JP6166124B2 - 信号処理回路 - Google Patents
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例えば、ホール素子など磁電変換素子を利用した電流検出器において、ホール素子が有する温度特性のために電流測定精度を向上させることが阻害されていた。これは、オフセット電圧の温度ドリフトが、使用するホール素子などの磁電変換素子自体の特性によって定まってしまうことに起因している。そこで、種々の温度に対する温度特性を有するホール素子を用意するものとすると、夫々の温度に対応温度特性を有する多数種類のホール素子を製造する必要があり、ホール素子自体が高コストとなる難点がある。
ホール素子を用いたセンサは、比較的温度変化の大きな環境にて使用されることがあるので、オフセットの温度変動に対して安定した出力が得られるようにするため種々のオフセット温度補償回路が提案されている。
また、特許文献3に記載のものは、ホール素子を用いた電流センサに関するもので、周囲温度変化によって発生するオフセット温度ドリフトをより簡素な構成で補償することができるようにしたものである。
しかしながら、上述した図1において、極性を切り替えて出力を行いたい場合、オフセット温特補償を行っても、オフセット温特が残ってしまうという問題がある。この点について、以下の図3及び図4を用いて説明する。
図4は、図3に示した従来の極性切替回路のオフセット電圧の温度特性とオフセット電圧の温特補償する補償電圧の温度依存性を示す図である。なお、縦軸が電圧を模式的に示し、横軸が温度を示している。
図2の場合と異なり、ホールオフセットは、極性切り替えスイッチ6により温度に対して負の傾きをもつこととなる。一方、アンプオフセットは、図2の場合と同様、温度に対して正の傾きをもつこととなる。
つまり、出力アンプの極性を切り替える場合、オフセット温特補償部の補償電圧の大きさも変更しなければならないという課題があった。
図5は、本発明に係る信号処理回路の実施形態1を説明するための回路構成図である。図中符号9は極性切替増幅器、91は+極性入力側フィードバック用切替スイッチ、92は−極性入力側フィードバック用切替スイッチ、93は極性切替アンプを示している。なお、図1及び図3と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
メインアンプ3は、ホール素子2からの信号を増幅し、かつ、ホール素子2及び信号処理回路11のオフセットの温度特性を補償するものである。また、極性切替増幅器9は、メインアンプ3からの出力を、極性を切り替えて出力するものである。
つまり、本実施形態1の信号処理回路11は、磁気センサであるホール素子2と、メインアンプ3と、極性切替増幅器9と、オフセット温特補償部5と、磁気センサの駆動手段であるホール電流源7とを備えている。
図6において、極性切替増幅器9は、+極性入力側フィードバック用切替スイッチ91と、−極性入力側フィードバック用切替スイッチ92と、極性切替部である極性切替用スイッチ91,92を内包する極性切替アンプ93とで構成されている。
図7は、図6に示した極性切替増幅器で+極性で出力する際のオフセット電圧の温度特性とオフセット電圧の温特補償する補償電圧の温度依存性を示す図である。なお、縦軸が電圧を模式的に示し、横軸が温度を示している。
ホール素子2のオフセット電圧がホールオフセットであり、メインアンプ3と極性切替増幅器9のオフセット電圧がアンプオフセットである。そして、両者の合計オフセット電圧が、被補償電圧(Main+Amp)である。それぞれのオフセット電圧は、補正基準温度でのオフセット電圧を基準とし補正されるが、ホールオフセットもアンプオフセットも温度に対してほぼ1次の温特を有している。
図8は、図6に示した極性切替増幅器の構成の極性切り替え状態を示す回路構成図である。図8に示すように、+極性入力側フィードバック用スイッチ91を接続し、−極性入力側フィードバックスイッチ92を接続しない場合は、図3と同様の信号処理構成となり、図3と同じ出力極性を得ることができる。
ここで、図9を用いてホール素子2とメインアンプ3と極性切替増幅器9にオフセットの温特がある場合の補償の仕方について説明する。
図9から理解できるように、図4の場合と同様に、信号処理回路11の出力からみると、ホールオフセットは、極性切替増幅器9により温度に対して負の傾きをもつこととなる。
そのため、図3に示した回路の場合と異なり、図5に示した回路では、極性を切り替えても、オフセット温特補償部5の補償電圧の大きさを変更することなく、オフセット温特を補償することができる。
図10及び図11の極性切替アンプ93は、一般的なA級アンプとなっており、PMOSトランジスタTr1,Tr4がロード933、PMOSトランジスタTr2,Tr5が差動対931、NMOSトランジスタTr3がバイアス932となっており、PMOSトランジスタTr6とNMOSトランジスタTr7の出力段934で構成されている。
次に、図10及び図11で極性切替増幅器9の極性切替アンプ93の内部の極性切替スイッチと、フィードバック用スイッチ91,92の対応関係について説明する。
まず、+極性を出力するときの、フィードバック用スイッチ91,92と、極性切替アンプ93の内部の極性切替スイッチSW1乃至SW4の対応関係について説明する。
