材50は、この状態で取り付ける。一方、回転軸40を回転させる場合には、固定部材50を解除し、回転軸40を前方に摺動させて係合ピン42を切欠き部31の外に出す。
その際に、保持筒側受け部81と回転軸側受け部82とには、双方が離れる方向の付勢力がスプリング80によって付与されているため、回転軸40を前方に摺動させるためには、この付勢力に打ち勝つ大きさの力を回転軸40に入力して、回転軸40を前進させる必要がある。このため、回転軸40は、単に固定部材50を解除したのみでは回転し難くなっている。
抵抗棒60と車輪70とでは、車輪70の方が重くなっているが、このように回転軸40が回転し難くいように構成することにより、固定部材50を抜いたとたんに、抵抗棒60と車輪70との重量差によって回転軸40が回ってしまうことを防止することができる。この結果、回転軸40を回転させて抵抗棒60と車輪70の位置を切り替える際の作業性を向上させることができる。
また、保持筒30と回転軸40とに対して付与するスプリング80の付勢力は、係合ピン42が切欠き部31に入り込む方向の力になっている。このため、抵抗棒60と車輪70の位置を切り替える際には、回転軸40を回転させて係合ピン42が切欠き部31の位置に到達した際に、係合ピン42をすぐに切欠き部31に入り込ませることができる。この結果、保持筒30に対する回転軸40の位置決めを容易に行うことができ、抵抗棒60と車輪70の位置を切り替える際の作業性を向上させることができる。
また、上述した歩行型耕耘機1では、抵抗棒ホルダ61は、単に抵抗棒60を保持するのみであるが、抵抗棒ホルダ61は、抵抗棒60を回転可能に保持してもよい。図12は、実施形態に係る歩行型耕耘機の変形例であり、抵抗棒と抵抗棒ホルダとの連結部分の説明図である。抵抗棒90を回転可能に抵抗棒ホルダ91で保持する際には、例えば、図12に示すように、回転軸40の係合ピン42と保持筒30の切欠き部31と同様に、ピンと溝からなる位置決め機構92を設ける。この位置決め機構92は、抵抗棒ホルダ91の軸心方向における抵抗棒90が位置している側に設ける。一方、抵抗棒ホルダ91における他端側には、位置決め機構92が係合する方向の付勢力を抵抗棒90と抵抗棒ホルダ91とに付与するスプリング94を配設する。抵抗棒ホルダ91には、このスプリング94からの付勢力を受けるホルダ側受け部95を設ける。
また、抵抗棒90には、先端にネジ部93を設け、ホルダ側受け部95に対向する位置に、座金状の抵抗棒側受け部96を配設し、ばね座金97と、2つのナット98により、抵抗棒側受け部96がネジ部93から抜けないように固定する。スプリング94は圧縮ばねによって構成し、ホルダ側受け部95と抵抗棒側受け部96との間に配設する。これにより、ホルダ側受け部95と抵抗棒側受け部96とには、双方が離れる方向の付勢力が付与され、この方向は、位置決め機構92が係合する方向の付勢力となって、抵抗棒90と抵抗棒ホルダ91とに付与される。
このように構成することにより、抵抗棒90は、軸心を中心とする円周方向における抵抗棒ホルダ91に対する相対関係が、180°異なる2種類の形態で、位置決め機構92を係合させて抵抗棒ホルダ91で保持することができる。これにより、車輪70を回転軸40の下方側に位置させて機体を移動させる場合に、抵抗棒ホルダ91の軸心を中心として抵抗棒90を回転させることにより、抵抗棒90を前方へ向かせることができる。この結果、機体移動時に抵抗棒90が作業者の足元付近で邪魔になることを防止でき、機体移動時の利便性を向上させることができる。
また、上述した歩行型耕耘機1では、抵抗棒60は抵抗棒ホルダ61によって回転軸40に連結されているが、抵抗棒60は、回転軸40に直接連結されていてもよい。図13は、実施形態に係る歩行型耕耘機の変形例であり、抵抗棒の説明図である。抵抗棒105は、例えば、図13に示すように、回転軸100と一体に構成してもよい。培土機等の他の作業機を取り付ける必要がない場合は、抵抗棒105と回転軸100とを一体に構成することにより、部品点数を削減でき、より確実に製造コストの低減を図ることができる。
また、歩行型耕耘機1は、上述した実施形態、及び変形例で用いられている構成を適宜組み合わせてもよく、または、上述した構成以外を用いてもよい。歩行型耕耘機1の構成に関わらず、車輪70の接地状態時には車輪70が前方に位置し、車輪70の非接地状態時には、接地状態時よりも後方に位置するように、回転軸40と保持筒30を構成することにより、機体移動時には車輪70を耕耘爪11に接近させ、耕耘作業時には車輪70を操作ハンドル25から離間させることができる。