このとき、極性切替増幅器9のフィードバック用スイッチ91,92は、負帰還とするため、フィードバック用スイッチ92をONし、フィードバック用スイッチ91をOFFとする。つまり、図6に示すように、フィードバック用スイッチ92を接続することで、極性切替アンプ93のNIN側に出力を帰還させて、負帰還として発振を防いでいる。
図11における極性切替アンプ93の内部の極性切替スイッチSW1乃至SW4は、SW2とSW4がONし、SW1とSW3がOFFしている。この接続により、SW4がONしているためNIN側の出力を取っていることから、NOUT出力、つまり、出力が−極性となる。
以上のような構成により、極性切替アンプ93の内部の極性切替スイッチで、極性切替アンプ93の出力極性をPOUTからNOUTへ切り替えるときは、極性切替増幅器9のフィードバック用スイッチ91,92で、出力のフィードバックする先をNINからPINへ切り替える。
図12は、本発明に係る信号処理回路の実施形態2を説明するための回路構成図である。図中符号10は、極性切替信号生成部を示している。なお、図5と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
つまり、図12において、センサ用信号処理回路21は、ホール素子2と、メインアンプ3と、極性切替増幅器9と、オフセット温特補償部5と、ホール電流源7と、極性切替信号生成部10とを備えている。
図12は、図5よりも具体的な構成として、極性切替信号生成部10を備えている点が異なる。この極性切替信号生成部10で生成される極性切り替え信号により、極性切替増幅器9の出力極性と、フィードバック用スイッチ91と92が切り替えられる。その他の動作などは、図5乃至図9で説明した通りである。
図13において、VBP2とVBP3には、極性切替信号生成部10で生成される極性切り替え信号が入力されて、極性切替アンプ93の出力の極性を切り替える。
また、極性切替増幅器9は、極性切替部936で出力の極性を切り替えるとき、フィードバック先切替部91,92で出力をフィードバックする入力端子も切り替えて負帰還を形成するものである。
一方、極性切り替え信号として、VBP2へON、VBP3へOFFの信号が入力されると、Tr13とTr14がONとなり、Tr11とTr12がOFFとなって動作する。このとき、出力はNOUTとなるため、極性切替増幅器9において、フィードバック用スイッチ91,92を図8のように接続する。
図14は、本発明における極性切替アンプの他の変形例を示す回路構成図で、図13に示したフォールデッドカスコードアンプで、PMOSとNMOSの構成を逆とした場合の構成例を示している。
図16は、メインアンプとオフセット温特補償部の一例を示す回路構成図である。
オフセット温特補償部5は、一般的な例を挙げるとPTAT(絶対温度比例)電圧生成回路等が挙げられ、また他の温度補償できる電圧生成回路であってもよい。
メインアンプ3は、図16に示した回路構成例で抵抗R1を介して、ホール出力信号であるMain+とMain−、オフセット温特補償部5の出力電圧TOFF及び、コモン電圧VCOMを入力としている。また、コモン電圧VCOMは他の特性補償電圧であってもよい。
また、本発明の信号処理回路は、上述した特許文献1乃至3に記載の電流センサやホール素子などの磁気センサを備えた電子機器などに適用できることは明らかである。
2 ホール素子(磁気センサ)
3 メインアンプ
4 アンプ
5 オフセット温特補償部
6 極性切替スイッチ
7 ホール電流源
9 極性切替増幅器
10 極性切替信号生成部
11,12 信号処理回路
91 +極性入力側フィードバック用切替スイッチ
92 −極性入力側フィードバック用切替スイッチ
93 極性切替アンプ
931 差動対
932 バイアス
933 ロード
934 出力段
936 極性切替部
Claims (4)
- 磁気センサからの信号を処理して出力する信号処理回路において、
前記磁気センサからの信号を増幅し、かつ、前記磁気センサ及び前記信号処理回路のオフセットの温度特性を補償するメインアンプと、
該メインアンプからの出力を、極性を切り替えて出力する極性切替増幅器と、を有し、
前記極性切替増幅器は、極性切替部を備えた極性切替アンプと、該極性切替アンプの出力端子と各入力端子との間に接続されたフィードバック先切替部とを有することを特徴とする信号処理回路。 - 前記磁気センサ及び前記信号処理回路のオフセットの温度特性を補償するための補償電圧を生成するオフセット温特補償部を有し、
前記メインアンプは、前記補償電圧に基づいて、前記磁気センサ及び前記信号処理回路のオフセットの温度特性を補償することを特徴とする請求項1に記載の信号処理回路。 - 前記極性切替増幅器の出力の極性を切り替えるための極性切替信号を生成する極性切替信号生成部を有し、前記極性切替増幅器は、前記極性切替信号に基づいて、出力の極性を切り替えることを特徴とする請求項2に記載の信号処理回路。
- 前記極性切替増幅器は、
前記極性切替部で出力の極性を切り替えるとき、前記フィードバック先切替部で出力をフィードバックする入力端子も切り替えて負帰還を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の信号処理回路。
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